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私の思い・私の仕事

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私の思い・私の仕事
私の思い・私の仕事
~ふれあいスタッフの「こころ」~
特定医療法人健和会
介護老人保健施設ふれあい
お読みいただく皆様に
「私の思い・私の仕事
~ふれあいスタッフの「こころ」
~」は、社団法人全国老人保健施設協会の発行する機関誌
「老健」に毎号掲載されている「私の思い・私の仕事」へ
投稿した原稿を集めたものです。
残念ながら、これまで掲載には至っていませんが、ふれ
あいの各部署での仕事への取り組み内容、その思いがわか
りやすく書かれています。
その意味から、より多くの皆様にふれあいにおける高齢
者介護の様子を知っていただくことで、今後ともふれあい
運営へのご理解とご協力をお願いしたく小冊子として配布
させていただきます。
(表紙は白光蓮です。今年屋上庭園で育ててきました。)
2012 年 8 月吉日
施設長
角谷
増喜
「相手の立場になって考える」
私は介護の仕事をする前に保育の仕事をしていました。
保育士と介護福祉士、対象者が子供と高齢者という全く違
う職種のように思われますが人相手の仕事であり、その人
の成長や生活の質を維持、向上していくためにサポートし
ていくという意味では重なる部分がたくさんあるように感
じます。
ただ言葉がけに関しては二者は両極端であると私は思い
ます。子供は生まれて少しずつ様々なことを覚えていきま
す。真っ白なキャンパスにどんな絵を描くのか、それは周
りの大人や環境によって変わってきます。
その為、場合によっては断言的、否定的な言い方をしな
くてはならない時もありました。しかし高齢者の方々には
これまで生きてこられた人生があり、誇りを持っておられ
ます。
介護の仕事をするようになってから私が最も大切に思っ
ている事は「相手の立場になって考える」ということです。
「こんな風に言われたらどう思うだろう」そう考えると自
ずと優しい言葉がけが出来るのではないでしょうか。時に
は促したり、中断させなければいけない場面もあります。
その時でも相手の気持ちになって考え、対応していく必
要があると思います。世間では高齢者虐待のニュースがよ
く流れています。
自施設においても委員会を設置し、接遇面の強化、虐待
予防に努めています。優しい言葉で皆が接すればきっとも
っと笑顔が増える、そう信じてこれからも頑張っていきた
いと思います。
通所リハビリ(現施設ケアマネージャ)
木村
裕子
「最後まで、その人らしく」
人とのコミュニケーションが苦手だった私が、介護とい
う仕事に就いて、10 年が経過しました。昨年、看取り介護
を経験し、この方がこの世を去る、その最期の時を、家族
でもない私が、どのように接するべきなのか悩みました。
まず、利用者のこれまで生きて来られた人生を知る事、
家族との関わりを知る事、そして、今を知る事が、その方
に合ったケアプランを立案できるのではないかと思いまし
た。
徐々に食事が食べられなくなる中で、私達は、安全と栄
養の確保を重視した食事の提供をしますが、利用者は、大
好きなマグロが食べたい!家族も本人の食べたい物を食べ
てもらいたい!と言われました。
すごく悩みましたが、スタッフと相談し、本人の希望通
り、マグロの握り寿司を家族に持って来て頂き、食べても
らいました。今までに見られなかった満面の笑みと「美味
しい」という言葉を聞き、食べたいという思いを第一に考
えて良かったと強く感じました。
この看取り介護を通して、一番感じた事は、本人・家族
とのコミュニケーションの重要性、そして何より、職員間
の連携をスムーズに取ることで、利用者・家族の信頼・安
心に繋がる事を実感しました。
これから、様々な出会い・別れがあると思いますが、最
期までその人らしく過ごせる介護を考え、実践していきた
いです。
2階介護職
杉本
恵美
「あなたの生きがいってなんですか?」
私には元気な祖父母がいます。祖父母は介護をしている
私を自慢に思ってくれています。しかし、仕事の都合上な
かなか会えていません。
先日私に娘が産まれた為、2年ぶりに祖父の家に会いに
行く事にしました。祖父は会うと決まったその日から「お
はよう。ひいじいちゃんだよ」と練習していましたが、練
習の成果もなく、祖父に抱かれた娘は大号泣。
それはそうです、まだ6ヶ月ですから。でも祖父母の温
もりを感じたのか2泊3日の最終日、娘は笑顔で抱かれる
ようになりました。
帰る際、私に「来てくれてありがとう。あんたも忙しい
し、じいちゃんばあちゃんに気を遣わなくていいよ」と笑
顔で話してくれた後「また来てね」と何度もひ孫に言って
いる姿をみて、涙が込み上げてきました。
世間では当たり前の光景かもしれません。でも、施設で
暮らしている利用者にこんな喜びがどれだけあるだろうと
考えた時、私の仕事の重要さを再確認できました。
毎日会えるからこそ、安心できる事・話して頂ける事も
あると思い、それからいつも以上に長く会話をしようと心
掛け、利用者の生きがいを聞きだそうとする自分がいます。
介護職として今年で8年目、今さら遅いかもしれません
が、一歩成長するきっかけをくれた祖父母、本当に感謝で
す。これからも介護士として頑張っていきます。
(元)老健3階
介護職
幸家勇人
「支援相談員としての喜びを感じながら」
5年の介護職経験を経て支援相談員となり、早4年目を
迎えました。介護職の5年もさることながら、相談員とし
ての3年は瞬く間でした。
当初は介護職との業務の違いに戸惑いの連続でしたが、
介護職で得た知識と感性をフルに活用し、支援相談という
分野で利用者・家族の生活に関わることは、介護職とはま
た違ったやりがいがありました。
得られる実感も介護職とは少し違いますが、利用者さん
の笑顔に変わりはなく、他事業所との連携協力の下、利用
者・家族とともに安心できる生活を一緒に考えていけるこ
とが喜びとなりました。
また、個別の希望や環境因子に柔軟に対応できるのが老
健の強みであり、その機能を十分に発揮できるよう常に立
ち止まり、振り返り、確認しながら支援に努めています。
そのような在宅支援に取り組むこの3年間はこれまでの
経験で最も充実した期間だったと実感しています。
一方、法改正や R4 システム導入など、今後より一層支
援相談員の重要性が高まることに不安と重圧も覚えます。
この3年間、老健への多種多様な相談が多いことに驚きま
した。
そんな中、多機能という括りの中で、在宅支援から看取
りまでを担う老健施設は、今後間違いなく地域包括ケアの
重要拠点になると実感しています。より一層その役割を発
揮し、利用者・家族の生活を包括的に支えていけるよう、
日々奮闘していく次第です。
支援相談員(現管理課長)
早川勝
「終末期におけるリハビリテーション」
「あんたかぁ。ようきてくれたなぁ。ありがとう」
居室を訪問し声をかけると、そう言って笑顔を見せてく
れる 92 歳の A さん。でも、その笑顔は入所されてきた頃と
は違い、活気のない微笑みでした。
「あんたかぁ」と言っていただいたものの“たぶんなん
となく顔を覚えておられるだけだろうなあ”と思いながら
ベッドで臥床されている A さんの手を握り、ゆっくり軽擦
し関節を動かすと「ぬくい手やなぁ。気持ちええわぁ」と
言われ穏やかな表情をみせてくれました。
終末期と診断された A さんの手足は冷たく、浮腫のため
元気だったころの倍くらいの太さになっていました。
終末期に理学療法士としてできることは限られています。
しかし、不動による苦痛の緩和、裾癖などの廃用症候群の
予防、拘縮の予防など尊厳ある最期を迎えられるよう行わ
なければならないリハビリテーションは、急性期や回復期
のリハビリテーション同様とても重要なものだと感じてい
ます。
数日後の早朝、A さんは眠るように最期を迎えられまし
た。理学療法士になり 23 年。何年経っても患者・利用者様
から学ばせて頂くことの多いこの仕事。
利用者様への敬意の念を忘れず、穏やかな終末期を送っ
ていただけるよう、これからも他職種と連携しながら寄り
添っていきたいと思います。
理学療法士(現病院リハビリ科)
小比賀美千代
やわらか
ふれあい
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