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CSR報告書 2011 - 住友電気工業株式会社

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CSR報告書 2011 - 住友電気工業株式会社
SEI CSR 報告書 2011
SE I CSR 報告書
2 011
Corporate Social Responsibility Report
特 集 SEI CSR EYE
事業を通じた社会への貢献
「技術の重視」の精神が事業発展の原動力
●
●
再生可能エネルギー活用のための未来型電力ネットワーク
「マイクロスマートグリッド実証システム」が稼働!
編集方針
本報告書では、前半部で経済的側面を含めた住友電工グループの概要を、後半部に環境的側面と社会的側面(当社グループのCSR重点
5分野)
についてご紹介しています。
●
P13∼16の「SEI CSR EYE」では、当社グループが将来にわたり事業を通じた社会への貢献を続けていく基盤を支える研究開発について、
革新技術の開拓を目指すNEXTセンターの活動と、その研究開発事例として「マイクロスマートグリッド実証システム」
を取り上げました。
●
P24では、当年度の当社グループCSR活動の全体像をお伝えするため、2010年度の主要目標とその実績、2011年度目標を取りまとめ
ています。
●
P65では、開示情報の網羅性について配慮するためGRIガイドライン対照表を掲載しています。本報告書はGRI「サステナビリティ・レポー
ティング・ガイドライン 第3.1版」に定義されるアプリケーションレベルB+に相当しており、当該自己宣言については第三者による保証を
受けています。
●
開示指標の正確性と網羅性については独立第三者機関による保証を取得しており、第三者保証の対象となる指標には
マークを
付しています。さらに、独立第三者(有識者)
による当社グループの取り組み内容や開示状況に関する所見を掲載することで、本報告書の
信頼性向上に努めています。
なお、ISO14001認証取得状況やサイト別環境負荷データにつきましては、別冊で報告しています。
■ CSR報告書の対象期間
2010年4月1日∼2011年3月31日(2010年度) ただし、一部2011年度の活動内容も含んでいます。
前回の報告書発行は2010年9月でした。次回の発行は2012年8月末を予定しています。
■ CSR報告書の対象範囲
住友電気工業株式会社および連結子会社(284社)
本報告書における記述は以下の基準で区分しています。
住友電工(当社)
: 住友電気工業株式会社
グループ会社、関係会社: 住友電工の連結子会社
住友電工グループ(当社グループ)
: 住友電工およびグループ会社
●
定量的な情報開示に関しては、国内証券市場に上場している東海ゴム工業(株)、日新電機(株)、住友電設(株)、およびそれぞれ
の連結対象会社を対象外としているほか、住友電工単体または限定された連結子会社を対象としている場合があります。この場合、
文章中もしくは表・グラフの脚注にて範囲を記載しています。
●「会社・事業概要」
(P9∼10)の対象範囲は住友電工および連結対象会社325社です。
●「社会貢献」
(P63)
については一部の持分法適用会社を含みます。
■ 参考ガイドライン
GR
I
「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン 第3.1版」
環境省
「環境報告ガイドライン2007年版」
第 三 者 所 見 へ の 対 応
●
ステークホルダーエンゲージメントでの成果がCSRマネジメントに反映されることを期待
⇒ 環境に関するバウンダリーについての説明や昨年度より一歩進めた環境会計など、ステークホルダーダイアログでいただいた
ご意見を反映しました。
(P31∼32参照)
●
「活き活き職場調査」の調査結果の活用に関する説明はやや具体性に欠け、フォローアップ情報の充実が望まれる
⇒ 昨年度よりも具体性を持たせた記述を心がけました。
(P54参照)
●
労務情報もグローバルベースで集計・開示されることを期待
⇒ グローバルHRMポリシーやグローバル地域別人員数など、できる限りグローバル情報を掲載しました。
(P52参照)
●
コンプライアンス研修や規程・組織体制の整備に関して、有効性評価が今後とも継続的に行われることを望む
⇒ 海外グループ会社を含め、コンプライアンス体制の強化に一層取り組んでいきます。
(P19∼20参照)
開示情報の客観性と透明性を高めるため、第三者機関による保証を実施し、その結論をP67に掲載しました。
また、保証を受けた結果として右のマークの付与が認められました。これは「SE
ICSR報告書2011」
に掲載された
環境情報の信頼性に関して、サステナビリティ情報審査協会(http://www.j-sus.org/)の定める
「環境報告審
査・登録マーク付与基準」を満たしていることを示します。
1
SEI CSR Report 2011
Contents
SEI CSR Report 2011
地球環境との関わり
経営の基盤
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
第2 回 住友電工グループ
ステークホルダー・ダイアログ ・・・・・・・・・・・・・ 27
経営の基盤
トップメッセージ
東日本大震災への対応について ・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
環境マネジメント
地球温暖化防止
事業概要
会社・事業概要
30
35
省資源・リサイクルの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
化学物質管理
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
41
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
環境配慮製品の拡大/生物多様性
SEI CSR EYE
・・・・・・・・・・・
43
45
CSRの基盤
11
有害化学物質の排出量削減
ガバナンス
事業紹介
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
事業概要
基本的価値軸
事業を通じた社会への貢献
「技術の重視」の精神が
事業発展の原動力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
お客さまとの関わり
お客さまのご満足のために
品質のさらなるレベルアップを。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
品質管理
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
お取引先さまとの関わり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
48
調 達 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
再生可能エネルギー活用のための
未来型電力ネットワーク
「マイクロスマートグリッド実証システム」が稼働!
15
従業員との関わり
国境を越えた取り組みを通じて
真のグローバルカンパニーへ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
ダイバーシティ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
人権・活き活き職場
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
54
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
60
61
従業員との関わり
人材育成
お取引先さまとの関わり
ワーク&ライフ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
57
「労災は必ずゼロにできる」
その強い信念をこれからも持ち続けて。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
安全・衛生
ガバナンス
コーポレートガバナンス
リスクマネジメント
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18
コンプライアンス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
情報開示
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
21
情報保護
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22
さらに積極的に目に見える
社会貢献活動の推進を。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
GRIガイドライン対照表
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ステークホルダー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
62
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
65
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
66
23
外部表彰
25
独立保証報告書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
マテリアリティ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
独立第三者の所見
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
社会との関わり
CSRの基本姿勢
59
社会との関わり
社会貢献
CSRの基盤
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お客さまとの関わり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
地球環境との関わり
グローバルな視野で
CSR調達の周知徹底を目指して。
68
SEI CSR Report 2011
2
トップメッセージ
社会の持続的な成長・発展へのたゆまぬ貢献を目指して
電力供給不安やサプライチェーンの問題など不安定な状況
はじめに
が続いておりますが、被災地域の復旧・復興に不可欠な製品
東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福を
を安定供給することが、当社グループの社会的使命であると
謹んでお祈りいたしますとともに、被災された皆さま方に
考え、一日も早い復興に向けて全力で貢献してまいります。
心よりお見舞い申し上げます。
住友電工グループでは、社員につきましては、怪我や自宅
の損壊などはありましたが、人命にかかわるような大きな
人的被害はありませんでした。また、生産拠点につきまして
2010年度の当社グループを取り巻く事業環境は、自動
は、東北・北関東の生産拠点を中心に設備の一部に損傷を
車関連を中心にグローバルな需要の回復・拡大が継続しま
被り、生産に影響が出ましたが、さまざまな困難があるなか、
したが、国内需要の低迷と年央からの急速な円高により、
生産再開に向けて、社員が一致団結し、設備の点検、復旧
内需および輸出関連は一段と厳しさを増す状況となりま
作業に懸命に取り組み、4月末までには一部を除き復旧する
した。このような状況のもと、当社グループは、グローバル
ことができました。
な需要の捕捉、営業力の一層の強化、徹底したコスト低減や
また震災により不通となった、福島第一原子力発電所∼
新技術・新製品の開発・拡販に注力してまいりました。この
東京間の通信回線の復旧工事を3月18日に行いました。
結果、2010年度の連結決算は、震災関係では200億円の
避難区域の福島第一原発から10km地点での復旧工事は、
特別損失を計上しましたが、売上高・営業利益・経常利益・
余震が続き寒さも厳しいなか地上70m超の高所作業もあり
当期純利益のいずれも期初の公表値を上回る大幅な増収
ましたが、約15時間をかけて無事復旧することができました。
増益を達成することができました。
復旧工事に携わった9名のグループ社員が身をもって示した、
2011年度は中期経営計画「12VISION」最終年度の前年
社会的責任を果たすという使命感と自らの任務を全うする
であり、その仕上げに臨むべき重要な年です。震災の影響も
強い責任感に当社グループが支えられていることを改めて
あり、国内外とも不透明な状況が続く見込みですが、当社
感じ入りました。
いかなる環境
グループでは、
SEQCDD*に一段と磨きをかけ、
当社グループの事業の中には、電力ケーブル、通信ケー
変化にも耐えうる強靭な企業体質の構築を目標に、安全・
ブルをはじめ社会インフラを支える数多くの製品があります。
環境対策をはじめ、品質向上、原価低減活動、新製品の開発・
用語
解説
3
業績について
SEI CSR Report 2011
*SEQCDD
当社グループ事業活動の基本要素( S:安全、E:環境、Q:品質、C:コスト、D:物流・納期、D:研究開発 )
拡販に取り組んでまいります。さらに伸長する新興国需要の
環境保全活動
ち上げを重点的に推進し、中期経営計画「12VISION」の
環境経営に関しましては、2011年3月に
「住友電工グル
達成に向け、グループ一丸となって邁進いたします。
ープのさらなる環境経営の推進に向けて」
というテーマで、
経営の基盤
捕捉と、環境・エネルギーなど成長分野における早期事業立
当社グループとしては第2回目となるステークホルダーダ
研究開発について
イアログを開催しました。当社グループでは早くから経営の
最重要課題の一つとして環境経営に取り組んできましたが、
さて、毎年CSR報告書では当社グループの活動を経済的
今回卓越した知見をお持ちの3名の有識者の方にお集まり
側面、環境的側面、社会的側面からご報告しておりますが、
いただき、当 社グ ル ープ の 効 果 的かつサスティナブ ルな
企業の持続的な成長・発展を支える研究開発活動を取り上
環境経営について意見交換を行いました。今回いただいた
げるには紙幅が足りないこともあり、ここ数年来特集ページ
貴重なご意見を環境経営のさらなる推進へとつなげていき
「SEI CSR EYE」の中で活動の一端をご紹介してきました。
たいと考えております。
今年度の特集では、未来の技術革新を予測することを
ミッションとして2010年1月に新設した「NEXTセンター」
の活動をご紹介しています。また、
トピックスとして、2011
年6月に当社大阪製作所内に設置し試験を開始した「マイク
ロスマートグリッド実証システム」の概要をご紹介しています。
エネルギー問題への対応策の一つとして、ますます再生可
能エネルギーの効率的な利用の重要性が増しているだけ
に、早期の実用化を目指して本実証システムによる研究開
発を加速してまいります。
第2回 住友電工グループ ステークホルダー・ダイアログ
グローバル人事ポリシー
社会貢献
本報告書のもう一つの柱は、グローバル人事ポリシーの
当社グループは本業である事業を通じて社会に貢献する
策定についてです。当社グループの事業活動は技術、市場、
ことはもとより、2007 年に制 定した「住 友 電 工グ ル ー プ
地域とも多岐にわたっており、世界30カ国以上で約18万人
社会貢献基本理念」
に則り、社会の一員として社会貢献活動
の従業員(日本国内4万人、海外14万人)が事業に携わって
に積極的に取り組んでおります。2010年2月に公益財団法
います。ご承知のとおり、現在、グローバリゼーションは新し
人として認定をいただきました住友電工グループ社会貢献
い段階を迎えており、あらゆる分野でパラダイムシフトが起こ
基金では、大学講座寄付、奨学金支給に加え、2010年度は
るなど世界の政治・経済・社会情勢は極めて不透明です。こう
学術・研究助成事業を行いました。グループ各拠点において
した状況下、当社グループが将来にわたってグローバルかつ
も地域社会との共生を目指し、清掃活動、地域行事への参加、
持続的に成長・発展し、社会に貢献していくためには、持てる
出前授業などさまざまな地域社会への貢献活動を行って
全てのリソースをフルに活用していくことが不可欠ですが、
おります。また、当社グループの社会貢献活動をご紹介す
それらを支えるのが人材に他なりません。このような当社
るブログ「スマイルリレー」
を当社Webサイトに開設いたし
グループの事業を支える人材に対する考え方(ポリシー)
を、
ました。世界各地域での具体的な活動事例を紹介するこ
グローバルに共有し、ダイバーシティに富んだ組織づくりを
とで、グループ会社やグループ社員が互いに刺激し合いな
行い、人材の活性化を推進していくため、今般「グローバル
がら、ひいてはグループ全体の地域貢献活動や企業市民
HRM(Human Resource Management)ポリシ ー」を
活動の活性化につながっていくことを期待しています。
制定し、全世界に発信していくこととしました。
この「グローバルHRMポリシー」では、当社グループの
世界中で働くあらゆる人材に対し、自己実現やキャリア機会
コンプライアンス
を提供し、ダイバーシティを推進するとともに、グローバル
最 後になりましたが、当 社は2010 年 5 月に光ファイバ
な事業展開を支えるリーダーの育成に取り組んでいくこと
ケーブル関連製品の販売に関して、公正取引委員会から
をうたっています。本ポリシーに基づく人事諸施策を推進し、
独占禁止法違反による排除措置命令等を受けました。また、
当社グループのグローバルな成長・発展を支える確固たる
自動車用ワイヤーハーネス関連製品に関しましても、同委
基盤の構築を目指します。
員会やEUおよび米国を含む海外の調査当局の調査を受け
SEI CSR Report 2011
4
ており、ステークホルダーの皆さまに大変ご心配をおかけし
ておりますことを深くお詫び申し上げます。
当社はこれらの事態を厳粛かつ深刻に受け止め、競争法
コンプライアンスを最重要の課題と位置付けて、2010年
6月に競争法コンプライアンス規程を制定し、また専任組織
を新設するなど違反行為の根絶と再発防止に向けて抜本的
な体制の強化を図りました。
引き続き不退転の覚悟をもって、公正な企業活動の実践
に真摯に取り組んでまいります。
おわりに
当社グループは、400年余の歴史と伝統を有する
「住友
事業精神」
を受け継いでおり、これまでに幾多の艱難辛苦を
乗り越え発展してきました。今後も、絶対的基盤であるコン
プライアンスと企業倫理の堅持を肝に銘じ、ステークホルダ
ー の 皆 さ ま を はじ め 社 会 から 信 頼 さ れ る
「Glorious
Excellent Company」の実現を目指して事業を展開して
いく所存です。
引き続き皆様のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い
申し上げます。
住友電気工業株式会社 社長
「 Glorious Excellent Company 」構想について
“Glorious”とは、社 会から信 用、信 頼され、
尊敬されるということ
(定性的なあるべき姿)
で
あり、
“Excellent”は売上高や利益、収益力など
成長
ポートフォリオ
5事業分野
第二次5 ヵ年計画
2012年度目標
・連結売上高3兆円
・連結営業利益2,100億円
・連結ROA10%
自動車
産業素材
情報通信
営業企画
コーポレートスタッフ
製造
すなわち、
「Glorious Excellent Company」
構 想とは、① 住 友400年 の 歴 史を支えてきた
「住 友 事 業 精 神」
とそ れに基 づ き 制 定 された
「住 友 電 工グ ル ープ 経 営 理 念」を事 業 活 動 の
研究開発
エレクトロニクス
業績が優れているということ
(定量的なあるべ
き姿)
です。
基盤として、② これらの基本精神をしっかり受け
電線・機材・エネルギー
継ぐ人 材を育 成し、③ 研 究 開 発、製 造、営 業・
企画の3部門と、それらをサポートするコーポ
レートスタッフ部門が一体となり、
④ 5つの事業
●
●
第一次5 ヵ年計画
成長戦略
Global Presenceの向上
Top Technologyの強化
(Global Best3作戦)
分野において、
「グローバル・プレゼンスの向上」
「トップ・テクノロジーの強化」を基軸とする成
2007年度目標
(当初)
・連結売上高2兆円
・連結営業利益1,200億円
・連結ROA8%
達成
人材育成
(SEIユニバーシティ)
住友事業精神
住友電工グループ経営理念
長 戦 略 の 実 行 により、中 期 経 営 計 画 で あ る
「12VISION」、さらにその先のパラダイムシ
フトへ の 対 応 も 見 据 え策 定 中 の 新 中 期 経 営
計画における目標を達成し、グループ全体の
持続的な成長発展を目指すものです。
5
SEI CSR Report 2011
東日本 大 震 災 へ の 対 応について
関係者の多大なるご尽力により阪神・淡路大震災を乗り越えた経験を踏まえ、このたびの震災対応にあたっています。
事前準備∼事業継続計画(BCP)∼
復旧対応
住友電工では、阪神・淡路大震災での被災経験を踏まえ、
●
当社グループの総力を結集し、被害を受けた拠点の復旧に
防災対策を通じて、大規模地震等、災害への備えを強化して
あたりました。具体的には、被害状況の確認と復旧計画の
きました。その後、2008年度に、従来の防災対策に加え、
見積りを実施し、西日本の拠点に勤務する設備設計部門、
災害発生時でも事業を継続させ、また、万一中断した場合
設備保全部門が現地支援に向かいました。
でも迅速に復旧させる方策として、事業継続計画(BCP)を
●
計画停電や、生活物資不足もあるなか、社員も献身的に
事業部門ごとに策定し、継続してBCPのブラッシュアップを
復旧活動に従事し、4月末には一部を除き、概ね生産活動
進めてきました。
が復旧できる状況となりました。
事業継続に関する住友電工グループの基本方針
① 人命の安全確保
顧客、従業員、取引先、地域住民など、人命の安全確保
を最優先とする。
復興支援
●
福島第一原発への支援
当社グループの社員が、東京電力本店と福島第一原発を
結ぶ通信回線の復旧作業に従事しました
(3月18日)。
② 製品・サービスの安定供給
社会に必要な製品・サービスを安定して供給し、供給
責任を果たす。
経営の基盤
東北、関東、その他各地で甚大な被害をもたらしたこの度の東日本大震災においては、当社グループにも一定の影響がありましたが、
●
被災地のインフラ復興への支援
当社グループは社会インフラを支える送電用ケーブル、
通信ケーブルおよびその関連製品の製造を中核事業の
③ コンプライアンスと企業の社会的責任の重視
一部としており、これら製品の納入こそ当社グループの
コンプ ライアンスを重 視 するとともに「住 友 の 事 業
精神」、
「住友電工グループ経営理念」及び「住友電工
グループ企業行動憲章」
を踏まえて行動することにより、
企業の社会的責任を果たす。
社 会 的 使 命と考えています。こうした当 社グ ル ー プ の
納 入 協 力 に 対し、7月に(株)エヌ・ティ・ティ・ドコ モ 様、
KDDI(株)様より感謝状をいただきました。今後も引き
続き当社グループ製品を可能な限り安定供給し、微力な
初動対応
がら震災復興に貢献したいと考えています。
●
電力不足への対応
当社では、災害対策用の専用回線により、社内での通信
夏季の電力不足への対応として、操業時間の調整による
手段が早期に確保できたため、地震発生直後に全社対策本
日中の電力使用のピークシフトや、休日および夏季連休の
部(大阪本社)
を立ち上げ、社内および当社グループ各拠点
振替による電力使用量の抑制に加え、オフィスにおいても
をTV会議システムおよび電話会議システムで接続し、情報
可能な限りの節電対策を進めています。
交換・共有を図りました。
●
初動対応においては、基本理念に則り、社員およびその
家族の安否確認を実施しました。
●
大きな揺れのあった拠点では、定期的に実施される防災
訓 練 の 際と同 様、自らの 安 全 確 保、指 定 避 難 場 所 へ の
その他
●
ほか、当社役員による義援金550万円、当社社員による
避難などがスムーズに実施できました。
寄付に当社マッチング拠出を合わせた義援金約 2,200
万円、さらに当社各拠点で募りましたグループ社員や協力
被害状況
● この度の地震においては、
津波による被害が甚大でありま
したが、当社グループには津波による直接的な被害はあり
●
会社社員などによる義援金約390万円を寄付しました。
●
支援物資
当社グループでは、被災地支援として、行政窓口を通じて
ませんでした。
当社の防災備蓄品のなかから、防災食、乾電池を被災地
人命についても、当社グループの社員本人については無事
へ送付しています。
が確認できましたが、残念ながら、一部の社員のご家族・
ご実家等に被害がありました。
●
義援金
当社は日本赤十字社などに義援金として2億円を寄付した
当社グループの拠点では、震度6強を記録した電子ワイ
●
人的支援
当社はボランティア休暇制度により、社員によるボラン
ティア休暇を推奨しており、このたびの震災におきまし
ヤー部門を中心とする鹿沼地区や清原工業団地(ともに
ても、社員個人による被災地でのボランティア活動を推奨
栃木県)の拠点では、建屋・設備に大きな被害を受けました。
しています。
SEI CSR Report 2011
6
基本的価値軸
住友事業精神
も んじゅい んしい が き
住友事業精神は、住友家初代・住友政友(1585∼1652年)が晩年にしたためた商いの心得である
「文殊院旨意書」を源流
とし、住友の銅事業を中心とする歴史の中で脈々と受け継がれ、深化を遂げてきました。その核心部分が明治時代(1891年)
に
成文化されたものが『営業の要旨』です。それに加えて、住友歴代の経営者が残した言葉や経営上の決断という形で伝えられ
てきた信条や信念が一体となったものが住友事業精神であり、コンプライアンスやCSRの考え方に通底する先駆的な理念は、
住友グループの共有財産としてしっかりと受け継がれています。
営業の要旨
●
第一条 我が住友の営業は、信用を重んじ確実を旨とし、
きょう こ りゅうせい
以てその鞏固隆盛を期すべし
第二条 我が住友の営業は、時勢の変遷、理財の得失を計り、
し ちょうこうはい
いやしく
あったように、技術を大切にし、新技術の開発にも積極的に取り組む
経営姿勢は、住友の事業発展の原動力といえます。
●
いえど
弛張興廃することあるべしと雖も、
はし
苟も浮利に趨り、軽進すべからず
技術の重視
住友の銅事業の源流が「南蛮吹き」
という当時最先端の精錬技術に
人材の尊重
「事業は人なり」
と言われるように、企業の将来は一人ひとりの能力に
かかっていると言っても過言ではありません。人間尊重に立脚した
優秀な人材の発掘と育成は、住友の伝統として、住友電工グループに
信用確実
(しんようかくじつ)
受け継がれています。
企画の遠大性
第一条は、住友の事業の基盤が何よりも「信用と堅実性」
にあること、
●
言葉をかえれば、
「常に相手の信頼に応える」
ことにあるということを
住友の事業が長期的・継続的な視点を要する銅山経営を根幹にしてい
謳っています。
たことに由来する精神で、将来を見据えた長期的な視点、国家・社会
不趨浮利(ふすうふり)
全体の利益という大所高所の視点は、歴代の経営者に一貫して受け
継がれてきた精神です。
第二条は、社会の変化に迅速・的確に対応して適正利潤を追求する
ために常に事業の興廃を図る積極進取の姿勢が重要であることを
●
自利利他、公私一如
明確にした上で、
「浮利を追って軽率、粗略に行動する」
ことを戒め
「住友の事業は住友自身を利するとともに、国家を利し社会を利する
ています。
『浮利』
とは、
「目先の利益や安易な利益追求」のことで、
底の事業でなければならぬ」
という明治期の住友総理事の言葉に
「道義にもとる不当な利益」の意味も込められており、改めて信用と
確実の大切さを謳っています。
代表されるように、常に公益との調和を図る経営姿勢も住友の伝統
であり、その根底には「社会への報恩」の精神があります。
文殊院旨意書
住友政友は、天正13年(1585年)、越前・丸岡(福井県坂井市丸岡町)
に
武 家 の 二 男として生まれ、12 歳で京 へ 上り出 家しました。非 常に聡 明で
「文殊菩薩」になぞらえて「文殊院」
という称号を受けたほどです。その後、
還俗し京都で書物と薬の店を開いたことが住友家の始まりです。僧籍を離れ
ても教えを請う人は多く、篤い信仰心に基づく教えは人々の尊敬を集めま
した。このように初 代 が 誰からも尊 敬される崇 高 な 僧 侶であったことに
住友の大きな特長があります。その文殊院(政友)が家人に対して商売の
心得を分かりやすく説いたのが「文殊院旨意書」です。
萬事入精(ばんじにっせい)
「文殊院」住友政友像 ※
政友が営んでいた薬舗の看板 ※
文殊院旨意書は5カ条からなり、17世紀当時の京都の不安定な世相を
反映した心得が認められていますが、前文の言葉「商事は云うに及ばず候え
ども、万事情(精)に入らるべく候」は、商売は勿論のこと、すべてに心を込め
細かいところまで気を配ること、すなわち、何事に対しても誠心・誠意を尽く
すことを諭しています。この「萬事入精」の教えが脈々と受け継がれ、住友で
は一人ひとりが単なる金儲けに走ることなく、人間を磨き人格豊かに成熟
することが求められてきたのです。そこには誠実で慎重な努力を続け、人格
形成を促す格調の高い教えが示されています。
住友電工グループでは、
「信用確実」
「不趨浮利」
とともに、この「萬事入精」
を住友事業精神を表すキーワードとして位置づけています。
文殊院旨意書 ※
※ 住友史料館所蔵
7
SEI CSR Report 2011
住友電工グループでは、1997年の住友電工創業100周年を機に
「住友事業精神」を踏まえつつ、経営の基本精神としての
経営の基盤
住友電工グループ経営理念
住友電工グループ経営理念を制定しました。この経営理念は、当社グループが重視すべきステークホルダーである
「顧客」
「株主」
「 社会」
「 環境」
「 従業員」に対する当社グループの基本姿勢を示すとともに、コンプライアンスの重要性と信用の大切さ
を謳っています。
住友電工グループは
●
顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します。
●
技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます。
●
社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します。
●
高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します。
●
自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます。
住友電工グループ企業行動憲章
“Glorious Excellent Company”を実現するためには、当社グループの役員、社員一人ひとりが、
「住友事業精神」
と
「住友電工グループ経営理念」を踏まえて、業務を遂行していく必要があります。そこで、これらの理念を実現するためにいか
に行動すべきかを、より具体的に分かりやすく示したグループ共通の行動規範として、
「住友電工グループ企業行動憲章」
を
2005年9月に制定しました。
1. 優れた製品・サービスの提供
社会的に有用かつ安全で、品質・コスト等あらゆる面でお客様に
満足していただける優れた製品・サービスを提供します。
● 7. 社会の一員としての自覚ある行動
より良い社会の実現に向けて、社会の一員としての自覚をもって
行動するとともに、広く社会に貢献します。
● 社会の秩序と安全に脅威を与える反社会的勢力とは断固として
対決します。
● 2. オリジナリティのある新事業・新製品の開発
● お客様のニーズを把握し卓越した独創性を発揮して、オリジ
ナリティがあり、かつ収益力に優れた新事業、新製品の開発に
努めます。
8. 国際社会との協調
それぞれの国・地域の文化・慣習を尊重し、経済・社会の発展に
貢献します。
● 3. グローバルな事業展開とグループ全体の成長・発展
● 常にグローバルな視野で事業を行い、グループ経営のダイナミ
ズムを活かしてグループ全体の絶えざる成長・発展を図ります。
4. 地球環境への配慮
● 9. 働きやすい職場環境の構築と人材の育成
● 従業員の人格と個性を尊重し、自己実現に資するキャリア形成や
能力開発を支援します。
● 地球環境保全について自主的、積極的に行動し、持続可能な
社会の構築に貢献します。
5. 法令の遵守
10. 適切な情報開示とコミュニケーションの促進
株主はもとより、各ステークホルダーに対して企業情報を適切に
開示します。
● 国内外の法令、規則を厳守し、正々堂々と行動します。
● 6. 公正、適正な企業活動
人 権を守り、安 全 第 一を基 本に健 康で活 力 ある職 場 環 境を
構築します。
広報、広聴活動等を通じて、社会とのコミュニケーションの促進
に努めます。
● 公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行います。
● SEI CSR Report 2011
8
会社・事業概要
会社・事業概要
商 号
住友電気工業株式会社
住友電工の事業は、住友本店が1897年に住友伸銅場を
創 業
1897(明治30)年 4月
設 立
1920(大正 9 )年12月
社 長
松本 正義
株 式 会 社 化を経て、1939年に現 在 の 社 名になりました。
資 本 金
99,737百万円(2011年3月31日現在)
創業以来110余年、電線・ケーブルの製造技術をベースと
本社所在地
大阪市中央区北浜4丁目5番33号
開設し、裸銅電線の製造・販売を開始したことに始まります。
その後、急速に拡大するわが国の電気事業を支えるため
1911 年 住 友 電 線 製 造 所として分 離・独 立し、1920 年 の
する独自技術の開発と新規事業へのあくなき挑戦を続け、
現在では、自動車、情報通信、エレクトロニクス、電線・機材・
エネルギー、産業素材の5つの分野において社会や産業の
基盤を支える事業を多角的に展開しています。
売上高(連結)
(億円)
23,844
25,000
25,409
21,220
18,364
20,000
2010年度の業績
2010年度の日本経済は、輸出や設備投資の増加により、
上半期はプラス成長となったものの、下半期は個人消費の
20,338
15,000
10,000
5,000
0
減速と円高の進行によって景気は弱含む展開となり、さらに
2006
2007
2008
2009
2010
(年度)
2011年3月には東日本大震災という国難にも直面しました。
一方、世界経済は、新興国の成長に牽引されて回復基調と
なりましたが、下 半 期からは資 源 価 格 の 高 騰や新 興 国に
おけるインフレの 懸 念に加え、地 域 紛 争 の 激 化や欧 州 の
財政危機の拡大など新たな不安材料を抱える状況となり
ました。
住友電工グループを取り巻く事業環境としても、自動車
関連を中心にグローバルな需要の回復・拡大が継続しまし
当期純利益(連結)
(億円)
1000
878
760
800
706
600
400
287
172
200
0
たが、国内需要の低迷と年央からの急速な円高により、内需
2006
2007
2008
2009
2010
18,682
19,399
19,563
(年度)
および輸出関連は一段と厳しさを増す状況となりました。
また東日本大震災により当社グループの拠点も生産設備の
一部に損傷を被りましたが、影響はこうした直接的損失にと
どまらず、顧客・仕入先の操業停止による受注・生産の停滞
総資産と純資産(連結)
(億円)
24,000
21,264
21,949
20,000
など間接的損失にも及び、さらに今後電力エネルギーの
16,000
使用量制限により、生産への影響が懸念されています。
12,000
当社グループは、グローバルな需要の捕捉に向け、営業力
8,000
の一層の強化を図るとともに、徹底したコスト低減や新技術・
4,000
0
新製品の開発・拡販に注力しました。東日本大震災によって
2006
総資産
被災した拠点については、迅速に生産ラインを復旧し稼働
11,282
10,530
2007
10,141
2008
10,646
2009
10,926
2010
(年度)
純資産
を再開しましたが、加えて今後のサプライチェーン強化に
向けた資材調達のマルチソース化や、電力などエネルギー
供給が制限された場合に備えた生産ラインの再構築を進め
*
自己資本当期純利益率(ROE) 使用資本(注)営業利益率(ROA)
(%)
9.8
10
8.9
ています。
8
8.8
この結果、当期の連結決算は、売上高2,033,827百万円、
6
営 業 利 益103,810百 万 円、経 常 利 益は129,099百 万 円、
4
当 期 純 利 益 は、東 日 本 大 震 災 に 関 連して 計 上した 災 害
2
損 失8,845百 万 円や減 損 損 失11,336百 万 円 等を含めて
70,614百万円と、前期比で増収増益となりました。
7.6
9.5
7.3
3.6
1.9
3.3
1.6
0
2006
ROE
ROA
2007
2008
2009
2010
(年度)
(注)使用資本=総資産−無利子負債
用語 *ROA
解説 「ROA」はReturn On Asset の頭文字で、使用した資本に対してどれだけの効率で利益を
9
SEI CSR Report 2011
あげたか、という指標。当社の計算式は、営業利益/使用資本( 総資産−無利子負債)
グローバルな事業展開
現在、住友電工グループは、連結対象会社が日本・アジア・アメリカ・欧州を中心に世界30数カ国に325社を数え、従業員数
では18万人を超える企業グループです。私たちは、優れた製品やサービスの提供はもちろんのこと、それぞれの国・地域の
文化や慣習を尊重し、社会に調和した企業活動を通じて経済・社会の発展に貢献することを目指しています。
[連結対象会社内訳]2011年3月末現在
連結子会社(284社) 持分法適用非連結子会社(3社) 持分法適用関連会社(38社)
325社
事業概要
連結対象会社 計
● 製造・工事等(社) ● 総合・販売等(社)
EUROPE
36
社
117
ASIA
イギリス
●●
●●●●
シンガポール
●●●●●●
ドイツ
●●●●
●●
タイ
●●●●●●●●●●
●●●●
ポーランド
●●●●●●
マレーシア
●●●●●
スロバキア
●●
インドネシア
●●●●●●●
ハンガリー
●●●
フィリピン
●●●●●●●
●●●
イタリア
●
ベトナム
●●●●●
オランダ
●
中国
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●
●●
香港
●
●●●●
台湾
●●●
●●
韓国
●●●
●
インド
●●●●
●
ルーマニア
●●
スペイン
●
トルコ
●
●
ポルトガル
●
ブルガリア
●
ウクライナ
●●
ベルギー
●
ロシア
●
AFRICA
南アフリカ
●
モロッコ
●●●
チュニジア
●
エジプト
●
6
社
地域別売上高(連結)
社
AMERICA
アメリカ
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●
カナダ
●
メキシコ
●●●●
●●
ブラジル
●
●
住友電工グループ従業員数
社
39
社
各年度3月末現在の人数
200,000
日 本 11,435
2010年度
合計
20,338
(億円)
米州 2,399
3
●●●
124
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●
●
(人)
欧州 他 1,993
アジア 4,511
JAPAN
日本
OCEANIA
オーストラリア
社
160,000
182,773
153,725
152,547
157,203
2007
2008
2009
133,853
120,000
80,000
40,000
0
2006
2010
(年度)
※ 住友電工および連結子会社
SEI CSR Report 2011
10
事業紹介
住友電工グループの歩み『時代の変遷、
理財の得失を計る』
銅電線から始まった住友電工の電線・ケーブル事業は、電力用ケーブル、通信用ケーブルへ進展し、さらに、巻線、自動車用ワイヤー
ハーネス、情報機器等向け電子ワイヤーへと、社会の発展に応じて各分野で事業を拡大してきました。一方、その電線・ケーブルの製造
技術をベースに、当社は早くから事業の多角化にも取り組み、1931年に超硬合金工具、翌年には特殊金属線の製造を開始し、非電線
分野への力強い一歩をしるしました。さらに、1960 年代以降「非電線部門の比率 50%」を目標に多角化を加速し、化合物半導体、
光ファイバ、人工ダイヤモンド、高温超電導など次々と画期的な製品・技術を世に送り出し、時代潮流の変化を底支えして
きました。独自技術の開発と新規事業へのあくなき挑戦を続けてきた住友電工グループは現在、
自動車、エレクトロニクス、電線・機材・エネルギー、情報通信、産業素材の
8
4
3
6
9
1
9
1
1
9
6
2
1
9
6
1
6
7
9
1
1
9
5
9
4
8
9
4
1
9
1
9
4
4
1
9
1
9
6
3
1
4
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1
9
3
2
1
1
9
3
9
1
9
1
9
1
3
1
0
2
6
1
1
1
9
9
1
1
9
0
8
0
0
9
0
1
9
1
6
交通管制システム事業に進出
電子線照射電線 製造開始
ディスクブレーキ 製造開始
本社を大阪市此花区から現在地
︵大阪市中央区︶
に移転
電子線照射チューブ
﹁イラックス®チューブ﹂製造開始
四輪車用ワイヤーハーネスを初納入
横浜製作所 開設
国産初のテレビ放送用アンテナを納入
架空送電線工事部門に進出
焼結製品 販売開始
東京支店
︵現東京本社︶開設
防振ゴム、燃料タンク 製造開始
伊丹製作所 開設
SEI CSR Report 2011
﹁住友電気工業株式会社﹂︵現社名︶
に改称
11
特殊金属線 製造開始
History
超硬合金工具
﹁イゲタロイ®﹂製造開始
﹁株式会社住友電線製造所﹂
設立
︵会社の設立︶
新工場
︵現大阪製作所︶開設
エナメル線 製造開始
国産初の高圧地下送電線ケーブル
︵ 11,000V
︶
を納入
﹁住友電線製造所﹂
設立
︵会社の創立︶
通信用ケーブル 試作開始
電力用ケーブル 製造開始
被覆線 製造開始
﹁住友伸銅場﹂
開設︵会社の創業︶
1
8
9
7
5つの分野でグローバルな事業活動を展開しています。
自動車
安全・快適・環境に優しいクルマ社会を支える
20世紀になって急速かつ高度な発展を遂げたクルマ社会。今や自動車には安全かつ快適
な生活空間としての役割に加えて、地球環境を配慮した性能も求められています。住友
電工グループは、ワイヤーハーネスや自動車用部品・システムの開発を通じて、時代が
求める理想のクルマ社会の実現に向けてグローバルに貢献しています。
防振ゴム
フレキシブルプリント回路
化合物半導体
事業概要
ワイヤーハーネス
エレクトロニクス
エレクトロニクス産業の進化を支える
私たちの暮らしの隅々にまで行きわたっているエレクトロニクス製品。小型軽量化と高機
能化がエレクトロニクス時代のキーワードです。住友電工グループは、電子ワイヤー、
FPC、化合物半導体、フッ素樹脂製品など、独自の材料技術を活かした多彩な製品群で
エレクトロニクス社会の発展を支えています。
電線・機材・エネルギー
エネルギーの安定供給を支える
東日本大震災で改めて電力の安定供給の重要性が注目されています。住友電工グループ
は、創業以来、送配電用電力ケーブル、鉄道用トロリ線、家電製品や自動車等に組み込ま
れている巻線など、エネルギー伝送分野のさまざまな局面において社会の基盤を支え
続けています。今後とも高温超電導やスマートグリッド関連技術で時代をリードします。
ビスマス系超電導ケーブル
超極細巻線
情報通信
ICT社会の発展を支える
インターネットや携帯電話の普及により社会は劇的な変化を遂げつつあります。住友電工
グループは、独自の技術力と電話の普及期から情報通信に携わってきた豊富な実績とノウ
ハウをベースに、いち早く光通信時代を切り拓くとともに、各種ネットワーク製品や交通
管制などのシステム製品を通じて、ICT社会の発展をリードしています。
多心光ファイバケーブル
WiMAX組込用通信モジュール
切削工具
弁ばね用オイルテンパー線
産業素材
幅広い技術で産業の根幹を支える
電線・ケーブルの製造を通じて蓄積した独自技術により産み出された粉末合金製品、焼結
製品、特殊金属線などの産業素材製品が、自動車・家電製品をはじめさまざまな産業分野
0
9
0
1
0
2
2
0
2
2
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0
7
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7
1
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1
1
1
9
9
7
6
0
9
支える部材として幅広く活躍しています。
8
で機械加工用工具や機械部品として、あるいは高速道路や橋梁といった社会インフラを
研究本館 WinD Lab 開設
SEIオプティフロンティア発足
住友電工デバイス・イノベーション発足
すみでんフレンド設立
︵特例子会社︶
テクニカル・トレーニング・センター 開設
住友電装の完全子会社化
日新電機の連結子会社化
超電導ケーブル 米実用送電路にて送電開始
アライドマテリアルの完全子会社化
住友電工ハードメタル
︵粉末合金・ダイヤ製品事業︶営業開始
住電日立ケーブル
︵建設・電販向け電線事業︶営業開始
住友電工ウインテック
︵巻線事業︶営業開始
住友電工ネットワークス
︵ネットワーク機器事業︶営業開始
住友電工スチールワイヤー
︵特殊金属線事業︶営業開始
ジェイ・パワーシステムズ
︵高圧電力用電線事業︶営業開始
住友電工ファインポリマー
︵高分子機能製品事業︶営業開始
エコロジー電線・ケーブル 開発・発売
カラットのダイヤモンド単結晶の合成に成功
1.2
酸化物系高温超電導線材の長尺化技術 開発
世界最大級
光LANシステム初納入
世界初の双方向光CATVシステム﹁Hi︲OVIS﹂
を納入 運用開始
ナイジェリア大規模通信網工事 受注
イラン送電線工事 受注
光ファイバケーブル 製造開始
関東製作所 開設
化合物半導体 製造開始
海外に初めての製造拠点新設
フレキシブルプリント回路
︵FPC︶開発開始
SEI CSR Report 2011
12
SEI
CSR
EYE
「技術の重視」の精神が事業発展の 事業の多様性から生まれる
オリジナリティあふれる新技術の研究開発
研究組織体制
環境・エネルギー・資源
住友電工では、研究開発こそが企業の持続的発展のエンジ
ライフサイエンス
水ビジネスプロジェクト
ライフサイエンス開発室
ンであるとの信念に基づき、独自の新製品・新技術を開発し、
解析技術研究センター
社会に役立つ製品・技術・サービスを提供してきました。
住友電工グループの現在の事業ポートフォリオは、自動車、
情報通信、エレクトロニクス、電線・機材・エネルギー、産業
素材の5分野です。これらは、当社グループがこれまで蓄積
してきた独創的な技術開発力を発揮し、社会の発展に貢献
できる事業分野であり、同時に、経営資源の最適配分により
安心安全・ユビキタス
情報通信研究所
NEXTセンター
自動車技術研究所
材料技術研究開発本部
情報通信研究開発本部
研究統轄部
産業素材材料技術研究所
光通信研究所
パワーシステム研究所
エレクトロニクス・材料研究所
当社グループの持続的成長を可能とする戦略的分野でもあ
伝送デバイス研究所
半導体技術研究所
ります。
こうした事業ポートフォリオを技術開発面で支えるのが
海外拠点
研究開発であり、企業を取り巻く環境が大きく変化する中に
Innovation Core SEI,Inc
あって、新製品開発、新規事業育成を通じてグループの成長
に寄与するという研究開発部門の果たすべき役割はますます
重要になっています。
新しい事業領域への発展を目指して
住友電工グループの研究開発費の推移
(億円)
800
700
「12ビジョン」
では、
「2012年度の売上高新製品比率30%」
を目標として掲げています。
この目標を達成するためには、従来の事業分野での新製品
開発に加えて、当社グループのコア技術を活用した新規事業
領域の開拓が不可欠です。研究開発本部では、
「ライフサイ
エンス」、
「環境・エネルギー・資源」、
「安全安心・ユビキタス」
の3分野を重点領域に設定して研究開発に取り組んできて
います。
600
500
790
684
38
38
77
723
41
69
730
723
40
41
72
産業素材他
電線・機材・エネルギー
54
エレクトロニクス
96
76
79
71
56
122
120
134
175
409
414
389
375
200
0
2006
2007
2008
開発し、食品、製薬、医療等の分野への製品展開を進めています。
環境・エネルギー・資源
近赤外線を用いた分析システム
(Compovision®)
バラスト水の処理装置、海水淡水化関連装置の実用化に向けて開発
を進めています。また、再 生 可 能エネル ギーや 農 業 の 工 業 化、
希少資源の有効利用などの研究開発にも取り組んでいます。
安全安心・ユビキタス
ブロードバンド通信を支える光通信・無線通信・端末機器に関す
る技術を活用し、自動車交通をはじめ、安全安心・ユビキタスを
SEI CSR Report 2011
451
自動車
100
従来なかった近赤外分光イメージング装置(Compovision ®)を
13
情報通信
300
ライフサイエンス分野では、情報通信で育んだ技術を活用して、
実現するシステム製品の研究開発を進めています。
171
400
ライフサイエンス
環境・エネルギー・資源の分野では、水資源に着目し、船舶の
42
フッ素樹脂(ポアフロン ®)
を用いた水処理装置
2009
2010
(年度)
住友電工グループは、Glorious Excellent Companyの実現に向けて、研究開発とその成果の事業化
原動力
推進に取り組んでいます。特に当社グループの重要な事業領域であるエネルギー分野、情報通信分野、
自動車分野で大きな変化が生じつつあり、このような社会変化を捉え、将来社会が必要とする製品や
サービスを創出するための研究開発活動を開始しています。
図1
NEXTセンターのミッション
将来ビジョンから設計
■ 急激に変化する社会環境に対応していくために
Backcasting
■ 長期的・マーケット志向の研究開発を
進めるために
ありたい姿
2
30年後の
世の中
長期視点(∼30年)
で社会ニーズに応える
研究開発
● 当社事業の根幹を成す大型新事業の創出
●
外部環境分析
ため、2010年1月に研究開発本部内にNEXTセンターを新設
しました。
NEXTセンターでは、国内外の有識者や先端的な研究機関
内部環境分析
社会変化
コア技術
ポテンシャル
● 事業
ポテンシャル
●
社会・経済動向
● 技術動向
●
進行しています。こうした経済・社会の大規模かつ劇的な変動
に対応し、当社グループの将来的な事業の方向付けを行う
1
新領域の創出
リーマンショック後、あらゆる分野でパラダイムシフトが
事業概要
■ 大型新技術・新製品を創出するために
今後の社会変革をリードする
技術革新とNEXTセンター
技術革新
などと協力連携し、社会変化と先端技術動向に関する議論を
進め、30 年 先 の 未 来 社 会 の あるべき姿を予 測し、そこに
至るまでに必要となる革新技術や当社の事業の変化を想定
社外有職者
現在の社会
将来(30年後)
に亘る外部トレンド分析と、社内
の事業/技術ポテンシャル分析の両輪に、社外
有職者の知見を加え、当社が向かう新領域を
定める。
《Backcasting》
理想とする将来ビジョンを設定
してそこから現在に戻り、ビジ
ョン達成のために必要な戦略を
立てる。
しています(図1)。
具体的には、将来にわたって生じる大きな社会変化のキー
ワードを5つ抽出し
(図2)
、社会に変革をもたらすような大き
な変化は一つないし複数のキーワードに関連して発生すると
考えています。分かりやすい例でいえば、スマートグリッド*
は「エネルギーとコミュニケーションの重なる領域」
における
図2
社会の変化を捉える5つのキーワード
変化、また、自動車の軽量化や電気モータ化などは「エネル
ギーとモビリティの重なる領域」
で生じている変化として捉え
keyword
ることができます。
エネルギー
1
keyword
4
5
モビリティ
2
コミュニケーション
3
6
8
keyword
7
技術を先行して研究開発することで、社会的課題を解決する
イノベーションを生み出し、当社グループの将来の軸となる大型
新事業を創出していくことがNEXTセンターのミッションです。
10
keyword
これらの社会変革につながるような大きな変化を左右する
keyword
9
コミュニティ
エネルギーの高効率利用社会の実現を目指して
ヒューマン
現在、NEXTセンターが特に着目しているのは
「都市」
です。
❶ エネルギー効率…省エネ、低燃費
❼ 地域間紛争、安全保障
都市は5つのキーワードが重なり合う領域であり、いずれの
❷ マイクログリッド、資源地理的偏在 ❽ パーソナル/パブリック、交通渋滞
❸ 食糧・水、エコライフ
❾ カルチャー、セキュリティ、
福祉、医療
❹ グリーンIT、モバイル電源
プライバシー、インターフェイス、
五感
❺ 交通管制、居ながらにして⇔移動
❻ バリアフリー、
「交通権」
観点からも大きな変化が生じつつある場所です。NEXTセン
ターでは、さまざまな発展過程にある世界の各都市が将来に
わたり変化していく姿を描くことを通じて、電力システム、
情報通信システム、交通管制システムなど豊富な基盤技術を
有する当社グループが新しい都市インフラの創出に寄与する
スマートグリッドの概念図
コントロール
センター
メガソーラ
ウィンドファーム
可能性を多面的に検討しています。
PV
中小型PV、
風力
大型負荷
(エアコン、冷蔵庫等)
EV
EMS
サーバ
モニター
ヒートポンプ
給湯器
特にスマートグリッドにおいては、太陽光発電や風力発電
などの発電装置や電気自動車への給電システム、需要調整に
用いる二次電池など多様な機器の制御を行う必要があり、
情報通信技術を活用した統合システムの構築が重要です。
次ページではスマートグリッドに関する一つの研究成果と
蓄電池
して、これらの機器を実際に接続して全体を制御する未来型
電力ネットワーク
「マイクロスマートグリッド実証システム」
に
発電
用語
解説
送電
変電
配電
消費、分散電源
ついてご紹介します。
*スマートグリッド
人工知能や通信機能を搭載した計測機器等を設置し、電力の流れを供給側・需要側の
両方から自動的に調整する機能を持たせることにより、最適化できる送電網
SEI CSR Report 2011
14
SEI
CSR
EYE
再生可能エネルギー活用のための未来型電力ネットワーク
「マイクロスマートグリッド実証システム」
I
D
E
E
A E
B
G
F
E
H
C
A スマート分電盤
B スマートタップ
C 結晶Si太陽光発電
電力計測機能と通信機能を備えた分電盤。
分岐した各電力線のデータを中央制御サーバ
に送ります。
電力計測機能と通信機能を備えた電源タップ。
計 測した電 力 消 費 量を中 央 制 御サ ーバ へ
送り、その指示に基づきスイッチのON/OFF
を行います。
家庭での設置を想定した規模の太陽光発電
装置。パワーコンディショナー系統連系試験
環境構築です。
E パワーコンディショナー
F EV充電ステーション
G レドックスフロー電池
太陽光や風力で発電した電力を交流に変換し、
超電導自動車および一般電気自動車
(EV)
を
対象とした充電器を設置しています。
電力ネットワークの需給バランスを維持する
ために、電気の出し入れを行う蓄電池。メガ
ワット級の蓄電池として期待されています。
電気製品に品質の安定した電力を供給します。
「DC/DCコンバータ」
「DC/双方向コンバータ」
*の3種類があります。
「DC/ACインバータ」
15
SEI CSR Report 2011
E
住友電工が2010年1月に開設したパワーシステム研究所では電力エネルギー
技術と情報通信技術を統合した、電力インフラシステムの研究開発を行っています。
開設以来「スマートグリッド」の研究開発を進めており、2011年6月にはそのひとつ
が稼働!
の成果として「マイクログリッド実証設備(Project-W)」を発表し大阪製作所内に
おいて実証実験を開始しました。今後、再生可能エネルギーの活用に不可欠なシス
テムとして期待される未来型電力ネットワークの概要をご紹介します。
電力の流れを供給側、需要側の双方から制御する
“賢い電力ネットワーク”の構築。
事業概要
スマートグリッドの「マイクロ」
で
「インテリジェント」なパッケージ。
昨年ご紹介したスマートグリッド*は、再生可能エネルギーの活用が急務となった
現在の日本において、注目度を増しています。今回私たちが開発したのは、スマート
グリッドの研究を実用化に向けてさらに一歩進めた「マイクロスマートグリッド実証
システム」
です。これは太陽光発電装置と小型風力発電装置、電力貯蔵用の小型電池
やパワーコンディショナーなどの制御機器を、総長1kmの直流(DC)電力ケーブルで
連結した非常にコンパクトな電力ネットワークです。エネルギー源は製作所内で得ら
れる太陽光と風力のみ。自然由来の不安定なエネルギーの発電量と消費量を監視・
制御し、その変動を蓄電池で吸収するエネルギーマネジメントシステム
(EMS)
により、
効率的で安定的な電力利用を実現しています。
また
「DC Link」
という直流連系方式を採用したことも特徴のひとつ。直流/交流の
変換によるエネルギーロスやケーブルの送電ロスを低減し、EMSと直流連系方式に
より約10%程度の省エネ効果を見込んでいます。コンパクトではありますが、今回の
I
小型風力発電
システムには当社独自の通信技術や制御技術、そして安全性能が凝縮されています。
商用電力系統から独立した、再生可能エネルギー安定利用のための電力システムの
ひな形とも言え、発表以来大きな反響をいただいています。実際に発電した電力は
製作所内の一部の照明や電化製品、EV充電ステーションの電力として活用されてい
ます。今後、さまざまな気象条件と発電量の関連性を含めてデータを蓄積、解析し、
本システムの有効性を約一年かけて実証する予定です。
D 集光型太陽光発電
(CPV)
高効率の小型化合物半導体セルに太陽光を
集光して発電する装置。
少ない設置面積で多量の電力を発電します。
「 Ingenious Power System TM 」
として、未来へ。
今後も研究開発により得られる電力システム関連製品は、順次このマイクロスマー
トグリッド実証設備において実証評価を行い、製品化へとつなげていきます。私たち
というブランドで展開し、これから
はこのシステムを
「Ingenious Power System TM」
のエネルギー政策を注視しながら、戸建住宅からコミュニティレベル、そして町づくり
にいたるまで多様なニーズに対応していきます。スマートグリ
ッドをはじめとした電力インフラは、21世紀の新しい社会、
そしてエネルギーを形づくる重要な分野です。当社にとっ
ても社会に非常に近い新領域と言えるでしょう。
H 超電導電気自動車
2008年に当社が開発したビスマス系高温
超電導線を用いた超電導モータで駆動する
世界初の電気自動車です。
「 for Society, for SUMITOMO ELECTRIC 」----- そ の
言葉を胸に、これからもまず社会へ貢献できる私たちで
あることを目指します。そして当社の成長発展のフェ
ーズは、いつでも社会の成長発展のフェーズ
とともにあることを、目指していきたいと
考えています。
執行役員 パワーシステム研究所長
兼 次世代超電導開発室長 理学博士 伊 藤
用語
解説
順司
*スマートグリッド
*コンバータ/インバータ
人工知能や通信機能を搭載した計測機器等を設置し、電力の流れを供給側・需要側の
両方から自動的に調整する機能を持たせることにより、最適化できる送電網
コンバータは交流電力を直流電力に変換、あるいは直流電圧を変化
させる装置、インバータは直流電力を交流電力に変換する装置
SEI CSR Report 2011
16
コーポレートガバナンス
基本的な考え方
社外取締役・社外監査役
住友電工は、
「住友事業精神」
と
「住友電工グループ経営
当社の社外取締役は1名、社外監査役は3名であり、社外
理念」のもと、公正な事業活動を通して社会に貢献していくこ
取締役および社外監査役と当社の間に特別な利害関係は
とを不変の基本方針としています。こうした基本理念を堅持
ありません。
しつつ事業の発展ならびに企業価値の向上を図るため、経営
当社は、社外の視点を入れて取締役会の監督機能を一層
全般の効率性、スピードの向上に取り組むとともに、意思
強化し、経営の透明性や客観性を高めていくために、独立性
決定や執行における適法性・妥当性を確保し、また、これらを
のある社外取締役を選任しています。また、適法かつ適正
監視・是正していくシステムのさらなる強化に努めています。
な経営が行われるよう監視する体制を強化するため、監査
コーポレートガバナンスの基本構成
役の過半数を占めるように、さまざまな専門知識や多面的
な視点を持つ独立性のある社外監査役を選任しています。
当社では執行役員制および事業本部制を導入し、事業
これまで取締役会等において、独立社外役員の方々か
本部に対し業務執行に係る権限委譲を行うとともに、その
らは、会社から独立した立場で有益なご意見をいただいて
責 任を明 確 化しています。これらにより少 数 の 取 締 役で
います。
取締役会を構成し、経営の意思決定を迅速に行うとともに、
独立性のある社外取締役を迎え、業務執行の監督機能の
強化を図っています。
監 査 役 監 査 に つ い て も 強 化 を 図って おり、監 査 役 の
過半数を、さまざまな専門知識や多面的な視点を持つ独立
社外監査役としています。
業務執行体制
13名の取締役で構成される取締役会は、毎月1回定時に
開催するほか、必要に応じて随時開催しており、取締役会長が
財務報告の適正性を確保する体制
社長を委員長とする財務報告内部統制委員会を設置する
とともに、コーポレートスタッフ部門に推進組織を設けて
います。それらの方針・指導・支援のもと、各部門・子会社に
おいて、金融商品取引法および金融庁が定める評価・監査
の 基 準ならびに実 施 基 準に沿った、内 部 統 制システムの
整備および適切な運用を進め、財務報告の適正性を確保
するための体制の一層の強化を図っています。
欠員であるため社長が議長となり、重要な業務執行について
審議・決定しています。また、取締役会の付議前には、経営
住友電工グループのコーポレートガバナンス
会議においても議論を行い、審議の充実を図っています。
株 主 総 会
取締役への平成23年3月期報酬総額(社外取締役を除く)
は
選任・解任
655百万円です。取締役会での決定に基づく業務執行は、
社長のもと、各本部長やコーポレートスタッフ部門担当の取
取締役会
監査
監査役会
締役・執行役員が迅速に遂行していますが、あわせて内部牽
制機能を確立するため、社内規程においてそれぞれの組織権
経営会議
社長
会計監査
監査役
連携
会計
監査人
限や実行責任者の明確化、適切な業務手続を定めています。
連
携
なお、取締役は男性で構成されています。
監査・監督体制
当社では、適法かつ適正な経営を確保するために、監査役
監査、内部監査および会計監査の三様監査を受けています。
営業本部
国内外関係会社
研究開発本部
国内外関係会社
事業本部
国内外関係会社
横断的リスク管理活動等
監査役監査については、社外監査役3名を含む合計5名の
リスク管理委員会
監査役が監査役付スタッフ
(監査役室)
を活用して、取締役の
職務執行を監査しています。
各監査役は、監査役会が定めた監査計画・方針・分担に
従い、取締役会等重要な会議への出席、取締役や内部監査
部 門 等からの 職 務 状 況 の 聴 取、重 要な決 裁 書 類 の 閲 覧、
主要な事業所等の往査等を実施するとともに、他の監査役
から監査状況等の報告を受け、会計監査人とは適宜情報
交換等を行っています。
17
SEI CSR Report 2011
コンプライアンス委員会
コーポレート
スタッフ部門
全社環境委員会
情報管理委員会
CSR委員会
監査
内部
監査部門
リスクマネジメント
リスク管理体制と取り組み内容
防災訓練
住友電工グループでは2003 年 8 月の 危 機 管 理 委 員 会
当社は、大規模地震を想定したグループ統合防災訓練を
設 置 以 来、自然 災 害や工場火災、テロ、感染症など種々の
年2回(昼間と夜間)実施し、対応力の強化を図っています。
緊急事態に対応できるグループ横断の危機管理体制を構築
製造拠点では、避難訓練に加え、危険物使用場所の点検
してきました。2007年7月には当社グループ全体のリスク
や異常事態への対応訓練を行っています。また、災害発生
管理活動を企画・推進するリスク管理室を設置して、グルー
時に被害情報を早期に入手・整理し、経営幹部へ迅速かつ
プ共通または各部門・関係会社固有のリスクを調査・分析
確実に報告することや、当社グループで被災情報を共有す
し、コーポレートスタッフ各部門とも連携しながら、グループ
ることを目的とした情報伝達・共有訓練も行っています。
全体のリスク管理活動を推進しています。
さらに各拠点に導入されている
「緊急地震速報受信シス
テム」の周知や、社外から安否を報告する
「安否確認システ
ム」の習熟訓練も継続して行っており、従業員の防災意識を
対策が不十分なリスクについて対策の立案や実施を推進する
高めています。
など、リスクマネジメントのサイクルを着実に実行し、グループ
これらの訓練を通じて、緊急時対応計画の実効性を検証
全体のリスク管理レベルの向上に取り組んでいます。
し、レベルアップを図ることにより、BCPの信頼性を高めて
ガバナンス
当社のリスク管理活動は、各部門・各社で毎年実施する
リスクの棚卸をベースとしています。重要度の高いリスクや
います。
リスク管理の基本方針
●
製品・サービスの供給者として品質と安全性の確保を
最優先とすること
地域貢献・地域との共生
リスクマネジメント活動は、事業活動にかかるさまざまな
●
顧客・株主・地域社会・従業員など
ステークホルダーと良好な関係を維持すること
リスクについて、その顕在化の可能性を低減するための取り組
●
法令遵守、企業倫理の維持は
グループの経営の根幹をなすものであること
万一、当社拠点またはグループ会社で火災・爆発等の事故が
●
住友の事業精神、グループの経営理念および
企業行動憲章を遵守すること
周囲に影響を及ぼすような事態に至った場合には、迅速かつ適
みですが、なかには可能性をゼロにできないものもあります。
発生した時は、緊急時対応計画やBCPに従って行動し、特に、
切な情報開示を通じて、地域とのコミュニケーションを図りま
す。また、大規模地震などの災害時は、近隣地域の被災も予想
事業継続
されるため、地元自治体と災害応急活動について防災協定を
締結するなど、地域社会の防災力強化にも取り組んでいます。
当社は、リスクマネジメントの一環として、大規模地震など
の災害発生時に重要業務や中核事業を継続し、迅速な復旧
を図るため、2008年度に事業継続計画(BCP)を策定し、
おり、以 後 定 期 的にブ ラッシュアップを進 めてきました。
2011年3月に発生した東日本大震災への対応においても、
BCPは一定の機能を果たしましたが、BCPで想定する被害
を大幅に上回る甚大な被害をもたらした未曾有の大災害
であり、十分ではなかった部分もありました。
今後は、東日本大震災への対応の反省を踏まえ、BCPの
ブラッシュアップを進めると同時に、実効性を確認するた
めの実践的な訓練・教育を進めます。また、新型インフル
エンザ等感染症流行に備えたBCPの策定など、さまざまな
CSR VOICE
グローバルな情報収集力を高め、
リスク対応力の向上を目指します。
人事総務部 リスク管理室 主席 武田
晴雄
リスク管理室では、全社のリスクマネジメント活動の事務局として
リスクに対応できる仕組みづくりにも引き続き取り組んで
各部門での重要リスクへの対策や事業継続計画(BCP)
の見直しの
いきます。
推進や、防災訓練の実施などに愚直に取り組んでいます。3月11日に
発生した東日本大震災ではBCPや防災訓練が一定の役割を果たし
「緊急時」対応の基本理念
①「人命尊重」 ② 地域社会の「安全確保」
ましたが、広範囲におよぶ大規模災害に対する体制やインフラの面
などでは課題が 明らかになりました。当社グループの事業領域や
地域は幅広く、
リスクマネジメントの範囲もますますグローバルに
③ 地域の「環境保全」 ④ 迅速かつ適切な
「情報開示」
拡大していくと思いますが、各社・各部門と連携してより一層情報収
⑤「ステークホルダー重視」
集力を高め、
リスク対応力の向上を図っていきたいと考えています。
SEI CSR Report 2011
18
コンプライアンス
社会から信頼される公正な企業活動実践への取り組み
住友電工では、法令遵守や企業倫理の維持は経営の根幹をなすものであり、企業としての社会的義務であると同時に、存続・発展していくた
めの絶対的な基盤であると考えています。そのため、かねてよりコンプライアンス体制の整備に取り組み、2003 年 2 月に公正取引委員会
から独占禁止法違反により排除勧告を受けたのを契機に、一層の体制強化を進めてきました。
それにもかかわらず、2010年5月に光ファイバケーブル関連製品の販売に関し公正取引委員会から排除措置命令等を受け、また、自動車用
ワイヤーハーネス関連製品に関しても同委員会やEUおよび米国を含む海外の競争当局の調査を受けるなど、カルテル・談合問題を発生させま
したことは、極めて深刻な事態であると厳粛に受け止めており、従来の取り組みを継続する一方、競争法コンプライアンスを最重要の課題と
位置づけ、同業他社との接触制限ルールなど、実際の事業活動の進め方に踏み込んだ施策を実施すること等により、社会から信頼される
公正な企業活動の実践に真摯に取り組んでいます。
コンプライアンス委員会
スピーク・アップ制度
住友電工グループにおけるコンプライアンス体制の整備、
コンプライアンス問題の芽を早期に発見し自浄作用を
強 化 のために必 要な施 策を推 進する組 織として、社 長 が
もって解決していくため、社員からの相談申告窓口を社内・
委員長を務めるコンプライアンス委員会を設けています。
社 外(法 律 事 務 所)に設 置し、寄 せられた情 報については
委員会では、コンプライアンス・マニュアルの作成・配布、研修
コンプライアンス委 員 会 が 速やかに調 査を行 い、必 要な
の開催のほか、グループ横断的なコンプライアンス・リスク
措置をとっています。また、国内グループ会社に対しても
の把握・分析、その発生防止策等のグループ内への展開や、
独自の社内窓口の設置を指導するとともに、当社が社外に
各部門・子会社における法令遵守への取り組み状況のモニ
設けている窓口をグループ全体の社外窓口として位置づけ、
タリング 等を実 施して います。2010年 度 は、会 合を4回
運 営しています。スピ ーク・アップ 制 度については、毎 月
(2010年5月、8月、11月、2011年3月)開催しました。
発行する社内報などを通じて周知に努めています。
コンプライアンス・マニュアル
コンプライアンス委 員 会では、住 友 の 事 業 精 神や当 社
競争法コンプライアンス体制の強化
の経営理念、企業行動憲章の内容も踏まえ、社員が法的・
コンプライアンスのなかでも最重要の課題である
倫理的に社会の共感を得られる行動をとるよう、日常業務
国内外の競争法の遵守につきましては、2010年6月に
等 の な か で 遵 守 す べ き 事 項 を 具 体 的 にまとめ た「 住 友
以下のような施策による競争法コンプライアンス体制
電工グループ コンプライアンス・マニュアル」を作成して
の強化を決定・公表し、不退転の覚悟をもってグループ
おります。このマニュアルは、社 員に配 布したほか、国 内
内における疑わしい行為を含むカルテル・談合行為の
子会社社員への配布も行っています。
根絶・再発防止に取り組んでいます。
コンプライアンス教育
1. 競争法コンプライアンス・ルールの整備
コンプライアンス・リスクの確認、発生防止策の徹底および
コンプライアンスに対する意識の浸透・強化等を目的に、コン
プライアンス委員会主催の研修を役員ならびに基幹職全員
を対象として、それぞれ毎年定期的に実施しています。また、
新入社員や階層別昇進者に対しても研修を実施しています。
2010年度の開催実績は下表のとおりです。
対 象
実施時期
役員(執行役員を含む)
2010年 12月
当社・国内子会社の基幹職
2011年 2月∼5月
昇進者
2011年 2月∼3月
当社の新入社員
2010年 4月、10月
ル等を含む「競争法コンプライアンス規程」を新たに
制定し、その運用を開始しております。同様の規程・
ルールの整備は、国内子会社においても実施しており、
現在は、海外子会社への展開を推進しています。
2. 専任組織の設置と監査体制の確立
競争法コンプライアンスに関する施策を推進する
専任組織として、2010年6月に、コーポレートスタッフ
部門に「競争法コンプライアンス室」を新設するとと
もに、電線関連の営業本部には「営業コンプライアン
ス室」を設 置し、それ以外の部門には「競争法コンプ
当 社 グ ル ー プ のコンプ ライアンス体 制 の 基 盤 をな す
ライアンス推進責任者及び推 進 担 当 者」を特 命しま
「住友事業精神」および「経営理念」
「企業行動憲章」
に表さ
した。さらに、2011 年3月には、自動車事業本部に
れた理念や行動規範についても、各種研修やトップの発言・
行動など、さまざまな機会を通じ浸透に努めています。
19
2010年6月に、同業他社との接触を制限するルー
SEI CSR Report 2011
「自動車コンプライアンス室」
を設置しています。
競 争 法コンプライアンス室と実 際に事 業 活 動を
進める各本部の専任組織または推進責任者が密接
海外グループ会社での
コンプライアンス体制の整備
に連 携して、競争法コンプライアンス規程に基づく
競争法への対応については、既述のように競争法コンプラ
同業他社との接触制限ルール等を運用し、また、競争
イアンス室にて整備を進めていますが、それに加え、遵法
経営、企業倫理、住友事業精神といった広い概念でのコン
タリング、監査などの諸活動を推進することにより、
プライアンス体制整備のため、海外グループ会社の現地
第一線を巻き込んだ実効性ある体制を構築していき
マネージャー向けに、各社を巡回・訪問しての「コンプライア
ます。
ンス研修」
を実施しています。
なお、
「営業コンプライアンス室」や「自動車コンプ
すでに、基礎コースについては、2008年4月から2009年
ライアンス室」は、競 争 当 局 の 調 査 の 対 象となった
9月にかけて、主要な海外拠点をほぼ一巡しました
(実施回
本 部に設け、定期的な競争法遵守状況のヒアリング
数:72回、参加会社:121社、受講者数:1,750名、16カ国)。
や受注状況のモニタリングなど、第一線で一層徹底し
内容は、①コンプライアンスの重要性と住友電工グループの
た対策を推進する組織であり、有効性が確認された
取り組み(講師:国際法務部スタッフ)、②各国の法律とトラ
施策は他の本部に展開していきます。
ブル事例
(講師:現地弁護士)
の2部構成で、コンプライアンス
ガバナンス
法や競争法コンプライアンス規程の遵守状況のモニ
意識の浸透とともに
「住友電工グループとしての一体感の
3. 競争法に関する研修の強化・継続実施
醸成」
に努めました。
2010年の春には、毎年実施している基幹職コンプ
ライアンス研修に代えて、製造現場の社員を除く当社
および国内子会社の全社員を対象とした「競争法コン
プライアンス特別研修」
を実施(全国40か所、のべ81
回実施、合計5,000名が受講)
しました。
これに続けて、応用コースとしての新たな研修を2010年
1月から実施しています。こちらは前回の研修内容をより深め
たもので、当社グループ内のケーススタディを取り入れ、また
受講者間でのディスカッションも組み入れるなどして、受講者
がコンプライアンスを身近な問題として考えることで、さら
また、以降の定期的なコンプライアンス研修におい
ても、これまで以上に競争法問題のウエイトを増加
させ、社員の徹底した意識改革を図っています。
なる意識の向上を図り、各社における自主的・継続的な活動
もねらったものです。主要な拠点を2011年9月までに一巡
することを目指しており、開催実績は下表のとおりです。
海外マネージャー向けのコンプライアンス研修(応用コース)
合計
(予定)
2010/1∼2011/3実績
2011/4∼9予定
実施回数
70回
20回
90回
参加会社
117社
23社
140社
受講者数
1,500名
350名
1,850名
実施国:15か国
(米、英、独、伊、中国、台湾、韓国、香港、シンガポール、
マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、ブラジル)
研修風景
4. 競争法コンプライアンス行動指針の制定
コンプライアンス・マニュアルにおいても、競争法
を最優先の遵守事項として位置づけておりましたが、
海外関係会社での研修(ドイツ)
競争法に特化した社員の行動指針として、2010年10
また、海外関係会社のコンプライアンス体制の現状把握の
月に、新たに、海外の競争法も視野に入れて禁止事項
ため、2008年度から、
「法務・契約・コンプライアンス関連
や遵守事項を明確にした「競争法コンプライアンス
チェックシート」
を、監査部からの各海外グループ会社向け
行動指針(販売関係)」を制定し、10 月から11 月にか
自己点検シートに織り込む形で行う調査を実施しています。
けて、営業関連業務に従事する社員全員を対象に、
今回(2010年度調査)
は、2009年度の調査結果をとりまと
同 指 針に関する研 修を実 施して周 知 徹 底しました。
めた上、それぞれの会社を所管する事業本部と体制整備につ
今後とも、同指針の徹底に努めていきます。
き打ち合わせを実施し、各社のコンプライアンス体制のさら
なる充実に向け、事業部門と一体になり、取り組んでいます。
SEI CSR Report 2011
20
情報開示
会社情報の開示
幅広い企業活動の情報発信
企業活動の透明性や説明責任が求められるなか、ステーク
2010年度は、各部門と協力し、当社グループのさまざ
ホルダーの皆さまへのタイムリーかつ正確な情報開示が
まな 活 動につ いて積 極 的 な 情 報 発 信に取り組 みました。
ますます重要になるとともに、企業ブランド価値の構築に
この結果、ニュースリリース、技術論文集「SEI テクニカル
大きな影響を及ぼすようになっています。
レビュー」の掲載論文、ニュースレター記事の件数は、いず
2006年4月に、住友電工グループにおける情報開示体制
れも前年度実績を大幅に上回ることができました。
の整備、強化、および企業ブランド構築のために必要な施策
ニュースリリース件数等の推移
を推進する全社横断的な組織として広報委員会を設置しま
した。広報委員会では、会社情報の開示に関する審議、また
ニュースリリース
会 社 情 報 の 開 示に関 する規 程 の 整 備とグ ル ー プ 内 へ の
SEI テクニカルレビュー掲載論文
教育・啓発、ならびに企業ブランド価値向上のための施策の
ニュースレター記事
(件数)
2008年度
2009年度
2010年度
68
47
79
80
90
111
106
96
159
立案等を行っています。
2010年度は、インサイダー情報や証券取引所が定める
重要な会社情報の開示等について、関係法令、諸規則の遵守
Webサイトの充実
に努めました。また、ステークホル ダ ー の 皆さまに、当 社
より魅力的なWebサイトの構築を目指し、2010年度も
グループへのさらなるご理解を深めていただけるよう企業
引き続き、コンテンツの充実に取り組みました。具体的には、
活動に関する幅広い情報を発信するとともに、当社Web
マグネシウム合金「AZ91」板材やポアフロン精密濾過膜
サイトを中心とする広報活動の拡充を目標に取り組みました。
モジュールなど、新製品・新技術を分かりやすく紹介するコン
テンツや、当社グループのグローバルな展開状況を紹介す
るグローバル拠点紹介コンテンツなどを新たに開設しました。
株主、投資家とのコミュニケーション
住友電工は、
「正確な情報を、適時かつ公平に市場参加者
に伝え、資本市場において当社の企業価値に関する適正な
社長ブログ
評価を得ること」
をI
R活動の重要な目標だと考えています。
「社長 松本正義Blog」
は、当社グループ従業員やその
機関投資家・アナリストの皆さまに対しては、決算説明
関係者に、経営方針等への一層の理解や浸透を、また、
会や取材対応の機会を通じてコミュニケーションの充実を図
社外のステークホルダーの皆さまに、当社グループへの
っており、
2010年度には、国内外で計727社、
907名の方々
ご理解と親近感を持っていただけるよう、2007年7月に
に対して、プレゼンテーションを実施しました。
開設しました。
一般の株主・投資家の皆さまに対しても、当社Webサイト
2010年度については、81件の話題をエントリーし、月
上にて、財務情報・ニュースリリースの掲載をはじめ、決算
平均のユニークユーザ数は約4万、閲覧者から100件を
説明会の動画配信を行うなど、一般投資家の方々を意識した
超えるコメントをいただくなど、ステークホルダーの皆さ
Webサイトの構築を推進しています。
まとの双方向コミュニケーションの一助になっています。
2010年度には、日本証券アナリスト協会による企業ディス
クロージャー評価にて、
「ディスクロージャーの改善が著しい
企業」
として表彰を受けましたが、今後とも、株主・投資家の
皆さまに対して、公平かつ迅速な情報開示とともに、開示
内容の一層の充実に努めていきます。
社長 松本正義Blog
決算説明会
21
SEI CSR Report 2011
情報保護
個人情報の保護
知的財産の保護
住 友 電 工 では 2005 年 4 月に、個 人 情 報 保 護に関 する
当社では、特許権や意匠権等の知的財産権の取得により、
法令・規範を遵守し、自主的なルールおよび体制を確立して、
自社技術の保護を図っています。同時に、当社は他社の知的
それを実行・維持することを謳った「個人情報保護方針」を
財産権についても細心の注意を払っています。
宣言するとともに、
「個人情報保護規程」
を制定し、社員研修
具体的には、知的財産権の基本的な取り扱いに関する規程
等を通じて社内管理体制の整備を進めてきました。2009年
を整備し、全社員の経験と習熟度に合わせた社内研修会の開
3月には「住友電工グループ コンプライアンス・マニュアル」
催や、年5回の「IPニュース」などの社内報の 発 行によって、
を改訂し、当社および関係会社の社員に配布しましたが、
グループ全体の知的財産意識向上に取り組んでいます。さ
その中の「情報管理」の項でも個人情報の取り扱いに関する
らに2010年6月に開催した全社知財大会(年1回。大阪・伊
留意点を詳しく解説し、周知徹底を図っています。
丹・横浜製作所をTV中継)では、社長出席のもと260名が参
加しました。知財優秀活動の表彰、活動事例報告に加え、ポ
スターセッションも実施し、双方向コミュニケーションによる
おり、外部からの 攻 撃により大 量 の 個 人 情 報 が 流 出した
知財情報の交換も活発に行われました。
他 社 事 例も報 告 されて います。こうした 情 勢 を 受 けて、
また、部門長が主催する
「知財戦略会議」や、実務者で構成
リスク管理の観点から、法務部、人事総務部、情報システム
する
「I
P委員会」を部門別に開催しています。これらの会議を
部が連携して、文書管理規程類の再整備、情報セキュリティ
通して、①特許マップの作成 ②事業計画に沿った特許出願
ポリシーの周知徹底を図るとともに、社内で作成する文書・
や権利の活用 ③他社の知的財産権の徹底調査と回避策の
電子データの層別管理、アクセス権限の明確化、モニタリ
検討といった活動を行っています。
ング体制のさらなる拡充を目的とした取り組みを2011年度
この ような 取り組 み を、各 事 業 部 門・研 究 開 発 部 門と
より開始します。
知 財 部門が一体となって推進しています。
ガバナンス
しかしながら、年々加速する一方の情報通信技術の発展
に伴い、大容量の情報が瞬時に漏洩するリスクが増大して
情報セキュリティの強化
当社では2003年度に
「情報セキュリティポリシー」
を制定
して以来、社内の情報システムで取り扱う全ての情報を重要
な経営資産と位置づけ、海外を含むグループ会社で管理
体制の整備と拡充を継続的に進めています。
また情報セキュリティポリシーの改定に合わせて、毎年
全社員向けに教育を実施し、その定着を図っています。さら
に2010年度からは国内外の全子会社を対象に情報セキュ
リティに関する診断を開始し、各社のセキュリティレベルを
改善する仕組みを整備し運用を始めています。
グローバルネットワークの急速な進展に伴い、情報漏洩
対策の徹底はますます重要な経営課題となっています。当社
CSR VOICE
知的財産権は企業の技術力を支える生命線
知的財産部 部長補佐 大阪
啓司
では従来から、社内で使用する全ての端末にIT 資産管理
ソフトを導入してネットワーク管理を行うとともに、ノートパソ
コンのハードディスクの暗号化(2005年度)
や、安全確実な
私は長年、研究部門で新製品開発に従事し、特許にも馴染みが
ありました。知財部に配属されると立場が替わり、知財権の重要性を
説き、出願権利化や事業活用を推進する側になりました。
ファイル転送サービスの提供(2008年度)、データ保存でき
近年、国内外で知的財産権に注目が集まっており、法改正や手続
るUSBメモリや外付けハードディスクを暗号化対応の指定
きの見直しも頻繁に行われています。背景には日本企業のお家芸で
機種に限定する
(2009 年度)など、ICT 技術の発展に即応
あったハイテク分野で東アジアからの猛烈な追い上げがあります。
メーカーにとって成長発展の源泉となるのは技術力であり、折角良い
した施策を実施してきました。
技術を開発しても、真似て安く売られたのではたまりません。このよ
2010 年 度はファイル 交 換ソフトなどの 使 用 禁 止ソフト
うな模倣から製品を守るのが特許に代表される知財権です。
ウェアの起動を防止し、また送信先やファイル添付容量を
物を作らない部門はメーカーでは縁の下の力持ち的な存在かもし
れません。ある意味モノづくりの大変さを身にしみている我々だか
ユーザごとに制限できるメールシステムの導入を開始する
らこそ、真価が発揮できる部門だと思っています。これからも事業、
など、社外への情報漏洩リスクのさらなる軽減に取り組んで
製品を守るため、早く・強く・広い特許の獲得・活用や情報管理に
います。
向け、日々が真剣勝負です。
SEI CSR Report 2011
22
CSRの基本姿勢
住友電工グループのCSR基本姿勢
住友電工グループには、社会的信用と企業倫理を何よりも大切にする住友事業精神が今もしっかりと息づいています。私たち
は、この「住友事業精神」
と
「住友電工グループ経営理念」
とを基本的な価値軸とし、コンプライアンスに則った事業活動を通じ
て、より良い社会・環境づくりに貢献することが当社グループのCSRの基盤であると考えています。
さらに、
CSRへの取り組みを重点的に展開すべき分野として「環境保全」
「調達・物流」
「安全・品質」
「社員・人権」
「社会貢献」
を定め、ステークホルダーと良好な関係を築きながら、Glorious Excellent Companyを目指して持続的に成長していくこと
が、私たち住友電工グループのCSRであると考えています。
より良い社会・
環境づくりに貢献
基盤的CSR
CSR重点
取組分野
事業を通じた社会への貢献
良い製品・サービス
技術革新
配当、納税
雇用創出 etc
基本的価値軸
住友電工グループのCSR推進体制
CSR委員会の役割は次のとおりです。
2004 年 7 月に人 事 総 務 担 当 役 員 を 委 員 長とし、CSR
1. 毎期2回開催し、グループ横断的な観点からCSR活動の
関連分 野を主 管 する部 門 長(現 在 は13 名)を委 員とする
レビューと今後の展開についての支援・指導を行う
CSR委員会を設置し、下図に示す体制のもと、当社グループ
2. CSRに関する社内外への情報開示および広聴活動
における横断的なCSR推進母体として活動を行っています。
3. CSRに関するグループ会社を含めた教育の推進 等
社会
(ステークホルダー)
経 営 会 議:CSR取り組み方針の決定
目標・成果報告
指示・指導
外部公表
広聴機能
C S R 委 員 会:経営理念・経営ビジョンの浸透、CSR活動の成果取りまとめ、社内外への情報発信
分野
主管部門
コンプライアンス
法務部
国際法務部
目標・実績報告
情報開示
情報保護
広報部
経理部IR室
情報システム部
支援・指導
各事業部門、グループ企業各社
23
SEI CSR Report 2011
環境
安全
調達
物流
安全環境部
統轄資材部
生産技術部
物流管理部
品質
CS向上
社員・人権
社会貢献
品質管理部
情報システム部
人事総務部
営業企画部
経営理念・ビジョン
等の浸透、教育
広聴機能
従業員
人材育成
人材開発部
生産技術部
2010年度主要目標と実績 / 2011年度主要目標
住友電工グループでは、5つのCSR重点分野ごとに、それぞれの主管部門が年度目標を定め、その年度目標に基づいて具体的
な行動計画を作成し、主体的に取り組んでいます。各分野の主な取り組みについての2010年度の目標と実績、2011年度の目標
は下記のとおりです。今後も目標の達成に向け、PDCAに基づいた取り組みを活性化していきます。
重点
5分野
2010年度主要目標
2010年度実績
関連
頁
全23項目のうち、目標達成(◎、
○)
:18
項目、目標未達(△、▽、
▼)
:5項目
△
33
コンプライアンス重 視 の 環 境 監 査を、
国 内 残り25拠 点、海 外 グ ル ー プ 会 社
14社に実施
国内49拠点(残り4拠点 東日本大震災
で延期)、海外グループ会社11社(中国)
に実施
△
31
環境監査の実施事例を教材としたコンプ
ライアンス環境研修の開催、時間の拡大
実践的な研修を開始した。
38回開催、622名参加
○
31
出荷品に加え調達品でもモーダルシフト
化の推進
調達品は対象案件がなく未実施。出荷品
は2009年度対比0.5ポイントのモーダ
ルシフト率改善
△
38
海外エリア別調達部門連絡会における
海外現地法人への調達基本方針の周知
徹底
中 国、タイにおける調 達 部 門 連 絡 会に
おいて調達基本方針を周知
○
49
お取引先さまに対するCSR調達ガイド
ラインの周知
パートナーズミーティングにてCSR調達
ガイドラインを配布し、取り組みを要請。
重要お取引先さま500社にはCSR報告
書とCSR調達ガイドラインを送付し、取り
組み要請
○
49
お取引先さま評価シートによる
評価の実施
一部調達部門で実施
△
50
クレームを前年度比20%減
前年度比8%減
(売上高比率では20%減)
△
45
自工程保証活動の推進(初年度)
自工程保証活動に関する集中教育(19回
535名)
と実践者養成教育(1回30名)
を
実施。各部門によるテーマ実践(上期88
テーマ、下期101テーマ)
を実施
○
休業災害8件、不休災害24件
▽
60
KKP を 2,591 名 受 講(2009 年 1 月∼
2011年3月末)
○
60
△
52
「アクションECO-21
(Phase Ⅳ)
」
全23項目の目標達成
2011年度主要目標
「アクションECO-21
(Phase Ⅳ)
」
全23項目の目標達成
●
環境保全
調達・物流
●
コンプライアンス重視の環境監査を、
国内残り4拠点、
海外グループ会社9拠点に実施
●
環境教育の充実…環境監査指摘内容
等を加えた新たなメニュー の 追 加と
対象者の拡大
●
コンプライアンスを支える
教育プログラムの拡充
●
CSR調達ガイドラインに基づいた
お取引先さまへの個別要請
CSRの基盤
評価
クレームを前年度比20%減
●
安全・品質
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
受講対象者へのモノづくり基盤強化研修
(KKP)
を3年間で完了(2年目の取り組み)
社員・人権
●
自工程保証活動の推進継続
(2年目)
●
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
●
受講対象者へのモノづくり基盤強化
研 修(KKP)を3年間で完了(3年目の
取り組み)
●
グローバルHRMポリシーの発信
●
GEC-Netの本格稼働
●
SWITCH+(プラス)
運動の実施展開
45
社会貢献
コミュニケーション・プラットフォームの
整備とリージョナル人材ミーティングの
実施によるグローバルコミュニケーショ
ンの強化
グローバルコミュニケーションツール
「GEC-Net」
の開発
アジア各国でのモノづくり研修の充実、
開催国の拡大
全世界の幹部社員による選抜研修
「Global Leadership Program(GLP)」
の実施
△
SWITCH運動の一環として、業務効率化・
生産性向上に向けた全社運動の展開
SWITCH運動での業務効率化運動の実施
○
56
基金を通じ、大学講座の寄付拡大、奨学
金支給の拡充、および学術・研究助成の
開始
住友電工グループ社会貢献基金の
活動拡充
○
62
地域貢献活動の活性化に向けた具体策
の検討
スマイルリレー開始(2011年5月)
○
61
・
64
環境NPOの支援の具体化
環境NPO「森の町内会」支援の継続
▽
61
58
基金を通じた、大学講座の寄付、奨学
金支給および学術・研究助成の拡充
●
住友電工グループとしての地域貢献
活動の活性化に向けた具体策の検討・
実施
●
環 境 関 連 を 中 心 にNPOとの 協 業 の
具体化
●
凡例 ◎:目標大幅達成
(概ね150%超)
○:目標達成 △:目標未達
(前年度より改善)
▽:目標未達
(前年度と横ばい)
▼:目標未達
(前年度より悪化)
SEI CSR Report 2011
24
ステークホルダー
住友電工グループの事業活動は、さまざまなステークホルダーの皆さまとの関わりによって支えられています。日常的に
関わりの深いステークホルダーの皆さまへの責任を明らかにするとともに、今後もさまざまな機会を通じて皆さまとのコミュニ
ケーションを図ってまいります。
住友電工グループの主な責任
住友電工グループの主な責任
住友電工グループの主な責任
●
法規制・行政指導等の遵守
●
温室効果ガス排出量の削減
●
社会的に有用で安全な製品・サービスの提供
●
税金の納付
●
省エネ、リサイクルの推進
●
品質・コスト・納期等あらゆる面でのCS向上
●
公的問題解決に向けての諸政策への協力
●
廃棄物削減、有害化学物質削減
●
製品に関する正確・適切な情報提供
主な対話方法
主な対話方法
●
経済団体や業界団体を通じての対話
●
●
各種届出、調査・アンケートへの回答
●
●
主務官庁への相談、パブリックコメント
●
主な対話方法
京都議定書目標値、各種法規制等への対応
PDCAに則った環境保全活動
ステークホルダー・ダイアログ
●
日常の営業活動を通じての対話
●
ニュースレター、メール配信、Webサイト
●
展示会等における情報交換
地球環境
行政
お客さま
(政府・自治体)
住友電工グループ
地域社会
ビジネスパートナー
NPO/NGO
(お取引先さま)
従業員
住友電工グループの主な責任
●
文化や慣習の尊重と
発展への貢献
住友電工グループの主な責任
住友電工グループの主な責任
●
人権・人格・個性の尊重
●
企業価値の維持・向上
●
公平・公正な取引
●
人材の育成、活用、評価
●
利益の適切な還元(配当)
●
●
企業情報の適時・適切な開示
CSR調達実現に向けての
支援と協働
●
事故・災害の防止、環境の保全
●
●
環境などの問題解決に
向けての協力・連携
多様な人材が活躍できる
職場づくり
●
労働安全衛生と健康への配慮
主な対話方法
25
住友電工グループの主な責任
株主・投資家
主な対話方法
主な対話方法
主な対話方法
●
行催事への参加、伝統芸能の支援
●
活き活き職場調査
●
株主総会
●
日常の調達活動を通じての対話
●
工場見学、施設開放、まつりの共催
●
社内報、グローバルマガジン
●
IR決算説明会
●
パートナーズミーティング
●
社員の地域貢献活動
●
イントラネット、社長ブログ
●
投資家訪問、取材対応
●
●
協働や支援を通じての対話
●
労使による経営協議会
●
アニュアルレポート
お取引先さま評価シートを
通じての対話
●
ステークホルダー・ダイアログ
●
経営幹部との社員懇談会
●
SEI CSR Report 2011
I
Rサイト
マテリアリティ
マテリアリティの考え方
活動面のマテリアリティ
報告面のマテリアリティ
グループ会社を含めて事業本部制をとっている住友電工
2010年度のCSR報告書から、ステークホルダーの皆さま
では、法 務、人 事、総 務、広 報・IR、環 境、安 全、品 質・CS
にとって必要な情報へのアクセスが平易となるよう、従来の
(顧客満足)向上、調達、物流といった各分野の主管部門が
CSR重点5分野別の報告形式をステークホルダー別の報告
それぞれCSRに関するグループ横断的な課題・目標に対して
形式に変更しました。CSR重点5分野の各取り組みをステ
主体的に取り組んでいます。これら各部門の取り組み状況
ークホル ダ ー 別に組 み 直すにあたり、そ の 各 区 分で特に
はCSR委員会の場で進捗を管理していますが、2005年度
重要な内容を
「報告面でのマテリアリティ」
と位置づけ、その
より対 象 13 部 門を5 つの 分 野に集 約し、CSR 重 点 分 野と
内容を各部門長が説明するという形をとることで、住友電工
位 置 づけて活 動を推 進してきました。5 つ の 重 点 分 野 の
グループのCSR の取り組みをよりご理解いただけるので
構 成は、第 三 者 審 査 機 関や第 三 者 所 見 者などのご 意 見・
はないかと考えました。
ご指摘を反映し、適宜見直してきました。その具体的な活動
GRIガイドラインの重要性原則
内容、目標と実績のまとめはP24に報告しています。
外部要因
また、2010年から実施しておりますステークホルダー・
ダイアログ(P27∼29)でいただいた貴重なご意見もできる
●
限り社内で検討し、活動に反映するよう努めています。
∼
∼
2008年
2009年
環境保全
調達・物流
安全・品質
社員・人権
社会貢献
●
業界の主なテーマや将来的課題
●
組織やステークホルダーにとって
重要な法規や協定
●
専門家や専門機関が行った
調査によって特定された影響や
リスク、機会
●
組織の主要な方針や戦略、目標
●
関連の深いステークホルダー
の関心・期待事項
●
組織にとっての重要なリスク
●
組織の成功を実現するために
不可欠な要因
●
組織のコア・コンピタンス* 等
CSRの基盤
2006年
コンプライアンス
環境・物流・調達
安全・品質・CS向上
社員・人権・社会貢献
情報開示
ステークホルダーによって
挙げられた関心事項
内部要因
活 動 面と報告面でのマテリアリティの関係
重点5分野
環境保全
活動面でのマテリアリティ区分(2010年度主要目標)
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」全23項目の目標達成
コンプライアンス重視の環境監査を、国内残り25拠点、
海外グループ会社14社に実施
● 環境監査の実施事例を教材としたコンプライアンス環境
研修の開催、時間の拡大
● 出荷品に加え調達品でもモーダルシフト化の推進
報告面でのマテリアリティ区分(2010年度主要目標)
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」全23項目の目標達成
コンプライアンス重視の環境監査を、国内残り25拠点、
海外グループ会社14社に実施
● 環境監査の実施事例を教材としたコンプライアンス環境
研修の開催、時間の拡大
● 出荷品に加え調達品でもモーダルシフト化の推進
●
●
●
●
海外エリア別調達部門連絡会における海外現地法人への
調達基本方針の周知徹底
● お取引先さまに対するCSR調達ガイドラインの周知
● お取引先さま評価シートによる評価の実施
●
●
調達・物流
クレームを前年度比20%減
● 自工程保証活動の推進
(初年度)
●
安全・品質
●
●
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
受講対象者へのモノづくり基盤強化研修(KKP)
を3年間で
完了(2年目の取り組み)
コミュニケーション・プラットフォームの整備とリージョナル
人材ミーティングの実施によるグローバルコミュニケー
ションの強化
● アジア各国でのモノづくり研修の充実、
開催国の拡大
● SWITCH運動の一環として、
業務効率化・生産性向上に
向けた全社運動の展開
●
社員・人権
基金を通じ、大学講座の寄付拡大、奨学金支給の拡充、
および学術・研究助成の開始
● 地域貢献活動の活性化に向けた具体策の検討
● 環境NPOの支援の具体化
●
社会貢献
用語
解説
●
クレームを前年度比20%減
自工程保証活動の推進
(初年度)
海外エリア別調達部門連絡会における海外現地法人への
調達基本方針の周知徹底
● お取引先さまに対するCSR調達ガイドラインの周知
● お取引先さま評価シートによる評価の実施
ステーク 掲載
ホルダー 頁
環境
27
お客さま
45
お取引先
さま
48
●
コミュニケーション・プラットフォームの整備とリージョナル
人材ミーティングの実施によるグローバルコミュニケーショ
ンの強化
● アジア各国でのモノづくり研修の充実、
開催国の拡大
● SWITCH運動の一環として、
業務効率化・生産性向上に
向けた全社運動の展開
●
●
●
51
従業員
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
受講対象者へのモノづくり基盤強化研修(KKP)
を3年間で
完了(2年目の取り組み)
基金を通じ、大学講座の寄付拡大、奨学金支給の拡充、
および学術・研究助成の開始
● 地域貢献活動の活性化に向けた具体策の検討
● 環境NPOの支援の具体化
59
●
社会
61
*コア・コンピタンス
企業の活動分野において
「競合他社を圧倒的に上まわるレベルの能力」
「競合他社に真似できない核となる能力」
のこと
SEI CSR Report 2011
26
地球環境との関わり
第2 回 住友電工グループ ステークホルダー・ダイアログ
テーマ
住友電工グループの
さらなる環境経営の推進に向けて
ステークホルダー・ダイアログ第2回となる今回は、住友電工 東京本社において、企業の環境経営について卓越した知見を
お持ちの3名の有識者の方にお集まりいただき、住友電工グループの効果的かつサスティナブルな環境経営について意見
交換を行いました。今回いただいた貴重なご意見を環境経営のさらなる推進へとつなげていきたいと考えております。
開催概要
開催日:2011年3月7日(月) 場所:住友電気工業 ( 株 ) 東京本社
ご参加いただいたメンバー(50音順)
:
上妻 義直 様(上智大学経済学部教授)
専門研究分野は環境会計論及び国際会計論。環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、内閣府、
日本公認会計士協会等のCSR・環境関係の検討会・研究会等で座長・委員等を歴任
田中 定裕 様(トヨタ自動車株式会社 環境部長)
トヨタ自動車工業株式会社(現トヨタ自動車株式会社)入社。グローバル調達企画室統括室長、
CSR・環境部CSR室グループ長等を経て現職
森澤 みちよ 様(CDP ジャパンディレクター)
シティバンク等で金融機関間決済リスク削減業務に従事した後、2003年より環境学の研究を開始。
CDPの2006年の世界的な対象企業拡大に伴い、日本担当としてCDPに参加する。東京大学博士(環境学)
ファシリテーター: 福島 隆史 様( 株式会社サステナビリティ会計事務所 代表取締役)
住友電工出席者: 野田 茂(常務取締役)
(左から)上妻義直 様 森澤みちよ 様 田中定裕 様
安全環境部 小原 明信(部長)松友 俊雄(省エネルギー推進室長)
人事総務部CSR推進室 得田 和徳(室長)吉田 竜郎(主幹)三橋 一勝(主査)
スケジュール
1
2
開会のご挨拶、趣旨説明
住友電工グループの
環境経営に関するご説明
用語
解説
27
SEI CSR Report 2011
3
4
意見交換
総括と閉会のご挨拶
(CDP)
*カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト
*コネクティッド・レポーティング・フレームワーク
(CRF)
機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な
温室効果ガスの排出量の公表を求めるプロジェクト
近年英国にて開発された、財務情報と非財務情報を関連
づけて開示する統合型報告スキーム
意見交換
福島: 住友電工グループの環境経営についてご興味を持たれ
森澤:これから海外の部分のディスクローズが強化されること
た点について、まずはテーマ出しをお願いできればと思い
について、100%できていないから出さないではなく、
ます。
今何%できている、今後何%まで高めたい、などという
情報として出されていってよいと思います。
住友電工グループの環境経営に問いたいこと
田中: 環境の具体的な方針が事業活動そ
のものに浸透していて、着実な活動
環境経営がこれからの社会に果たす役割
福島: 住友電工の環境経営からは、社会に対してどのような
をさ れて い るなという印 象 で す。
貢献をするのかがあまり見えてきていない、という点に
そ の 一 方 で、社 会に対して 本 業を
ついていかがでしょうか。
通じてどのように貢献されているか
松友: 自分たちが持っている技術をどう社会に貢献させていく
の説明が少ないように思います。住友電工さんの本業
かという議論に、これまで環境部門が参加することはあ
を通じた社会の持続的発展への貢献は今後どのような
りませんでした。今後は、研究開発の段階から、たとえ
ところが中心になるのかお聞かせ願います。
ば低炭素社会に対するスタンスをどうしていくかといっ
森澤: 私が所属しているカーボン・ディスク
た形で入り込んでいくことも考えたいと思います。
得田: 素材メーカーなのでどうしても一番
イギリスのNGOであり、住友電工さ
意識するのがお客さま。お客さまの
んもCDPの情報開示にご協力いた
視点を通して社会へ、と考えてしま
だいています。私は国連責任投資
い がちです。研 究 開 発については
原則(PRI)の日本マネージャーも兼務しているので、
さまざまな側面から御社の取り組みを拝見しています。
特に国内での他社を巻き込んだモーダルシフトの取り
組みは良いと思います。他の企業へのベストプラク
ティスとしてさらに積 極 的に開 示してもらい た い で
すね。また海外での温室効果ガス排出量増加への対応、
将来の環境法規制への取り組みについてもご説明いた
2010年に設立したNEXTセンター
で、新しい事業領域の提案とともに必要な基盤技術の
獲得のための探索研究を行っています。すでにお客さま
地球環境との関わり
*
は
ロージャー・プロジェクト
(CDP)
との接点である営業部門が議論に参画していますが、
社会との接点として環境部門が参加できるようCSR
推進室としてもバックアップしていきたいと思います。
経営計画との関係や目標設定、バウンダリーについて
だければと思います。
福島: 長 期 的な取り組 みについて。住 友
上妻: 他の素材メーカーと比べても住友
電工の環境保全活動の中核をなす
電工グループの環境マネジメントは
「アクションECO-21」のフェーズⅣ、
進んでいると思います。2010年の
これは2012年までとなっています。
報告書においてコネクティッド・レポ
この 期 間 設 定 をどう思 い ます か。
*
ーティング・フレームワーク
(CRF)
また目標設定における総量目標と原単位目標の関係に
に取り組まれているのは日本では初めてではないで
ついて、皆さま方のご意見をお聞かせいただければ。
しょうか。今の環境マネジメントは、サプライチェーン
上妻: 企業の経営計画はどんなに長くても10年。経営計画
レベルで、ライフサイクルレベルでどこまで取り組むか
がそのような期間設定であるのに、環境だけが超長期
ということが問われています。そこをどう考えておられ
的に作れることはないでしょう。
るのか知りたい。
森澤: 社内の長期目標として、総量目標、原単位*目標どちら
野田: 環境経営に関して、社内にあるデータ
を優先するかは企業の戦略で、どちらでもいいと思い
はできるかぎりオープンにしている
ます。しかし開示については、総量目標に加えて原単位
つもりです。でも結果として分かりに
目標の双方を是非開示していただきたいと思います。
用語
解説
くい 開 示になって いるかもしれま
なぜなら、原単位が出ていれば、後発の中国やインドな
せん。もっと対外的にも分かりやす
どの企業と比較して、御社の優位性がアピールできるか
く伝えていかなければ。
もしれません。
*原単位
活動の効率性を示す指標として用いられる用語。生産や販売、生活などの活動を行う際、一定量の活動成果を
得るのに使用・排出される要素(原材料・エネルギー・各種サービス・所要時間・廃棄物など)の数量
SEI CSR Report 2011
28
田中: 御社のように事業領域が広い場合、原単位は分母を何
小原: 言葉が通じないので、教育は動画を
にするかが難しいのでは。期間設定は現在の経済状況
使って行っています。危険予知活動
を考えると3年が見通せる限界ではないでしょうか。
なども現地の言葉にして、共通レベ
ルに少しでも近づけようとしていま
松友: 総量と原単位の件。それぞれ目標
す。国々によって人々の感性も違う
設定しています。ただ、原単位目標
ので、なかなか困難ではあります。
については、生産部門に限って設定
しています。オフィスやSF6に関して
は総量にするべきと考えています。
住友電工グループの今後の環境経営への期待
総 量 の 増 減にはさまざまな原 因 が 考えられるので、
田中: 環 境と経 済 の 両 立 が 基 本ですが、アクションプラン
現場レベルでは総量で評価するのは厳しい。活動その
など、社会との共生ということでもう少し御社のカラー
ものは原単位で評価しています。
が出てくるとさらに広がりが出て来てよいのではない
でしょうか。社会からの御社への期待はとても大きい
野田: 会社全体の中期計画とリンクした環境経営ということで、
のですから。
「2012VISON」
と
「アクションECO-21」は一致している
のです。2012年が環境経営にとっても到達点です。リー
森澤: 創業100年を超える御社は、日本の高度成長を担った
マンショックで大幅にずれたところもありますが。環境や
トップランナー的存在でもあるわけです。アジアの企業
モノづくりの活動は経営にリンクしているのです。次期の
に対して、これからリーダーとして環境の面からも引っ
中期計画も内部的には検討をスタートさせていて、各部
張っていただきたいと思います。
から委員を出して、具体的な議論が始まっています。
上妻: CRFのような、先進的な取り組みをちょっとずつ進めて
福島: バウンダリー*について、財務連結範囲との整合などの
いただきたいですね。グローバルな環境規制について
論点がありますが、それについてはいかがですか。
の対応強化などは、行政に働きかけて協力を得ることも
必要かもしれません。
森澤: 排出量報告バウンダリーには財務管理、業務管理、株式
保有等がありますが、財務管理の範囲での報告を選択さ
野田: 限られた時間でしたが、各分野の第一線でご活躍中の
れる場合にはCDPでは連結での報告を推奨しています。
方々からいろいろとご意見をいただき、
「なるほど、そう
考えていいのか」
といった気づきが随所にありました。
上妻: 連 結 範 囲 の 中で、実 態としてどれくらい 環 境 負 荷を
ぜひともこれからの活動に活かしてまいりたいと思い
カバーしているのか開示してほしい、というのがもとも
ます。本日はどうもありがとうございました。
*
との発想です。バウンダリーも重要ですが、スコープ
の問題もあり、これからはもっと重層的に開示の範囲が
広がってくるように思っています。
ステークホルダー・ダイアログを終えて
海外における環境経営の拠点づくりについて
野田 茂
松友: 海外の環境法規制を把握するのが難しいと感じてい
経 営 の 最 重 要 課 題 の 一つとして
ます。中国版のチェックリストを作るのに1年かかりま
取り組 ん できた 環 境 経 営 で す が、
した。中国は何とか形にはなりましたが、今後は東南
社 外 の 有 識 者・専 門 家 の 方 々との
アジアです。調査の指示は出しましたが、どこから手を
交流は非常に有意義でした。CRFや
付けていけばいいのか悩むところです。
他 社との 共 同 モ ー ダ ルシフトなど
思いがけず高く評価していただいた点については、ますます
田中:トヨタでは地域統括会社等に環境担当・情報収集担当が
注力していきたいと思います。当日いただいたご指摘や
いて、本社に情報が集まるようになっていますが、基本
アドバイスについては、基本姿勢に関わるものやバウンダ
的には各国・地域で完結することを目指しています。
リーの問題など一朝一夕には改善できない大きな課題も
野田: 当社でも安全の監査は比較的進んでいます。そこで得た
ありますが、適切かつ分かりやすい情報開示のあり方など
知識を環境や品質に落とし込んでいっています。拠点づ
につ い ては、早 速 今 年 度 の CSR 報 告 書 でも 可 能 な 限り
くりに関しては、地域ごとに生産技術本部という形で行う
対応したいと思います。今回改めて意識を深めた、社会との
ように考えています。中国は2拠点、ASEANにも1拠点。
共生やグローバルな視点からの取り組みを具体的に検討し、
少人数ながら専門部隊を置いていこうという考えです。
環境経営の拡充・強化に取り組んでいきたいと思います。
用語
解説
29
常務取締役
SEI CSR Report 2011
*バウンダリー
*スコープ
報告の対象となる組織
報告内容範囲のことであり、バリューチェーンにおける範囲をいう
環境マネジメント
住友電工グループ経営理念に基づき、地球的視野に立っ
た、環境保全への取り組みを経営の最重要課題の一つとし
て位置づけ、
「環境方針」
を制定しています。
環境経営推進体制
全社環境委員会は、環境経営に関する審議決定機関で
あり、国内海外の関係会社を含む当社グループの環境保全
活動をグローバルに統括しています。環境専門委員会は
環境方針
(制定:1997年7月)
基本理念
住友電工グループは「持続可能な環境負荷の少な
4つのテーマについて全社環境委員会の技術的支援を行っ
ています。5つの事業本部ごとに設置されている事業本部
環境委員会は、環境経営の全社指標、中長期目標に向けて
傘下の各事業部門の具体的な活動を統括しています。
い社会を構築していくことが重要である」
との認識のも
と、地球的視野に立った環境保全活動を継続的かつ着
実に推進しながら、電線・機材・エネルギー、情報通信・
社 長
システム、エレクトロニクス、自動車、産業素材関連等の
全社環境委員会
製品およびサービスの提供を通じて、社会に貢献する。
委員長: 環境担当役員
活動指針
委 員: 人事総務部長、統轄資材部長、物流管理部長、
製作所長
(3名)、安全環境部長、品質管理部長、
1. 環境保全への取り組みを経営の最重要課題の一つと
生産技術部長、事業本部長
(5名)
して位置づけた環境経営を推進するため、全社指標と
長期目標を掲げ、計画的に活動する。その活動内容を
環境専門委員会
自主的にレビューし、継続的な改善を推進する。
●
● 事業活動における環境負荷の低減を進める。
省エネルギー専門委員会 ● ゼロエミッション専門委員会
② 省資源、
リサイクルを進める。
③ 環境汚染予防を進める。
●
製品含有化学物質管理委員会 ●
グリーン物流推進委員会
地球環境との関わり
① 地球温暖化防止への対応を進める。
● 環境に配慮した製品の提供を拡大し、
顧客要求への対応を進める。
① 製品に含有される有害物質の全廃に向けて取り組む。
事業本部環境委員会(注1)
② 製品アセスメントの展開を進める。
③ 製品LCA
(ライフ・サイクル・アセスメント)
の展開を進める。
委員長: 事業本部長
委 員: 本部長代行者、
2. 環境マネジメントシステム運用の強化と拡充を進める。
事業部門(関係会社)環境推進責任者
内部環境
監査チーム
● 組織で働く又は組織のために働くすべての人に対し
て環境方針を周知させるとともに、環境保全に対する
意識向上のための教育を行う。
地区環境委員会(注2)
● 環境監査を実施し、
環境マネジメントシステム及び環
境保全活動を、
レビューし、維持向上に努める。
3. コンプライアンスの維持向上を進める。
事業部門
事業部門
● 法令、条例及びその他の順守はもとより、自主的基準
を設けその維持、向上に努める。
地区内関係会社
地区内関係会社
4.この環境方針は要求に応じ一般に公開する。
地区外関係会社
地区外関係会社
海外関係会社
海外関係会社
関係会社 : 国内49社/海外100社
(注1)事業本部環境委員会は、電線・機材・エネルギー事業本部、情報通信・システム事業本部、
エレクトロニクス事業本部、自動車事業本部、産業素材事業本部に設置
(注2)地区環境委員会は、住友電工の大阪製作所、伊丹製作所、横浜製作所に設置
SEI CSR Report 2011
30
環境マネジメント
教育・訓練
新環境監査
社員一人ひとりの環境意識向上と環境知識レベルアップの
当社グループでは、ISO14001環境マネジメントシステム
ため、全社員を対象に地球環境対策の歴史や、住友電工グル
の取得を推進し、内部監査および外部監査による環境マネジ
ープの環境方針・アクションECO-21運動について教育して
メントシステムの継続的改善に努めています。また、さらなる
います。2010年度からは、階層別研修として、環境全般や、
法令遵守の徹底および環境負荷の低減を図るべく、2008年
環境法規、化学物質管理、地球温暖化に関しても体系的な
度から国内の製造拠点に対して、2010年度からは海外の製
教育を開始し、
38回開催して622名が参加しました。
造拠点に対しても、環境関連法および「アクションECO-21」
研修体系
研修メニュー
環境自覚教育
環境全般
分野別
●
SEIグループ環境活動
法規・コンプライアンス
一般研修
の取り組みを主体とした新環境監査を実施しています。
研修名
国内に関しては、環境関連法の23法令120項目と所在地
法規ポイント教育
の県・市町村条例に基づいた監査を行っています。
ISO14001
ISO14001内部監査員教育
省エネ
省エネ手法と改善教育
ECOライフ
SEIグループECOライフ活動
廃棄物
廃棄物の分別と処理内容
リサイクル関係法4法令
廃棄物関係法2法令
環境監査対象法
23法令
PRTR法
化学物質
法令遵守状況の確認
環境関連法規教育
エネルギー関係法1法令
化学物質関係法3法令
製品含有化学物質管理
化学物質管理
階層別研修
環境全般、分野別
出前研修
分野別
公害関係法13法令
環境法規、化学物質管理、省エネ
省エネ
省エネ手法と改善教育
海外に関しても、国内と同様に立地する国・地域の環境関連
その他
その他教育
法に基づいた監査を実施しています。
2010年度より開始
環境会計(新集計開示様式)
財務項目(注1)
投資額
(百万円)
2010年度のCSR報告書からコネクティッド・
方を参考にした、新たな開示様式で環境会計
費用,変動要因分析などを追加するとともに、
アクションECO-21(Phase Ⅲ)では集計対象
外であった部門を遡及して加えました。
エネルギーコスト
削減額(注2)
省エネ投資額(注2)
温室効果ガス削減
本年はさらなる充実を図るべく、社会活動
経済効果
(百万円)
2008 2009 2010 2008 2009 2010 2008 2009 2010
レポーティング・フレームワーク(CRF)*の考え
を集計し開示しています。
費用
(百万円)
570
345
642
227
384
414
集計範囲:住友電工 + 国内関係会社
(注1)2010年度開始のアクションECO-21(Phase Ⅳ)集計範囲
に合わせ、2008,2009年度の値を遡及修正しました。
(注3)投 資には資 源 の 効 率 的 利 用に関するものは含 んでいま
せん。発生した廃棄物の減量化,リサイクルに関するもの
を対象にしています。
(注4)費用は廃棄物処理業者への支払額を基準にしています。
また費用,経済効果とも金属類は含んでいません。
廃棄物削減
(注2)安全環境部省エネルギー推進室にて「省エネ活動」
と認定
された活動に対する金額を集計しています。経済効果には、
投資を伴わない省エネ活動の効果を含みます。
省資源・リサイクル
投資額(注3)
35
37
70
廃棄物処理費(注4)
1,030 968 1,098
有価物売却額(注4)
75
70
77
(注5)2 0 0 9:アクションECO-21(Phase Ⅲ)集計範囲の2009
年度排出量
範囲増減:アクションECO-21(Phase Ⅳ)で新たに対象と
なった集計範囲の2009年度排出量
売上増減:
[アクションECO-21(Phase Ⅳ)全集計範囲の
2009年 度 排 出 量]
×
(2010年 度 売 上 高 /
2009年度売上高−1)
管理活動費用
989
実増減:差引計算により算出
2 0 1 0:アクション ECO-21(Phase Ⅳ)全 集 計 範 囲 の
2010年度排出量
(注6)2008∼2012年度平均で1990年度比25%削減を目標と
して記載しています。
社会活動費用
14
10
12
環境損傷対応費用
52
14
28
用語
解説
31
SEI CSR Report 2011
(CRF)
*コネクティッド・レポーティング・フレームワーク
近年英国にて開発された、財務情報と非財務情報を関連
づけて開示する統合型報告スキーム
●
アクションECO-21
バウンダリーについての説明
国内・海外とも60からなるチェック項目を設定し、取り組
みおよび進捗状況の監査を行っています。
環境経営の推進にあたり、国内証券市場に上場して
2010年度末までに国内53製造拠点のうち、49拠点の監査
いる東海ゴム工業(株)、日新電機(株)、住友電設(株)、
を完了しました。残り4拠点は東日本大震災のため延期しまし
およびそれぞれの連結対象会社については、財務連結
たが、2011 年度中には完了する予定です。また海外は、当社
の 範 囲ではあるもの の、当 社グ ル ープとしての 環 境
グループが展開する30数カ国のうち、最も多くの製造拠点が
経営の範囲には含めていません。
立地する中国から開始し、14 拠点中 11 拠点の監査を完了し
環境負荷の代表指標としてのCO 2 排出量によって
ました。
2011年度は、残る中国3拠点のうち、現地資本会社の敷地
その範囲設定を評価した場合、財務連結全体でのCO2
内に立地し当該会社の環境マネジメント下にある2拠点を除く
排出量は2010年度1,400千tと推計しており、当社グ
1拠 点、タイの 全4拠 点、マレーシアの 全4拠 点 の 計9拠 点を
ループ環境経営範囲での排出量は1,259千tですから、
予定しています。
そのうち90%の報告をしていることになります。
また、上 記 上 場 会 社 3 社 グ ル ー プを除く292 社 の
環境に対する法令の遵守状況
全体に対し、当社グループ環境経営の管理対象は主に
各事業本部で海外拠点を含めた法令遵守状況を調査しま
生産部門の150社
(日本50社、中国31社、アジア30社、
したが、2010年度に重大な法規制違反の報告はありません
米 州 15 社、欧 州 他 24 社)で す が、試 算 の 結 果、CO 2
でした。なお2009年にメキシコの関係会社において行政
排出量など環境負荷カバー率は推計99%以上を確保
当局より書類提出の不備および窒素濃度の基準超過を指摘
できているものと考えています。
され、2010年に決着し罰金を納付しました。
2010年度変動要因(国内)(注5)
パフォーマンス
(国内)
(Phase Ⅳの集計範囲に合わせ遡及修正)
温室効果ガス排出量(千t-CO2 /年)
削減率(%)
800
600
530
530
559
24
24
25
200
0
2008
2009
2010
温室効果ガス排出量
温室効果ガス排出量(千t-CO2 /年)
0
800
10
600
70
目標 (年度)
(注6)
20
400
30
200
40
0
559
109
▲41
421
20
400
(2009年度値はPhase Ⅲ集計範囲)
2009
範囲増減 売上増減
実増減
2010(年度)
排出量削減率(基準:1990年度)
低減率(%)
廃棄物排出量(千t /年)
0
50
40
5.3
34.3
33.6
30
1
36.1
廃棄物排出量(千t /年)
0
50
5
40
10
20
15
10
20
30
4.5
30.5
3.1
36.1
▲2.0
20
0
2008
2009
廃棄物排出量
2010
2010(年度)
目標
25
10
0
売上高原単位低減率(基準:2009年度)
2009
範囲増減 売上増減
実増減
2010(年度)
戦略・機会とリスク
2010年に安全環境部省エネルギー推進室を新設、その後も逐次
増員し、省エネ診断や省エネ教育を大幅に強化しました。この結果、
着実な効果が見込める案件を集中させた2009年度以上の経済
効果を得ることができました。今後もこれらの活動の継続・発展を
図ります。
温室効果ガス排出量は売上の回復にともない、2009年度より
増加し、1990年度比の削減率も悪化しましたが、売上高原単位は
2009年度比で改善されて、実増減は▲41千t-CO2/年(=省エネ
効果)
となりました。
2011年度は東日本大震災の影響により、さらに徹底した省エネ
対策が必要となります。省エネルギー推進室を中心に、この難局に
対応することを含めて、アクションECO-21(Phase Ⅳ)の目標:2008
∼2012年度平均で1990年度比25%削減の達成を目指します。
地球環境との関わり
非財務項目
(注1)
売上の回復により、廃棄物排出量は2009年度比7%増加しま
したが、売上高原単位は改善され、実増減は▲2.0 千t/年となり
ました。
一方、廃棄物処理費は2009年度比13%増加しましたが、2010
年度にPCBの処理費が嵩んだことが影響しています。PCB処理費を
除くと、廃棄物発生量の増加率以下となり処理費の面でも改善され
ています。
今後もプロジェクトチームによる各事業所巡回による廃棄物の
有価物化活動、生産時の歩留の向上を軸にした廃棄物排出量の削減
に取り組んでいきます。
環境組織費用、ISO14001登録・維持費用等
管理活動費用の定義をアクションECO-21(Phase Ⅳ)から見直し、
アクションECO-21(Phase Ⅲ)では集計対象外であった部門との整合
を図りました。
社外清掃、社外環境教育等
費用の大部分は社外清掃、特に近隣地域の清掃に関するもので、
ほとんどの事業所にて実施しています。今後はこれら清掃活動を
継続する一方で、その他の社会活動も拡大していく予定です。
土壌・地下水汚染の浄化対策等
汚染が確認された事業所の地下水浄化等を継続して行っています。
SEI CSR Report 2011
32
環境マネジメント
環境経営(全社指標:環境効率)
環境効率 =環境負荷量(CO2、廃棄物量、有害物質量、
NOx、
SOx)の金額換算値/売上金額
住友電工グループは
「アクションECO-21
(PhaseⅢ)」
から、新たな環境経営
環境効率
(×10−3)
20
の全社指標として、さまざまな環境負荷量を被害算定型環境影響評価(L
IME)
手法*に基づき被害金額に換算し、その合計を売上金額で割った値を環境効率
12
と定義して採用しました。2010年度の環境負荷量は、前年より6.2%増加しま
8
したが、売上金額がそれ以上に増加したため、環境効率は2009年度の17.02
4
から9.1%低減し、15.46になりました。今後は「アクションECO-21(PhaseⅣ)」
17.02
0
16.51
15.46
16
2009基準
2010
2012目標
(年度)
集計範囲:CO2、廃棄物量は国内+海外で、
有害物質量、
NOx、
SOxは国内のみ。
(注)2010年度開始の「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に
合わせ、2009年度の値を遡及修正しています。
にて目標達成に向け、取り組みを強化していきます。
エコ
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」運動の目標 ■ 活動期間:2010∼2012年度
23項目のうち、
18項目で目標を達成しました。目標未達成項目については、引き続き目標達成に向けて取り組んでいきます。
項 目
環境効率
地球温暖化
防止
内 容
2012年度目標
[環境負荷量
(CO2、廃棄物量、有害物質量、
NOx、
SOx)
の
金額換算値/売上金額]
2009年度比
(1)
温室効果ガスの排出量削減
(国内)
・京都議定書対応目標
2008∼2012年度平均で
1990年比 25%削減
(2)
温室効果ガスの排出量削減
(国内外)
・住友電工グループのグローバル目標
2007年度比
5%削減
2007年度比
①省エネによる原単位低減
[原油換算使用量/売上金額]
2009年度比
6%低減
②非エネルギー起源の温室効果ガスの排出量削減
・六フッ化硫黄ガス
(SF6)
等削減:CO2 換算
2009年度比
③本社・支社のオフィスでの省エネ
[原油換算使用量/床面積]
④物流での温室効果ガスの排出量原単位低減
3%低減
1%低減
事業活動における環境負荷の低減
顧客要求対応・環境配慮製品
製品含有
化学物質管理
環境配慮
製品の拡大
評価
9.1%低減
◎
20%削減
△
2%削減
4.7%削減
◎
2009年度比
2%低減
4.6%低減
◎
3%削減
2009年度比
1%削減
40%削減
◎
2009年度比
3%低減
2009年度比
1%低減
8.8%増加
▼
2009年度比
3%低減
2009年度比
1%低減
1.5%低減
○
201t /年削減
▽
0.5%
○
5.3%低減
◎
20%
○
2009年度比
2008∼2012年度平均で
1990年比 25%削減
2007年度基準で
2007年度基準で
1,000t /年削減
(1)
国内平均ゼロエミッション率低減
0.5%以下
0.5%以下
(2)
廃棄物排出量の原単位低減
(国内)
[廃棄物排出量/売上金額]
2009年度比
(3)
海外平均ゼロエミッション率低減
5%以下
(4)
製品梱包材使用量の原単位低減
[製品梱包材使用量/売上金額]
2009年度比
3%低減
2009年度比
1%低減
2.5%低減
◎
(5)
水使用量の原単位低減
[水使用量/売上金額]
2009年度比
3%低減
2009年度比
1%低減
7.0%低減
◎
(1)
VOC排出量の削減
(国内)
・対象は1事業所当たりの大気への年間排出量2t以上のVOC
2009年度比
9%削減
2009年度比
3%削減
3.5%増加
▽
(2)
VOC排出量の削減
(海外)
2010年度内目標設定
2010年度内目標設定
(3)
トリクロロエチレン全廃
全廃
全廃
設備導入準備中
△
(4)
有害物質の全廃継続
・水銀(Hg)
、カドミウム
(Cd)
、六価クロム
(Cr6+)
全廃継続
全廃継続
全廃継続
○
(1)化学物質
(毒劇物等含む)
管理強化
管理システム構築・
運用
管理システム構築・
運用
(1)
製品含有化学物質管理体制の強化
・含有化学物質情報の管理強化
REACH対応可能な
体制整備完了
REACHへの的確な
対応継続
規制情報把握
○
含有全廃を継続
全廃継続
○
3%低減
2009年度比
1%低減
20%以下
有害化学物質の
排出量削減
化学物質管理
強化
2010年度実績
5,000t /年削減
⑤ECOライフによるCO2 削減
省資源、
リサイクルの
推進
2010年度目標
(2)
有害化学物質の使用全廃(RoHS,ELV対応)
・製品への非含有保証
(顧客要求)
に対応
含有全廃を継続
(顧客ごとに対応)
目標設定
(2010年度比 2%削減)
構築完了
(2011年4月より稼動)
○
○
(1)
エコマインド品(製品アセスメント実施品)
の登録拡大
・指標は登録率
[登録品数/新製品数]
100%
新製品全て実施
100%実施
(49件 登録)
○
(2)
エコ製品売上比率増
2010年度内目標設定
2010年度内目標設定
目標設定
(2012年度に50%超)
○
(3)
地球温暖化対策製品によるCO2削減
2010年度内目標設定
2010年度内目標設定
目標設定
○
(2012年度に50千t/年)
凡例 ◎:目標大幅達成
(概ね150%超)
○:目標達成 △:目標未達
(前年度より改善)
▽:目標未達
(前年度と横ばい)
▼:目標未達
(前年度より悪化)
(注)2010年度からの「アクションECO-21(PhaseⅣ)」移行に伴い、対象範囲を拡大し、住友電装(株)、住友電工デバイス・イノベーション
(株)等を加えています。
用語
解説
33
SEI CSR Report 2011
* 被害算定型環境影響評価(LIME)手法
Life-Cycle Impact Assessment Method Based on Endpoint Modelingの略で、
製品やサービスに対する環境への影響評価手法のひとつ
環境負荷マテリアルフロー
設計
I N PUT
OUT PUT
資材
温室効果ガス
銅
262千t
CO2
鉄
378千t
CO2以外
(CO2換算)
アルミニウム
22千t
樹脂
55千t
化学物質
11千t
2,043百万kWh
LPG
9千t
NOX *
499t
SOX *
101t
燃料
(原油換算)
化学物質
生産
大気
111t
水域
41百万m3
都市ガス
24千t
大気汚染物質
エネルギー
電気
1,235千t
5t
産業廃棄物
189t
16千kl
廃棄物
水
11,716千m3
製品梱包材
1,266t
13千t
産業廃棄物排出量
46千t
再資源化量
48千t
排水
輸送燃料
(原油換算)*
●
化学物質:
PRTR法および相当する海外の法令に
基づく化学物質
●
電気:
電力会社からの購入電力
●
燃料:
重油、灯油、軽油
水:
上水、工業用水、井水
(地下水)
●
15千kl
●
製品梱包材:
製品使用の段ボール、紙、樹脂、木製の梱包材
●
紙:
工場・オフィスで使用するコピー用紙、
コンピュータ用紙等
●
輸送燃料:
ガソリン、軽油等
製品
製品出荷量
輸送
CO2排出量 *
使用
10,293千m3
地球環境との関わり
紙
37千t
一般廃棄物排出量
473千t
40千t
●
CO2:
電気、
ガス、
燃料の使用に伴って発生する二酸化炭素
●
CO2以外の温室効果ガス:
SF6、HFC、PFCガス等の二酸化炭素換算
●
NOX:
ガス、燃料の使用に伴って発生する窒素酸化物
●
SOX:
燃料の使用に伴って発生する硫黄酸化物
●
一般廃棄物:
事業活動に伴って生じた廃棄物のうち産業廃棄物を
除く廃棄物
(紙くず、木くず、繊維くず等)
産業廃棄物:
事業活動に伴って生じた廃棄物のうち
「廃棄物の処理
および清掃に関する法律」で定める廃棄物(汚泥、
廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック、金属、
ガラス
・陶磁器、燃え殻等)
●
●
排水:
工場からの生産系排水および生活系排水
集計範囲: *印・
・
・住友電工 + 国内関係会社 *印以外・
・
・住友電工 + 国内関係会社 + 海外関係会社
SEI CSR Report 2011
34
地球温暖化防止
生産部門
温室効果ガス排出量の削減
CO2排出量 変動要因分析(国内+海外)
CO2 換算排出量
(千t-CO2 /年)
192
1,400
国内
2010年 度は、景 気 の 回 復に伴 い、国 内に
おける温室効果ガスのCO2換算排出量が559千t-CO2と、
800
とした削減率は、
20%と社内目標の25%には届きません
600
でした。しかし、京都議定書で日本が約束した6%削減目標
400
2011 年度は、東日本大震災の影響により、ピーク電力
の削減に取り組んでいますが、電力不足が中長期的に続く
リスクに対応するため、省エネ投資を積極的に進めており、
体質強化とCO2 排出量削減を図っています。
温室効果ガスのCO2換算排出量と削減率(国内)
14
24
24
20
25
530
530
559
526
701
605
0
2009
範囲増減
売上増減
実増減
2010
(年度)
(注)2 0 0 9:アクションECO-21(Phase Ⅲ)集計範囲の2009年度排出量
範 囲 増 減:アクションECO-21(Phase Ⅳ)で新たに対 象となった集 計 範 囲 の
2009年度排出量
売上増減:
[アクションECO-21(Phase Ⅳ)全集計範囲の2009年度排出量]
×
(2010年度売上高/ 2009年度売上高−1)
実増減:差引計算により算出
2 0 1 0:アクション ECO-21(Phase Ⅳ)全集計範囲の2010年度排出量
今 年 度より、
CO2排 出 量 の 変 動 要 因 分 析を公 開してい
0
600
760
200
は大きく超えて達成しています。
800
1,259
▲67
1,000
前年より若干増加しました。このため、1990年度を基準
CO2 換算排出量
(千t-CO2 /年)
1,000
374
1,200
削減率
(%)
0
10
20
30
ます。2009年度と比較すると、売上高が増加したために、
192千t-CO2程度、増加するところでしたが、各種省エネ
活動を推進した結果、想定された値より、
67千t-CO2の削減
を果たしています。
400
200
0
国内
1990
基準
2007
2008
2009
2010 2008∼2012平均(年度)
目標
グローバル地域別CO2排出量
(千t-CO2 /年)
削減率
欧州 他
中国
53
国内 +海外
海外を含めた当社グループ全体では、温室
275
2010
259千t-CO2と、前年度
効果ガスのCO2換算排出量は1,
2010
日本
米州
559
108
より増 加しましたが、基 準 の2007年 度から4.7%削 減し、
アジア
2010年度目標はクリアしています。
264
温室効果ガスのCO2 換算排出量と削減率(国内+海外)
CO2 換算排出量
(千t-CO2 /年)
0
2,000
1,500
16
1,321
1,110
14
1,134
4.7
1,259
5
削減率
(%)
0
10
20
1,255
日本での排出量が、現時点では最も多い状況ですが、中国
をはじめとする、アジア圏からのCO2排出量も多いことが
わかります。これらの 国はエネル ギー 効 率 が日本よりも
比較的低い傾向にあるため、積極的に省エネ活動を推進し
500
国内+海外
2010
2010
1,000
0
2010
ていきます。
2007
基準
2008
2009
2010
2012
目標
(年度)
削減率
環境情報の取り組み
2010年度も、
CDP*の質問に対する対応を継続しています。
(注1)購入電力のCO2 排出係数
[国内]地域ごとの電力事業者公表の2000年の排出係数
(ただし、1990年についてのみ同1990年の排出係数)
[海外]日本電機工業会「各国における発電部門CO2 排出原単位の
推計調査報告書」
(2004年)記載の国ごとの2000年の排出係数
(ただし、1990年についてのみ同1990年の排出係数)
購入電力以外のCO2 排出係数
[国内・海外共通]環境省「事業者からの温室効果ガス排出量算定方法
ガイドライン」
(2003年)
の排出係数
(注2)2010年度開始の「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、過年度の値を遡及
修正しています。
2010年度 温室効果ガス排出量(千t- CO2 /年)
スコープ1
225
スコープ2
1,034
スコープ3
40
(注1)スコープ1:化石燃料等の使用による事業所からの直接的排出 スコープ2:事業所外から供給された電力や蒸気の使用による間接的排出 スコープ3:物流や製品の使用、出張等その他の間接的排出
(注2)上表のスコープ3の集計対象は物流データのみです。
用語
解説
35
SEI CSR Report 2011
(CDP)
*カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト
機関投資家が連携し、企業に対して気候変動への戦略や具体的な
温室効果ガスの排出量の公表を求めるプロジェクト
省エネルギー活動推進による原単位低減
2010年度に省エネルギー推進室を新設、社内専門家に
よる省エネ診断を国内、海外でも積極的に推進しています。
2010年度は国内10拠点、海外10拠点で省エネ診断を実施、
省エネ
REPORT
741件の省エネを提案しました。
2010年度より、提案テーマの設備改善の具体化のため
に、コンプレッサーを中心に 電力データ等を計測する詳細
診断も開始、5拠点を診断しました。これらの省エネ改善
活動の結果、エネルギー使用量は増加しましたが、売上高
原単位では、4.6%低減しました。
また、
2011年度は、東日本大震災の影響により、東京・東
「ピーク電力15%削減」
という
喫緊の省エネ課題に
製作所の総力を結集して挑む。
生産技術部 設備技術部 主席
内藤 博明(左) 畑中 一郎(右)
生産技術部 設備技術部 横浜設計グループ 主席
北および関西電力管内の部門・関係会社のピーク電力の削減
が必要となり、省エネルギー推進室をはじめとした生産技術
本部が一丸となって、ソフト・ハード面から支援しています。
2011 年3月11日の東日本大震災の影響により、東京電力
エネルギー使用量と売上高原単位
40
エネルギー使用量
(百万MJ /年)
25,000
横浜製作所独自の
省エネプロジェクトチームを立ち上げ。
38
38
原単位
(kL/億円)
40
管内において7月から電力の総量規制が行われました。2010
年度使用最大電力(ピーク電力)の15%削減が義務づけられる
38
23,964
20,570
22,946
36
計画を支援しています。主に通信ケーブルや光通信用のデバ
15,000
イスを製造している横浜製作所では、震災後の4月に私たちが
10,000
リーダーとなって「電力抑制会議」
を立ち上げました。
5,000
0
国内+海外
2007
2008
原単位
2009
基準
2010
2012
目標
(年度)
(注1)
エネルギー原単位には原油換算値を用いています。
(注2)2010年度開始の「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、過年度の値を遡及
修正しています。
さまざまなシミュレーションのもと
思い切った省エネ対策を実施。
地球環境との関わり
20,489
20,000
ことになり、生産技術本部が管内の各部門・各関連会社の節電
複 数 の 工 場 が 存 在 す る 横 浜 製 作 所 全 体 の 契 約 電 力 は
14,900kW。その15%といえば2,230kWです。もともと省エネ
非エネルギー起源の温室効果ガスの排出削減
SF6を電力ケーブル・電力機器の絶縁試験用や照射製品
製造時の絶縁用等に使用している他、少量のメタンやハイド
ロフルオロカーボン
(HFC)
を製品製造や試験などの用途に
使用しています。これまでにSF6ガス回収率向上や代替絶縁
ガスの検討などを進めてきた結果、国内、海外を合わせた
24千t
グ ル ー プ 全 体 のSF6など温 室 効 果ガス排 出 量 は、
を進めている横浜製作所にとっては極めて厳しい数字でした。
省エネ・節電の上積みだけでは達成
できないため、7月から8月上旬にか
けては社員の休みをずらす輪番休日
や輪番連休などの操業対応を実 施。
ほかにも冷凍機の統合や空調、照明
の高効率化を進めるとともに、事務所
の窓に遮光シートを貼る、使用エリア
2010年度削減率は40%となり、目標の2012
-CO2 /年、
続けています。8月にはコージェネ
年度3%削減に対し大幅に改善しました。
レーションシステム(自家発電機)が
2台、9月には4台が稼働を開始する
SF6など温室効果ガスの国内、海外の排出量
0
50
41
40
38
39
30
予 定 で 操 業 対 応 も 終 了します が、
3
CO2 換算排出量
(千t-CO 2 e /年)
40
高効率冷凍機への統合
を集 約 するといった 地 道 な 努 力を
38
削減率
(%)
0
電力の状況は今後もどうなるか分か
20
りません。横浜製作所では各部門の
40
使用電力をWebサイトにて公開し、
照明器具のLED化
社員一人ひとりの省エネ意識向上を
24
20
徹 底して い きま す。そして 全 員 で
10
この非常事態を乗り越え、これからも
0
2007
国内+海外
削減率
2008
2009
基準
2010
2012
目標
(年度)
(注2)2010年度開始の
「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、過年度の値を遡及
修正しています。
製作所の総力をあげて省エネに取り
組んでいきたいと考えています。
現在の電気使用量が分かるWebサイト
SEI CSR Report 2011
36
地球温暖化防止
オフィス部 門 で の 省 エ ネ ・ 家 庭 で の 省 エ ネ
オフィスでの省エネ
家庭での省エネ
(大阪本社、東京本社、中部支社、豊田事業所)
住 友 電 工 グ ル ー プ で は、家 庭 で のECOライフ 活 動 を
オフィス部門の温室効果ガスの排出削減は、
2012年度に
2009年度比3%削減を目標としています。本社・支社・支店
を対象に職場ごと
(部またはグループ単位)に「職場ECO
活動推進委員」正副2名を任命し、委員は以下の諸対策の
リーダーとしてルール化を行い、活動を推進しています。
①「ウォームビズ」
や
「クールビズ」の実施
2008年度から展開しています。2009年度には参加者が
5,000組を超えたこともあり、2010年 度からは、
「2012
年度に家庭からのCO2排出量を2007年度基準で5,000t
削減する」
ことを目標に掲げて取り組んできました。
2010年度は目標の「年間1,000t削減」
に対して実績が
201tと低調でしたが、環境家計簿の積極的な活用を目指し、
②昼休憩時の一斉消灯
家庭での取り組みを入力すれば簡単にCO2削減量が集計
③会議室、
トイレの未使用時の照明、エアコンの電源OFF
される
「エコライフ集計ツール」を独自に開発し、説明会で
④パソコンのECOモード導入
社内PRに努めた結果、2011年7月時点では400tの削減を
⑤その他不要照明の消灯、減灯など
実現しています。2011年7月時点での参加者は7,500家族。
1人1日1kgのCO2削減を達成した家族には、すみでんフレ
ンド(株)(P53参照)の鉢植えを提供するなど、活動のさらな
る活性化を図っています。
また、東日本大震災の影響により、東京・東北電 力 管 内
での節電を進めるため、オフィス部門に対する省エネ診断
や、省エネ研修などを実施、省エネマインドの喚起を図り
ました。
CSR VOICE
我が家の年中行事「キャンドルナイト」
ASブレーキシステムズ
(株) 伊丹生産部 ブレーキ第二生産技術グループ 小林
美保
今日はろうそくの灯りでご飯を食べるんだね! 我が家では4年前
住友電工デバイス・イノベーション
(株)
山梨事業所での省エネ研修
から、夏至と冬至の日に、夜、電気を消してろうそくの灯りで過ごすの
が楽しみな年中行事になりました。
「100万人のキャンドルナイト」
と
●
エネルギー使用状況の推移(オフィス部門)
呼ばれるイベントです。1年で一番日が長くなる
「夏至」
と一番短く
2010年夏の猛暑の影響により、オフィス部門の床面積
なる
「冬至」。この地球にとって特別な日に灯りを消して大切な家族
と地球や環境のことを考えてみる。不思議なほど想いが 広がって
当たりの原油換算使用量は増加し、8.8%悪化しました。今後
いきます。皆さんも如何ですか。先日、事務所と、子供の保育園に
はオフィス部門での省エネをさらに推進し、改善を図ります。
キャンドルナイト呼びかけのポスターを貼らせてもらいました。
我が家では、子供が「車はCO 2が出るから、保育園の送り迎えは車
じゃなくていいよ」
と言ってくれたりします。先日、
シャワーを1分減らす
本社・オフィスでの原油換算使用量/床面積
原油換算使用量/床面積
(kl /千m2)
-8.8
0
40
30.6
30
23.8
27.0
3
29.3
26.2
削減率
(%)
-10
0
10
聞いて、お風呂で子供と一緒に
「30数え
るから、
この間にどれくらい髪を洗えるか
やってみようか」
などとやってます。ECO
ライフ活動が始まって、簡単にできること
20
はやり尽くした感がありますが、子供の
目線でアンテナを張っていると興味が
10
尽きません。
「ECOライフ活動」
もっと
0
2007
原油換算使用量/床面積
37
だけでも、大きなCO 2 削減効果あると
SEI CSR Report 2011
2008
2009
基準
削減率
2010
2012
目標
(年度)
もっと広がっていくといいですね。
物流部門〈グリーン物流〉
輸送におけるCO2排出量を減らすために
モーダルシフト推進への取り組み
住友電工ではグループをあげてCO2排出量の削減に取り
当社では長距離大量輸送貨物(輸送距離500km以上)を
組んでおり、
2010年度の住友電装(株)を含むグループ全体
中心にモーダルシフト(トラック輸送からCO2排出量の少な
の基準値当たりCO2排出量は2009年度から約1.5% (※)
い鉄道または船舶による輸送への転換)の推進に積極的に
減少しました。
取り組んでおります。
グループ全体(住友電装(株)を除く)では、
2009年度に対して
2009年度は2008年度下期に発生した世界同時不況の
CO2削減対策に取り
輸送量も、
CO2排出量も増えましたが、
あおりを受けて貨物量が減少し、輸送ロットが小口になった
組んだ結果、輸送量当たりCO2排出量は約0.5%減少しました。
ことから、鉄道や船舶の使用比率が低下しましたが、2010
・大阪製作所から国内の拠点に輸送するワイヤーロッドに
年度は生産量の回復を受けて鉄道輸送の拡大を積極的に
ついて、発 注ロットの 変 更や生 産 工 程 の 調 整を行 い、
進めました。
鉄道に適した数量にまとめることで、出荷量の80%以上
当社は古河電気工業(株)様と31フィート大型コンテナ
を鉄道コンテナで輸送しました。
を使ったラウンド輸送を共同で行っています。当社は大阪か
・栃 木 住 友 電 工(株)から九 州 へ の 船 舶 輸 送にお い て、
陸送距離の短い航路の利用率を高めています。
使用して古河電気工業(株)様は、日光工場から尼崎工場まで
・住友電工スチールワイヤー(株)では鉄道や船舶の輸送
に有利な関係会社に鋼線の生産をシフトしてトラック
輸送を抑えています。
年度から約3.1%減少しています。
排出量を削減しました。
この共同輸送を含め、お客さまとの納期調整や、
コンテナ
に積 載しやすい 梱 包 形 状や 大きさへ のロットまとめ等を
行い、
2009年度から0.
5ポイントの改善となりました。
CO2 排出量原単位 (基準値当たりCO2排出量) の推移
(t-CO2/百万t・km)
(t-CO2/億円)
6.00
5.51
110.0
5.17
5.34
109.7
5.50
5.00
4.36
106.0
4.23
106.5
104.0
4.50
104.5
102.0
103.0
100.0
0
類似のラウンド輸送をパナソニック(株)様とも行っており、
2006
2007
2008
住友電工グループ
(住友電装
(株)
を除く)
102.5
2009
2010(年度)
モーダルシフト率の推移
(%)
14
13
4.00
12
3.50
11
0
10
12.1
12.6
12.9 12.8 13.0
12.0
地球環境との関わり
等を行い、
2010年度の売上高当たりCO2排出量は2009
108.0
伸銅品を運び、再び当社の大阪に戻します。
これらの 共 同 輸 送によって、
2010年 度には110t の C O2
一方、住友電装(株)
でも、定期便の効率化や積載率の向上
112.0
ら宇都宮へワイヤーロッドを運びます。その同じコンテナを
12.5
11.2
9.9
9
住友電装
(株)
8
住友電工グループ
(住友電装
(株)
を除く)のCO2 排出量の推移
年度
輸送量
(百万t・km)
CO2排出量
(t-CO2)
0
輸送量当たりCO2排出量
(t-CO2/百万t・km)
2006
240.7
26,395
109.7
2007
260.0
27,690
106.5
2008
231.8
24,229
104.5
2009
220.9
22,741
103.0
2010
234.8
24,068
102.5
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010 (年度)
(注)
集計範囲:主要6拠点
(大阪、伊丹、横浜、鹿沼、熊取、信楽)
モーダルシフト率
(%)=
鉄道・船舶を利用した貨物量
国内の全貨物量
×100
(注1)集計範囲: 住友電工 + 国内製造会社 39社(住友電装
(株)
を除く)
(注2)算定方法: 改良トンキロ法+燃費法
住友電装(株)のCO2 排出量の推移
年度
売上高
(億円)
CO2排出量
(t-CO2)
売上高当たりCO2排出量
(t-CO2/億円)
2006
3,904
21,493
5.51
2007
4,238
21,894
5.17
2008
3,480
18,570
5.34
2009
3,480
15,182
4.36
2010
3,761
15,903
4.23
(注)算定方法: 改良トンキロ法+燃費法
古河電気工業(株)様との共同輸送
(31フィートコンテナ)
(※)住友電工グループの中で、住友電装(株)は売上高を、それ以外は輸送量(トンキロ)を基準値としているため、それぞれの対前年度比削減率をCO2 排出量に応じて加重平均して算出した数値
SEI CSR Report 2011
38
省資源・リサイクルの推進
ゼロエミッションの取り組み(国内)
2010年度廃棄物の内訳
(国内)
従来より、ゼロエミッション率を1%以下にする活動に取り
組み、2009年度に住友電工グループ全体としてのゼロエ
単純焼却・埋立処分された廃棄物の量
合計: 224t/年
ミッション率1%以下を達成しました。
対象範囲を住友電装グループ等へも拡大したうえで、2012
8,815t/年
廃棄物量
49
廃プラスチック
44,887
t/年
29
汚泥
17
ガラス・陶磁器くず
60
その他
年度のゼロエミッション率到達目標を0.5%に強化した活動
有価物
8,374t/年
69
廃油
2010年度からの「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」では、
熱回収
マテリアルリサイクル
27,474t/年
を行っています。また、廃 棄 物 の 排 出 量 売 上 高 原 単 位 の
再生利用された循環資源の量 合計 : 36,289t/年
目標も新たに設 定し、有 価 物 転 換 等による排 出 量 削 減を
7,111
廃アルカリ
推進しています。
5,997
汚泥
2010年度は、ゼロエミッション率0.5%、排出量売上高
5,647
廃酸
原単位低減率5.3%と、ともに前年度比改善となりました。
4,878
廃プラスチック
4,721
廃油
3,215
紙くず
ゼロエミッション率
(%)=
単純焼却量 + 埋立量
×100
産業廃棄物排出量 + 一般廃棄物排出量
2,975
金属くず
1,744
その他
(注)
分母には、2001年度以降にそれまで廃棄物であったものを
自社改善により有価物に転換した量を含みます。
ゼロエミッションの取り組み(海外)
国内廃棄物量とゼロエミッション率
ゼロエミッション率(%)
廃棄物量
(千t /年)
3
60
1.0
50
45.7
9.7
40
42.3
39.6
8.7
30
34.9 8.6
4.4
34.6
20
30.2
30.1
33.2
2
0.5
0.5
1
0
44.9
1.4
0.7
2007
※
2008
※
有価物
リサイクル
0.4
物処理事情はさまざまであり、リサイクルの難しいものも
のリサイクル、廃プラスチック類の燃料化、セメント原料化
などに取り組んでいます。
2010年度の実績は、排出量52.2千t/年、ゼロエミッション
35.8
率は20%となりました。今後、廃油等排出量の多い廃棄物
0.4
2009 2009
※
基準
焼却・埋立
のゼロエミッション率低減を目標に加えました。各国の廃棄
ありますが、製品くずの分別、有価売却化、汚泥のレンガへ
8.8
10
0
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」から海外グループ会社
のリサイクルを進めるなどにより、2012年度のゼロエミッ
0.2
2010
2012
目標
(年度)
ション率5%を目標とした活動を推進していきます。
ゼロエミッション率
(注1)2010年度開始の
「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、
2009年度の値を遡及修正しています。
※は
「アクションECO-21(Phase Ⅲ)」集計範囲の値です。
(注2)有価物は2001年度以降にそれまで廃棄物であったものを
自社改善により有価物に転換したものです。
海外関係会社廃棄物量とゼロエミッション率
ゼロエミッション率(%)
廃棄物量
(千t /年)
30
26
70
20
2009年度のゼロエミッション率が未達成であった拠点
を中心に、汚泥、廃油、廃プラスチック、ガラス陶磁器くず、
20
60
52.2
50
10
紙くずなどのリサイクルを推進しました。排出量売上高原単
位低減では、モノづくりの基本として生産現場における不良
5
38.1
40
29.1
0
くずの低減が第一ですが、発生した廃棄物に対しては減量
30
19.4
化にも注力しています。具体的には、水溶性潤滑油の濃縮
や廃溶剤から溶剤の回収等です。また、分別や売却先検討
20
0.9
により、廃棄物から有価物への転換も促進していきます。
15.1
1.2
7.1
10
7.2
0
2007
※
有価物
14.3
13.2
2.3
8.7
6.9
4.4
4.1
2008
※
リサイクル
8.7
12.6
10.0
10.6
2009 2009
※
基準
2010
焼却・埋立
ゼロエミッション率
(注)2010年度開始の
「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、
2009年度の値を遡及修正しています。
※は
「アクションECO-21(Phase Ⅲ)」集計範囲の値です。
39
SEI CSR Report 2011
2012
目標
(年度)
製品梱包材使用量の削減
海外の処理状況(タイの場合)
製品梱包材削減の取り組みとしては、段ボール箱の設計
Sumitomo Electric Wintec (Thailand) Co.,Ltd.(WIN-T)
変更による軽量化、材質変更による通い箱化、過剰梱包の
タイでは、廃棄物はHazardous wasteと一般廃棄物に
見直し、再使用などの活動を行っています。
分類されます。Hazardous wasteは、油や溶剤、酸、アルカリ、
2010 年 度 の 梱 包 材 使 用 量 は37.4 千tと2009 年 度 比
有害物など厳しい管理が要求されるもので、許可業者での
14%増加していますが、売上も増えている影響で、売上高
処理や、保管中の漏洩防止、処理委託時の管理票発行などが
原単位としては、2.5%の改善となりました。引き続き削減
決められています。一般廃棄物はそれ以外の廃棄物で、リサ
活動に取り組んでいきます。
イクル可能な物のほかは埋立処理が一般的となっており、
ゼロエミッション推進のためには、分別、リサイクルが重要
製品梱包材使用量
です。
使用量(千t /年)
タイのWIN-Tでは、生産過程から排出する不要物のうち、
50
2.5
製品製造で使用できなくなった潤滑液を業者に委託し、焼却
40
37.4
時の熱で発電をするサーマルリサイクルを行っています。
業者に委託して、適切なリサイクルを進めています。また、
事業所構内のゴミ入れもタイのリサイクル施策に従い、色別
3
0
5
10
32.8
30
10.5
8.4
製品関係のくずとして発生した廃プラスチックや金属くずは
有価売却されています。Hazardous wasteについても、
原単位低減率
(%)
0
20.1
20
10.3
2.4
0.6
10
6.9
0
2007
※
で分別しやすくしています。
木材
樹脂
5.4
15.2
8.4
1.9
0.4 4.5
15.1
1.8
0.4
2008
※
紙
7.5
5.8
2.1
1.9
17.2
18.9
2009 2009
※
基準
2010
5.4
段ボール
2012
目標
(年度)
原単位低減率
水使用量の削減
不要物の分別の例
構内ゴミ入れの例
水使用量の削減については、2008年度から
「アクション
ECO-21(Phase Ⅲ)」の活動項目に取り込み、積極的に取り
地球環境との関わり
(注)2010年度開始の
「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、
2009年度の値を遡及修正しています。
※は
「アクションECO-21(Phase Ⅲ)」集計範囲の値です。
組んでいます。基準の2009年度と比べ2010年度は生産
使用済み製品のリサイクル
量 の 増 加によって水 使 用 量も増 加していますが、漏 水 の
製品をお客さまへ提供した後、使用済みの電線・ケーブル、
対応、節水活動などにより売上高原単位は7.0%の改善と
光ファイバケーブ ル、切 削 加 工 用 超 硬 合 金チップおよび
なりました。
ケースを回収し、製品用原料などに再生利用しています。
事業所の取り組みでは、住友電工プリントサーキット
(株)
回収された電線・ケーブルのリサイクル率はほぼ100%です。
において工程排水のろ過・循環設備を導入し、2010年度は
超硬合金チップの原材料であるタングステン、コバルト等
3
を削減しました。
55千m(使用水量の20%)
のレアメタルは、ほとんどを輸入に依存しています。特に、
タングステンは資源が偏在しており、何らかの要因で供給が
制限されると、原材料の調達が非常に困難になります。住友
電工グループでは、原材料の安定確保と希少資源の有効
活用の観点から、
「亜鉛処理法」、
「湿式化学処理法」
という
2種類のリサイクル技術を活用して、超硬合金チップの国内
販売全量を国内でリサイクルできる体制を確立しました。
水使用量
原単位低減率
(%)
0
使用量(千m3 /年)
3
18,000
7.0
16,000
5
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
10,776
8,100
7,800 4,501
2,168
5,352
5,657
5,186
5,632 6,276
6,364
2007
※
2008
※
2009 2009
※
基準
2010
7,364
10
11,716
2,178
2,443
0
0
国内
海外
2012
目標
(年度)
原単位低減率
(注)2010年度開始の
「アクションECO-21(PhaseⅣ)」集計範囲に合わせ、
2009年度の値を遡及修正しています。
※は
「アクションECO-21(Phase Ⅲ)」集計範囲の値です。
超硬合金チップ
SEI CSR Report 2011
40
有害化学物質の排出量削減
VOC排出量の削減
PRTR法指定化学物質の排出・移動量
住友電工グループは、
2006年度から当社と国内関係会社
当社と国内関係会社はPRTR法*により指定された化学
において1事業所からの1物質当たりの年間大気排出量が
物 質につ いて当 社で開 発したPRTRシステムで取 扱 量を
5t以上の揮発性有機化合物(VOC)
を対象に大気への排出量
月次把握するとともに、排出・移動量を算出し、法に基づい
を削 減する活 動を進めてきましたが、なお一 層 の 排 出 量
て年度ごとの届出を行っています。当社大阪製作所および
削 減 を 図るために「アクション ECO-21
(Phase Ⅳ)」では
横浜製作所と関係会社29社の合計45事業所が2010年度
年 間 排 出 量 が2t以 上 のVOCに活 動 対 象を拡 大するとと
の排出・移動量の届出を行いました。
もに、海外でも削減活動を開始しました。
2008年11月の法令改正により届出の対象となる第一種
当社および 国 内 関 係 会 社につきましては2010年 度に
指定化学物質の追加指定や一部の物質の指定物質からの
排出量を2009年度比3%削減する目標を設定し活動を進
除外等が行われ(注)、指定物質は354物質から462物質に
めましたが、製造工程でVOCを使用する製品の生産増加の
増加しました。追加指定された物質についてはこれらを取り
ため、
2010年度の排出量は236tとなり2009年度比3.5%
扱う8社12事業所が届出を行いました。
の増加となりました。
国内グループ合計の指定化学物質の排出量および移動
海外関係会社につきましては年間排出量が5t以上の会社
量はそれぞれ95t、169tとなりました。排出量は前年度より
を対象に2012年(暦年)に排出量を2009年(暦年)比(注)
1t増加しましたが、指定物質の追加による増加が 11t、
2%削減する目標を設定し活動を開始しました。
指定物質からの物質の除外による減少が9tでした。一方、
(注)
2010年
(暦年)
の海外関係会社のVOC排出量は157tです。
移動量は前年度より29t増加しましたが、指定物質の追加に
よる増加が53t、指定物質からの物質の除外による減少が
トリクロロエチレン等全廃
5 t でした。
当 社 グ ル ー プ は、トリクロロエチレンなどの 大 気 汚 染
また、
PRTR法に相当する海外の法令に基づいて海外関係
防止法で有害大気汚染物質に指定された塩素系VOCの
会社が届出を行う2010年(暦年)の指定物質の排出量およ
使 用 全 廃に海 外を含 めグ ル ー プ 全 体 で 取り組 ん できま
び 移動量は海外関係会社5社合計で それぞれ13tおよび
した。その結果、現在ではこれらの使用を残す関係会社は
11tでした。
洗浄剤としてトリクロロエチレンを使用する国内1社のみと
なりました。この1社についても、
2011年内のトリクロロ
PRTR法指定化学物質の排出・移動量
排出・移動量(t)
エチレン使 用 全 廃を目標に、代 替 洗 浄 剤 へ の 切り替えを
700
進めています。
600
679
500
ダイオキシン類・アスベストへの対応
400
324
富山住友電工(株)のアルミニウム合金製造施設と排ガス
300
洗浄処理施設がダイオキシン類特定施設となっていますが、
200
排出基準値以内で問題がないことを確認しています。
現在、当社グループではアスベストを使用している製品
294
279
236
202
153
0
2001
排出量
2001年8月に汚染状況を公表した当社の主要3製作所
325
263
159
115
94
100
の製造は行っていません。
土壌・地下水に関する取り組み
286
408 429
350
308
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
140
2009
169
95
2010 (年度)
移動量
・法令改正により2010年度から届出の対象となる指定化学物質の追加および除外等が行われ、
前年度より108物質増加しました。
(注)
・2010年度から集計対象に住友電装グループを加えました。
PRTR法指定化学物質排出量の内訳
(大阪、伊丹、横浜)
をはじめ、これまでの調査で汚染が確認
された国内事業所では土壌の入れ替え、地下水の揚水浄化、
ほう素化合物 2%
ふっ化水素およびその水溶性塩 2%
エチルベンゼン 3%
その他30物質 2%
土壌ガス吸引の方法を用い、浄化対策を継続して実施して
ジクロロベンゼン 6%
います。また定期的に地下水モニタリングを実施し、敷地外
キシレン 7%
クレゾール 9%
に汚染が拡大していないことも確認しています。
トルエン 33%
総排出量
95t
フェノール 9%
1-ブロモプロパン 11%
トリクロロエチレン 16%
(注)
186物質が追加、73物質が除外されました。この他、複数の物質が一つのグループに
まとめられたこと等により5物質減少しました。
用語
解説
41
SEI CSR Report 2011
* PRTR法
*REACH規則
特定化学物質の環境への排出量の把握及び
管理の改善の促進に関する法律
Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicalsの略。
欧州連合における人の健康や環境の保護のための欧州議会及び欧州理事会規則
化学物質管理
化学物質管理の徹底
改正化審法への対応
住友電工と国内関係会社は、法規制を受ける化学物質
当社グループは製品含有化学物質管理委員会を設置し、
を「禁止物質」、
「全廃物質」、
「管理物質」のランクに分け、
化審法や欧州連合(EU)のREACH規則*等、国内外の法令へ
管理しています。新たな化学物質を使用する際には、使用
の対応や製品に含まれる化学物質の管理強化に取り組んで
部門で化学物質安全データシート
(MSDS)を入手し、管理
います。
ランクと安全環境対策を確認した上で物質の登録を行うこ
2009年5月に化審法が改正され、前年度に年間1t以上
とにより、禁止物質や全廃済みの物質の使用を防止するとと
製造または輸入した化学物質の届出が2011年度から新たに
もに、化学物質の使用に伴う環境リスクを管理しています。
義務付けられました。改正法に基づいて当社と国内関係会社
PRTR法 施 行 令 が 改 正され2010 年 度から排 出 量 および
3社が届出を行いました。
移動量の把握が必要な指定化学物質に変更があったことな
どにより、管理ランクの見直しを実施しました。
2010年度は大阪地区64件、伊丹地区10件、横浜地区
2件の計76件の登録票が提出され、うち大阪地区36件、
伊丹地区2件、横浜地区2件の計40件を新たに
「管理物質」
に登録、管理しています。
品庁へ登録を行う必要のある化学物質について全て予備
登録を完了し、引き続き本登録へ向けた準備を進めてい
制度が始まりましたが、当社と国内外関係会社では届出が
内容
適用法規
37
製品、製造工程で使用を
禁止する化学物質
化審法(注1)
労働安全衛生法
大気汚染防止法
全廃
93
期限を定めて使用を
廃止する化学物質
欧州指令(注2)
オゾン層保護法(注3)
管理
557
使用削減に努める
化学物質
PRTR法(注4)
地球温暖化対策法(注5)
(注1)
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
(注2)
RoHS指令、
ELV指令
(法令に該当する製品への使用は禁止)
(注3)
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律
(注4)
特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律
(注5)
地球温暖化対策の推進に関する法律
必要な製品はありませんでした。
SVHCは今後も追加指定
されますが、当社製品に含まれる物質が新たに指定された
場合には確実に対応していきます。
RoHS指令、
ELV指令への対応
当社グループは、
EUのRoHS指令*やELV指令*で規制対
象となっている物 質 の 代 替 のため、
PVC安 定 剤やはんだ
の鉛フリー 化 などを進 めてきました。これら代 替 製 品 へ
地球環境との関わり
物質群
禁止
当社と国内外関係会社は、
REACH規則に基づき欧州化学
ます。また、
2011年から製品中に含まれるSVHC*の届出
住友電工グループの化学物質管理ランク
ランク
REACH規則への対応
の 切り替えなどにより、各事業部および関係会社はお客さ
まからの規制物質の非含有要求に対応しています。
新化学物質管理システム
また、
「SE
Iグループ製品含有化学物質管理ガイドライン」
当社グループはグループ内で扱う化学物質の管理を強化
「SE
Iグループグリーン調達ガイドライン」
を制定、運用し(注)、
するために新たに化学物質管理システムを構築し、2011年
鉛などの禁止化学物質が含まれることのないように製品中に
度から当社大阪、伊丹および横浜の3製作所と各製作所内
含まれる化学物質の適正な管理に努めています。
の関係会社で運用を開始し、
PRTR法対象物質については
(注)
各事業部および関係会社毎に製品の種類やお客さまからの要求が大きく異なるため、
各部門でそれぞれの状況に応じたガイドラインの運用を行っています。
これまでのPRTRシステムから本システムによる管理へ移行
しました。
本システムの特長は次のとおりです。
●
化学物質の保管場所を建屋図面上に表示し、各保管場所
の保管数量を表示画面上で確認できる。
●
関係法令やMSDSの検索、表示を行うことができる。
●
化学物質の保管や取り扱い時の管理上のあるべき姿を
表示し、各保管場所や取り扱い場所での実際の管理状況
と比較して化学物質が適正に管理されているか判定する
ことができる。
●
原材料等の取扱量から、これに含まれるPRTR法指定化学物
質の取扱量、排出量および移動量を算出することができる。
新化学物質管理システムの表示画面
今後、本システムを国内外の関係会社へ展開し、当社グル
ープ全体の化学物質管理を一元化、強化していきます。
用語
解説
*SVHC
*RoHS指令
*ELV指令
Substances of Very High Concern。有害で
ある懸念が高いとしてEUが指定した化学物質
Restriction of the use of certain Hazardous Substances の 略。
電子・電気機器への特定有害物質の使用制限についてのEU指令
End-of Life Vehiclesの略。廃棄自動車が環境に与える負荷を低減
するため、自動車への鉛等有害4重金属の使用制限についてのEU指令
SEI CSR Report 2011
42
環境配慮製品の拡大/生物多様性
環境配慮製品の取り組み
「自社製品による地球環境保全への貢献」
は製造業にとって
極めて重要なテーマです。住友電工グループでは1999年
のエコ製品(エコシンボル制度)の創設以来、常に地球環境
保 全を考えた製 品 の 開 発 および 普 及を図ってきました。
また、昨 今 では製 品を通した地 球 温 暖 化 防 止 へ の 貢 献、
特にCO2 排出量削減への貢献が大きな社会的課題となっ
ています。
2010年度から始まった
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」
では、従来からのエコマインド製品,エコ製品に加え、社会に
おけるCO2 排出量削減に貢献する
「地球温暖化対策製品」
の制度を創設し、さらに取り組みを強化します。
エコ製品
REPORT
アルミ電線を使った
軽量化ワイヤーハーネス。
グループの総合力が結実しています。
住友電装(株)
① エコマインド製品
西部事業本部第1事業部 第1開発技術統轄部 第2設計部 部長
西部事業本部第1事業部 第1開発技術統轄部 技師
吉田 茂幸(右)
高木 英男(左)
新製品の開発や既存製品の大幅な設計変更を行う際、
製品アセスメントを実施しています。製品アセスメントを実施
した製品を
「エコマインド製品」
として登録し、当社グループ
電線の導体を「銅」から
「アルミニウム合金材」へ変更して軽量化。
内に登録結果を公開することにより、製品の環境配慮意識
環境への配慮の高まりを背景に、自動車にはさらなる燃費
向上に努めています。
向上とCO2 削減が求められており、車両の軽量化が大きな課題
2010年度までのエコマインド製品の累計登録品目数は
240品目です。
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)
」
では新製品
のエコマインド製品登録率100%の継続を目標としています。
となっています。そこで私たちは車両1台あたり重いものでは
20kgにもなるワイヤーハーネスの軽量化に取り組みました。
事業化に向けた開発プロジェクトをスタートさせたのは2007
年9月。そして2010年11月に世界
初となる撚線構造の細物アルミ電線
② エコ製品(エコシンボル制度)
を使用した「自動車用低圧系アルミ
エコマインド製 品 のうち、特に環 境 面で優れた製 品を、
ハ ー ネ ス」を 世 に 送り出しました。
ISO14021に準拠したエコシンボル制度に沿って審査し、
現在、
トヨタ自動車(株)様の新型ラク
合格した製品を
「エコ製品」
として認定しています。この制度
を通じて、環境に配慮した製品開発の促進を図り、市場への
普及に努めています。
2010年度までのエコ製品の累計認定品目数は73品目
ティス、新型ヴィッツのドアパネルに
採用されており、住友電工グループ
のエコ製品認定を受けています。
住友電装(株)鈴鹿製作所
アルミ電線工場
です。これまでは登録件数を指標としていましたが、
「アクシ
事業部門の「壁」を越えて、
素材の「壁」
に挑み続けた日々。
ョンECO-21(Phase Ⅳ)」では売上比率(エコ製品売上高/
軽 量 化 の 決め手はアルミ素 材 の
事業部売上高)
を指標とし、2012年度に50%を目指します。
採用です。アルミは銅に比べ軽量で
③ 地球温暖化対策製品
う利点がありますが、柔らかく、表面
新開発の
アルミ電線
低コストなうえ、安定供給できるとい
新たに「地 球 温 暖 化 対 策 製 品」の 制 度を創 設しました。
エコ製品のうち、社会的なCO2 排出量削減に貢献する製品
を登 録し、そ の 削 減 効 果を算 定・開 示することを通して、
が酸化しやすいという欠点がありま
す。特に自動車のドアパネルは屈曲
や水滴にさらされる過酷な環境です。
「撚線」
「接続」
「防食性」
という実用化
地球温暖化防止への貢献を図っていきます。
に向けた3つの難しい課題に、多くの
「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」では2012年度に年間
部門が互いに連携して同時進行で立ち向かいました。張力や
5万tのCO2 排出量削減を目指します。
摩 耗と戦った 電 線 部 門、端 子 形 状を徹 底 的に見 直した 接 続
アルミ・ワイヤーハーネス
部 門。さらに全 部 門を巻き込 んでの 開 発となった防 食 技 術。
今回の製品は、そんな新規開発テクノロジーの結晶体であり、
母 材 料 からハ ー ネスの製造まで一貫して手がける住友電工
グ ル ー プ の 総 合 力 の 結 実 で あ ると考 えて い ます。まだ1 台
300gの軽量化という小さな数字ではありますが、今後も技術
を進化させ、採用部位や車種の拡大を実現し、さらなる自動車
の軽量化に貢献していきたいと考えています。
43
SEI CSR Report 2011
生物多様性保全の取り組み
2010年10月に愛知県名古屋市で開催されたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)を契機に、わが国でも生物
多様性に対する関心が高まっています。企業にとっても生物多様性保全の取り組みを推進することが急務となっています。
住友電工では、COP10の開催に合わせて2010年10月に発足した「生物多様性民間参画パートナーシップ(注)」への参加
を通じて積極的な情報共有および経験交流活動を行うとともに、グループの各事業拠点において生物多様性保全活動に
取り組んでいます。
(注)民間事業者の生物多様性への取り組みを促進することを目的に設立されたネットワーク。2010年5月、日本経済団体連合会など経済界が中心となって設立した、生物多様性条約の実施に
関する取り組みへの民間の参画を推進するための自発的プログラム「生物多様性民間参画イニシアティブ」のメインとなる取り組み。
●
地域に密着した環境保全活動
「伊丹の自然を守り育てる会」森部会の活動内容
住友電工の伊丹製作所では、生物多様性保全の一環と
こや い け
穴掘り
して、伊丹市のシンボルである
『昆陽池』の再生事業を推進
するために設立された「伊丹の自然を守り育てる会」の活動
に参画しています。
同会は、昆陽池周辺のホタルの再生を目指している
「川部
会」、オニ バ ス、デンジソウ、ヨシの 再 生 を目 指して いる
「池 部 会」、そして 昆 陽 池 公 園 に あ る日 本 列 島 を 模した
『野鳥の島』の樹木帯の再生(川鵜の糞害による樹木の立ち
枯れからの再生)
を目指している
「森部会」から構成されてい
ます。伊丹製作所では「森部会」
に参画し、市民の皆さまとと
苗木植え
もにより良い自然を残す活動を行ってきました。活動の一例
地球環境との関わり
として、①伊丹に残る古木や周辺の山々からさまざまな樹木
びょうほ
の種 子を採 取し、②昆 陽 南 公 園 内 の 苗 圃でそれらの 苗 木
の 育 成を行 い、③そ の 苗 木を『野 鳥 の 島』をはじめ市 内 の
公園に植栽しています。
伊丹製作所では、2008年4月に民間企業として初めて
活動に参加して以降、毎月、所内各部門から工場長をはじめ
6名前後の人員が継続して参加しており、この3年間でのべ
200名が文字どおり
「暑い日も寒い日も」昆陽池再生事業
水やり
に貢献してきました。
こうした「森部会」での活動に加え、伊丹市と連携して実施
する
「剪定枝のチップ化モデル体験事業」
や、毎年地域住民の
方々にも開放して行っている
「緑花祭」などの地域コミュニ
ケーション推進の取り組みが総合的に評価され、2010年
6月に、生活者の視点から優れた環境保全活動を展開して
いる事業者に対して贈られる「第 19 回兵庫県環境にやさ
しい事業者賞」を受賞しました。
草刈り
兵庫県・井戸知事から表彰を受ける
伊丹製作所・島田所長
SEI CSR Report 2011
44
お客さまとの関わり
お客さまの
ご満足のために
品質のさらなるレベルアップを。
QR-1運動の展開
お客さまとの企業間取引が大半である住友電工グループに
とっては、何よりも品質のさらなるレベルアップがCS
(顧客満足)
向上につながると考えています。そのため顧客重視・品質重視の
経営理念に立脚した「信頼性向上活動」
を1975年から全社活動と
してスタートし、その時々の状況に対応した重点課題を設定して
活動を推進してきました。2002年
度からは
「お客さま視点でクオリティ
を高め、品質リスクを未然防止する
とともに、競 争 に 打 ち 勝 つ 品 質・
信 頼 性(Qua
l
i
ty & Re
l
i
abi
l
i
ty)
体質を確立すること」をねらいとし
たQR-1運動を開始しました。
QR-1運動ロゴマーク
QR:Quality & Reliability
(品質と信頼性)
クレームゼロを目指す
「自工程保証活動」
2010年度からはQR-1運動フェーズⅣとして
「自工程保証活動」
を推進しています。工程単位で「不良を作らない、流さない」
とい
う基本に立ち返り、さまざまな製品形態の各工場で、良品条件
の確立と良否判断基準の明確化に取り組んでいます。初年度の
2010年度は、活動立ち上げのための全部門対象の「集中教育」
や、
実践者を養成するための「実践教育」を行うとともに、各部門に
おいても推進体制の整備と活動テーマを選定してもらいました。
そのテーマの進捗状況については、現場巡回を含めフォロー支援
を続けています。また、先行部門との交流会の開催や活動事例集
の発行等を行い活動の活性化を図ってきました。その結果、各部
門のモデルケースで工程内不良とクレームの低減に一定の効果を
出すことができ、2011年度以降もこの活動の範囲を広げていき
ます。より多くの工程内不良を取り上げ、製品設計や生産技術に
遡って「発生源対策」を推進するとともに、グローバル拠点への
品質管理部長
展開も行っていきます。
西出 裕
「グローバル品質監査」の実施と
「品質管理教育」の強化
市場や生産拠点のグローバル化に伴い、海外拠点での品質管
理強化も重要な課題となっています。そのため2010年度から
2010年度主要目標
●
クレームを前年度比20%減
●
自工程保証活動の推進(初年度)
「グローバル品質監査」を本格的に開始し、既に国内の17拠点、
海外2拠点の監査を終了しました。網羅的な監査のため1カ所に
時間がかかりますが、中国語、英語の監査チェックシートも完成し
ており、
2011年度は海外拠点の監査を本格的に展開していきま
2010年度実績
●
クレームは前年度比8%減
す。一方、改善活動や品質体質を支える従業員の「品質管理教育」
●
自工程保証活動の推進(初年度)
では、MKP*やGKP*の実践道場によるキーマンの育成や、階層別
●
●
自工程保証活動に関する集中教育(19回535名)
と
実践者養成教育(1回30名)
を実施
(全員)教育・管理監督者の役職別教育等を強化して「品質第一」
各部門によるテーマ実践(上期88テーマ、下期101テーマ)
を実施
の文化醸成を進めています。
こ の ように、QR-1運 動フェー ズⅣで は「自 工 程 保 証 活 動」
2011年度主要目標
●
クレームを前年度比20%減
●
自工程保証活動の推進継続(2年目)
「グローバル品質監査」
「品質管理教育強化」
を重点3本柱として、
クレーム撲滅への努力を愚直に継続していきます。
用語
解説
45
SEI CSR Report 2011
*MKP
*GKP
モノづくりのキーパーソン
(エンジニア)育成を目指す
実践型研修「モノづくり革新プロ・実践道場」の略称
工場の改善活動のキーパーソン育成を目指す
実践型研修「現場改善プロ・実践道場」の略称
品質管理
一人ひとりの意識を高める活動
個々の能力を伸ばす教育
住友電工グループの従業員の一人ひとりが経営トップの
当 社 グ ル ー プ では、製 品・サ ービスの 品 質をより高 い
品質についての考え方を理解し、品質に対する意識を高め
レベルに向上・安定させるためには、一人ひとりの業務品質
ていくように努めています。そのため、全社品質大会の開催
のレベ ルを上 げることが 必 要であるとの 考え方に立 ち、
(2010年6月8日、2010年11月2日)、品質横断幕の掲示、
「SE
Iユニバ ーシティ」による社 員 教 育を実 施しています。
のぼり
毎年11月の品質月間には各地区で幟やポスターを掲示、
毎年、年度初めに品質向上のために必要な年間教育計画を
また、半 期 毎 の 期 初 (4 月、10 月)に社 報や 構 内 放 送 等を
立案して、全員対象の階層別教育、所属部門や役職に応じた
通じて社長メッセージを発信、経営トップによる現場巡回を
機能別・役職別教育、知識習得のためのニーズ別教育等を
行ない、品質意識の向上につなげています。さらに、品質
実施しています。
表彰制度を設けて、他部門の模範となるような活動を実施
さらに、各部門の要請に対応し、
QC管理ツールの活用方
した部門の表彰や、年間を通じて掲示する品質強化ポスター
法や、
「真 因 追 究 力 の 向 上」をねらい、当 該 部 門 へ 出向い
や標語を募集し、優秀作品には全社品質大会の場で個人
て実施する
「出前教育」
を実施しています。
表彰も行い活性化を図っています。
品質活動の成果
品質活動を継続するなかで、クレーム件数は年々、減少
してきています。2007年度からは、海外関係会社も含めた
グローバルな指標管理を開始し、次表に示すように、この
3年間で半減していますが、まだまだ多くのクレームが発生
しています。市場の要求品質がますます厳しくなっているだ
けに、
2010年度からスタートしたQR-1運動フェーズⅣでは、
全社品質大会(2010年11月)
「自工程保証活動」
を柱にさらなる改善・体質強化を進めて
います。
全社横断的監査・支援
また、お客さまからは、さまざまな観点から当社グループ
の品質体質を評価いただき、それを次年度の活動に反映させ
各事業部および関係会社で自己完結する
「事業本部制」を
ています。その結果、多方面のお客さまから当社グループ
採用しており、品質についても、全ての事業部門に品質保証
の活動成果を評価いただいています。
お客さまとの関わり
当社グループの事業活動は、原則として事業本部内の
部門を設け、所管製品の品質を保証しています。こうした
各部門の品質活動状況を顧客視点で評価し、品質管理活動
クレーム件数推移(2007年度を100とした指数)
や品質管理の仕組みの弱点を補強することを目的に全社
年度
クレーム件数
横 断 的 な 監 査を実 施しています。具 体 的には、品 質 保 証
2007
100
体制(仕組み)のレベルアップを図るために、各事業本部の
2008
67
重要拠点に対して「グローバル品質監査」
を計画的に進める
2009
54
2010
50
とともに、重大クレームが発生した場合は、その都度当該
部門の監査を実施しています。グローバル品質監査では、
(注)集計範囲は住友電工および国内外製造関係会社(住友電装グループ含む)。
マネジメント、設計、製造の観点から、組織の弱みを明確に
して体質改善活動の契機にするとともに、弱点部分に対する
製品安全に向けた取り組み
協業支援も行っています。
製品安全に関しては、製造物責任法(PL法)および改正
消費生活用製品安全法(改正消安法)に関する専門研修を
年 1 回 法 務 部 門と連 携し実 施しています。最 近 の 事 例を
交えて法規制の理解を深めるとともに、製品安全レビューや
警告表示等の製品の安全性確保、製品安全情報の収集、
事故発生時の対応等について、全部門対象に実践的な研修
を実施しています。
研修風景
SEI CSR Report 2011
46
品質管理
事務品質向上に向けた取り組み
営業部門でのCS向上に向けた取り組み
住友電工グループでは「モノづくり品質と事務品質は事業
当社グループの事業はほとんどが企業間取引(B to B)
遂行上の車の両輪」
と位置づけており、重大事務ミスゼロと
であり、日常の営業活動等を通じてお客さま
(企業)のご意見
業務基盤再整備を目指した事務品質向上活動にも注力して
やご要望を的確に把握し、製品の品質をさらにレベルアップ
います。具体的には、①「自工程保証活動」の一環として重大
することがCS(顧客満足)
に直結します。
事務ミスの撲滅を目指した再発防止対策の徹底や「ヒヤリ・
こうしたことから、営業担当者を対象とした360度調査を
ハットメモ」の活用などによる未然防止に注力するとともに、
2002年度から実施しています。具体的には、本人と上司、
②業務基盤の再整備として、規程・BR(ビジネス・ルール)
・
本人が担当するお客さま(3∼5社)に対してアンケートを
執 務 書 等 の 整 備と定 期 的 見 直し、③事 務 改 善による業 務
行い、本人の営業力を測定・診断します。診断結果は本人・
効率の向上に取り組んでいます。
上司へフィードバックし、本人の営業力強化を促すとともに、
こうした活動は各職場の「事務研究会」を中心に取り組ん
全体結果を参考にして教育・指導方法の見直しなどを行う
でおり、コミュニケーション強 化や明るい 職 場づくりにも
ことで営業部門の強化を図り、CS向上に活かしています。
役 だって い ま す。さら
に、そ れ ぞ れ の 活 動 の
物流品質の向上に向けた取り組み
活 性 化 の た め、年2回
開 催 する全社事務品質
当 社では輸 送 中 の 製 品 事 故 ( 荷 物 の 破 損や 汚 損 等)を
大 会で好 事 例を紹 介し
防ぎ、確実にお客さまへ製品をお届けするために、輸送を
ています。
事務研究会の様子
委託している運送会社と一丸となって、物流品質の向上に
努力しています。
全社事務品質大会
特に輸送中の製品事故の半分近くを占めるフォークリフト
第10回大会
2010年 6月8日
参加450名(6地区計)
第11回大会
2010年11月2日
参加460名(6地区計)
による破損を減らすために、その基本操作に関する注意点
をまとめた映 像 教 材『ひらめきKYT』を作り、関 係 会社や
運送会社で活用していただいています。
また、運 転 手を対 象に運転操作技能の向上を目指した
「フォークリフト基本運転操作競技会」を開催するなど、さま
ざまな対策に取り組んできました。
これらの 活 動を通して、2007 年 度には 99 件 発 生した
輸 送 中 の 製 品 事 故 の 件 数を2010 年 度は25 件まで減 少
させることができました。今後も、物流品質の信頼性向上
に努力していきます。
輸送中の製品事故件数の推移
CSR VOICE
事務品質の向上は、
小さな改善の積み重ねであると実感
広報部大阪広報グループ 酒井 茉莉(右) 鶴田 充代(左)
(件)
120
100
80
99
50
60
39
40
2010年度広報部事務品質向上活動では、社内イントラネットで
20
公開している
「広報部Webサイト」
の改善活動を行いました。改善に
0
あたっては、事務処理の精度・スピードを向上させるだけでなく、
コーポ
61
49
22
2007
フォークリフトによる損傷
2008
36
25
17
19
2009
12
13
2010
(年度)
フォークリフト以外による事故
レートスタッフ部門として、社内に対してより良いサービスの提供、
ユー
ザーフレンドリーな見せ方、情報発信の強化を意識しました。手探りで
始めた改善活動でしたが、利用者の方から
「わかりやすい」
「使いやすく
なった」
などの温かい言葉をいただき、今後の活動の励みとなりま
した。事務品質の向上には、小さな改善の積み重ねを全員参加で
継続することが大事だと、今回の改善活動を通して実感しました。今後
も継続的な事務品質向上活動を推進していきたいと思います。
第11回全社事務品質大会では、松本社長をはじめ大勢の役員、
社員の方々の前での発表で大変緊張しましたが、質疑応答も含めて
無事に終えることができ、自信にもなりました。
フォークリフト競技会の様子
47
SEI CSR Report 2011
お取引先さまとの関わり
グローバルな
視野で
CSR調達の
周知徹底を目指して。
去る3月11日に発生した東日本大震災で、住友電工グループの
多くのお取引先さまが被災をされました。今なお困難な状況に
立ち向かわれているお取引先さまもおられます。ここに改めて
お見舞い申し上げます。しかし、そんななかでも、被災した当社
グループ会社の生産施設・設備の復旧や資材納入について絶大な
ご協力をいただいており、深く感謝をしております。当社グループ
の製品にはインフラストラクチャーに関わる製品も多く、復旧、
復興のために一日でも早く被災地にお届けしなければならない
状況は依然として続いていますので、お取引先さまと一体となっ
てこれに対応していきたいと考えています。
また、今回の震災では改めて安定調達の重要性を痛感しました。
従来から安定調達はメーカーの調達部門の最大の責務として
取り組んできましたが、グループ各社の調達部門間の連携が予想
以上に機能した一方で、
2次、
3次のお取引先さまへの影響の確認
や主要原料以外の間接材等の確保に手間取った点など、課題も
見えてきました。今回の震災を教訓に、安定調達に向けた取り
組みについては改めて考えてみたいと思っています。
よりグローバルに「CSR調達ガイドライン」
を徹底
昨年は、当社グループでも「CSR調達
ガイドライン」
を制定しました。これは現在
の社会情勢や環境問題を考慮して、私ど
もからお取引先さまへお願いしたい事柄
を、グローバルな視点に立ってCSRの観点
から取りまとめたものです。たとえば事業
活動を行う国・地域の関連法令や社会規
範の遵守はもちろん、文化や慣習を尊重
し、経済や社会の発展に貢献する活動の積極的な推進もお取引
先さまにお願いしています。当社グループは国内での100年を超
統轄資材部長
前川 聡
える事業活動を通じて、多くのお取引先さまと信頼関係を深めな
いた住友事業精神に則ったCSR調達そのものであったと言える
2010年度主要目標
●
海外エリア調達部門連絡会における海外現地法人への
調達基本方針の周知徹底
●
お取引先さまに対するCSR調達ガイドラインの周知
●
お取引先さま評価シートによる評価の実施
と思っています。当社においては、事業が多岐にわたる事もあって
部門によってCSR調達の意識にはまだまだ温度差がありますが、
生産拠点が世界各国に急速に拡がっている当社グループの企業
お取引先さまとの関わり
がら調達活動を行ってきました。これは言い換えれば諸先輩が築
活動を継続していくためには、世界各地のお取引先さまのご協力
をいただくことが必要不可欠になっています。そのためには、CSR
2010年度実績
調達はもはや日本の基準だけでなく、世界の基準で対応しなけれ
●
中国、タイにおける調達部門連絡会において
調達基本方針を周知
ばならなくなっており、今後は地球レベルでの周知徹底が責務と
●
パートナーズミーティングにて
CSR調達ガイドラインを配布し、取り組みを要請
なっています。昨年策定しましたガイドラインは、パートナーズ
●
さらに重要お取引先さま500社にはCSR報告書と
CSR調達ガイドラインを送付し取り組みを要請
お取引先さま評価シートによる
2010年度評価を一部 調達部門で実施
●
2011年度主要目標
●
コンプライアンスを支える教育プログラムの拡充
●
CSR調達ガイドラインに基づいたお取引先さまへの個別要請
ミーティング等の場で主要なお取引先さまにお願いをしたほか、
インターネットを通じてより多くのお取引先さまにお知らせを
することも始めました。調達活動においてCSRを果たしていくた
めには、お取引さまとの相互信頼関係と連携が大変重要であると
考えており、今後も引き続きお取引先さまと一体となって、
CSRの
推進に取り組んでいきます。
SEI CSR Report 2011
48
調 達
調達基本方針
CSR調達ガイドライン
住友電工グループでは、調達を
「事業活動の基盤を支える
昨今、
CSRへの要請が高まるなか、調達活動におけるCSR
業務」
と位置づけており、2006年5月に住友事業精神と住友
への取り組みをさらに推進をするためには、お取引先さまの
電工グループ経営理念に則った
「調達基本方針」
を制定し、
協力が不可欠であることから、住友電工グループ経営理念
2006年11月には調達基本方針に関する具体的な調達行動
や企業行動憲章を基本に、お取引先さまに積極的な取り
指針を制定しています。調達基本方針は、グループ会社は
組みを要請する事項をまとめ、
2010年8月に
「住友電工グル
もちろんのこと主要なお取引先さまに配布して当社グループ
ープCSR調達ガイドライン」
として制定しました。
の調達活動に対するご理解とご協力をお願いしています。
*
住友電工グループCSR調達ガイドライン
(抜粋)
調達基本方針
1.創造的かつグローバルな企業活動に資する調達活動の推進
お客様の要望に応え優れた製品・サービスを提供する企業活
動こそ私どもの社会貢献の原点であることを踏まえ、その源と
なる
「創造的かつグローバルに展開する企業活動」
を継続的に支
える調達活動を推進します。
2.公平・公正な調達活動の推進
合理的なプロセスと判断に基づく公平・公正かつ開かれた取
引により、適正な企業活動を支える調達活動を推進します。
3.コンプライアンスに立脚した調達活動の推進
お取引先様にも協力を頂き、関連する法令の遵守はもとより
社会的な規範も踏まえた調達活動を推進します。
4.お取引先様との相互信頼と連携に基づく調達活動の推進
経営理念の実現には、お取引先様との強固な信頼関係と連携
が不可欠であることから、私どもの理念に賛同頂けるお取引先
様を重視する調達活動を推進します。
住友電工グループは、社会的責任を自覚し事業活動を通じて
よりよい社会、環境づくりに貢献したいと考えています。そのた
めには、私どもに製品・サービスを直接または間接的に提供い
ただくお取引先様にも私どもと共に、社会的責任に資する活動
に取り組んで頂くことが必要です。従いまして、ここに住友電工
グループの調達お取引先様へのお願い事項を纏めましたので、
積極的な推進をお願い致します。また、皆様の調達取引先に
ついても、皆様より本項目の取り組み要請をお願いします。
1.優れた製品・サービスの提供
2.技術力の向上
3.健全な事業経営の推進
4.地球環境への配慮
5.法令・社会規範の遵守と公正・適正な企業活動
6.社会貢献と反社会的勢力の排除
7.人権・労働安全衛生への配慮
8.情報開示とコミュニケーション促進
9.秘密保持と情報セキュリティ
5.地球環境に配慮した調達活動の推進
地球規模の課題である環境保護に貢献するために、お客様の
環境保護に貢献できる製品提供を支え、更に環境負荷の小さな
企業活動実現を目指した調達活動を推進します。
2010年度は主要なお取引先さま88社の代表者の方々
と開催した「住友電工グループパートナーズミーティング」
のなかで、新たに制定したCSR調達ガイドラインに基づいて
お取引先さまにCSR推進をお願いしました。
グループ調達体制
当社では、統轄資材部内に設置された当社グループの24の
事業部門および関係会社の購買外注責任者で構成された
連携推進室において、調達基本方針に基づくグループ全体の
諸施策・諸活動を展開しています。また、統轄資材部が当社
グループの購買外注担当者向けに定期的に発行するメール
マガジンでは、コンプライアンスや環境配慮に関する実務上
のトピックスやアドバイスを時節にあわせて配信し、グループ
全体の購買外注担当者の意識の向上を図っています。この
メールマガジンはグループ全体で423人に配信され、
2005年
4月の第1号発行以来2011年3月までに168号を数えました。
海外においては、統轄資材部の国際調達拠点が中心とな
り、地域単位で調達部門連絡会の設置を拡大していきます。
調達部門連絡会ではグループ全体の調達諸施策の展開や
また、住友電工の主な事業所での地区別パートナーズミー
ティングにおいても、ガイドラインを説明しCSR向上への
取り組みについてお願いしました。その他の主なお取引先さ
まへはCSR報告書の冊子とあわせてCSR調達ガイドライン
を郵送等でお届けしました。今後、当社グループ会社および
お取 引 先さまに
本ガイドラインの
浸 透 を 図り、お 取
引先さまと一体と
なって調達活動に
おけるCSRへの取
り組 みを推 進して
いきます。
パートナーズミーティング
担当者への研修会を通じて調達基本方針の徹底を図って
いきます。
地区別 パートナーズ・ミーティング
参加お取引先社数
住友電工グループ
大阪地区
伊丹地区
横浜地区
88
36
36
38
* 詳細は当社Webサイトで公開しています。
49
SEI CSR Report 2011
URL http://www.sei.co.jp/csr/procurement/csr_ guide.pdf
地球環境への配慮
購買外注コンプライアンスへの対応
地球環境に配慮した調達活動の推進のために、住友電工
調達部門が遵法上特に注意を払うべきものとして、下請
グループは「SEIグリーン調達ガイドライン」
に基づき、製品
代金支払遅延防止法(下請法)の遵守および直接輸入時に
へ の 含 有 禁 止 物 質 の 非 含 有 化および そ の 他 の 含 有 化 学
おける関税法対応があります。
物資の管理強化に取り組んできました。
2010年 度 も グ ル ー プ 全 体 を 対 象とする研 修 会 等 を
また、お取引先さまと住友電工グループが一体となって
実施し、その徹底を図ってきました。
地球環境配慮への取り組みを推進する一環として、当社は
下請法関係
(株)三井住友銀行様と連携して開発した「ECOファクタリン
グシステム」の導入を2009年度より開始し、2010年度末
研修会
時点で28社のお取引先さまにご活用いただくことができま
関税法関係
開催場所
全国11カ所
研修内容
基礎・入門編、購買外注実務編、
購入依頼実務編の3コース
1,193人
(のべ人数)
参加者
した。これは、当社が設定する基準によりお取引先さまの
自己点検
44部門+関係会社49社
16部門+関係会社6社
環 境 保全活 動 の 状 況を審 査し、審 査 内 容によりお取 引 先
巡回点検
3部門+関係会社12社
16部門+関係会社6社
さまが納入物品の債権を期日前に現金化する際の適用金
利を優遇するものです。これにより当社はお取引先さまの
環境保全活動を後押しします。
なお、2010年 度は税 関による通 関 申 告 金 額 の 妥 当 性
並びに確証類の保管状況等について事後調査を受けてい
ます。過去2年分約12,
000件を調査の結果、特段の指摘
環境経営度評価を織り込んだお取引先さまの評価基準
シートは、一部調達部門で使用を開始しました。
事 項なく調 査を完 了しました。今 後も適 正な通 関 申 告を
徹底するべく研修会において適正な通関処理方法の周知を
図るとともに、年1回実施予定の巡回点検で過去の事後調査
での指摘事項を重点的に確認していくこととしています。
教育制度
統轄資材部では、
『頼られる購買担当者の育成』、
『購買
倫理・知識・技能の伝承』
を目的に、実務担当者を対象とした
OFF-JT教育プログラムを実施し、従来からのOJT教育*と
組み合わせて、両者の相乗効果による購買スキルの向上を
図っています。
『調達関連法規』、
『CSR、
2010年度のOFF-JT教育*は、
CSR VOICE
お取引を通じて、
これからも社会に貢献を
(株)
ヒガシノ 代表取締役社長
東野 裕子 様
環 境、倫 理』ほか全7つの 講 座を実 施し、それぞれ部 内 の
エキスパートが自ら作成したテキストを用いて、電話会議
上げます。
全29社からのべ366 名が受講しました。
被災された方々や地域のことを思うと心が痛くなります。が、気持
海外からは、全ての講座において統轄資材部の国際調達
ちを切り替え、通 常どおりお取 引 先さまへの供 給 責 任を果たし、
拠点のナショナルスタッフも受講参加しました。
入 手 困難でお困りのものの代替品をご提案するのが 社会貢献の
一端と考えております。また先代が毎年続けておりました日本赤十
字社への寄付を、今回を機に会社として引き継ぐことも決めました。
“続ける”
ということは大切なことだと思っております。
当社は長年、梱包資材・物流資材・理化学機器を御社に納入させて
いただいておりますが、現在のモノがベストであり続けるということは
なく、時代のニーズにより求められるものは変わっていくと考えて
また、海外に関しては、これとは別に中国で国際調達拠点
が 主 催 の 調 達 部 門 連 絡 会 の 中 で、関 係 会 社 の 購 買 外 注
担当者への研修会を実施しています。
今後も定期的に研修会を実施し調達基本方針を一層浸透
させるとともに、開催地についても拡大を検討していきます。
おります。環境省が提唱しているエコアクション21の認証を取得し、
教育実績
ここで掲げた地球環境に配慮した事業運営をも使命とし、リサイ
クル・リターナブル製品の提案・生分解可能な緩衝材の提案・グリーン
購入促進などに取り組んでおります。
過日のパートナーズミーティングでは御社の企業活動の根幹を
貢献の一つであると考えております。
用語
解説
時期
講座数
講習回数
2010年度上期
7講座
のべ29回 189名
計
18社
2010年度下期
7講座
のべ29回 177名
23社
参加社数
教育プログラム
担うCSR活動をお聞かせいただき、あらためて世界で活躍される
御社とのお取引を通じてお役に立てる企業であり続けることが社会
お取引先さまとの関わり
システムにより国 内 外 の 拠 点を結 んで講 義 形 式で行 い、
この度の東日本大震災で被災された方々には心よりお見舞い申し
海外調達部門
連絡会での研修会
中国
1回目 8社、
22名 2回目 9社、
24名
タイ
6社、
7名
*OJT教育、OFF-JT教育
OJT(On-the-Job Training)
とは日常の業務につきながら行う教育訓練のことで、通常の業務を
一時的に離れて行う集合研修などの教育訓練がOFF-JT(OFF the Job Training)
SEI CSR Report 2011
50
従業員との関わり
国境を越えた
取り組みを通じて
真のグローバルカンパニーへ。
グローバルな人材活用
住友電工の海外事業は1960年にニューヨーク駐在員事務所を
設立して以来、約50年の歴史があります。現在では世界30カ国
以上に325社の拠点を展開し、約18万人の社員の方々が活躍
しています。
特に、この5年間は自動車部品を中心に、急速なグローバル
展開が進行し、グループの人員規模は拡大の一途ですが、大規模
な事業買収や、海外企業とのパートナーシップによる現地製造
会社の設立等も増加しており、さまざまなバックグランドを持つ
多様な人材が当社グループの一員に加わってきています。このよ
うななかで、事業の要の一つである、
「人」
に関するグローバル化
が急速に求められております。当社では、まず日本・海外に点在
する幹部社員の育成を目的に
「グローバルリーダーシッププログ
ラム」を実施し、各地域より参加する幹部社員と経営陣が直接
コミュニケーションを行い、住友事業精神や当社グループの経営
理念を直接聞くことのできる場を設けています。また、幹部に
よるアクションラーニングでは、従来の国内幹部社員に加えて、
昨 年 度 は 初 めて 現 地 の 米 人 幹 部と駐 在 員 が 一 つ の チ ームを
組んで米国チームをつくり、北米でのモノづくり力強化への提言
を行う等、グローバルな人材の交流を意欲的に行っております。
また、本部の幹部と世界各拠点の幹部人材が双方向のコミュ
ニ ケ ー ションを 行うた め のウェブツ ー ル「GEC−Net
(Global
Communication Network)」
を開発し、日常的にグローバルに
情報を共有し、コミュニケーションを促進する仕組みも導入して
います。
このように、海外でのオペレーションの拡大に伴い、人材育成や
コミュニケーションに関してグループ・グローバルな取り組みに
着手しておりますが、今後の事業展開を考えた場合、人材や組織の
グローバ ル 化をより一 層 加 速させていく必 要 が あると考えて
います。そのため、ツールの開発だけでなく
「グローバルHRM
ポリシー」を制定して全世界に発信し、当社グループのあらゆる
人材に対し、国籍、人種、性別、年齢などにかかわらず、さまざま
人事総務部長
賀須井 良有
なキャリア機会を提供し適材適所を加速していくことで、ダイバー
シティの推進を本格的に進めていきたいと考えています。ポリ
シーの実現に向け、国境を越えた人材の交流や処遇・育成・配置
2010年度主要目標
●
コミュニケーション・プラットホームの整備と
リージョナル人材ミーティング実施による
グローバルコミュニケーションの強化
●
アジア各国でのモノづくり研修の充実・開催国の拡大
●
SWITCH運動の一環として、
業務効率化・生産性向上に向けた全社運動の展開
等に関する全世界共通のガイドラインを整備していく予定です。
こうした取り組みを通じて、真のグローバルカンパニー、ひいては
Glorious Exellent Companyを目指していきます。
SWITCH+(プラス)運動の実施
一方で、日本国内においても、特例子会社*
「すみでんフレンド」
2010年度実績
●
グローバルコミュニケーションツール「GEC - Net」の開発
全世界の幹部社員による選抜研修
「Global Leadership Program(GLP)」の実施
●
●
SWITCH運動での業務効率化活動の実施
による障がい者雇用の促進や女性の活躍促進を図り、全ての面で
のダイバーシティ強化を推進します。
さらに 、
2008年 より活 動して き た 労 働 時 間 短 縮 の 活 動
「SWITCH運動」
は、2011年3月で3年間の活動を終了しましたが、
本年4月より
「SWITCH+(プラス)運動」
と名称を新たにし、労働
2011年度主要目標
●
グローバルHRMポリシーの発信
●
GEC - Netの本格稼動
●
SWITCH+(プラス)運動の実施展開
時間短縮だけでなく活き活きとした組織づくりを目指す総合的な
活性化活動として取り組んでいきます。
用語 *特例子会社
解説 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、
51
SEI CSR Report 2011
企業が障がい者雇用を目的に設立する子会社
ダイバーシティ
グローバル HRMポリシーの制定と周知
グローバルコミュニケーションツール
「GEC-Net」の 開発
住友電工は、2011年9月に制定・公表する
「グローバル
HRMポリシー」
を全世界のグループ会社に周知するととも
本部の幹部と海外各拠点の幹部社員の双方向のコミュニ
に、各地域・各社における採用活動の強化や、ローカル人材
ケーションを補完する目的から、コミュニティ
(電子会議室)
の登用、キャリア機会提供の拡充などにより、当社グループ
や 日 記 機 能 を 持 つ 社 内SNSシステムとして「GEC-Net」
の人材や組織の活性化を推進します。
(Global Communication Network)
を開発し、2011年
2月からイントラネット上で運用を開始しました。世界各国
グローバルHRM( Human Resource Management )ポリシー
●
のグループ会社の幹部社員が参加することができ、本人が
自らのプロフィールやキャリアプランなどを入力すること
We provide workplaces where all the employees
can work actively, grow both personally and
ができます。GEC-Net上では、社長や各本部幹部などの
professionally through work, achieve self-
メッセージが定期的に掲載され参加メンバーが閲覧する
actualization, and contribute to the society.
ことができるほか、様々なテーマに関するコミュニティを
(あらゆる人材がSE
Iグループの一員として活躍し、仕事を通じ
設 定し、情 報 発 信や意 見 交 換を双 方 向で行うことができ
て成長し、自己実現し、社会に貢献できる会社を目指します。)
●
ます。現在、全世界で約120名のメンバーが参加しており、
We offer various career opportunities and pursue
GEC-Netを利用して英語を共通言語としたグローバルな
globally "right person in the right position" regardless
コミュニケーションが開始されています。
of nationality, race, ethnicity, religion, age, or gender.
(国籍、人種、民族、宗教、年齢、性別にかかわらず、様々な
グローバルマガジンの配信
キャリア機会を提供し、グローバルな適材適所の実現を目指
します。)
●
住友電工グループの海外で活躍する社員とのコミュニ
We value and promote diversity in the workplace in
ケーションツールとして2008年度に
「グローバルマガジン」
order to enhance the creativity of the organization
を創刊しました。この「グローバルマガジン」を通じて、当社
and to sustain the growth of the business.
グループ共通の価値基盤となる事業精神・経営理念や幹部
(組 織 の 創 造 性を高め、永 続 的に発 展 するため、多 様 性を
のメッセージ、経営状況に関する情報、また各地域での事業
重視し、ダイバーシティの推進に取り組みます。)
活動や社会貢献活動に関する情報などを発信し、グループ
●
We develop global leaders who lead and give
社員間の情報共有や一体感醸成に努めています。
energy to our global business. Global leaders are
「グローバルマガジン」
those who understand and share the Sumitomo
Spirits and the Corporate Principles and can lead
は全世界のグループ会社
highly diversified teams.
社員を対象に、
年4回、
7カ
(グローバルな事業展開を支えるグローバルリーダーの育成に
国語で配信しています。
取り組みます。グローバルリーダーとは、住友の事業精神と
SE
Iグループの経営理念を理解し、ダイバーシティに富んだ
チームをリードできる人を意味します。)
グローバルマガジン
各年度3月末現在の人数
200,000
150,000
100,000
50,000
0
米州
2005
2006
欧州・アフリカ
2007
東南アジア
2008
中国
2009
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
米州
20,449
18,201
23,962
15,744
13,852
15,164
欧州・アフリカ
23,448
27,634
31,406
32,667
33,834
41,230
東南アジア
23,365
25,766
27,167
34,792
34,310
37,538
中国
24,483
29,367
34,939
33,808
37,843
51,887
日本
32,905
32,885
36,251
35,536
37,364
36,954
総計
124,650
133,853
153,725
152,547
157,203
182,773
従業員との関わり
グループグローバル人員推移
人員数(人)
2010 (年)
日本
※ 住友電工および連結子会社
SEI CSR Report 2011
52
ダイバーシティ
多様な人材の採用と活用
障がい者雇用の推進
住友電工の2010年度における新卒総合職社員の採用
当社はこれまで身体障がい者の採用を中心に、地道な
人数102名のうち、女性の人数は10名、外国人は1名となっ
取り組みを続けてきましたが、さらなる障がい者雇用の促進
ています。また海外の大学を卒業した日本人を2名、他社
と障がい者雇用率の向上を目指し、2008年7月に特例子
経験者を15名採用しました。当社のグローバル展開や新規
会社・すみでんフレンド
(株)を設立しました(2009年2月に
分野を支えるうえで、今後も多様な人材の採用を積極的に
特例子会社認定)。現在、社内緑化事業・梱包用緩衝材の
進めていきます。
袋詰め作業、古紙シュレッダー、書類の電子ファイル化等の
業務を行っており、12名の知的障がい者と9名のスタッフの
男女採用者数
計21名が働いています。今後はさらに業務を拡大し、新規
(人)
500
434
業務の創出に取り組んでいきます。
401
400
92
79
350
314
300
250
148
24
45
342
322
2.02
2.0
175
2.01
2.06
2.03
1.91
1.87
1.9
法定雇用率
1.8
124
50
各年6月15日現在
2.1
265
211
100
(%)
2.2
220
200
150
障がい者雇用率の推移
49
250
39
1.7
1.6
0
2005
男性
2006
2007
2008
2009
2010
(年度)
1.5
0
女性
2006
2007
2008
2009
2010
2011
※
(年)
(注)
上記の人事データ指標の対象範囲は、住友電工の社員で関係会社等の出向者を含みます。
※ 2011年の障がい者雇用率は、2010年7月に除 外 率*が10ポイント引下げられた
(15%→5%)
こともあり、1.91%になりました。
男女社員比率・男女基幹職比率
2011年3月末現在
女性
女性
11.5%
2.1%
住友電工
社員総数
住友電工
基幹職総数
10,653 名
3,210 名
男性
男性
88.5%
97.9%
男女社員比率
男女基幹職比率
住友電工単体に在籍する外国人社員数
CSR VOICE
(人)
40
各年度末時点の人数
33
35
社員一人ひとりの喜びとやりがいを感じています
33
すみでんフレンド
(株)社長 大樂
29
30
裕
25
25
当社は2008年10月の事業開始時に障がい者を5名採用して
18
20
スタートし、さらに2011年5月に7名を採用し、今では障がい者が
15
11
12名、全社員で21名の会社になりました。
10
当社では入社した障がい者全員が会社の全ての業務を習得する
5
ことを目指しております。そのため、入社後の初期段階で業務がうま
0
2005
2006
2007
2008
2009
2010
くできる人とできない人に分けて各自に適した業務を与えるのでは
(年度)
なく、どうすれば全員が習得できるかを念頭におき、使う道具や作業
手順を創意工夫しながら、職域の拡大を図っています。このような
住友電工単体に在籍する外国人社員 国別人数
取り組みの結果、徐々に互いに交代できる体制となり、納期にも柔軟
に対応できるようになりましたし、何より社員自身の喜びややりがい
インドネシア 1人
台湾 1人
につながっていると思います。
ベトナム 1人
先入観を持たず、一人ひとりの個性をよく見て、それぞれに合った
マレーシア 1人
指導・育成に努めることで、少しずつですがスキルが向上してきます。
タイ 2人
業務習得に時間がかかる社員をそのままにして前に進むのではなく、
33 人
業務習得が早い人も遅い人も、
また障がいのあるなしに関わらず、
中国 27人
全員で一緒に前を向いて歩いていくことが大切だと考え、日々取り
組んでいます。
用語
解説
53
SEI CSR Report 2011
*除外率
障がい者の就業が一般的に困難な業種について、雇用する労働者数を計算する際に除外率に
相当する労働者数を控除する制度。除外率は廃止に向けて段階的に引き下げられている
人権・活き活き職場
人権啓発・教育の取り組み
活き活き職場調査の実施
住友電工は、グローバルに事業を展開する企業の必須条
当社では、2006年度から「活き活き職場調査」
と称して
件として、人種や国籍等に関わらない多様な人材の雇用拡大
社員の意識調査を実施しており、2010年度についても5月
に努めるとともに、社員一人ひとりの人権を尊重した企業
に当社社員およびグループ会社の社員を含め約15,000名
経営を行っています。
を対象に実施しました。
全社員に配布する
「住友電工グループ・コンプライアンス
調 査 結 果は下 図に示すとおり、全 般 的には改 善 傾 向 が
マニュアル」
では、
「働きやすい職場の維持」の章で、人権の
続いていますが、前年との比較ではほぼ横ばいとなりました。
尊重と不当な差別の禁止を定めるとともに、セクシュアル
項目別では、
「上司・部下のコミュニケーション」
「やりがい」
ハラスメント、パワーハラスメ
の項目が若干悪化している一方、
「事業精神と経営理念」、
ントの禁止、社員情報の厳格
「部門長のマネジメント」などの項目は着実に改善しており、
なる取り扱いについて定めて
研修をはじめとした各種啓発活動や12VISION達成に向け
います。
た各職場での取り組みが進んでいることがうかがえます。
また同和問題をはじめとす
調査結果は全社傾向について社内報で周知するとともに、
るさまざまな人権問題の解決
組 織ごとにフィードバックを 行 い、各 職 場 で 調 査 結 果 を
に向けて継続的に人権啓発・
もとに推測される具体的な課題を検討の上、改善のための
教 育に取り組 み 周 知 徹 底を
取り組みを推進しており、社員が活き活きと働ける職場づくり
図っています。社内研修につ
に活用しています。
いても、役員から新入社員ま
での各階層別研修や、各職場
活き活き職場調査 結果推移
の人権研修推進委員が中心となる職場内研修、テーマ別の
横断的研修、社内人権標語コンクールなどを毎年計画的
2010年
2009年
2008年
働く満足
に実施しています。2010年度は6,266名、当社全社員の
約60%が人権研修を受講しています。
部下との
コミュニケーション
さらに社内外に設けたコンプライアンス委員会相談・申告
窓口(スピーク・アップ制度)
に加え、セクシュアルハラスメ
上司との
コミュニケーション
ント相談窓口を設け、人権侵害に関わる事態が発生した場合
にも、その情報を迅速に把握し、適切な対応がとれる体制を
キャリア
整えています。
また日本国内においては
「大阪同和・人権問題企業連絡会」
等の人権問題に取り組む団体に加入し、企業の立場から関係
やりがい
仕事の取り組み
行政・諸団体と連携して人権確立社会の実現に向けて取り
組んでいます。
職場の風土やリソース
労使の意見交換の場
職場の雰囲気
当社では、企業の発展は組合員の生活向上とともにあると
職場の規範
徹底的に話し合うことで、さまざまな課題の解決に取り組ん
従業員との関わり
いう考え方を基本に、労使がお互いの立場を尊重しながら、
評価の仕組み
でいます。
労使の代表者が事業環境や経営状況などについて意見を
部門長のマネジメント
交換する
「中央経営協議会」
(年4回開催)
は、60年を超える
歴史を誇り、2011年5月時点で260回を数えます。
また、
「時間短縮専門委員会」
「福利厚生専門委員会」
など
の各種専門委員会を設置し、働き方の多様化が進むなかで、
全ての社員が活き活きと笑顔で働ける環境づくりに向けて、
各種制度の改善やモニタリング機能の強化を図っています。
上司のマネジメント
事業精神・経営理念の
浸透
2
悪い
2.5
3
5段階で評価
3.5
4
良い
SEI CSR Report 2011
54
ワーク&ライフ
仕事と生活の両立支援
様々な支援制度
住友電工は、社員の「仕事と生活の両立」
を支援するため、
①ジョブリターン制度
メリハリのある働き方を推進するとともに、次世代育成支援
2008年4月から、出産・育児・介護等を理由として、やむを
対策推進法に基づき、これまで3回の行動計画を達成し、
得 ず 退 職した社 員 が 就 業 可 能となった時 点(退 職 後 3 年
仕事と育児の両立支援に取り組んでいる事業主として厚生
以内)で、会社が本人と面談を行い、原則として退職前の
労働省から認定を受けるなど、育児・介護関連制度の整備に
職場で再雇用する
「ジョブリターン制度」
を導入しています。
積極的に取り組んでいます。
②託児所
これまで、出産する女性社員の多くが育児休業を取得した
後に職場復帰を果たすなど一定の成果をあげており、また、
女性社員だけでなく男性社員も育児休業や配偶者出産休暇
を取得することで育児に参加しやすいよう制度拡充を進めて
きています。
育児をしながら働き続ける社員をサポートするための環境
整備の一つとして、2008年3月に横浜地区、同年4月に大阪
地区、そして2009年3月には伊丹地区に託児所を開設し、
61名(2011年3月末時点)のお子さまをお預かりしています。
また、当社の託児所を利用できない社員に対しては、会社か
さらには、ハンドブック・ホームペ
ら託児所利用の補助を行うなどのサポートも行っています。
ージの作成や全社フォーラムなどを
通じて、社員一人ひとりの理解を深
③休暇制度の拡充
める取り組みも実施するなど、仕事
当 社 では、誕 生 日など社 員 本 人 が 設 定 する記 念 日に、
と生活を両立できる職場環境づくり
有給休暇を計画的に取得する
「アニバーサリー休暇(年2日)」
に向けて、さまざまな取り組みを進
を、また、一定の勤続期間に応じて有給休暇を連続5日間
次世代認定マーク「くるみん」
*
めています。
取得する
「ライフサポート休暇」を導入し、有給休暇を取得し
やすい環境作りに取り組んでいます。また、失効した有給
休暇を利用した「ボランティア休暇」
を導入するなど、社員の
社会貢献活動への参加も支援しています。
当社の育児・介護休業制度概要
当社制度の多くは、法を大幅に上回る水準で定められています。
制度
主な制度
概要
休業可能期間
子が3歳に到達するまで
短時間勤務、時間外勤務免除・制限、 養育する子が小学校6年時の
深夜業の制限
3月末日に達するまで
①配偶者出産休暇
(5日間)
②育児休業の最初の3日間を
有給化
育児休業 父親の取得促進
CSR VOICE
「仕事と育児」、その両立に対する支援に感謝しています
住友電工ネットワークス
(株)
ウィルソン
森川 かおり
2008年秋に入社した当時、娘は2歳でした。仕事と育児の両立
ジョブリターン制度
退職後再雇用制度
託児所
3事業所にて受け入れ中
カフェテリアプラン育児・
教育メニュー
メニュー利用ポイントの
2倍・4倍化
休業可能期間
1年間
短時間勤務、時間外勤務免除・制限、
要介護状態が継続する間
介護休業
深夜業の制限
介護支援サービス
費用の援助
を考え、不安な気持ちでいっぱいであったことを覚えています。入社
から2年半が経ち、仕事にも慣れ、仕事と生活の両立も少し軌道に
2008年度
乗ってきましたが、子どもの病気などで早退しなければならない時には
職場の皆さんに申し訳なく思いますし、逆に、仕事の都合で帰宅が
遅くなった時には娘に申し訳なく感じたりと、
「 時間が思うようになら
ない」
ということに苦労しています。こうした中で、アニバーサリー
休暇やSWITCH運動などの制度は強い味方となっており、そして、
① 育児休業者数
( )内は当該年度
新規取得者
非常に感謝しています。これからも、限られた時間をいっそう充実さ
用語
解説
55
SEI CSR Report 2011
2010年度
3(3)
4(3)
3(3)
女性
119(50)
106(56)
100(51)
計
122(53)
110(59)
103(54)
② 配偶者出産休暇取得者数
44
68
61
男性
7
7
14
女性
183
172
205
計
190
179
219
何よりも職場の皆さんや家族の理解と協力に恵まれていることに
せて、前向きに仕事と生活の両立に頑張っていきたいと思っています。
2009年度
男性
③ 短時間勤務制度
利用者数
「くるみん」
*次世代認定マーク
当社の、次世代育成支援対策推進法に基づく第1回行動計画
(2005年4月∼2007年3月)、第2回行動計画(2007年4月∼2009年3月)、
第3回行動計画(2009年4月∼2011年3月)が達成されたことに対し、厚生労働省より認定されたものです
SWITCH+
(プラス)運動をスタート
こころの健康管理
住友電工では、
「仕事をするときは徹底してするが、休む
当社は2008年9月に
「メン
ときは思い切って休む」
というメリハリのある働き方の実現
タルヘルスハンドブック」
を制
を目指し、2008年度より3年間の期限を設けてSWITCH
作し、全社員に配布してメンタ
運動に取り組んできました。全社キャンペーンによる意識の
ルヘルスの基礎知識の普及に
高まり、職場単位での定時退社日の設定や計画的な有給
努めるとともに、基 幹 職を中
休暇の取得、業務の効率化活動などの取り組みを推進した
心とした研修を実施するなど、
結果、下表のとおり2008年9月のリーマンショックの影響
全社レベルで社員の心の健康
で2009 年 度は異 例 値となっていますが、年 間 の 総 労 働
管理に取り組んでいます。
時間は着実に減少するなど一定の成果があがりました。
主要事業所にカウンセラー
こうした成果を踏まえて2011 年度からは、労働時間の
を配置し、2008年5月からは
適正化・業務効率化だけでなく、次世代育成支援、介護支援、
家族も含め社外カウンセラー
メンタルヘルス対策といった密接に関連する諸施策を統合し、
も随時利用できる環境を整えるなど、社員本人や家族、職場
SWITCH+(プラス)運動として新たにスタートしています。
から寄せられる相 談に適切に対応できる体制を構築して
メンタルヘルスハンドブック
「気力と体力とスピード感を持ちながら、各人が職務に責任
います。また、全社員がストレスチェックを利用できるように
をもって最大限の能力を発揮して、従来以上に“活き活き”
するなどのサポートを行っています。
と笑 顔で働くことのできる職 場づくりを推 進する」という
日常のコミュニケーションを通じた「気づき」
と早期対応、
一つのコンセプトの下で、グループ・グローバルに運動を
欠勤・休職中のコミュニケーション、復帰復職に際する段階
推進していきたいと考えています。
的な支援策について、職場、産業医をはじめとする専門家、
人事部門が連携し、本人や家族との連絡を密にするなど、
平均所定外労働時間および平均有給休暇取得日数の推移
きめ細かい対策を行っています。
年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
平均所定外
労働時間/月
22.6時間
22.1時間
21.0時間
14.2時間
19.1時間
平均有給休暇
取得日数/年
11.5日
11.4日
12.1日
12.4日
11.5日
平均総労働時間数の推移
(時間)
2,100
2,080
2,073
2,068
2,060
2,049
2,031
2,040
メンタルヘルス研修
受講者数
受講者数
2008年
605名
2009年
285名
2010年
215名
2,020
研修風景
2,000
1,980
カウンセラー設置状況
1,960
1,965
1,940
1,920
本社
0時間/日 )
1名(2回/月 5.
東京本社
5時間/日 )
1名(8回/月 2.
大阪製作所
1名(3回/月 5.
0時間/日 )
伊丹製作所
2名(5回/月 2.
5時間/日 )
横浜製作所
0時間/日 )
2名(5回/月 3.
関東地区
1名(4回/月 3.
0時間/日 )
熊取地区
1名(4回/月 3.
0時間/日 )
1,900
0
2006
2007
2008
2009
2010
(年)
(注)
上記の人事データ指標の対象範囲は、
住友電工の社員で関係会社等の出向者を含みます。
従業員との関わり
(注)上記以外に家族も含め、電話やメール等による外部カウンセラーの利用も可能。
SWITCH+
(プラス)運動のポスター
SEI CSR Report 2011
56
人材育成
育成すべき人材像
グローバル化への対応
住友電工は育成すべき人材像を
「住友事業精神を堅持し、
住友電工グループでは、事業のグローバル化に伴います
会社の経営方針を理解し、基本に忠実で高度な技術・知識を
ます役割が大きくなってきた海外スタッフの育成に取り組ん
有し、グローバルに通用する人材」
と定義しています。
でいます。
2010年度は、特に多くの部門が事業展開している中国
人材育成の基本的な考え方
にて、モノづくりの基本を伝えていく研修を中心に社員教育
● 企業理念・経営戦略に沿った人材育成
を充 実させました。例えば、各 製 造 拠 点 の 安全推進者の
●
「本人の意欲」
と
「職場上司の指導と対話」が基本。
養成を目的とした「モノづくり基盤強化研修」、新人・転入者
それを
「部門内研修」
と
「全社研修」
により支援
に業 務を指 導 する際 のポイントを教える「仕 事 の 教え方
研修」の社内トレーナーを養成する講座などを新設しました。
自己啓発 上司の指導・対話
部門内研修
全社研修
当社グループで共通の研修を実施することで、グループ
人材開発部の研修
としての基本的な考え方の浸透やマインド醸成、各社間の
コーポレートスタッフ
部門の研修
ネットワークの形成に役立っています。今後は東南アジアを
中心に同様に研修体制の整備を進めます。
海外現地法人社員の研修受講者数
充実した研修制度・SEIユニバーシティ
のべ受講者数
(人)
575
15
600
SEIユニバーシティというコンセプトのもと、グループ全体
500
としてさまざまな研修を実施し、人材価値の向上を図ってい
400
ます。2010年度の研修プログラム数は約270、当社社員の
300
のべ受講人員(研修プログラム単位で参加人数を総計)は
200
約30,100名、平均受講時間は22.6時間でした。
100
280
10
46
0
SE
Iユニバーシティ基本理念
2006
米国
中国
204
8
28
10
66
2007
353
46
271
36
2008
308
430
245
63
2009
130
2010
(年度)
東南アジア
① 住友電工グループとしての企業理念浸透の場
② 住友電工グループとしての経営戦略・ビジョン共有の場
③ グローバルに通用するために必須の能力・技能・知識向上の場
2010年度も多数の研修を充実・新設しました。例えば、
SEQCDD*のひとつである品質(Q)に関しては、モノづくり
品 質に加 え、事 務( 事 業 所 部 門 の 業 務 )品 質 の 研 修にも
積極的に取り組みました。モノづくり品質については、若手
CSR VOICE
社員から基幹職までの各階層の昇進者に対して
「品質第一
の文化醸成」
を目的として品質管理教育を充実させ、さらに
「仕事の教え方トレーナー養成講座」を受講して
中山住電新材料有限公司(中国)
左
全社品質管理活動の重点テーマである
「自工程保証」
につい
都煜
て関係者への集中教育を新設しました。また事務品質につ
2011年1月に二日間の
「仕事の教え方トレーナー養成講座」
を受講
いては、仕事の流れを図式化して問題点を見つける
「フロー
しました。
この研修を通して、仕事の教え方を体系的かつ論理的に認識
チャート研修」
や、事務ミスの真因を明らかにして再発防止
できるようになったと思います。ステップを踏むことによって、仕事の
教え方がイメージしやすくなっただけでなく、指導効率も大幅に向上
を防ぐための
「なぜなぜ分析研修」
を実施しました。
するようになりました。
また当社の事業は多岐にわたります。そこで若手社員を
研修受講後、
この
「仕事の教え方」
を早急に社内で展開する必要性を
中心に、自部門以外の事業内容、最先端の研究内容、など
強く感じました。社内における全ての班・組長に正しい教え方を知って
もらうために、班・組長全員を5グループに分けて社内研修を実施し、
さまざまな技 術や製 品を幅 広く知ってもらう研 修 、
「住友
その結果、全員がこの科学的な教え方を理解するようになりました。
電工を知ろう!」
研修を新設しました。研修を通じて、若手社員
研修を実施するなかで、受講者に充分理解してもらうと同時に、
自分の
の視野を広げ、自らの業務に生かすとともに、部門間の連携
促進なども期待しています。
講義レベルも次第に向上していきましたので、能力とは実践しない限り
向上できないことである、
と身をもって実感しました。
正しい仕事の教え方を職場へ導入するため、これからも習得した
知識を活用し、現場の指導員に教え続けるよう頑張ります。
用語
解説
57
SEI CSR Report 2011
*SEQCDD
当社グループ事業活動の基本要素( S:安全、E:環境、Q:品質、C:コスト、D:物流・納期、D:研究開発 )
海外人材を含めた未来のリーダー育成
また、幹部研修として、当社および関係会社の執行役員、
現在、住友電工グループ社員の総勢約18万人のうち、
部 門 長などを対 象とした「アクションラーニング(AL)」を
約8割は海外現地法人社員で構成されており、国籍を問わ
実 施しています。AL は、実 際 の 経 営 課 題をテーマとして
ずグローバルに活躍できるリーダー人材の育成が急務と
5∼6名のチームで6 か月間にわたって調査、議論を行い、
なっています。
具体的に取り組むべき内容について経営陣に提言するという
これまで住友電工では、過去に3回、海外関係会社の外国
ものです。6回目となる2010年度は、米国からもアメリカ人
人管理職に対し、住友事業精神や経営理念のさらなる理解
を含む5名が参加し、
「米国SEIグループにおけるモノづくり
やモチベーションの向上を目的として、経営陣との対話や
人材の育成」
について
グループディスカッションなどで構成された「グローバル
提言しました。
マネージャー日本招聘研修(以下、GMJ)」を実施してきま
GLP、ALというステ
した。そして4回目にあたる2010年度はGMJを発展的に
ップ を 通じ、未 来 の
再構築し、外国人管理職と当社日本人基幹職との合同研修
リー ダ ー がより経 営
「グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)」
として、
的な視点を身につけ
南箱根セミナーハウスを中心に2011年2月14日より4日間
ていくことを期待して
の日程で開催しました。
います。
G L P を受講して
アクションラーニング
GLPでは総勢41名の受講生(外国人管理職30名、日本人基幹職11名)が、住友事業精神や経営理念、
12VISIONなどのさまざまな講義を受講した後、数名ずつのグループに分かれ、グローバル時代のマネジメントのあり方について
英語でディスカッションをしました。また最終日には、当社の経営陣に向けプレゼンテーションを行いました。これらを通じて、
「住友電工グループらしいマネジメント」
について、受講者、経営幹部共通のコンセンサスが醸成されたものと確信します。また、
さまざまな国籍、担当業務の受講者が一堂に会して本プログラムを受講することで、異文化への理解が相互に深まるとともに、
住友電工グループとしての求心力の向上にもつながると期待しており、今後も継続的に開催する予定です。
CSR VOICE
CSR VOICE
グローバルに向けた確かな一歩
P.T. SUMIDEN SERASI WIRE PRODUCTS(インドネシア)
真のグローバルカンパニーを目指して
住友電工電子ワイヤー
(株)
渡邊
寛之
Anton Muhtar Rosyidin
GLPは、世界中からの参加者とともに、住友事業精神について
深く考え、真のグローバルカンパニーを目指して当社が進むべき
けたことを、光栄に思います。住友電工の経営幹部の皆さんからの
道 筋を思い 描くことが できる意 義 深い 機 会でした。さまざまな
講義や、さまざまな国から参加したメンバーとのディスカッション
バックグラウンドを持つ人々との3日間にわたる率直な意見交換を
を通じて、住友電工グループの歴史、事業精神及び重要な理念、
通じて、住友事業精神や当社グループの経営理念には、誰でも自然
価値観について学びました。今回のGLPのプログラムは、直接、
に共感を覚えることができる普遍性の高い価値観が 表れている
住友電工の経営幹部と対話する機会でもあり、住友電工グループ
のだという確信を深めることができました。毎回のグループ討論
が、よりグローバルな会社になるための確かな一歩だと信じてい
では、さまざまな意見からよりよいアイデアを考え出すプロセスが
ます。将来の目標に向かって、住友電工グループ 、または自社が
あり、
また他グループの発表から新たな知見を得ることも多かった
どのような状態、
レベルにあるのかを理解することは、必要不可欠
と思います。当 社には多 様な製 品 群 、顧 客 ベースや人 材が あり
です。今回のGLPはただの研修ではなく、我々の意識変革および
ます。その多様性を触媒として相乗効果を創出することができれば、
新しい取り組みの引き金になったと思います。
より高い成果があげられると思います。
SEI CSR Report 2011
従業員との関わり
住友電工グループの一員として今回のGLPに参加させていただ
58
従業員との関わり
﹁労災は必ずゼロにできる﹂
その強い信念を
これからも持ち続けて。
2010年度の労災状況は、休業災害8件、不休災害24件と、2009
年度の休業災害9件、不休災害23件に比較して横ばいとなり、発生
件数を減少させることはできませんでした。これは主に、国内グル
ープ社員の労災件数増加によるもので、海外グループ社員や派遣
社員・協力会社社員の労災件数は減少しました。また、労災の主要
因は、標準と異なる作業内容、設備故障、作業環境整備の遅れなど
の管理面に起因するものに加え、何気ない行為や省略行動といっ
た不安全行動によるものに大別されます。この内容をふまえ、
2011年度はモノづくり基盤強化研修等を通じて標準類の見直し
やリスクアセスメントの精度の向上と、階層別安全衛生教育に
よる不安全行動の抑制、さらには施設・設備の点検と安全対策を
推進し、目標達成に向けた取り組みを強化していきます。
労働災害ゼロに向けた基本的考え方
昨年度のCSR報告書の内容と重複しますが、労働災害ゼロに
向けた基本的考え方は変わりないことを改めてご報告させてい
ただきます。
まずひとつは、
「労災は必ずゼロにできる・する」
という信念を
もって安全活動を行うことです。そのためには、労災の発生は
管理者の責任であり、部下を預かる者は ①従業員の安全を重視
せず 生 産 第 一 主 義や 能 率 至 上 主 義であってはならな いこと、
②誰 の 責 任でもなく、自らの 責 任であることを意 識すること、
③部下への責任だけでなく家族、社会に対しても責任があること、
を自覚し率先垂範することです。このことがうまく伝われば各層
に必ずや「安全は全てに優先する」の意識が根付き、活性化され
た安全衛生活動が展開できるものと考えます。
もうひとつは、単に気を付けろといった精神論だけではなく
形のある安全対策を推進することです。労災事故は、人の「不安
全行動」、モノの「不安全状態」、それを招く
「管理不備」の単独も
しくは複合で起こるとされていますが、当社グループではまず
「不安全状態」
を無くすために設備の本質安全化や作業環境改善
を推進し、それにより
「不安全行動」を引き起こしにくい環境を
安全環境部長
小原 明信
創り上げることを基本と考えています。また、教育不足やルール
の不備から生じる
「管理不備」
を無くすことによる
「不安全行動」の
抑制も重要と考えています。
2010年度は労災件数を減少させることはできませんでしたが、
こうした活動を継続することが重要であり、我々は労災は必ず
ゼロにできるとの強い信念を持ち、2011 年度につきましても
2010年度主要目標
●
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
●
受講対象者へのモノづくり基盤強化研修(KKP)を
3年間で完了(2年目の取り組み)
2010 年度の活動をベースに、
「全員が問題意識を持ち、チーム
ワークで改善」
をキーワードに活動を進めていきます。
2010年度実績
●
休業災害8件、不休災害24件
●
モノづくり基盤強化研修(KKP)を2591名受講
(期間:2009年1月∼ 2011年3月末)
2011年度主要目標
59
●
休業災害ゼロ、不休災害12件以下
●
受講対象者へのモノづくり基盤強化研修(KKP)を
3年間で完了(3年目の取り組み)
SEI CSR Report 2011
全社安全大会(参加者全員で安全コール)
安全・衛生
安全・衛生に向けての主な取り組み
国内社員休業度数率*の推移
(度数率)
<グループ・グローバル安全保全診断活動>
1.8 1.82 1.79 1.77 1.78 1.85
2
1.95 1.9
1.83 1.8
1.59
2009年度から、グループ・グローバル安全保全診断活動
1.5
を実施しています。目的は、
●
1.09 1.12
1.02 1.02 0.97 0.98 0.98 0.99 1.01 1.02
0.96
不安全状態の撲滅と不安全行動抑制効果を狙い、
1
ソフト・ハード両面から診断評価。
0.54
0.5
さらに、設備安全点検により本質安全化を推進。
●
0.1
国内外の製造拠点を共通の物差しで診断し、
0.27
0.12 0.14 0.1
0.29 0.24
0.14 0.07
0.04
0
0
弱点の把握と改善および強みの共有化(横展開)を図る。
ことにあり、住友電工グループ国内外の121製造拠点を2年
に1回の周期で診断を実施します。診断項目の内容は下表
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010(年度)
2003年度まで住友電工単体
全産業
製造業
2004年度から住友電工グループ
住友電工グループ
(注)
2010年度の集計範囲は住友電工および国内関係会社71拠点です。
のとおりです。
診断項目
狙い
●
安全衛生診断
(132項目)
●
安全教育の強化
進め方
強み・弱みの見える化 ①コンプライアンスおよび
安全衛生自主活動の診断
活動の質向上
②診断結果を基に改善方針を決定
③良好な活動は横展開
診断による弱点補強
● 教育支援による
レベルアップ
●
保全力診断
(39項目)
●
設備安全点検
(現地現物)
●
安全対策点検
人の不安全行動に
よる怪我の防止
<モノづくり基盤強化研修(KKP)>
2009年1月より、生産現場の中堅層を対象としたモノ
づくり基盤強化研修(KKP)を開始しました。
①設備調達・保全力についての診断
②診断結果を基に改善推進
③建屋・ユーティリティー施設等の
状況確認、指導
参加者は、階層ごとに安全衛生の基本教育と演習および
品質・モノづくり基盤点検の講習を受講(計5日間)します。
研修内容
①一連の作業を通して点検し、
改善項目を摘出
区分
②改善・対策のトレース
日程
対象者: ①製造部長・工場長 ②推進者(管理監督者層)
③実践者
③自部門での類似設備への横展開
午前
また、診断結果を報告書にまとめ、被診断拠点へ報告する
安全衛生
安全管理の
考え方・進め方
2日目
KYT(危険予知トレー
ニング)演習
3日目
RA(リスクアセスメント) 効果的な
演習
安全点検演習
1日目
モノづくり基盤
点検の進め方
2日目
モノづくり基盤点検演習
までに108拠点が終了しています。
安全活動の成果
品質
モノづくり
2010 年 度 は〈安 全 は 全 てに 優 先 する「止 める・呼 ぶ・
待つ」
〉
のスローガンのもと、数値目標である、休業:ゼロ、不休:
実践
対象者
KY・標準(安全基準書)
1日目
とともに、要改善事項のトレースも行います。
実 施 件 数としては、2009年 度 開 始 以 来、2010年 度 末
午後
RA・安全点検
標準(安全基準書)
作成演習
①②③
②③
②③
品質管理概論・品質管理活動
(①)
②③
のポイント
②
1カ月間 自職場でのテーマ実践+報告会(修了式)
③
12件以下を掲げて安全活動に取り組みました。2010年度
住友電工グループ全体の労災発生件数は下表のとおりです。
対象:国内71拠点、海外41拠点
グループ社員
2009
年度
国内
海外
休業災害
2
4
1
1
8
不休災害
18
3
2
1
24
合計
20
7
3
2
32
休業災害
0
3
2
4
9
不休災害
13
9
1
0
23
合計
13
12
3
4
32
2009年度と比較すると合計件数は横ばいで、国内グル
て行います。テーマは以下のとおり
「あるべき姿」の実現に
寄与する成果物を作成でき、ビフォー・アフターが良くわか
るものを選定しています。
<安全テーマ>
●
従業員との関わり
2010
年度
協力会社
派遣社員
計
(国内) (請負・工事請負)
さらに、実践者を対象にテーマ実践活動を概ね1カ月かけ
作業基準書の新規作成や見直し
● リスクアセスメントの新規作成や見直し
など
<モノづくりテーマ>
●
2S3定(整理・整頓・定位・定品・定量)
●
設備管理条件の見える化 など
ープ社員は増加、人材派遣社員は横ばい、海外グループ
テーマ実践活動の終了時には活動内容の報告会を開催し、
社員と協力会社社員は低減となりました。
終了証を授与します。
用語
解説
*度数率
100万延実労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、災害発生の頻度を表す。
計算式は、労働災害による死傷者数/延実労働時間数×1,000,000
SEI CSR Report 2011
60
社会との関わり
住友電工は、創業110年を迎えた2007年に、住友事業精神と
さらに積極的に
目に見える
社会貢献活動の推進を。
住友電工グループの経営理念に則った「住友電工グループ社会
貢献基本理念」を制定し、内外に公表しました。当社グループが
グローバ ルに事 業を展 開し、持 続 的に成 長していくためには、
それぞれの進出先において、本業である事業活動による社会へ
の貢献はもとより、自律的な社会貢献活動を行うことで地域社会
の一員として共 存・共 栄を図ることが 不 可 欠であり、そ のため
には確固たる理念を明示することが必要と考えたからです。
以来、この基本理念のもと、地域貢献、学術振興、人材育成、
ボ ランティア 活 動 支 援 などを 中 心 に「Glorious Excellent
Company」を目指す当社グループにふさわしい社会貢献活動
に取り組んでいます。
寄付・助成、奨学金の支給件数が大幅アップ
2010年度の活動状況としては、まず公益財団法人* 住友電工
グ ル ー プ 社 会 貢 献 基 金につ いてですが、①大 学 講 座 の 寄 付、
②学術・研究助成、③奨学金支給の3事業でいずれも前年度を
上回る活動を行いました。特に、昨年、大阪大学大学院の山内
直人先生(基金評議員)からいただいた「事業活動のPRが不足し
ている」
とのご指摘(2010年版CSR報告書P55∼56に掲載)を
踏まえ、大学講座寄付と学術・研究助成事業については公募に
より、応募総数約70件の中から6件の大学講座と研究16件を
選考し、寄付・助成を行うとともに、奨学金についても国内外とも
に支給件数を大幅に増やすことができました。
国内外で地域密着型の社会貢献を推進
また、地域密着型の社会貢献活動についても、国内外それぞれ
の拠点で継続的・安定的な活動を地道に続けています。活動の
活性化に向けての取り組みとしては、ブログ「住友電工グループ
地球人活動スマイルリレー」
を2011年5月に広報部が立ち上げ、
世界各国の当社グループ社員の企業市民活動により生まれる
「笑顔の交流」の紹介を始めました。昨年、山内先生から
「企業の
人事総務部CSR推進室長
得田 和徳
社 会 貢 献は陰 徳ではダメ」というご 指 摘を受けたこともあり、
当社グループの社会貢献活動についても積極的にPRしていき
2010年度主要目標
●
基金を通じ、大学講座の寄付拡大、
奨学金支給の拡充、および学術・研究助成の開始
●
地域貢献活動の活性化に向けた具体策の検討
●
環境NPO支援の具体化
たいと思います。
環境NPOへの支援についても山内先生にアドバイスをいた
だき検討を続けてきましたが、残念ながら「間伐に寄与する紙」
の普及を促進する環境NPO「森の町内会」への参画以外の新規
の支援・協業までには至りませんでした。
2010年度実績
●
住友電工グループ社会貢献基金の活動拡充
●
大学講座の寄付(6件、84百万円へ拡大)
2011年度の目標については、①基金の事業のさらなる拡充と
PR活動の強化、②地域貢献活動の活性化に向けて、グループ全体
●
奨学金支給(国内8名、海外40名へ拡大)
としての取り組みの企画・検討を推進するとともに、③ 環境関連
●
学術・研究助成(16件20百万円実施)
に限 定 せ ず 枠を広 げることも 含 めて2011年 度 中には 何とか
●
スマイルリレー開始(2011年5月)
●
環境NPO「森の町内会」支援の継続
NGO/NPOとの協業を具体化したいと思っています。
こうした取り組み以外にも、メリハリのある働き方でワークも
2011年度主要目標
●
基金を通じた、大学講座の寄付、
奨学金支給および学術・研究助成の拡充
●
住友電工グループとしての地域貢献活動の活性化に向けた
具体策の検討・実施
●
環境関連を中心にNPOとの協業の具体化
ライフも充実させることを目指す「SWITCH+(プラス)運動」の
中で、社員のボランティア活動への支援を拡充することや、
「住友
電 工グ ル ー プ の 社 会 貢 献はこれだ」という看 板 プログラムの
企画・検討も行っていく所存です。
用語
解説
61
SEI CSR Report 2011
*公益財団法人
一連の公益法人改革の末、平成20年12月1日施行の法律に基づき、公益を目的とする
23事業に限定して設立を認められる、公益性の高い財団法人
社会貢献
社会貢献に関するグループ基本理念の制定
寄付
住 友 電 工 は、2007 年 の 創 業 110 年 を 機に「住 友 電 工
当社は、住友電工グループ社会貢献基金への寄付以外
グループ社会貢献基本理念」
を制定し、
この基本理念のもと、
にも、学 校・教 育、産 業・学 術 振 興・研 究 開 発、文 化・芸 術、
地域貢献、学術振興、人材育成、ボランティア活動支援など
福祉事業、地域振興、環境保全、スポーツなど広範囲にわた
を中心に
「Glorious Excellent Company」を目指す当社
り寄付を行っています。2010年度は、交響楽団やオペラ
グループにふさわしい社会貢献活動に取り組んでいます。
活動等文化・芸術への支援、大学基金や大学会館設立等
事業への寄付、更生保護施設改築等の福祉事業、世界遺産
ただす
住友電工グループ社会貢献基本理念
住 友 電 工グ ル ープは、事 業を通じて社 会に役 立つ
製品・技 術・サ ービスを提 供し、広く社 会に貢 献する
「下鴨神社・糺の森」の保全事業等の環境保全活動など重要
な社会活動に対して支援を行いました。
寄付の分野別支出額(住友電工単体)
ことはもとより、社会の一員として、住友事業精神並び
に住友電工グループ経営理念に則り、
「人材の尊重」
「技術の重視」
「よりよい社会・環境づくり」をテーマに、
自律的な社会貢献活動に積極的に取り組んでいきます。
●
人材育成、研究・学術振興、環境保全に資する
取り組みをグローバルに推進します。
●
●
その他
8,262,000円
産業・学術振興
地域振興
スポーツ・
文化・芸術
4,140,000円
環境保全
4,000,000円
社会貢献活動を推進します。
学校・教育
支援を行います。
それ以外
94,143,344 円
国内外の事業拠点において地域に密着した
社員の社会貢献活動に対して継続的な
44,955,000円
2,642,000円
12,170,000円
福祉事業
17,974,344円
合計
527,643,344 円
公益財団法人住友電工グループ
社会貢献基金の活動
住友電工グループ社会貢献基金
433,500,000 円
2010年度は、住友電工と住友電装(株)から総額5億3,35
0万円(うち基本財産に4億円、運営寄付金に1億3,350万円
充当)の寄付を受け、①大学講座の寄付として総額84百万
円、②学術・研究助成として総額20百万円、③奨学金支給
(日本の外国人留学生8名、海外の大学現地学生40名)
とし
て総額約10百万円の3つの事業を行いました。
そ のうち、大 学 講 座 寄 付と学 術・研 究 助 成 事 業 で は、
2010年度から公募により寄付・助成先の募集を行い、応募
総数約70件の中から、環境問題や食糧問題、高齢化問題等、
現代の重要課題の解決に向けて意義の大きい下記6件の
大 学 講 座と、研 究 資 金を必 要としている基 礎 科 学 研 究や
ボランティア活動
2007年4月より、社員がボランティア活動を行うために
することができる
積立有給休暇*を利用(年間10日が上限)
ボランティア休暇制度を導入しました。また、同年9月には、
社員が福利厚生制度(カフェテリアプラン)を通じて、日本
赤十字社などの福祉・環境関連の公益団体や、地震などの
自然災害復興義援金などへ寄付を行うことができる制度を
導入し、社員の寄付と同額を会社が併せて寄付するマッチ
ングギフト制度も同時に導入しました。
若手研究者による萌芽的な研究16件を選考し、寄付・助成
を行いました。
大阪大学「国際環境生物工学講座」
「ものづくり技術者、研究者養成講座」
●
京都大学「バイオマスの有効活用法の研究」
「ナノ界面光機能研究」
●
東京大学「パワーフロンティア寄附講座」
●
東北大学「ニューロ・イメージング研究」
なお、事業の詳細につきましては、住友電工グループ社会
2010年度カフェテリアプラン寄付メニュー集計結果
寄付金額
日本赤十字社
のべ人数
2,322,180円
183人
ユニセフ
424,152円
66人
世界自然保護基金
(WWF)
152,028円
29人
22,051,238円
1,621人
3,187,256円
336人
28,136,854円
2,235人
東日本大震災
ニュージーランド大地震
貢献基金のWebサイトで紹介しています。
(http://www.sei-group-csr.or.jp/business/index.html)
用語
解説
合計
社会との関わり
●
*積立有給休暇
取得せずに失効する有給休暇を年10日を限度として積立てる
(上限は50日)
ことができる制度。
本人の病気療養、育児や家族の看護など就業規則に定められた場合にとることができる
SEI CSR Report 2011
62
社会貢献
地域貢献活動
地域社会との共生を目指し、住友電工グループでは国内の各拠点においてさまざまな地域貢献活動を行っています。
2010年度の代表的な事例をご紹介します。
地域支援活動の推進
●
地域清掃活動、緑化推進、環境保全活動等
住電エレクトロニクス
(株)
:会社周辺の県道・市道の一斉清掃活動(10月)
住電ファインコンダクタ(株):会社周辺の公道、側溝の美化清掃活動(毎月)
清掃活動は上記を含めて集計対象会社 (注)66社中33社で実施
●
地域防災・安全活動の支援
住友電工(横浜製作所)
:栄区・3町内会拠点防災訓練への参加(2011年1月)
(株)アクシスマテリア:小野市防災協会主催自衛消防隊競技大会参加(11月)
●
グラウンド、体育館等の会社施設の開放
住友電工(伊丹製作所)
:近隣5自治体のバレーボールチームに体育館を提供
(株)アライドマテリアル:少年野球チーム等へグラウンド開放(4月∼10月)
地域清掃活動:住電エレクトロニクス(株)
地域とのコミュニケーションの強化
●
周辺住民、地元の学生(小中高)等の工場見学の受け入れ
住友電工ウインテック
(株)
をはじめ集計対象会社66社中9社で実施
●
工場構内の開放
住友電工(大阪製作所)
:地元自治会や近隣住民の皆さま約 100 名をお招き
してのバラ園見学会を実施(11月)
北海道住電精密(株)、北海道電機(株):構内で「芝桜まつり」開催(5月)
●
近隣地域の行催事等への参加・支援
住友電工(伊丹製作所)
:伊丹市だんじり・みこしフェスティバル支援(10月)
●
地域コミュニティ紙の発行
住友電工(大阪製作所、伊丹製作所、横浜製作所)
バラ園見学会
教育・研修等への支援
●
●
教員の企業体験研修や学生の社会体験実習等の受け入れ
日本アイ・ティ・エフ
(株)
:社会体験実習受け入れ
(11月、2011年2月)
SEIオプティフロンティア(株):社会体験研修受け入れ
(7月、10月)
上記を含めて集計対象会社66社中18社で実施
出前授業、学外授業受け入れ
住友電工(大阪製作所)
:大阪市・梅香中学校「電池の組立て」
(12月)
住友電工(伊丹製作所)
:伊丹市内の中学生26名の体験授業(8月)
住友電工(横浜製作所)
:神奈川県・金井高校「光通信の原理」
(2011年3月)
住友電装(株):四日市市・西朝明中学校での理科の出前授業(2011年1月)
日新電機(株):京都市・松尾小学校での理科教室(8月)
出前授業:梅香中学校「電池の組立て」
地域スポーツの振興
住友電工(大阪製作所)
:少年野球大会(7月)、グランドゴルフ大会開催(10月)
住友電工(大阪製作所)、住電資材加工(株):第2回国際クラス別肢体不自由者
卓球選手権大会の運営支援(11月)
住友電工(伊丹製作所)
:伊丹市中学生陸上教室の共催(年4回開催)、
9人制バレーボール大会開催(11月)
住友電工(横浜製作所)
:神奈川県知的障がい者バスケットボール大会支援(年5回)
住友電工ファインポリマー (株):熊取町第21回くまとりロードレースの
運営支援(2011年3月)
(株)ベイ・コミュニケーションズ:
「ベイコムジュニアサッカー大会」開催(11月)
9人制バレーボール大会
(注)住友電工+国内グループ会社65社( 東海ゴム工業(株)、日新電機(株)、住友電設(株)および持分法適用会社10社を含みます。)
63
SEI CSR Report 2011
世 界 各 国での活 動 紹 介
住友電工は2011年5月、当社グループの従業員や
グループ会社による、地域に密着した
企業市民活動を紹介するブログ
「住友電工グループ地球人活動スマイルリレー」
を、
当社のWebサイト上に公開しました。
国内・海外でのさまざまな取り組みについて、
それぞれの担当者が、国や地域の特色も交えつつ、
思いや感想を自身の言葉で綴ります。
今回は社外広報誌も含めてスマイルリレーに掲載した
海外での活動事例の一部を紹介します。
URL
http://www.sei.co.jp/smile/
老人ホームを慰問
Pray for Japan from South Africa
中国・広東省中山市
南アフリカ
2010 年 9 月の 重 陽 の 節 句(中 国 の 敬 老 の 日)に、
SEWS South Africaでは、3月11日の東日本大震災
中山住電新材料有限公司の社員有志が中山火炬開発
後すぐに従業員から義援金の話が持ち上がり、みんなで
区敬老院へ慰問に伺いました。当日は約40名の入居者
募金を始めました。また、会社のカジュアルデー用に支援
の皆さんにご参加いただき、歌や踊りを披露しました。
Tシャツ(売上の約8割が義援金に充当)
を社員全員分
購 入し、社 員・会 社
からの募金とあわせ
て約28万円を義援
金として送りました。
活動の中心となった
BRENDA さん(左)
と
EUSTACIA さん(右)
地域の皆さんと盆踊り
中学生の職業体験実習受け入れ
米国・ケンタッキー州
シンガポール
2010年9月に開催されたケンタッキー州ボウリング
2010年10月、在シンガポールのグループ会社4社に
グリーン市主催のインターナショナルフェスティバルに
て、日本人学校中学部2年生の生徒さんを1名ずつ受け
Sumitomo Electric Wiring Systems,Inc.の社 員 が
入 れ て 職 業 体 験をして い ただきました。Sumitomo
大勢参加し、地域の皆さんと盆踊りを楽しみました。
Electric International(Singapore)Pte.Ltd.で は、
朝9時から各部門の
業務内容を説明した
後、経理部門で請求
書 の 発 行 業 務を体
験してもらいました
社会との関わり
が、初めての
「仕事」
を楽しく体験してい
ただけたようです。
SEI CSR Report 2011
64
本報告書は、GRIサステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第3.1版(G3.1)
に準拠しています。
準拠レベルは同ガイドラインに定義されるアプリケーションレベルB + に該当しており、
第三者機関による保証を受けています。
GRIガイドライン対照表
■
OUTPUT
OUTPUT
報告
1.1
2.1- 2.10
3.1- 3.8
3.10 - 3.12
4.1- 4.4
4.14 - 4.15
要求項目なし
パフォーマンス指標
について少なくとも
10の報告があること。
そのうち、社会、経済、
環 境 分 野につ いて
少なくとも一つ報告
があること。
B
レベルCの
要求項目に
以下を加える。
1.2
3.9 , 3.13
4.5 - 4.13
4.16 - 4.17
各カテゴリの 指 標
に 対するマネージ
メント・アプローチ
の開示
パフォーマンス指標
について少なくとも
20の報告があること。
そのうち、経済、環境、
人 権、労 働、社 会、
製品責任分野につい
て少なくとも一つ報
告があること。
B+
A
A+
番号
レベルBと同様
マネジメントアプローチ
■
各カテゴリの 指 標
に対するマネージ
メント・アプローチ
の開示
G3の中核指標及び
業種別補足文書*の
パフォーマンス指標
に対応していること。
重要性の原則を考慮
して、a)指標について
報告、または、b)指標
の報告の省略の説明
があること。
*最終版の業種別補足文書
■
EC1
創出したおよび分配した直接的な経済価値
9-10
気候変動による財務上の影響およびその他のリスクと機会
31-32
間接的な経済影響
マネジメントアプローチ
■
1.1
持続可能性への適合性と戦略に関する最高意思決定者の声明
3-6
主要な影響、リスクおよび機会の説明
3-6,13-16
■
■
EN3
一次エネルギー源ごとの直接的エネルギー消費量
EN4
一次エネルギー源ごとの間接的エネルギー消費量
34,36-37
EN5
省エネルギーおよび効率改善によって節約されたエネルギー量
36
EN6
エネルギー効率の高いあるいは再生可能エネルギーに基づく製品/サービス
13-16,43
EN7
間接的エネルギー消費量削減のための率先取り組みと達成された削減量
38
水源からの総取水量
34,40
水
生物多様性への影響をマネジメントする戦略、措置、今後の計画
44
排出物、廃水および廃棄物
EN16
直接及び間接的な温室効果ガスの総排出量
34-37
EN17
その他の関連ある間接的な温室効果ガスの総排出量
35,38
EN18
温室効果ガス排出量の削減の率先的取り組みと削減量
13-16,34-38,43
EN19
オゾン層破壊物質の排出量
34,36
9
EN20
NOx、SOxおよびその他の著しい影響を及ぼす排気物質
34
11-12
EN21
総排水量
34
2.3
組織の経営構造
10
EN22
廃棄物の総重量
34,39
2.4
組織の本社の所在地
9
EN23
著しい影響を及ぼす漏出の総件数および漏出量
41
2.5
事業展開している国の数および特に関連のある国名
10
2.6
所有形態の性質および法的形式
9-10
EN26
製品およびサービスの環境影響の緩和
13-16,43
2.7
参入市場
9-10
EN27
再生利用される販売製品およびその梱包材の割合
40
2.8
報告組織の規模
9-10
2.9
報告期間中に生じた大幅な変更
変更なし
環境規制への違反
31
2.10
報告期間中の受賞歴
66
製品、原材料等の輸送および従業員の移動による環境影響
35,38
種類別の環境保護目的の総支出および投資
31-32
■
■
製品およびサービス
遵守
EN28
■
輸送
EN29
報告書のプロフィール
■
総合
3.1
提供する情報の報告期間
1
EN30
3.2
前回の報告書の発行日
1
労働慣行とディーセント・ワーク(公正な労働条件)
3.3
報告サイクル
1
3.4
報告書・内容に関する質問の窓口
裏表紙
マネジメントアプローチ
■
報告書のスコープおよびバウンダリー
報告書の内容を確定するためのプロセス
25-26
3.6
報告書のバウンダリー
1
3.7
報告書のスコープまたはバウンダリーに関する制限事項
1
3.8
その他の事業体に関する報告の理由
1
3.9
データ測定技法および計算の基盤
各表に注記
3.10
掲載済みの情報を再度記載することの説明および理由
該当なし
3.11
前回の報告期間からの大幅な変更
変更なし
GRI内容索引
報告書内の標準開示の所在場所を示す表
■
■
52-53
LA7
傷害、業務上疾病、損失日数、欠勤の割合および業務上の総死亡者数
60
LA8
深刻な疾病に関する支援プログラム
56
LA9
労働組合と正式合意されている安全衛生のテーマ
54
研修および教育
従業員あたり年間平均研修時間
57
多様性と機会均等
LA13
65
雇用の種類、雇用契約および地域別の総労働力
労働安全衛生
LA10
■
48-52,54,57-58
雇用
LA1
3.5
統治体(経営管理職)の構成および従業員の内訳
53
人権
保証
報告書の外部保証添付に関する方針および現在の実務慣行
マネジメントアプローチに関する開示
67
■
■ ガバナンス
65
生物多様性
主要な、ブランド、製品および/またはサービス
4. ガバナンス、コミットメントおよび参画
■
34.36
組織の名称
3.13
■
34
2.2
3.12
■
使用原材料の重量または量
2.1
3. 報告要素
■
27-31,33,50
エネルギー
EN14
2. 組織のプロフィール
■
62-63
原材料
EN1
■
■
1.2
公共の利益のために提供されるインフラ投資およびサービス
環境
記載ページ
1. 戦略および分析
3-6,9
EC2
EN8
記載内容
記載ページ
経済的パフォーマンス
EC8
■
番号
記載内容
経済
外 部 保 証 を 受けた 報 告 書
G3と
業種別補足文書の
パフォーマンス指標
C+
外 部 保 証 を 受けた 報 告 書
標準開示
G3マネージメント・
アプローチの開示
C
外 部 保 証 を 受けた 報 告 書
G3プロフィールの
情報開示
OUTPUT
報告書適用レベル
48-50,52,54
投資および調達の慣行
HR2
人権に関する適正審査を受けた、主なサプライヤー等
48-50
HR3
人権的側面の方針および手順に関する従業員研修の時間
54
4.1
統治構造
(ガバナンスの構造)
17
4.2
最高統治機関の長が執行役員を兼ねているかどうか
17
4.3
最高統治機関の社外メンバー /非執行メンバーの人数と性別
17
4.4
株主および従業員が最高統治機関に提案/指示するメカニズム
21,51
4.5
役員報酬と組織のパフォーマンスとの関係
17
SO2
不正行為に関するリスク分析を行った事業単位の割合と総数
19-20,22
4.6
最高統治機関が利害相反問題を回避するためのプロセス
17
SO3
不正行為対策の方針/手順の研修を受けた従業員の割合
19-20,22
4.7
最高統治機関やその他の委員会のメンバー構成、適性・専門性の決定プロセス
17
4.8
ミッションおよびバリューについての声明、行動規範および原則
7-8
4.9
経済、環境、社会的パフォーマンスについて最高統治機関が監督するプロセス
23
4.10
最高統治機関のパフォーマンスを評価するプロセス
23
外部のイニシアティブへのコミットメント
社会
マネジメントアプローチ
■
■
4.11
予防的アプローチまたは原則への取り組み
18,30-44
経済・環境・社会的憲章、原則、イニシアティブ
44
4.13
団体および/または国内外の提言機関における会員資格
日本経済団体連合会
経済同友会
関西経済連合会
日本銅加工業者協議会
(IWCC)
日本電線工業会
日本生産性本部
該当なし
非競争的な行動等に関する法的措置
19
法規制に対する違反
19
遵守
SO8
製品責任
マネジメントアプローチに関する開示
■
23,45-47
顧客の安全衛生
PR1
■
製品およびサービスの安全衛生の影響
42,46
製品およびサービスのラベリング
PR5
■
ステークホルダー参画
公共政策の位置づけ、参加およびロビー活動
非競争的な行動
SO7
■
4.12
公共政策
SO5
■
23,61-64
不正行為
顧客満足に関する実務慣行
46-47
マーケティング・コミュニケーション
4.14
ステークホルダー・グループのリスト
25
PR6
マーケティング・コミュニケーションに関する法律、基準および自主規範の遵守 21
4.15
ステークホルダーの特定および選定基準
25
PR7
マーケティング・コミュニケーションに関する違反件数
該当なし
4.16
ステークホルダー参画へのアプローチ
25
4.17
ステークホルダー参画を通じて浮かんだ主要なテーマと対応
25-26
製品およびサービスの提供および使用に関する法規違反
該当なし
SEI CSR Report 2011
■
遵守
PR9
■
外部表彰
年月
内 容
ホンダオートモーティブタイランド社様より
「品質賞」
「 搬入賞」を受賞
4月
華為技術有限公司様(中国)
より品質優秀賞を受賞
当社伊丹製作所が「第19回 兵庫県環境にやさしい事業者賞」を受賞
フォルクスワーゲン社様(ドイツ)
より
「Volkswagen Group Award 2010」を受賞
6月
フィアット アウトモーベイス社様(ブラジル)
より2009年度品質優秀賞を受賞
「第二京阪道路 枚方東∼門真ジャンクション間道路交通情報設備工事」の完工で
西日本高速道路(株)関西支社様より感謝状を受領
「中学生向けモノづくり体験型授業」が第19回日本工学教育協会賞「業績賞」を受賞
当社では、将来を担う子どもたちにモノづくりへの関心を高めてもらう目的で、中学生
向けモノづくり体験型授業「ベイ独楽(ゴマ)チャンピオンシップ」
を実施しており、この活動
が第19回日本工学教育協会賞「業績賞」
を受賞しました。
8月
「ベイ独楽(ゴマ)チャンピオンシップ」は、大中小の紙とマッチ棒、爪楊枝を材料にベイ
独楽を作り、最も長く回した人の勝利となります。ベイ独楽という中学生にとってもなじみ
やすい「工業製品」を、条件の試行錯誤を行いながらチームで製作し、競争形式で性能を
2010年
競うプログラムの中で、工夫の楽しさ、結果の分析と対策の意義、チーム単位の競争心を
自然に体得できる点が評価されました。
当社横浜製作所が厚生労働省より無災害記録証第二種を受賞
「楽々 FrameworkII」が「情報化月間推進会議議長表彰」を受賞
情報化月間推進会議(経済産業省、内閣府、総務省、財務省、文部
科 学 省、国 土 交 通 省)
にお いて、住 友 電 工 情 報システム(株)の「楽 々
FrameworkII」が「情報化月間推進会議議長表彰」を受賞しました。
「楽々 FrameworkII」は、システム設計から保守フェーズまで広範囲
10月
にわたって、品質・生産性の向上とコスト削減を実現するWebアプリ
ケーション開発基盤で、大企業を中心に220社の採用実績を有し、高い
生産性・安全性・信頼性が実証されたことが評価されました。
「第二京阪道路 枚方東∼門真ジャンクション間道路交通情報設備工事」の完工と
品質管理で西日本高速道路(株)関西支社管内安全協議会様より表彰状を受領
当社フェロー 佐藤謙一が、日経BP社様主催「第9回 日本イノベーター大賞」の優秀賞を受賞
平成22年度「粉末冶金工業会賞」、
「奨励賞」を受賞
11月
「高圧モジュール」の開発で(社)日本電気協会様より
「第55回 澁澤賞」を受賞
「ワイヤーハーネス用複合線及びその製造方法」で近畿地方発明表彰「大阪支部長賞」を受賞
1月
「複合磁性材料の製造方法」で大阪優秀発明賞を受賞
2011年
当社社長 松本正義がモロッコ王国より王朝勲章を受章
5月
モロッコでの当社グループのワイヤーハーネス事業が10年を経過し、現在では7工場、総従業員1万5千名の規模となり、
モロッコ王国の産業振興に大いに貢献している点が高く評価されたものです。
当社社長 松本正義が世界の銅産業発展に貢献した人物として
「2011年カッパー・マン・オブ・ザ・イヤー」
を受賞
6月
顧客ニーズに対応したグローバルな供給体制を築き、電線のほか自動車やエレクトロニクス分野でも銅使用量を拡大した点、
また国際銅加工業者協議会(IWCC)副会長を務めるなど業界で指導的役割を果たした功績が高く評価されました。
SEI CSR Report 2011
66
■
67
独立保証報告書
SEI CSR Report 2011
■
独立第三者の所見
住友電工グループの CSRに関する取り組みと情報開示に関する所見は以下の通りです。
評価したい点
●
改善が望まれる点
NEXTセンターの創設
●
取り組み面での課題
持続可能な社会への移行を目指して、欧州を中心に環境政策が
目標未達なKPIが増加しています。たとえば、CSR重点5分野で
ますます強化されつつあります。これを背景に市場は新たな需要を
は17 指標(前年度は15 指標)のうち目標未達が 9 指標(前年度は
創造しながら変容を遂げていますが、そうした環境配慮志向の強い
5 指 標)
に増 加し、前 年 度よりパフォーマンスが 悪 化しています。
市場動向を予測する上で、NEXTセンターはきわめて革新的な試み
部分的には、「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」運動のように、目標
になっています。持続可能な社会に向けた新技術を次々と製品化
未達項目数が減少したものもありますが、これも2010年度目標が
する住友電工ならではの斬新でユニークなアプローチとして、その
23項目全部の目標達成ですから、十分とは言えません。また、重要
創設を高く評価したいと思います。
●
多様化するCSRコミュニケーション
な環境KPIであるべきCO 2 排出量削減率も国内・グループ全体と
もに低下傾向にあります。さらに、「活き活き職場調査」では、前年度
から横ばいかまたは低下した項目が8指標(前年度は2指標)
に拡大
社長ブログが5年目に入りました。多忙を極める大企業のトップが、
しています。
ここまで長期間にわたって個人的な情報発信を続けるのは、前例の
生物多様性に関する取り組みが新たに開示されるようになりまし
ないことだと思います。さらに、今年5月からは、従業員によるグロー
たが、内容的には改善の余地があります。事業活動に伴う生物多様性
バルな市民活動の広報手段として、スマイルリレーというブログが
リスクの評価が行われなければ、重要課題の識別ができないから
開始されました。これらはいずれも組織に埋没しがちな「人の顔」が
です。バリューチェーン全体を視野に入れたリスク評価が必要です。
見える取り組みとして、良質なCSRコミュニケーション手段になって
●
います。
●
競争法コンプライアンス体制の強化
独禁法違反事件を根絶するために競争法コンプライアンス体制
情報開示面での課題
情報開示面では、ページ数の増加、新方式の環境会計における
開示項目の追加、CSR重点5分野・「アクションECO-21(Phase Ⅳ)」
運動での細分化された実績評価などに進歩が見られます。しかし、
の強化が報告されています。その内容を見る限り、行動指針の策定
昨年も指摘したグローバルな労務関連情報の開示はあまり進んでい
や従業員研修の強化などの一般的な対策に加えて、社内規程化
ません。今年度はグローバルHRMポリシーが制定されましたので、
された同業他社との接触制限や専任組織の設置・監視体制の整備
これを契機に重点項目であるグローバルな機会提供、ダイバーシ
など、より厳格な組織体制の確立が模索されているように思います。
ティ推進、リーダー育成について、グループ全体での情報開示も
ただし、その有効性を評価するにはもう少し長い時間が必要かも
検討されることを望みます。
しれません。
●
就労環境の改善
労 務 関 係ではSWITCH+(プラス)運 動 が 注目されます。開 示
デ ータを見る限り、平 均 所 定 外 労 働 時 間は経 年 的に減 少 傾 向に
あり、取り組みの成果が出ているように思います。しかし、これは
単なる長時間勤務の是正策ではなく、ワーク・ライフ・バランスも
含めた総合的な労務管理政策に統合されているので、従業員満足
度や離職率といった定量的指標によって効果測定を補強する必要が
上智大学 経済学部教授
上妻 義 直
ありそうです。
第三者所見を受けて
当社グループのCSRへの取り組みと情報開示に関して大変示唆に富んだご意見をいただき、ありがとうございました。
CSRへの取り組みの点では、NEXTセンターの創設、良質なCSRコミュニケーション手段としての社長ブログとスマイ
ルリレーへの高い評価に加え、競争法コンプライアンス体制の強化、SWITCH+(プラス)運動についてもその姿勢を
評価していただいたことは大きな励みとなります。一方、課題としては、目標未達のKPIが増加している点をご指摘いた
だきました。今回より実績評価基準を従来の3段階から5段階に細分化したのも実績をより忠実に反映できるようにする
ためです。具体的にご指摘頂いたCO 2 排出量削減率や活き活き職場調査も含めて定量的なパフォーマンス向上を
目指して取り組みを強化しているところです。生物多様性についてはご指摘のリスク評価に取り組みたいと思います。
情報開示の点では、ページ数の増加、新方式の環境会計での開示項目追加などについて一定の評価をいただきまし
CSR委員会委員長
副社長
竹中 裕之
たが、昨年に続き労務関連情報の開示対象の拡大についてご指摘をいただきました。グローバルHRMポリシーの制定を
機に人事諸制度の構築を加速していく所存ですが、その基盤として人事関連データの開示についても引き続き努力して
いきたいと思います。
SEI CSR Report 2011
68
人事総務部(CSR推進室)
〒108-8539 東京都港区芝浦3-9-1 TEL.03(6722)3126 FAX.03(6722)3109
[URL]http://www.sei.co.jp/csr/ [E-mail][email protected]
A(2)-060002
適切に管理された森林で生産され
た木材を使った環境配慮型のFSC
認証紙を使用しています。
この印刷物に使用している用紙は、森を
元気にするための間伐と間伐材の有効
活用に役立ちます。
国産材の利用を促進
する
「木づかい運動」
を応援しています。
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を使用しています。
有害な廃液が出ない
水なし印刷方式で印刷
しています。
見やすいユニバーサル
デザインフォントを採用
しています。
[発行 2011年9月]
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