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世界の食料ロスと食料廃棄 ~現状と対策~
食品ロス削減シンポジウム (2013.3.8) 「みんなで取り組む食品ロス削減」 世界の食料ロスと食料廃棄 ~現状と対策~ 現状と対策 国際連合食糧農業機関(FAO)日本事務所 企画官 大軒恵美子 はじめに・・・国際連合食糧農業機関(FAO)とは 経済・社会・文化・教育・保健等分野において政府間協定によっ 経済 社会 文化 教育 保健等分野において政府間協定によっ て設立された世界的専門機関のうち、国連総会の承認を受け国 連経済社会理事会 Economic and Social Council と連携関係 協定を結んだ国連専門機関のひとつ。 協定を結んだ国連専門機関のひとつ • 設立 1945年10月16日 地域事務所5、連絡事務所5、 事務 連絡事務 • 所在地 地域支所10、国別事務所78 本部:ローマ • 代表者 ジョゼ・グラジアノ・ダ・シルバ事務局長 “contributing towards an expanding t ib ti t d di world economy and ensuring humanity'ss freedom from hunger humanity freedom from hunger ” 2 FAOの主要業務 情報の収集・提供 政策提言 中立的討議の場の提供 開発援助 3 世界の食料ロスと食料廃棄 (Gl b l F d L (Global Food Losses and Food Waste) dF dW ) http://www.jaicaf.or.jp/fao/publication/ shoseki_2011_1.htm なぜ今、食料ロス・廃棄問題なのか? 食 資源の枯渇 環境負荷 費用の増大 食料品サプライチェーン 1. 農業生産 2. 収穫後の取扱と貯蔵 収穫後 扱 貯蔵 − 余剰生産物 − 収穫物の選別除外 − 輸送網の未整備 (劣悪な道路環境) − コールドチェーンの欠落 適切な保存設備 技術の欠落 適切な保存設備・技術の欠落 − 不適切な在庫管理 不適切な在庫管理・売れ残り 売れ残り − 頻繁な商品切り替え 5.消費 − 外食における食べ残し − 家庭における保存、 家庭における保存 管理の失敗 3.加工 4.流通 − 過剰生産 − 品質管理 各地域における消費および消費前の段階での 1人当たり食料のロスと廃棄量 国民ひとりあたり食料廃棄量: 95‐115kg/年 95 115kg/年 国民ひとりあたり食料廃棄量: 6‐11kg/年 Save Food Initiative @ FAO http://www.fao.org/save-food/save-food-home/en/ http://www.save-food.org/ 海外事例1: FUSIONS(EU) EUが主導する第7次研究・技術開発のための枠 組み計画(FP7)として、2012年に始動。2020年 までにEU域内における食料廃棄を5割削減する ことを目的に、幅広いステークホルダーの参加 のもと、基礎調査から政策提言、ソーシャルイノ ベーションの促進などを行う予定。Wageningen 大学(オランダ)がコーディネーターを務める、マ ルチステークホルダー・プラットフォーム。 チ クホ ダ プ ト ム http://www.facebook.com/pag es/EUFusions/525226617504781 FUSIONS Facebookページ。 パートナー団体のみならず、ヨーロッパ 域内の食料ロス・廃棄問題に関する情 報や取組事例を幅広く発信している。 より詳しい情報は[email protected]へ。 海外事例2: Love Food Hate Waste(イギリス) イギリスの非営利団体であるWRAP(Waste & Resources Action Programme)が立ち上げた、 一般消費者向けの啓発プロジェクト。ウェブサイト を通じ、基礎情報の発信に加え、消費者がムダを なくし、賢く家計をやりくりできるようなアドバイスや ツールを提供するほか、シンクタンクとして食料ロ ス・廃棄に関する調査事業も行う。 Portion Planner: 食料の適切な摂取 量を計算するため のオンラインソフト 食料を使い切る ために工夫され たレシピ集 http://www.lovefoodhatewaste. com/ 海外事例3: Feeding the 5000(イギリス) 世界の食料ロス・廃棄問題の第一人者である ジャーナリスト、Tristram Stuartが創設した団体。 市場に供給されない規格外農産物を中心とする、 従来であれば廃棄されていた食料を活用し、 5,000人の一般市民に料理を振る舞うことにより、 食料ロス・廃棄問題を啓発するようなイベントをイ ギリス・アイルランド各地で実施。 Feeding the 5Kの創設者、 Tristram Stuartの書籍 (2009)。 日本では、「世界の食料 ムダ捨て事情ダ捨 事情 地球 地球の未 未 来を考える」として出版。 規格外農産物をボラン ティアが農場から直接 引き取り、福祉施設へ 提供するネットワーク http://www.feeding5k.org/ 海外事例4: Food Battle(オランダ) オランダ社会基盤・環境省の委託を受け、同 国研究機関であるWageningen UR Food & Biobased Researchが廃棄物処理を専門と する民間企業2社と調査事業を実施。この一 環として、3都市4社にわたる大手スーパー マーケットの協力を得て、一般市民の啓発を 目的として展開した期間限定キャンペーン。 キャンペーンでは、スーパーマーケット の店頭で食料ロス・廃棄に感する情報 発信・啓発をしたほか、1) 信 啓 を Food Battle Game、2) 食べ物日記、3) グループア クティビティなどの活動をとおして、消費 者が積極的に食料 ス 廃棄削減に取 者が積極的に食料ロス・廃棄削減に取 り組めるように支援。 http://www.foodbattle.nl/ 海外事例5: Last Minute Market(イタリア) 食料バリューチェーンを構成する企業や自治体、福 祉施設などに対し、販売に不向きだが消費には問題 がない食料を最大限有効活用できるような仕組みを デザインし、この実現に必要なステークホルダーを 引き合わせ、その運営やモニタリングについてコン サルティングサービスを提供する。(フードバンクと異 http://www.lastminutemarket.it/ なり、実際の物資引き渡しは行わない) イタリアを中心とするヨーロッパで、廃棄物(資源の無駄)に対する 一般市民や為政者の関心を高めることを目的とした、LMMとボロー 般市民や為政者の関心を高めることを目的とした、LMMとボロ ニャ大学が推進する啓発キャンペーン(A Year Against Waste)。 European Year Against Food Waste (2014) の実質的なモデル。 キャンペーンの一環として提案されているCarta キャン ンの 環として提案されて るCa a Sp Spreco eco Zero(Zero e o( e o Waste Certificate)は、175の自治体と2の州知事が署名。 海外事例6: foodsharing(ドイツ) 2011年にドキュメンタリー映画 “Taste the Waste” を製作したValentin Thurn氏を中心に立ち上げら れた、インターネット・プラットフォーム。個人や小売 業者、生産者など様々なステークホルダーが、余っ た食料を共有したり、持ち寄って一緒に食事をした りすることを支援し、ウェブ掲示板や様々な情報発 信ツールの提供を行う。 http://foodsharing.de/ p g “ホットスポット” 用ポスタ 用ポスター 映画サイト: http://tastethewaste.com/ 海外事例7: Think. Eat. Save (Global) 国連食糧農業機関(FAO)、メッセ・デュッセルドル フと国連環境計画(UNEP)が立ち上げた フ ドロ フと国連環境計画(UNEP)が立ち上げた、フードロ ス啓発キャンペーン。国連事務総長によるゼロ・ハ ンガー・チャレンジのサポートを得て、この問題へ の対処を国 地域を超えた世界的なムーブメントに の対処を国、地域を超えた世界的なムーブメントに することを狙う。既にフードロス対策に乗り出してい る団体・機関と連携し、積極的な情報交換のほか に、魅力的なプロジェクトの相互紹介を促す。 パートナー団体 http://www.thinkeatsave.org/ p g FOODLOSS CHALLENGE PROJECT 食料ロス・食料廃棄に対する共創プロジェクト VISION 食べられるものを捨てること について考える、行動する。 まだ食べられるものを捨ててしまうということ。それは本来、気持ちのいいことではないはずです。けれど も、それを許してしまう社会の仕組みが存在します。 そして、ほかならぬ私たちひとりひとりも、その仕組 み みができあがることに、多かれ少なかれ何らかのかたちで関わっている…。このプロジェクトは、そうした きあ る 、多 れ少な れ何ら ち 関わ る 。 ジ ク 、そう 問題意識からはじまりました。 このプロジェクトでは、だれかを悪者にしたり、自分の気持ちにフタをしたりするのではなく、「食べること」 や「食べ物を大切にしたいという人間本来の気持ち」に立ち返りたい。生活者、企業、行政、生産者、 NPO 学識者が一緒になって NPO、学識者が 緒になって、このテーマに取り組むことで、よりよいアクションを創りだしていきたい、と このテーマに取り組むことで よりよいアクションを創りだしていきたい と 考えています。 「食べる」ことへの感謝がきちんとある社会は、生きる土台がしっかりしている社会だと思う。 そのように社会の仕組みを組み替えることを目指して。 フードロス・チャレンジ・プロジェクト、はじめます。 19 プロジェクト体制 FoodLoss Challenge Project実行委員会 ●代表)大軒恵美子・・・・国連食糧農業機関 日本事務所 勤務 ●NPO法人 ハンガー・フリー・ワールド ●慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究所 ソーシャルデザインセンター(大学発フューチャーセンター) 情報交換・連携 農林水産省 消費者庁 *個別イベント毎に協力体制を検討 Save Food Initiative 事務局 博報堂bemo!チーム 博報堂bemo!チ ム 国連食糧農業機関と メッセ・デュッセルドルフが 設立したイニシアティブの 正式パートナー団体として登録 プロジェクト参加 参 食品生産・輸入に携わる企業 食品加工に携わる企業 流通に携わる企業 外食に携わる企業 情報システムなど食関連企業 20 NPO 自治体 モスフード サービス プロジェクトのステップ フードロスに関わる 事前知識の インプット システム全体を 体験的に 理解・共有していく ツアー フードロスを生みだす システムに介入 していくための アクション 21 プロジェクトフロー ①キックオフ・シンポジウム ③ラーニング・ツアー ④ワークショップ3,4 1月23日 オープン参加のシンポジウムとワーク ショップ 有識者のレクチャーとキックオフ ショップ。有識者のレクチャーとキックオフ の対話を実施。 3月前半 複数日 3月19日、25日 ラーニング・ツアーで得た現場知をベースに対話を行う。 先に立てていた全体構造仮説を修正し、体験と対話で得られた 学びや発見、発想をシステム・シンキングなどの技術を用いて 盛り込みながら、全体システムを捉えなおす。 全体の構造図をもとに、参加してほしいステークホルダーに呼 び掛けて、個々の企業や多主体の連携で取り組むべきアクショ ンを発想する。 ②ワークショップ1,2 2月20日、28日 チ ムでビジ ンや問題意識を共有し チームでビジョンや問題意識を共有し、 問題の全体構造の仮説を考察する。 生産から加工、流通、消費、廃棄にい たるプ セスをたどるフ たるプロセスをたどるフィールドワーク。 ルドワ ク 各セクターの悩み、先進的な取り組み を行っている現場などを見、個々の参 加者だけではそれまで見えていなかっ た全体に視野を拡げる。 22 プロジェクトフロー(補記 ラーニング・ツアー想定 予定する成果物 3月14日、15日 (生活者実態調査は別途実施) 3月最終週納品想定 以下のような場所へのツアーを検討中。 ( )リサ チ レポ ト (1)リサーチ・レポート 生産 • フードバンクに協力する農家など • 企画外品の付加価値化に取り組む農家 • バリューチェーンのフィールドワーク・レポート • マルチステークホルダーとのダイアログ・レポート • 全体システムを描いたフレ 全体システムを描いたフレームワーク・マップ ムワ ク マップ 加工 • 廃棄物を肥料化して地域の農家に供給しそこで生産された農産 物を自社のレストランで提供する等、全体システムを考慮した取 り組みを行っている水産加工業者など • 売り切りの方法などに工夫をこらしているスーパー 流通 小売 外食 生活者 • ドギーバッグの活用など食品ロス削減に工夫をこらしているホテ ル • 家庭訪問調査により家庭における食品ロス発生の実態を探る。 • 食べ切りに工夫をこらしているエクストリーム・ユーザー 食べ切りに工夫をこらしているエクストリ ム ユ ザ の3点を中心とした調査報告書。 “マルチステークホルダーで現場を旅 し、対話しながら全体を捉える”という取り組みだからこそできる、一社 による通常の定量・定性調査では得られない洞察や発見があるリ サーチとして設計。 (2)プロト・アクション・プラン 具体的な新事業開発、新商品・サービス開発、業務改善などのプロトタ イプ・アイデア。フードロスという社会課題を起点に、フィールドワーク やシステム・シンキングといったプロセスを経て やシステム シンキングといったプロセスを経て、NPOや学識者、生活 NPOや学識者 生活 者など多様な当事者たちとの共創により発想していく。 アクションプランは、御社単独で実践可能なものから、他組織との協働 型(マルチステークホルダー)で行うものまで様々な可能性が期待され ます。 (オプション)パブリシティ企画 • フードロス削減に取り組む自治体 廃棄 (行政) 23 プロジェクト自体およびプロジェクト発のアクションをPR。新しい社会的な 取り組みや新しいビジネス・イノベーションの仕組みを創っていく企業 (商品)というPR効果を狙う。 プロジェクトの特徴 特徴1 フ ドロスに関する最新の情報とネットワ ク フードロスに関する最新の情報とネットワーク ●グローバル、国内の最新情報 ●グロ バル 国内の最新情報 ●行政、NPO、シンクタンク、大学のネットワーク 24 プロジェクトの特徴 特徴2 参加型・共創型アプローチで ソーシャル・イノベーションを現実に体現 シ イノベ シ を現実に体現 ●企業・行政・NPO・生活者によるホールシステムアプローチ ●企業 行政 NPO 生活者によるホ ルシステムアプロ チ ●システムシンキング→起こっている事象の奥にある構造とメンタルモデルを見ていく ●デザインシンキング→既存のメンタルモデルを外してソリューションをデザインする 25 プロジェクトの特徴 特徴 特徴3 社会課題のソリューションを 社 課 事業・ビジネスと結び付ける ●社会的課題=社会の深いニーズとしても捉える ●「システムの変革」は、新たな事業モデルが生まれる機会と考える 26 日本は、本来、フードロスチャレンジ先進国だ。 これだけ豊かな食文化、四季の風土が存在していて、 食べ物を大切にする気持ちを持つ国は他にない。 海外からやらなきゃいけないことがまたやってきた、 フードロスはいけないことだ、いかになくすか?? といった思考に陥るのではなく、 私たちが本来、持っている食文化の素晴らしさに 気づこう。 本当に大切にしたい生活を再発見していこう。 フードロスの解決は、その結果として当たり前のように 待っている。 27 http://foodlosschallenge.com/ htt //f dl h ll / http://www.facebook.com/FoodlossChallengeProject 28