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seminar-20080331
企業によるメディア構築の重要性 ~キャンペーンサイトのその先へ~ 2008/3/31 Takeshi KOUNO. 自己紹介 • 河野武 / KOUNO Takeshi – 1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。 コミュニケーション・デザイナー。 – 1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、 フリーランスとして数年過ごし、2004年から2005 年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役 兼COOを務める。2005年から2007年までシック ス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役 員を務める。現在は、ブックオフオンライン株式会 社取締役のほか、ウノウ株式会社アドバイザーな ど数社の顧問・アドバイザーを務める。 今日のメニュー 1 その広告費の配分は適正か 2 コミュニケーションは持続しているか 3 企業によるメディア構築の重要性 でははじめます 1 その広告費の 配分は適正か 日本の広告費 日本の広告費(媒体別、年度推移) 日本の広告費(媒体別) ※改訂部分 ・ 雑誌広告費に業界紙、専門誌、会員誌、ローカルタウン誌を追加 ・ インターネット広告費に制作費を推計 電通調べによる「日本の広告費」によれば • テレビ広告費は1兆9,981億円 – うち、テレビCM制作費は2,026億円 • つまり媒体費は1兆7,955億円 • インターネット広告費は6,003億円 – 媒体費は4,591億円、前年比126.5% • モバイル広告費621億円、検索連動広告費1,282億円 – 制作費は1,412億円、前年比118.1% • キャンペーンサイトやバナー制作にかかるコスト 広告予算の大半は媒体費 グラフにするとこんな感じ 10% 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 制作費 媒体費 90% テレビ 24% テレビ インターネット 76% インターネット 繰り返します 広告予算の 大半は媒体費 という現実 考えてみれば当たり前 • そもそもメディア(媒体)とは、多くの人々に メッセージを届ける「場」 – 認知を獲得するために場を借りるんだから、 媒体費がかかるのはしょうがない • サイトを立ち上げても誰も見に来ない問題 – 本当にその認知は必要? • 本当にそのターゲットは適切? • そのメディア、その時間帯、そのバナー枠で大丈夫? – 媒体の変更でCTRが数倍になることはよくある – 制作費と媒体費のバランスは適切? • 1万円で作ったバナーを100万円の枠に掲載してない? – クリエイティブの差でCTRが数倍になることはよくある 御社の広告費のうち、 媒体費の占める 割合は適正ですか? 媒体費を使わなくても 認知を獲得した事例 BMW Films(BMW) BMW Films(BMW) • 2001年にBMWが展開した「BMW Films」 – 有名監督による短編映画を公開 • プロダクト・プレースメントとして、BMWのクルマを フォーカスした映画を公開 • ブランデッド・エンターテインメントの代表例として有名 – 媒体費をほぼゼロにした • ケーブルTVでの放送と一部紙媒体に広告出稿した 以外は、あとはクチコミとBMWサイトからの誘導のみ BMW Films(BMW) • 2001年にBMWが展開した「BMW Films」 – 有名監督による短編映画を公開 • プロダクト・プレースメントとして、BMWのクルマを フォーカスした映画を公開 • ブランデッド・エンターテインメントの代表例として有名 – 媒体費をほぼゼロにした • ケーブルTVでの放送と一部紙媒体に広告出稿した 以外は、あとはクチコミとBMWサイトからの誘導のみ 「キャンペーンサイトを作っただけでは誰も見に来ない」 問題は、クチコミと企業サイトからの誘導で解決 (BMWの場合、UUが55%アップした) Dove evolution(ユニリーバ) Dove evolution(ユニリーバ) • Real beauty キャンペーン • YouTubeにクリップを公開 – つまり媒体費をゼロに – 公開から1ヶ月で、約200万回の再生 • 最終的には500万回以上の再生 – クチコミされ、テレビ番組等でも取り上げられる • 売上にも貢献 – 購入層のリピーター比率は、 3年前の1/3から2/3まで増加した Dove evolution(ユニリーバ) • Real beauty キャンペーン • YouTubeにクリップを公開 – つまり媒体費をゼロに – 公開から1ヶ月で、約200万回の再生 • 最終的には500万回以上の再生 – クチコミされ、テレビ番組等でも取り上げられる • 売上にも貢献 – 購入層のリピーター比率は、 3年前の1/3から2/3まで増加した Doveの場合、YouTubeという人の集まるサイトに露出し、 そこから先は100%クチコミだけで広まったパターン 広告の媒体費と制作費の逆転 • USでは、数年前から媒体費をかけずに展開 するキャンペーンが登場している – 制作費はケチらず、むしろネット広告では高額 • いま考えなければならないこと – 媒体費を現在の半分の金額にすると、 効果も半分になるのだろうか? – 媒体費の一部を制作費にまわすことで、 より大きな効果を得られないのだろうか? もちろん簡単に真似することは できないが、ここにヒントがあるかも その広告費の配分は適正か 企業の広告費のうち、 大半は媒体費である現実 その配分が最適かは 今一度考える必要がある (制作費や広報活動費にまわすべきでは?) 2 コミュニケーションは 持続しているか はじめに定義 ? コミュニケーション コミュニケーションとはなんなのか • とりあえずブログに書いた定義 コミュニケーションの数値化は難しい • たしかにコミュニケーション、ユーザーとの距離 の数値化は難しい • 距離が近づくと何が起こるか – 声に出して言ってくれる(メール、ブログ0) • 文句を言うためじゃなく、改善のために伝えてくれる • 実際に経験した例 – ビーケーワンの例 • 新サービスの提案をしていただいた – ブックオフオンラインの例 • サービスの改善点や代品手配のフローの不備を指摘し ていただいた コミュニケーションとは(今日の定義) 消費者の声を企業に、 企業の声を消費者に、 100%届けあえる関係 を築くこと 広告や広報で伝わるか 広告や広報活動ですべて伝わってる? ここで会場のみなさんに質問 伝わってる 正 伝わってない 正正正 正正 広告や広報 の限界 広告の長所、広報の長所 確実性 爆発力 コスト 広告 広報 広告にも広報にも長所短所がある 伝わらない、届いてない現実 • 広告で伝わるか – とにかくお金がかかる – 放映、掲載が終わった瞬間に忘れられる • もちろんCMの出来にもよる • 広報で伝わるか – 掲載されるかはメディア次第 • 有名企業でもない限り、なかなか露出しない – どんなふうに掲載されるかコントロールできない ある程度は相互補完の関係 ただ、両方の短所もある 広告と広報に共通した短所 一番の問題は 持続しないこと 広告と広報の持続力 確実性 爆発力 コスト 持続力 広告 広報 広告も広報も刹那的な効果しかない 持続しないコミュニケーション • テレビCMを流しても、新聞に取材されても、 そのときだけしか盛り上がらない – 広告も広報も花火でしかない • 毎回お金をかけるのか? • コミュニケーションは持続したほうがいい – もっと長期間の関係を築きたい • 半年後、1年後も続くコミュニケーション – 短期的な購入者を増やす考え方よりも、 長期的なファンを増やす考え方 そこにインターネットが活かせないか コミュニケーションは持続しているか 従来の広告でも広報でも 持続するコミュニケーションは 達成できていない現実 持続性を確立するために ネットを活用できないか 3 企業による メディア構築の重要性 なにげに多い 企業サイトのアクセス数 なにげに多い企業サイトのアクセス数 • でも、ユーザーは必要な時にしか来訪しない – 流入経路の大半は検索エンジン • だから SEO、SEM に頼り続ける始末 – カタログでしかないからリピートしない • そもそも更新されるのがリリースや障害情報くらい? • このアクセス数を活かしたい – 継続的に来訪してもらえるコンテンツ (自社メディア)を企業自ら運営できないか? • 企業サイト内でも、企業サイトから誘導でもいい – 広告費(とくに媒体費)を企業サイトの制作費や 運営費にまわしたほうが売上に繋がらないか? 自社メディアの優位性 広告でもなく、広報でもなく 確実性 爆発力 広告 広報 自社メディア コスト 持続力 広告でもなく、広報でもなく 確実性 爆発力 広告 広報 自社メディア コスト 持続力 これまでに取り組んできた自社メディア • メルマガ – 顧客のリピート率の向上 • ブログ – 顧客のロイヤリティ向上 – 顧客ネットワークの可視化 • キャンペーンサイト – 新規顧客を獲得 下に行くほど不特定多数にリーチ 何が足りなかったのか • これまでの自社メディアの不満点 – メルマガやブログはコンテンツが貧弱 • 継続性という点では悪くない • そもそも予算が少ないのでテキストが中心 • 企業と消費者の距離を近づけた貢献は大きい – キャンペーンサイトは金はかかる • 豪勢でアクセスが集まるのは良いことだが、 キャンペーンのたびに広告を出稿している • テレビCMなど、既存メディアにはできなかった コミュニケーションが築けることを証明した そこそこのコストで、消費者との関係を長期間 持続できるサイトを構築できないものか キャンペーンサイトの例 最初に言っときますが、 こういうキャンペーンサイトを ぼくは好きです(ほんと) Subservient Chicken(バーガーキング) ニワトリに命令するといろいろ動く シンプルながら隠しコマンド的なクチコミ要素 Subservient Chicken(バーガーキング) • 「おもしろい」だけではダメ – ゲームは飽きる • ひとりが何度もやらない • クチコミの爆発力はすごかった – これは「キャンペーンサイト」の成功例 • 売上にも繋がったらしい ケチャップリポート(ハインツ) 逆さケチャップをユーザーが利用している ビデオクリップを57本公開 ケチャップリポート(ハインツ) • 全部見たら終わり – 動画を見終わったら何をする? • 実際にはCGCMの募集があった • これを見た人はメーカー名を記憶してるのか – ケチャップといったらカゴメをひっくり返せるのか • 逆さケチャップとして認知されるからいいのかな – その結果、売上が増加するのかが問題 これらは自社メディアではない(正確には一部でしかない) 自社メディア≠キャンペーンサイト 自社メディア≠キャンペーンサイト 花火として短期的な売上に 貢献するのがキャンペーンサイト 顧客との関係を継続し、 中長期的な売上に 貢献するのが自社メディア これは自社メディア? Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ、バドワイザーの会社) 多くのビデオクリップを公開する、企業放送局 ユーザー参加型の投稿コーナーも Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ) • 自社メディアだと思う – 個人的には大好きな試み • でもBud.tvは苦戦しているらしい – 登録制とか、閉じているという根本的な部分 – アンハイザー・ブッシュ社がやる理由が見えない • 直接的であれ、間接的であれ、これがバドワイザーの 売上にどう結びつくのか おもしろいサイト、役に立つサイトを運営するのは 悪くないし、スポンサーとしてのブランディング効果は あるだろうけど、その会社がやる必然性がないと、 ユーザーとの深い関係は築けない Bud.tv (アンハイザー・ブッシュ) • 自社メディアだと思う – 個人的には大好きな試み • でもBud.tvは苦戦しているらしい – 登録制とか、閉じているという根本的な部分 – アンハイザー・ブッシュ社がやる理由が見えない • 直接的であれ、間接的であれ、これがバドワイザーの 売上にどう結びつくのか おもしろいサイト、役に立つサイトを運営するのは 悪くないし、スポンサーとしてのブランディング効果は あるだろうけど、その会社がやる必然性がないと、 ユーザーとの深い関係は築けない ハナサクプロジェクト(リクルート) たとえばこのサイト、キャンペーンも なぜリクルートがやるのかがよくわからない 自社メディアを構築する際のポイント それを自社でやる理由、 つまり売上に繋げる戦略がないと 企業がやる意味がない (YouTubeに広告を出せばいい) 実はユーザーもそのほうが必然性があるので 企業名とセットで記憶できるし愛着もわく ここだけの話 • ブックオフオンラインではBud.tv的なメディア 構築を検討している – 提供するコンテンツは、マンガの紹介や、新作ゲー ム、DVD等の紹介をするビデオクリップ • 月イチくらいでライブ放送も – 紹介するのは新品でかまわない • 一次流通を活性化しない限り、二次流通(中古市場) に商品が流れてこなくなるから • 着メロや電子出版ではなく、CDや本の有形の商品が きちんと売れるように啓蒙、普及に努めたい – 結果的に、ブックオフが儲かればいい ここだけの話 • ブックオフオンラインではBud.tv的なメディア 構築を検討している – 提供するコンテンツは、マンガの紹介や、新作ゲー ム、DVD等の紹介をするビデオクリップ • 月イチくらいでライブ放送も – 紹介するのは新品でかまわない ブックオフが やる理由 • 一次流通を活性化しない限り、二次流通(中古市場) に商品が流れてこなくなるから • 着メロや電子出版ではなく、CDや本の有形の商品が 魂胆がバレバレくらいでちょうどいい きちんと売れるように啓蒙、普及に努めたい – 結果的に、ブックオフが儲かればいい キャンペーンサイトのその先へ あるべき自社メディアのカタチ • ただ作ってもしょうがない – 自社のビジネスに関係ないなら広告と変わらない – 一方的な情報配信なら広報と変わらない • 日常的に、繰り返して使ってもらえるもの – 便利さ(データベース)、おもしろさ(コンテンツ) – 瞬間的なアクセス数は重視すべきでない • 送客は自社サイトからの誘導とクチコミ • 最終的に自社の売上に貢献できるか – 自社でやる「意味」「意義」について考える – その後も継続できるペースやコストか • こちらが続けないと、コミュニケーションも持続しない ヒントになるサイト レシピ大百科(味の素KK) 10,000種類のレシピのデータベースを公開 サッカーニュース(KONAMI ウイニングイレブン) サッカーゲームのサイトで 世界のサッカーニュースを毎日配信 その結果、自社の売上に貢献できるのか • 味の素 – レシピに自社の調味料が入ってる(印刷にも対応) – ユーザー投稿を受け付ければもっといいかも • ユーザーのほうが詳しいことはよくある • KONAMI – サッカーファンの購入率が高いので彼らに便益を 提供することで近づく – コミュニティを設置すればもっといいかも • ゲーム内の選手データのフィードバックとか 制作費だけではなく、運用コストがかかるんだから きちんと収益性を考えなければならない まとめます 企業によるメディア構築の重要性 • 広告費の適正配分 – 媒体費の一部を、制作費やサイトの運用費に • 媒体費を1割でも2割でもいいのでカットする勇気 • コミュニケーションの持続性 – 広告や広報は持続性において限界がある • 企業自らがメディアを構築しないと持続できない • 自社メディアを構築する意義 – 「いつもそばに」いられるメディアを • 顧客のために、市場や業界のためにサービスしつつ、 それを最終的に自社の利益に結びつけられるか • 長期間、きちんと運営できる体制と予算を 企業によるメディア構築の重要性 コミュニケーションの本質は – 伝えたい人に – 伝えたい内容を – 伝えたいタイミングで 届けること そのための「伝える場」が自社メディア 企業自ら用意し、それを維持できれば 最強のコミュニケーションチャネルになる (結果、広告費も節約できるはず) 御社のチャレンジに 期待しています thank you! • ご清聴ありがとうございました • 興味のある方はぜひご連絡ください – [email protected] – http://smashmedia.jp/blog/ – 検索してもOKです 絶賛発売中