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計算・構造工学研究室 - 筑波大学 大学院 構造 エネルギー 工学専攻
筑波大学大学院システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻 計算・構造工学研究室 ~建築,ロボット,機械構造の動的・動力学的現象の解明に向けて~ 計算・構造工学研究室では,計算力学的・構造力学的見地から建築・ロボット・機械構造の様々な動的・動力学的問題に関する研究を行っている.その一部を以下に紹介する. 計算・構造工学研究室では,計算力学的・構造力学的見地から建築・ロボット・機械構造の様々な動的・動力学的問題に関する研究を行っている.その一部を以下に紹介する. 世界貿易センター(WTC )ビルの崩壊要因究明に向けて 世界貿易センター(WTC)ビルの崩壊要因究明に向けて 2001年 世界貿易センタービルWTC WTC1,2,7が完全倒壊 1,2,7が完全倒壊するという, するという,建築史上未曾有の悲劇 建築史上未曾有の悲劇を引き起こした. を引き起こした. NY世界貿易セン 2001年9月の米国同時多発テロは,NY 月の米国同時多発テロは,NY世界貿易センタービル NY世界貿易セン タービルの崩壊に関しては,FEMA (2002年) やNIST( によって報告書がまとめられ,一応結論が出たかのように思われる.しかし,なぜ なぜ3 3棟とも砂城のよ タービルの崩壊に関しては,FEMA( 2002年)や NIST(2005年) 2005年)によって報告書がまとめられ,一応結論が出たかのように思われる.しかし, うに崩れ去ってしまったのか,また, なぜ自由落下速度に近い速度で地上まで完全崩落してしまったのか,未だに多くの疑問が ,未だに多くの疑問が解消されていない 解消されていない.我々は,これ .我々は,これ うに崩れ去ってしまったのか,また,なぜ自由落下速度に近い速度で地上まで完全崩落してしまったのか らの疑問に応えるべく,独自 開発した数値解析システムを利用し, 複数のスタンスに立って数値解析的調査 を実施している. している. らの疑問に応えるべく,独自開発した数値解析システムを利用し, 複数のスタンスに立って数値解析的調査を実施 NIST, 2005 図1 WTC2への飛行機の突入 WTC2への飛行機の突入 図4 WTC2 WTC2の進行性崩壊 図3 大規模火災を起こした建物の進行性崩壊解析 図2 WTCの飛行機衝突解析 WTCの飛行機衝突解析 発破解体計画システム, 発破解体模擬実験システムの開発 模擬実験システムの開発 発破解体計画システム,発破解体 欧米などでは近年,ダイナマイトの発破により多層構造 物を取り壊す,いわゆる発破 解体が盛んに行われている. が盛んに行われている. 物を取り壊す,いわゆる発破解体 しかし,このような発破 解体作業には,周辺構造物に被害 しかし,このような発破解体作業には,周辺構造物に被害 を与えないよう細心の注意を持ってあたる必要があり,未 だに一部の業者がもつ高度なノウハウに依存する傾向が ある. そこで,本研究室では,弾性状態から塑性,破断状 そこで,本研究室では,弾性状態から塑性,破断状 態までシームレスに計算可能な 態までシームレスに計算可能な発破解体計画システムの 発破解体計画システムの 開発を行って いる.また,火薬を使わず安全で,何回も実 また,火薬を使わず安全で,何回も実 開発を行っている. 験可能な発破解体模擬実験システムを開発 し,解体 解体現象 現象 験可能な発破解体模擬実験システムを開発し, を系統立てて把握することを目指している.解析技術を駆 を系統立てて把握することを目指している.解析技術を駆 使し,高層ホテルを発破解体する映画のワンシーン製作 への技術提供も行った. 図6 電磁デバイスを用いた発破 解体 電磁デバイスを用いた発破解体 実験システム 図5 高層建築物 高層建築物の発破解体 発破解体 図7 高層ホテルの発破 解体解析 高層ホテルの発破解体解析 数値震動台の開発 (防災科学技術研究所,E E-Defenseとの共同開発) 数値震動台の開発(防災科学技術研究所, Defenseとの共同開発) 図9 ソリッドモデルを用いた並列有限要素解析 (E-Simulator) Simulator) 図8 実大モデル実験用 震動台(E 震動台(E-Defense) 防災科学技術研究所で開発が進め られている数値震動台( E-Simulator) られている数値震動台(E Simulator) は,建築,土木構造物の解析に必要な 構成則や破壊法則を組み込んだ汎用 的な並列有限要素法 的な並列有限要素法のソフトウェアで のソフトウェアで ある. ある.E-Simulator開発の一環として, Simulator開発の一環として, 本研究室で独自開発した有限要素解 析コードをその比較検証用ツール とし 析コードをその比較検証用ツールとし て提供している.1985 年にメキシコ市 て提供している.1985年にメキシコ市 で観測された長周期地震動による棟 で観測された長周期地震動による棟 間衝突現象を再現する成果を挙げた. 間衝突現象を再現する成果を挙げた. このような研究を進めることで,建物の このような研究を進めることで,建物の 倒壊を防止するための知見を得ること 倒壊を防止するための知見を得ること が最大の目的である. 図10 マクロモデルを用いた棟間衝突・崩壊解析 ロボット機構の並列的逆動力学計算法,汎用的フィードフォワード制御システム,トルクキャンセリングシステム(TCS )の開発 ロボット機構の並列的逆動力学計算法,汎用的フィードフォワード制御システム,トルクキャンセリングシステム(TCS)の開発 Y[m] 0.4 Torque Reaction moment 0.2 Cancelling moment Joint1 Joint2 0.05 Torque[N*m] 0 -0.2 X[m] 0 0.2 0 Cancelling torque -0.05 0 0.5 1 Time[s] 1.5 2 図11 劣駆動リンク系の 劣駆動リンク系の逆動力学計算 図12 多肢マニピュレータの フィードフォワード制御 TCS 図13 動力学実験用歩行プラットフォーム 図14 TCSの概念 TCSの概念 図15 TCSを搭載したロボット TCSを搭載したロボット 本研究室では,リンク系の形態や剛性に依らない汎用的 フィードフォワード制御システムを構築することを目的とし, を構築することを目的とし,並列的 並列的逆動力学計算 逆動力学計算法 法を開発した.ニュートン・オイラー法が再帰的な処理によって 本研究室では,リンク系の形態や剛性に依らない汎用的フィードフォワード制御システム 動力学方程式を求める直列的なアプローチを取るのに対し,本解法は,要素座標系における個々の要素の離散情報を全体座標系の情報に変換してから重ね合わせる,いわゆる 並列的なアプローチを を 動力学方程式を求める直列的なアプローチを取るのに対し,本解法は,要素座標系における個々の要素の離散情報を全体座標系の情報に変換してから重ね合わせる,いわゆる並列的なアプローチ 取る.そのため, 各節点に働く節点力は並列的に求められ,これを関節トルクに変換することによって逆動力学が計算される.すなわち,従来の手法のように関節トルクを求める方程式を系に合わせて導 .すなわち,従来の手法のように関節トルクを求める方程式を系に合わせて導 取る.そのため,各節点に働く節点力は並列的に求められ,これを関節トルクに変換することによって逆動力学が計算される 出するのではなく,並列的に求めた節点力情報の中から必要な情報を抽出 し,系に合わせて関節トルクを求めるのである.このような特長を用いると,対象とするリンク系の構成や剛性が変化した場合 出するのではなく,並列的に求めた節点力情報の中から必要な情報を抽出し,系に合わせて関節トルクを求めるのである.このような特長を用いると,対象とするリンク系の構成や剛性が変化した場合 にもアルゴリズムの変更は必要なく,入力データを変更するのみ で柔軟に対処することが可能となる.宇宙開発で必要となる 宇宙開発で必要となる多肢マニピュレータ 多肢マニピュレータや や移動ロボットの にもアルゴリズムの変更は必要なく,入力データを変更するのみで柔軟に対処することが可能となる. 移動ロボットのフィードフォワード制御に適用可能な技術 フィードフォワード制御に適用可能な技術 として注目を浴びている.また,この技術を応用し,ロボットが高速動作する際の動揺を抑制するトルクキャンセリングシステム( TCS) )を開発中である. として注目を浴びている.また,この技術を応用し,ロボットが高速動作する際の動揺を抑制するトルクキャンセリングシステム(TCS Spiral Top: Top:浮遊物体の設計支援解析 宇宙航空研究開発機構(JAXA )の下で 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の下で 進められているISS /きぼう 文化・人文社 進められているISS/ 会科学利用パイロットミッションの一環とし 会科学利用パイロットミッションの一環とし て,筑波大学 て,筑波大学 芸術学系 逢坂卓郎教授が 逢坂卓郎教授が 提案したテーマ「 提案したテーマ「Spiral Top」 Top」の設計支援 解析を実施した. ISSに滞在する若田宇宙 に滞在する若田宇宙 解析を実施した.ISS 飛行士により2009 年5月に実験が行われ, 飛行士により2009年 見事に成功した. 図16 Spiral Top 図17 ISSでの実験の様子 実施) ISSでの実験の様子 逢坂卓郎/ 逢坂卓郎/ 若田光一,JAXA( 若田光一,JAXA(実施) Spiral Top:無重力空間でニッパーやペン Top:無重力空間でニッパーやペン チを軸回りに回転させるとコマのように一定 時間回転し続けるが,ある時点で突然,上 下が反転するという現象が起きることが毛 利宇宙飛行士によって紹介された.この現 象を利用し,左図のような物体の棒状部先 端にLED を取り付け,螺旋回転運動を発生 端にLEDを取り付け,螺旋回転運動を発生 させてその光跡を芸術として楽しむというプ ロジェクト.本研究室の解析システムを用い, 適切な重量配分や形状を決定した. 担当教員: 磯部大吾郎 (e-mail:[email protected]) mail:[email protected]) ホームページ: http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~isobe http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~isobe//