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計画(素案)

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計画(素案)
第1期
湧別町食育推進計画
(平成28年度~平成32年度)
(素案)
平成28年3月
湧
別
町
1
目
次
1
計画策定の趣旨
・・・・・
1
2
「食育」の定義
・・・・・
2
3
計画の性格
・・・・・
2
4
計画の期間
・・・・・
2
5
計画の推進体制
・・・・・
2
6 湧別町の食をめぐる現状と課題
(1)町の概況
(2)食をめぐる社会情勢の変化
(3)食生活の変化と健康への影響
(4)家庭における食事の重要性
(5)食文化の伝承と環境問題
(6)食育・地産地消に対する理解と取組
7 食育推進の目標と方針
(1)食育の基本目標
(2)目標を実現するための基本方針
(3)目標値(主な数値目標)
・・・・・ 3
・・・・・ 3
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
・・・・・
4
4
5
5
5
・・・・・ 6
・・・・・ 6
・・・・・ 6
・・・・・12
8 ライフステージに応じた食育の推進
・・・・・13
(1)乳・幼児期(概ね0~5歳)
・・・・・13
(2)学齢期(概ね6~15歳)
・・・・・13
(3)青年期(概ね16~24歳)
・・・・・14
(4)壮年期〈子育て期〉(概ね25~44歳)・・・・・15
(5)中年期(概ね45~64歳)
・・・・・16
(6)高齢期(概ね65歳以上)
・・・・・17
9 食育推進のための役割と施策展開
(1)家庭での取組
(2)保育所・幼稚園での取組
・・・・・18
・・・・・18
・・・・・18
(3)学校での取組
(4)生産者・食関連団体での取組
(5)地域・行政での取組
・・・・・19
・・・・・20
・・・・・20
10
湧別町で取り組んでいる食育関連事業
参考資料
・・・・・22
・・・・・24
2
1
計画策定の趣旨
「食」は私たちが生きていくために欠かせないものであり、健康的な生活を送るた
めの基本です。
しかし、近年、社会環境がめまぐるしく変わる中、個々のライフスタイルや価値観が
多様化し、食生活を取り巻く環境も様々です。朝食の欠食、栄養の偏りに起因する生活
習慣病の増加、家族とのコミュニケーションなしに一人で食事をするいわゆる「孤食」
の問題、飽食による食物の廃棄、食品の安全性の問題、伝統的食文化が失われる危機等
が私たちの食生活に大きな影響を与えています。
このような状況の中、国では、
「食育」に関する施策を総合的に推進し、国民が生涯
にわたって健康で文化的な生活と豊かで活力ある社会の実現を図ることを目的として、
平成17年6月に食育基本法を制定、平成18年3月には、食育推進基本計画を策定しま
した。また、平成23年度からは第2次食育推進基本計画を策定、同計画に基づき食育を
推進しています。北海道においても、平成17年に北海道第1次食育推進計画、平成21年
にどさんこ食育推進プラン(第2次計画)を経て、どさんこ食育推進プラン(第3次計
画)を平成26年3月に策定し、北海道の食育を総合的に推進しています。
これまで、湧別町における「食」の取組は、保健、産業、教育等各分野で、それぞれ
取り組んできましたが、町民一人ひとりが食と健康の大切さを自覚するとともに、生
涯にわたって健全な食生活を送るため、家庭や学校、地域、食料生産者、関係機関等が
連携し、食育に関する取り組みを総合的かつ計画的に推進するために「湧別町食育推
進計画」を策定します。
1
2
「食育」の定義
食育とは、生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるものです。
町民一人ひとりが「食」について改めて意識を
高め、自然の恩恵や「食」に関わる人々の様々な
活動への感謝の念や理解を深めつつ、
「食」に関
して信頼できる情報に基づく適切な判断を行う
能力を身に付けることによって、心身の健康を
増進する健全な食生活を実践することができる
人間を育てることです。
3
計画の性格
この計画は、湧別町のまちづくりの基本である「第1期湧別町総合計画」を基に、
国の「食育基本法」第18条に基づく市町村食育推進計画として位置づけ、本町の食育
に関する基本的な考え方を明らかにするとともに、食育を具体的に推進するための総
合的な指針として位置づけます。
この計画の推進にあたっては、国の「第2次食育推進基本計画」や「北海道食育推
進計画(どさんこ食育推進プラン(第3次計画))」を勘案し、湧別町健康増進計画と
の整合性を図るものとします。
食育基本法
食育推進基本計画(国)
※法第 18 条第 1 項
市町村は、食育推進基本計画を基本として当該
市町村の区域内における食育の推進に関する施
策についての計画を作成するよう努めなければ
ならない。
北海道食育推進計画(道)
湧別町健康増進計画
湧別町食育推進計画
湧 別 町 総 合 計 画
4
計画の期間
この計画の期間は平成28年度から平成32年度までの5年間とします。
なお、社会状況等の変化に応じて計画の変更が必要になった場合には、随時見直す
こととします。
5
計画の推進体制
食育は、その関係する分野が保健・医療、産業振興、教育など多岐にわたることから、
食育を効果的に推進していくため、食生活の基本となる家庭における食育の取組みは
もとより、学校や地域住民、ボランティア団体、食材を提供する生産者をはじめ食関連
産業など様々な主体が、それぞれの役割に応じて活動するとともに、こうした主体が
情報を共有し相互に連携・補完しながら計画の推進に努めます。
また、湧別町保健医療福祉協議会を中心に、施策の実施状況や計画の進捗状況等の
進行管理を行うこととします。
2
6
湧別町の食をめぐる現状と課題
(1)町の概況
本町は、北海道の北東部、オホーツク総合振興局管内のほぼ中央に位置し、東に
サロマ湖を擁し、北はオホーツク海に面しており、東は北見市常呂地区と佐呂間町、
南は遠軽町、西は紋別市に隣接しています。
湧別町の総面積は、505.74k㎡であり、北海道自治体平均面積438k㎡
を上回り、全自治体中66番目の広さとなっています。また、オホーツク総合振興
局管内自治体平均面積594k㎡は下回るものの18自治体中9番目の広さであり、
全道的にも管内的にも平均的な面積を有しています。
地形は、北部オホーツク海沿岸地域は北見峠に水源を発する湧別川が平野部中央
を流れ、オホーツク海へと注ぎ、湧別川を挟み東西に湧別原野が広がっており、海岸
線沿い及び湧別川両岸は平坦地ですが、山間地域は緩傾斜地になっています。
気候は、オホーツク海型気候地帯としての特色をもち、内陸部は四季と通じて比
較的気温は高いが、沿岸部はおおむね冷涼で、オホーツク海高気圧の停滞によって
は北東の風により海霧が発生し、作物の生育を阻害することもあります。年間平均
気温は5.8℃、年間降水量は720mm程度と少雨地域であり、冬期の降雪量も
比較的少ないが、オホーツク海沿岸に流氷が接岸すると、気温が低下し寒さが厳し
くなります。
この地での人の暮らしは、湧別市川遺跡の約8000年前(縄文時代早期)から
始まりアイヌ文化へと続いていると考えられます。本土から人がやってきたのは明
治初年の漁業者からです。明治15 年以降は、近代農業を志した人々も本土からこの
地にやってきます。そして、明治30年、31年の屯田兵399名とその家族の入
植の決定により交通、通信、商業が発展し、農業開拓が進展しました。
明治43年に下湧別村と上湧別村とに分村し、大正8年に上湧別村から遠軽村が
分村独立などした後、昭和28年に両湧別村ともに町制を施行し、合併前の「湧別町」
と「上湧別町」が形成されました。歴史的な深いつながりと、農林水産業を基幹とす
る産業や文化面での交流、学校給食センターの共同設置や公共下水道事業を共同実
施するなど、行政面においても関わりが深い両地域は、将来の自立のために合併を選
択し、明治43年の分村からちょうど100年の時を経て、平成21年10月5日に
再び「湧別町」として共に歴史を刻むこととなりました。
交通基盤については、隣接町及び主要都市への連絡交通路としては、国道242号
線・238号線の2路線があり、航空路として紋別市にはオホーツク紋別空港、鉄道
は、遠軽町にJR遠軽駅があります。
主要産業は、農業を中心に水産業、林業と第一次産業が基幹産業であり、農業は、
オホーツク海沿岸部と山間部を中心に酪農地帯が広がり、内陸平野部ではてん菜、小
麦、馬鈴薯の畑作3品を中心に、たまねぎ、ブロッコリー、スイートコーン等の高収
益野菜の作付けが行われています。漁業は、沿岸漁業とホタテを中心とした養殖漁業
を主体としており、そのほかサロマ湖では、カキ・ホタテガイ養殖が行われています。
また、本町の森林面積は27,108ha で、豊かな森林資源を有しています。
3
(2)食をめぐる社会情勢の変化
本町においても高齢化が早いペースで進むとともに、核家族化の進行や単独世帯の
増加といった動きが見られています。このような社会情勢の変化の中、近年では外食・
中食*1(なかしょく)といった食の簡便化・外部化*2 が進展・定着していきており、
平成 25 年の家庭での食料消費支出における食の外部化率(全国)は 44.0%と昭和 50
年(28.4%)以降上昇傾向で推移しています。
資料:
(公財)食の安全・安心財団
(3)食生活の変化と健康への影響
近年の食生活は、脂質の過剰摂取や野菜の摂取不足、朝食の欠食に代表されるよう
な栄養の偏りや食習慣の乱れがみられ、これらに起因して、肥満や生活習慣病*3 の増
加などが問題となってきています。この傾向は、湧別町においてもみられており、適
切な対応が必要とされています。(表1)
(表1)湧別町特定健診受診者データ(平成 26 年度)
健
診
有
所
見
者
状
況
(
4
0
~
7
4
歳
)
摂
取
エ
ネ
ル
ギ
ー
過
剰
血
管
を
傷
つ
け
る
腎臓
項目
健診項目
BMI
湧別町
有所見者
有所見率
247
31.8%
北海道
有所見者
有所見率
67,333
28.0%
腹囲
246
31.7%
72,633
30.2%
中性脂肪
133
17.1%
48,272
20.1%
ALT(GPT)
138
17.8%
36,634
15.2%
30
3.9%
10,650
4.4%
血糖
169
21.8%
49,900
20.8%
HbA1c
426
54.9%
116,845
48.6%
62
8.0%
16,550
6.9%
収縮期血圧
255
32.9%
108,815
45.3%
拡張期血圧
108
13.9%
46,292
19.3%
LDLコレステロール
393
50.6%
134,307
55.9%
6
0.8%
1,597
0.7%
HDLコレステロール
尿酸
クレアチニン
平成 26 年度受診者数 776 人(男性 351 人、女性 425 人)
4
(4)家庭における食事の重要性
先にも述べた食の外部化と共働きの増加に伴い、家庭で調理することが少なくなり
外食や出来合いの料理で済ます家庭が多くなっています。
家庭で調理することは、直接食材と触れ合う機会を持つだけでなく、マナーをはじ
めとする食に関する様々な体験をすることで、
「食」について興味・関心を持ち、健全
な食生活を送ることにもつながります。
また、出来上がった味に頼らない食材本来の味がわかるといった味覚を形成するこ
とも家庭における一つの役割だと思われます。
(5)食文化の伝承と環境問題
食生活の多様化や簡便化が進む中で、これまで先人から受け継がれてきた伝統的な
食文化が失われることが懸念されており、こうした食文化を伝承し、さらに発展させ
ていくことが必要となっています。
また、世界的な食料需給のひっ迫、食料不足が問題となる中で、食べ残しなどに伴
う大量な食品の廃棄が行われており、これらの削減による環境負荷の低減などが求め
られています。
ア 食文化
核家族化の進行や単独世帯の増加に伴うライフスタイルの変化により、米を主
食とした日本型食生活*4 の減少や、古くから伝わる保存食や郷土料理(郷土の素
材を生かした昔から親しまれてきた料理)といった地域の特色ある料理が食卓に
並ぶことが少なくなり、伝統ある食文化が失われつつあります。
この食文化を次世代に継承するためにも、魚、野菜など栄養バランスの取れた
日本型食生活を改めて見直すほか、郷土料理や伝統食などの食文化に接する機会
を多く持つことが必要です。
イ 食べ残しや食品の廃棄
全国の外食産業、特に結婚披露宴、宴会、宿泊施設における食べ残しや食品の
廃棄量の割合は非常に高いものとなっており、日本は食料自給率も低く世界最大
の食料輸入国であるにもかかわらず大量の食品を無駄にしている状況にあります。
日本人が古くから持っていた「もったいない」というモノを大切にする精神が
薄れがちであり、資源の浪費、環境への負荷の増大などに対する適切な対応が必
要になっています。
(6)食育・地産地消に対する理解と取組
本町においては、関係する機関・団体などが既に食育や地産地消*5 の推進に取り
組んでおり、周知度・関心度は高まりつつあると考えられますが、それぞれが連携
した活動をすることによりこれまで以上の推進が図られると考えます。
さらに、食料自給率の向上や食の安全・安心の確保などが大きな課題となる中、
引続き、食の大切さを周知し、取組の実践を図っていく必要があります。
5
7
食育推進の目標と方針
(1)食育の基本目標
『食で育む元気なからだと豊かな心』
町民が生涯にわたって「食」に関心を持ち、元気な「身体」と豊かな「心」を育むと
ともに、「食育」の推進による“食で元気”なまちづくりを目指します。
(2)目標を実現するための基本方針
食育の目標を実現するために、3つの基本方針と食育で学び行動する12本の柱を
立て、取り組みを進めます。
基
本
方
針
食育で学び行動する 12 の柱
○基本方針1
①食べものと心や体の関係を知る
健康な食生活を実現する食育の推進
②体によい食事のとり方を知る
生涯にわたって健やかで元気な生活を送
ることはすべての町民の願いです。乳・幼
児期から高齢期まで健康な食生活を実現で
きるように食育を推進します。
○基本方針2
③日本型食生活のよさを知る
④食の情報を正しく理解する知識を身につける
⑤食べものの大切さを知り、自然の恵みに感謝する
食を知り心豊かな食生活を実現する ⑥食べものの作られる過程などを理解する
食育の推進
生涯にわたっておいしさや楽しさなど食
生活を通じて精神的に満たされ、心豊かな
食生活を実現できるように食育を推進しま
す。
⑦基本的な調理技術を身につける
⑧味覚を育てる
⑨食を楽しむ
⑩食を通じて環境について考える
○基本方針3
⑪地域の農林水産業や食品産業を知る
湧別町らしい食生活を実現する食育 ⑫地産地消の大切さを知る
の推進
湧別町は豊かな自然の中で、多くの水産
物・農産物を生産しています。
こうした特色を生かした食生活を実現で
きるように食育を推進します。
6
【基本方針1】
『健康な食生活を実現する食育の推進』
食は人々の生命と健康の基本であり、生涯にわたって健やかで元気な生活を送ること
はすべての町民の願いです。
近年、脂質の過剰摂取や野菜の摂取不足など栄養の偏りから肥満や生活習慣病の増加
が見られ、健全な食生活が失われつつある中で、食べものと心や体の関係を知るととも
に、身体によい食品の適切な選択や日本型食生活の実践などにより、乳・幼児期から高
齢期まで、健康な食生活を実現できるよう食育を推進します。
①食べものと心や体の関係を知る
・自分の体の仕組みを知る
脳、歯、唾液腺、舌、食道、胃、すい臓、十二指腸、小腸、肝臓、胆のう、大腸及び
骨の機能を知る
・噛むことの大切さを知る
噛むことは、歯やあごの発達、口の中の病気(むし歯、歯周病)の予防、免疫、リラ
ックスなどの効果があることを知る
・食べものの働きを知る
栄養素*6 とその働き、水分や食物繊維の働き、機能調整の働きについて知る
・規則正しく食べる(生活スタイルに応じて適切に食べる)
1日3食など生活のリズム、間食・夜食に関する知識、運動(遊び)の習慣と食生活
のリズム、食べる心地よさを味わう
・適正な食事量を知る
年齢や身体活動に合った食事量を知る
・自分の健康状態を知る
体重・身長のバランス、BMI*7 と肥満度、無理なダイエットによる弊害に関する
知識、生活習慣と生活習慣病の関連などについて知る
②体によい食事のとり方を知る
・栄養のバランスを考えて食事をする
主食、主菜、副菜のバランスを考えた食事、栄養と生活習慣病の関連などについて
知り、実践する
・安全な食べものを知る
食品の機能性に関する知識、食品添加物*8 の知識などを学ぶ
・食品衛生の知識を得る
食中毒の予防や鮮度の見分け方を学ぶ
7
③日本型食生活のよさを知る
・郷土料理や行事食、保存食など家庭や地域で受け継がれてきた食文化を知り、伝承
する
・米を中心に魚や野菜、大豆を組み合わせた伝統的な食生活に、肉類、牛乳・乳製品、
油脂、果物などが豊富に加わって、多様性があり、栄養バランスのとれた「日本型
食生活」のよさを見直し、食生活を豊かにする
・箸の正しい持ち方や使い方などを身につける
④食の情報を正しく理解する知識を身につける
・JAS法*9 などに基づく食品の表示を知る
賞味期限・消費期限*10 や栄養表示基準*11、原産地表示、マークによる表示(JA
S、有機JAS*12、特別用途食品*13 など)、遺伝子組換え食品*14、食品添加物の表
示や有機農産物を理解する
・食の安全性に関する情報を知る
町や道、国の広報、ホームページ、報道などを通じ、食の安全・安心に関する情報を
積極的に収集する
・北海道独自で行っている表示を知る
道産食品独自認証制度*15 や道産食品登録制度*16、YES!clean 表示制度*17 を理
解する
8
【基本方針2】『食を知り心豊かな食生活を実現する食育の推進』
食生活は、健康の維持・増進の基本であるばかりでなく、生活の質との関連が深いも
のです。人々がおいしさや楽しさなど食事に求めるものは多様なものがあり、食べるこ
とにより精神的に満たされることも重要な要素になっています。
食材の生産と利用、食文化など食に関する幅広い知識を習得するとともに、楽しく食
卓を囲む機会を多く持つなど、食を通じたコミュニケーションを深め、生涯にわたって
精神的に満たされ、心豊かな食生活を実現できるように食育を推進します。
⑤食べものの大切さを知り、自然の恵みに感謝する
・地域で採れた農産物や山菜、きのこ、魚介類など自然の恵みを知る
・自然環境の保全、洪水や土砂崩れの防止など農林漁業・農山漁村の多面的な機能を知
る
・食べものと自然を大切にする心を育む
⑥食べものの作られる過程などを理解する
・食べものの生産から流通までの流れなどを知る
・安全で品質の高い食べものの生産には相応のコストがかかることを知り、再生産可
能な価格で買い支えることの重要性を理解する
・旬の味覚を味わう
・食べものを育てる、作ってみる、収穫してみることで五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・
触覚)を使って、自然や生き物に触れる
・食料の自給率などについて知る
⑦基本的な調理技術を身につける
・献立を考える
献立の基本を理解し、栄養のバランスや調理前の安全・衛生を考える
・調理器具を使う
材料のはかり方や食材の切り方、調味料の計量の仕方などを学ぶ
・味付けをする
・盛りつけをする
・衛生的に取り扱う
・食品の保存の仕方や食べものを大切にする習慣を身につける
⑧味覚を育てる
・食材の本来の味を知る
・うす味の料理に慣れる
・甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の五つの基本味を知る
・多くの食べものの味を経験し、食べたいものを増やすなど味覚を育てる
9
⑨食を楽しむ
・家族や友人と楽しく食べる場をつくる
・食べることの心地よさを味わう
・食事のマナーを身につける
・よく噛んで食べる
・行事食、保存食、郷土料理など、バラエティ豊かな食材を活用した調理方法を知る
・スローフード運動*18 や身土不二*19 の考え方などに理解を深める
⑩食を通して環境について考える
・食べものの選び方、調理方法や食品の保存方法を工夫する
・食べ残しなどの食品ロスを少なくする
・「環境に調和した食生活(エコクッキング)」を考える
・「もったいない」というモノを大切にする心を育む
・環境との調和に配慮したクリーン農業*20 や有機農業*21 などの取り組みについて理
解を深める
・食を通して大気・水の循環など環境問題について考える
10
【基本方針3】『湧別町らしい食生活を実現する食育の推進』
湧別町は豊かな自然に恵まれ、四季折々の旬を感じさせる食材の宝庫であり、消費者
と生産者とが顔の見えるつきあいができる特徴を持った地域です。
本町の基幹産業として発展する農林水産業など食に関連する産業の役割や現状につい
て理解を深めるとともに、地産地消の大切さを知り、本町で生産された豊富な食材を生
かした湧別らしい食生活を実現できるように食育を推進します。
⑪地域の農林水産業や食品産業を知る
・小・中学校の総合的な学習の時間などにおける体験活動を通して、地域の産業につい
て理解を深める
・休日には、親子や友達同士でふれあいファーム
*22 や食育ファーム*23 などに出かけ、
食に関す
る様々な体験をすることにより、地域農業への
理解を深める
・地域で開催される食品加工場などへの見学会
への参加を心がけ、食品産業への理解を深める
・生産者と消費者の信頼関係を深める
⑫地産地消の大切さを知る
・日常の食事に使う食材の生産地などを知る
・本町で生産される農水産物のよさを理解し、旬のときが一番おいしく栄養も豊富で
食材そのものの持つ本来の味であることを知る
・地産地消が生産者と消費者の信頼関係を構築するために大切であり、流通コストの
削減や地域経済の活性化を図る上で重要であることを知り実践する
・フードマイレージ*24 などを理解し、地産地消は環境にやさしいということを知る
・地域の特色のある食材を活用した郷土料理など、湧別町の食文化を知る
11
(3)目標値(主な数値目標)
食育の推進状況を指標により把握し、目標値を設定します。
指
標
朝食を毎日食べている児童生徒
現状値
目標値(平成 32 年度)
児童(小6)
81.2%
すべての児童・生徒が食
※全国学力学習状況調査(H27)
生徒(中3)
92.3%
べていることを目指す
就寝時刻が不規則な児童生徒の
児童(小6)
27.5%
20.0%
※全国学力学習状況調査(H27)
生徒(中3)
33.3%
25.0%
起床時刻が不規則な児童生徒の
児童(小6)
13.0%
6.5%
生徒(中3)
3.8%
2.0%
1歳6ヵ月児
3.6%
2.0%未満
3歳児
0.0%
現状維持
5歳児
0.0%
現状維持
の割合
割合
割合
※全国学力学習状況調査(H27)
幼児(1歳6ヵ月児・3歳児・5
歳児)の肥満の割合
※健康診査結果(H26)
(5歳児のみ H27 年度)
児童・生徒の肥満の割合
児童
12.4%
10.0%未満
※身体状況実態把握結果(H26)
生徒
12.0%
10.0%未満
BMI-25以上の人の割合
成人
31.8%
※国保特定健康法定報告(H26)
776 人中 247 人
28.6%未満
低栄養傾向の高齢者の割合
(65 歳以上で BMI-20 以下の人の割合)
65 歳以上
13.3%
現状維持
81.4%
現状維持
8.8%
8.0%未満
食育ファーム
0件
食を学ぶ機会を提供でき
る農場の設置を目指す
ふれあいファーム
1件
現状維持以上
※国保特定健康法定報告(H26)
学校給食における地場産物(道
内産)の使用割合
※学校給食地場産物使用状況調査(H26)
学校給食における食べ残し
(重量ベース)
※学校給食センター独自調査(H26)
食育ファーム・ふれあいファー
ムの登録件数
※北海道への登録(H26)
12
8
ライフステージに応じた食育の推進
一人ひとりの食に対する考え方、食習慣は、長い年月をかけて形成されることから、
町民が心身の健康を確保し、生涯にわたって健康で豊かな暮らしを実現するためには、
乳・幼児期から高齢期までのライフステージごとの特徴に応じて様々なことを学ぶこ
とが重要です。なかでも、子どもの食生活は、その後の食習慣に大きく影響することか
ら特に重要です。本計画では、次のライフステージに区分し、それぞれの特徴に応じた
取り組むべき目標を掲げます。
(1)乳・幼児期(概ね0~5歳)
乳・幼児期は、食生活を始め、生活リズム等の健康的な生活習慣を身に付けるこ
とはもとより、しつけによって社会性の基礎を養う重要な時期です。
特に乳児期は、食である授乳を通して、単に栄養を摂るだけではなく、親子のふ
れあいや安心感などを覚えていきます。幼児期は、活動範囲が広がり好奇心も強く
なるため、様々な食体験が必要な時期です。
この時期には、食に関して自発的に考えるまでには至らないことから、保護者が
責任を持ち、愛情を込めて食に当らなければなりません。家族や友達と楽しく食べ
ることを心がけ、食への関心が持てるよう、食べ物の匂いを嗅ぐ、見る・触るなど
様々な食の経験を積むことで五感を磨くことが必要です。
・早寝早起きに心がけ、十分に遊び、お腹がすく生活リズムを整え、毎日3食好き
嫌いなく食べる
・朝食をしっかり食べる、よくかんで食べる
・箸の正しい持ち方や使い方を練習する
・様々な経験を通して、食べることへの興味や関心をもつ
・いただきます、ごちそうさまのあいさつを身につける
・五感を使って自然や生き物、収穫体験等を通して食べ
ものに触れる
・食事のお手伝いをする
・うす味で素材のうま味を知る
・食べることの心地よさを味わう、家族と一緒に楽しく
食事する
(2)学齢期(概ね6~15歳)
小学生期は、心身の発達が著しく、食習慣の基礎を確立し、健康や食事など食に
関する新たな知識を広げていく時期です。しかし、学校での本格的な集団生活が始ま
るとともに、友達と過ごす時間が増え、習い事などにより家族間の生活時間がずれ、
家族そろって食事する機会が減っていきます。また、朝食の欠食や食事マナーの乱れ、
偏った食事による肥満・やせ、小児生活習慣病等の健康問題が起きてくる時期でもあ
ります。
中学生期は、心も体も大きく変化する時期でもあり、体の基礎を作るためにバラン
ス良くしっかり食べることが大事です。また、保護者に依存した食生活から除々に自
13
立し、食事の選択や判断などを自分で行うことが増えるため、自己管理能力を身に付
けていくことが必要となってきます。
このため、この時期は家庭の食事や学校給食を通じ、食
に関する基本的な知識や望ましい食習慣を身に付け、自ら
の健康について考え、体験学習などを通して食の大切さを
学ぶことが大切です。また、保護者も食育の基本は家庭に
あることを十分理解し、大人になる前の食育推進に努める
必要があります。
・食べものの働きや適量を知る
・バランスのよい食事が健康のために必要なことを理解する
・食品に組合せなど栄養バランスの知識を身につける
・食器の並べ方など食事のマナーを学ぶ
・米を中心としたバランスの取れた日本型食生活に親しむ
・食品の産地、栄養、添加物などの表示を知る
・農林漁業体験などにより食べものと自然を大切にする心を育てる
・体験を通して地域の産業や食料の自給率などを学ぶ
・食事の手伝いや調理実習などを通して、基本的な調理技術を身につけ、食に関す
る幅広い知識と関心を広げる
・いろいろな食べものを食べて味覚を育てる
・骨のある魚など食べにくいものでも食材そのものを食べる機会をもつ
・家族や仲間と一緒に食べる楽しさを味わう
・食べものと環境について知り、残さず食べることができるようにする
・クリーン農業などの取組を知る
・総合的な学習の時間などにおける体験活動を通して地域の産業などについての理
解を深める
・旬の食材について知り、おいしさを味わう
・地産地消の意義について理解する
(3)青年期(概ね16~24歳)
青年期は、多くの生活習慣が定着し、食習慣の自己管理能力を獲得していく時期で
す。保護者による子どもの食習慣の管理が難しくなり、生活リズムとともに食事リズ
ムも不規則になりがちです。マスメディアの影響も受けやすく、きれいになりたい・
遊びたい気持ちが強く、過度の痩身志向や過食、偏食による肥満など健康上の問題も
生じやすい時期です。
高校生時期を過ぎると、保護者から離れ、進学や就職、結婚、出産等により、生活
環境が大きく変化する時期でもあります。心身ともに充実する一方、生活が不規則に
なり朝食の欠食が増える時期です。
このため、この時期の食生活が将来の健康に大きな影響を及ぼすことを再認識し、
食に関する知識や経験を深め、自らの生活を見直し健康的に過ごせるように生活習
慣を改善することが必要です。
14
・肥満や痩身と食事の関連、生活習慣と生活習慣病の関連についての知識と関心を
持ち、食事の自己管理ができるようにする
・栄養のバランスや安全な食べもの、食品衛生などについて理解し、実践する
・郷土料理や米を中心としたバランスの取れた日本型食生活に親しむ
・食品の産地、栄養、添加物などの表示を理解し、食品の正しい選択ができるよう
にする
・体験を通じて、農林水産業の多面的機能を知る
・食料の生産・流通から食卓までの過程を理解する
・食品の選び方を知り、調理技術を身につけ、自分で食事を作る
・体のことを理解し、うす味に心がける
・周りの人との関わりを持ちながら楽しく食べる
・食べ残しを減らし、生ゴミの再利用など食と環境について考える
・食を通して「もったいない」を知り、環境問題について考える
・クリーン農業などの取組を知る
・仲間とふれあいファームや食育ファームなどに出かけ、体験を通じて農林水産業
への理解を深め、生産者との信頼関係を築く
・旬の食材について知り、おいしさを味わう
・地産地消の実践により生産者との信頼関係を築くことを知る
(4)壮年期〈妊娠・子育て期〉(概ね25~44歳)
壮年期は、心身ともに充実し、職場や地域社会、家庭の中心となって活躍する時期
です。一方でストレスがたまりやすく、多忙による睡眠不足や偏った食生活になるな
ど、自らの健康管理がおろそかになりやすい時期です。また身体機能が除々に低下し
始め、生活習慣や更年期による体調の変化が現れるなど、身体的、精神的、社会的に
大きな変化を迎えます。このため、壮年期では、自らの健康状態を把握し、食生活な
どを見直すとともに、生活習慣病の予防など健康を維持、増進していくことが大切で
す。
また、妊娠・子育て期でもあるこの時期は、核家族化が進み、共働き世帯が増えた
ことで食事に費やす時間が少なくなり、冷凍食品や調理済み食品など簡単な食材に
頼る傾向もあります。しかし、子どもや家族のため安全に配慮し、栄養バランスを考
えながら上手に活用し、家族が協力し合い、家族全体で楽しく健康になれるよう気を
付けることが大切です。特に乳幼児は保護者の生活リズムの影響を強く受けるため、
保護者自身も生活リズムを整えることが大事です。
妊娠期では、体の状態に合わせた食生活を送ることが特に必要
な時期です。家族にとっても、食生活を見直すきっかけとなるた
め、家庭全体の健康を考えることが大切です。
子育て期では、バランスのとれた食事を摂るための知識、技術
を身に付け、子どもと一緒に買い物や料理、準備をするなど、食
に関心を持たせながら、一緒に楽しく食卓を囲む機会を持つこと
が大切です。
15
・妊娠期は、胎児の成長と安全な出産に向けてバランスの良い食事をとるようにす
る
・肥満や痩身と食事の関連、生活習慣と生活習慣病の関連についての知識と関心を
持ち、食事の自己管理ができるようにする
・栄養のバランスや安全な食べもの、食品衛生などについて理解し、実践する
・日本型食生活を実践する
・食品の産地、栄養、添加物などの表示を理解し、食品の正しい選択ができるよう
にする
・地域で採れた農産物や山菜、魚介類など自然の恵みを知り、料理などに活用する
・家族などで農林漁業などの体験を行う
・食品の選び方を知り、調理技術を身につけ、自分で食事を作る
・体のことを理解し、うす味に心がける
・家族や友人とともに食事を楽しむ
・食べ残しを減らし、生ゴミのコンポスト化など再利用を実践する
・食を通して「もったいない」を知り、環境問題について考える
・クリーン農業などの取組を知る
・家族や仲間とふれあいファームや食育ファームなどに出かけ、体験を通じて農林
水産業への理解を深め、生産者との信頼関係を築く
・地産地消の実践により生産者との信頼関係を築く
(5)中年期(概ね45~64歳)
仕事や子育てなど社会的な活動が一層広がる時期です。しかし、忙しい中、食生
活が不規則になる人も多く、ストレスも増え、除々に生活習慣病や歯周病などの歯
科疾患も増加する時期です。また、食に関する幅広い知識を得るとともに伝統食や
行事食を実践しつつ、食文化の継承やこれまで得てきた食に関する知識や情報を家
庭や地域に発信し、健全な次世代を育てる役割を担います。
・生活習慣病などを予防し、体調にあった食生活を実践する
・食品の選び方を知り、調理技術を身につけ、自分で食事を作る
・栄養のバランスや安全な食べもの、食品衛生などについて理解し、実践する
・日本型食生活を実践する
・食品の産地、栄養、添加物などの表示を理解し、食品の正しい選択ができるよう
にする
・地域で採れた農産物や山菜、魚介類など自然の恵みを知り、料理などに活用する
・家庭菜園に取り組むなど食料の生産・流通から食卓までの過程を理解する
・体のことを理解し、うす味に心がける
・スローフードや郷土料理を楽しみ、次代の人々に伝える
・食べ残しを減らし、生ゴミのコンポスト化など再利用を実践する
・「もったいない」というものを大切にする心を次世代の人々に伝える
・クリーン農業などの取組みを知る
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・家族や仲間とふれあいファームや食育ファームなどに出かけ、体験を通じて農林
水産業への理解を深め、生産者との信頼関係を築く
・地産地消の実践により生産者との信頼関係を築く
(6)高齢期(概ね65歳以上)
高齢期は、退職や子どもの自立など生活環境が変化し、身体機能の低下が進むな
ど、心身ともに大きな変化が生じ健康問題も大きくなる時期です。
この時期は、規則正しい食生活や食習慣を維持し、味覚の変化や食欲低下からく
る低栄養にならないよう自分の健康状態や活動の程度に合わせた健康管理が必要で
す。また、一人暮らしの割合も高くなることから家族や友人、地域とのコミュニケ
ーションを大切にし、楽しく食べることを大切にしたい時期です。
このため、高齢期は生活の質を維持するために、食事の大切さを再認識すること
が大切です。豊かな人生経験とこれまでに培ってきた知識などを家族や地域社会に
継承するなど、健康でいきいきとした生活を送ることが大切です。
・加齢に伴う身体機能の変化を理解し、体調にあった食生活を実践する
・日本型食生活を実践し、次世代の人々に伝える
・食品の選び方を知り、調理技術を身につけ、自分で食事を作る
・地域で採れた農産物や山菜、魚介類など自然の恵みを知り、料理などに活用し、
その方法を教える
・農林水産業に対する理解を深め次世代の人々に教える
・体のことを理解し、うす味に心がける
・孤食傾向になりやすいので、家族や友人などと一緒に楽しく食事し、郷土料理な
どを次世代の人々に伝える
・エコクッキングや「もったいない」というものを大切にする心を次世代の人々に
伝える
・農林水産業に対する理解を深め、生産者との信頼関係の築き方を次世代の人々に
伝える
・生産者と消費者の信頼関係を築くために地産地消の大切さを次世代の人々に伝
える
17
9
食育推進のための役割と施策展開
食育は、栄養や健康、食べ物が生産される過程や農林水産業をはじめとする食品関
連産業に関すること、食事のマナーや食文化、幼児・学校教育との関わりなど、対象と
する範囲が広く、これまで、家庭はもとより学校、地域など様々な場面で取組みが行わ
れています。今後も、各分野が連携・補完しながら、家庭、学校、地域などの生活シー
ンごとに取組みを推進していきます。
(1)家庭での取組み〔食育の土台となる最も大切な場〕
家庭における食事は、健全な食生活を実践する最も大切な場であるとともに、生
涯を通して個人の食習慣に大きな影響を与えます。健全な食習慣の確立には、乳幼
児期からの基本的な食生活が鍵になります。家庭がもつ食育に対する影響力と重要
性を再確認し、食育を推進するため、次の取り組みを実践します。
①食生活に関する正しい情報、知識の取得
・食に関する教室や相談の場を積極的に活用する
・買物や料理を通じ、安全で安心な食品を選択する力を身につける
・食育や地産地消に関する行事に積極的に参加する
②適切な食習慣の基礎を作る
・早寝、早起きの実践で規則正しい生活習慣を身につける
・ライフステージに応じた適切な食事の摂り方を理解し、実践する
・一日3食規則正しく食事を摂る
③食と生活習慣病の関連等について理解を深める
・年に一度は積極的に健診を受診し、自分の健康状態を把握する
・適切な食生活の実践を心がける
・食と健康について考える時間をもつ
④食に対する関心を高める
・食事の際は積極的に「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶をする
・親から子へ、箸の使い方等食事に関するマナーを伝える
・楽しい食事を心がける
・親子で料理をする機会を設ける
(2)保育所や幼稚園での取組み
保育所や幼稚園では、豊かな人間性の育みや生きる力を身につけることが期待さ
れます。
また、初めての集団生活において、
「食を営む力」の基礎を身につけることができ
る重要な場でもあります。食を通して、子どもたちの健やかな成長を培うとともに、
健康的な食習慣の定着を目指し、次の取り組みを実践します。
①食に関する指導
・昼食やおやつの時間には、食事の挨拶をはじめとしてマナーの指導をする
・配膳の取組みから、家庭において食事のお手伝いをする気持ちを養う
・園児と保育士が一緒に昼食を食べ、おいしさを共感し食べる意欲を引き出す
18
・食べ物の大切さを伝え、給食の完食を促す関わり方をする
・給食やおやつ時の楽しい雰囲気づくりに努める
・絵本や紙芝居等を活用して食事の大切さについて伝える
②体験活動
・地域や関係機関と連携し、農産物等の収穫体験を実施する
・体験活動により、食べ物を大切にする心を養う
・積極的に地域のお祭りや行事に参加し、食育の推進に努める
③家庭との連携
・日々の連絡ノートやお便りを通して、園児の体調を把握する
・早寝早起きの生活を推奨する
・3食規則正しく食べることの大切さを伝える
・献立表の配布等、食に関する情報を家庭へ提供する
④地場産品の活用
・体験活動の中で収穫された産物を給食等で活用する
(3)学校での取組み
学校は最も学びに適しており、教育活動全体を通して体験的な活動や学習を活用
した食育の推進が期待できます。子どもの健全な育成に重要な時期であるため、基
本的な生活習慣の確立や食への理解を深めることが大切です。発達段階に応じた学
習を通し、総合的に食育を推進すべく、次の取り組みを実践します。
①栄養教諭・栄養士による食に関する指導
・給食指導を通して、バランスの良い食事や食事のマナーを実践し、食文化や社
会性、食事の重要性、感謝の心を指導する
・食べ残しを無くす取組み
・各教科における食に関する授業を通して、食事の重要性や食品を選択する能力、
心身の健康について理解と知識を深める
・家庭教育学級や料理教室を実施し、食品を選択する能力や調理技術の向上に努
める
②給食における地場産品の活用
・湧別町の特産品を使った献立を給食に取り入れる
・給食等を通し、地域を代表する基幹産業や地場産品についての理解を深める
・給食献立を通じて、旬の食材や食べ物のおいしさについて伝える
③家庭や地域との連携
・献立表や給食だより等を通して、食に関する情
報を家庭へ発信する
・調理実習や収穫活動を通して、地域や家庭との
交流を図る
学校給食センター施設見学会の様子
19
(4)生産者・食関連団体の取組み
地域の産業を知ることは食育推進の上で重要となります。そのため、湧別町の特
性を活かした体験活動等を通し、地域産業への理解を深めることが大切です。生産
者と消費者の交流を図りつつ、産業への関心、理解を深めるため、次の取組みを実
践します。
①地産地消の推進
・各種イベントの場を活用し、地産地消を推進する
・地場産品を使用した料理講習会や料理教室を実施する
・安全で安心な食品選択ができることを目的とした機会を提供する
・地産地消推進を通した食品の生産や流通、消費までを学ぶ機会を設ける
②地場産品への理解向上
・親子農業体験を実施する
・地場産品を活かした料理の考案・レシピの配付
・酪農・農業・漁業体験の受入れにより、基幹産業への理解を促進する
・体験活動を通し、生産過程への理解を促進する
③生産者・消費者の交流
・ふれあいファーム、食育ファームの登録促進
・交流施設を活用した加工体験学習を実施する
〈漁協〉さけ学習への協力
(ふれあいファーム)酪農体験の受入れ
(5)地域・行政の取組み
地域には子どもから高齢者まで、幅広い世代の人が生活をしています。この幅広
い年齢層全体にアプローチが可能なのは地域活動であり、住民一人ひとりの豊かで
健康的な生活の実現のためには、地域に根付いた食育の推進が不可欠です。自治会、
食に関するボランティア団体、関係者等との連携・協力のもと、様々な機会を通し
て、次の取り組みを実践します。
①自治会等での地域に根ざした食育の推進
・保健推進員や子ども会などが主体となって行う食育活動の充実を図る
②食に関するボランティア団体の活動の充実
・食育に関わる人材を育成する
・食生活改善推進員等のボランティアによる健康づくり活動を推進する
・食に関し豊かな知識や経験を有するボランティアが行う料理教室等を通して調
理技術や食文化、郷土料理の伝承を図る
20
③食に関する意識啓発及び情報提供・知識普及
・町広報誌、ホームページ等を活用し、食に関する正しい情報を提供する
・食中毒の発生状況や食中毒警報発令状況等の健康危機管理に関わる情報の提供
を行う
・健診、相談、出前講座等を通して食に関する情報の提供、知識普及を図る
・図書館、ふるさと館JRY等の社会教育施設において食をテーマとした学習機
会の提供を行う
④健康づくりの推進
・年1回は健診を受けるよう受診の勧奨に努める
・保健推進員を中心に地域での健康づくりを推進する
・保健指導を含めた栄養指導・相談の充実を図る
⑤乳幼児期における栄養指導
・妊産婦の望ましい食生活の確立を支援する
・月齢や発達に合った離乳食の進め方ができるよう支援する
・乳幼児健診や相談の場において、バランスのよい食事や生活習慣病の予防に向
けた食事や正しいおやつの摂り方を指導する
・規則正しい生活習慣や食習慣が確立できるように支援する
上西東芭露おじいちゃんのクッキング講座
ふるさと寺子屋塾(農園栽培活動)
プレ・離乳食教室
食生活改善推進員活動(元気まつり)
21
10
湧別町で取り組んでいる食育関連事業
(平成 26~27 年度実施分)
分野
保育所・幼稚園
学校
事業内容
献立表の発行
親子給食(保護者試食会)
実施時期・回数等
通年(毎月)
通年
野菜栽培・収穫等の体験
通年
もちつき会
年1回
いちご・ぶどう・りんご狩り
食育授業(家庭科)
漁業体験学習
酪農体験学習
農業体験学習
野菜栽培・収穫、調理学習
敬老参観日
給食センター施設見学
(小学1~2年生)
給食だより・献立表の発行
年1回
通年
年1回
年1回
通年
通年
年1回
実施主体等
保育所
保育所
幼稚園
保育所
幼稚園
保育所
保育所
中学校
小・中学校
小・中学校
小・中学校
小・中学校
小学校
通年
各小学校
通年(毎月)
栄養教諭による食の指導
通年
給食センター
各小・中学校
給食センター
各小・中学校
給食センター
各小・中学校
給食センター
JA女性部・青年部
漁協女性部
親子給食(保護者試食会)
各小中学校・保育所
バイキング給食
各小中学校
各団体健康教室
(健康・栄養講話、調理実習)
食生活改善推進員活動
スプーンおばさんの会・サロマ湖ヘル
シー会(健康教室、元気まつり)
生産者・食関連
団体
通年
通年
通年
通年
体験学習の場・機会の提供・受入れ
通年
町内イベントへの農畜水産物販売
湧別鍋(地場食材)
鮭のつかみどり
屯田七夕まつり
産業まつり ほか
地場産品を使用したレシピの考案・配 年間
布
浜の母さん植樹祭
年1回
(大気・水の循環など環境への取組)
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食生活改善推進員
漁協
農協
農家・ふれあいファーム
漁協
JAゆうべつ町
JAえんゆう
湧別町商工会
JA女性部
漁協女性部
分野
事業内容
実施時期・回数等
各団体健康教室
(健康・栄養講話、調理実習)
元気まつり
地域・行政
5~11月
年1回
通年
実施主体等
各自治会
はまなすボランティア
町社会福祉協議会
PTA
老人会
町健康づくり推進
協議会
町教育委員会
児童センター
子育て支援センター
通年
町福祉課
11~3月
上西東芭露地区
年1回
家庭教育学級
通年
町福祉課
年4回
通年
町福祉課
町福祉課
通年
年1回
ふるさと寺小屋塾(農園栽培活動)
おもちカエル(お餅つき)
育児学級(おやつ作り等)
男のクッキング教室
~入門・中級・上級~
上西東芭露おじいちゃんのクッキン
グ講座
石釜ピザ作り
もりもり野菜食べようレシピ広報活
動(レシピ募集・広報掲載)
プレ・離乳食教室
乳幼児健診
23
【参考資料】用語説明
*1【中食】
惣菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べること。レストランや飲食店で料理を食べる
ことを「外食」と言い、手作りの家庭料理を自宅で食べることを「内食(うちしょく:ないしょく)
」
と言ったりするが、惣菜や弁当などの外部の人手によって調理されたものを自宅で食べるという意
味で、外食と内食の中間に位置づけられることから、こう呼ばれる。
*2【食の外部化】
女性の社会進出や単身世帯の増加、高齢化の進行、生活スタイルの多様化等を背景に、家庭内で行
われていた調理や食事を家庭外に依存するようになること。
*3【生活習慣病】
食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発達と進行に関与する疾患群のこと。
代表例に、糖尿病、脳卒中、心臓病、高脂血症、高血圧、肥満などがあり、日本人の3分の2近く
がこの病気により亡くなっている。
*4【日本型食生活】
米、魚、野菜、大豆を中心とした伝統的な食生活のパターンに、肉類、牛乳・乳製品、油脂、果物
などが豊富に加わって、多様性があり、栄養バランスのとれた健康的で豊かな食生活のこと。
*5【地産地消】
地域で生産されたものをその地域で消費すること。
*6【栄養素】
生物が成長や活動に役立たせるため体外から取り入れる物質。栄養素は生体内で、生体内物質の原
料やエネルギー生産に利用される。高等動物では、炭水化物やたんぱく質、脂肪、ビタミン、無機
質などがある。
*7【BMI】
肥満ややせ過ぎの判定法。体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)。18.5 未満がやせ、18.5 以上 25.0
未満が正常、25.0 以上で肥満と判断される。
*8【食品添加物】
食品衛生法において、
「食品添加物」とは、食品の製造の過程において使用されるもの、又は食品の
加工若しくは保存などの目的で添加、混和などの方法により使用されるものと定義されている。安
全性が十分確認されたものであることが必要である。このため、食品添加物は食品衛生法に基づき
「人の健康を損なうおそれのない場合」として厚生労働大臣が定める(指定する)もの以外は原則
として使用が認められない。
24
*9【JAS法】
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律。英語名称が Japanese Agricultural
Standard であるため、一般に JAS(ジャス)と略されたり、その規格を JAS 規格(ジャスきかく)
と呼ばれたりすることが多い。
農林物資の①品質の改善、②生産の合理化、③取引の単純公正化及び④使用又は消費の合理化を図
るため、農林水産大臣が制定した日本農林規格(JAS 規格)による検査に合格した製品に JAS マー
クをつけることを認める「JAS 規格制度」と、一般消費者の選択に資するために内閣総理大臣が制
定した品質表示基準に従った表示を全ての製造業者又は販売業者等に義務付ける「品質表示基準制
度」の 2 つからなり、これら2つの制度によって、農林物資の生産及び流通の円滑化、消費者の需
要に即した農業生産等の振興並びに消費者の利益の保護に寄与することを目的としております。な
お、平成 27 年4月の食品表示法の施行に伴い、JAS 法の食品表示に関する規定が同法に移管され、
JAS 法では飲食料品以外の農林物資の品質表示の適正化に関する制度となりました。現時点で概当
する品質表示基準はありません。
*10【賞味期限・消費期限】
賞味期限は、食品を定められた方法により保存した場合に、期待されるすべての品質の保持が十分
に可能であると認められる期限を示す年月日のこと。ただし、当該期限を超えた場合にあっても、
これらの品質が保持されていることはあるとされている。食品の劣化速度が比較的緩慢な食品につ
いての期限表示で、容器包装を開封する前の期限を示す。一方、消費期限は、食品を定められた方
法により保存した場合、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い、安全性を欠くこととなるおそれが
ないと認められる期限を示す年月日のこと。品質が劣化しやすく、製造日を含めて概ね5日以内で
品質が急速に劣化する食品に表示する。期限表示で容器包装を開封する前の期限を示す。
*11【栄養表示基準】
一般の消費者に販売する食品に、エネルギー等の栄養成分に関する表示をしようとする場合に義務
付けられる基準。健康増進法第 31 条第1項の規定に基づき厚生労働省の告示において定められて
いる。生鮮食品を除く食品及び鶏卵への栄養表示を標準化することで、欠乏しがちな栄養を補い、
過剰になりがちな栄養を抑え、バランスのとれた食生活を支援することを目的としている。
*12【有機JAS】
多年生作物は最初の収穫前 3 年間以上、それ以外の植物(野菜や米)なら播種または植えつけ前 2
年間以上、使用禁止資材を全く使っていない農地での栽培など有機 JAS 規格を満たした農産物・加
工食品に有機 JAS マークを付す制度である。規格には有機農産物、有機畜産物、有機加工食品があ
る。
*13【特別用途食品】
厚生労働大臣の許可を受けて、乳児用、幼児用、妊産婦用等の特別の用途に適する旨の表示をして
販売する特別用途食品。特別用途食品のうち、身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分
を含んでおり、食生活において特定の保健の目的が期待できる旨を表示できる食品を「特定保健用
食品」といい、特定保健用食品マークが付けられている。
25
*14【遺伝子組換え食品】
遺伝子組換え技術によって作られた農産物及びこれを加工して製造された食品。遺伝子組換え技術
とは、ある生物がもつ有用な遺伝子を取り出して、他の生物に導入することにより、新たな性質を
加える技術。
*15【道産食品独自認証制度】
高いレベルの安全・安心を基本として優れた品質の道産食品を認証し、さらに生産工程の審査を行
うことにより消費者の信頼を確保し北海道ブランドの向上を図ることを目的として平成 16 年4月
に創設した制度。道産へのこだわり、消費者への情報提供、衛生管理、品質特性及び食味などにつ
いて、認証機関が審査し、基準を満たした食品に対しては、認証マーク(愛称「きらりっぷ」
)を表
示することとされている。
*16【道産食品登録制度】
北海道の豊かな自然環境の下で生産さえた農産物等の原材料を使用して、道内で製造・加工された
道産へのこだわりの加工食品を登録する仕組みとして、道が平成 18 年1月に創設した制度。道産
原材料については、原料の原産地を表示し、商品形態については最終の出荷状態と消費者の入手状
態は同一のものとしている。
*17【YES!clean 表示制度(北のクリーン農産物表示制度)】
道内で生産された農産物を対象に、農産物ごとに定められた化学肥料・化学合成農薬の使用状況や
他の農産物との分別収穫・保管・生産集団の構成員による栽培履歴の帳簿など、一定の基準をクリ
アした生産集団が生産・出荷する農産物(YES!clean 農産物)に「YES!clean マーク」を表
示し、併せて化学肥料や化学合成農薬の使用回数などの栽培情報を知らせる道独自の表示制度。北
海道クリーン農業推進協議会が策定した北のクリーン農産物表示要領に基づいている。
*18【スローフード運動】
ファーストフードの反対語としてイタリアで生まれた地産地消運動の一つで、「地域の風土に根ざ
した食文化を見直し、その地域に伝わる食材や調理法を守っていこうとする」実践的な活動。道で
は、道民が将来にわたり健康的に暮らすことの豊かさを実感し、命と健康を支える食材の生産地域
を健全な姿で次の世代に引き継ぐ運動として平成 14 年に「北海道スローフード宣言」を策定。
*19【身土不二(しんどふじ)】
食の信条として、また思想として用いられている言葉で、身体(身)と環境(土)とは不可分(不
二)であるとし、身近なところ(一里四方、三里四方、四里四方など)で育ったものを食べ、生活
するのがよいとする考え方。
26
*20【クリーン農業】
たい肥等の有機物の施用などによる土づくりに努め、化学肥料や化学合成農薬の使用を必要最小限
にとどめるなど、農業の自然循環機能を維持増進させ、環境との調和に配慮した、安全・安心、品
質の高い農産物の生産を進める農業をいう。
*21【有機農業】
有機農業の推進に関する法律において、
「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用
しないこと並びに遺伝仕組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への
負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。
*22【ふれあいファーム】
道民が気軽に訪問し、農作業体験や農業者との語らいを通して、日ごろ接することの少ない農業の
実際の姿に触れ、農村の魅力を感じてもらうための交流拠点の役割を果たす農場。道が平成9年度
から、都市住民との交流に意欲的な農業者の農場を対象として市町村の推薦に基づき登録を進めて
いるもので、作物の収穫体験や牛の乳搾り、バター・ジャム等の加工体験、ファームイン、ファー
ムレストラン、農産物や手作り食品の販売など、農場ごとに様々なメニューがある。
*23【食育ファーム】
農業体験などを通じて、道民をはじめ多くの人たちが、農業・農村への理解を深め、食の楽しさや
大切さなど、自ら食について学ぶことを支援する農場。道が平成 21 年度からふれあいファームの
うち食育に関する農業体験メニューを提供できる農場を食育ファームとして登録している。
*24【フードマイレージ】
英国の消費者運動家ティム・ラングが 1994 年から提唱している概念で、食料の生産地から食卓ま
での距離に着目し、なるべく近くでとれた食料を食べた方が、輸送に伴う環境への負担が少なくな
るという考え方。輸入食料に係るフードマイレージは、輸入相手国からの輸入量と輸送距離を乗じ
て求められる。
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