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低コスト作業路の作設マニュアル
-高密路網による施業- 低コスト作業路 コスト作業路の 作業路の作設マニュアル 作設マニュアル 平成21年3月 岡山県農林水産部林政課 岡 山 県 林 業 試 験 場 文 書1 もくじ 1 低コスト・高効率の作業システム (1)作業システム (2)路網整備の基本事項 (3)作業システムのイメージ 2 路網の種類と企画・構造 (1)作業路の線形 3 路網の計画 (1)計画の全体手順 (2)求められる基本的項目 (3)事前調査 (4)現地踏査 4 作業路の作設 (1)路線配置に関する基本的事項 (2)作設に関する基本事項 (3)地形・地質・土質に関する基本的事項 5 作設工法及び作業手順 (1)作設工法 (2)洗越の作設 (3)丸太土留工法 (4)路面排水の方法 6 施工後の管理・巡視 7 用語の説明 参考文献 文 書1 1 低コスト・ コスト・高効率の 高効率の作業システム 作業システム (1)作業システム 作業システム 高性能林業機械は、機械経費(機械の購入費等)が高いことから、稼働率をたかめる とともに効率的使用を進めることが必要である。 素材生産の作業システムは、林業経営を行う上で重要な手段(技術)であり、林業機 械、森林路網と人(作業法)から構成される。機械、路網と作業法とを施業地の自然 条件に最も適するように組み合わせ、効率的に安全でしかも低コスト、低環境負荷で 木材を搬出を行うたために構築される。 基本的には、高度で特殊な搬出技術を必要とせず、誰でも、いつでも安全に木材搬 出できるシステムの構築を目指すことが重要である。 なお、作業システムの労働生産性は、特に集材距離が大きな影響を有するため、施 業の団地化・集約化等による事業規模の確保を図るとともに、路網整備と高性能林業 機械が一体となった高効率な作業システムの整備が必要である。 主な高性能林業機械等 1.ハーベスタ(伐木造材機) ・立木の伐倒、枝払い、玉切りの各作業と玉切りした材の集積作 業を一貫して行う自走式機械。 2.プロセッサ(造材機) ・林道や土場などで、集材されてきた材の枝払い、玉切りを連続し て行い,玉切りした材の集積作業を一貫して行う自走式機械。 3.フォワーダ(積載式集材車輌) ・玉切りした材をグラップルクレーンで荷台に積んで運ぶ集材専用 の自走式機械。 4.タワーヤーダ(タワー付き集材機) ・簡便に架線集材できる人工支柱を装備した移動可能な集材機。 5.スイングヤーダ(旋回ブーム式タワー付き集材機) ・主索を用いない簡易索張方式に対応し、かつ作業中に旋回可能 なブームを装備する集材機。 6.グラップルローダ(積込機) ・油圧ショベルに材をつかむグラップルを装備した作業車。 1 【参考】 森林・林業基本計画」(抜粋) 第3 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 1 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策 ② 路網と高性能林業機械の一体的な組合せによる低コスト・高効率の作 業システムの整備、普及及び定着 施業を効率的かつ効果的に実施するため、路網と高性能林業機械を組み 合わせた低コスト・高効率な作業システムの整備、普及及び定着を推進す るとともに、国有林等を活用したシステムの実証のためのモデル林の設定 やモデル林における現地研修等の実施による人材の育成、多様な森林整備 に対応できる高性能林業機械の開発・改良等を実施する。 この場合、路網整備については、効率的な作業システムに対応し得るよ う、林道と作業道、作業路を適切に組み合わせ、より効率的な施業のため の路網に重点化を図る。林道については、森林の利用形態等に応じた規格 ・構造の柔軟な選択、施業の優先順位に応じた整備を推進するとともに、 森林へのアクセスを確保する骨格となる林道については、移動時間の短縮 による森林整備の効率化等に見合った規格・構造とする。さらに、コスト の縮減を図りつつ、森林の区分の特性に応じた整備に努めるとともに、計 画、設計、施工すべての段階での周囲の環境との調和を図る。トラック等 の走行に用いる一時的施設である作業道については、計画的な施業の実施 に合わせて整備することとし、また、高性能林業機械等の走行に用いる作 業路については、近年の路網作設のための技術の向上も踏まえ、できる限 り簡易で耐久性のある構造での整備を推進する。 (2)路網整備の 路網整備の基本的事項 路網整備については、効率的な作業システムに対応し得るよう、森林の利用形態等に 応じた規格・構造の柔軟な選択、施業の優先順位に応じた整備を推進する。 林内路網の骨格を形成する林道は周辺環境との調和を図りつつ移動時間の短縮や森林 整備の効率化等に見合った規格・構造となる。 作業道は、生産素材の輸送するトラック等の走行に用いる一時的施設であり、計画的 な施業の実施に合わせて整備する。 作業路は、近年の高性能林業機械等の性能や路網作設の技術向上を踏まえ、できる限 り簡易で耐久性のある構造での整備を推進する。(図-1参照) 参照) 2 図-1 作業システム 作業システム構築 システム構築の 構築の概念図( 概念図(作業路網を 作業路網を中心とした 中心とした計画 とした計画) 計画) 3 (3)作業システム 作業システムの システムのイメージ 作業システムの検討に当たっては、所有する機械や現地の傾斜に合わせて、適切な集 材距離(路網密度)となるよう選択する(図-2参照) 参照) 図-2 集材距離と 集材距離と作業システム 作業システム 4 2 路網の 路網の種類と 種類と企画・ 企画・構造 林内路網を形成する道の種類は、「林道」、「作業道」及び「作業路」があり、それぞ れの開設目的や利用形態等に応じて、これらを適切に配置し、全体として効果的・効率 的な林内路網を形成することが重要である。(図-3) 林道 作業道 作業路 ①効率的な森林の整備、地域産業の振興等を図る ・森林へのアクセスを確保するための恒久的施設 ・一般車両の通行が可能 ・通常、地方自治体により整備され、公共施設として維持管理される ②主な規格等 ・恒久的施設(災害復旧事業の対象) ・設計速度 20~40km/h ・全 幅 員 4m、5m(うち車道幅員3m、4m)など ①林道と一体となって森林整備の促進を図る ・一般車両の通行は想定されず困難 ・通常、森林所有者や事業者によって整備され、維持管理される ②主な規格等 ・一時的施設(多くが継続的に使用される) ・設計速度 特になし ・全 幅 員 3m程度 ①導入する作業システムに対応し、森林整備の促進を図る ・通常、作業機械のみ通行 ・通常、森林所有者や事業者によって整備され、維持管理される ②主な規格等 ・一時的施設(継続的に使用されるものもある) ・設計速度 特になし ・全 幅 員 2~3m程度 図-3 路網の 路網の種類と 種類と規格 5 (1)作業路の 作業路の線形 作業路の位置は、現場条件と採用する作業システムや集材方向等に対応した配置とし、 また、構造は使用する高性能林業機械等に対応した福音、最小曲線半径となるように 設定する。 ① 線形 切土法高の高い作業路は、切盛土量の増加や路側構造物の設置等、開設コストの増加 を招くだけなく、降雨等による法面崩壊の原因ともなる上、間伐等の森林施業の実施に 支障をきたすなど、様々な問題を起こす原因となる。(図-4参照) 参照) 線形は、等高線を考慮し切盛法高を抑え、できるだけ路側構造物の設置が少なくなる ような線形を検討する。なお、地形や路線配置の関係からヘアピンカーブを設置するこ とが必要な場合は、尾根部を活用することが適当である。尾根部は、山腹斜面に比べて 傾斜角や地質的に安定していることが多いことや水が集まりにくいことからヘアピンカ ーブに適地とされている。 ○ これまでの作業路(土工量が大きく、雨等にも弱い) ○切土高を抑えた作業路(土工量が少なく、安定している作業路) 図-4作業路の 作業路の断面 ② 幅員 作業路の幅員(全幅員)は、林地の保全と路体の保護を図る観点と、使用する高性能 林業機械等の種類及び規格を勘案し、通行の支障の生じないよう、必要最小限の幅員を 確保する。なお、フォワーダは接地幅の1.2倍以上を目処に確保する(図-5参照) 参照) 6 幅員は、接地幅の1.2倍以上 図-5 作業機械と 作業機械と幅員 ③最小曲線半径 作業路の曲線半径は、使用する高性能林業機械等の機械区及び生産する材の長さ等を 勘案して決定する。 その際、高性能林業機械等は走行速度が自動車と比べ低いため、理論上は作業道より も小さな曲線半径の設置が可能であるが、使用する林業機械の規格や搬出する素材の長 さ等を考慮する必要がある。また、フォワーダについては、急勾配の前後に半径の小さ な曲線を設置することは、安全面からできるだけ避けたほうがよい。(図-6 なお、補助事業等で定められた、最小曲線半径等も考慮する必要がある。 図-6 最小曲線半径 7 参照) 参照) ④ 縦断面 一般的に林道等の縦断勾配は、自動車の通行を前提いとしているため、通行する車 両が同一の走行状態が得られるよう定められているものであるが、こらに対して作業路 における勾配決定に際しては、平面線形と同様に、切盛法高や切盛土量の制御、災害防 止等を重視する必要がある。 このため、地形等を考慮した波状線形を採用する。 具体的には、常水のない小さな谷部は水が集まりやすくなるため、路面を上げる工夫を する。また、尾根部と常水のある沢部の間の中腹部もやや上げるようにする。 一方、尾根部や常水のある沢部等では、路面を下げ前後の路面排水を安全に流下させ る。いずれにしても同一の勾配は長距離にわたって継続させないことが重要である。 (図-7参照) 参照) なお、縦断勾配を急勾配にした場合は、路面水の流勢の増加による洗掘が発生しやす くなるため、横断勾配の工夫等による適切な排水対策を講じることも検討する。また、 急勾配の前後にはフォワーダの安全航行のため緩勾配区間を設ける。 図-7 波型線形による 波型線形による路面排水 による路面排水の 路面排水の線形イメージ 線形イメージ 8 3 路網の 路網の計画 (1)計画の 計画の全体手順 ①机上(事前調査)での路網計画及び路線計画の検討 対象森林について、適用する作業システム等を勘案しつつ、森林計画図、航空写真 等を参考に、地すべり地等の回避すべき箇所や、既存の林道等の位置関係を確認し、 効率的な路網計画(林道、作業道、作業路)の大まかな配置と作業路路線計画を検討 する。 ②作業路の作設に関する基本的事項 適用する作業システムに対応した簡易で耐久性のある作業路の作設に関する基本的 な事項を確認する。 (作設に関する基本的な事項) ○切土高の制御 ○等高線を考慮した平面線形 ○設計車両を考慮した必要最小限の幅員 ○切盛土量の均衡 ○波型線形の採用 ○洗越工の採用 *波形線形:本マニュアルでは縦断勾配の波形(作業路側面から見た波形)を意味し、地形に応じて 縦断勾配をこまめにへんこうした線形を意味している。 なお、平面的線形の波形(作業路上面から見た波形)については、「等高線を考慮した線形」を表 現している。 ③現地踏査による現場条件の把握と作業路路線計画の修正 現地踏査では、作業路路線部及び周辺森林について、机上で把握できない現場条件 (微地形、土質等)の把握に努め、無理のない路線計画となるよう改めて検討する。 ④作設に関する基本的な事項を踏まえ、現場条件に柔軟に対応した施工 作業路路線計画を基に、作設に関する基本的な事項を踏まえ、転石や土質の変化等 の現場条件による線形変更等に柔軟に対応しつつ施工する。 9 (2)求められる基本的事項 められる基本的事項 従来よりも簡易で耐久性が高く、かつ使いやすい作業路を効率的に作設する基本的な 技術については、近年、優良な事例も多く整理され、間伐等の効率化に役立てられてい る。 作業路作設の現場となる森林には、二つとして同じ条件のところはないため、過去の 作業路等の破損事例の多くが、基本的な技術に沿って作設されていたとすれば、回避又 は大きく軽減できたと考えられる一方で、中には単純要因ではなく、様々な条件が重な って生じたと考えられる事例もある。また、予想外の異常気象も発生する。 これらを踏まえ、作業路の作設に従事する技術者は、手順全体を通じて、下記の点に 十分に留意する必要がある。 ○ 作設に関係する基本事項に示す基本的事項をよく理解した上で、当該地域にお ける既往の作業路等の経年劣化の状況や損壊事例などをよく分析するとともに、 作業路を利用して行う間伐等の作業システム等をよく理解しておくこと。 ○ 現地踏査や施工に当たっては、損壊の危険が最も少ない位置に、損壊も危険が低 い構造の作業路が整備できるよう、当初の計画等にこだわらず、線形等を柔軟に見 直し、決して無理をしない心構えを持つこと。 ○ 作業路を作設することが目的ではなく、あくまでも間伐等の作業のための路網整 備であることを認識し、使いやすく、生産性、効率性の高い作業を実現するための 路線を目指すこと。 ○ 開設後も、予想外の水の動きが見られる場合などもあり、観察を続け、劣化や不 具合が発生した場合は随時手直しを加えつつ、使いながら耐久性のある路網を完成 させていくものと考えること。また、その知見は新たに開設する路線に活用するこ と。 (3)事前調査 あらかじめ、森林基本図・計画図「5千分の1」の図上で大まかな路網計画及び作業 路路線計画を検討する。この場合、森林基本図・計画図の他、航空写真、地質図等の既 存資料によって、可能な限り路線計画箇所の概要を把握する。 また、図上での作業路路線計画の決定に際しては、下記に留意の上、間伐等の施業が 継続的に予想されている一連の森林での効果的な施業に対応できるよう、路線及び作業 ポイントの配置や起終点位置等について検討する。 10 ① 間伐等の施業が計画されている箇所を有機的に結ぶ線形となっているか。(施業実 施箇所等の必須通過ポイントを全て通過しているか。) ② 効率的な線形となっているか。(急傾斜の箇所を可能な限り避けているか。大規模 な路側構造物が必要とはならないか。) ③ 想定される高性能林業機械等の通行に支障はないか。(搬出材積時の下り走行で安 全に走行できるか。曲線部の通行に支障はないか。) ④ 完成後の災害発生の恐れはないか。開設を避けるべき箇所及び周辺路網の既往被災 箇所と同形態の箇所を図面上で把握した上で確実に避けているか。 なお、避けるべき箇所は一般的には下記の形態が想定され、事前調査において、注 意する必要がある。 ⅰ 地すべり地 一般的には、森林計画図等の地形図を用いて判断。機械的な読み取りではなく、人 の目によって、これまでの知見を踏まえて判断する。また、マクロ的には、地すべり 学会等でまとめた分布図(箇所によっては、1/50,000地形図による)によっ て判断することも可能。 ⅱ 破砕帯 地質図(1/50,000)を用いて把握する。 ⅲ リニアメント 地形図、航空写真で判断する。地形図で判断する場合には等高線の変曲線の連続性 を見る。航空写真で判断する場合には、植生の色調の違い等を見る。 ⅳ 崩壊地 森林計画図及び航空写真で判断する。 ⅴ その他 人家裏、公道及び鉄道の上部等における作業路開設は、できるだけ避けた方がよい が、林道、公道等との接続部などのやむを得ない場合は、土砂流出の防止のため、木 製構造物の設置など必要な対策を講ずることとする。 ⑤ 作業路敷地の承諾が取れている箇所を通過しているか。 (周辺の所有形態及び承諾の状況が図示され、用地確保に支障はないか。) ⑥ 作業路の起点位置において、既設道路と作業路の接続部分の規格・構造が使用する 機械の通行に支障がないか。 ⑦ 終点位置において車廻し等が確保されているか。 11 (4)現地踏査 現地踏査では、事前調査で森林計画図に記載した作業路路線計画に関して、前記(3) ①~⑦の観点を中心に詳細に踏査する。 併せて、森林計画図等で判読できない現場条件(土質、岩盤、小規模崩壊地、湧水、 転石等)に関して、路線部分及び周辺森林の状況を踏査する。 ④の避けるべき箇所に関しては、露頭や植生状況から判断することになるため、路線 計画箇所だけでなく周辺の既往の路網の状況も参考とする。 また、現地踏査においては、路線計画と併せて、簡易構造物、洗越、路面工の必要な 箇所を森林計画図に図示しておく。 なお、現地における路線踏査の決定に際しては、下記に留意する。 ① 事前調査及び現地踏査の結果を基に、作業路の中心線を立木等に印す際は、高性 能林業機械等が搬出材積載時の下り走行で安全に走行できる縦断勾配となっている かを確認しながら進める。 ② 土工量の極小化や必要な幅員の確保等を勘案し、中心線の調整を行う。また、補 助事業等の定めがある場合を除き、基本的に設計図は作成せず、森林計画図と現地 に印した中心線位置を基に、作業を開始する。 12 4 作業路の 作業路の作設 (1)路線配置に 路線配置に関する基本的事項 する基本的事項 ①緩斜面に 緩斜面に配置する 配置する 斜面傾斜が大きくなると、切土量、盛土量が多くなり、土工量が増える。また、 盛土法面、路肩の保全を図ることも必要となる。コスト面からも保全の面からも、 出来るだけ緩斜面に開設し、作設の効率化、低コスト化を図る。 別添のExcelファイル作業路支援システムを参考にしてください。 土工量・法面長が簡単に把握できます。 ②岩石域は 岩石域は避ける 作業路作設に多くい用いられる小型の土工機械で掘削できる岩はコブル(粒径、7. 5cm~30cm)程度である。これ以上大きな岩塊では、土工機械掘削部のアタッ チメントの交換、また、土工機械本体のパワー不足のため機械そのものを換える必要 が生じる。路線配置上避けて通れない所以外では、時間とコストのかかる作業はでき るだけ回避した法がよい。しかし、コブル以下の栗石程度(粒径、10cm~20c m)の岩塊から構成される斜面では、これらの岩を利用して、路体、路盤の締固めに 用いることにより、路体、路盤の強化、安定が図られる。 ③集材、 集材、運材作業を 運材作業をイメージして イメージして配置 して配置する 配置する 路網配置は、図上に路線を配置することから始まる。作業の場として、また運材 の役割もあるため、作業機械の稼働状況を考え、地形図の等高線を判読しながら斜 面傾斜と幅員、縦断勾配等の関係を考慮し、路線と作業全体をイメージする。 (2)作設に 作設に関する基本的事項 する基本的事項 ①路線開設のたまの 路線開設のたまの支障木伐採 のたまの支障木伐採の 支障木伐採の注意点 伐開幅は、道の幅員を考慮し、広く切りすぎない。また、支障木の伐根は、林内 に放置せず、路体作設時に法面の土留め材として活用し、粗大ゴミ化を防ぐ。 ②路体の 路体の作設 盛土と地山の接合部は、有機物、表土の除去を行い地山との密着を良くする。こ のため、地山部に段切りを行い盛土を作設する。あるいは、地山の土を解して地山、 盛土を区別せず均等に締固める。 13 ③路肩の 路肩の安定化 路体を強固に作設することが、路肩の安定には不可欠でる。木製工は、即効性の ある短期的安定工法であり、路肩部の補強には最も優れた工法である。 ④盛土法面の 盛土法面の安定化 路肩の保全を短期的に図る工法として木製工があるが、腐朽することもあるため、 盛土の裏面の安定化を図る必要がある。木製工による路肩部の安定と同時に、法面 の緑化工を施工する。法面緑化は長期安定化工法である。 ⑤安全に 安全に作業をするために 作業をするために 掘削機械の安定性の維持を図ることが肝要である。作業機の急激な旋回や降下に より機械が転倒する可能性がある。特に機械の上部と下部が直交した姿勢ではもっ とも不安定になるため、注意が必要である。 14 3)地形・ 地形・地質・ 地質・土質に 土質に関する基本的事項 する基本的事項 ①岩の成因、種類、特徴・・・表-1参照 ②土の成因、種類、特徴・・・表-2参照 表-1 岩石の 岩石の成因、 成因、種類、 種類、特徴 種 類 成 因 火山岩 深成岩 特 徴 花崗岩 閃緑岩 斑糲岩 火山岩 流紋岩 安山岩 花崗岩は、断層運動によって破砕されていることが 多い。このような所は、深層まで風化してマサ化し ている場合がある。 安山岩をはじめその他の岩石も温泉作用によって風 化し、粘性化していることが多い。この粘土は、温 泉余土と呼ばれ、地すべりなどの原因になる。 玄武岩 堆積岩 粒子の大き 砂岩 さによる分 泥岩 類 化学組織に 石灰岩 よる分類 石炭 礫岩 凝灰岩 変成岩 広域変成岩 千枚岩 結晶片岩 片麻岩 接触変成岩 堆積岩は、層理面に伴う層状の節理、クラックなど が発達している場合がある。この面が粘土化してい る場合には、滑動を生じる場合がある。 切土法面と層状節理の方向が同方向の場合は「流れ 盤」となり、湧水が伴うと滑動の危険性が大きい。 泥岩は、圧縮の度合いにより頁岩、粘板岩、千枚岩 に分類される。 既存の岩石が、それぞれできたときとは異なった温 度、圧力、そのほかの外的条件の下で、かつ大部分 が個体の状態で鉱物組成や組織が変化したもの。 粘板岩 フォルンフ ェルス 表-2 土の成因、 成因、種類、 種類、特徴 成 因 風化残積土 運積土 堆積土 火山性推積土 食積土 種 類 マサ土 特 徴 マサ土は、花崗岩の風化した残積土。西日本に広く分 布する。 その他の山土 砂質で粘性に乏しく、保水性がなく緑化が困難。表層 での崩壊が多い。 崖錐など 急斜面上の風化岩層が崖下に落下して形成された推積 地形。角礫その他の大小の粒径が共存する崩土からな る。 洪積層 洪積層は丘陵地帯に分布する。比較的安定している。 沖積層 沖積層は、平野部で水中推積から出来た固結が不十分 な地質。 関東ローム 関東地方に広く分布する、火山降下推積物。粒子の細 かい火山灰の推積物で、こね返すと泥嚀化する。 シラス 鹿児島県を中心とした南九州に広く分布する、火砕流 推積物。粒径は細砂からシルトの範囲で、粘着性は無 い。 泥炭 主として北海道に分布。植物の分解途上のもので、繊 維質を含む。 黒ボク 火山灰や軽石を母材とする土。腐植に富み黒色で、ロ ーム層上位の表土、黒土。 15 5 作設工法及び 作設工法及び作業手順 現地踏査を踏まえたに路線計画等について、現地の状況に応じて見直しを加えなが ら土質等の現場条件による線形変更に柔軟に対応しながら施工する。 (1)作設工法 作設工法については、表土ブロック工法を中心とした手法を採用し、現地の状況に 合わせ、柔軟な対応を図る。なお、標準的な手順として下記の表のとおり。 表土設置 ↓ バケット締固め ↓ 無機質土設置 ↓ バケット締固め 先行伐倒 ↓ 盛土基礎部作設 ↓ 表土ブロック積工法 ↓ 路面の形成 ↓ 履帯による転圧 ↓ ↓ 粗路の作設 (ドラグショベル一台分) 構造物の導入 ↓ ↓ 表土ブロック積工法 ↓ ↓ 路体と路盤の作設 構造物の導入 ↓ ↓ 路面の形成 ↓ 履帯による転圧 ↓ 路面の仕上げ ↓ 切土部根切り 作設工法及び 作設工法及び手順表 ○ 土工に当たっては、林地への影響を最小限に抑え壊れにくい構造とするとともに 間伐等の作業を実施しやすいよう、切土・盛土ともに土量が少なくなるよう留意す る。具体的には片切片盛とするなど、近接地での切土・盛土の均衡に努め、土砂運 搬・捨土は極力避けることが望ましい。 ○ 施工は、原則として梅雨期、融雪時期等を避け、降雨時や降雨直後の作業は極力 行わない。なお、掘削時の転石は、路肩の補強用として埋戻す他、路盤材、木製構 造物の中詰材として全て有効活用する。 ○ 切土の高さは、伐開幅及び掘削土砂量の抑制等の観点から、土質等を勘案して、 1.5m程度以下の直切りを基本とし、現地の条件から、これにより難いものに ついては、土質及び切取高さに応じて法面勾配を決定する。 16 なお、直切法面の安定については、地山が均一な土質であれば、2m程度まで は土質に関係なく安定するものとされているが、実際には、山全体の土質が均一 な条件にある場合は少なく、土の粘着力や内部摩擦角を的確に把握することは困 難であるため、安全を見込んで1.5m程度以下を目安とする。 ○ 切土高を抑えた切土法面 ○ 根による緊縛 ○ 盛土作業は、掘削機械を併用する場合がほとんどであるため、使用する掘削機械 の重量と現場の土質により、締固めの度合いに違いが出る。 盛土に際しては、盛土の基礎部分を掘削及び敷均しにより水平にし、盛土のす べり出し防止を図るとともに、盛土の基礎部分以外の地山においても地山勾配や 土質等を勘案し地山の段切り等の必要な措置を講じ、盛土の崩壊防止に努めるこ ととする。 盛土は、原則として一層当たり30cm程度ごとに盛り立て、十分に転圧しな がら積み上げ、きちんと締固めを行う。転圧は、覆帯による転圧を十分に行うこ ととし、路肩部分についても、安全に配慮しつつ覆帯の向きを路線方向に対して 斜めに向けて転圧する。なお、締固め回数は、既往の作設状況を参考に一層当た りの締固め回数を決定する。 盛土材料は切取土を利用するが、表土部分については、多くの有機質や種子を 含んでいることから、盛土材の敷均しの際、盛土外側(法面側)に配置すること により、盛土法面の早期緑化を期待する。ついては、土砂掘削の際、可能な限り 表土部分とそれ以外の土砂を分けることが重要である。 なお、盛土法長が長くなることが想定される場合は、丸太等による簡易な構造 物を設置することにより、土羽尻の安定を図るとともに伐開幅及び盛土法長を最 小限に抑える。 17 ① 先行伐倒 伐開前に、伐採作業員及び機械運転手は、現地を踏査し、地形・地質・障害物等 の状況を双方が十分承知しておくこと。 支障木の伐採は必要最小限とし、また、線形の変更に柔軟に対応できるよう大き く先行した伐開を避け、土工と連携した作業により、林地への影響を最小限に抑え るよう考慮する。 支障木として伐採する場合、盛土土羽尻に係る支障木は、地表から若干高めに伐 採し、柵工等の支柱代わりに利用する。 切土法頭の立木は、根の緊縛力により法面の安定が期待できることから、可能な 限り残存する。 根株は、径が小さいものでも作業路開設時に堀取り、表土ブロック積み工法で盛土部 の補強材として使用する。 伐根の高さについては、堀採りの容易さと、作設後の集材作業等に影響が及ぼさない 程度とする。 先行伐倒のポイント ・支障木として伐倒するか迷った場合は残しておく。 ・販売、資材として使用する立木は作業路と平行に倒すと作業が容易である。 ・曲線設定区間では、直線部の幅員より広く伐開する。 (路面高、盛土基礎部の確認が必要) ・伐根の高さは、地際から30cm程度とする。 18 ①-1先行伐倒等の 先行伐倒等の除去 先行伐倒時に発生する支障木の幹や枝条は、バケットを利用して斜面下方向の林内に 押し込むように除去し、地表面を露出させる。 盛土中に枝条が入ると、腐って盛土強度が低下する恐れがある。盛土基礎部の下側に 置き、土砂の流出防止として利用してもよい。 ② 盛土基礎部の 盛土基礎部の作設 盛土の基礎部となる、のり尻の作設にあたっては、林地傾斜、作業路の幅員、盛土 高、のり面の勾配を考慮し決定する。 のり尻決定のポイント ・「表土ブロック積み工法」で、盛土を積み重ね、のり面に勾配をつけながら作設 必要がある。 ・オペレータから見て45度位の方向を目安にのり尻を決定する。 ・ブーム、アームの長さで、届かないところは、自ら下がって作設する。 (粗道を先に作設するイメージが大切です。) 19 ②-1盛土基礎部の 盛土基礎部の作設法 盛土を支える基礎部は、盛土が滑り落ちないように表土をバケットの爪(ツ-ス)で ほぐして無機質土と馴染ませるようにし、バケットによる締固めを行う。 作設のポイント ・表土をほぐす場所は、バケット2つ分位の広さを目安に作業する。 ・バケットで掘削するのではなく、バケットの水平移動操作により、爪で(ツ-ス) 耕すようなイメージで行う。 ・盛土基礎部の作設は非常に重要は作業であるため、慣れるまでは補助者等をおい て適切に誘導するとオペレータは作業しやすくなる 20 ③ 表土ブロック 表土ブロック積 ブロック積み工法 表土ブロック ブロック積 積み工法 工法とは とは? ? 表土 ブロック とは 樹根などの繊維質を多く含んだ表土と無機質土を交互に積み重ねて置くこと で、盛土のり面の無機質土のすべりを少なくし、法面の表面に表土があることで、 草本類の種子に発芽を促進し緑化を早める効果が期待できる工法である。 作設完成イメージ 作設完成イメージ図 イメージ図 ③-1施工方法の 施工方法の留意点 表土ブロック積み工法で最も注意することは、表土をはがす時に、表土と無機質土が撹 拌されそれぞれの層が壊れることがないようにすること。 *ガチャン! ガチャン!バケットの バケットの閉めすぎで 撹拌されてしまう 撹拌されてしまう。 されてしまう。 21 表土は盛土のり面のギリギリまで置いてよいが、無機質土は表土上にギリギリまで置 かず、その後の締固めによる無機質土の広がりを考慮して30cm程度内側に置く 表土ブロック 表土ブロック積 ブロック積み工法模式図( 工法模式図(断面) 断面) 盛土基礎部の決定 盛土基礎部の作設 ②で作設した盛土基礎部に表土 の移設とバケットによる締固め ③で移設した表土下の無機 ④で移設した無機質土上の ⑤で移設した表土下の無機 質土の移設とバケットに 表土の移設とバケットに 質土の移設とバケットに よる締固め よ締固める よる締固め ⑧の段階で履帯による転圧がで きれば理想的な盛土となる。 ⑥で移設した無機質土上の 表土の移設とバケットに 計画した盛土高になるよう に④⑤を繰り返す よ締固める 22 バケットによる締固めは、盛土部のギリギリまで行うと表土の層を壊し「表土ブロッ ク積み工法」のり面の仕上がりが悪くなり、表層表面の草本類や種子を押し潰すことに なるので注意すること。 悪い例 良い例 表層が崩れ、草本を傷める 盛土の内側を締固め、のり面 の表面はふんわりした状態 作設のポイント ・④⑥で置く無機質土は、③⑤で置いた表土の内側(約30cm)にのせる。 ・④⑥で移設した無機質土は、⑤⑦で移設する表土で覆い、直接雨に打たれないよ うにする。 良い例 悪い例 のり面に勾配が付き、表土に のり面が直になり、無機質土 よって無機質土を覆う をが流失する 23 ③-2伐根の 伐根の利用 路網の開設に伴って生じる根株は、路体に埋設せずに、盛土法面に設置する(腐って も路盤に影響しないように)この方法を採用するのは根株やその周辺に付着している植 物の種などから早期緑化が期待できるからである。広葉樹の根株であれば、活着も容易 で早期に緑化して地山化の足がかりになる。 また、利用しないで、根株等を放置すれば「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭 和45年12月25日法律第137号」に定める産業廃棄物とされている。従って、こ れらは産業廃棄物処理場に運搬し焼却処理をしなければならないが、そのためには膨大 な処理費用を必要とする。 参考 ・・・知っておきたいマメ知識 林野庁と旧厚生省が協議し、「森林内における建設工事等に伴い生じる根株、伐採木 及び未木枝条の取扱について(平成11年11月16日付け森林組合課長他6課長連名 通知)」が発出され、下記に示す方法による処理が行われる場合に限り、産業廃棄物と して取り扱わないものとされている。 (ア)自然還元利用等 ①工事現場における林地への自然還元として利用 根株等が雨水等により下流へ流出する恐れがないように、安定した状態になる ように林地への自然還元として利用するもの ⅰ安定した状態となるよう柵工や筋工等を設置すること ⅱ森林所有者から林地還元箇所として利用について書面による同意書を得ること ②工事現場内における建設資材としての利用 建設資材としての利用とは、①小規模な土留めとしての利用、②水路工におけ る浸食防止としての利用、③チップ化することによる法面浸食防止材、マルチン グ及び歩道の舗装材としての利用、④柵工、筋工、暗渠工等としての利用をいう。 (イ)剥ぎ取り表土の盛土としての利用 根株等が含まれたままの剥ぎ取り表土をそのまま盛土材として利用する場合に おいては、土砂等と同様のものとして取り扱われるものである。 マニュアルでは マニュアルでは、 では、通知に 通知に示された取 された取り扱いをしており、 いをしており、提案する 提案する方法 する方法は 方法は 効果的な 効果的な解決方法になると 解決方法になると思 になると思ます。 ます。 24 ③-3盛土強化のための 盛土強化のための伐根 のための伐根の 伐根の使用方法 伐根を盛土箇所に設置することで、盛土の高さも早く上げることができ、盛土基礎部 に設置することで、基礎部の強化にもなる。 また、広葉樹の小さな伐根でも萌芽による更新が期待できるものは丁寧に設置するこ とで、盛土の強化と緑化に役立つこととなる。 基本的な 基本的な伐根の 伐根の設置手順 伐根の上に表土移設 バケットで締固め 無機質土の移設 バケットで締固め 表土の層から草本類による緑 表土の層から草本類による緑 化と伐根による盛土の強化 化と萌芽による伐根から根系 の発達による盛土の強化 伐根設置のポイント① ・伐根を設置したら安定していることを確かめること。 ・伐根を設置したら、針葉樹、広葉樹どちらも表土を設置すること。 25 広葉樹の伐根は、緑化・盛土強化効果が大きいので、使用する場合は、堀り取った 場所で全て使用するのではなく、一定の間隔で盛土に設置する。余った場合は開設路 線中の広葉樹のない場所での使用を予定し一時保管(仮置き)しておく。 伐根設置のポイント② ・堀り取った伐根は、設置したときの安定(座り)を良くするため、直根やアンカ ーとなる部分以外の根は、バケットで切断してから使用する。 ・伐根が転落るなどの事故が発生しないように、盛土側で作業をすること。 ・作業中に伐根に付着している無機質土が盛土に流れ落ちないようにすること。 26 伐根設置のポイント③ ・伐根は外側に向けて設置することで、履帯による転圧がのり面ギリギリまで可能 ・排土板に接触することなく転圧できる。 (安定した状態で、 斜めになるように設置) (履帯で転圧) 27 ③-4作業中の 作業中の安全 不安定な場所で斜面谷側に盛土を作設する作業や、伐根の掘り取り作業等は機体が不 安定になるため、排土板を必ず降ろして機体の安定を図る。また、切土側で掘削した土 砂を機体の履帯間(腹)に置くと共に、切土側の履帯が少し沈む状態が機体を安定し、 安全に作業が行える。 (排土板を降ろした状態で作業する) (履帯間に掘削した土砂を挟み込む) 28 4 路面の 路面の形成 ある程度「表土ブロック積み工法」でのり面ができ計画盛土高に近づいてきたら、計 画勾配、幅員を勘案しながら、土量の調整を行う。同時に切土法面の整形も行い、排土 板等で路面を均等に整地する。 盛土基礎部作設 伐根と表土ブロック積み工法で 計画路盤高まで付近まで作設 計画勾配、幅員を勘案しながら掘削土量を調整 後方の凹部に掘削土の移動を行いながら 合わせて、切土法面の整形も行う。 整地する。 29 5 履帯による 履帯による転圧 による転圧 路面の形成後、履帯を使用して路面の転圧を行う。履帯による転圧は、盛土側の履帯 が盛土部(路肩)よりはみ出るぐらい行う。出来ない箇所は、バケットで転圧する。 履帯転圧のポイント 転圧のイメージ図 ・履帯転圧時は、急旋回などの操作はしない。 (表土ブロック積みが壊れたり、形成した路面を崩す) ・履帯の方向は、盛土側へ傾け、転圧する移動距離は、およそ履帯延長の2倍 から3倍程度が実施しやすい。 ○作設工法及び 作設工法及び作業手順のまとめ 作業手順のまとめ ここまでは、あくまでも粗道の作設であり、バックホーが一台通れるようなもので、 この後、作業路の仕上げになる(作設手順表-参考)。 この工法を十分に理解できていない場合は、機械を前後に動かさず、その場で表土ブ ロック積みで数段盛土作って、路体を完成させようとすることで、機械が前に進むこと が出来なくなり、使いたい表土に手が届かなくなる状況になってしまうことがあるため、 初期の段階では、補助者を付けて作業することが、理解しやすく技術の向上につながる と思われる。 30 表土ブロック 表土ブロック積 ブロック積み工法簡易模式図 上から 横から 表土ブロック 表土ブロックで ブロックで、1段~3段程度積み 段程度積み上がったら、 がったら、バックホーが バックホーが前に進むよう切土 むよう切土 面を掘削しながら 掘削しながら、 しながら、バックホー1 バックホー1台分の 台分のスペース( スペース(粗道) 粗道)を作る。前進することで 前進することで、 することで、 履帯による 履帯による締固 による締固めが 締固めが出来 めが出来る 出来る。さらに、 さらに、後退しながら 後退しながら、 しながら、表土ブロック 表土ブロック積 ブロック積みで盛土面作 みで盛土面作 設しながら、 しながら、掘削土の 掘削土の移動も 移動も行うことで、 うことで、作設範囲の 作設範囲の視野も 視野も広がる。 がる。 31 (2)洗越の 洗越の作設 従来、作業路等で谷部を横断する場合、ヒューム管等を使用して作設していたのに 対し、現地発生材の石や伐根、支障木を最大限利用し、作業機械や車両を通行させる ための施設である。コストを抑えれるが、水嵩が多くなると通行できなくなる弱点は あるものの、破損しても現地発生材で作り直しが容易である等の特徴がある。 施工する際は、現地の状況に応じた施工が必要となるため、現地調査及び見地資材 に応じた施工が必要である。 ○施工イメージ例 降雨時の水の流れ道になるので、下流部を少 降雨時の水が、作業路前後に流出ないように し下げ、外カントになるように丸太組み等で 路面高を高く施工する。 施工する。 A部は、上流からの流速を抑え洗越し全体の保護の役割を持たせている。 B部は、流水で洗越し基礎部の保護のため、伐根や転石を利用し水叩きを作設した 例である。 下流部の法高が高くなると、ステップを設置するなどのすれば、基礎部の保護に役 立ち、広葉樹の伐根があれば更に萌芽による緑化も期待でき効果的である。 32 ○洗越しの 洗越しの施工例 しの施工例 ②少量の常水があるため、通常は丸太暗 ①現地発生材として、転石が多くあった 渠で排水させるため、支障木を利用す ため、下流部基礎を転石で施工した。 る。 ③谷部に支障木を設置後、周辺の枝条を ④降雨時に水が流れる部分は、前後の路 上置きした後、掘削土により路体を形 盤より少し下げた状態で施工する。 成する。 ⑤降雨時の流速を下げるために、上流部 に集水マスを施工、伐根を利用し補強 している。 33 (3)丸太土留工法 作業路等の作設工法として、古くから使用されている工法の一つですが、本マニュ アルでは、丸太を縦横に組み合わせワイヤーアンカーを使用する例を紹介する。 ○丸太土留工の施工例 ①基礎部の形成。転圧、横木を設置し、ア ②①で設置したアンカーが動かないように ンカーで固定する。 慎重に掘削土で埋戻す。 ③埋戻しが完了したら、縦木を設置する。 ④埋戻しをする。この時、表土や萌芽が期 間隔は、1m程度。 待できそうな小さな伐根を盛土側へ。 34 ⑤更に横木を設置、アンカーで固定。 ⑥計画予定高になるまで、繰返し施工する。 ⑦通常、横木を設置、アンカー止めを施し ⑧掘削土で路面形成をし、十分転圧する。 路体を完成させ、この横木が、路肩の保 護を兼ねることになる。 ポイント! 組木には、滑止めとしてチェンソーで切り 込みを入れると施工がやりやすくなる。 35 ○この方法は、作設した作業路等を早急に復旧するときにも有効な方法です。 路肩崩壊の復旧例 ②崩壊箇所の床堀後、基礎部一段目の施、 ①路肩崩壊箇所の測量及び木組み基礎部の この後、予定路盤高になるまで、積み。 確認。 上げていく。 ③路肩部分の補強と路盤の土の移動を抑えるための、路盤より少し上に出る程度の位置に横木を設置す る。安定するように、チェンソーで切り込みを入れアンカーで固定。 ⑤鉄筋などの部材を必要としないため、早 ④埋戻し、転圧を繰り返し復旧する。 急に復旧でき、バックホーの通行も可能。 36 (4)路面排水の 路面排水の方法 既設の作業路等の損壊事例のほとんどは、雨水による法面崩壊や路面洗掘であり、 耐久性のある作業路を作設する際に最も重要な要因が水処理対策である。 コンクリートU型側溝等の永久構造物を基本的に設置しない作業路では、素掘 側溝等の簡易な側溝が設置されるケースがあるが、これにより路面水を一定区間 導水すると、素掘側溝等は開設後数年で土砂等により埋まってしまい、結局は降 雨等が路面を流れることにより洗掘等の損壊を受けていることが多い。 このことから、切土高の抑制等による法面積の減少と併せ、縦断勾配及び横断 勾配を工夫しながら、きめ細かい排水を実施する。 ① 縦断勾配と横断勾配を工夫した、こまめな排水を検討する。 ② 土質(軟弱地盤)や縦断勾配、集材方法(材の牽引による轍)など、①が適 切に機能しないおそれがある場合は、支障木等を活用した簡易な横断溝や路面 盛土等により、こまめに排水する。この場合、横断溝は横断方向に対して斜め に設置し、流末部分は現場で発生した根株、石砕等を積み、洗掘防止に努める。 ○路面排水イメージ図 ①のとおり縦断勾配を一定でなく、波状勾配とし、横断勾配の一部谷側(外カ ント)にするなどの方法で排水を行う。 流末部を転石で補強し 、洗掘防止を図った施工例。 37 6 施工後の 施工後の管理・ 管理・巡視 簡易で耐久性のある作業路は、継続的に使用することを想定していることから、開 設コストの低減と併せて、壊れにくい構造を有するよう工法上の工夫を要するが、作 業路は、開設時の施工で完成するものではなく、適切な巡視の下、必要に応じて維持 修繕や手直し工事を適時に行うことにより、十全に機能を発揮するものであることに 留意する必要がある。 ( 1) 作業路台帳等の 作業路台帳等の整備 作業路を適正に利用・管理し、後年の効果的な路網計画の策定のため、適切に現 状を把握しておく必要がある。 このため、開設した作業路については、台帳及び位置図を整備しておくこととす る。 ( 2) 現場の 現場の管理 作業路等の損壊は、雨水による法面・路肩の崩壊や路面の洗掘が大部分を占める ことから、継続的に使用するためには、日頃の維持管理において水処理対策等を十 分に講じておくことが重要である。 このため、 ○ 梅雨期等の前に排水が適切に処理できるか点検を行い、必要に応じて横断溝 等の排水対策を講じる。 また、降雨後の速やかな巡視は、排水対策の不適切な箇所等の把握ができ、 以後の手直し工事の参考となる。 ○ 豪雨後や融雪後には、必要に応じて点検を行い、被害が生じた場合は、被害 の程度、周辺環境への影響、被害拡大の可能性等を勘案し、必要な措置を講ず ることとする。 ○ 高性能林業機械等の使用による路面の轍等については、雨水を滞留させ、通 行の支障になるとともに災害の原因となる可能性があることから、間伐等の作 業終了後は、必要な補修を行う。 ○ 林業機械を設計車両としている作業路は、一般車両の通行に適さないため、 部外者の立ち入りを禁止する等の措置を講じ、事故防止に努める。 水処理の方法は、 ○ 流水の発生が予測される場所(渓流部の通過地点など)に道の作設と同時に 処理施設を作り対処する方法と、道の開設後に流水の状況を観察しながら対処 38 する方法とに区分される。前者を事前処理法、後者を事後処理法とすれば、前 者で全路線の水処理が可能であれば、最も理想的な水処理となる。 ○ 流水の発生が予測される渓流部横断地点(普段は涸れ沢になっている場合でも) などでは事前処理法が可能であるが、全ての路線において流水の発生、集中等の 予測ができるわけではないため、基本的には事前処理法で対処し、対処出来ない 所については、事後処理において速やかに対処することとする。 ○ 事前処理法では、全路線にわたって、数m~十数mの間隔で路面水を路面外に 排水出来るよう、縦横断勾配に変化を付けることが重要である。このためには、 地形の変化を利用した道作りを心掛ける必要がある。 39 7 ○ 用語の 用語の説明 路 網 路網は、林道、作業道、作業路(集材路)から成り立つ。林道は、林道規定に基づい て作設される。林道はは、木材の搬出等の林業経営を支える経営道と山間地域の暮らし を支える生活道の両面を持つ。作業道、作業路は林業専用の道であり、林道規定に相当 するものはないが、岡山県造林作業道等実施基準により、規格・構造、曲線半径及び縦 断勾配等の項目を基準として定めている。 ○ 路網密度(m/ha) 路網密度は、単位面積当たりの道の延長距離で表す。路網密度(d)=道の延長距離 (L)÷面積(S)となり、道の延長距離m(メートル)で、面積はha(ヘクタール、 1ha=100m×100m)で表し、路網密度はm/haの単位で表される。 路網密度は、道の整備状況を皮革する場合や平均集材距離、路網配置係数等とともに 路網の評価にも使われる。 ○ 集材距離(到達距離) 集材距離は、林内の立木から最も近い道(路)までの距離を表す。到達距離もほぼ同 じ意味で使われる。施業地内の全立木の集材距離を計測して、その距離の合計を計測本 数で割った値を、平均集材距離という。また、道までの距離が最も遠いものを最大集材 距離という。集材距離は、一般に路網密度が高くなるほど小さくなり、作業機械に対応 した路網の開設には極めて大切な数値である。 40 ○ 路網配置係数 路網配置係数は、施業地内の道の配置の効率を表す数値で、道の開設位置の偏りを表 す。 一辺が100m×100m(=1ha)の正方形の施業地がある。ここに、延長距離 100mの道を施業地の中央に開設する場合と、端に開設する場合と考える。 A,Bとも、路網密度は100m/haであるが、平均集材距離、最大集材距離はそ れぞれ、A:25m、50mB:50m、100mと異なり、作業をする場合は、Aの 道の配置が集材距離が短くなり効率がよい。路網配置係数(f)は、路網密度(d)と 平均集材距離(r)とから、r=2,500×f÷dの関係があることが分かっている。 この関係式から、A,Bの配置係数を算出すると、A:1、B:2となる。路網配置係 数は、道の配置効率が最も良い場合に1の値を取り、悪くなるに従い大きくなる。実際 の計測例では、1.2~1.9の値が多く表される。 最大到達距離を40mで設定した路網配置例 面 路網総延長 積:3.90ha :968m 路 網 密 度 :248.2m 最大到達距離:42m 平均到達距離:18.3m 路網配置係数:1.82 41 参 考 文 献 1 「作業路作設の手引き」林野庁整備課 2 「低コスト作業路養成テキスト」林野庁 3 「大橋慶三郎道づくりのすべて」(社)全国林業改良普及協会 4 「現地研修(OJT)テキスト」日本林業技士会 (林野庁補助事業 森林技術総合研修所 低コスト作業システム構築事業) 42 林業機械化センター