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総合支所等新庁舎建設基本計画

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総合支所等新庁舎建設基本計画
四万十市西土佐総合支所庁舎・
四万十消防署西土佐分署庁舎建設
基 本 計 画
平成 24 年3月
四万十市
(有)西尾設計事務所
<目 次>
1
第1章
新庁舎建設の背景
・・・・・2
第2章
新庁舎の位置と周辺環境
・・・・・6
第3章
新庁舎建設の基本方針
・・・・・9
第4章
新庁舎の建設規模・機能の検討・・・・・12
第5章
新庁舎建設案の検討
・・・・・18
第1章
新庁舎建設の背景
2.建設位置等の検討
1.現庁舎における機能上の課題
まず、総合支所庁舎の建設位置について、現位置で建替える場合と郊外へ移転建替えする場合
(1)総合支所庁舎
のメリット、デメリットを比較検討する。
①老朽化
(1)現位置で建替える場合のメリット、デメリット
築後 48 年が経過(昭和 37 年度建築)し、耐震設計も新耐震基準(昭和 56 年 6 月 1 日
改正)以前の基準によるもので、施設の老朽化も激しい。
①メリット
②バリアフリー
ァ.公共公益施設や住宅、商業など市街地機能が一定集積し、四万十川中流域並びに広域的
バリアフリー化への対応も遅れており、高齢化が著しい西土佐地域にあって、利用者への
な拠点として、市北部の中心となるエリアを形成しており、各施設・機能との連携が容易。
安全面への配慮が不十分。また、来庁者用の駐車場が少なく市民が利用しやすい庁舎となっ
ィ.中心エリアのまちづくりへの貢献が期待できる。
ていない。
ゥ.用地買収・造成経費が移転の場合と比較し削減できる。
③業務効率等
ェ.新総合支所庁舎は、防災拠点施設としての機能も担うことから、人口が一定集積して
合併に伴う組織再編と職員配置(職員数減)により、事務スペースを 1 階に集約している
いる中心部への整備は利点が多い。
が、不整然な組織(課)配置となっており、職員の業務効率の低下が懸念されるとともに、
ォ.現庁舎の敷地は、山を切土してできた敷地で強固な岩盤であり、地震に対する安全性は
来庁者に分かりにくく、開かれた庁舎となっていない。
高い。また、洪水時の浸水の危険性も極めて低い。
④付帯施設
庁舎敷地内に「生活改善センター」、「公民館(図書室、体育館)」が併設されているが、
②デメリット
駐車場が少ないことなどから十分な活用は図れてない。
ァ.現庁舎等の敷地は、高低差が大きく、敷地利用に制約がある。
ィ.庁舎への進入路が狭隘で勾配も急なため、その対策が必要。
(2)四万十消防署西土佐分署庁舎
①老朽化
(2)郊外への移転建替えのメリット、デメリット
築後 32 年が経過(昭和 53 年度建築)し、耐震設計も新耐震基準(昭和 56 年 6 月 1 日
①メリット
改正)以前の基準によるもので、施設の老朽化も激しい。
ァ.用地の確保次第では、庁舎建物や駐車場、進入路などゆとりある配置が可能。
②消防機能
平成 17 年の台風 14 号洪水時に 1 階部分が浸水し、情報通信施設等が使用できなくなる
②デメリット
など、危機管理機能に支障をきたした経過がある。
ァ.中心エリアの衰退への懸念。
③業務効率
ィ.中山間地域にあって、洪水時浸水の危険性のない用地は限られ、十分な用地確保は難し
建築当時の想定職員数を上回ったことなどで施設が狭隘で、各種訓練施設や仮眠室などの
く、大規模な用地造成も予測され、用地買収・造成経費も現位置の場合と比較してかかる
不足、仮眠室は個室対応となっていないなど、消防職員の執務環境に支障をきたしている
ことが予測される。
状況にある。
次に、総合支所庁舎と四万十消防署西土佐分署庁舎の合築について、そのメリット、デメリッ
トを比較検討する。
(3)合築する場合のメリット、デメリット
①メリット
ァ.合築することで、相互の連携が一層強化でき、防災拠点として、相乗的に防災力の向上
が図れる。
ィ.会議室等を共用することで、より効率的な施設利用が可能。
ゥ.用地買収・造成経費を含め、建築費の節減につながる。
2
②デメリット
充実・強化し、人口が集積している中心部に防災拠点機能を配置する利点は大きい。
ァ.各庁舎間のセキュリティ管理や救急・消防車両の出入り口など、施設配置の制約が増え
る。
④効率的な施設利用と建設費の節減
ィ.現総合支所庁舎位置に合築する場合は、敷地の高低差が大きく、敷地利用の制約がさら
総合支所と四万十消防署西土佐分署を合築し、会議室等を共用することで、より効率的な
に増える。また、進入路が狭隘、急勾配で、市道も狭隘なため、救急・消防車両の出入り
施設利用が可能であり、用地取得・造成経費を含め、建築費の節減にもつながる。
に支障をきたす恐れがあり、その対策が必要。
現総合庁舎位置へ合築する場合、敷地利用と施設配置に一定の制約があり、進入路等の
対策も必要であるが、それを差し引いても合築による費用対効果は大きい。
(4)合築しない場合のメリット、デメリット
①メリット
⑤郊外との比較
ァ.合築する場合と比較して、施設配置の制約が少ない。
郊外の広い敷地を確保すれば、庁舎や駐車場、進入路などゆとりある配置が期待できる。
ィ.用地の確保次第では、進入路等の対策が不要。
しかしながら、前述の中心エリア衰退への懸念、公共施設等の集積、さらには、交通弱者へ
の配慮の点からも中心エリアの優位性が高い。
②デメリット
また、現位置以外の中心エリア内での移転も、中山間地域にあって、洪水時浸水の危険性
ァ.移転先の用地を確保する必要がある。
のない用地は限られ、十分な用地確保は難しく、大規模な用地造成も予測され、用地買収・
ィ.合築の場合と比較して、用地買収・造成経費を含め、建築費が高騰することが予測され
造成経費もかかる。
る。
以上の検討を踏まえて、総合支所と四万十消防署西土佐分署の庁舎建設は、現総合支所庁舎
上記に示す、メリット、デメリットを検討すると
位置での合築による建替えとする。
(5)総 括
①中心エリアの衰退
日本各地で中心市街地が衰退する現象が問題となっており、西土佐地域においても、商店
の廃業など、中心エリアの衰退が進んでいる。総合支所庁舎が移転してしまうと、中心エリ
アの衰退に拍車をかけることが懸念される。
②中心エリアのまちづくり
現庁舎周辺は、公共公益施設や住宅、商業など市街地機能が一定集積し、観光・宿泊施設
などと合わせ四万十川中流域並びに広域的な拠点として、市北部の中心となるエリアを形成
しており、各施設・機能との連携を図ることで、市民等が一層利用しやすい空間を提供する
ことができる。
特に、現在取り組んでいる「道の駅情報発信拠点施設整備事業」との一体的な整備も可能
で、庁舎周辺と一体となったまちづくりへの貢献が期待出来る。
③防災拠点機能
総合支所、四万十消防署西土佐分署とも、防災拠点施設として重要な機能を担うことを
考えれば、敷地は災害に強い場所である必要がある。
現庁舎の敷地は、山を切土してできた敷地で強固な岩盤であり、地震に対する安全性は
高い。また、洪水時の浸水の危険性も極めて低い。
こうした点からも、現庁舎位置が優れた立地であることがわかり、さらには、総合支所と
四万十消防署西土佐分署を合築し、相互の連携を図りながら防災拠点施設としての機能を
3
3.新庁舎整備の契機
■市民と行政が協働するまち
(1)合併協定書での位置付け
○行財政運営の効率化
平成 16 年 12 月に調印した合併協定書において、下記のとおり位置付けられている。
地方分権や多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応していくため、地域の
実状を踏まえた新市にふさわしい簡素で効率的な行政組織を確立し、機動的かつ
【合併協定書(抜粋)
】
柔軟な行政執行体制の整備や継続的な組織改革の推進を図るとともに、計画的かつ総合
4 新市の事務所の位置
的な行政運営の効率化を図る。
(1)地域住民の利便性を維持するため、西土佐村役場を総合支所として存続させる。
【主要事業】
・総合支所機能の充実強化
12 自治機構の取り扱い
Ⅶ.公共的施設の統合整備
(2)支所機能の取り扱い
西土佐村地域の置かれている現状を認識し、これまでの村のまとまりと地域自治の実績
各種公共的施設の統合整備と適正配置については、市民生活に急激な変化を及さ
を尊重し、総合支所として機能するよう事務事業の遂行に必要な人員を配置すると共に、
ないよう十分配慮し、地域の実状や市域全体のバランス、さらには財政状況等を考慮しな
弾力的な財源の運用を図るものとする。
がら、逐次、統合整備を検討する。
統合整備の検討にあたっては、行財政の効率化を基本としながら、既存公共的施設の整
①総合支所の期間は特に設けず、今後の道路基盤の整備状況、新市の職員の配置計画等を
備・配置状況や利用状況を踏まえ、有効利用・相互利用を総合的に勘案し、市民の利用利
踏まえ柔軟に対応する。
便性や市民サービスの低下を招かないよう十分配慮する。
新市の庁舎(支所を含む)については、当面は現庁舎を活用・整備することにより対応
(2)新市建設計画での位置付け
するとともに、新たな庁舎の整備等については、市民の意向や財政状況を踏まえ、新市に
総合支所庁舎と西土佐消防分署の建設については、新市建設計画において下記のとおり掲載。
おいて慎重に検討し、対応していく。
なお、支所については、市民サービスの低下を招かないよう十分配慮するとともに、IT
【新市建設計画(抜粋)】
(情報通信技術)の効果的な導入等も含め、市民ニーズに応じた本庁・支所の整備・充実を
Ⅴ.新市建設の施策体系と重点施策
図る。
■地域の特性を活かした、循環型産業のまち
○商業・工業の振興
【資料編】四万十市建設計画具体的事業
西土佐総合支所周辺を新市北部の地域拠点(サブタウンセンター)として、地域商業
・図書館(分館)等の整備
の維持と振興に取り組む。
・常備消防の強化
・災害対策第 2 庁舎
■人と自然が共生する、安心・安全のまち
・地域拠点(サブタウンセンター)の整備
新市の顔となる地域拠点(サブタウンセンター)の整備、地震や台風などの防災
・総合支所機能の充実強化
対策、公共公益施設へのユニバーサル・デザインの普及など、快適で安全な、便利な
・支所庁舎改修事業
生活環境のまちを目指す。
○生活安全の確保
(3)合併特例債の活用
災害に強いまちづくりを進めていくため、防災対策の推進、消防救急体制の整備・
総合支所庁舎と西土佐消防分署の建設については、合併特例債(地方債充当率 95%、交付税
充実を進める。
算入率 70%)が利用でき、一般財源の負担軽減を図ることができる。
【主要事業】
合併特例債は、合併年度及びこれに続く 10 年間に限り借り入れることのできる地方債である
・消防防災体制の整備・充実
ため、平成 26 年度が建設期限とされていたが、東日本大震災による影響へ対応するため、被災
・消防防災施設整備
地については、発行期限を 5 年延長する法案が 8 月に成立し、被災地以外の自治体についても
・ユニバーサル・デザインによる人にやさしいまちづくり
5 年延長することが検討されている。
・既存施設のバリアフリー化の推進
・地域拠点(サブタウンセンター)の整備
4
(4)地域審議会からの意見書
平成 22 年 11 月 15 日付、西土佐地区地域審議会から下記の内容の「意見書」が提出された。
平成 23 年 4 月 18 日付、地域審議会から答申
【意見書(抜粋要約)
】
【答申書(抜粋)】
2.西土佐総合支所庁舎改修事業及び総合支所機能の充実強化について
「西土佐総合支所及び幡多中央消防組合四万十消防署西土佐分署の庁舎改築事業について」の「①
新市建設計画には「総合支所機能の充実強化」とあり、西土佐地域にとって大きな役割を担う
庁舎の建築位置は、現西土佐総合支所庁舎の位置とする。」、
「②総合支所と四万十消防署西土佐分署
総合支所は、住民の生活と文化を守り、新時代を切り開いていくまちづくりを主体として進めて
を合築とする。
」については、これを適当と認め答申する。
いく拠点となるべきもので、老朽化し耐震性に問題のある庁舎改修と総合支所機能の充実強化は
●付帯意見
急務。
・地元産木材を活用した建築様式とすること。
・国道 441 号の改良により、本庁と支所が 30 分の時間的距離で結ばれたとしても、手続き等が
・防災拠点施設としての機能など、地域の安心安全環境に配慮した施設とすること。
本庁へ統合された場合には、住民の利便性が低下するので、総合支所での対応を継続すべき。
・図書室機能の充実等、住民の利便性向上に配慮した施設とすること。
・高齢化が進展する中、高齢者を含めた総合支所での直接対応(住民サービス)を維持すべき。
・個性と魅力あるまちづくりを進めるためには、住民と行政との温もりが伝わる距離感が大事で
市民参画促進につながるので、西土佐地域に残すべき事務事業は、今後においても継続すべき。
・総合支所庁舎の改修については、消防分署庁舎や総合庁舎も含めた検討が必要。
地域審議会からの「意見書」に対し、平成 23 年 3 月 24 日付、市から「回答書」提出。
【回答書(抜粋要約)
】
2.西土佐総合支所庁舎改修事業及び総合支所機能の充実強化について
平成 23 年度に改築の方向で検討委員会などを設けて、検討していく予定。
そのためには、総合支所の将来的な機能をどの程度の規模にするかなど、ある程度の見通しも
必要になってくるものと考える。
基本的な方向性について改めて諮問したいと考えています。
(5)地域審議会への諮問・答申
平成 23 年 3 月 24 日付、地域審議会へ諮問
【諮問書(抜粋)
】
1.諮問事項
西土佐総合支所及び幡多中央消防組合四万十消防署西土佐分署の庁舎改築事業について
2.諮問内容
①庁舎の建築位置は、現西土佐総合支所庁舎の位置とする。
②総合支所と四万十消防署西土佐分署を合築とする。
5
第2章
新庁舎の位置と周辺環境
(2)災害への対応
計画地は、
「急傾斜地崩壊危険区域」、
「土石流危険渓流」並びに土砂災害防止法に基づく「土
1.位置
砂災害警戒区域」に指定されている。
(1)現総合支所庁舎等の敷地における建替え
建築物の構造規制等は受けないものの、土砂災害(がけ崩れ、土石流)への対策に十分留意
第 1 章の2の検討結果や、西土佐地区地域審議会への諮問・答申などを踏まえて、現総合支
した、敷地の造成計画と建物の構造計画が必要。
所庁舎等の敷地内における建替えとする。
①急傾斜地崩壊危険区域
(2)地名地番
地面にしみこんだ水分が土の抵抗力を弱め、弱くなった斜面が突然崩れ落ちるがけ崩れが
四万十市西土佐江川﨑 2445 番 2 ほか
生じる恐れあるとし、勾配 30 度以上、高さ 5m以上の急傾斜地のうち、人家や公共施設等に
被害を及ぼす恐れがある箇所で「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」の規定に
2.敷地概要
基づき、知事が指定した区域。
(1)敷地面積
のり切、切土、掘削などの行為を行う場合は、急傾斜地崩壊危険区域の制限行為許可申請
約 5,300 ㎡
を行い知事の許可を得る必要がある。
(2)地域及び地区等
②土石流危険渓流
・都市計画区域外
谷や傾斜に貯まった土・砂・石等が、豪雨による水と一緒になって一気に流れ出してくる
・急傾斜地崩壊危険区域
土石流が発生する恐れが高いとして、3 度以上の渓床勾配を有する渓流のうち、人家や公共
・土石流危険渓流
施設等に被害を及ぼす恐れがある箇所で、県の調査により指定された区域のこと。
・土砂災害警戒区域
3.周辺環境
(1)市北部の中心エリア
計画地の周辺エリアは、公共公益施設や住宅、商業など市街地機能が一定集積し、西土佐地
域の中心エリアに位置している。
さらには、観光・宿泊施設などと合わせ四万十川中流域の拠点に位置するとともに、国道 441
号と 381 号が合流するなど交通の要所で、愛媛県側との交流の拠点(北の玄関口)として、広
域的な拠点にあり、市北部の中心エリアに位置している。
しかしながら一方で、日本各地で中心市街地が衰退する減少が問題になっている中、中山間
計画地
地域で少子高齢化、過疎化が著しい西土佐地域にあって、商店の廃業など、中心エリアの衰退
が進んでいる。
よって、新庁舎の整備は、市民等が一層利用しやすい空間を提供するとともに、市北部の中
心エリアとして周辺と一体となったまちづくりにつながるような計画づくりが必要。
出典:高知県ホームページ
6
③土砂災害警戒区域
(3)四万十川の景観
土砂災害(がけ崩れ、土石流など)が発生した場合、住民等の生命、身体に危害が生ずる
計画地は、「高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例」(四万十川条例)と市
恐れがあると認められる区域(勾配 30 度以上、高さ 5m以上の斜面で斜面の下端から高さの
の「四万十川景観計画」における「保全・活用地区」に位置しているとともに、文化財保護法
2 倍(最大 50m)までの区域、土石流が堆積する区間から下流で勾配が 2 度以上の区域など)
による「重要文化的景観」の区域内に位置している。
で、「土砂災害防止法」により知事が指定した区域のこと。
四万十川の魅力は、流域の森林資源に代表される豊かな自然環境とともに、自然と共生して
土砂災害警戒区域においては建築物の構造規制等はないが、「土砂災害“特別”警戒区域」
きた人と自然とのかかわりによって、日本の原風景としての風情をとどめた文化的景観にある。
内の居室を有する建築物については、土砂災害防止法及び建築基準法に基づき、急傾斜地と
この良好な景観は、動植物の多様性などの優れた環境が、流域社会の営みとの調和のもと、
建物の間にRC造の崩壊土砂を受け止める高さ以上の塀を設置する場合等を除き、崩壊土砂
保持されてきたことにより形成されたものであり、将来に渡って維持していかなければならな
の衝撃を受ける高さ以下にある構造耐力上主要な部分等は原則RC造とし、想定される衝撃
い。
に対して安全なものになるようにしなければならない。
そのため、四万十川景観計画では、四万十川条例に準じて景観計画区域の区分を設け、それ
ぞれの景観特性に応じた景観形成基準を定めている。
新庁舎の整備は、
「市が行う行為」であるため、この景観形成基準の適用は除外されているも
のであるが、景観形成基準に可能な限り則した計画づくりが必要。
計画地
計画地
出典:高知県ホームページ
7
【保全・活用地区における景観形成基準の主なもの】
〈生態系の保全〉
①振動・騒音の抑制
低振動及び低騒音の仕様の建設機械の使用その他の方法により抑制。
②濁水対策
貯留施設、沈砂池、浸透桝を設置するなど濁水対策を講じる。
③光害の抑制
屋外照明その他これに類するものを設置する場合は、光源に昆虫の誘引特性の小さい
ものを使用。
など
〈景観の保全〉
①自然景観の保全
切土の法面は、裸地が生じないよう在来種の植栽又は種子の吹き付けを行う。
法面の安定確保ができない場合は、コンクリート法枠等と前記による緑化を併用。
②建築物の高さ
建築物の高さは 20mを越えないこと。
③建築物の色彩
屋根、外壁などの色彩は、マンセル値が 10 未満で、かつ、周辺の景観と調和した色彩
を基調とする。
④建築物の形態と素材
屋根、外壁等の形態及びこれらの素材が周辺の景観と調和するものであること。
木材などの地域素材の活用にも配慮する。
など
8
第3章
新庁舎建設の基本方針
②多数の市民が訪れる施設であること
1.基本理念
総合支所庁舎には、高齢者・障害者・子供連れ、関係団体や事業者など様々な市民が来庁
(1)西土佐地域における市民との協働の拠点として、市民サービスの向上と市民の市政への参加
することを想定し、来庁者が混乱することのないよう、来庁目的に応じて機能的に部署等を
交流を促す場としての機能を持つ施設を目指す。
配置し、より質の高い市民サービスを円滑に提供することが求められる。よって、市民に
(2)周辺と一体となったまちづくりにつながる施設を目指す。
とって便利な動線の確保、駐車場、駐輪場等の適正な確保などに十分配慮する必要がある。
(3)災害に強いまちづくりを進めていくための防災拠点としての施設を目指す。
また、四万十消防署西土佐分署庁舎についても、防災講習や研修、見学など、市民に開か
れた施設であることが求められる。
2.基本理念の考え方
従来、主として市庁舎に求められてきたのは、行政機関が効率的に機能できる場の確保であった。
③防災拠点としての施設であること
しかしながら、地方分権や多様化・高度化する行政ニーズに的確に対応していくためには、市庁
総合支所、四万十消防署西土佐分署とも、防災拠点として、災害の未然防止と地域の防災
舎は単に行政事務を行うだけでなく、地方の時代に相応しい市民との協働の拠点として、市民サー
意識、防災力を高める機能が求められるとともに、災害時等には、総合支所は、災害対策
ビスの向上はもとより、市民の市政への参加交流を促し、市民と行政のコミュニケーションを推進
本部西土佐支部としての機能、四万十消防署西土佐分署は、速やかな消火・救急・救助など
する場としての機能が強く求められている。
の機能が求められる。
また、現庁舎は、西土佐地域の中心エリアに位置するのみならず、四万十川中流域の拠点にある
よって、消防団川崎分団の屯所及び地域住民の避難場所としての機能も念頭に置きながら、
とともに、国道 441 号と 381 号が合流するなど交通の要所で、愛媛県側との交流の拠点(北の玄関
合築のメリットを最大限活かし、相互の連携を強化することで、相乗的にそれら機能を発揮
口)にも位置している。そのため、各関係機関との連携のもと周辺と一体となったまちづくりに
する防災拠点としての施設整備が必要。
貢献していく責任を担っている。
また、防災拠点の分散化の視点から本庁機能のバックアップ拠点としての施設整備も念頭
さらには、四万十消防署西土佐分署を合築し、消防救急体制の整備・充実を図るとともに、災害
に置く必要がある。
に強いまちづくりを進めていくための防災拠点としての責任も担っている。
以上のことから、新たに建設する総合支所庁舎と四万十消防署西土佐分署庁舎は、西土佐地域に
④地元産木材を積極的に活用した施設であること
おける市民との協働によるまちづくり、防災の拠点として、地域社会の共通財産との認識のもとに
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成 22 年法律第 36 号)」の
整備を行う。
制定を受け、国、県において木材の利用の促進に関する基本方針が示されるとともに、本市
においても地元産木材の利用促進を重点施策として取り組んでいるところである。
よって、地元産木材を積極的に活用した施設整備が必要。
3.基本方針設定に向けた視点
(1)総合支所庁舎・四万十消防署西土佐分署庁舎共通
(2)総合支所庁舎
①庁舎としての建築的基本性能を満たす施設であること
①周辺と一体となったまちづくりにつながる施設であること
庁舎をはじめとする公共建築には、建築としての「基本性能」を満たし、かつ、特に災害
庁舎位置は、公共公益施設や住宅、商業など市街地機能が一定集積した西土佐地域の中心
時にも対処できるといった高度な性能が求められ、以下に示すような基本的要件を満たす
エリアにあり、さらには、観光・宿泊施設などと合わせ四万十川中流域の拠点にあるととも
よう留意する必要がある。
に、国道 441 号と 381 号が合流するなど交通の要所で、愛媛県側からの交流の拠点(北の
・安全性〔耐火・耐震・耐水等の構造的な基本性能を満たし、防災拠点としての機能を担う
玄関口)にも位置し、広域的にもその中心にある。
とともに、個人情報保護を始めとするセキュリティが徹底されること〕
よって、庁舎の整備は、市北部の中心エリアとして周辺と一体となったまちづくりにつな
・機能性〔施設利用上求められている性能を十分に備えていること〕
げていく必要がある。
・快適性〔快適な内部環境を提供すること等〕
特に、四万十消防署西土佐分署庁舎の跡地と併せ、西土佐商工会の事務所等があり老朽化
・耐久性〔公共財として長期にわたって使用できること等〕
が進む総合庁舎も取り壊し、その跡地を、現在取り組みを進めている「道の駅情報発信拠点
・経済性〔説明責任を果たせる範囲で適切なコストでの運営が可能であること〕
施設整備事業」の用地として活用する一体的な整備を推進するとともに、周辺エリアのまち
・先進性〔バリアフリー、地球環境への配慮などユニバーサルデザインの理念を尊重し、
づくりに寄与することが期待される。
建築に求められる新たな役割等について積極的に取り組むこと〕
また、四万十川流域の景観などの地域性に配慮する必要もある。
9
4.基本方針
②総合支所の業務・機能の変化に柔軟に対応できる施設であること
(1)総合支所庁舎・四万十消防署西土佐分署庁舎共通
合併新市にふさわしい簡素で効率的な行政組織を確立し、機動的かつ柔軟な行政執行体制
①市民に開かれた庁舎
の整備と組織改革が求められる中、将来は、本庁へ業務・機能を一本化していく必要がある。
市民の誰もが分かりやすく利用しやすい施設、市民が気軽に安心して訪れ、市民の市政へ
しかしながら、一方で、国道 441 号(合併支援道路)の整備の遅れから、本庁と総合支所
の参加交流を促し、市民と行政のコミュニケーションを推進する場として、市民に開かれた
の時間的距離は、依然として遠く、東北地方太平洋沖地震の震災復旧の影響による更なる
庁舎を目指す。
遅れも懸念される。
また、中山間地域にあって少子高齢化が著しい西土佐地域では、保健・医療・福祉の充実、
②市民サービスの向上と円滑な業務の執行につながる施設
地域の活性化に向けた産業振興や地域づくりを推進することが求められ、仮に職員数が縮小
質の高い市民サービスが円滑に提供できる施設とともに、職員の仕事への意欲と創造力が
しても、これら分野の重点的な推進に向けた総合支所機能は充実強化していかなければなら
高められ、かつ能率的・効率的に業務が遂行できる快適な職場環境を整備する。
ない。
そのため、総合支所の業務・機能について、今後の様々な前向きな変化に柔軟に対応でき
③地域の防災拠点としての施設
る庁舎として整備していくことが求められる。
災害に強いまちづくりを進めていくための防災拠点として、総合支所庁舎と四万十消防署
西土佐分署庁舎を合築するメリットを最大限活かし、消防団川崎分団の屯所及び地域住民の
(3)四万十消防署西土佐分署庁舎
避難場所としての施設整備も念頭に置きながら、相互の連携を強化することで、相乗的に
①消防力の向上に対応できる施設であること
防災機能が発揮できる施設整備を行う。
緊急出動に際しての初動体制に十分配慮した施設配置、進入路とするとともに、大規模・
また、本庁機能のバックアップ拠点としての施設整備も念頭に置く。
多様化する各種災害に対処するため、職員及び団員の消防技術の向上を図るための様々な
訓練に対応できるスペース、訓練棟施設など、消防力の向上に対応できる施設整備が必要。
④情報化に対応できる施設
行政内部のオンライン化、ネットワークを通した地域住民への行政サービスの提供、各種
②居住環境に配慮した施設であること
情報発信機能の充実等、電子自治体の実現に対応可能な施設とする一方、個人情報の保護等
男女雇用機会均等法に即し、女性消防職員の配置を見据えた職場環境、施設を整備する
セキュリティの面でも配慮された施設とする。
ことが求められるとともに、職員の生活部門は、仮眠室などの居住性に十分配慮することが
また、将来を見据え、複雑多様化する情報機能にも柔軟に対応できる構造とするなど、
求められる。
情報通信環境の整備に努める。
⑤環境配慮型庁舎(グリーン庁舎)への対応と地元産木材を積極的に活用した施設
計画、建築から運用、廃棄まで、ライフサイクルを通して環境負荷を少なく、環境保全
対策の規範となる施設の整備を目指す。
また、費用対効果や維持管理の容易さ等を考慮しながらも、自然エネルギーの利活用や
省エネルギー対策を図ったグリーン庁舎を目指すとともに、地元産木材を積極的に活用した
施設整備に努める。
⑥経済性・耐久性に配慮した施設づくりと維持管理の実践
庁舎を維持管理していくに当たって、ライフサイクルコストを含めた経済性に配慮し、
各分野において決して過剰な投資とならないよう長期間にわたり庁舎としての基本性能を維
持していくことを前提とした耐久性のある施設づくりを行う。
また、基本性能を満たしながら、経済性・耐久性のある施設を適切に維持管理していくた
めの庁舎管理のあり方についても留意する。
10
(2)総合支所庁舎
①周辺と一体となったまちづくりにつながる庁舎
西土佐地域の中心エリアのみならず、四万十川中流域並びに広域的な拠点に位置すること
を念頭に置き、周辺と一体となったまちづくりにつながる庁舎を目指すとともに、四万十川
流域の景観などの地域性に配慮した施設整備に努める。
②総合支所の業務・機能の変化に柔軟に対応できる施設
本庁へ業務・機能を一本化していく必要がある一方で、国道 441 号(合併支援道路)の整
備の見通しは不透明で、中山間地域にあって少子高齢化が著しい西土佐地域にとって、
保健・医療・福祉、産業振興や地域づくりなどの総合支所機能を充実強化する必要がある。
よって、現在の職員規模を基本に施設整備を行うとともに、総合支所の業務・機能につい
て、今後の様々な前向きな変化に柔軟に対応できるオフィスシステムや施設の整備を行う。
(3)四万十消防署西土佐分署庁舎
①消防力の向上に対応できる施設
緊急出動に際しての初動体制に十分配慮した施設配置、進入路とするとともに、大規模・
多様化する各種災害に対処するため、職員及び団員の消防技術の向上を図るための様々な
訓練に対応できるスペース、訓練棟施設など、消防力の向上に対応できる施設整備に努める。
②居住環境に配慮した施設
職員の生活部門は、仮眠室などの居住性に十分配慮した施設整備を行うとともに、女性
消防職員の配置を見据えた職場環境、施設の整備も念頭に置く。
11
第4章
新庁舎の建設規模・機能の検討
2.新庁舎建設に伴う公民館と生活改善センター機能
1.現有施設の概要
区
分
延
床
面
積
内
(1)公民館機能
訳
①現有機能と利用状況
1 階:509.40 ㎡
総合支所庁舎(RC2 階)
1030.36 ㎡
ァ.図書室
2 階:506.92 ㎡
市立図書館西土佐分館として設置しているもの。
屋上ペントハウス:14.95 ㎡
年間の利用者数は、平成 22 年度実績で延べ 1,290 人(うち巡回文庫 234 人)、貸出冊
図書室1階:180.00 ㎡
数 2,472 冊(うち巡回文庫 572 冊)で、西土佐地域における唯一の図書館である。
(談話室、資料室等含む)
公民館(RC2 階)
765.00 ㎡
ィ.体育館
図書室2階:180.00
夜間、スカッシュバレークラブ(10 名程度)が月曜日と金曜日、少年卓球クラブ(10
(視聴覚室、小会議室、和室等含む)
~20 名程度)が火曜日と木曜日に使用しているのみ。
体育館:405.00 ㎡
生活改善センター
(コンクリートブロック造 2 階)
西土佐消防分署(RC2 階)
252.95 ㎡
356.01 ㎡
ゥ.その他(小会議室、和室、視聴覚室、講座室、談話室)
市立西土佐地区公民館として設置しているものであるが、定期講座、講習会、展示会、
1 階:149.16 ㎡
集会などの公民館事業としての利用は行っていない。
2 階:103.80 ㎡
月 2 回、土曜日にコーラスグループ(10 名程度)が和室を使用しているのみ。
1 階:175,62 ㎡
②整備方針
2 階:180.39 ㎡
図書室については、新庁舎内に市立図書館西土佐分館として整備し、合わせて機能の充実
を図る。
計
2404.32 ㎡
体育館については、学校施設開放として西土佐中学校と川崎小学校の体育館や卓球室を利
用可能で、その旨、現利用団体に説明し、同意も得られていることから、新庁舎内への整備
は行わないこととする。
その他の公民館機能については、西土佐ふれあいホールの設置並びに教育委員会西土佐事
務所が同ホール内に移転したことを受け、実質的な公民館機能は、西土佐ふれあいホールを
拠点に行われている状況にある。よって、西土佐ふれあいホールを西土佐地区公民館として
位置付け、新庁舎内への整備は行わないこととする。
なお、新庁舎に整備する会議室等は、市民等が行う公共的、公益的活動に広く開放してい
くものとする。
(2)生活改善センター機能
①現有機能と利用状況
調理室、研究室、会議室、和室等の機能を有しているが、調理室は、年に 1 週間程度、山
間米の封入作業に使われているのみで、その他の諸室(会議室等)は、西土佐土地改良区と
職員組合の事務所として目的外使用許可をしているほか、備品等の倉庫として利用している
のみ。
よって、同施設は、廃止するものとする。
12
3.新庁舎建設に伴う図書分館整備方針
⑥将来にわたって利用され続ける図書館
(1)基本方針
ァ.床の段差や固定的な柱・壁などをできるだけなくし、融通性、互換性のある構造とし、
①西土佐地域における図書サービスの中心となる図書分館
将来の変化・発展にも対応できる施設とする。
ァ.多様化・高度化する市民サービスに応えられるよう適正規模の蔵書能力及び基本的サー
ィ.空調や照明がエリアや室ごとに調整できるようにする。
ビススペースを確保する。
ゥ.できるだけ外から自然光を取り入れるようにする。
ィ.本館とのネットワーク化(蔵書検索システムなど)による蔵書検索環境の整備とともに、
ェ.設備、備品等の設置には地震等による転落の防止や転倒による来館者の障害への危険性
本館等との流通による貸借を推進するなど、市民ニーズに応えられるサービス提供環境を
に配慮する。
確保する。
ゥ.特に、子ども向け図書サービスの充実を図る。
(2)所蔵能力計画
①開架計画
②市民の暮らしに役立つ図書分館
10,000 冊
ァ.高度情報化社会に向けたインターネット端末及びスペースを確保する。
ィ.生涯学習活動としてのグループ学習、視聴覚、集会、読み聞かせ等のイベントスペース
②蔵書計画及び収容能力
は、総合支所会議室等との併用により確保する。
現蔵書数約 6,500 冊(一般図書 4,000 冊、児童図書 2,500 冊)から毎年 1,000 冊程度を新
規購入し、廃棄処分も含め、開架 10,000 冊の収容能力を備えるものとする。
③市民が利用しやすい図書分館
ァ.市民が気軽に立ち寄れるよう、総合支所庁舎内の整備位置に配慮する。
(3)配置計画
ィ.館内は明るくゆとりのある空間、落ち着きとくつろぎの雰囲気を作り、市民同士のコミ
①開架・閲覧エリア
ュニケーションが気軽にできる場とする。
ァ.一般
ゥ.閉鎖感・圧迫感を感じさせない広さ天井高とする。
ェ.書架は 5 段までの低いもの(1.5m以下)で、出し入れのしやすいものとする。
ォ.設備、備品は温もりを感じる素材、デザインとする。
○一般図書コーナー(新刊、分類別)
○閲覧スペース
○インターネット検索コーナー
○カウンター
※雑誌・新聞コーナーは、市民交流スペースに設置する。
ヵ.乳児を寝転ばせたりできるスペースを確保する。
ィ.児童
キ.車椅子での利用を考慮した構造・スペースにするとともに、床面の段差をなくし、転倒
○児童図書(絵本を含む)コーナー
の危険に配慮した床材を使用するなど、体の不自由な市民や高齢者が利用しやすい施設と
○閲覧スペース
※読み聞かせ等のイベントスペースは、総合支所会議室等と併用する。
する。
ゥ.レファレンス
○地域、行政資料コーナー
④利用者が迅速なサービスを受けられる施設
○閲覧スペース
ェ.視聴覚
ァ.全体の構成・主要な部分が一見してわかる配置にする。
○視聴覚資料コーナー
ィ.適正規模の開架スペースを置き利用者が直接手にとって見られるようにする。
※視聴コーナーは、インターネット検索コーナーと併用する。
ゥ.利用者が自由に図書検索・予約ができる自動機器を配置するとともに、そのエリアを確
保する。
②閉架・所蔵エリア
※閉架書庫は、総合支所書庫と共用する。
⑤職員がサービスしやすい施設
ァ.職員の目ができるだけ届くよう、死角部分を少なくする。
③その他
ィ.死角部分は倉庫などに活用する。
資料展示スペース、学習・研修室、会議室、トイレ等は総合支所と併用する。
ゥ.少ない職員で管理運営できるよう工夫する。
13
4.会議室の検討
5.庁舎規模の算定
(1)利用状況
(1)総合支所庁舎
①起債許可に係る標準面積に基づく算定
①比較的規模の大きい会議
平成 23 年度から、起債許可に係る標準面積に基づく算定方法は廃止され、必要面積での算
4 月・・・交通自治会代議員総会(40 名)
、予土線利用対策促進協議会(40 名)
定となっているが、従前の標準面積を使用し算定する。
西土佐地域区長会(45 名)、小組合長会(50 名)
6 月・・・農業連絡会(35 名)、四万十川安全対策連絡会(30 名)
職員数(H23.4.1 現在)をもとに、事務室、会議室、倉庫等の面積を算定する。ただし、
7 月・・・幡多中央地区消防連絡会役員会(50 名)、小組合長会(50 名)
保健課、教育委員会西土佐事務所、地域企画課支所庁舎建設係、臨時職員については、考慮
9 月・・・農業委員会(35 名)、女性防火クラブ協議会(30 名)
しない。
10 月・・・産業祭関係団体打合せ会(隔年:40 名)
また、公用車駐車場についても、保有台数(H23.4.1 現在)により算定する。
幡多中央地区消防連合会役員会(50 名)
ァ.庁舎の延床面積
12 月・・・小組合長会(40 名)、中山間直接支払制度収支報告会(35 名)
用途・室名
西土佐地域区長会(45 名)、仕事納めの式(50 名)
1 月・・・仕事始めの式(50 名)
、西土佐地域区長会(45 名)、小組合長会(50 名)
事務室
2 月・・・農業委員会(35 名)
・支所長・課長
②一定期間、会議室等を占用し受付事務等を行うもの
○選挙事務・・・小会議室程度
○選挙期日前投票所・・・小会議室程度(1 階が適当)
○市県民税等申告受付・・・小会議室程度(1 階が適当)
○大会議室 1 室・・・150 ㎡程度(50 名収容可能)
※間仕切り機能を備え、中会議室としての利用も可能にする。
4
45.00
・補佐
8.10
4
32.40
・係長
8.10
3
24.30
・職員
4.50
15
67.50
・製図者
7.65
4
30.60
30
199.80
計
②
①の 13%
25.97
会議室等
③
※会議室、トイレ、
洗面所その他諸室
7 ㎡×職員数
※350 ㎡未満の場合
は 350 ㎡まで可
350.00
(①+②+③)×40%
230.31
玄関・廊下等
○小会議室 2 室・・・各 30~40 ㎡程度(15 名収容可能)
必要面積(㎡)
11.25
倉庫
①総合支所
職員数(人)
①
小
(2)想定される会議室の最低必要数
標準面積(㎡)
※1 室は、1 階に配置。
806.08
計
②消防分署
○小会議室 1 室・・・20 ㎡程度(10 名収容可能)
ィ.公用車駐車場の面積
用
途
標準面積(㎡)
公用車駐車場
数量(台)
25
必要面積(㎡)
12
300
②標準面積に含まない諸室の検討
ァ.市民交流コーナー
市民同士、市民と行政が交流を育み、市民、行政それぞれが持つ情報の受発信が可能
となるスペースとしての市民交流コーナー(情報コーナーを含む。
)を、現在使用してい
る面積 25 ㎡、交通部分を合わせて 35 ㎡を設置する。
ィ.放送室・サーバー室
IP 告知システムと防災行政無線の放送室、行政情報等システム、ケーブルテレビシス
14
テムのサーバー室を設置する必要があり、面積は、前述の庁舎会議室等 300 ㎡の中で確
ァ.庁舎の延床面積
保する。
用途・室名(1 階)
ゥ.福利厚生施設
休憩室、更衣室等 40 ㎡、これらの交通部分を合わせて 56 ㎡を設置する必要がある。
ェ.宿直室
宿直室 10 ㎡、交通部分を合わせて 14 ㎡を設置する必要がある。
ォ.書庫
旧西土佐村時代からの永久保存等の書類を保管する書庫 100 ㎡、交通部分を合わせて
140 ㎡を設置する必要がある。
以上のことから、新総合支所庁舎は、延床面積と公用車駐車場面積を合わせ、下記のとおり
1,351 ㎡が必要になる。
(単位:㎡)
延床面積
標準面積
市民交流
福利厚生
コーナー
施設
806
35
56
必要面積(㎡)
宿直室
14
書 庫
小 計
140
1,051
合
20.00
分署長室
15.00
出動準備室
26.00
事務室
54.00
救急洗浄(消毒)室
14.00
多目的室(小会議室)
20.00
救急倉庫
10.00
待機室
15.00
潜水倉庫
15.00
食堂
20.00
その他資機材等倉庫
30.00
仮眠室
46.00
自家発電室
15.00
浴室(脱衣所含む)
14.00
油庫
5.00
洗面室(洗濯場含む)
10.00
シャワー室・脱衣所
6.00
トレーニング室
35.00
洗濯・乾燥室
6.00
職員用トイレ
13.00
職員用トイレ
13.00
書庫
20.00
倉庫
15.00
計
小
面積
300
必要面積(㎡)
受付室
公用車
駐車場
用途・室名(2 階)
計
160.00
①
玄関・階段・廊下等
1,351
32.00
①×20%
小
計
277.00
②
入口・階段・廊下等
55.00
②×20%
524.00
計
(2)図書分館
前述の図書分館整備方針に基づき、開架 10,000 冊の収容能力等を備えることから、占有面
ィ.消防車両車庫の面積
積として 160 ㎡を確保する。
用
途
消防車両車庫(5 台)
(3)災害避難施設
現有の公民館と生活改善センターは、
「四万十市地域防災計画及び水防計画」において、西土
1 台あたり必要面積(㎡)
数量(台)
32
必要面積(㎡)
5
160
ゥ.訓練棟施設
佐江川﨑(奈路地区)の災害避難場所、救援物資等の集積・配送拠点として指定されている。
訓練等施設については、鉄塔等により一式を整備することとし、庁舎面積には含めな
よって、会議室との多目的利用を念頭に置きながら災害避難施設等を設置することとし、面
い。
積は、前述の庁舎会議室 300 ㎡の中で確保する。
ェ.消防団川﨑分団屯所
(4)四万十消防署西土佐分署庁舎
川﨑分団の屯所については、消防車両車庫 1 台分 32 ㎡を確保し、待機室等について
類似団体(高幡消防組合四万十清流消防署(H22 年度建築)、同西分署(H20 年度建築)、
は、消防庁舎の各室(小会議室など)と併用とする。
幡多中央消防組合黒潮消防署(H23 年度実施設計中))の各室面積を参考に職員数(H23.4.1
現在:13 名)に換算するなどして、下記のとおり算定する。
6.駐車場規模の算定
(1)来庁者用駐車場
別表1「類似団体消防署庁舎の用途別床面積」を参照
来庁者用駐車場は、現在、庁舎敷地内 16 台(庁舎前 7 台、公民館前 9 台)、庁舎敷地外 59
台(お多福工房前 15 台、横山精肉店前 44 台)の計 75 台分を保有。
また、消防車両車庫については、現保有車両(ボートトレーラー含む)の大きさと台数
会議等の開催時以外は、庁舎敷地内 16 台が満車になることはないが、大規模な会議(区長
(H23.4.1 現在)により、1 台あたり面積を 32 ㎡(8m×4m)として算定する。
会、小組合長会:40 名規模)の際は、庁舎敷地外の駐車場も使用する必要がある。
なお、会議室、来客用のトイレは、可能な限り共用とする。
また、今回の庁舎建設にあたり、図書室などの機能の充実を図ることとしており、庁舎敷地
内に 30 台(25 ㎡×30 台=750 ㎡)程度の来庁者用駐車場を確保する。
15
(2)職員用駐車場
7.建設規模の総計
職員用駐車場は、現在、法務局江川崎出張所跡地(市有地)に 40 台分を保有。
以上のことから、建設規模の総計は、以下のとおり。
職員については、ほぼ全員が自家用車での出勤となっており、H23.4.1 現在の職員数 43 名分
(1)庁舎(消防車両車庫含む)
(市職員 30 名、消防分署職員 13 名)に臨時職員を加味し、45 台(25 ㎡×45 台=1,125 ㎡)
総合支所
程度の職員用駐車場を確保する。
(災害避難所等含む。)
ただし、庁舎敷地内での確保が困難な場合は、庁外に確保する。
1,051 ㎡
図書分館
四万十消防署
消防車両車庫
西土佐分署
(川崎分団車両含む)
160 ㎡
524 ㎡
192 ㎡
(2)駐車場
公用車駐車場
来庁者用駐車場
職員用駐車場
300 ㎡
750 ㎡
1,125 ㎡
(12 台)
(30 台)
(45 台)
※ 注)来庁者用及び職員用駐車場は屋外。
(3)消防訓練棟
鉄塔等による一式
16
計
2,175 ㎡
計
1,927 ㎡
別表1 類似団体消防署庁舎の用途別床面積
幡多中央消防組合【黒潮消防署庁舎】
高幡消防組合【四万十清流消防署】
高幡消防組合【四万十清流消防署 西分署】
●職員数:20名
●職員数:22名
●職員数:15名
●車両数:6台
救急車、タンク車、救助工作車、運搬車、
指令車、査察車
●車両数:9台
救急車、ポンプ車(2台)、救工車、水槽車、
支援車、指揮車、指令車、軽トラ
●車両数:6台
救急車、水槽車、トレーラー、指令車、
査察車(2台)
階 層
階 層
階 層
用 途
1 消防車両車庫(6台)
面積(㎡)
備 考
293.50
用 途
面積(㎡)
1 消防車両車庫(9台)
253.81
用 途
1 消防車両車庫(6台)
面積(㎡)
備 考
109.72
2 受付室
23.20
2 受付
19.26
2 受付室
25.85 ベットあり
3 出動準備室
42.00 2.2㎡/人
3 出動準備室
53.28 2.5㎡/人
3 出動準備室
28.20 2.0㎡/人
4 救急洗浄室
13.20
4 救急消毒室
15.68
4 消毒室(救急)
13.80
5 救急倉庫①、② (2室)
26.20
5 救急機材庫
15.68
5 救急倉庫
6 潜水倉庫
21.00
6 潜水資機材庫
28.72
6 倉庫①(潜水資機材)
7 倉庫(その他資機材)
22.00
7 災害活動資機材庫
13.28
7 倉庫②(その他資機材)
5.00
8 工作室
24.75
8 救助資機材庫
18.04
8 倉庫③( 〃 )
11.10
1.95
9 倉庫④( 〃 )
8.00
9 物入(資機材等)
9 自家発電室
9.00
10 油庫
7.50
11 シャワー室(兼)潜水乾燥室
3.75
12 乾燥室
13 男子トイレ①
10 自家発電室
6.60
10.00
14 女子トイレ
4.00
15 多目的トイレ
3.00
16 倉庫(トイレ清掃用具)
2.00
22.76
1F 11 油庫
3.00
13 シャワー室(1.45㎡×2室)
2.90
13 シャワー室
4.40
14 洗濯室
5.26
15 乾燥室
5.35
16 便所
5.04
14 便所
17 多目的便所
5.67
15 多目的便所
5.36
16 物入(トイレ清掃用具等)
3.60
9.30
11.20
17 機械室(水道ポンプ)
19 風除室・ホール・通路・階段等
70.03
18 風除室・ホール・通路・階段等
87.36 4.6㎡/人
2 事務室
19 多目的室
23.40
3 パソコン室
4 火災調査室
20.80
20 待機室
30.00
5 待機室
21 食堂
32.50 1.6㎡/人
342.00
14.30
2 事務室
62.42 4.5㎡/人
3 会議室(トレーニング室兼用)
70.00
27.84
4 待機室
15.00
6 食堂
38.00 1.7㎡/人
5 食堂
23.50 1.6㎡/人
70.00 3.5㎡/人
7 仮眠室(個室2人用×11室)
84.34 3.8㎡/人
6 仮眠室(和室4人可×3室)
37.55 3.1㎡/人
14.00
8 浴室
4.94
7 浴室
4.29
9 脱衣室
7.20
8 脱衣室
3.97
10 シャワー室(1.47㎡×2室)
2.94
9.80
24 リネン室
9.60
25 男子トイレ②
7.04
18.00
28 副署長更衣室兼隊長仮眠室
16.00
29 入口・ホール・通路・階段等
191.40
1 大会議室
107.52
53.94
3 トレーニング室
37.82
4 男子トイレ
12.80
5 女子トイレ
4.00
6 書庫
8.00
14.06
10.73
12 便所(仮眠室よこ)
13 男子便所
6.58
2.89
10 便所
4.70
12.15
11 掃除具入
0.83
15 書庫
24.40
12 移動式書庫
6.00
16 倉庫
13.60
13 倉庫
8.00
14 物置
4.00
17 入口・ホール・通路・階段等
小計
1 会議室
2 トレーニング室
3F
2F 9 洗面コーナー
15.37
14 女子便所
1058.60
2 小会議室
109.61 5.2㎡/人
2F 11 洗面室
12.80
27 女子更衣室(仮眠室、バス・トイレ兼用)
15.63
55.67
1 分署長室
23 ユーティリティルーム(洗濯場)
127.75
52.29
小計
319.00
118.40
合 計(延床面積)
661.00
55.00
3 男子便所
7.02
4 女子便所
2.89
5 書庫
8.10
33.70
6 倉庫・物入
39.57
8 入口・ホール・通路・階段等
81.72
7 入口・ホール・通路・階段等
85.08
339.50
小計
316.06
1398.10
合 計(延床面積)
1,396.60
17
15 入口・ホール・通路・階段等
526.68
7 倉庫・収納室
小計
小計
553.86
18 事務室
合 計(延床面積)
12.65
18 汚物処理(屋外)
1 署長室
小計
1.85
2.20
25.00
26 書庫
27.30
12 脱衣室
17 署長室
22 風呂場・脱衣所
1F 11 油庫
12.00
2.95
小計
仮眠室(個室2人用×10室)
10 自家発電室
6.00
12 脱衣室
1F
2F
備 考
※ 2Fにバルコニーあり。(1.2m×53.4m=64.08㎡)
※
は部屋以外のスペース
第5章
新庁舎建設案の検討
2.建物の構造
1.建物規模と敷地利用の方針
(1)公共建築物における木材利用促進の意義
現況の敷地面積は 5,373 ㎡であるが、現況法面が 586 ㎡と法面付近等の利用不可部分が 414 ㎡
本市の森林面積は、行政面積の 85%を占め、森林は、四万十川をはじめとする自然環境の保
で、有効敷地面積は 5,373-(586+414)=4,373 ㎡となる。
全、土地の保全、水源のかん養、公衆の保健、地球温暖化の防止などの多面的機能の発揮を通
面積的には平屋建ても可能なように考えられるが、敷地形状はT字型で高低差も大きく、平家
じて、市民生活や市民経済の安定に重要な役割を担っている。
建ては困難である。
しかしながら、人工林資源が利用可能な段階を迎えつつある一方で、これら資源の利用は低
よって、建物規模は2階建て程度とし、建物の配置・動線計画に合わせ可能な限り敷地高低差
調で、木材価格の低迷などから林業生産活動は停滞し、森林の有する多面的な機能の低下が懸
の解消を図る。
念されている。
このような状況下、市産材の需要を拡大することで林業の再生を図り、適正な森林整備と中
山間地域をはじめとする地域の活性化につなげていくことが急務となっており、戦後まもなく、
森林資源の枯渇への懸念や不燃化の徹底等から木材の利用を抑制してきた公共建築物について、
積極的な木材の利用に取り組まなければならない。
(2)公共建築物における木材利用促進の方針
「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成 22 年法律第 36 号)
」の制定を
受け、国・県では、木材の利用促進に向けた基本方針がまとめられている。
また、本市も、四万十町、中土佐町、三原村と協定を締結し、
「四万十ヒノキブランド化推進
協議会」を設立するなど、地元産木材の利用促進に積極的に取り組んでいる。
【国の基本方針(木造化の基準)】
●建築基準法その他の法令に基づく基準で耐火建築物とすること等が求められない低層の
公共建築物について、積極的に木造化を促進
●木造と非木造の混構造とすることが、耐火性や構造強度の確保などから有利な場合は、
その採用も積極的に検討しながら木造化を促進
●災害応急対応活動に必要な施設(災害時の活動拠点施設等)は対象外
●木造化が困難な場合でも内装等の木質化を促進
【県の基本方針(木造化の基準)】
●県有施設は原則木造
・庁 舎:3 階建て以下、延床面積 3,000 ㎡以下は木造
・図書館:2 階建て以下は木造(2,000 ㎡以上は準耐火建築物)
●特殊な目的を有する建築物は対象外
●防災保安上の理由等から木造が困難な場合は対象外(木造と他工法の混構造を検討)
●内外装等は木質化を積極的に推進
【四万十ヒノキブランド化推進協議会(木造化の方針)
】
●低層の公共建築物は、原則木造化(可能な限り四万十ヒノキを使用)
●非木造建築物の場合は、内外装においても四万十ヒノキの使用を調整
18
(3)建築基準法の検討
ィ.鉄骨造(S造)
①建築物の規模による規制
木材に比べ強度があり、鉄筋コンクリートに比べ軽いことから長い梁に利用できるため、
総合支所及び消防分署の庁舎は、建築基準法第 27 条に規定する特殊建築物に該当しないた
大規模、大空間の構造用材として適しており、超高層建築物のほとんどは、この鉄骨造で
め、低層(高さが 13m以下または軒の高さが 9m以下)で延床面積が 3,000 ㎡以下であれば
ある。
防火のための構造規制はない。
また、素材の品質を一定に保ちやすく、均一化が容易なためコストダウンが図れる。
建築物の主要構造部の要件
高さ・軒高
階
数
4 階建て以上
反面、火に弱い性質を持っており、500℃程度で変質し急激に強度が失われるため、表面
構造規制
に耐火被覆を施すことで耐火性を確保している。
耐火建築物
ゥ.鉄筋コンクリート造(RC造)
13m・9m超
3 階建て
準耐火建築物
1 階建て
(1 時間準耐火の措置等または
30 分の加熱に耐える措置等)
-
がりを生じる性質を持ち、コンクリートは、高い圧縮強度を持つ一方で、曲げや引張強度の面
(1 時間準耐火の措置等)
2 階建て
13m・9m以下
鉄は、粘り強さ(靱性)と引張強度を持つ一方で、一定限度を超えると座屈やたわみ等の曲
準耐火建築物
でもろい性質を持っている。この互いの強みを活かし、弱点を補い合う構造が鉄筋コンクリー
トで、耐久性、耐火性にも優れている。
また、平面や断面形状の設計自由度が高く意匠性の高い建物を造りやすく、他の素材と
比較して遮音性も良く、クラックが生じない限りは高い水密性も期待できる。
構造規制なし
延床面積
3,000 ㎡以下
反面、自重が重いため、地盤の耐力次第では杭工事が必要になるなど、建設コストは高
い。
3,000 ㎡超
また、素地のままでは冷たいイメージであるため、仕上材を施す場合が多い。
よって、今回の建設規模(2 階建て、延床面積 2,000 ㎡程度)であれば防火のための構造
ェ.混構造
規制はなく、木造での建築は可能。
混構造とは、木・鉄筋コンクリート・鉄骨の各構造の長所を生かし、組み合わせた構造
ただし、図書館(室)と車庫は特殊建築物に該当し、図書館(室)は 2,000 ㎡超、車庫は
のこと。
150 ㎡超の場合、準耐火建築物としなければならない。
組み合わせも多様で、階別、主要構造(柱・梁・壁・床・屋根)別に、建物の用途で使い
よって、消防分署車庫は準耐火建築物としなければならないが、木造で準耐火建築物とす
分けすることにより、純木造とする場合に比較して耐火性能や構造強度を確保することが
ることも可能。
可能で、建築設計の自由度等の面から有利な場合もある。
反面、ジョイント部分の設計や構造計算が複雑になる。
(4)構造の比較
①構造(素材)の特徴
ァ.木造
木材は、日本に自生し古くから建物に使用され、調湿性に優れリラックス効果があるな
ど、人に自然の安らぎを与え、柔らかで温もりを感じさせる日本人の感覚に適した材料で
加工に必要なエネルギーも低く環境にやさしい省エネ素材である。
反面、自然素材のため安定した品質確保(含水率など)が難しく、他の素材に比べ火災
に弱く、強度、耐久性が低く腐り易い。
また、構造用材の大半は“住宅”向けで、公共建築物に必要な長尺・大断面の構造用材
の調達は容易でなく、これを補うため集成材が開発されているが、歴史も浅く技術的ノウ
ハウ(接着品質など)と供給体制が十分確立されているとは言えない。
そのため、広い空間を必要とする建物の構造用材としては、他の素材と比べ劣り、これ
まで公共建築物では、主に構造補助材、仕上材として使用されてきた。
19
②構造の性能比較
混 構 造
項
目
空間構成
構造強度
(耐震性、
土石流対策等)
耐久性
(維持管理コスト)
耐火性
遮音性
木
造
△
△
△
△
△
S
造
◎
○
○
○
○
R C 造
1 階:SRC 造
2 階:S 造
屋根:木 造
◎
◎
◎
◎
◎
説
明
◎
S造、RC造の柱や梁は、部材そのものを大きくすることができ、強度もあるので、柱の間隔を長くし広い空間を造りやすい。
木造では、一般的な木の部材が 120mm 角のため 2~3mごとに柱が必要。ただし、S造、RC造と同じ大きさの部材(集成材等)を使えば広い空間
を造ることも可能。
○
地震力、土石流(土圧、水圧)は水平力で、最低必要な強さは建築基準法で構造耐力として定められており、その安全性を構造計算により確認す
ることとされている。よって、建築基準法に適合していれば、どの構造であっても耐震性に問題はない。
ただし、土石流の場合は、水平力(土圧、水圧)に衝撃力が加わり大きな力が作用するため、木造、S造は、土石流のような衝撃を伴う力には弱
いと言われており、柱、梁の断面を自由に造れるRC造が特段に優れる。
○
大蔵省令による事務所用建築物の法定耐用年数は、木造 24 年、S造 38 年、RC造 50 年。
木造は、風雨にさらされると老朽化が進行しやすく、一般的に 5~10 年ごとに保護塗材の塗装が必要で維持管理コストは高い。
S造は、鉄部を外気にさらすと腐食し木造より耐久性がなくなるため、塗装の剥がれや錆がある場合はすぐに部分補修が必要。
RC造は、表面の劣化は遅く一般的に 20~30 年程度は補修の必要はないが、クラックには注意を払わなければならない。
ただし、構造が違っても外装の仕上材が同じであれば、維持管理コストに大きな差はない。
○
木造は、木材の表面が炭化し内部まで燃えるには長時間かかるため、短時間で建物全体が倒壊するケースは少ないが、燃えやすい素材であり火災
の危険性は高い。
S造は、鉄骨が火に弱い性質(500℃程度で変質し急激に強度を失う)を持ち、消化に手間取ると一気に倒壊する危険性があるため表面に耐
火被覆を施すことで、耐火性を確保している。
耐火性は、RC造が一番強い。
○
天井・床・壁の遮音性は、使用材料の単位面積あたりの重量(面密度)が重いほど、構造が強いほどアップするため、木造、S造、RC造の順で
遮音性は高くなる。
天井・床・壁の厚さ、仕様(二重張り、吸音材など)により遮音性を高めることは可能であるが、一般的に木造は、振動などのドシドシ歩く音を
防ぐことは難しい。
居住性
◎
○
○
○
木造は、人に自然の安らぎを与え、柔らかで温もりを感じさせるとともに、断熱性と調湿性に優れ室内の温湿度を一定に保つ機能を持つた
め、高温多湿の日本の気候風土に適している。
S造、RC造は、木材等の仕上材を施さなければ、素地のままでは冷たいイメージである。また、コンクリートは杉の 12 倍、鉄は杉の 483
倍も熱を伝えやすいため、特にS造は柱・梁で熱を伝えやすく結露の原因になりやすい。
RC造は、気密性が高いので保温性には優れる。
建築コスト
△
◎
△
○
ある程度の大空間が必要な公共建築物を木造で建築する場合、長尺・大断面の材や集成材を使用するため、RC造に比べ建築コストは高くなる。
1,500 ㎡で 2 階建ての建物を同平面で構造別建設コストを比較した例では、木造がRC増より 10%程度高くなるとの試算結果となっている。
S造は、材質が均一で寸法精度が高く工期を含めコストダウンが図れるため、建築コストは最も安い。
△
工期は、基礎工事を含め施工が複雑になるRC造の工期が最も長く、混構造も施工が複雑となることから工期は長くなる。
木造は、一般的な工期は短いが、長尺・大断面の材や集成材を必要とする公共建築物では、木材の調達期間を含めた工期を考慮しなければならず、
工期に影響を与える可能性がある。
○
国土交通省「建設資材・労働力需要実態調査(平成 21 年度原単位)
」によると、構造別の床面積あたり木材使用量は、木造 0.201 ㎥/㎡、S造 0.006
㎥/㎡、RC造が 0.016 ㎥/㎡で、このデータを用いた 2,000 ㎡の建物での木材使用量の推計値は、木造 402 ㎥、S造 12 ㎥、RC造 32 ㎥となる。
あくまで各種建築物の全国抽出調査の値であるため、長尺・大断面の材や集成材を必要とする公共建築物では、推計値以上の使用量になり、混構
造、木質化の仕様によりS造、RC造での使用量も推計値を大きく上回ることが考えられる。
工期
木材使用量
○
◎
◎
△
△
△
注)◎優れる ○普通 △劣る(各構造の性能を相対比較したもの)
想定建築規模
庁舎棟:2 階建て(主要用途:事務所、床面積:1,200~1,300 ㎡、軒高:7.8m、階高:1 階 4.0 メートル、2 階 3.8m)
消防棟:2 階建て(主要用途:1 階車庫、2 階事務所、床面積:700~800 ㎡、軒高:8.8m、階高:1 階 5.0 メートル、2 階 3.8m)
20
(5)新庁舎建設における木造の課題
(6)まとめ
①災害への対応(構造強度)
四万十川の景観と調和した建物とし、四万十ヒノキを中心とした地元産木材を最大限に活か
総合支所、四万十消防署西土佐分署(消防団川崎分団屯所を含む。
)とも、防災拠点として
すため、新庁舎を木造で建設する意義は大きい。
の機能を有し、災害時には、災害応急・復旧活動の拠点施設として、また、地域住民の避難
しかしながら、前述のとおり、新庁舎には防災拠点施設、災害応急・復旧活動の拠点施設、
場所としての機能を維持する必要がある。
地域住民の避難場所としての機能が求められる中、計画地が土石流警戒区域等に位置している
建設位置は、山を切土してできた強固な岩盤で、地震に対する安全性は高く、洪水時の浸
ことから、構造強度や耐火性などの性能を十分満たした構造とする必要があり、構造強度上主
水の危険性も極めて低い敷地であるが、一方で、
「急傾斜地崩壊危険区域」、「土砂災害警戒
要な部分は木造、S造では不十分でRC造とすることが望ましい。
区域」、「土石流危険渓流」の指定地域であり、建設にあたり敷地を切り下げる計画でもあ
また、木材の調達においても、構造強度上主要な部分に必要となる長尺・大断面の地元産木
ることから、土砂災害(がけ崩れ、土石流)への対策に十分留意しなければならない。
材を短期間で大量に確保することは困難であり、地元産木材を活用した集成材を採用すること
「土砂災害“特別”警戒区域」ではないため、建築物の構造規制はないものの、特別警戒
も期間、コスト面を含め困難である。
区域では、崩壊土砂の衝撃を受ける高さ以下にある構造強度上主要な部分は、原則RC造と
一方、本市は豊富な森林資源を有しており、構造強度上主要でない部分の柱材や板材につい
することとされている。
ては、四万十ヒノキブランド化推進協議会と連携しながら市内事業者との調整を図り、供給体
よって、擁壁の整備によるがけ崩れ対策と併せ、土石流対策として庁舎 2 階部分まで構造
制を整備することで、品質の確保と市内での調達は比較的容易である。よって、構造補助材と
強度を強固なものとしておく必要があり、木造、S造では、構造強度の点で不利である。
して、市内事業者を通じた地元産木材を積極的に活用することで、地元産木材の需要の拡大に
寄与することは可能である。
②火災への対応(耐火性)
以上のことから、新庁舎の構造強度上主要な部分はRC造を採用せざるを得ず、床組み、間
新庁舎は、防火のための構造規制は原則ないものの、前述のとおり、災害活動の拠点施設
柱、下地材、内外装の仕上材、設備・備品等へ地元産木材による「木質化」を可能な限り図る
となるため耐火性に配慮しておく必要がある。
ことで、地元産木材の利用促進に取り組むこととする。
特に、消防分署は災害時の速やかな消化・救急・救助という特殊な目的を有する施設であ
るとともに、車庫部分は準耐火構造としなければならない。
木造での準耐火構造は技術的に可能であるが、やはり耐火性は不利であり、庁舎棟を木造、
消防棟を木造以外とすることも構造計画の上で困難である。
③木材の調達
新庁舎の想定建築規模は、柱の間隔が 6~7.5m、階高が 3.8~5.0mで、広い空間を要する
とともに、躯体への荷重も一般住宅と比べ数倍重くなるため、一般の流通材(120 ㎜角、4m
程度)では対応できない。
長尺・大断面の地元産木材を短期間で大量に確保することは非常に困難で、特に木材の乾
燥は、建物の品質、強度に大きな影響を及ぼすため、十分な乾燥期間を経た良質な乾燥材の
確保が必要で、建設スケジュールへの影響も懸念される。
構造用材として集成材を採用することも考えられるが、県内には構造用集成材を製造でき
る工場が無く、地元産木材の活用を前提とすれば、県外(奈良県など)へ搬送し製造しても
らうしかなく、期間、コストともかかる。
よって、新庁舎を木造とするうえで求められる構造用材の調達は、現状の品質確保と供給
体制では困難である。
21
3.建物の配置と動線
(1)建物の配置と動線
①検討1
A案
南向きL字型
B案
平行コの字型
土石流危険渓流
土石流危険渓流
庁舎棟
駐車場
消
防
棟
駐車場
消
防
棟
北向きL字型
D案
T字型
土石流危険渓流
土石流危険渓流
Exp.J
地下あり
駐車場
C案
駐車場
庁
舎
棟
駐車場
庁舎棟
駐車場
駐車場
駐車場
消
防
棟
消
防
棟
Exp.J
庁舎棟
構造強度
(耐震性、
土石流対策等)
土石流危険渓流をまたぐため、土石流の建物への影響は大きい。
土石流危険渓流をまたぐため、土石流の建物への影響は大きい。
地震の揺れや土石流の圧力や衝撃による大きな水平力が作用し
地震の揺れや土石流の圧力や衝撃による大きな水平力が作用した
た場合、庁舎棟と消防棟の接合部にねじれが生じるため、Exp.J 場合、庁舎棟と消防棟の接合部にねじれが生じるため、Exp.J(エキ
(エキスパンションジョイント)を設置し、別々の建物としない スパンションジョイント)を設置し、別々の建物としないと構造強
と構造強度の点で不利。
度の点で不利。
土石流危険渓流を避けた配置のため、土石流の建物への影響は小
さい。
地震の揺れや土石流の圧力や衝撃による大きな水平力が作用した
場合のねじれは少なく、負担する柱数も多くなり力が分散されるた
め、構造強度の点で有利。
土石流危険渓流を避けた配置のため、土石流の建物への影響は小
さい。
建物の一体性があり、地震の揺れや土石流の圧力や衝撃による大
きな水平力に対して負担する柱数が多くなり力が分散されるため、
構造強度の点で最も有利。
敷地利用
庁舎棟を一段高い位置に配置し、地下に車両通路と駐車場を整
備。消防棟を前に配置し、庁舎棟と 2 階で接合するもので、建築
面積は大きい。
また、水路を建物下(車両通路)に敷設する必要あり。
消防棟を前に配置し、庁舎棟と一体的に整備するもので、建築面
積がコンパクトになり、敷地利用としては有利。
また、水路は建物を避けて敷設できる。
消防棟を前に配置し、庁舎棟と一体的に整備するもので、建築面
積がコンパクトになり、敷地利用としては有利。
また、水路は建物を避けて敷設できる。
景
観
居住性
動
線
建設コスト
庁舎棟を前に配置。消防棟を後ろに平行して配置し、2 階で接合
するもので、建築面積は大きい。
また、水路を建物下(車両通路)に敷設する必要あり。
庁舎棟が進入路の正面に見えるため存在感がある。
庁舎棟玄関も正面に見えるため、利用者にわかりやすい。
庁舎棟が前面で進入路から見えやすいため、存在感がある。
庁舎棟が進入路から見えにくいため、存在感は薄くなる。
庁舎棟が進入路から見えにくいため、存在感は薄くなる。
庁舎棟が南側に長いため、日照は最も良い。
庁舎棟が東側に長いが、消防棟に隠れる部分の日照は悪い。
庁舎棟が北側に長いため、日照は悪い。
庁舎棟が北側にも伸び、消防棟に隠れる部分が多いため、日照は
悪い。
車両は庁舎棟を周回し、来客は地下からエレベーターで進入。
南側駐車場(主に来客用)
、北側駐車場(主に公用車用)とも庁舎
棟・消防棟の正面玄関から遠い。
南側駐車場(主に来客用)
、北側駐車場(主に公用車用)への動線
が一番長く、庁舎棟・消防棟の正面玄関から遠い。
消防車両が庁舎棟玄関前を通過し、消防車両と一般車両の動線が
重なる部分も長い。
南側駐車場(主に来客用)への動線がスムーズで、庁舎棟・消防
棟の正面玄関から近い。
南側駐車場(主に来客用)への動線がスムーズで、庁舎棟・消防棟
の正面玄関から近い。
庁舎棟を一段高い位置に配置するため、切土が少なくし擁壁の
高さも抑えることで造成費を低減できる。
庁舎棟に地下を整備することや、柱を 2 箇所並立する Exp.J を
設置することから建築費は高くなる。
庁舎棟と消防棟の敷地を同レベルに配置するため、切土が多く擁
庁舎棟と消防棟の敷地を同レベルに配置するため、切土が多く擁
壁も高くなり、A案と比較して造成費は高い。
壁も高くなり、A案と比較して造成費は高い。
柱を 2 箇所並立する Exp.J を設置することから建築費は高くなる。
建物が一体的でコンパクトで、地震の揺れや土石流の水平力に対
し負担する柱数が多くなり力も分散されるため、柱や梁の断面を小
さくすることができるため、建築費を低減できる。
庁舎棟と消防棟の敷地を同レベルに配置するため、切土が多く擁
壁も高くなり、A案と比較して造成費は高い。
建物が一体的でコンパクトで、地震の揺れや土石流の水平力に対
し負担する柱数が多くなり力も分散されるため、柱や梁の断面を小
さくすることができるため、建築費を低減できる。
※ 注)Exp.J(エキスパンションジョイント)
:L字型の建物などで、地震時などにおける異なった振動やねじれから建物を守るため、2つの棟にすき間を持たせ建築し、アルミやステンレスなどの金属カバーを取り付けて建物同士を接合した部分のこと。
建物の配置と動線について、A案からD案の4案を検討した結果、消防棟は、緊急出動に際しての初動体制に支障をきたさないよう進入口に近い前面に配置すべきことからB案は望ましくなく、構造強度、敷地利用、
動線、建設コストの点で最も有利なD案(T字型)と景観、居住性の点で最も有利なA案(南向きL字型)を基本に、さらに検討を進めることとした。
なお、A案は、庁舎棟を一段高い位置に配置する案であるが、消防棟と同一の平面とした方が利便性が高いと考えられることから、段差を解消する案で検討することとした。
22
②検討2
E案
南向きL字型
F案
庁舎棟
敷地利用
駐車台数
27 台
(公用車含む)16 台
27 台
70 台
土石流危険渓流をまたぐため、土石流の建物への影響は大きい。
建物配置がL字型のため、地震の揺れや土石流の圧力や衝撃による大きな水
平力が作用した場合、庁舎棟と消防棟の接合部にねじれが生じるため、Exp.J
(エキスパンションジョイント)を設置し、別々の建物としないと構造強度の
点で不利。
同
庁舎棟と消防棟の接合部 1 階に車両の通行可能な空間を設けるため、T字型
庁舎棟と消防棟の接合部1階に空間を設けず、E案と比較して建築面積は小さいが、車両動線
と比較して建築面積は大きくなる。
が複雑で長いため、敷地利用の点で不利。
また、南西と北西の谷からの水路は、建物を避けて敷設する必要があるため、
また、南西と北西の谷からの水路は、建物を避けて敷設する必要があるため、湾曲し延長も長
湾曲し延長も長くなる。
くなる。
同
左
居住性
庁舎棟が南側に長いため、日照はT字型と比較して良い。
庁舎棟が山側に近接するため、圧迫感は強い。
同
左
動
線
建設コスト
駐車台数
26 台
(公用車含む)16 台
20 台
6台
68 台
左
庁舎棟が進入路の正面に見えるため存在感がある。
庁舎棟玄関も正面に見えるため、利用者にわかりやすい。
北側の駐車場(主に公用車、職員用)への動線はT字型と比較して短い。
柱を 2 箇所並立する Exp.J を設置するか、Exp.J を設置せず分離しない場合
でも、接合部の大きな水平力に対して、柱と梁を大きくするか鉄筋を多く入れ、
耐力を高める必要がある。
また、山側の擁壁が高く、水路延長も長くなることなどで、T字型と比較し
て造成費、建築費は高くなる。
T字型
庁舎棟
消
防
棟
観
景
G案
庁舎棟
消
防
棟
構造強度
(耐震性、
土石流対策等)
南向きL字型
消
防
棟
駐車台数
33 台
(公用車含む)23 台
16 台
72 台
土石流危険渓流を避けた配置のため、土石流の建物への影響は小さい。
建物がT字型で一体性があり、生じるねじれが小さいため Exp.J を設置する必要がなく、地震
の揺れや土石流の圧力や衝撃による大きな水平力に対して負担する柱数が多くなり力が分散さ
れるため、構造強度の点で有利。
建物配置が一体的でコンパクトなため、敷地利用の点で有利。
また、南西と北西の谷からの水路を避けた建物配置のため、直線的に最短で敷設できる。
庁舎棟が進入路から見えにくいため、存在感は薄くなる。
北側の駐車場(主に公用車、職員用)への動線が複雑で長い。
同
左
庁舎棟が北側に長く、消防棟に隠れる部分が多いため、日照はL字型と比較して悪い。
庁舎棟と山側との間に進入路(斜路)を設置することで、L字型と比較して圧迫感は軽減され
る。
北側の駐車場(主に公用車、職員用)への動線はシンプルであるが、E案と比較して長い。
建物が一体的でコンパクトで、地震の揺れや土石流の水平力に対し負担する柱数が多くなり力
も分散されるため、柱や梁の断面を小さくすることができる。
進入路(斜路)を山側に設置することで、山側の擁壁の高さを抑えることができる。
水路の延長も最短などにより、L字型と比較して造成費、建築費は軽減できる。
E案からG案の3案を検討した結果、構造強度や敷地利用、建設コストの点ではG案が有利と考えられるが、構造強度は、構造強度上主要な部分をRC造とすることで十分確保できると考えられることから、庁舎と
しての存在感があり、利用者(市民)にわかりやすい景観、日照などの居住性の点で有利な南向きL字型案が適していると評価し、車両動線がシンプルなE案を基本に、基本設計において詳細を検討していくこととし
た。
23
(2)前面道路及び進入路
●写真 1-3 市道江川﨑奈路線
現在、総合支所庁舎を利用する一般車両は、市道江川﨑奈路線からの進入となっているが、
幅員が 4m(道路側溝除く)程度しかなく、車両のすれ違いに苦慮する状況にある。
また、進入路は、入口付近が狭隘で、横断勾配も 17%程度の急勾配となっている。
そのため、高齢者や障害者はもちろんのこと、市民にとって利用しやすい進入道路・進入路
となっておらず、消防分署庁舎の合築にあたり、救急・消防車両の出入りに支障をきたす恐れ
もある。
よって、進入路の横断勾配を緩め、入口付近を拡幅するとともに国道 441 号へのアクセス道
として、進入路部分を含めて新たに市道を整備する。
なお、市道の構造規格は第 3 種第 4 級程度とする。
●写真 1-1 総合支所庁舎から市道江川﨑奈路線方向を望む
ふ
る
さ
と
市
●写真 1-2 市道江川﨑奈路線から総合支所庁舎方向を望む
市
道
総合支所庁舎
消防分署庁舎
市道整備
国
道
441
号
24
4.景観・環境計画の方針
ゥ.大会議室は、間仕切り機能を備え、中会議室としての利用も可能にするとともに、災害
(1)建物等の木質化
時の避難所として利用可能な形態とする。
床組み、間柱、下地材、内外装の仕上材、設備・備品等へ地元産木材による「木質化」を可
ェ.小会議室のうち、少なくとも 1 室は、1 階に確保する。
能な限り図り、地域資源を活かした低酸素・循環型のまちづくりに寄与する。
③図書分館
(2)建物のデザイン
ァ.図書分館は 1 階に配置する。
周辺環境と調和したデザインとし、地域性や芸術性にも配慮する。
ィ.職員がサービスしやすい施設とするため、事務フロアから目が届きやすい配置とするが、
①屋根
市民が気軽に出入りできるよう、事務フロアの動線とできるだけ区分する。
勾配屋根とし、マンセル値が 10 未満で、かつ、周辺の景観と調和した色彩を基調とする。
②外壁
④市民交流コーナー
壁面は、マンセル値が 10 未満で、かつ、周辺の景観と調和した色彩を基調とする。
ァ.市民交流コーナー(情報コーナーを含む。)は、1 階玄関ロビーに併設する。
(3)擁壁
(2)消防分署庁舎棟
擁壁を新設する部分は、法面の安定確保の上で支障のない範囲で緑化を図る。
①階層区分
ァ.1 階部分には、受付室を設置するとともに、消防車両車庫とあわせて車両後方に緊急出
(4)太陽光発電
動に必要な諸室を配置する。
自然エネルギーの有効活用による省エネルギー対策として、屋上に太陽光発電の設置を検
ィ.2 階部分には、事務及び待機に必要な諸室(事務室、待機室、小会議室、トレーニング
討する。
室、食堂、仮眠室、浴室など)を配置する。
(5)屋内照明
②会議室
省エネルギー対策として、屋内照明は、LEDによる照明の設置を検討する。
ァ.消防分署が占用できる小会議室 1 室(20 ㎡程度)を 2 階に確保し、大会議室については、
総合支所庁舎棟と共用する。
(6)屋外照明
屋外照明は、光源に昆虫の誘引特性の小さいものを使用し、自然エネルギーの有効活用に
③生活部門
よる省エネルギー対策として、太陽光発電やLEDによる照明の設置を検討する。
ァ.仮眠室、浴室等の職員の生活部門は、来客等の動線からできるだけ離れた位置に配置す
る。
5.機能配置の方針
ィ.女性消防職員の配置を見据えた生活部門の配置に留意する。
(1)総合支所庁舎棟
ゥ.食堂は、災害避難所開設時における炊き出し等に利用できるよう、設備、配置に留意す
①事務フロア
る。
ァ.総合支所長と住民課、地域企画課、産業建設課、会計課分室、林業課分室を 1 階部分に
集約して配置し、できるだけ 1 フロアにまとめる。
④消防団川﨑分団屯所
ィ.総合支所長と地域企画課、住民課と会計課分室、産業建設課と林業課分室は、まとまり
ァ.消防車両車庫は、消防分署の車庫と併設するが、区画を分ける。
のある配置とし、住民窓口機能を有する住民課・会計課分室は、庁舎棟玄関に近い位置
ィ.消防団員の待機室は、消防分署の小会議室等を併用することとし、消防団の消防車両車
に配置する。
庫からの動線に留意する。
②会議室
ァ.少なくとも大会議室 1 室(150 ㎡程度)と小会議室 2 室(各 30~40 ㎡程度)を確保する。
ィ.大会議室は、2 階部分の南側に配置する。
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