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特別レポート Qちゃんがケニアへ-平和と自然環境保全のために

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特別レポート Qちゃんがケニアへ-平和と自然環境保全のために
に優しい車に関心を寄せていた。
マ ラ ソ ン に は、
J ICAケ ニ ア 事 務
る。そうしているうちに足からばい菌
くされている子どもたちがたくさんい
ず、はだしでの生活を余議な
界には、貧しさ故に靴が買え
ッサージのデモンストレーション、生
ースが設営され、隊員によるあん摩マ
た。また、当日は敷地内にJ ICAブ
は約2600人にも及び、大盛況だっ
海外協力隊員らもエントリー。参加者
所の職員や現地スタッフのほか、青年
が入り、破傷風などの感染症にかかっ
計向上のため地方の女性と製作した民
芸品などの販売も行われ、参加者の注
称して、月1回、地域の子どもたちと
ともに、国立公園内のごみ拾いを行っ
ている。
﹁国立公園を訪れる子どもた
ちに、自然環境を守る大切さを伝えた
いんです﹂
︵高橋隊員︶
。
流れ込んでくる。さらに、近年の気候
ル湖には、地域の生活排水や廃棄物が
で水が流れ出る川が通っていないナク
地域で最も海抜が低く、かつ閉鎖湖
ちんと理解して
うな状況で、き
います。そのよ
でごみを捨てて
帰れば親が平気
訴えても、家に
マラソン金メダリストの高橋尚子さん
問題は深刻だ。
湖周辺のごみ拾いをしていると、
す
ぐに両手がペットボトルや紙くずで
いっぱいに。
「大自然に恵まれてい
るにもかかわらず、環境保全の重要
性を理解している人がまだまだ少な
いんです」
と高橋隊員
(左)
しかし高橋隊員は、活動の中で感じ
る難しさをこう
打ち明ける。
﹁子 ど も た ち
にどんなに自然
Q ちゃん率いる﹁スマイル アフリカ
変動の影響により水量の減少も激し
もらうことはと
環境の大切さを
の呼び掛けにより始まったこのプロジ
プロジェクト﹂による子どもたちへの
く、水位低下のため、そこに生息する
ても難しい。ま
目を集めていた。
ェクトは、子どもたちが安全に元気い
靴 の 寄 贈 は、ケ ニ ア で 活 動 中 の 青 年
フラミンゴが近隣諸国の湖に移動して
クト﹂
。シドニーオリンピック・女子
っぱい走り回れるよう〝夢〟を与える
しまうなど、地域が直面する自然環境
〝命〟を守ることも目指している。
一緒に地元の小学校を訪れ、子どもた
足元を見ると、
ほとんどがボロボロのサン
ダル。中にははだしの子もいる。ガラスの
破片が落ちていることも多く、生傷が絶え
ない
ソ ト コ ト サ フ ァ リ マ ラ ソ ン は、ケ
ンが開かれた。
ビ で 第2 回 ソ ト コ ト サ フ ァ リ マ ラ ソ
イベントとして、ケニアの首都ナイロ
す﹂
。
にも、自分の夢を追いかけてほしいで
この靴を履いて、ケニアの子どもたち
かい思いを届けることができました。
で靴を寄贈してくれた子どもたちの温
ちに直接、運動靴を手渡した。
﹁日本
い様子だったQ ちゃん。
当たりにして、ショックを隠しきれな
の脅威にさらされる湖〟の実情を目の
ル、靴などが河川から流入し、
〝汚染
しい湖〟の風景と、ビンやペットボト
ピンク色のフラミンゴが連なる〝美
らないのです﹂
少しずつ意識の変化を促さなければな
い﹄という基本的なことから教えて、
ードライバーの篠塚建次郎さんがソー
フロントランナーを務めたほか、ラリ
大会では、昨年に引き続きQ ちゃんが
る高橋美穂さん︵環境教育︶を訪問。
WS︶ナクル湖国立公園で活動してい
る隊員の一人、
ケニア野生生物公社︵K
さらに、プロジェクトに協力してい
年後、
〝美しいナクル湖〟の姿は残
集まっている。本当に悲しいことです。
て、そのすぐそばには、フラミンゴが
﹁どこを見てもごみが散らばってい
に笑顔を届けるため、二人はこれから
然環境を守るため、そして子どもたち
だ始まったばかり。ケニアの豊かな自
フラミンゴの一大生息地として知ら
員が所属するKWSの教育センターで
こうした状況を改善すべく、高橋隊
は、
﹁クリーンアップキャンペーン﹂と
っているのでしょうか﹂
車にソーラーカーが使用されたのは、
いるナクル湖と湖に流入するマカリア
れ、ラムサール条約 ※にも指定されて
川を視察した。
アフリカ大陸初の試み。太陽光パネル
10
が張られた車体の周りにはたくさんの
人が集まり、
〝排気ガスゼロ〟の環境
※正式名称は﹁ 特に水鳥の生息地として国際的に重
要な湿地に関する条約 ﹂。条約締約国は、国内で1カ
所 以 上の湿 地 を 登 録し、
ワイズユース
︵ 賢 明な利 用 ︶
を推 進しながら、持 続 的な利 用を促し、水 辺の生 態
系の保全に取り組む。
も走り続けていく。
ラーカーで先導した。マラソンの先導
マイル アフリカ プロジェクト﹂もま
高橋隊員の活動も、
Q ちゃんの﹁ス
ニア国内で環境保全の必要性を訴える
23
ことを目的に毎年5月に開催。今回の
や川に捨てな
ずは﹃ごみを街
海外協力隊などを通じて行われてい
に贈る﹁スマイル アフリカ プロジェ
キベラスラム内の小学校で、
日本から持ってきた運動靴を手渡すQちゃん。
まだ十分きれいな日本の靴に、子どもたちも興奮気味
る。今回の訪問中、
Q ちゃんは隊員と
∼平和と自然環境保全のために一緒に走ろう∼
だけでなく、足から感染する病気から
運動靴を集めて、途上国の子どもたち
日本国内でサイズが合わなくなった
てしまうことも少なくない。
世
はだしで暮らす
途上国の子どもたちへ
文=三田村 麻季子(JICA広報室)
写真=久野 真一(JICA広報室)
5月 日、このプロジェクトの一大
美しい湖と
フラミンゴを守るため
Qちゃんがケニアへ
ナクル湖国立公園を訪れた子どもたちと、元気に駆
け出すQちゃん。ケニアは世界有数のマラソン大国。
ここから未来のランナーが生まれるかもしれない
特別レポート
ケニア
ナイロビ
24
August 2010
August 2010
25
ケニアの子どもたちに運動靴を寄贈する
「スマイル アフリカ プロジェクト」。
このプロジェクトの旗振り役となっている、
Qちゃんこと高橋尚子さんは、
今年5月、
日本の人々の思いが詰まった運動靴を届けるため、再びケニアの地を踏んだ。
ソトコト サファリマラソンで、参加者に励ましの
エールを贈りながら走るQちゃん。
「マラソンを通
じて、
ケニアと日本人学校の子どもたちの間に
も小さな国際交流が生まれています」
ナクル湖
ナクル湖に浮かぶフラミングの群れを眺
めるQちゃん。
この美しい鳥たちのすみか
が、
自然環境汚染により奪われつつある
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