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奈良女子大学附属図書館報 No.5 2000 題字 奈良
奈良女子大学附属図書館報 No.5 2000 目 次 附属図書館―1999 年…………………………・2 受贈図書・資料(1999 年分)紹介………………・7 学生が大切にされていると思う瞬間…………3 画像原文データベースからのお知らせ……8∼9 電子図書館化の足音は聞こえるのですが……4 CD-ROM 等データベース一覧………………・10 「遊び」としての読書……………………………5 図書館からのお知らせ…………………………11 私の文献探索法…………………………………6 平成 12 年度図書館開館時間予定表…………12 題字 奈良女子大学長 丹羽 雅子 附属図書館−1999年 柳 私は、古代日本語が近代日本語に大きく転換する 室町時代の日本語を凝視することによって、日本語 田 征 司 さて、本学附属図書館が 1999 年度に新たに取り組 んで来たことの一端をここに報告する。 がどのような原理でどのような方向に変化して来、 小規模である我々の図書館は不断に蔵書の充実に また、これから変化して行こうとしているのかを動 努めなくてはならないと恩う。本年度から全学予算 的に説明することを仕事としています。その基礎的 委員会が図書館特別経費を配分してくれることとな な作業として、中世の口語資料で、未開拓の、抄物 ったので、図書館運営委員会と選書委員会では使途 と呼ばれる資料を求めて、学生時代から全国各地の について審議し、外国雑誌・CD−ROM の他に新たに 寺社・文庫・図書館を殆どくまなく訪ねてきました。 二つのことに力を入れることとした。一つは参考図 しかし、それが、新資料の発掘を目的としながら、 書の充実・更新で、もう一つは学生の皆さんからの 実は、それ以上に私にとって大きな意味を持ってい 購入希望図書に対する迅速な対応である。希望票を るということに、いつの頃からか気付くことになり 作るなど態勢を整えたが、可否の判断をはじめ手探 ました。私にとって、図書館を訪ねることは、惰性 りの部分が多く、改善する必要がある。また、蔵書 に流されている日常から自分を取り戻す有力な手だ を充実させるためにもう一つ寄贈図書の受け入れに ての一つとなっており、困難を抱えているような時 努めている。その実現には学長の御尽力が大きかった。 には一層、私の足は知らず知らず図書館に向かって 他方、電子化時代にあって紙資料とともに電子資 いました。日本語史を説明する原理の着想の芽も訪 料の重要性が増大している。これに対応するために、 書中に得たものが少なくありません。図書館へのア 事務組織の改組を行い、電子情報係を新設した。また、 プローチをたどり、古書の香りの中に身を置いて、 情報処理センターの援助によってパソコンの増設を やがて机上に出された資料と対面すると、清澄感と 行い、待ち時間少なくインターネットによって情報 高揚感とが絢い交ぜになった気分になります。成功 を収集できるようにした。これによって二階閲覧室 も失敗も含め、人類の叡智を集積する図書館は、本来、 は大きく様変わりしていくはずで、全国の大学図書 そこに身を置くだけで、人に活力を与えるのだと思 館の中でも誇れるほど静かに読書し、思索できる雰 います。作家の出久根達郎氏が、どこかの大学の図 囲気を維持して来た閲覧室をどのように経営してい 書館で「図書館浴」という言葉を使っていましたが、 くか共に見守っていかなくてはならない。前年度に それに近いのかと思います。学生の皆さんは図書館 引き続いて画像データベースの公開にも力を入れ、 浴をなさっているでしょうか。 校史関係資料の継続のほかに、岡潔博士の自筆研究 最近、天理大学附属天理図書館で「宋元版―中国 資料の寄贈を受けたのを機にその公開をはじめた。 の出版ルネッサンス-」 、早稲田大学図書館で「風陵 奈良地域関連資料の準備も進んでいる。いずれも質 文庫展―清末・民国初頭庶民文芸の世界-」 、京都大 の高いものと自負している。 学附属図書館で「お伽草子―物語の玉手箱―」を見 なお、先に宋元版展等のことに触れたが、これら、 ました。これらの図書館の奥の深さを言うのは今更 他大学等の図書館主催の展示会のポスターを館内に ですが、風陵展会場の感想ノートに記された早稲田 掲示することとしたので、活用していただきたい。 の一学生の感想が私の記憶に残りました。 こんな資料を収集研究していた先生がいたとは 知らなかった。改めて早稲田はすごいと思った。 最後に図書館に対する皆様の日頃の御指導に感謝 の意を表するとともに一層の御支援をお願いしたい。 (附属図書館長 文学部教授) 学生が大切にされていると思う瞬間 佐 野 敏 行 学部・大学院と学生生活を何年も送っていると、 からの留学生に、日本の大学図書館の使い方を教え 自分が通っている大学はこんなものだと思いこんで、 てあげたことをそれほど大きなことではないと思っ その大学がそこに通う学生たちを大切にしているか ていたのに、数年前、フィリピン大学でその人が演 どうかなど考えることなどほとんどなかったような 習の中で学生に、私のことを、日本の大学の図書館 気が私にはする。それでも漠然とした印象として持 利用システムについて教えてくれた恩人のように紹 つようになっていたのは、大学は学生を大切にして 介してくれて、日本とフィリピンの大学の図書館の いないのではないかという印象であった。一人一人 使い方も随分異なっていたのではと思いをはせたの の先生は皆よい先生たちであり、キャンパスにある であった。 施設や設備も学生のために備えられているのが多く やはり、学生生活と図書館をめぐるいろいろなこ あることがわかっていても、そうした印象はうっす とは、各自それぞれに密接に結び付いているのだ。 らではあっても消えることのないものである。図書 フィリピンの友人が日本での留学生時代を私がきっ 館も立派に備えられているし、学生控え室もあれば、 かけで恩い出すときに図書館のことだったように、 気軽に立ち寄れる食堂や売店もキャンパスの中に備 私が、学生を大切にしていると思った瞬間は、太平 えられていてもである。こうした気がするのも、私 洋を越えた向かい側にある半導体の谷の中核をなす の個人的な感覚的なもので、学生が大切にされてい 大学での大学院学生生活に余裕がでてきたときに、 ると思うような機会に私が恵まれなかっただけのこ 学部学生用の図書館の束隣に数年前に建てられた大 とかもしれない。しかし、そうはいっても、私には 学院生用の図書館の中の各コーナーに置かれた 1 人 少なくとも一度、学生が大切にされていると思った 用のソファーに座り込んで、宿題の論文を読んでい 瞬間がある。そのときの経験は、図書館という場で るときであった。そのイスはパステルカラーで、し のなんの変哲もない日常的な学生生活の一シーンで っとりとした館内の雰囲気に溶け込んでいて、快適 のことであった。 な座り心地で、読んでいる論文の中に夢中になれるし、 大学の図書館は地元の人に開放されたものでなけ 数時間後に静かに「夢」の申に入れるし、それがで ればならない、といった主旨のレポートを学部 2 回 きるので、再び目を見開いて勉強に集中できたので 生の頃の教職科目の一つとしてとっていた教育学の ある。1981 年当時、図書検索がカードから端末へと 授業に提出し、その担当の先生と、おそらく最終の 移行中で、その便利さに驚いたこと、授業で配布さ 授業の後だっただろうか、そのレポートの関連で話 れるシラバスに記されている宿題用の文献も、図書 をしにいった。先生は帰り支度の手を止めて、レポ 館で 2 時問交代で貸し出されて予習ができるように ートの主旨は大学の関係するところに伝えたいと言 なっていることなどの驚きよりも、1 人用のソファ われ、そして、自分の専門を追究することがこうし ーに座ると学生として心豊かになれることに、自分 た問題への貢献になると言われた。 を含めて学生が大切にされていると思えた瞬間が結 この二つ目の点は、しばらく私に考えるきっかけ び付いていたのである。モノ、色、形、空間、時間、 を与えてくれて、その後、図書館は、とりあえず、 サーヴィスの中身とシステム、そして大学を支える人々 自分の専門を追究するための場所とみなしていくこ の精神が、うまく結び付くと、学生の心を豊かにす とをしてきたようである。日本の大学の図書利用の る大学、そしてその中核の一つである図書館が生ま 仕方を身につけて、それにうまく自分を適応させて れるのではと思わざるをえない。 いたようである。院生時代のあるとき、フィリピン (生活環境学部助教授) 電子図書館化の足音は聞こえるのですが… 城 『図書館だより』の原稿執筆依頼を受け取り、頭を 抱え込んでしまいました。何故なら、私はおそらく 本学で最も図書館を利用しない教官だからです。図 書館運営委員にもかかわらず、図書館を利用しない のは何事かと怒られてしまうかもしれませんが、何 故かしら今まで図書館とは関係のない人生を歩んで まいりました。 それでは、お前は研究はしていないのか?と聞か れると、そうではありません。私の研究分野は計算 機のシステムに関することです。ハードウェアなら びにシステム・ソフトウェアの分野では、10 年前の 論文というのはもはや役に立たない場合が非常に多 いのです。論文を投稿するときに、参考文献として 10 年前の論文しか引用していなければ、 『最新の関連研 究を調べていない』としてリジェクトされることさ えあります。例えば 10 年前のパソコンと現在のパソ コンを比べてみると、計算速度が一桁違っています。 計算機が誕生してから約半世紀が経過しましたが、 この間に計算速度は数億倍になっているのです。他 の例を挙げますと、現在ならば誰でも知っているイ ンターネットという言葉自体、10 年前ではごく一部 の研究者にしか知られていませんでした。このよう な背景があるため、計算機に関する新しい技術が国 際会議で発表され、学術論文として出版され、専門 書に紹介されるようになってから図書として図書館 に現れるのを待っていたのでは、最先端の研究がで きないのです。 そのため、最新の研究動向を調査するには、私は もっぱらインターネット検索を利用しています。計 算機に関する研究が一番進んでいる米国では、国際 会議や国際ワークショップなどで発表された論文は、 プロシーディングスとして出版されると同時に、著 者の所属する大学や研究機関のサイトで、テクニカル・ レポートとしても入手可能になります。この場合、 版権の問題があって、プロシーディングスに掲載さ れる論文と同じものではないのですが、普通はより 詳しい内容のものが、ポストスクリブト・ファイル の形でダウンロード可能となります。私が愛用して いる検索エンジンは、米国の有力な数百のコンピュ ータ・サイエンスに関する研究機関の過去 10 年∼15 年のテクニカル・レポート(全部でどれくらいにな 和 貴 るか数えたことはありませんが、おそらく数万件か ら十数万件)の、題名、著者名、アブストラクトに 対してキーワード検索が可能であり、それにヒット した文献のアドレスが数秒から数分で手に入ります。 このアドレスからテクニカル・レポートを数分で、 しかも無料でダウンロードできるのです。 本学の図書館でもホームページから蔵書検索はで きますが、自分の欲しい論文をそのままダウンロー ドするところまでは電子化が進んでいません。これ は本学の図書館に限ったことではなく、我が国は図 書の電子化が米国に比べて遅れているのは疑いもな い事実なのです。おそらく、ここ数年の間に電子化 は急速に加速度的に進められるものと思います。 電子ジャーナルも最近増えてきました。既存のジ ャーナルを電子化するには、特に日本語の論文の場合、 OCR を使ってのテキスト化が完全に自動では困難で あるため、コストが高くなってしまいますが、新し いジャーナルを作る場合、これほど安価な方法はな いのです。 一方、図書館の役目として、学生に参考書を含め た専門書を提供するというものもありますから、近 い将来全てが電子化されるという可能性は極めて少 ないでしょう。全てが電子化されるためには、図書 をテキスト形式だけではなく、画像形式でも手軽に 閲覧できなければならないのですが、画像データは テキストデータに対して、数百倍のデータ量を必要 とするため、これを保管するためのストレッジは膨 大な量が求められます。例えば、本図書館には約 50 万 冊の図書があるそうですが、これを全て画像データ として保管する場合、1 冊当たり 500 ぺ一ジと仮定 して、1 ぺージあたり 200KB、従って全てを保管す るには、50TB(50 テラ・バイト=フロッピーディ スク 500 万枚分、CDROM でも 1 万枚分)のストレッ ジが必要となり、これは未だ実現困難なデータ量です。 さらに既存図書を電子化する際の著作権等の間題も ありますので、図書館の完全電子化は、まだまだ越 えるべきハードルが多く残されていると言えるので しょう。電子図書館化の足音は聞こえているのです が…… (附属図書館運営委員 理学部教授) 「遊び」としての読書 井 現在、わたしが園長を務めている文学部附属幼稚 園には「絵本の部屋」という、いわば幼稚園の図書 室がある。絵本の部屋で園児たちは好きな絵本を読 んだり(みたり)、先生に読んでもらったりしている。 また、最近、園児の母親たちの協力を得て、絵本の 貸し出しを始めたが、この試みも大変好評を博して いる。とにかく園児たちは絵本が大好きだ。 他方、大学生はどうかというと、毎年秋の読書週 間に新聞紙上で発表されるアンケート調査などによ れば、読書量や読書時間は減少し続けており、本学 の学生も例外ではないだろう。 もちろん、読書においてはたくさん本を読めばよ いというものではない。わたしの経験に照らしても、 若いころはすべてに背伸びしがちで、話題になって いる本やいわゆる古典とされる本は読むために読ん だというのが実状である。そのような読み方をした 本については、ほとんど内容を覚えていない。 また、本にも読むべき適性年齢というものがある。 わたしは国語の先生の影響もあって中学 2 年生のこ ろに夏目漱石の『門』という作品を読んだが、まっ たく理解できなかった。その時、その先生から、将 来結婚して、しかも数年経たないと解らないだろう、 それでも解らないかもしれないと言われたことを今 でも覚えている。しかし、正直に言うと、以来、現 在まで『門』を読んでいない。わたしのなかでは、 それは「すでに読んだ本」と分類されてしまってい るからである。 このように読書については、ただ本を読めばよい というものではなく、このほかにも「批判的に読む こと」の重要性などの問題もある。 要するに、読書で最も大事なことは質であるから、 読書の量や時問の減少についてはさほど心配するこ ともないかもしれない。むしろ気になるのは、大学 生を含む若者たちが本そのものを好きでなくなって いるかもしれないことである。 最近、本が好きでない学生が増えたのではないか と感じることがしばしばある。なかには、本が嫌い だから附属図書館にまだ入ったことがないという文 学部 2 回生や、本は汚いから図書館や古本屋は嫌い という学生もいた。 本が好きでなくなった原因にはいろいろあるだろ 上 裕 正 うが、残念ながら教育に最大の原因があることは間 違いないだろう。 ここでその仕組みを詳論する余裕はないが、例え ばわたしの専門の歴史で言えば、子供たちが学んで いるのは「歴史」ではなく「試験される歴史」だと いうことである。「試験される歴史」の参考書として 教師に紹介された本は、「試験」という回路を経た途端、 魅力のない存在と化してしまう。 小説家は白分の作品が大学入試で国語間題として 出題されることを望まない。出題されると、その作 品はもう読まれなくなるか、まともには読まれなく なるか、どちらかになるからだという。(誤解のない ように言っておくと、わたしは決して試験廃止論者 ではない) ところで、本が好きでなくなった学生もおそらく 幼稚園児の年頃には絵本が大好きだったにちがいない。 なぜなら、附属幼稚園におけるすべての活動がそう であるように、絵本をめぐる活動も「遊び」=主体 的活動だからである。 「遊び」こそは教育の原点である。その原点が失わ れた時、読書は魅力を失い、本も嫌われる。「試験」 を不可避的に伴う教育の現場において、どうしたら「遊 び」としての読書を確保することができるか。園庭 で元気に遊ぶ園児たちの将来に思いを馳せながら考 え込む昨今である。 (文学部教授) 絵本を楽しむ附属幼稚園の園児たち 私の文献探索法 中 道 實 私はいま、昭和・平成期上級官僚の役割創出・変 や掲載誌・抄録までの情報である。本体は、当の図 容の解明を通して、日本官僚制の戦後役割を検証す 書館所蔵ならば、書籍貸し出しや論文複写で入手し、 るという、私の専攻分野に類例の乏しい研究テーマ 他の図書館所蔵ならば、図書館を通じて、貸し出し・ を追究している。いきおい他分野に手探りで文献を 複写を依頼する。これは、期待した文献であるか否 求めざるを得ず、文献情報の手がかりがあると、他 かは手にしてみないと分からない難点がある。 大学の付属図書館や国公立図書館へよくでかける。 さらに厄介なのは、図書館によって検索システム 探索中に、なじみのない、しかし重要らしい用語 の操作法が異なることである。訪れた図書館で、限 に出会うことがある。そんな時には、まず図書館が られた時間内で、初めて対面する検索システムを使 備える平凡社の『世界大百科事典』や TBS ブリタニ いこなすのは難しい。東京出張の折りに、滞在を一 カの『国際百科事典・電子ブック』といった百科事 日延ばして、ある外国語論文を探すために、国会図 典で、該当項目や「総索引」を牽引して、その用語 書館に行ったときの経験である。全文情報データベ についての知識はもとより、関連する文献や附記さ ースを利用できる検索室があったので入室し、まず れたその分野の専門家としての執筆者名を通して、 専門用語満載のシステム操作マニュアルと苦闘した後、 文献を探す重要な手がかりを得る。複数の事典にあ とにかく始めてみよう、ということで実行しはじめ たると、これらの情報をより豊富にし、新たな発見 たが、途中で手順を誤ったらしくトラブル発生である。 やヒントをみつけることもある。 係員に尋ねるのも気後れし、再度マニュアルを読み いまは、どの図書館にも、コンピュータ情報検索 システムが整っていて、利用者はそのサービスを受 返し、何とか自力で切り抜けた時は、帰路につくべ き時刻になっていた。 けることができる。しかも、その図書館から、イン 私がいま行っている文献探索法は、当のテーマに ターネットを通じて、学術情報センターが提供する 関連のある論文の掲載が多い主要な雑誌を一定期間 NACSIS-Webcat も利用できる。図書館によっては、 にわたり「総当たり武」に探索することからはじめ、 「季刊書誌ナビ」(メデイアリサーチ・センター)な つぎにそれらに注記されている引用・参考文献を「イ ど市販の書籍・雑誌データベース CD-ROM を購入 モヅル式」にたどっていく方法である。最近、開架 しているところもあり、邦語論文であれば、国会図 式を採用する図書館が増えている。また、書庫で蔵 書館作成の「雑誌記事索引」や、これを CD-ROM 書物色を許可する図書館もある。そこで、できるだ 化した、「NDL CD−ROM Line 雑誌記事索引」が利 け余裕時間をもって図書館に出かけ、目指す文献だ 用に供されていることが多い。外国語論文であれば、 けでなく、カード目録や端末で蔵書を検索し、開架 NACSIS−IR(日本学術情報センター提供)のデータ 式の閲覧室で、あるいは書庫で蔵書を物色し、照準 ベースを利用し、あるいは、当の図書館で利用可能 文献を起点に、「総当たり式」 「イモヅル式」の探索 ならば、DIALOG(Knight Ridder Techno1ogie 社 法を繰り返している。現今、各大学の付属図書館では、 提供)などの民間情報検索サービスが提供するデー セルフ・サービス方式の「一般市民等への開放」化 タベースを利用する。DIALOG は、ほとんどの分野 に取り組みつつあるが、私のような文献探索法者に にわたる世界最大規模のデータベースである。 ただ、このような情報検索法で分かるのは、書誌 はありがたい流れである。 (人間文化研究科教授) 附属図書館が 1999 年に寄贈を受けた図書・資料を紹介する。紙幅の都合でここには大型の寄贈に限らざるを 得ない。ここに紹介することのできなかった多くの寄贈図書を含めて、寄贈して下さった方々に心から謝意を 表する。寄贈いただいた図書・資料は大切に保存し、研究・教育に活用して行きたい。今後とも御寄贈下さる ようお願いしたい。また、寄贈に関する情報を図書館または図書館運営委員にお寄せいただきたい。なお、こ れらの図書・資料は目下整理中で、閲覧が可能になるのにしばらく時間がかかるものもあることをお断りする とともに、整理に一層の御協力・御支援をお願いする。 [田中琢氏からの寄贈図書](3 月) 奈良国立文化財研究所長田中琢氏が、3 月に同研究所を定年退官されるのを機に、本学に寄贈された図書 約 13000 冊。考古学・古代史学関係書を中心とする。朝日新聞 1999 年 4 月 12 日「単眼複眼」欄参照。整理 完了後は、文学部古代文化地域学講座に保管されることになっている。 [故岡潔博士自筆研究資料](6 月) 本学元名誉教授で、文化勲章受章著故岡潔博士(1901−78)の白筆原稿等一式を、御家族の鯨岡すがね・ 岡煕哉・松原さおり 3 氏から寄贈されたもの。九州大学名誉教授西野利雄・京都大学名誉教授武内章・奈良 女子大学名誉教授藤田収 3 氏と本学理学部数学教室の教官及び図書館員でプロジェクトを組織し、整理に当 たるとともに、インターネットにより画像発信をはじめている。 [生田文男氏からの寄贈図書](7 月) 『THE 0XF0RD LIBRARY 0F W0RLD’S GREAT B00KS』50 冊。生田氏は本学在学生の祖父。 [大宮義雄・晴子夫妻からの寄贈図書](8 月) 御夫妻の父大宮武麿氏(1870-1945)が収集した図書・資料。同氏は、奈良県下神社社掌、奈良帝室博物館・ 正倉院宝庫掛に勤めた。江戸時代の版本・写本等約 200 点 1000 冊。漢籍は、経史部和刻本、子部江戸期邦人 注釈書、岸和田藩校講習館講師・東洋大学教授を勤めた土屋弘(鳳洲) (1841-1926)の漢詩集等。国書は国 文学注釈書・神道書等。中院道村(1588-1653)書写の『寂恵法師歌語』 (大谷俊太助教授教示)は特に貴重。 [清水歌氏からの寄贈図書](10 月) 京都教育大学教授として家政学を講ぜられた同大学名誉教 授清水歌氏から家政学関係図書約 650 冊の寄贈を受けた。 氏は、奈良女子高等師範学校の卒業で、本学併任講師として 「家庭管理学実習」 「家庭科教育」を担当(1952−64)して 下さったこともある。 (柳田征司) 受入整理中の受贈図書 昨年度より画像で綴る奈良女子大学の九十年に、会議録など 59 点を公開していますが、今年度、更に 49 点を 追加しました。 そのうちの特徴的なものを、かいつまんで説明します。その実際は、是非、ホームページでご覧下さい。日 本の教育史、特に女子教育史、そして日本近代史に興味のある方には必見! Ⅰ会議議事録・学校長の講話等の資料、国・文部省との関係資料 本学開校当時の教官会議録(明治 42 年) 、新制大学へ移行する前夜の教官会議録(昭和 22 年)、学校長訓話概 要綴(昭和 12 年∼昭和 24 年)など。 教官会議録では、女子高等師範学校としての、教育発展を求めての種々の議論や、戦後の大学昇格に際して の苦悩等を知ることができる。 学校長訓話概要綴は、太平洋戦争開戦から敗戦の時期を含み、また新制大学として認可された時期等も含んで、 それぞれの時代状況をよく映し出した校長訓話が生々しい。 Ⅱ本科の教育に関する諸史料 学級日誌、修学旅行記録、実験・観察記録など このコレクションは、生徒白身が書き残した大量の「学級日誌」「修学旅行記録」 等を含んでいる。「学級日誌」には、たとえば、修身の授業や、遠足の記録など、 また、校長・来賓の訓話や、試験問題などまで記されている。5 月 1 日の開校記 念式典に、校長式辞で、「女子教育の変遷」、「当校設立の由来」の述べられたこ となどが記されている。 「修学旅行記」は、各部(各科)の専門性を生かしたユニークな記録を残して おり、旅行中の見聞が克明に記されている。また、旅行先の選定にも、明治年間 は京都など、昭和 15 年前後は満州・朝鮮と、時代の推移変化が反映されていて興 味深い。 実験・観察記録も、実験・観察内容にとどまらず、旅行の道程、そこでの生活 のすべてが詳細に生き生きと描かれている。 ←京都・大原女のスケッチ(明治 44 年京都修学旅行記録より) Ⅲ本科以外の特別な制度組織に関する資料 「特設予科」 「戦没者寡婦教員養成所」など 特設予科は、外国人及び当時の植民地人(とくに中国の女性たち)に進学の機会を与えたもの。 戦没者寡婦教員養成所は、昭和 15 年前後から全国各地の師範学校等につくられた。 Ⅳ母の講座(成人婦人講座) 大正 14 年頃から文部省と大阪府・大阪市が共同で行った成人婦人講座(後に「母の講座」 )に関して、奈良 女子高等師範学校が中心的な役割を担ったことがよく分かる。 母の講座の趣旨として、母性の自覚、 「母の品性」の向上、母性の発達と堅実なる家庭の樹立などをあげて いるが、聴講者のアンケートも実施する等、講座内容の改善についても努力し、また、各種婦人会への働きか けなど、積極的な取り組みの様子が窺える。 Ⅴ大学創設関連史料 「国立奈良女子大学創設について上申」など 8 点 奈良女子大学附属図書館は、 元本学名誉教授・故岡潔博士の 自筆遣稿集の寄贈を受けたこと を機に、オリジナルの収録・整 備のほか、多変数解析函数の研 究を中心とする岡潔博士の研究 資料データベースを作成し、岡 岡 潔文庫として、その一部をイン 潔文庫 ターネット上に公開することに なりました。 このプロジェクトは 3 年計画で、 「岡潔博士自筆研究資料データベ ース」を整備し、そのうちから 順次、岡潔文庫 岡潔文庫としてこのホー 岡潔文庫 ムページ上で公開していく予定 です。 数学の「多変数関数論」の分野を確立したと言 これらの公表論文作成の基になった、膨大な量の われる公表論文の全部を、Gif 画像だけでなく、 研究メモ類、日記なども、可能な限り、公開してい Tex,PDP ファイル形式でも公開します。 く予定です。 すでに公開しているもので、主なものは以下の通 りです。 詳細は、ホームページをご覧下さい。 ◎ 岡潔博士の紹介 ◎ 公表論文 13 篇 「Sur les fonctions analytiques de plusieurs variables」 原文である仏文のほか、日本語訳、解説文、それ ぞれの Tex,PDF ファイル ◎ 未公表の論文原稿多数 ◎ 年譜 ◎ 数学探究と密接に関連した、哲学的・文学的 な韻文やエッセイ ◎ 高木貞治先生への手紙 5 篇 ◎ 日 記 公表論文Ⅰ 第 1 ページの自筆原稿 CD-ROM等データベース一覧 データベース名 内 容 ERIC 教育学・心理学関連の記事を収録。ネットワークで利用できます Current Contents -Life Sciences- 医学・生物科学分野の雑誌目次情報 収録期間 1966-1999 1999 CD-ROM名 世界大百科事典 日本大百科全書+国語大辞典 CD-HIASK (朝日新聞記事情 戦後50年朝日新聞見出しデー タベース CD毎日新聞 国立国会図書館蔵書目録 明治 CD翻訳図書目録 総記・人 文・社会編、科学・技術・産業 Nipponalia CD-ROM (京都外国 語大学) AIKEN-CD(日本総合愛育研究所) 内藤文庫目録 (関西大学) 皇学館論叢 (皇学館大学) 群書類従 A Window on Korea 環境白書 平成10年版 経済白書 平成9年版 岩波電子日本総合年表 内 容 平凡社世界大百科事典の全文を収録 収録期間 朝日新聞の全文情報 朝日新聞縮刷版の記事索引 1988-1997 1945-1995 毎日新聞の全文情報 国立国会図書館所蔵図書目録 1945−1992年の間に国内で刊行された翻訳図書情報 1991-1997 地図で見る 「日本地名索引」 ゼンリン電子地図帳 模範六法 CD-ROM 版 日本統計年鑑 平成9年 世界国勢図会 98/99 日本国勢図会 98/99 民力 89/97 教育統計データCD-ROM 人文科学とコンピュータ DATABASE Vol.3 理科年表CD-ROM 99 岩波生物学辞典 第4版 最新医学大辞典 第2版 25万語医学用語辞典 科学技術文献速報 世界の都市と建築シリーズ 1 アメリカ 2 イタリア 日本の伝統建築 JIS総目録 1999.1月版 シネマデータベース アメリカ 電子広辞苑 第5版 国定読本用語総覧 現代用語の基礎知識 1998 CD WORD Kana Classic 新編国歌大観 Shakespeare on Disk 1945-1992 京都外国語大学附属図書館所蔵 「ニッポナリア・コレク ション」 の目録 日本総合愛育研究所紀要の全文情報 関西大学所蔵内藤文庫の目録 「皇学館論叢」 第1巻∼第30巻を収録 底本=続群書類従完成会版 「群書類従」 全30巻を収録 韓国の紹介CD-ROM 岩波書店刊「近代日本総合年表第3版」・「日本文化総合年 表」 をまとめて収録 全52万件の地図・地名データを収録 全国道路地図、全国105都市の市街地図を収録 世界の社会・経済情勢をわかりやすくまとめた 「世界国 勢図会」 のCD-ROM版 経済・社会の統計をわかりやすくまとめた 「日本国勢図 会」 のCD-ROM版 1989年版から1997年版までの統計資料集「民力」を収録 学校基本統計データなどを収録 MCD-国立民族学博物館所蔵衣服標本データベース 1970-1999 科学データの宝庫「理科年表」72冊分(大正14年の初版から 平成11年版まで)を収録 1925-1999 科学技術分野の文献情報 都市と建物の画像を収録 東大寺などの建物の画像を収録 1998年12月20日時点での制定・改正公示されたデータを収 映画情報を収録 「国定読本用語総覧」 12巻を収録 「変体仮名」を読むためのCD-ROM 「新編国歌大観」全10巻1162集の歌集本文(約45万 首の和歌を収録)と解題 Shakespeareの全著作を収録 1927-1999 1989-1997 1955-1995 1995 電子ジャーナルについて 電子ジャーナルとは、学術雑誌をコンピュータのデイスプレイ上で見られるように電子化したものです。研 究室などのパソコンからインターネットを通して、雑誌の記事を読むことができます。 電子ジャーナルの利用については、学内のネットワークに接続されたパソコンのみに限定しています。奈良 女子大学附属図書館の Web サイトに「電子ジャーナル」のページ(http://www.nara-wu.ac.jp/jouhou/dj/)があり ます。このぺ一ジの マークの付いている雑誌タイトルをクリックしますと、その雑誌のトップページヘジャ ンプします。後はそのサイトの手順に従うのですが、おおむね、雑誌各号の目次→該当論文の全文表示という ような手順で本文を表示させることになります。 本文のファイル形式は、ほとんどがPDF形式のファイルです。この形式のファイルを表示させるためには Acrobat Reader(ソフトウェア)が必要です。このソフトは Adobe 社(アドビ社)のホームページから無料でダ ウンロードできます。「電子ジャーナル」のぺ一ジにリンクしてあります。 「電子ジャーナル」のぺ一ジには全文表示できるものと、全文表示はできませんが目次 (Contents) や抄録 (Abstracts)を見られる雑誌も掲載してあります。 図書館内に 50 台のパソコンを設置します。 情報処理センターの協力により、インターネット及びメールを使えるパソコンが増設されます。今後は待ち 時間も短縮されます。なお、利用するにあたっては、図書館内ですので静かに利用するよう心がけてください。 【図書館内のパソコン台数及ぴ利用内容】 室 台数 利用内容 マルチメディア室 10台 インターネット、メール、ワード、エクセルなど 第2閲覧室 40台 インターネット、メールに限定 備 考 新機種に更新 新 設 利用者の皆さんからの資料購入希望を募ります 図書館で購入してもらいたい資料がある場合は、カウンターに備え付けの用紙「資料購入リクエスト票」に 必要事項を記入の上、入館ゲート正面のポストに投函して下さい。 できるだけ速やかに資料入手の可否、利用可能時期等の回答をポスト横のボードに掲示します。可能な限り、 皆さんの期待に添えるよう努力したいと考えていますので、多数リクエストのあることを期待しています。 卒業生及び修了生の図書館利用について 学術研究を目的として本図書館の利用を希望する卒業生・修了生の方々に館内閲覧のみ利用可能な「図書館 利用カード」(3 年間有効、更新可)を発行しています。 利用を希望する場合は、卒業・修了を証明できる書類と印鑑をご持参下さい。 平成 12 年度 日 月 火 水 木 金 4月 5月 6月 7月 8月 9月 2 3 4 5 6 7 9 10 11 12 13 14 16 17 18 19 20 21 23 24 25 26 27 28 30 1 2 3 4 5 7 8 9 10 11 12 14 15 16 17 18 19 21 22 23 24 25 26 28 29 30 31 1 2 4 5 6 7 8 9 11 12 13 14 15 16 18 19 20 21 22 23 25 26 27 28 29 30 2 3 4 5 6 7 9 10 11 12 13 14 16 17 18 19 20 21 23 24 25 26 27 28 30 31 1 2 3 4 6 7 8 9 10 11 13 14 15 16 17 18 20 21 22 23 24 25 27 28 29 30 31 1 3 4 5 6 7 8 10 11 12 13 14 15 17 18 19 20 21 22 24 25 26 27 28 29 図書館開館時間予定表 土 1 8 15 22 29 6 13 20 27 3 10 17 24 1 8 15 22 29 5 12 19 26 2 9 16 23 30 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 日 月 火 水 木 金 土 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 は休館 は 10:00∼17:00 は 9:00∼21:00 は 13:00∼17:00 は 9:00∼17:00 ※臨時休館又は開館時間を変更する場合は、 その都度掲示します。 No.5 図 書 館 だ よ り 発行日 平成 12 年 2 月 10 日 奈良女子大学附属図書館館報編集委員会 〒630-8506 奈良市北魚屋西町 Tel 0742(20)3249