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非 EU 加盟国ファンドおよび非 EU 加盟国 ファンド運用者向け AIFMD

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非 EU 加盟国ファンドおよび非 EU 加盟国 ファンド運用者向け AIFMD
クライアントアラート
2015 年 8 月 17 日
非 EU 加盟国ファンドおよび非 EU 加盟国
ファンド運用者向け AIFMD パスポート
2015 年 7 月 30 日、欧州証券市場監督局(ESMA) 1は、欧州議会、理事会および欧州委員会に対して、
EU 域外のオルタナティブ投資ファンド運用者(AIFM)およびオルタナティブ投資ファンド(AIF)への
AIFMD パスポート適用に関する勧告を公表しました。この勧告は予定より 1 週間余り遅れて公表されまし
たが、これは第一レベルの AIFM 指令に基づき考慮しなければならなかった様々な要素を評価する際に、
ESMA が直面した困難の度合いを反映するものと思われます。とりわけ、EU 加盟国内でファンドおよびフ
ァンド運用者が活動を行っている非 EU 加盟毎に、個別の勧告を提供するというアプローチを採用した結
果として、遅れがもたらされたと考えられます。
背景
AIFM 指令2 は、本指令において定義される AIF の AIFM に適用され、現在、EU 加盟国の AIFM に対し
ては、一つの EU 加盟国の承認条件を満たせば、さらなる承認なしに、他の EU 加盟国においても EU 加
盟国の AIF を販売することを認めていま す。目下のところ、 このいわゆる「パスポート」は EU 加盟国の
AIFM のみが利用できます。現状では、非 EU 加盟国の AIFM は、EU 加盟国の私募規制(NPPR)の下で
販売が許される場合のみ、当該 EU 加盟国内で販売活動を行うことが可能で、販売活動を意図している
EU 加盟国各国ごとにその私募規制に基づき個別に申請することが義務付けられています。
しかしながら、AIFM 指令 67 条(1)は、ESMA が 2015 年 7 月 22 日までに欧州議会、理事会および委員
会に対して、非 EU 加盟国の AIFM および非 EU 加盟国の AIF へのパスポートの拡大に関する勧告を提
供する義務を負う旨を定めています。さらに、ESMA は同じスケジュールで、AIFM 指令 32 条および 33
条に基づき、EU 加盟国の AIFM 向けのパスポートの機能に関する意見、ならびに私募規制の機能に関
する意見を発表することになっています。
ESMA から肯定的な勧告と肯定的な意見を受領したときはそれから 3 ヵ月以内に、欧州理事会は委任法
令を採択し、パスポート制度が非 EU 加盟国の AIF および非 EU 加盟国の AIFM に拡大される期日を特
定しなければなりません。
上記の意見および勧告の作成のために、ESMA は AIFM 指令 67 条(2)および 67 条(4)に記載された事
項を調査することを義務付けられており、これには、EU 加盟国の運用者によるパス ポートの利用、これに
伴う問題点、私募規制の機能、投資家保護・市場混乱・競争などに関する課題の有無、およびパス ポート
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ESMA/2015/1236 - http://www.esma.europa.eu/system/files/2015-1236_advice_to_ep-council-com_on_aifmd_passport.pdf.
Directive 2011/61/EU on Alternative Investment Fund Managers(オルタナティブ投資ファンド運用者に関する指令 2011/61/EU).
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制度の拡大適用を妨げる可能性があるシステミックリスクの監視などの要素が含まれま す。
各 EU 加盟国の所轄官庁が四半期ごとの調査を通じて提供する情報に加えて、ESMA では 2014 年 11
月に「証拠提出の要請」を開始し、パスポートの機能、私募規制、非 EU 加盟国へのパスポート拡大の可
能性について、利害関係者(EU および非 EU 加盟国の両方)からの情報収集も行いました。
「証拠提出の要請」で触れられているように、ESMA ではパスポート制度の拡大の可能性について国別評
価の採用を決定しました。これは、パスポートへの需要の相対レベル、EU 加盟国のファンドと運用者に認
められる国内市場へのアクセスのレベル、および AIFM 指令と比較した各国の規制の枠組という観点か
ら、様々な非 EU 加盟国間における相違点の指摘を目指すもので す。
ESMA は、22 の非 EU 加盟国を、EU 域内で AIF を販売する非 EU 加盟国 AIFM または EU 域内で販売
される非 EU 加盟国 AIF の在籍国として特定しています3。ただし、ESMA ではこの 22 ヵ国のうち 6 ヵ国に
ついて、評価のための十分な情報を有するとして、優先して評価を実施することを決めています。評価が
優先して実施されたこれらの非 EU 加盟国とは、米国、ガーンジー、ジャージー、香港、スイス、シンガポー
ルです。これら 6 ヵ国のリストの決定に当たっては、これらの国の業者により私募規制下ですでに実行され
ている活動のレベル、これらの国の所轄官庁について同種の規制権限を担う欧州各国の所轄官庁が有す
る既存の知識と経験、さらにはこれらの国々の利害関係者による、パス ポート拡大の是非を評価するプロ
セスへの取組みなど、多数の要素が考慮されています。
差し当って、これら 6 ヵ国が優先されていますが、ESMA は残る非 EU 加盟国の評価も今後実施すると述
べています。
米国
ESMA では、総合的に見て、米国の規制は分散投資、開示要件、借入能力の制限に関して EU の規定に
匹敵するようであると判断しています。ただし、保管機関に関しては、米国の 1940 年投資会社法(1940
年法)が、特定の条件下において、投資信託会社が自ら自己の保管機関を務めることを認めていま すが、
パスポートの使用を意図する AIFM および AIF にはこれが認められないことを ESMA は指摘しています。
ESMA は AIFM とその投資家間のインセンティブの調整に関して、米国では AIFMD で規定される種類の
報酬制限を適用していないため、米国と EU では報酬に関する規制が著しく異なっているようであると言及
しています。
市場アクセスについては、EU 加盟国のファンド運用者が米国内でファンドを組成し、これを 1940 年法に
基づいて登録することによって、米国内でファンドの販売を行うことが可能であると ESMA は述べていま
す。1940 年法はファンドが米国内の運用者に管理されているか非米国人運用者に管理されているかに関
わらず、全てのファンドに同様の規制基準を課すため、EU 加盟国の運用者は米国ファンドの管理が可能
となります。
しかしながら、ESMA は、米国内で非米国ファンドを販売することは、特に個人投資家向けには一般的に
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特定されている国は、以下のとおり:オーストラリア、バハマ、バーミューダ、ブラジル、英領バージン諸島、カナダ、ケイマン諸島、キュラソ
ー、ガーンジー、香港、マン島、日本、ジャージー、メキシコ、モーリシャス、シンガポール、南アフリカ、韓国、スイス、タイ、米国、米国領バー
ジン諸島。
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極めて困難であり、米国内で非米国ファンドの販売を希望する非米国人の運用者には基本的に 2 つの選
択肢があると指摘します。最初の選択肢は、1940 年法の第 7(d)条を利用するもので、この条項では
SEC(米国証券取引委員会)が当該ファンドに対して 1940 年法の規定を効果的に施行することが法的か
つ実質的に実行可能であると結論づけた場合は、米国外で設立された投資会社が証券を公募することが
できるとしています。ところが、米国と米国以外の国とのビジネス環境および規制環境の違いにより、第 7
(d)条は米国内での非米国ファンドの持分販売に制約を課すことになるため、この選択肢を利用している
非米国ファンドはごく少数です。第二の選択肢は、非米国人運用者は手持ちの非米国ファンド持分につい
て以下を行う場合に限ってこれを販売することができるというもので す。

1940 年法に基づきファンド自体への同法の適用除外を主張する

証券法に基づきファンド持分への届出書提出義務の適用免除を主張する

商品取引法に基づき運用者自体およびファンドへの同法の適用免除を表明または主張する

ファンドへの投資家が居住する各州において、通知書を提出し、手数料を支払うことにより、米国
各州の不正証券取引取締法(「blue sky laws」)に基づくファンドの適格性を獲得する
これら規制上の障害の結果として、ESMA では現在、米国のファンドおよびファンド運用者に対するパスポ
ートの拡大は、米国と EU 間に機会の不均等をもたらす危険性があると見なしています。
このため、ESMA では欧州議会、理事会および委員会への勧告として、米国へのパスポート拡大の是非の
判断において、米国と EU との間の相互の市場アクセスの容易さが主要な基準と考えられる場合には、
EU の AIFM および AIF による市場アクセスの条件が米国当局によって緩和されるまで、米国への拡大に
関する決定を延期すべきであるとしています。
ガーンジ ーとジャージー
ESMA は、これら 2 ヵ国との関係について、投資家保護、競争、市場混乱、およびこれらの国々への
AIFMD パスポート拡大を妨げるシステミックリスクの監視に関して、重大な障害はないと結論づけていま
す。
香港
ESMA は香港の規制枠組に関する詳細情報を受領していないため、香港の枠組と AIFMD との潜在的な
相違点がパスポート拡大の評価にどの程度重要であるかをさらに分析する時間が必要であると述べてい
ます。また、一部の EU 加盟国は香港当局によって「受入れ可能な検査体制」であると見なされています
が、大半はそのように見なされていないため、香港の運用者およびファンドにパス ポートが拡大された場
合、EU と香港間に市場アクセスに関して均等な機会がもたらされるかどうかは明確ではないとも指摘して
います。
スイス
ESMA は、スイス当局からスイス国外の所轄官庁への情報伝達を可能にする関連法修正のためのプロセ
スが現在スイス国内で進行中であると報告しており、これらの修正案が成立すれば、スイスへのパス ポー
ト拡大の可能性を妨げる重大な障害はなくなるものとしています。
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シ ンガポール
ESMA では、シンガポールのシンガポール金融管理庁による現在の監督方法がシステミックリスクの報告
と監督に困難をもたらす可能性があると考えていま す。このた め、投資家保護に関する重大な障害の有無
を評価するための十分な証拠がないとの見方を持っています。また、ESMA は、市場アクセスに関して、シ
ンガポール国外の運用者は認可を受けるためにはシンガポールとの十分な関係を築くことを義務付けられ
ており、これにはシンガポール国内において最低 5 億シンガポールドルの運用資産を有することが含まれ
ると指摘しています。従って、シンガポールのファンドおよび運用者にパスポートを拡大した場合、 これが市
場アクセスへの障害となり、その結果、機会の不均等が生まれるとの懸念を表明しています。こうした理由
から、ESMA では欧州議会、理事会および委員会に対して、シンガポールへのパスポート拡大の可能性に
関する決定を延期するよう勧告しています。
次のステップ
「肯定的な勧告」の提供が欠けていることを受けて、ESMA は欧州委員会に対し、2、3 の非 EU 加盟国に
のみ当初パスポートを拡大することで市場に悪影響が及ぶ可能性を回避するために、ESMA が他の非
EU 加盟国に関する肯定的な勧告を公表するまで、全ての決定を延期するよう提案しています。
次の勧告が公表される時期については、ESMA は今後数カ月以内であるという以外の詳細を提供してい
ません。
一部の非 EU 加盟国は ESMA の「肯定的な勧告」の対象とはならないと思われるため、これら諸国の
AIFM はこれまで通り、様々な EU 加盟国の私募規制を利用して AIF の販売を継続できるか否かという問
題が提起されます。また AIFMD は、パスポート拡大の法律の発効後 3 年以内に、パスポートの存在と並
行して私募規制のシステムの廃止の是非に関するさらなる意見が ESMA から提供されることを想定して
います。パスポートの存在と私募規制の廃止との明確な結び付きからは、EU 加盟国の私募規制が、AIF
および AIFM がパスポートへのアクセスを有しない非 EU 加盟国との関係においては廃止される必要はな
いと ESMA が推奨する可能性を示唆しているように思われます。
執筆者
Jeremy Jennings-Mares
London
+44 (20) 7920 4072
Peter Green
London
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