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資料6 木村委員提出資料(PDF形式:1345KB)
資料6 運動の健康効果に関する医学的な研究状況 2014.2.18 経済産業省 次世代ヘルスケア産業協議会 品質評価WG 関西医科大学健康科学センター 心臓血管病センター 木村 穣 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 予防医学の概念 メタボリックシンドローム 遺伝的素因 後天的因子 食事 運動不足 ストレス アディポサイトカイン・・ 肥 満 インスリン抵抗性 高血圧 糖尿病 高脂血症 動脈硬化 脳梗塞 心筋梗塞 1 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 身体活動度と心疾患に関する疫学研究 報告者 発表年 研究の型 対象 結論 Morris 1966 前向き n=31,000 35~64歳白人男性 職業上の低い身体活動は 冠疾患死を増加 Epstein 1976 前向き n=17,000 中年白人男性 週末の激しい身体活動は 心疾患の発症を予防 Kannel 1986 前向き Leon 1987 前向き Slattery 1989 前向き n=5,000 中年男女 n=12,138 中年男性 n=3,043 白人男性 Rosengren 1997 前向き 中年男性 Tanansescu 2002 前向き n=44,452 医療従事者 低い身体活動は心臓死の リスクを増大 低い身体活動は心臓死の リスクを中等度に増大 運動不足(40kcal/週)の人は 冠疾患死が50%増大 余暇の身体活動は心血管死, ガン死,および全死亡を減少 強度にかかわらず身体活動の増加は 冠動脈疾患の罹患リスクを低下 前向き N=6,213 運動負荷試験を 受けた中高年男性 Myers 2005 Floelicher VF, 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 1週間の身体活動量が1,000kcal 増加するごとに死亡率が20%低下 et al. Exercise and the Heart (5th ed), 2006より引用改変 2 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center メタ解析により得られた適切な運動プログラム の施行により改善する項目Circulation 2010;2601 対象疾患 糖尿病 脂質異常症 高血圧 喫煙 肥満 うつ状態 項目 A1c HDL 血圧値 禁煙 体重 うつ、不安 改善度 0.80% 2.5mg/dl 3.4/2.4mmHg 3~12ヵ月 6.7kg/年 有意な軽減 身体活動量低下に対する介入のエビデンス クラス2 疫学研究では証明されているが質の高い介入研究はない 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 3 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 健康日本21 最終評価 日常生活における歩数 男性 9200歩 目標 女性 8300歩 男性 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 女性 健康日本21最終評価報告書より作成 4 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 健康日本21 最終評価 運動習慣者の割合 目標 女性 35% 男性 39% 男性 女性 運動習慣者:1回30分以上の運動を、週2回以上実施し、1年以上持続している人 健康日本21最終評価報告書より作成 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 5 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 身体活動と心血管疾患発症に関する疫学研究 260万人・年に及ぶ38疫学研究を用いたメタアナリシス Estimated dose-response curve for the relative risk of either CHD or CVD by sample ercentages of fitness and physical activity Paul T. Williams. Med Sci Sports Exerc. 2001 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 6 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 今後の健康介入の対する基本的な考え方 7 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 医療におけるスポーツ・運動の位置づけ 運動はおくすりです 厚生労働省 健康21プロジェクト 米国スポーツ医学会 8 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 健康日本21 1 身体活動・運動における総括 運動習慣者 意識的に運動を心がける人の割合は増加したが、運動習慣者の割合は不変 2 日常生活における歩数の減少 肥満や生活習慣病の危険因子、および高齢者の自立度低下や虚弱の危険因子 最も懸念すべき問題で、早急に重点的な対策を実施する必要 3 社会支援の改善 運動や身体活動の重要性を理解するが、行動に移せない人に対するアプローチ が必要 個人の環境や地域・職場における社会支援の改善など 健康日本21最終評価報告書より作成 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 9 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 米国心臓病学会、スポーツ医学会による 身体活動に関する推奨事項 2007年改訂版の骨子 中強度の有酸素運動を1日最低30分週5日、もしくは 高強度の有酸素運動を1日最低20分、週3日間行う。 中強度または高強度運動は、日常生活活動(ゴミだし や家事など)に加えて行う。 筋力と持久力を維持・増加させるため、少なくとも週2回、大 筋群を使用する運動(筋力トレーニング)も推奨される。 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 10 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 日本心臓リハビリテーション学会からの 運動に関する提言 国の方針 一次予防をどこまで医療としてとらえるか。 健康増進施設、指定運動療法施設と疾病予防 民間における試み 医療施設における一次予防の実態調査 健康運動指導士、健康運動実践指導者の活動状況 日本心臓リハビリテーション学会 予防・公衆衛生分野との連携部会資料 11 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center ヘルスケアシステムの基本設定 セルフモニタリング(self monitoring) 食行動(内容、量、時刻、場所、気分)と体重変化、 万歩計の歩数、目標行動の評価(○~×)を記録す る目標設定(goal setting) 現在の食行動、身体活動レベルと体重変化や心理的変 化との対応関係について「記録すること」を通して 気づいてもらう 個々人の誤った学習のパターンを明確にし、その関係 に気づいてもらうことが重要(悪い点を指摘するた めではない) 12 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 進化するヘルスケアシステム ハイリスクアプローチ = 階層分類に応じた個別指導 集団指導 HP1.0 ↓ ↓ 階層分類 = 個別化 HP2.0 ↓ ↓ 継続支援 HP2.5 個別化⇒階層化? 継続化⇒インセン ティブ(報酬)は? 個人特性に応じた個別指導 → パーソナルアプローチ 実用的新世代ヘルスケアシステム 13 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 遠隔介入のエビデンス n=265名 BMI>25 * * * 無作為割り付け 介入期間;3か月間 P;PHRシステム * (Personal Record) * Health * p < 0.05 * p < 0.05 P ・・・ IT 自動記録システム付き体重計、歩数計(メール支援なし) P+FULL ・・・ ICT相互通信機能付き体重計、歩数計(メール支援) OLD CONT ・・・ 従来型保健指導 平成19年度経済産業省 「先進的保健指導サービス推進プロジェクト」 ・・・ 保健指導を提供しない Tashima et al, Int. J. Obesity, 2012 14 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 予防医学関連領域 ICT PHR (Personal Health Record) Home Health Care(遠隔医療) Exercise Cardiology 循環器病学 スポーツ医学 代謝・栄養学 行動医学 認知行動療法 15 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center 予防医学のnewストラテジー 生活習慣病健診 医療情報 生体情報 情報の共有 時系列評価 運動・栄養 介入状況・評価 遠隔(在宅)・個人評価/介入 (発症してからの早期発見より、) 発症前の早期予防の介入が可能 16 All Rights Reserved © Kansai Medical University Health Science Center