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Vol.2(2012 年 4月 28 日発行)
伝統住宅のススメ 兵 庫 こ う の と り 通 信 2012年5月号 『箱 木 千 年 家 』 (神戸市北区山田町) 発 行 ◆ 一般社団法人 兵 庫 県 古 民 家 再 生 協 会 ◆ 一般社団法人兵庫県古民家再生協会第 4 回例会 平成24年 4 月 28 日(土) 場所:兵庫県県民会館 11 階 1102 号室 時間:18:00~20:00 1. 開会のことば 2. 報告事項 ・池田邸鑑定結果 --- 新堂さん ・兵庫県建築士会古民家再生提案発表会 --- 新堂さん ・京都千年銘木勉強会 --- 鶴谷さん ・京都府古民家再生協会実技講習 --- 吉良さん ・箱木千年家実技研修 ・コラム --- --- 深尾 新堂さん ・その他(地区大会、インストラクター、県内鑑定士へ案内 名刺、ホームページ、グリーン建築推進協議会入会等) 3. 古民家鑑定依頼を増やす方法について--- 4. 閉会のことば ◎ 古民家フォト甲子園について --- -2- 全員で協議 新堂さん 鑑 定 日: 平成 24 年 3 月 13 日 PM2:00~5:00 報告者:新堂 雄美 依頼経緯: 神戸新聞の協会設立記事を読まれて鑑定の依頼。 改修工事を地元工務店で考えてられ、その前に一度第三者の視点で価値が あるのかを診て欲しいとの事でした。 建物概要: 丹波柏原(かいはら)町のメインストリートにある 2 階建ての店舗(古物商)住宅で、南面道路に面した 1 階には古ガラスの入った木製建具があり、 2 階には、昔は真白な漆喰壁に虫籠窓(むしこまど)と 木製欄干のある縁側があり、風情ある町屋であった ことを想像させてくれる建物である。 この建物は「丹波市における城下町の歴史を活した 魅力ある街並みの形成」の地域内でも最も柏原の歴史的景観を象徴したもので、書籍 「関西小さな町、小さな旅」(山と渓谷社)の掲載や映画の背景にも使われたことがある。 鑑定結果: 基礎、屋根、内部の構造材・内装材共にしっかりしたものが使われている。 しかし、2 回の改築・増築が行われており、 15 年ほど前に北側の水廻り部分を増築(改修)し、基礎は在来工法で施工されている。 伝統工法の基礎との取り合い部分(在来の浴室も接していて、猫の住まいもある)で 白蟻の被害が見られる。 50 年程前に、南面、西面外壁の漆喰塗であった外壁を改修し、モルタル塗の上吹付 塗装仕上としている。(漆喰仕上部分を排除し、中塗土の上に新設胴縁を廻し、 モルタル塗の上、吹付塗装仕上としている) その外壁部分が 1 階、2 階、妻面と迫り出す様になっていて、耐震的に荷重の負担が大きく 見える。1 階南面が店舗(店の間)形態であり、南面西面が道路であることから、 壁、柱が少なく、開口部が大きい。1 階店舗部分の柱等は 2 方向への傾きが確認できる。 平成 15 年にお客様が耐震診断を行われ、その評価書にて内容確認すると、 倒壊又は大破壊の危険性がある判定になっている。 他に、浴室の断熱性能の不足なども見られました。依頼主様も景観的に良い建物である 事は理解されていますが、「住む」という事を考えると日常生活の不具合も多いので、 構造耐震の補強も検討し、不具合(ストレス)のない日常生活を過ごす事の出来る 補修計画を行う事で長く住み続けて頂ける事をお勧め致しました。 ▲現役の箱階段 判定評価点数とグラフ -3- 平成24 年3月23日から平成24年3月31日の間で各人が参加した勉強会や古民家鑑定実技講習会 のレポートを掲載します。 ★レポートNO.1 ★レポートNO.2 平成24年3月23【古民家再生提案発表会】 平成24年3月24日【拵える住まい創り勉強会『木を学ぶ』】 ★レポートNO.4 ★レポートNO.3 平成24年3月25日【京都:古民家鑑定実技講習会】 平成24年3月31日【兵庫:古民家鑑定実技研修会】 -4- ★レポートNO.1 報告者:新堂 雄美 【古 民 家 再 生 提 案 発 表 会 & ハ ゚ ネ ル テ ゙ ィ ス カ ッ シ ョ ン 】 兵庫県(県土整備部住宅建築局住宅政策課まち再生企画係)主催の 「古民家再生提案発表会&パネルディスカッション」に参加しました。 日 時 :平成 24 年 3 月 23 日(金)PM1:30~5:00 場 所 :兵庫県不動産会館 7階研修ホール 参 加 者 :深尾理事・新堂 プログラム:第1部 事例 1 事例発表 「古民家再生提案発表会」 旧姫路藩新野辺組大庄屋 ~大歳家~地域歴史景観の継承に向けて 山口晃壽(山口建築設計室) 「古民家再生提案発表会」 ・・・ 庄屋屋敷の規模が大きいため、修繕していく にも 資金的に難しい。 自治体の参加の「継承サポート組織づくり」が重要 情報の発信と収集で、活動をアピールしていく。 事例 2 「パネルディスカッション「持続可能な古民家の再生と活用」 コーディネーター 雲の下のお宿/朝来市旧〈I〉邸の再生提案 松本智啓(松本一級建築士事務所) ・・・ 竹田城の雲海を見るために、車中泊で年間8万人 が来ている。 「雲海の宿」として古民家を再生し、街への経済効 を生み出す。 宿として利用しない時期の地域住民の活用・開 放が重要。 朝来市の「にぎわい創出事業」等、補助金の活用 事例 3 第2部 伝統的町屋の修繕計画アルゴリズム 清水克俊(アトリエ CINQplus一級建築士事務所) ・・・ 建物の良さを所有者に伝える事の重要性 補助金・助成の活用 事例 4 町並み保存につながる地域交流拠点としての古民 家活用 前川豊(前川設計工房一級建築士事務所) ・・・ 価値があるとわかっていても大きすぎて手に 負えない。 地域交流や地域特産品の発信基地として活用 パネリスト 安田丑作 (兵庫県古民家再生検討会議議長) 才本謙二 (有限会社才本建築事務所代表) 金野幸雄 (一般社団法人ノオト代表理事) 真弓憲吾 (神河町地域振興課地域振興係長) ・古民家の再生・・・生活文化の再生→コミュニティーの再生 ・「持続可能」とは・・・古民家ブームではダメ→其々の負担 の 軽減 →防犯上空家は無い方が良い→田舎 での建築工事等仕事の確保 負の財産(空家)を転換し、価値あるもの にする。 制度設計 ・・・ 人と人を結びつける 10年間無償定借で 10 年で精算する ビジネスモデル自治体行政の参加は必須 ・コストダウンは・・・① 残す事(修繕する部分の見極めも重 要) ② 慣れる事(ボランティアの活用、ビジ ネスプラン) 事例 5 交流の場・一時居住活用提案 角田学(角建設計) ・・・ 淡島、島外の方が淡路で一時居住するための スペース (淡路島生活の体験するスペースとして) ③ 補助金の活用(古い建物を残す社会 運動を起こし、文化庁の補助金利用) 事例 6 町屋再生の実施プラン(福住桂家) 森田新治(森田建築) ・・・里山文化創出事業の補助金利用 若匠・・大工、左官、造園の若手職人集団での施工 -5- 以 上 ★レポートNO.2 報告者:鶴谷 充男 <H24.3.24 拵える住まい創り勉強会 『木を学ぶ』 > 場所:株式会社 千本銘木商会 講師:常務取締役 中川典子氏 (11 代目 酢屋当主 酢屋嘉兵衛) 主催:A.S.A.P design Lab. (新堂さんの設計事務所) 新堂さん主催の木の勉強会に行ってまいりました。 享保6年より続く酢屋の材木屋さんにて(創業290年 6代目は坂本龍馬を匿った材木商として有名) 工場内を見学し、実際の銘木を見せて頂きながら貴重なお話を伺いました。 「酢屋は享保6年(1721)に創 業し、「木」一筋に 280 年。 現在の千本銘木は酢屋の 「木」の仕事を継承しておりま す。」 とお話し下さった10代目当主 様の《木》に関わられてこられ た“ぶれない”精神力を強く感 じました。 (加埜) お母様の10代目当主も まだまだお元気です。 色々な所でお話をされているのでとても話上手です・ 伝承のものである木取りの文化は世界に誇れる日本の素晴らし所であるというお話や、酢屋さんも国内の評価よりも世界から の評価が高いという日本の銘木屋さんに対する現状、木材流通の問題など多岐に渡り興味深い話を伺うことが出来ました。 (北山杉丸太) (クイズで使った木の付く漢字) -67 ★レポートNO.3 鶴谷 充男 <H24.3.25 京都古民家再生協会南支部主催 日時:平成24年3月25日(日) 古民家鑑定実技講習に参加して> 場所:京都府木津川市加茂町井平尾岸之上10 兵庫からは深尾代表理事、加埜さん、吉良さん、鶴谷の四名が出席させていただきました。 築100年の厨子二階造り(しつにかいだて)の建物での実地講習。 ※厨子二階とは・・・ 江戸時代には「大名行列を上から見下ろすことは罷りならん」ということから町 家の本二階(総二階)はご法度だったわけです。 町家に住む商人の奢侈(しゃーし)を押さえ込むという目的もあった。 商人は社会に対して、少なくとも見た目は腰を低くすべきだという思想もあっ た。 だから、二階の道路に面する部分は頭がぶつかるような屋根裏風な部屋。 外からは物置風に見えることが要求された(実際は奉公人の寝泊りする部屋と して使用されることが多かった)。このような構成を厨子二階といいます。 を 中 心 に 行 わ れ ま し た 。 ( 講 師 は 岸 野 覚 也 一 級 鑑 定 士 京 都 所 属 ) ★★★ ス ケ ジ ュ ー ル は 午 前 中 座 学 、 午 後 に 作 図 、 実 施 鑑 定 の 1 日 ★★★ 調査シートでのグルーピング(400項目に渡る調査の簡素化)や 調査道具について、鑑定時の注意事項等実地に即した 講習で大変、参考になりました。 実際に古民家鑑定の資格を取られても出来ない方が多いのが 現状のようです。 兵庫でも実技講習のような取り組みが必要と思います。 最後に、講習時のお茶やお土産等 北支部長の御心遣いが 感じられました。 ありがとうございます。 \(=^・^=)/ (用意されたスケジュール表) -7- ★レポートNO.4 報告者:深尾 良孝 《箱木千年家実技講習レポート》 箱木千年家実技講習会 1.日 時 平成24年3月31日 1:30~4:00 2.場 所 箱木千年家 (神戸市北区山田町街原字道南1-4) 3.参加メンバー 箱木千年家 深尾、新堂、寺内、鶴谷、久保、加埜、正置 (計7名) 4.スケジュール 1.スケジュール説明 2.挨拶及び主旨説明 3.箱木千年家の説明 4.鑑定実技についての説明 5.見学及び実技(離れのみ) 6.鑑定チェックについての答え合せ 座会風景 5.感想 民家鑑定は、古民家にお住まいになっている方に 色々とアドバイスさせていただく為の大事な資料となりま す。我々にとって非常に大事な義務です。第1回目なので 兵庫県が誇れる日本最古の古民家箱木千年家で見学と 実技をしました。箱木千年家の説明では第51代当主が わざわざ私達の為に、自ら説明をして下さり感動しまし た。説明の後、各自で鑑定をした後皆で答え合せができ てよかったと思います。 鑑定実技 次回は十分時間をとって座学を含め、会員のメンバー全 員が同じレベルになれるようスキルアップをしたいと思い ます。 次回の鑑定実技講習会は 6月に予定しています。 皆さま、スキルアップのため、是非ご参加ください。 参加者一同 -8- コ ラ ム 新 堂 ド イ ツ 研 修 視 察 報 告 コ ラ ム ドイツの森・自給率 100% 平成24年2月にドイツ・フライブルクへ行きました。 目的は、再生可能エネルギーの活用によるエネルギー政策とその住まい (パッシブ住宅、プラスエナジー住宅)の視察です。 しかし、エネルギー政策だけでなく、第1次産業の林業の生産サイクルが成 立している事が、地球環境保護、世界的なエネルギー問題にも関わってい る事を知りましたので、少しずつ御紹介して行きたいと思います。 視察期間: 平成 24 年 2 月 21 日~27 日 場 所: ドイツ南西部のフライブルクとその近郊 この写真は何かわかりますか?(黄色いキューブ) これは、ドイツの 1ha の森で、1年に成長する木材の量です。 約 1.8m×1.8m×1.8m≒7 ㎥程です。 これをもとに、資産としての木材の量を想定し、1年間に伐採する量を設定 するそうです。ドイツは国土の30%が森林です。 そのうちの98%で木材を生産しています。 これは日本の5倍に相当するものです。 日本の成長量は、本州で約 15 ㎥。 宮崎などでは、20~35 ㎥、ドイツの3倍~5倍です。 なのに、自給率 20%で輸入材に頼っているのは。。。。 この写真は、黒い森(シュバルツバルト)といいます。 東西 70km、南北 170kmに拡がる森です。 どうして「黒い」のか? ドイツでは、針葉樹が少なく、ブナやモミの木が多く、 密集して暗い森、「暗黒の森」から黒い森となった。 これは昔ゲルマン人が森に住み、ローマ人を襲い、 身を守るためもあった。 ドイツの森には、ブナ・オーク・西洋オーク(シデ)・菩提樹 桜・ドイツトウヒ・モミの木・松(海岸沿い)・米松(ダグラスファー) が、植えられています。 森の中にも、トレッキングコースに、子供達への環境学習の 仕掛けがあります。 この写真は、ドイツの森の林道です。 ほぼまっすぐに直線的に造られています。 水が溜らないように、轍を作らないようにに雨水の流れもコントロールされ ています。 大きなトレーラーも入って来れるようになっています。 日本では、まずはこの林道の整備から見直さないと林業の復活は難しいよ うです。 ただ需要を高めないと何も始まらない!と思います。 国産材木材を使いましょう! -9- グリンーン建築推進協議会に入会いたしました。 支部名称: グリンーン建築推進協議会 兵庫県宝塚支部 -10 - 一般社団法人兵庫県古民家再生協会 第 3 回例会 議事録 平成 24 年 3 月 31 日 PM4:30~ 谷上・千年の宴 議事録:新堂 参加者:鶴谷充男・寺内貞男・吉良守史・加埜貴代美・久保修三・正置久・深尾理事長・新堂 オブザーバー:神戸新聞社 : 松本 (敬称略) 1. 2. 開会のことば 報告事項 ・会報について →「兵庫こうのとり通信」例会時に配布 →製作メンバー:深尾、鶴谷、加埜、新堂 →毎月持ち回りで、会員メンバーのコラムを記載 ・全国大会(グリーン建築推進協議会) →鶴谷さんより報告。 →音声データ(配布済)にて拝聴して下さい。 ・全国大会(古材倉庫グループ) →深尾理事より報告 ・神戸新聞の反響(3/5 協会設立記事) →2 件の鑑定依頼、2 件の問い合わせがあった。 →問い合わせについては、①町屋が好きな方で例会参加を紹介。 ②大工さんで、例会参加を紹介。 ・グリーン建築推進協議会入会の件 →兵庫県古民家再生協会(阪神支部)で入会の申請中である。 ・会員募集の件 →12 月~2 月の試験で合格された方へ案内送付。正置さんが入会して頂きました。 →5/29に大阪にて地区大会開催。 全国大会の内容説明。H24 年度のイベント内容説明。 兵庫県 80 名の古民家鑑定士に案内送付予定。会員募集を行う。 →4/20 「伝統資材施工士」講習・試験開催(エルおおさかにて) 会員の方で是非! ・伝統住宅のススメ配布先(各会員) 深尾 12、新堂 20、吉良 10、加埜 5、寺内 3、久保 4、鶴谷 10 計 64 部 →配布先等の状況を確認する。 3. ドイツ研修(森から住宅までのチェーン構造について) →新堂から報告。次月コラムにて紹介。 4. その他 5. 閉会のことば -11- 4月28日(土) 古民家鑑定 三木市 南保邸(深尾、寺内) 5月23日(水) 古民家鑑定講習会&試験 <兵庫県民会館1001号室> ・古民家鑑定講習 (深尾、新堂) ・古民家鑑定試験 (河野) ・セミナー (井上) 5月23日(水) 5月29日(火) 10:00~13:40 14:20~15:30 15:30~16:30 例会 兵庫県民会館 1001 号室 18:00~20:00 グリーン建築推進協議会の地区会員会議(近畿地区) 深尾、新堂 (市民交流センターひがしよどがわ) 13:00~15:00 グリーン建築推進協議会の地区会員大会 (市民交流センターひがしよどがわ) 16:00~18:00 懇親会 19:00~ 【宣 言】 わたしたちは 業 界 を通 して環 境 保 全 と文 化 の継 承 を考 え 未 来 の子 供 たちの為 、地 域 発 展 につくします。 兵庫 こうのとり 通信 Vol.2 初刊 2012 年 3 月 31 日発行・配布(毎月第 4 土曜日) 発行:一般社団法人 兵庫県古民家再生協会 HP:http://www.kominka-hyogo.com 〒665-0831 宝塚市米谷 1 丁目 6-24 TEL0797-91-2073 FAX 0797-83-1778