...

顔料ナノ結晶の新規製造プロセ

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

顔料ナノ結晶の新規製造プロセ
平成18年7月19日
報道機関
各位
東北大学多元物質科学研究所
「顔料ナノ結晶の新規製造プロセスの開発」
概要:
東北大学多元物質科学研究所(多元研)、富士写真フイルム(株)と富士フイルムエレクトロニ
クスマテリアルズ(株)は、NEDOの支援の下、再沈法と言う独自手法を駆使した顔料ナノ結
晶の製造プロセスの研究開発に取り組み、サイズ50nm以下の顔料ナノ結晶の調製に成功した。
カラーフィルターの高性能化のニーズに応え得る成果である。
背景:
液晶表示やCCDカメラなどに用いられているカラーフィルター(CF)は、市場が依然大きく
伸長している産業分野である。現在、CF用の赤、青、緑、3色の色材としては、色相と耐光性
の両立と言う要求から有機顔料が用いられているが、高性能化のニーズに応えるために、結晶粒
子のサイズをより小さくすることが求められており、このための研究開発競争が先進各国で展開
されている。アシッドペーステイングやミリングを中心とする顔料粒子の従来の製造法の延長で
は、環境・エネルギーの観点からも問題があり、新たな製法の確立が望ましい。そこで、多元研
寄附研究部門(有機ナノ結晶科学技術)担当の中西教授らの研究グループが十年以上前に創出し
ていた再沈法と言う有機ナノ結晶の作製法を拡充・発展させ、顔料ナノ結晶の新たな製造プロセ
スとして確立することを目的として、多元研と富士写真フイルムグループの間で、NEDOのナ
ノテク・先端部材実用化研究開発制度の支援の下、昨年夏から、共同研究開発が展開された。
開発内容:
用いられた再沈法とは、ナノ結晶化したい化合物を良溶媒に溶かして溶液とした後、この溶液を、
良溶媒が無限希釈されるような貧溶媒中に注入して、化合物を析出・再沈殿させると言う極めて
簡便な手法である。本研究開発での課題は、難溶性で知られた顔料の高濃度溶液を如何にして作
るか?、次いで、そのような高濃度溶液から、微小サイズに制御した顔料ナノ結晶を量産できる
か?、そして、得られたナノ結晶の実用素子性能は?などであった。顔料分子種、良及び貧溶媒
種、溶解方法・条件、再沈条件、並びに収集方法などの探究が行われた結果、50nm以下のサ
イズの顔料結晶を量産できる見通しが得られた。カラーフィルターとしての重要性能であるコン
トラスト比が、他の製法による試料と比較して、倍以上になるなど、非常に優れていることが明
らかにされた。
今後:
3色全てについて、より微小サイズ化の達成を図ると同時に、早期実用化に向けた量産プロセス
・プラントの確立を図る方針とのこと。
連絡先:
東北大学多元物質科学研究所寄附研究部門(有機ナノ結晶科学技術)
客員教授 中西八郎
電話:022−217−5643、FAX:022−217−6359
メール:[email protected]
Fly UP