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独断!IT予測

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独断!IT予測
最
◎ toyosu研究室
vol.10
バック ナ ン バ ー は 、C l u b
Unisysのホームページから
記事コード
1604
近、Blogという言葉がIT業界で話
に使い始めると、IT部門が管理をし始め、
題になり始めている。Blogサイト
「従業員の自発的議論の場は取り上げられ
の多くは個人サイトであるが、新聞やIT専
た」という論者もいる。Blogはこの場を提
門情報サイトでもコラムニストや学者が
供するツールといえる。Eメールの4割以
Blogサイトを運営している。Blogという
上がジャンクメールなどの一方的通信手
単語は、Webの初期から存在するWeblog
段で、本来の双方向的な有効性が失われ
という機能を“We blog”としたことに起
始めている。このため、Eメールの代替通
因するようだが、Blogを立ち上げた人を
信手段としてBlogを採用した企業も出て
Bloggerというように新造語が生み出され
いる。これらは公開されておらず、組織内
た。EメールやIM(インスタント・メッセ
の他の従業員が、読んだ内容について寄
ージング)に比べ、メッセージが自動的に
稿できる。その意味でBlogはKMグループ
保存される機能が、特に通信ツールとし
ウェアの有力な候補だと評価する人もい
ての優位性の一つとして挙げられる。また
る。さらにBlogのコンテンツはXML形式
他のサイトへのリンク機能を持ち、サーバ
で出力するRSS(RDF Site Summary、
を必要せず、自分のPC上に立ち上げられ
Rich Site Summary、Really Simple Syn-
るため、P2P時代のアプリケーションとい
dicationなど複数の略語)機能を取り込み
える(注1)
。
始めており、Webサイトやコンテンツその
10年前、Eメールがビジネスに役立つか
ものに関するメタデータのやり取りが可能
という議論があったが、従業員が前向き
になっている。情報のコミュニティ共有
ラ
グ
ビ
ー
日
本
代
表
の
健
闘
が
開
催
地
オ
ー
ス
ト
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リ
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の
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フ
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心
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了
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。
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な
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ら
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本
人
選
手
の
活
躍
に
よ
り
、
日
本
が
着
実
に
、
尊
敬
さ
れ
る
国
に
な
っ
て
い
る
と
思
う
︵
大
和
魂
︶
Blog―情報のコミュニティ共有ツール
(Syndication)が実現され、KMの目標の
一つが実現されることになる(注2)
。 MIT
あり、
「6次の隔たり」
、
「スモールワールド」
などの概念が多用されている(注2)
。
「超ローカル」な集団から形成され、前者
がグループ全員がお互いを知っているのに
のメディア・ラボの研究プロジェクト
1960年代にハーバード大社会学者スタ
対し(クラスタリング)
、後者は知らない
Blogdexは、Weblogコミュニティ内での
ンレー・ミルグラムは、ネブラスカ州オマ
人間もいる。前者の密接な相互結合関係
情報の浸透を捕捉しようと、ホットなテー
ハの送り手が、名前と職業しかわからない
が存在した場合に「6次の隔たり」は実現
マが絶えず掲示されている(注3)
。
ボストンの受け手に手紙を手渡す場合、
されるという結論を導いた。この意味で
Blogのような相互にリンクされたコミュニ
Googleなどの検索エンジンがWWWの
何人の人を経由しなければ届かないかとい
情報入手に寄与しているようにRSSは
う実験を行い、平均6人の手をわたるとい
WWB(World Wide Blog)推進に期待さ
う結果を得た。この手紙はお互いにファー
れている。この情報の共有化を実現する
スト・ネームで呼び合える関係の人にしか
Blogの今後は万々歳に見えるが、問題
ツールを「ソーシャル・ソフトウェア」と
転送してはいけないというルールを設定し
点はある。実験的なBlogでも、見るだけ
呼ぶ学者が出てきている(注1)
。 「ソー
ている。ここから上記の「6次(の隔たり)
」
の人が多く、本来のP2Pの理想(自発的
シャル」は日本語では、
「社会的」という
という言葉が生まれた。つまり、巨大な人
な協力関係)とはかけ離れた状況が起こ
意味で使われるが、もっと能動的な「共
口に属する人は、大抵、お互いに未知の
りうる(注6)
。 さらにBlogソフトの商業
同体を形成・維持する」という意味もあ
関係であっても、わずかの数の縁故関係
的な成功には疑問が残り、Webブラウザ
り、WWBをアクティブWebと位置付ける
(6次)をたどればつながるという仮説であ
のように、プラットフォーム・ベンダーも
評論家もいる。能動的共同体の形成・維
る。この仮説を数学的アプローチから解明
しくはISPのパッケージにバンドリングさ
持のメカニズムに関し最近多くの研究が
した学者は、社会は「ローカル」な集団と
れる公算が大であろう。
ティは「スモールワールド」を実現する
「人のハブ」となる(注4、5)
。
【参考文献】注1:Clay Shirky Social Software: A New Generation of Tools Release 1.0 May 2003 注2:Dan Gilmor Weblogs, RSS and the Rise of the Active Web Tools
Release 1.0 Aug. 2003 注3:BlogdexのURL http://www.blogdex.net 注4:Duncan J.Watts Six Degrees W.W.Norton 2003 注5:アルバート・ラズロ・バラバシ 新ネットワー
ク思考 NHK出版 2002年 注6:Bernard A.Huberman The Laws of the Web MIT Press 2001
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