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講義ノート29~32
いろいろな状態変化 一定量 n [mol]の理想気体の状態変化を, pV = nRT を用いて考えてみる。 今から考える状態変化は,“熱平衡状態を崩さない程度にゆっくりと” 変化させる。 ≪温度は均一,濃度や圧力も均一,外部と力もつり合う≫ ・・・準静的変化 気体分子の運動は(人間の感覚から見て)非常に速いので, 準静的変化が,人間の目で見てゆっくりであるとは限らない エンジンやエアコンのピストン運動は非常に速いが,ここで 学ぶ内容は,それらを考えるときに十分役に立つ 理想気体の等温変化・・・温度 T を一定に保ち変化させる( ∆T = 0 ) pV = nRT = 一定 ( n , T が一定) ∴ pV = 一定 ・・・ボイルの法則 圧力と体積は反比例 V= a p (a は比例係数) p m p1 計算には p1V1 = p 2V2 の形で考えるとよい p 2p V V 2 p2 O V 1 問 温度一定で,圧力 p を 2m V V2 1 倍にすると,体積 V は何倍になるか。 2 圧力 p と体積 V は反比例するから,体積 V は2倍になる。 問 ピストン付きシリンダー容器に,圧力 p1 = 1.0 × 10 [Pa],体積 V1 = 1.0[m3] 5 の気体を閉じ込め,温度を一定に保ったまま,体積を V2 = 0.010 [m3]まで 圧縮した。圧縮後の気体の圧力 p 2 を数値で求めよ。 p1V1 = p 2V2 より → p2 = p1V1 1.0 × 10 5 [Pa] × 1.0 [m 3 ] = = 1.0 × 10 7 [Pa] 3 V2 0.010 [m ] 29 理想気体の定積変化・・・体積 V を一定に保ち変化させる( ∆V = 0 ) p nR = = 一定 (n,V が一定) T V ∴ p = 一定 ・・・アモントンの法則 T 圧力と絶対温度は正比例 一定で変化しない量を右辺に, 変化する量を左辺に集める p = aT (a は比例係数) 定積変化の p-V グラフ p p p1 p2 O O T1 − 273 [°C] T2 V2 V T [K] p p 計算では 1 = 2 の形で考えるとよい T1 V1 p 2p T2 T 2T 問 体積一定で,(絶対)温度 T を3倍にすると,圧力 p は何倍になるか。 (絶対)温度 T と圧力 p は正比例するから,圧力 p は3倍になる。 問 体積が変化しない容器に,圧力 p1 = 1.0 × 10 5 [Pa],セ氏温度 t1 = 27 [℃] の気体を閉じ込め,温度が t1 = 177 [℃]になるまで温めた。昇温後の気 体の圧力 p 2 を数値で求めよ。 p1 p 2 = より T1 T2 → p1T2 1.0 × 10 5 [Pa] × (177 + 273) [K] p2 = = = 1.5 × 10 7 [Pa] T1 (27 + 273) [K] 理想気体の定圧変化・・・圧力 p を一定に保ち変化させる( ∆p = 0 ) V nR = = 一定 (n,p が一定) T p ∴ V = 一定 ・・・シャルルの法則 T 30 一定で変化しない量を右辺に, 変化する量を左辺に集める V = aT (a は比例係数) 体積と絶対温度は正比例 定圧変化の p-V グラフ V p V1 p2 p1 V2 O O T1 − 273 [°C] T2 V V 計算では 1 = 2 の形で考えるとよい T1 V T 2V V T2 T 2T 1 問 圧力一定で,(絶対)温度 T を 倍にすると,体積 V は何倍になるか。 3 1 (絶対)温度 T と体積 V は正比例するから,体積 V は 倍になる。 3 問 ピストン付きシリンダー容器に,体積 V1 = 1.0 [m3],セ氏温度 t1 = 27 [℃] の気体を閉じ込め,温度が t1 = 327 [℃]になるまで温めた。昇温後の気体の 体積 V2 を数値で求めよ。 V1 V2 = より T1 T2 → V2 = V1T2 1.0 [m 3 ] × (327 + 273) [K] = = 2.0 [m 3 ] T1 (27 + 273) [K] ピストンが気体にする仕事 なぜ状態変化を p-V グラフに書くのか ⇒ 断面積 A[m2] 「気体にする仕事」と関係している ピストン付きシリンダー容器 ピストンを動かす ⇒ F[N] p[Pa] 一定量の気体を封入する 収縮 または 膨張 ピストンに外から加える力の大きさ F と, 気体が内部から押す力の大きさ p ⋅ A は, つり合っている(平衡状態) 31 F = p⋅ A ピストンの移動(膨張) s [m] ピストン(に作用する外力 F )が気体にする仕事 ・定圧変化の場合 膨張させるとき:体積変化 ∆V = A ⋅ s > 0 力 F の向きとピストンの移動方向 s は逆( θ = 180° ) W = F ⋅ s ⋅ cos180° = pA ⋅ s ⋅ (−1) = p ⋅ ∆V ⋅ (−1) ∴ W = − p ⋅ ∆V p [J] (=[Pa・m3] ) p ( ∆V は体積変化: ∆V = V2 − V1 ) W 収縮(圧縮)するときも同様に, W = − p ⋅ ∆V が成り立つ O V1 V V2 仕事の絶対値 W は斜線部分 膨張のとき W < 0 ,収縮のとき W > 0 の面積に等しい 問 ピストン付き容器に封じ込めた気体を,圧力を p = 1.0 × 10 5 [Pa](=1.0 [atm] )に保ちながら,体積をV1 = 10.0 × 10 −3[m3]からV2 = 1.0 × 10 −3[m3] (10.0[L]から 1.0[L] )まで圧縮した。気体にした仕事W を数値で求めよ。 ∆V = V2 − V1 = 1.0 × 10 −3 [m 3 ] − 10.0 × 10 −3 [m 3 ] = −9.0 × 10 −3 [m3] W = − p ⋅ ∆V = − 1.0 × 10 5 [Pa] × (−9.0 × 10 −3 [m 3 ]) = 9.0 × 10 2 [J] ・定圧変化ではない一般的な変化の場合 (⇒ 積分の考え方を使う) ①微小変化なら・・・圧力は一定とみなせる 微小仕事は dW = − p ⋅ dV ②微小変化での微小仕事 dW を足し合わせる 2 W = ∫ dW = − ∫ 1 V2 V1 p1 p ⋅ dV p2 仕事の絶対値 W は斜線部分 の面積に等しい 問 p 右の p-V グラフのように,気体を 状態 A から状態 B まで変化させた。 気体にした仕事 W を求めよ。 1 × (4.0 × 10 5 + 3.0 × 10 5 ) × (5.0 − 1.0) [J] 2 = 1.4 × 10 6 [J] ∴ W = − 1.4 × 10 6 [J] W O V 1 V V2 [Pa] p 4 × 10 5 3 × 10 5 A B W = 32 O 1 5 V [m 3 ]