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交通事故減少の要因と隠れた老朽化問題(PDFファイル)

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交通事故減少の要因と隠れた老朽化問題(PDFファイル)
交通事故減少の要因と
隠れた老朽化問題
2014vol.
257
2013年の交通事故死者は4,373人で、13年連続で減少
した。事故件数も2004年をピークに減少を続けている。世
界的に見ても、先進国の交通事故死者の減少は顕著である。
最近20年でドイツ、フランス、イギリスも日本と同様に死者
は1/3となった。
事故死者減少の背景には、3E に代表される事故対策があ
る。3E とは Education(教育)
、Enforcement(法執行、取
締り)
、Engineering(工学)の頭文字 E によって示される3
つの対策のことである。中でも、自動車や道路交通システム
や救急医療といった工学的(あるいは科学技術的)な安全
対策の進展はめざましく、これがグローバルな交通事故死者
低減に寄与している。
1つ E を加えて4E と言われることも多い。4番目の E は
興味深いことに分野によって異なっている。Example(模
範、事例)を指す分野も多いが、交通事故対策の場合は
防災言
Environment(環境)である。自動車交通は道路だけの問題
ではなく、沿道や地域の生活・環境と調和したものである必
要があるからだ。住宅地における車の走行速度や通過交通
の問題は、依然として課題ではあるが、一昔前と比べると改
善されてきた。社会や企業の安全文化といった社会文化的環
境の整備も事故対策となる。現代の日本は、多くの子どもが
親の運転を見ながら育っているので、安全文化は家庭から根
付いてきているようだ。
4E の対策によって今後も交通事故死者は減少し続けるは
ずであるが、事故を増加させる要因も進行している。それは
道路や橋といった交通を支える施設の老朽化である。まだ目
立ってはいないが、2012年の笹子トンネルの天井板落下の
ような事故が発生する可能性が高まっている。これは水道や
下水道のようなインフラも同様であり、2013年度から政府も
インフラの老朽化に対応するための計画策定を自治体に求め
ている。
交通事故関連の老朽化には、他に車とドライバーの「老朽
化」の問題がある。車の老朽化というのは、新車購入を控え
て長く同じ車を運転することであり、ドライバーの老朽化とい
うのは高齢になっても運転を続行することである。車社会の
成熟化によって事故が減少している現在であるが、成熟が老
化に移行しても安全な車社会を目指したいものである。
まつうら
つ ね お
松浦 常夫
実践女子大学 教授/本誌編集委員
予防時報
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