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3D-CAD 対応熱環境シミュレータを用いた熱環境設計の
3D-CAD 対応熱環境シミュレータを用いた熱環境設計のための教育教材の開発に関する基礎研究 Development of educational material of theraml environmental design using 3D-CAD Compatible Thermal Simulation ○中大窪千晶(東京工業大学),梅干野晁(東京工業大学),何 江(東京工業大学) 研究の背景 教育の流れ 1)教育の方法 近年,屋外熱環境に配慮した街づくり,建築計画が求められている. 従来の講義 提案する講義の形 設計製図の講義 屋外の熱環境に関する研究や設計支援ツールの開発がなされている. 設計製図の講義 一方で, 環境に関しては,定性的な議論は行わ れることはあっても,定量的で具体的 な提案にまで展開できない 屋外の熱環境設計の知識を持つ都市計画,建築計画に関わる人は限られており, 具体的な街づくり,建築計画まで至っていない. 屋外の熱環境設計に関する知識や熱環境設計を行う意識を持つための教育プログラ ムが求められている. 提案する講義 設計製図の講義と環境工学の講義 をつなぐ ・実際の都市,建築の問題と照らし 合わせた内容. ・設計パラメータと環境工学の知識 を繋げること ・設計をやりながらその影響を感じ られること 環境工学の講義 建築分野における設備・環境に関わる 講義を行う 研究の目的 物理現象等の解説にウエイトが高く, 設計との関係性が伝わりにくい 屋外の熱環境設計に関する知識や熱環境設計を行う意識を持つための教育プログラム を開発することを目指して, 環境工学の講義 熱環境設計に関する講義・設計演習(各要件ごと) 講義:熱環境設計に関する知識をつける ○都市空間,建築空間に形成される熱環境の 実態の解説 ex) 熱画像,測定結果 建築学科の大学生(3年生程度の知識を有する) 屋外の熱環境設計に求められる要件 ○熱環境に関する物理現象や物性についての説明 ex) 表面の熱収支,分光反射率等 1) 対象地域の気候特性 ○数値解析を用いたパラメトリックな影響の検討 や表面温度分布の日変化の解説 ex) 日射反射率の違い,空間形態の違い,日 変化のアニメーション等等 4) 都市緑化 建築形状 樹木配置 日射反射率 白い街・黒い街 遮熱性舗装 方 位, 勾 配, 庇,凹凸 蓄熱,畜冷 保水性舗装 光触媒 3D-CAD 対応熱環境シミュレータを用いて,出題 した設計課題の熱環境の予測を行う 壁面緑化 ストリート キャニオン 水を含んだ材料 演習:知識を定着させる 屋上緑化 都市形態 ・熱環境の設計の体験を行う. →設計課題 ○パラメータを一つに固定し,その影響を見る. ex) 日射反射率を変える ○パラメータを複数にして,相互的な影響を見 る.ex) 樹木の位置・建物の位置 ベランダ緑化 植栽スクリーン 熱環境設計に関する設計課題 設計課題 熱環境設計を具体的に行い,熱環 境に配慮した設計案の提案を行う ことを体験する 一般的な設計製図の講義と同様に, テーマ,敷地,条件等を与え,設 計案を作成する.その際に,次の ことを必ず行う. ・熱環境に配慮した設計を行う. ・設計案を 3D-CAD 対応熱環境 シミュレーションを用いて, 予測・評価を行う. 単木樹,並木 , 列植 熱容量 仮説として,シミュレーショ ンなどを用いた方が知識が定 着しやすいと考える 屋外の熱環境設計に求められる要件をもとに,講義・演習を行い,最後に設計製図を行う 教育の対象 1. 設計に関わる職種につきやすいこと. 2. まとまった講義を行うことができること. 3. 設計製図の講義を受けた経験をもつこと.4.CAD の操作ができること 3) 空間形態 ・具体的な都市,建築空間で上 記の要素がどの程度影響する のかを定量的に把握する. →演習 2)教育の内容 本報では, 熱環境設計の教育プログラムのために用いる教材の開発に関する基礎的検討を行う. 2) 材料 ・熱環境設計を行う上で重要な 点を把握し,基本的な知識を 習得する. →講義形式 コンセプトに沿った設計案を作成する ・シミュレーションを用いた予 測・評価は,設計案作成の初 期段階から行い,その結果と その後の設計の変更点,変更 理由をまとめる. 教材の開発 講義形式の教材 都市空間,建築空間に形成される熱環境の実態の解説 西日を受ける高層ビルの例 [ 建築形状 ] 熱環境に関する物理現象や物性についての説明 これまで研究成果等 をもとに,実際の都 市を形成する熱環境 が形成されているか を,熱画像等を用い て解説する. 例えば,高層ビルに おける西日の影響等 を熱画像等を用いて 説明するまた,都市 の生活空間における 熱環境の実態につい てても,構成材料の 違いや,街路樹によ る日射遮蔽効果等を 通して説明する. 太陽放射と建築材料の分光反射率 [日射反射率] 都市の生活空間における熱環境 [ 建築形状・緑化 ] 熱環境設計を進める 上で,必要と考えら れる物理現象や熱物 性に関する解説を行 う. 例えば,分光反射率 では,材料によりそ の分布が大きく異な ることや,遮熱性頭 領の原理等を説明す る.従来の設計パラ メータとの関係につ いて解説を行う.例 えば,明度と視感反 射率等を通して,人 の感覚と物性値の違 い等を説明する. 数値解析を用いたパラメトリックな影響の検討や表面温度分布の日変化の解説 黒い街と白い街の表面温度分布 (12 時 )[ 日射反射率・熱容量 ] 黒い街と白い街の表面温度分布 (20 時)[ 日射反射率・熱容量 ] 視感反射率と明度の関係 [日射反射率] また,樹木について 3D-CAD 対 応 熱 環 境 シ も,単に緑陰の効果 ミ ュ レ ー タ を 用 い て, だけではなく,樹冠 材料の違い,空間形態 の形状の違いや樹種 の違い,緑化の効果に の違い,季節の違い, ついて説明を行う. 樹木の生長が熱環境 材料については,例え に与える影響につい ば日射反射率の違いが て説明を行う. 表面温度分布に与える に つ い て 解 説 を 行 う. 樹冠形状の違いが表面温度分布に与 また,表現方法につ える影響 [ 緑化 ] いても,ウォークス その中では,日射反射 ルーやアニメーショ 率が異なることで表面 ン等を用いてできる 温度がどの程度異なる だけ,実際の空間を のか,時刻によってど イメージできるよう う 異 な る の か, ま た, な表現方法を用いて 熱容量や空間形態の違 いる いでその影響がどう異 なるか等について説明 する. 緑の生長が表面温度分布に与える影 響(ウォークスルー)[ 緑化 ] 演習 まとめ 講義で解説した要素を実際に設計の中に 取り入れて,3D-CAD 対応熱環境シミュ レータを用いて,その影響を予測する演 習を行う. 本報では , 数値解析を用いた大学の設計製図の授業カリキュラムを開発するたもの 基礎的な検討として , 授業の流れを示すとともに , それに必要となる可視化教材の開 発を行った . 今後の展開 演習課題例 設計演習を試行したときの風景 グループ A の計算結果 グループ B の計算結果 15 人の大学生(3-4 年生)を4グループに分け,戸建て住宅を対象に住戸や植栽 の配置の変更をのみを行うことで,快適な熱環境を数値解析用いて検討しながら 設計する課題を行った. 今回開発を進めた教材をもとに,設計演習の課題を作成した上で試行を行い,その妥 当性を検討する.また,設計図のための設計課題の開発を行う. それら開発を行った教材をもとに大学で 7 ∼ 10 回の授業を行い , 開発した教育教材の 有用性の検討を行う .