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概要版(PDF形式:549KB)
鉄道施設の省エネルギービジョン 概 要 版 平成 16 年 2 月 神戸市交通局 策定委員会 委員名簿 委員長 藤井 照重 神戸大学工学部機械工学科教授 委員 宮永 英幸 大阪市交通局建設技術本部技術部電力課配電計画係長 エネルギー管理士(電気) 〃 大岩 順二 大阪市交通局建設技術本部技術部電力課主査 〃 仁井 幸枝 NPO「 交 通 友 の 会 」 〃 久保 則香 関西電力㈱神戸支店お客さま室エネルギー営業グループ副長 〃 高石 悟 神戸市環境局地球環境課主幹 〃 松岡 進一 神戸市都市計画総局建築技術部設備課長 〃 大東 寛治 神戸市交通局施設管理課主幹(施設更新) 〃 三崎屋 良介 オブザーバー 松 村 〃 富永 神戸市交通局電気システム課主幹(システム更新) 年峰 近畿経済産業局資源エネルギー部エネルギー対策課課長補佐 清美 新 エネルギー・ 産 業 技 術 総 合 開 発 機 構 関 西 支 部 開 発 業 務 部 課 長 代 理 目 1. 2. 3. 4. 調 査 目 的 お よ び 調 査 概 要 ................................................................................... 1 1.1 調 査 目 的 ..................................................................................................... 1 1.2 調 査 概 要 ..................................................................................................... 2 1.3 調 査 フ ロ ー .................................................................................................. 2 地 下 鉄 の 概 要 に つ い て ...................................................................................... 3 2.1 地 下 鉄 路 線 .................................................................................................. 3 2.2 地 下 鉄 駅 構 造 、 利 用 状 況 .............................................................................. 3 地 下 鉄 構 内 の エ ネ ル ギ ー ・ 環 境 分 析 ................................................................... 4 3.1 地 下 鉄 の エ ネ ル ギ ー 消 費 .............................................................................. 4 3.2 駅 舎 に お け る 電 力 の 消 費 動 向 ...................................................................... 10 3.3 駅 舎 内 各 室 の 温 湿 度 環 境 ............................................................................ 12 3.4 列 車 風 、 CO 2 濃 度 ...................................................................................... 13 ア ン ケ ー ト .................................................................................................... 17 4.1 5. 次 ア ン ケ ー ト 概 要 ......................................................................................... 17 省 エ ネ ル ギ ー 施 策 の 効 果 検 討 .......................................................................... 18 5.1 省 エ ネ ル ギ ー メ ニ ュ ー の 抽 出 ...................................................................... 18 5.2 省 エ ネ ル ギ ー 量 の 試 算 ............................................................................... 21 5.3 省 エ ネ ル ギ ー 手 法 の 評 価 ............................................................................ 22 5.4 新 エ ネ ル ギ ー の 検 討 ................................................................................... 24 6. 事 業 化 手 法 の 検 討 .......................................................................................... 25 7. 交 通 局 の 省 エ ネ ル ギ ー 基 本 方 針 ....................................................................... 26 7.1 省 エ ネ ル ギ ー 実 施 に 向 け て の 取 り 組 み ........................................................ 26 7.2 路 線 毎 の 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 ......................................................................... 27 7.3 事 業 の 実 施 方 針 と 目 標 ............................................................................... 28 鉄道施設の省エネルギービジョン 1. 調 査 目 的 および調 査 概 要 1.1 調 査 目 的 本 市 で は 、「 神 戸 市 役 所 地 球 温 暖 化 防 止 実 行 計 画 ( CO 2 ダ イ エ ッ ト 作 戦 ) 平 成 1 2 年 度策定」を契機とし、市が所有する施設について設備の省エネルギー改修を進め、平成 14年度には市が保有する施設に対して事業化フィージビリティスタディ調査を行って いる。また、並行して本市の地下鉄事業においても、同計画で実施することとしている 列車ブレーキ時の電力回生率の向上を行うとともに、駅では地域冷暖房システムや外気 温 度 差 制 御 の 導 入 な ど ハ ー ド の 整 備 を 進 め 、 さ ら に NPO の 協 力 を 得 て 市 民 に 対 す る 啓 発を行うなど地域の省エネルギーに取り組んでいる。 一方で近年は、バリアフリー化の要請からエレベーター・エスカレーターなど駅の新 たな機能付加の必要性が高まっており、さらに市街地での鉄道整備において、用地確保 の困難さから車庫を地下に建設する事例が増えてきていることなど、鉄道施設で消費さ れるエネルギーは増加傾向にある。 鉄道、特に地下鉄施設は一般の建築物と異なり、列車と乗客の負荷が朝夕のラッシュ 時に集中するなどエネルギーの日変動が特殊であり、列車制動時の発熱の影響や列車走 行による列車風の影響、さらに出入口が開放されていることによる外気の影響のため、 空調に使用されるエネルギー消費密度が比較的大きい。また、このような鉄道特有の負 荷に影響される駅設備(空調、照明等)や受変電設備の稼動状況も特殊である。 本調査は、上記のように増加傾向にあり特殊性の高い鉄道施設で消費されるエネルギ ーの現状調査と省エネルギー化の可能性について詳細なビジョンを策定し、このビジョ ンに従った設備を導入していくことでエネルギー消費と二酸化炭素排出量の直接削減を 実行し、鉄道事業コストの低減、さらにモーダルシフトの結果、エネルギー消費と二酸 化炭素排出量の間接削減にも貢献する事を目的とする。 駅設備の省エネルギー化 エネルギー削減 + 受変電設備の省エネルギー化 と 事業コストの低減 鉄道利便性向上による 直接削減 モーダルシフト 間接削減 地域の省エネルギー 図 1.1 ビジョンの全 体 構 成 CO 2 排 出 量 の 抑 制 1 鉄道施設の省エネルギービジョン 1.2 調 査 概 要 本調査では、地下鉄施設でのエネルギー消費の現状把握、ビジョン策定を図る上で、 以下の検討を行った。 1) 調査・検討の実施方針 地下鉄で省エネルギーを行うことに対する基本的な考え方を整理する。 2) 地下鉄の概要把握 本市地下鉄の基本的な諸元について整理把握する。 3) エネルギー・環境の分析 エネルギー・環境に関するデータを、交通局内既存資料、実測により収集し、整理 把握するとともに解析、分析する。 4) アンケート調査 地下鉄技術協議会に加盟の地下鉄事業者に対し、省エネへの取り組み、設備の運用 概況他についてアンケートを行う。 5) 省エネルギー施策の効果検討 本市地下鉄での省エネ施策を抽出し、定量的な省エネ可能量を試算すると共に、必 要とされる投資コストについて検討する。 6) 事業化手法の検討 省エネ施策を実施するために、考えられる事業形態を提示し、今後、交通局が省エ ネ改修をするにあたっての事業手法について整理する。 7) 省エネルギー基本方針 今後の省エネ改修事業のスケジュール、実施目標についてとりまとめる。 1.3 調 査 フ ロ ー 1. 調 査 ・ 検 討 の 実 施 方 針 2.地下鉄の概要把握 3.エネルギー・環境の分析 ・エ ネ ル ギ ー 消 費 の 実 地 計 測 ・列車風解析 ・ウォークスルー調査 4.地下鉄事業者へのアンケート 5.省エネルギー施策の効果検討 6.事業化手法の検討 7.省エネルギー基本方針 図 1.2 調 査 フロー 2 鉄道施設の省エネルギービジョン 2. 地 下 鉄 の概 要 について 2.1 地 下 鉄 路 線 本市は瀬戸内海と六甲山に挟まれた地域に位置しており、主に東西方向に産業・住居 地 域 が 発 展 ・集 積 し て い る 。こ の 地 形 上 、住 宅 を 中 心 と し た 山 側( 西 神 ・山 手 線 )、商 工 業を中心とした海側(海岸線)に路線が配備されているが、2路線ともに東西方向への 線形をなしている。なお、在来地下鉄の西神・山手線に対して、海岸線は鉄輪式リニア モ ー タ ー シ ス テ ム を 採 用 し た 中 量 地 下 鉄 で 、 平 成 13 年 に 営 業 を 開 始 し た 。 図 2.1 本 市 の地 下 鉄 路 線 図 2.2 地 下 鉄 駅 構 造 、 利 用 状 況 地下鉄の駅舎は、西神・山手線、海岸線共に概ね地下2∼3層の構造となっており、 最 も 深 い 駅 で は 海 岸 線 ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 の 地 下 4 層 で あ る 。 西 神 ・ 山 手 線 は 昭 和 50 年 代 か ら 昭 和 60 年 代 に か け て 段 階 的 に 開 通 し 、 海 岸 線 は 平 成 13 年 7 月 に 開 通 し た 。 平 成 1 4 年 度 の 本 市 地 下 鉄 の 1 日 乗 車 人 員 は 、西 神・山 手 線 が 27 万 人 、海 岸 線 で は 4 万人である。 3 鉄道施設の省エネルギービジョン 3. 地 下 鉄 構 内 のエネルギー・環 境 分 析 地下鉄で消費されるエネルギーのほとんどは、電力が占めている。地下鉄の場合、駅 舎が密閉空間に近い地下構造であることから、安全上の対策として可燃物である石油類 や爆発のおそれのあるガスは使用されないことが多い。 3.1 地 下 鉄 の エ ネ ル ギ ー 消 費 3.1.1 路線全体のエネルギー消費 各路線のユーティリティーコスト、エネルギー消費変動を整理する。 1) ユーティリティーコスト 西 神 ・ 山 手 線 、 海 岸 線 の 2002 年 に お け る 駅 舎 ( 車 庫 、 業 務 ビ ル は 除 く ) の ユ ー テ ィ リ テ ィ ー コ ス ト は 、そ れ ぞ れ 356.6 百 万 円 、266.8 百 万 円 で あ っ た 。そ の 構 成 比 は 図 3.1 に示すとおりである。 西神・山手線(2002年度) ユーティリティーコスト 海岸線(2002年度) ユーティリティーコスト 上水 11% 上水 4% ガス 0.019% 熱 22% 電力 89% 電力 74% 図 3.1 地 下 鉄 駅 舎 ユーティリティーコスト構 成 比 (公共料金台帳、経費実費資料、交通局内部資料より作成) 西神・山手線では海岸線に比べ上水の利用比率が高く、海岸線では地域冷暖房施設か ら 冷 熱 供 給 を 受 け て い る 駅 が あ り 、 熱 に 係 る コ ス ト が 22%を 占 め て い る 。 水需要の多くは客用便所であるため、上水使用料の違いは乗降客数に影響されている と考えられる。便所洗浄水に上水を使用する駅で、一駅当たりの一日平均乗客数を比較 す る と 、西 神・山 手 線( 11 駅 )の 28,900 人 に 対 し 海 岸 線( 5 駅 )で は 6,300 人 で あ る 。 2) 年間電力負荷変動 西神・山手線および海岸線の、路線別受電電力(それぞれの駅電気室の合計値)の年 間 負 荷 パ タ ー ン を 図 3.2、図 3.3に 示 し た 。夏 期 に ピ ー ク を 迎 え 冬 期 に 最 低 値 を 示 す 傾 向 は 同 様 で あ る が 、 海 岸 線 の 夏 期 、 冬 期 の 電 力 消 費 量 比 率 が 1.6 程 度 で あ る の に 対 し 、 西 神 ・ 山 手 線 で は 約 2.0 と 大 き な 差 が 生 じ て い る 。 西 神 ・ 山 手 線 は 路 線 延 長 が 長 く 、 列 車 運行本数や乗降客数が海岸線に比べ多いため、ピークを発生させる夏期冷房負荷(冷凍 機動力、補機動力等)に影響を与えている可能性がある。 4 鉄道施設の省エネルギービジョン MWh MWh 3,500 3,500 3,000 3,000 2,500 2,500 2,000 2,000 1,500 1,500 1,000 1,000 2000年度 2001年度 2002年度 500 500 0 2002年度 0 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 図 3.2 西 神 ・山 手 線 全 駅 電 気 室 受 電 電 力 量 図 3.3 海 岸 線 全 駅 電 気 室 受 電 電 力 量 日電力負荷変動 3) 図 3.4に 路 線 全 体 の 季 節 別 デ マ ン ド 状 況 を 示 し た 。 上 段 に 列 車 運 行 電 力 を 含 め た 全 受 電の30分デマンド、下段には本調査の対象となる駅電気室における30分デマンドを 示した。全受電の30分デマンドでは、2路線とも列車運行時間帯に電力需要が大きく な り 、朝 8:00∼ 8:30 に 受 電 電 力 量 の 最 大 値 を 記 録 し 、夕 方 に も 電 力 量 が 多 く な る こ と を 示している。一方、駅電気室では目立ったピークは示されていない。 ×10kWh ×10kWh 海岸線受電各季節代表日30分デマンド 西神・山手線受電各季節代表日30分デマンド 900 350 800 300 700 250 600 200 500 150 400 300 100 18:30 16:30 14:30 12:30 10月 22:30 海岸線電気室系各季節代表日30分デマンド 350 7月 22:30 4月 ×10kWh 10:30 8:30 6:30 4:30 0:30 22:30 1月 20:30 10月 20:30 18:30 16:30 14:30 12:30 7月 20:30 4月 ×10kWh 10:30 8:30 6:30 4:30 0 2:30 0 0:30 100 2:30 200 50 1月 西神・山手線電気室系各季節代表日30分デマンド 900 800 300 700 250 600 200 500 150 400 300 100 200 50 100 0 4月 7月 10月 1月 4月 7月 図 3.4 路 線 全 体 の季 節 別 電 力 負 荷 変 動 5 10月 18:30 16:30 14:30 12:30 10:30 8:30 6:30 4:30 2:30 0:30 22:30 20:30 18:30 16:30 14:30 12:30 10:30 8:30 6:30 4:30 2:30 0:30 0 1月 鉄道施設の省エネルギービジョン 3.1.2 地下鉄駅舎等のエネルギー消費 ここでは各施設単位でのエネルギー消費をまとめる。 1) 電力負荷 (1) 年 間 受 電 電 力 量 西神・山手線では三宮駅が、他の地下駅の 2 倍程度の電力を消費しており、地上駅は 地 下 駅 の 概 ね 1/2 程 度 の 電 力 消 費 量 で あ る 。海 岸 線 は 、御 崎 公 園 駅 、三 宮・花 時 計 前 駅 、 ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 の 各 駅 が 、 他 に 比 べ 3∼ 4 割 程 度 電 力 消 費 量 が 多 い 。 電力消費量の違いは、駅構造による設備内容、照明の運用等に起因するものと推察さ れる。地下駅においては西神・山手線が海岸線の約 3 割増しとなっており、建設時期に よる省エネルギー技術の違い、列車本数・編成車両数や乗降客数の違い等が、その要因 として挙げられる。 海岸線各駅電気室 2002年度受電電力量 西神・山手線各駅電気室 2002年度受電電力量 三宮・花時計前 新神戸 旧居留地・大丸前 三宮 みなと元町 県庁前 ハーバーランド 大倉山 中央市場 湊川公園 上沢 和田岬 長田 御崎公園 新長田 苅藻 板宿 駒ヶ林 妙法寺 新長田 名谷 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 総合運動公園 学園都市 伊川谷 西神南 西神中央 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 (MWh) 図 3.5 駅 電 気 室 における年 間 受 電 電 力 量 地下駅舎における電力負荷は、電灯・コンセント類、空調換気が主である。 こ れ ら の 負 荷 は 、 延 べ 床 面 積 ( 照 明 器 具 数 、 換 気 風 量 な ど )、 乗 降 人 員 ( 冷 房 負 荷 )、 列車本数(冷房負荷)にある程度依存することがわかっており、かつ、原単位を考える 上で整理しやすい項目である。これらの項目と駅電気室を経由する電力消費量との相関 について検討、整理した。 理論値が実測値にどのくらい近いかを示す指標として決定係数(寄与率とも言う)が あ る 。 こ れ を R 2 と し て 同 一 グ ラ フ 上 に 示 し た 。 こ の 数 値 は 0∼ 1 の 範 囲 に あ り 、 1 に 近 い方が相関の度合いが高いことを示している。 図 3.6に 示 さ れ る と お り 、3 つ の 要 因 の 中 で 海 岸 線 、西 神・山 手 線 と も に 電 力 消 費 量 に 対 し て 高 い R 2 を 示 し た も の は 延 べ 床 面 積 で あ っ た 。ま た 、西 神・山 手 線 で は 乗 降 客 数 が 強 い 相 関 ( R 2 =0.858) を 示 し て い る も の の 、 海 岸 線 で は 弱 か っ た ( R 2 =0.052)。 また、列車本数に関してはピストン効果による外気引き込みが、冷凍機等運転に伴う 電 力 負 荷 に 影 響 を 与 え る も の と 想 定 し た が 、そ の 効 果 は 示 さ れ ず 限 定 的 で あ る と い え る 。 以上より、これらの3項目においては延べ床面積が比較的電力消費量に対する高い相 関を示している事がわかった。ただし、概略の規模想定する上で、原単位として扱うこ とは可能であるが、他の要素が複雑に寄与していることから、詳細には個々の検討を要 する。 6 5,000 (MWh) 鉄道施設の省エネルギービジョン MWh/年 2,500 MWh/年 5,000 (海岸線H14年度データより) y = 0.134x + 641.53 R2 = 0.5105 2,000 (西神・山手線H14年度データより) 4,000 1,500 y = 0.3253x - 645.24 R2 = 0.5742 3,000 1,000 2,000 500 1,000 0 0 2,000 4,000 6,000 8,000 延べ床面積(m2) MWh/年 10,000 0 12,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 線形 (MWh/年) MWh/年 MWh/年 (海岸線H14年度データより) 5,000 2,000 4,000 1,500 3,000 1,000 y = 0.0224x + 1256.4 R2 = 0.858 1,000 0 5,000 10,000 乗降人員(人/日) MWh/年 15,000 0 20,000 0 2,000 4,000 1,500 3,000 1,000 MWh/年 y = 1.1678x + 1603.7 R2 = 0.0009 1,000 0 100 線形 (MWh/年) (西神・山手線H14年度データより) 2,000 y = -1.6753x + 1894.6 R2 = 0.0454 50 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 乗降人員(人/日) MWh/年 5,000 2,500 0 40,000 MWh/年 (海岸線H14年度データより) 500 20,000 線形 (MWh/年) MWh/年 14,000 (西神・山手線H14年度データより) 2,000 y = 0.018x + 1403.5 R2 = 0.0521 0 12,000 線形 (MWh/年) MWh/年 2,500 500 10,000 延べ床面積(m2) 150 200 列車本数(本/日) 線形 (MWh/年) 250 0 300 0 50 100 150 200 250 列車本数(本/日) MWh/年 300 350 400 線形 (MWh/年) 図 3.6 駅 電 力 消 費 量 と負 荷 要 因 との相 関 次 に 、 車 庫 お よ び 業 務 ビ ル の 年 間 受 電 電 力 量 を 図 3.7に 示 し た 。 地 下 構 造 で あ る 海 岸 線 の 車 両 基 地 は 、 地 上 に 設 置 さ れ る 西 神 ・ 山 手 線 の 車 両 基 地 に 比 べ 、 1.7 倍 ほ ど の 電 力 を 消 費 し て い る 。 ま た 、 保 有 車 両 数 ( 西 神 ・ 山 手 線 : 168 両 、 海 岸 線 : 40 両 ) で 比 較 す ると、海岸線の1車両当たりの1年間の電力消費量は、西神・山手線の 7 倍程度となる ( 西 神 ・ 山 手 線 : 7.6MWh/両 年 、 海 岸 線 : 53.6MWh/両 年 )。 海岸線御崎車両基地、御崎Uビル電気室 2002年度受電電力量 西神・山手線車庫、ビル電気室 2002年度受電電力量 御崎車両基地 第2 名谷業務ビル 名谷車両基地 第4 御崎車両基地 第1 名谷車両基地 第3 御崎車両基地 中央 名谷車両基地 第2 0 名谷車両基地 第1 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 西神車庫 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 (MWh) 図 3.7 車 庫 、業 務 ビルなどの年 間 受 電 電 力 量 注)御崎Uビル系統は御崎車両基地中央電気室に含まれる (2) 駅 電 気 室 受 電 時 間 推 移 2002 年 度 の 海 岸 線 の 各 駅 電 気 室 に お け る 30 分 デ マ ン ド を 季 節 別 に 図 3.8に 示 し た 。 夏 期 に は 冷 房 需 要 に よ る 電 力 デ マ ン ド が 発 生 し 、8 時 ご ろ か ら 20 時 ご ろ ま で 他 の 季 節 の およそ 2 倍程度となっている。 7 5,000 (MWh) 鉄道施設の省エネルギービジョン ×10kWh 御崎車両 基地中央 御崎車両 基地1 御崎車両 基地2 新長田 30分デマンド推移(4月) 28 24 ×10kWh 28 24 駒ヶ林 20 30分デマンド推移(7月) 駒ヶ林 20 苅藻 16 苅藻 16 御崎公園 御崎公園 和田岬 12 和田岬 12 中央市場 中央市場 ハーバーラ ンド みなと元町 8 4 0 0:30 2:30 4:30 6:30 ×10kWh 8:30 10:30 12:30 14:30 16:30 18:30 20:30 22:30 30分デマンド推移(10月) 28 24 20 8 ハーバーラ ンド みなと元町 4 旧居留地・ 大丸前 三宮・花時 計前 0 0:30 御崎車両 基地中央 御崎車両 基地1 御崎車両 基地2 新長田 ×10kWh 駒ヶ林 20 2:30 4:30 6:30 8:30 10:30 12:30 14:30 16:30 18:30 20:30 22:30 30分デマンド推移(1月) 28 24 和田岬 御崎公園 和田岬 12 中央市場 中央市場 8 8 ハーバーラ ンド みなと元町 4 4 0 0:30 2:30 4:30 6:30 8:30 10:30 12:30 14:30 16:30 18:30 20:30 22:30 御崎車両 基地中央 御崎車両 基地1 御崎車両 基地2 新長田 苅藻 16 御崎公園 12 旧居留地・ 大丸前 三宮・花時 計前 駒ヶ林 苅藻 16 御崎車両 基地中央 御崎車両 基地1 御崎車両 基地2 新長田 旧居留地・ 大丸前 三宮・花時 計前 0 0:30 2:30 4:30 6:30 8:30 10:30 12:30 14:30 16:30 18:30 20:30 22:30 図 3.8 海 岸 線 駅 電 気 室 の季 節 別 日 デマンド推 移 8 ハーバーラ ンド みなと元町 計 旧居留地・ 大丸前 三宮・花時 計前 鉄道施設の省エネルギービジョン 2) 各施設の現況把握 駅 舎 、車 庫 等 32 施 設 に 対 す る 設 備 概 況 に つ い て 整 理 、把 握 し た 。施 設 数 、調 査 項 目 が 多いため、ここでは概要について記す。 (1) 施 設 概 要 把 握 エネルギー消費に関わる空調換気設備、受電設備、昇降機設備について、施設ごと に各機器の台数、規模について整理した。 (2) ウ ォ ー ク ス ル ー 調 査 各施設とも数時間程度の踏査であることから、表面的な部分から見て取れるエネル ギーの利用状況についてまとめた。 路線全体として以下の傾向を把握することができた。 a) 西 神・山 手 線 で は コ ン コ ー ス の 換 気・冷 房 は 停 止 し て い る こ と が 多 く 、ト ン ネ ル フ ァ ン に つ い て は 西 神 ・山 手 線 、 海 岸 線 と も 停 止 時 間 が 長 い 。 そ の た め 2 回 線 受 電 し て い る 変 圧 器 の 需 要 率 は 、 夏 期 以 外 の 期 間 で は ほ ぼ 30%以 下 と な っ て お り 、 変 圧 ロスを多く発生させていることが伺えた。 b) 機 械 室 や 電 気 室 の 換 気 に お い て は 、ス ケ ジ ュ ー ル 運 転( 列 車 運 行 時 間 に あ わ せ た 運 転)を行っている駅が多く、一般に目標とする温度条件を満足させるのであれば、 温度制御による運転時間削減によって省エネが可能である。 c) 海 岸 線 で の ホ ー ム 換 気 は 、将 来 6 両 編 成 時 に 対 応 し た 給 気 量 と し て い る が 、現 状 の 4 両 編 成 対 応( ホ ー ム そ の も の を 縮 小 利 用 し て い る )に 風 量 を 制 御 す る こ と が 可 能 で 、換 気 フ ァ ン の 動 力 を 低 下 さ せ る こ と が で き る 。た だ し 、排 煙 機 能 に 関 す る 検 討 は必要である。 d) 照 明 に 関 し て は 、日 射 の あ る 場 合 で も 地 上 出 入 口 で の 点 灯 、列 車 不 停 車 範 囲( 乗 降 客の往来のないホームなど)での点灯などが見受けられた。 e) エ ス カ レ ー タ ー に つ い て は 、西 神・山 手 線 で は 人 感 セ ン サ ー に よ る 自 動 運 転 を 行 っ ているのに対し、海岸線では常時運転している。 f) 各 地 下 駅 と も 冷 凍 機 出 口 の 冷 水 温 度 設 定 は 7℃ と な っ て い る が 、最 盛 期 以 外 の 冷 房 期 間 で は 、 冷 水 設 定 温 度 を 数 度 上 げ る こ と で 、 冷 凍 機 COP の 向 上 を 見 込 む こ と が できる。 なお、電気室、信号通信機器室では、機器保護のための換気あるいは空調を常に行っ ており、エネルギー消費量が多いものと予想された。そのため、ウォークスルー時に各 室に設置してある温度計の読みとりを行い、駅毎の温度管理状況も整理した。 (3) 年 間 ユ ー テ ィ リ テ ィ ー 消 費 過去 3 年間のユーティリティー消費について、施設ごとに整理した。海岸線につい ては、開業間もないことから 1 年間のデータである。 9 鉄道施設の省エネルギービジョン 3.2 駅 舎 に お け る 電 力 の 消 費 動 向 西神・山手線、海岸線の代表的駅舎4駅(西神・山手線の新長田駅、湊川公園駅、海 岸線の新長田駅、三宮・花時計前駅)の電力消費状況を実測し、電力消費傾向を駅毎に まとめた。実測に際して、定速運転で運転時間が分かる機器については、その一定電力 と運転時間から電力量を算出した。 地下鉄で使用される電力は、鉄道運行にかかるものと駅施設などで使用されるものに 分 類 さ れ る 。 本 ビ ジ ョ ン で は 、 主 に 図 3.9に 示 す 駅 施 設 で の 電 気 使 用 量 低 減 を 目 的 と し ている。 駅 電 気 室 ------------- 動 力 ---------- 空 調 ・ 換 気 ---------- 熱 源 機 器 --------- 熱 源 補 機 --------- 空 調 機 ( AHU*1 等 ) --------- 空 調 機 ( PAC*2 等 ) --------- 換 気 機 器 ---------- 衛 生 ・ 消 火 ---------- ポ ン プ 類 --------- 電 気 温 水 器 ---------- 昇 降 機 ---------------- エ レ ベ ー タ ー ------------------ エ ス カ レ ー タ ー ----------- 電 灯 ・ コンセント ------------------------ コ ン コ ー ス ------------------------ ホ ー ム ------------------------ 諸 室 、 通 路 ------------------------ ト ン ネ ル 図 3.9 駅 舎 での電 力 利 用 先 *1: AHU エ ア ハ ン ド リ ン グ ユ ニ ッ ト *2: PAC パ ッ ケ ー ジ エ ア コ ン 各駅の電力消費構造からは、以下の傾向を読み取ることができた。 1) 夏期の電力消費構造 〇 空 調 換 気 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 最 も 多 く 、 駅 舎 電 力 消 費 全 体 の 61%∼ 74%で あ っ た 。 〇 次 い で 照 明 負 荷 が 多 く 19%∼ 27%で あ っ た 。 〇 他 に 搬 送 用 動 力 が 5%∼ 9%を 占 め 、 残 り は 衛 生 設 備 用 電 力 ( 4%以 下 ) で あ る 。 熱源機器を保有しない海岸線の三宮・花時計前駅でも、空調換気用電力を最も多く使 用していたが、変電所を有しているなど空調機動力が大きく、稼働時間が長いことがそ の要因と考えられる。 2) 中間期の電力消費構造 ○ 駅 に よ り 、空 調 換 気 と 電 灯・コ ン セ ン ト の 構 成 比 大 小 が 異 な る 。空 調 換 気 の 比 率 は 、 駅 舎 電 力 消 費 全 体 の 30%∼ 63%で あ り 、 電 灯 ・ コ ン セ ン ト の 場 合 は 、 23%∼ 54%と なっている。 10 鉄道施設の省エネルギービジョン ○ 夏 期 に 比 べ 、 1 日 の 電 力 消 費 量 は 11∼ 65%の 削 減 で あ り 、 駅 の 設 備 内 容 、 運 用 に よ る違いが大きい。 中 間 期 は 、夏 期 に 比 べ 熱 源 機 器 、熱 源 補 機 の 運 転 停 止 に 伴 い 、 電 力 消 費 量 が 低 減 し て い る 。た だ し 、計 測 ス ケ ジ ュ ー ル の 関 係 で 駅 に よ っ て 外 気 温 度 状 況 が 大 き く 相 違 す る 場 合があり、低減幅に関して評価は出来ない。 また、海岸線の三宮・花時計前駅では、低減率が最も少なく、熱源を持たないこと、 中間期でも変電所冷房を要するなどが大きな要因と言える。 3) 冬期の電力消費量 ○ 電 灯・コ ン セ ン ト の ウ エ イ ト が 高 く な り 、駅 舎 電 力 消 費 全 体 の 29%∼ 55%で あ っ た 。 ( 海 岸 線 の 三 宮 ・ 花 時 計 前 駅 以 外 は 、 電 力 負 荷 構 成 比 で 50%以 上 と な っ て い る 。) ○全ての駅で、冬期の電力消費量は、夏期、中間期より少なくなっている。 冬 期 に お い て は 、冷 凍 機 の 運 転 は 行 っ て い な い が 、熱 源 機 器 へ の 電 力 供 給 は 存 在 し 80 ∼ 180kWh/日 の 消 費 と な っ て い た 。 省 エ ネ 対 象 と し て 、 詳 細 検 討 の 余 地 が あ る 。 各 駅 、各 季 節 の 駅 電 力 消 費 量 に つ い て 、計 測 し た 1 週 間 の 日 平 均 値 を 表 3.1に 示 し た 。 冷 房 を行 わない期 間 では、どの駅 も概 ね 3,000kWh/日 程 度 の電 力 消 費 量 となっている。 ま た 、駅 に よ る 程 度 の 差 は あ る が 、夏 期 、中 間 期 、冬 期 の 順 に 電 力 消 費 量 が 少 な く な っ ている。 表 3.1 各 駅 ・各 季 節 の日 平 均 電 力 消 費 量 (kWh) 駅名 西神・山手線 新長田駅 西神・山手線 湊川公園駅 海岸線 新長田駅 海岸線 三宮・花時計前駅 夏期 8,934 6,069 5,504 4,348 中間期 3,147 3,614 3,273 3,865 冬期 3,031 2,998 3,014 3,234 主 変 圧 器 の 2 次 側 で 測 定 し た デ ー タ に よ れ ば 、熱 源 機 器 を 持 た な い 海 岸 線 の 三 宮・花 時 計 前 駅 以 外 は 、夏 期 ピ ー ク 時 の 時 間 当 た り の 電 力 消 費 量 に 比 べ 中 間 期 ・ 冬 期 の ピ ー ク 電 力 消 費 量 は 、28∼ 66%と な っ て い る( 表 3.2参 照 )。駅 に よ る 運 用 、設 備 内 容 等 の 特 性 を考慮すべきであるが、変圧器運用による省エネを検討する余地がある。 表 3.2 時 間 当 たりの最 大 電 力 消 費 量 (kWh) 駅名 西神・山手線 新長田駅 西神・山手線 湊川公園駅 海岸線 新長田駅 海岸線 三宮・花時計前駅 夏期 中間期 544 152 549 291 353 202 317 284 11 冬期 166 184 234 166 鉄道施設の省エネルギービジョン 3.3 駅 舎 内 各 室 の 温 湿 度 環 境 西神・山手線の新長田駅、湊川公園駅、海岸線の新長田駅、三宮・花時計前駅および 御崎車両基地を対象として、駅舎内温湿度の計測を行った。 駅の業務は、3 日間を1サイクルとする勤務ローテーションにより行われるため、計 測日数を 3 日間と設定し、その他の諸室は 1 日間とした。ただし、計測器の移動スケジ ュールに合わせるため、現実には若干長めの計測期間となった。 各駅ともに、ほぼ共通で以下の傾向を読み取ることができた。 1) 夏期の温度状況 〇空調設備による温度設定を行っているホームや信号通信機器室などでは、設定温度 で安定している 〇駅務室など勤務ローテーションにより毎日在室者が異なる場所では、室内温度が日 によって異なる 2) 中間期の温度状況 ○ ホ ー ム 、 コ ン コ ー ス な ど の 地 下 空 間 で は 、 昼 夜 を 問 わ ず 20℃ ∼ 26℃ の 範 囲 に あ り 、 外気温に比べ高い室温となっている ○ 駅 務 室 の 室 内 温 度 は 、 一 日 中 24℃ ∼ 25℃ の 範 囲 で 一 定 し た 環 境 を 保 っ て い る 。 3) 冬期の温度状況 ○一部コンコースにおいて、気温変動の大きな日が例外的にあるものの、地下空間で は 、 概 ね 18℃ ∼ 24℃ の 範 囲 で 安 定 し た 温 度 状 況 を 示 し て い る 。 ○電気室、信号通信機器室等空調機設置された部屋では、温度設定にて安定した室温 を確保している ○駅務室など勤務ローテーションにより毎日在室者が異なる場所では、室内温度が時 間、日によって異なる 12 鉄道施設の省エネルギービジョン 3.4 列 車 風 、 CO 2 濃 度 3.4.1 調査目的 地下鉄は一般ビルと異なり、出入口が開放されていることや列車風が吹くことによる 空調換気の負荷形態、また電車と乗客負荷が朝夕のラッシュ時に集中することからエネ ルギーの日変動が特殊である。ここでは列車風による換気効果と換気制御の関係を把握 することを目的に、西神・山手線の湊川公園駅と海岸線のハーバーランド駅で列車風調 査 お よ び CO 2 濃 度 の 計 測 を 実 施 し た 。 また、地下鉄の空調負荷は外気温が高くなる夏期日中に、空調機の熱負荷として外気 負荷が大きくなる。そのため、列車風による外気取り入れ効果に着目し、列車運行本数 や駅舎における到着出発のタイミングに合わせて、空調換気機の外気取り入れ量を制御 す る (列 車 風 連 動 型 空 調 ・ 換 気 制 御 )こ と で 、 空 調 負 荷 を 軽 減 し 、 省 エ ネ 化 に 寄 与 で き る ことを 1 次元及び 3 次元シミュレータにより検証する。 3.4.2 1) 調査・解析手法 データ取得 列車風による換気効果と列車運行の関係を把握することを目的に、西神・山手線の湊 川 公 園 駅 と 海 岸 線 の ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 に お い て 、 列 車 風 速 、 温 度 お よ び CO 2 濃 度 を 計 測 した。 2) データ解析 列車風速の計測値に基づき、ホーム階段部からの流入風量を算出し、必要換気量を満 たしているかを確認するとともに、列車の運行本数と流入風量の関係を把握する。同時 に 、 安 全 性 の 確 認 と し て 、 CO 2 濃 度 が 建 築 物 環 境 衛 生 管 理 基 準 の 1,000ppm を 超 え て い な いことを確認する。 3) 1 次元シミュレータの構築 列車による交通ピストン力を算出する列車モデルと、ホーム、コンコース、階段部に お け る 風 速 を 算 出 す る 風 速 モ デ ル 、 温 度 を 算 出 す る 温 度 モ デ ル 、 CO 2 濃 度 を 算 出 す る CO 2 濃度モデル、空調・換気制御モデルの 5 つのモデルからなる単一地下鉄駅舎の 1 次元シ ミュレータを構築する。 4) 1 次元シミュレーションによる検証 1 次 元 シ ミ ュ レ ー タ に よ り 、 列 車 風 に よ る 外 気 取 り 入 れ 量 を 解 析 し 、 各 時 間 帯 の CO 2 濃度により評価を行う。 5) 3 次元シミュレーションによる検証 3 次 元 シ ミ ュ レ ー タ に よ る 風 速 、CO 2 濃 度 、温 度 の 3 次 元 分 布 を 計 算 し 、環 境 の 安 全 性 の詳細を検討する。 3.4.3 1) 列 車 風 、 CO 2 濃 度 、 温 度 の 計 測 結 果 列車風・温度 平 成 15 年 9 月 24 日 (水 )∼ 26 日 (金 )に 湊 川 公 園 駅 と ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 の 階 段 等 に お い て 、ホ ー ム 空 調 換 気 機 の 運 転 /停 止 の 条 件 で 、列 車 風 速 お よ び 温 度 の 計 測 を 行 っ た 。列 車 風速の計測結果に基づき、列車風による外気取り入れ効果の検証を行った結果、計測を 行 っ た 時 間 帯 に お い て は 、空 調 換 気 機 の 運 転 /停 止 に 関 わ ら ず 、列 車 風 に よ る 導 入 風 量 は 13 鉄道施設の省エネルギービジョン 必要換気量を十分に満たしていると考えられる。また、温度については、両駅ともホー ム階の温度が列車の発着に合わせて変化することが分かった。 CO 2 濃 度 2) 平 成 15 年 11 月 19 日 (水 )∼ 25 日 (火 )に 湊 川 公 園 駅 と ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 の ホ ー ム 、 コ ン コ ー ス 、地 上 部 に お い て 、ホ ー ム 空 調 換 気 機 の 運 転 /停 止 の 条 件 で CO 2 濃 度 を 計 測 し た 。 そ の 結 果 、 両 駅 と も 、 空 調 換 気 機 の 運 転 /停 止 に 関 わ ら ず 、 CO 2 濃 度 は 換 気 基 準 値 と さ れ る 1,000ppm を 大 き く 下 回 っ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。 3.4.4 1 次元空調換気シミュレーション 1. 湊川公園駅シミュレーション結果 風量[㎥/min] 1 次元空調換気シミュレータを構 階段部流入・流出風量 築し、湊川公園駅、ハーバーラン 12000 8000 4000 0 -4000 -8000 -12000 ド 駅 の 風 速・温 度・CO 2 濃 度 の 計 算 を 行 っ た 結 果 を 図 3.10に 示 す 。 時刻 CO2濃度[ppm] 900 800 流出風量 列車ダイヤに応じてホーム階段 0:00 23:00 22:00 21:00 20:00 19:00 18:00 17:00 16:00 15:00 14:00 13:00 12:00 11:00 9:00 10:00 8:00 7:00 6:00 5:00 ⅰ )ホーム階段部の流入/流出風量 部の流入、流出風量が変化してい 流入風量 ることがわかる。また、一部の時 温度[℃] 30 25 20 間帯において、ホーム階段部の流 温度・CO2濃度 700 ホームCO2 ホーム温度 時刻 23:00 22:00 21:00 20:00 19:00 18:00 17:00 16:00 15:00 14:00 13:00 12:00 11:00 10:00 9:00 8:00 7:00 6:00 15 10 5 0 5:00 600 500 400 300 本数が少ない②列車到着のタイミ ングにより、交通換気力が相殺さ れたためであると考えられる。 ⅱ ) CO 2 濃 度 コンコースCO2 コンコース温度 2. ハーバーランド駅シミュレーション結果 風量[㎥/min] 入風量が低下しているが、①列車 CO 2 濃 度 に つ い て 見 る と 、 い ず れ の駅においても、朝のラッシュ時 に CO 2 濃 度 の ピ ー ク が 現 わ れ て お 階段部流入・流出風量 12000 8000 4000 0 -4000 -8000 -12000 り 、 唯 一 の CO 2 発 生 源 で あ る 乗 降 客数が、最も多くなる時間帯にピ ー クを迎 えている。しかしながら、 時刻 時刻 図 3.10 0:00 23:00 21:00 22:00 流入風量 濃 度 は 1,000ppm を 超 え る こ と は な い。 ⅲ)温度 ホームCO2 ホーム温度 23:00 22:00 21:00 20:00 19:00 18:00 17:00 温度[℃] 30 25 20 15 10 5 0 16:00 15:00 14:00 13:00 12:00 11:00 10:00 9:00 8:00 7:00 6:00 流出風量 温度・CO2濃度 CO2濃度[ppm] 900 800 700 600 500 400 300 5:00 20:00 19:00 18:00 17:00 16:00 15:00 14:00 13:00 12:00 11:00 10:00 9:00 8:00 7:00 6:00 5:00 このピー ク時 間 においても最 大 CO 2 コンコースCO2 コンコース温度 1 次 元 シミュレーション結 果 14 温度について見ると、湊川公園 駅では、朝のラッシュ時に温度の ピークが表われており、大きな熱 の発生源である列車の本数が多く なり、乗降客数が最も多くなる時 間帯に、ピークを迎えているもの と思われる。 鉄道施設の省エネルギービジョン 3.4.5 3 次元空調換気シミュレーション 先の 1 次元シミュレーションの結果を 3 次元シミュレーションの境界条件として与え、 定 常 的 な 風 速 分 布 、 温 度 分 布 な ら び に CO 2 濃 度 分 布 を 計 算 し た 結 果 を 、 図 3.11、 表 3.3 に示す。 1.湊川公園駅 CO2濃度コンター図 駅舎形状図 トンネル3 列車車両 トンネル1 階段3 階段2 CO 2 濃度 階段1 新長田 新長田 温度コンター図 風速ベクトル図 新長田 新長田 2.ハーバーランド駅 CO2濃度コンター図 駅舎形状図 トンネル3 列車車両 トンネル4 階段3 CO 2 濃度 階段2 トンネル1 階段1 新長田 新長田 トンネル2 風速ベクトル図 温度コンター図 新長田 新長田 図 3.11 3 次 元 シミュレーション結 果 15 鉄道施設の省エネルギービジョン 表 3.3 対 象 駅 (時 刻 ) ホー ム CO 2 濃 度 (ピー ク値 ) 各部 階段 1 ホーム三宮側 ホーム長田側 3.4.6 1) 3 次 元 シミュレーション結 果 湊 川 公 園 駅 (8: 40) 777ppm 風速 CO 2 濃 度 [m/s] [ppm] 1.0 760 0.5 660 0.5 760 温度 [℃ ] 23 22.5 23 ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 (8: 48) 479ppm 風速 CO 2 濃 度 温度 [m/s] [ppm] [℃ ] 0.5 475 23.5 3.0 475 23 0.5 475 23 列車風調査・解析のまとめ 列 車 風 お よ び CO 2 濃 度 の 実 測 階段部からホームへの流入風量は、ホーム空調換気機停止時に、湊川公園駅、ハーバ ー ラ ン ド 駅 で 、そ れ ぞ れ 112,000m 3 /h、62,000m 3 /h と な り 、列 車 1 本 あ た り の 列 車 風 は 、 そ れ ぞ れ 7,000m 3 /本 、 5,200 m 3 /本 で あ っ た 。 ま た 、 計 測 時 間 帯 で の 列 車 風 に よ る 換 気 量 は 、 列 車 風 に よ る 必 要 換 気 量 (単 位 床 面 積 当 り 30m 3 /h の 新 鮮 外 気 量 を 確 保 す る た め に 必 要 な 風 量 )を 上 回 る こ と が 分 か っ た 。 CO 2 濃 度 の ピ ー ク 値 に つ い て は 、ホ ー ム 空 調 換 気 機 を 停 止 し た 場 合 、朝 の ラ ッ シ ュ 時 に 湊 川 公 園 駅 で 瞬 時 値 834ppm、 1 分 間 平 均 値 804ppm、 ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 で 瞬 時 値 600ppm、 1 分 間 平 均 値 541ppm と な り 、 許 容 基 準 の 1,000ppm を 越 え て い な い こ と が 分 か っ た 。 2) 1 次元シミュレーションによる検証 朝の始発から終電までの時間帯において、列車風による外気取り入れのみを考えた場 合 (空 調 換 気 機 停 止 時 )の 換 気 量 、 CO 2 濃 度 、 温 度 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 い 、 CO 2 濃 度 に つ い て は 湊 川 公 園 駅 、ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 と も 許 容 基 準 の 1,000ppm を 越 え な い こ と を 確 認 した。また、ホーム階段部の流入風量が列車風による必要換気量を満たしていない時間 帯があることも分かった。 3) 3 次元シミュレーションによる検証 空 調 換 気 機 停 止 時 に 、 ホ ー ム に お け る CO 2 濃 度 が 最 大 と な る 時 刻 に つ い て 3 次 元 シ ミュレーションを行い、その分布状態とその時の気流状態を確認した。その結果、両 駅 と も 、 ホ ー ム 階 段 部 か ら 空 気 が 流 出 す る 場 合 に 、 ホ ー ム の CO 2 濃 度 は 、 ト ン ネ ル 部 か ら 流 入 す る 空 気 の 影 響 を 強 く 受 け て お り 、 最 大 で 湊 川 公 園 駅 で は 、 760ppm 前 後 、 ハ ー バ ー ラ ン ド 駅 で は 475ppm 前 後 の CO 2 濃 度 値 を 示 し た 。3 次 元 に よ る CO 2 濃 度 分 布 の 検 証においても、構内環境の安全性について問題がないことが分かった。 3.4.7 今後の課題 今 回 の 調 査 で は 、 列 車 風 に よ る 換 気 力 に よ り 十 分 な 換 気 効 果 が 得 ら れ 、 か つ CO 2 濃 度 についても、許容基準値内であることが明らかになった。また、この換気風はコンコー ス 階 に お い て 両 駅 と も 75∼ 80% 程 度 の 外 気 占 有 率 を 確 保 し て お り 、こ の 効 果 を 利 用 す る ことで、換気機による外気導入量を削減することが可能で、電力消費量の削減効果が期 待できる。更に、夏期の冷房時においては、空調機の外気取り入れ量を制御し、オール レタン方式も採用可能であり、これにより空調負荷が軽減され、冷凍機や搬送ポンプ等 の省エネルギー効果も十分期待されることが分かった。 今後の詳細検討では、より具体的な換気制御システムの構築に加え、環境の安全性確 認 と し て SPM( 浮 遊 粒 子 状 物 質 ) の 分 布 の 確 認 も 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。 16 鉄道施設の省エネルギービジョン 4. アンケート 4.1 ア ン ケ ー ト 概 要 本アンケートは、地下鉄技術協議会メンバーの全国の地下鉄事業者に対し、事前配布し た上で直接聞き取り方式にて回収したものである。アンケートでは、機械設備(運用面、 設 備 機 器 、 自 然 エ ネ ル ギ ー )、 電 気 設 備 ( 運 用 面 、 電 気 機 器 、 自 然 エ ネ ル ギ ー )、 昇 降 機 設 備、変電設備の各項目について調査した。 4.1.1 アンケートの目的 アンケートにより、各地下鉄事業者のエネルギー使用および省エネ施策に関する考え 方、運用上における配慮、技術的な省エネルギー対策などについて把握し、設備改修等 に 参 考 と な る 事 例 、機 器 の 選 択 、運 用 に 関 す る 考 え 方 に つ い て 有 益 と な る 情 報 を 収 集 し 、 神戸市における施策展開に反映させることを目的とする。 4.1.2 アンケート協力事業者 アンケートに協力頂いた事業者は、下記、地下鉄技術協議会メンバーの各社である。 4.1.3 帝都高速度交通営団 大阪市交通局 名古屋市交通局 東京都交通局 横浜市交通局 札幌市交通局 京都市交通局 福岡市交通局 仙台市交通局(営業線および計画線の2回答) 省エネメニューピックアップ ヒヤリングを行った各社から回答、提案のあった主な省エネ施策として、以下のもの があった。 ・ 朝ラッシュ時の電力負荷平準 ・ 朝夕ラッシュを避けたエスカレーターの時限停止 ・ ホーム空調換気の自動切換え ・ プーリー交換による風量削減 ・ 更なる省エネ運動、エネルギー管理者の設置 ・ トンネル内照明の終車後消灯 ・ 地下駅地熱利用 ・ 変圧器統廃合 17 鉄道施設の省エネルギービジョン 5. 省 エネルギー施 策 の効 果 検 討 5.1 省 エ ネ ル ギ ー メ ニ ュ ー の 抽 出 5.1.1 地下鉄におけるエネルギー消費の傾向 地下鉄道におけるエネルギー消費は、大きく以下の二つに分けることができる。 ①列車運行にかかわるエネルギー消費 ②施設(駅舎)運用にかかわるエネルギー消費 このうち“②施設(駅舎)運用にかかわるエネルギー消費”を、本調査における省エ ネルギー対象とする。これらは、駅舎内の照明や換気・空調、衛生設備によるものであ り、近年、省エネルギー導入事例が増加している地上のビル設備に類似している。 地下鉄駅舎のエネルギー消費において事務所と異なる点としては、以下の項目が挙げ られる。 <照明・コンセント> ○ コンセント負荷が少ない ○ 自然光が届かない ○ 施設供用時間が極めて長い (始 発 か ら 終 電 ま で の 約 19 時 間 /日 ×365 日 /年 = 6,935h/年 :事 務 所 3,000h/年 注 ) 注 :「 建 築 物 の 省 エ ネ ル ギ ー 基 準 と 計 算 の 手 引 き 」 よ り <熱源機器・搬送機器(空調用ポンプ、空調機類)> ○ 施 設 供 用 時 間 が 極 め て 長 い (約 19 時 間 /日 ×365 日 /年 =6,935h/年 :事 務 所 3,000h/年 ) ○ 熱源機器の運転期間が短い ( 冷 房 の み を 行 う 施 設 で あ る : 約 19 時 間 /日 ×92 日 /年( 7 月 か ら 9 月 )= 1,748h/年 ) ○ 空気の搬送距離が長く動力が大きい(ダクト・配管の圧力損失が大きい) ○ 出入口などからのすきま風が多い ○ 将来需要予測に基づき設備計画される 表 5.1 設 計 条 件 と現 状 との比 較 (海 岸 線 ) 設計条件 6 17 8 10 編成(両/編成) 朝ラッシュ時列車本数(本/時) 昼換算時列車本数(本/時) 夕ラッシュ時列車本数(本/時) 現状 4 10 6 9 ※列車本数は、上りあるいは下りの本数 <その他動力(換気機器、排水ポンプ等)> ○ 施 設 供 用 時 間 が 極 め て 長 い (約 19 時 間 /日 ×365 日 /年 = 6,935h/年 :事 務 所 3,000h/年 ) ○ 換 気 期 間 が 長 い ( 6,935h/年 − 1,748h/年 = 5,187h/年 ) ○ 空気の搬送距離が長く動力が大きい(ダクト・配管の圧力損失が大きい) ○ 配管などが長く、また重力に逆らってポンプアップする施設である これらより、駅舎のエネルギー消費については、以下の傾向があると考えられる。 18 鉄道施設の省エネルギービジョン <駅舎のエネルギー需要の傾向予測> ● 事務所に比べ照明負荷の割合が大きい ● 同上、搬送の動力割合が大きい ● 同上、換気などの動力割合が大きい ● 冷 凍 機 な ど 特 に 空 調 系 機 器 で 、部 分 負 荷 運 転 に な っ て い る ● 変圧器容量に比べエネルギー需要が少ない よって、駅舎では特に、照明、搬送、換気、熱源、受変電で省エネルギー手法を採用 することが効果的と予想される。 5.1.2 省エネルギーメニューの抽出 本市地下鉄での省エネルギーメニュー抽出にあたっては、次年度以降に具体的な事業 として発展させることを念頭に実現性を優先させ、経済的な成立性を重視している。 経済的成立性 B C A 省エネルギー CO2 削減効果 効果 B:石 油 系 コ ジ ェ ネ な ど 図 5.1 省 エネルギーメニュー抽 出 の範 囲 C: 蓄 熱 な ど コ ス ト 低 減 に 伴 い 環 境 へ の 負 荷 を 増 大 さ せ る こ と は 厳 に 慎 ま な け れ ば な ら ず 、 図 5.1 に示すAの部分のみを対象としたいところである。しかし、抽出対象は実現性も考慮し 「 エ ネ ル ギ ー 消 費 の 削 減 ( A+B)」 あ る い は 「 温 室 効 果 ガ ス ( CO 2 ) 削 減 ( A+C)」 に 寄 与する手法とした。 本 調 査 で は 、上 記 の 視 点 お よ び 5.1.1と 現 状 の 問 題 点 お よ び 他 都 市 で の 採 用 事 例 を 踏 ま え 、 図 5.2に 示 し た 地 下 鉄 駅 舎 に お け る 省 エ ネ ル ギ ー 手 法 の う ち 、 特 に ○ 印 で 囲 ん だ 項 目について省エネルギー効果が高いと考えた。 以下の検討では、これら効果の期待される省エネルギー手法の省エネルギー可能量、 回収年数について試算を行う。 本市地下鉄には、西神・山手線と海岸線の2路線がある。このうち西神・山手線は、 西 神 線( 西 神 中 央 駅 ∼ 新 長 田 駅 )と 山 手 線( 長 田 駅 ∼ 新 神 戸 駅 )を 合 わ せ た 名 称 で あ る 。 西神線には、新長田駅と板宿駅の2駅の地下駅が含まれる。これらは、山手線に比べ て建設年度が10年程度早く、設計基準も異なる。また、トンネル換気方式は中間換気 方式で、山手線の縦流換気方式とは異なる。 これらの違いを踏まえて、西神・山手線を西神線と山手線に分け、海岸線と合わせて 3路線で試算を行う。 19 鉄道施設の省エネルギービジョン 受変電、照明、電気設備 1.受変電設備 ①使用量管理 ②デマンドの適正化 ③電圧の調整 ④力率管理 ⑤変圧器容量 ⑥需要率、負荷調整 ⑦不要トランス遮断 ⑧夜間電力の活用 2.省エネ制御・機器の導入 ①力率改善制御 ②デマンド制御 ③低損失変圧器 ④変圧器の台数制御 3.照明設備の運用管理 ①適正照度の管理 給水設備 ①節水対策 (節水コマ、感知フラッシュ、 擬音装置) 昇降機 ①インバータ制御の採用 ②人感知センサーの設置 (エスカレーター) 熱源、熱搬送設備 1.冷凍機運転の制御 ①冷水出口温度の設定 ②冷却水温度の設定 ③台数制御 ④水質管理、ブロー管理 2.補機の運転制御 ①冷却塔の運転制御 ②ポンプ運転制御 ③水質管理 3.熱搬送設備の運転制御 ①流量、圧力制御 ②ポンプ、ファンの回転数制御 冷却塔 ②照明器具清掃、交換 ③省エネ管の採用 ④照明率(反射率)の向上 ⑤人感知センサーの設置 ⑥自動調光による減光、消灯 4.省エネ機器の導入(照明器具) ①高効率ランプの採用 ②高効率器具の採用 ③インバータ安定器 ④照明点灯制御 ⑤昼光センサー ⑥省エネ誘導灯 5.OA機器 ①待機電力削減 ②省電力型導入 ③不要時電源遮断 6.自動販売機 昇降機 変圧器 空気調和、換気設備 1.空気調和設備 ①設定温度、湿度の適正化 ②運転時間スケジュール管理 (早朝、深夜の冷房停止) 2.省エネシステムの導入 ①外気冷房システム (外気エンタルピー制御) ②外気導入制御システム (CO2濃度による制御) ③全熱交換器の設置 ④変風量、変流量制御 (外気エンタルピー制御) ⑤局所冷房 3.換気設備 ①換気風量の適正化 ②運転時間スケジュール管理 中央監視盤 冷凍機 コンコース 空調機 冷風 電灯 トンネル換気 1.換気設備 ①換気風量の適正化 ②運転時間スケジュール管理 ③外気導入制御システム (CO2濃度による制御) ④変風量 2.照明設備の運用管理 ①適正照度の管理 ②照明器具清掃、交換 ③省エネ管の採用 3.省エネ機器の導入(照明器具) ①高効率ランプの採用 ②高効率器具の採用 ③インバータ安定器 ④照明点灯制御 ⑤省エネ誘導灯 4.トンネル湧水の再利用 プラットホーム 負荷平準化 1.負荷平準化対策 ①運用形態見直し(負荷率等) ②設備対応(氷蓄熱システム) 2.エネルギー調整契約等 ①蓄熱調整契約 ②季節別時間帯契約 プラットホーム トンネル湧水ポンプ 図5.2 試算対象 20 トンネル照明 鉄道施設の省エネルギービジョン 5.2 省 エ ネ ル ギ ー 量 の 試 算 地下鉄に対して、先に絞込みを行った省エネルギーメニューを導入したときの効果を 海岸線、西神線、山手線それぞれについて試算する。 試算対象の省エネルギー手法は以下のとおりとしており、照明、熱源、空調など大項 目内で複数の手法が考えられる場合には、①、②などの番号を設けている。 表 5.2 省 エネルギー手 法 試算 大項目 内容 海 西 山 岸 神 手 ① 照 明 高 効 率 化 (INV)とトンネル照 明 消 灯 ○ ○ ○ 照明 ② 照 明 の省 エネルギーモード(間 引 き・球 抜 き消 灯 )・・海 岸 線 は実 施 済 み ① 熱 源 冷 水 の温 度 管 理 と、夜 間 ・中 間 期 の外 気 冷 房 (空 調 ・換 気 自 動 切 り替 え) ○ ○ ○ ○ ○ 熱源 ② 駅 舎 冷 房 熱 源 の更 新 (氷 蓄 熱 )・・山 手 線 は更 新 実 施 中 熱源補機 ホーム・コンコース系 冷 却 水 ポンプ VWV *1 ○ ○ ○ ○ ○ 列 車 風 を利 用 したファン VAV *2(INV) ○ ○ ○ ① 信 通 ・電 気 ・変 電 所 系 VAV(INV)・・・海 岸 線 のハーバーランド、三 宮 ・花 時 計 前 ○ 駅 などのターミナルエアハン対 象 列 車 風 を利 用 したファン VAV(VVVF・VI) ○ ○ ○ ② 信 通 ・電 気 ・変 電 所 系 VAV(VVVF・VI)・・・海 岸 線 のハーバーランド、三 宮 ・花 時 ○ 計 前 駅 などの小 型 空 調 機 対 象 ③ 出 入 口 の自 然 排 気 を活 用 した2種 換 気 (中 間 期 )・・列 車 風 による自 然 換 気 空 調 /換 気 ○ ○ ○ 車 両 数 対 応 型 空 調 ・・空 調 風 量 などの絞 込 み(海 岸 線 にて将 来 6 両 /編 成 であ ④ るが、現 状 4 両 /編 成 であることを踏 まえホーム空 調 面 積 を 2/3 とする・・列 車 停 ○ 止 位 置 調 整 が必 要 ) 機 械 室 などのファンサーモ発 停 ⑤ ○ ○ ○ 信 通 ・電 気 室 の PAC ファンサーモ発 停 ・・電 気 室 ・信 号 通 信 機 器 室 内 サーモに ○ よる PAC 送 風 機 発 停 トンネルファン CO 2 制 御 ・・トンネル内 CO 2 濃 度 によるトンネルファンの発 停 ⑥ 省 エネタイプファンベルト・・切 り欠 きを入 れて曲 がりやすくした V ベルト ○ ○ ○ ○ ○ ○ ⑦ 外 気 連 動 制 御 ・・外 気 温 度 が高 い時 には空 調 温 度 も高 めに設 定 冷水 ○ ○ ホーム・コンコース系 冷 水 ポンプ VWV ○ ○ ○ ① ラッチ内 エスカレーター人 感 センサー設 置 ・・ 西 神 ・山 手 線 は導 入 済 み ○ ② 朝 夕 ラッシュ時 以 外 のエスカレーター停 止 ○ エネルギー管 理 者 選 任 ○ ○ ○ 朝 ラッシュ時 の電 力 負 荷 平 準 化 (ピーク8時 の運 用 停 止 )・・8 時 台 に機 器 停 止 ○ ○ ○ 詰 所 の温 度 管 理 ・・ホーム・コンコース以 外 の室 内 温 度 設 定 の適 正 化 ○ ○ ○ 変 圧 器 統 廃 合 (交 互 運 転 ) ○ ○ ○ 昇降機 運用 変圧器 21 ○ 鉄道施設の省エネルギービジョン 5.3 省 エ ネ ル ギ ー 手 法 の 評 価 これまでの検討から、海岸線、西神・山手線では運用形態、基本的な設備、電気シス テム構成による違いがあるものの、それぞれ多くの省エネルギーメニューの採用可能性 があることが分かった。ここでは、路線ごとの省エネ可能量とその評価についてまとめ る。 5.3.1 路線ごとの省エネ試算結果 各 路 線 の 試 算 結 果 を ま と め る と 、 表 5.3の よ う に な る 。 表 5.3 路 線 ごとの効 果 のまとめ 現 状 のエネルギー消 費 量 (kWh/年 ) 省 エネルギー可 能 性 量 (kWh/年 ) 省 エネルギー可 能 率 (%) 原油削減量 (kL/年 ) 海岸線 西神線 山手線 18,779,320 12,512,147 14,456,994 45,748,461 4,017,000 2,029,000 3,726,000 9,772,000 21% 16% 26% 21% 1,020 515 946 2,482 13.0 7.7 8.1 - 回 収 年 (年 ) 合計 山手線、海岸線など、地下駅で大きな効果が得られることが分かる。 な お 、海 岸 線 で 回 収 年 数 が 長 く 、省 エ ネ ル ギ ー 可 能 率 が 山 手 線 よ り も 劣 っ て い る の は 、 回 収 年 数 が ゼ ロ に な る“ 照 明 の 省 エ ネ ル ギ ー モ ー ド( 間 引 き・球 抜 き 消 灯 )”が 既 に 実 施 されており、さらに送風機類の停止時間が長いなど、運用上の省エネルギーが既に実施 されていることによる。 5.3.2 省エネルギー手法の評価 今までに挙げた省エネ手法に関し、算出した原油削減効果(省エネルギー効果、二酸 化炭素削減効果)と、単純回収年数(コスト削減効果)を総合的に判断し、今後の事業 化に備えるため、以下の2つを評価項目と して捉えた。 多い 省エネルギー量 <評価項目> 回収年数の限界 値は設定する 回収年数・・・・・・短いほど有望 省エネルギー量・・・多いほど有望 図 5.3に お け る 横 軸 に 回 収 年 数 を 、 縦 軸 に省エネルギー量をとり、各省エネルギー 導入可能性が 期待できる範囲 手法をプロットすることで評価を行った。 少ない 評価にあたっては、回収年数の短いことを 重視するが、省エネルギー効果の高いもの 短い 回収年数 長い については、回収年数が若干、長くなって も導入対象として捉えていく。 図 5.3 省 エネルギー手 法 の評 価 の考 え方 22 鉄道施設の省エネルギービジョン 更に、各省エネルギー手法について、投資効果(経済的成立性)と原油消費量削減効 果 ( 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 )、 脱 化 石 燃 料 の 効 果 ( 二 酸 化 炭 素 削 減 効 果 ) を 踏 ま え 、 表 5.4に 示す考えに従い今後の事業化へ向けたランク付けを行った。 表 5.4 評 価 の考 え方 Aランク (運 用 に よ り 実 施 ) Bランク (詳 細 設 計 を 経 て 実 施 ) Cランク (FS で 検 討 ) Dランク 追加設置工事 工事なし または補助適用時の投 資回収2年以内 補助適用時の投資回収5年以内 で、原油削減効果の大きいもの 補 助 適 用 時 の 投 資 回 収 10 年 以 内 で、原油削減効果の大きいもの それ以外 更新工事 機器調整のみ または補助適用時 の投資回収5年以内 補 助 適 用 時 の 投 資 回 収 10 年 以 内 で、原油削減効果の大きいもの 補 助 適 用 時 の 投 資 回 収 20 年 以 内 で、原油削減効果の大きいもの それ以外 ※ 補 助 率 50% と し て 試 算 評 価 結 果 を 表 5.5に 示 す 。 表 5.5 地 下 鉄 の省 エネルギー手 法 評 価 海岸線 共通 ¾ ¾ ¾ エネルギー管理者選任 詰所の温度管理 朝ラッシュ時の電力負荷平準化 路線別 ¾ 出入口の自然排気を活 用した2種換気(中間 期) 車両数対応型空調 信 通 ・ 電 気 室 の PAC フ ァンサーモ発停 朝 夕 ラッシュ時 以 外 のエ スカレーター停止 A ランク ¾ ¾ ¾ ¾ 山手線 照 明 の省 エネルギー モー ¾ ド( 間 引 き・球 抜 き 消 灯 ) ¾ ¾ ¾ 照 明 の省 エネルギー モー ド( 間 引 き・球 抜 き 消 灯 ) 出入口の自然排気を活 用した2種換気(中間 期) 省エネタイプファンベル ト 朝 夕 ラッシュ時 以 外 のエ スカレーター停止 共通 ¾ ¾ ¾ 熱源冷水の温度管理と、夜間・中間期の外気冷房(空調・換気自動切り替え) 機械室などのファンサーモ発停 照 明 高 効 率 化 ( INV) と ト ン ネ ル 照 明 消 灯 ( 更 新 工 事 ) 路線別 ¾ 信通・電気・変電所系 VAV( INV) 信通・電気・変電所系 VAV( VVVF ・ VI) 省エネタイプファンベル ト 変圧器統廃合(交互運 転) ¾ ¾ 列 車 風 を利 用 したファン VAV( VVVF ・ VI) ¾ B ランク ¾ ¾ ¾ C ランク 西神線 共通 ¾ 路線別 ¾ ¾ ¾ ¾ ¾ 外気連動制御 列 車 風 を利 用 したファン VAV( VVVF ・ VI) 出入口の自然排気を活 用した2種換気(中間 期) 駅 舎 冷 房 熱 源 の 更 新( 氷 蓄熱:更新工事) ¾ 列 車 風 を利 用 したファン VAV( INV) 省エネタイプファンベル ト 変圧器統廃合(交互運 転) ¾ 23 ¾ ¾ ¾ 列 車 風 を利 用 したファン VAV( VVVF ・ VI) 変圧器統廃合(交互運 転) 駅 舎 冷 房 熱 源 の 更 新( 氷 蓄熱:更新工事) 列 車 風 を利 用 したファン VAV( INV) 外気連動制御 鉄道施設の省エネルギービジョン 5.4 新 エ ネ ル ギ ー の 検 討 地下鉄への導入が期待される新エネルギーとしては、出入口や地上駅舎における太陽 光発電の導入、小型風力発電の設置、ガスコージェネレーションの導入、地熱利用が考 えられる。このうち小型風力発電は、出入口などで問題となっている列車風の有効活用 策として捉えられるが、理論上、風車により得られる電力は、そのまま列車の抵抗値増 加に繋がるものと考えられる。また、コージェネレーションは熱需要の大きな施設が有 望であるが、地下鉄は冷房需要以外に大きな熱需要が無いなど、システムの特徴をうま く活かすことが出来ない。 よ っ て 新 エ ネ ル ギ ー の 検 討 は 、太 陽 光 発 電 と 太 陽 熱 利 用 と し 、そ の 結 果 を 以 下 に 示 す 。 報告書においては、新エネルギーではないものの、地熱・地下水利用についても検討 を加えた。 1) 太陽光発電 費用対効果の面で省エネルギー手法として劣ることが分かった。一方で、太陽光発電 な ど 新 エ ネ ル ギ ー の ア ナ ウ ン ス 効 果 、普 及 啓 発 効 果 は 高 い た め 、導 入 場 所 な ど を 選 択 し 、 新エネルギー、省エネルギーの使い分けを行う必要がある。 2) 太陽熱利用 地下鉄施設のうち、太陽熱給湯器やソーラーシステムを導入可能なものは、業務ビル や車両基地などである。これらの施設では都市ガスの供給を受けており、かつ、家庭に 比べてガス単価が安いため、太陽熱給湯器の導入は採算性に劣ると考えられる。 一方で、太陽光発電と同様に高いアピール効果が期待できるため、導入については場 所ごとに検討を行うべきである。 24 鉄道施設の省エネルギービジョン 6. 事 業 化 手 法 の検 討 これまで、地下鉄における改修工事は、施設を所有する交通局の財源により行われて きた。省エネルギー対策としての機器改修についても同様であったと考えられるが、近 年 で は 省 エ ネ ル ギ ー ノ ウ ハ ウ を ツ ー ル と す る 新 し い 事 業 形 態 で あ る ESCO や 、財 政 状 況 の 悪 化 な ど を 背 景 に PFI と 呼 ば れ る「 民 間 資 金 を 活 用 し 公 共 施 設 の 建 設・ 改 修 を 行 う 事 業スキーム」も考案されている。 神 戸 市 に お い て は 、各 種 公 共 施 設 に ESCO 事 業 手 法 に よ る 省 エ ネ の 推 進 が 図 ら れ て い るが、本市交通局では、特別会計による自主財源や低利な起債等を利用して、独自のス キームによる省エネルギー事業を実施している。 また、交通局と一体的な組織(外郭団体)により、現況設備を管理運用していること から、随時改修、設定・運用変更を行っており、現在の運用体制上、設備の所有権を確 保しておくことを必要としている。 そのため、現段階においては地下鉄省エネルギー事業手法に関しては、既存スキーム に よ る 手 法 か 、ギ ャ ラ ン テ ィ ー ド ・ セ イ ビ ン グ ス に よ る ESCO 事 業 に よ る 手 法 が 想 定 さ れる。 しかし、将来の地下鉄設備改修に関しては、財源が逼迫することは十分予想されてお り 、自 ず と シ ェ ア ー ド ・ セ イ ビ ン グ ス に よ る ESCO 事 業 の 可 能 性 は 高 ま る 。更 に は 、総 務省による「第 3 セクターに関する指針の改定」に示されるとおり、指定管理者制度の 導入に伴い、設備保有を含め管理運営をすべて外部に委託することも想定しておく必要 もある。 今後の地下鉄における省エネ事業手法に関しては、設備所有権の一時的外部化、全面 外 部 委 託 、 管 理 運 用 体 制 、 リ ス ク 分 担 等 の 検 討 、 整 理 す べ き 課 題 は あ る が 、 図 6.1 とおり、徐々に民間ノウハウや資金を活用する必要がある。 既存スキームによる省エネ改修 現況 発注方法、他検討 ギ ャ ラ ン テ ィ ー ド・セ イ ビ ン グ ス に よ る ESCO 事 業 リスク分担、管理方法、他検討 近 い 将来 シ ェ ア ー ド ・ セ イ ビ ン グ ス に よ る ESCO 事 業 資産分離の可否、他検討 将来 設 備 機 能 の 購 入 ( PFI 事 業 、 ア ウ ト ソ ー シ ン グ 等 ) 図 6.1 地 下 鉄 での省 エネルギー事 業 イメージ 25 の 鉄道施設の省エネルギービジョン 7. 交 通 局 の省 エネルギー基 本 方 針 7.1 省 エ ネ ル ギ ー 実 施 に 向 け て の 取 り 組 み 7.1.1 具体的な事業スケジュール案 交 通 局 で は 地 下 鉄 事 業 に お い て 、H14 年 度 に 西 神 ・ 山 手 線 の 新 長 田 駅 、H15 年 度 に 湊 川公園駅にそれぞれ氷蓄熱システム、外気連動制御の導入を、また、海岸線建設時には ホーム以外の場所にインバーター照明を導入するなど、すでに省エネルギー対策を実施 している。市および交通局での省エネに対する具体的な取り組み、今後の具体的な省エ ネ 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル に つ い て 図 7.1に 示 し た 。 ①ビジョン CO2ダイエット作戦 H13.3 市全体 ②重点ビジョン 輸送系 鉄道施設重点ビジョン H15 店舗系 運行関連の重点ビジ ョン … ③FS FS:事業の具 体的な可能性 調査 神 戸 市 関 連 大 規 模 施 設( 建 築 物 ) FS H14 市全体 鉄道施設FS H16∼ ④設備導入 新長田駅省エネⅠ H14 西神・山手線省エネ 新長田駅省エネⅡ 大倉山駅省エネ… H16∼ 湊川公園駅省エネ H15 総合運動公園駅新 省エネ H15 海岸線省エネ H17∼ 西神百貨店ビル省エネ 新長田地下鉄ビル省エネⅠ H15 ⑤PR(普及啓発) 新長田駅PR H15 地下鉄ビルPR H16 湊川公園駅PR H16 図 7.1 省 エネ取 り組 みスケジュール 次 年 度 以 降 FS を 実 施 し 、 よ り 詳 細 に 導 入 す べ き 省 エ ネ 手 法 の 選 定 と 事 業 手 法 に つ い て検討を加えるものとする。 26 鉄道施設の省エネルギービジョン 7.2 路 線 毎 の 省 エ ネ ル ギ ー 対 策 5章において各種省エネルギーメニューの検討を行った。今後の省エネルギー対策と その事業展開を考慮した場合、施設設置年度が近く、導入されている設備システムが似 ている路線毎に計画を立てることが合理的であるため、それぞれの路線に合わせた対策 方 針 を 整 理 す る 。 具 体 に は 、 各 路 線 で の FS 調 査 に よ り 導 入 す る シ ス テ ム 選 定 を 行 う た め、ここではその方針について述べるに留める。 路 線 ご と の 省 エ ネ ル ギ ー FS 調 査 路線全体の省エネ対策 ・路 線 と し て の 取 り 組 み が必要なもの 7.2.1 駅毎の省エネ対策 ・駅毎の改修で対処でき るもの 西神・山手線省エネルギー対策 山手線は、水蓄熱システムから順次氷蓄熱システムに変更予定であり、既に新長田駅 ( 西 神 線 )、 湊 川 公 園 駅 で 実 施 し て い る 。 今後を含め、西神・山手線地下駅における省エネルギー対策は、氷蓄熱システム、高 効 率 照 明 の 導 入 お よ び ト ラ ン ス の 統 廃 合 を 軸 に 、5 章 に て 検 討 し た 動 力 機 器 の 可 変 制 御 、 設備運用の適性化など各駅毎に省エネメニューを組み立てる。 西神線では、地下駅は山手線に準じるものとなり、地上駅ではトランスの統廃合(交 互 運 転 )、照 明 の 省 エ ネ ル ギ ー モ ー ド を 中 心 と し な が ら 、太 陽 光 パ ネ ル 等 の 新 エ ネ ル ギ ー にも取り組んでいくものとする。 7.2.2 海岸線省エネルギー対策 海 岸 線 で は 4 両 化 対 応 の 設 備 へ の 一 部 変 更 、ト ラ ン ス の 統 廃 合( 交 互 運 転 )を 中 心 に 、 5章にて検討した動力機器の可変制御、設備運用の適性化など各駅毎に省エネメニュー を組み立てるものとする。 27 鉄道施設の省エネルギービジョン 7.3 事 業 の 実 施 方 針 と 目 標 7.3.1 事業の実施方針 交通局では6章で示したように、省エネルギー事業の実施について、現段階では自主 財源を活用した手法を取り入れることにする。そのため、既存スキームにより設備の省 エネ改修を行うことを前提としておくが、交通局が主体となって省エネルギー手法を開 発しようとしても限界があることも現実である。世の中に数多く存在する、様々な省エ ネ ル ギ ー 手 法 の 導 入 に よ り 、実 際 の 省 エ ネ ル ギ ー を 確 実 な も の に し よ う と す れ ば 、ESCO 事業を活用し広く公募することも合理的といえる。 省 エ ネ ル ギ ー 事 業 を 、 図 6.1 地下鉄での省エネルギー事業イメージに示した流れに 沿って進めるため、既存スキームによる設備の省エネ改修を進めると共に、次年度以降 に 実 施 す る FS 調 査 に お い て 、 ギ ャ ラ ン テ ィ ー ド ・ セ イ ビ ン グ ス に よ る ESCO 事 業 の 可 能性についても評価し、経済的負担が少なくかつ省エネを確実に実施できる設備改修シ ステムの構築を図る。 7.3.2 地下鉄省エネルギーの目標 地下鉄のエネルギー消費は、駅規模や列車本数、乗降人員数、外気条件等に影響され るが、今後の地下鉄事業において、大幅な乗降客数の増減およびそれに伴う列車運行本 数の変更については想定されていない。 将来のエネルギー消費量についても、対策を行わない場合については、現状のままで 推移することが予想されている。 以 上 よ り 目 標 値 に つ い て は 、 将 来 ( 2010 年 ) の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 = 現 況 ( 2002 年 ) エネルギー消費量を前提に、省エネルギー率を設定する。 今後の地下鉄省エネの目標としては、現段階で投資回収が短い運用により実施可能な 施策、投資回収年数は長くても省エネルギー効果が大きいと考えられる施策を対象とす る。 5 章 に て 検 討 し た 地 下 鉄 省 エ ネ メ ニ ュ ー と そ の 効 果 検 討 に お い て 、A ~D ラ ン ク に よ る 評 価 を 行 っ た が 、2010 年 ま で と の 時 間 的 制 約 と 予 算 上 の 制 約 を 考 慮 し 、A の す べ て 、B ランクの半分程度の施策実施による省エネルギー可能量をもとに以下の数値とする。 表 7.1 路 線 毎 の省 エネルギー目 標 項目 海岸線 西神線 山手線 エネルギー消 費 量 (kWh/年 ) 18,779,320 12,512,147 14,456,994 省 エネルギー目 標 (%) 7% 7% 12% 目 標 省 エネルギー量 1,400,000 900,000 1,800,000 (kWh/年 ) 注)目標省エネルギー量は、路線毎に有効数値2桁とした。 28 合計 45,748,461 9% 4,100,000 鉄道施設の省エネルギービジョン策定 概要版 平成16年2月 発行 神戸市交通局施設管理課 TEL 078-322-5968 FAX 078-322-6190 神戸市交通局電気システム課 TEL 078-791-0729 FAX 078-791-9749