...

神経科精神科 後期研修プログラム 概要 当科の特色

by user

on
Category: Documents
18

views

Report

Comments

Transcript

神経科精神科 後期研修プログラム 概要 当科の特色
神経科精神科 後期研修プログラム
概要
精神医学の幅広い分野で診断治療の技術を身につけ、精神保健指定医の資格を取り、精
神科医として充実した臨床ができることが目標です。精神医学がカバーする領域は広く、統
合失調症、気分障害、不安障害などの精神疾患や小児の発達障害や認知症などの器質性
精神疾患などで学問領域は精神医学、臨床神経学、臨床心理学、小児科学、神経生理学、
臨床脳波学、精神保健学にまたがります。近年、うつ病と不安障害の患者数の増加が顕著
で、自殺予防などの職場や学校での精神保健の充実が求められています。このように精神
医療への需要が増す一方で、精神保健指定医は絶対的に不足しております。当科は大学
病院という公立総合病院にある神経科精神科で、看護スタッフ、臨床心理士、作業療法士な
どのコメディカル・スタッフが充実し、病棟や検査機器などのインフラの整備された診療科で
す。精神医療はおおまかには、総合病院の精神科や神経科(公立まはた私立)、単科の精
神科病院(公立または私立)を中心に行われており、それぞれに特徴があります。関連病院
も北陸三県にあり、精神病理に興味があり慢性の精神疾患をじっくり診たい先生、リエゾン
精神医学をやりたい先生、器質性精神病に興味のある先生、脳波や画像の研究をされたい
先生など、興味や関心に応じて研修病院を割り振ることもできます。臨床での疑問を動機と
して研究につなげたいというのが、当教室の願いであり目標です。
当科の特色
2009年に開設100周年を迎えた歴史ある精神医学教室です。当科の特徴は以下の通りで
す。
1. 統合失調症、気分障害、不安障害、器質性精神障害をはじめ幅広く精神疾患に対応して
います。特に摂食障害や強迫性障害などの難治性疾患には行動・認知療法を取り入れ、
薬物・精神療法を補完しています。
2. 平成20年度より、子どものこころの診療科が独立し、児童精神医学の専門性を強化しま
した。
3. リエゾン精神医学に力をいれています。意識障害や認知障害による行動障害の治療の
ために迅速な対応を行っています。また、身体合併症をもつ精神疾患の患者さんの治療
も積極的に行っています。
4. 心理検査のための充実したスタッフを持ち、臨床症状との対応を常に行い、治療へフィー
ドバックしています。
5. 新薬の臨床治験にもできる限り参加し、新薬の臨床情報の蓄積に努めています。また、
難治性疾患に対し、種々の薬物の組み合わせで症状の改善が得られないかという目的
で院内の臨床治験を数多く行っています。
6. 睡眠時無呼吸や診断困難なてんかん性突発波をとらえるための脳波記録装置を持ち、
睡眠障害の診断治療のためのスタッフがいます。
7. 大学病院以外の一般病院での臨床経験が豊富なスタッフが多く、効率のよい治療を行っ
ています。
8. 臨床研究を主たる研究目標としており、得られた結果を診療に反映させています。
9. 多くの関連病院を北陸三県に持ち、希望に応じて研修病院を選べます。
10. 日本てんかん学会賞、日本老年精神医学会特別奨励賞などを受賞した研究実績があ
り、生物学的精神医学の分野で英文学術雑誌での多くの研究報告があります。また小児
の精神疾患では広汎性発達障害の病態解明に力をいれています。
シドニー ベイアー ジュニア 賞 (2005/05)、若手研究者奨励賞 (2006/3)、トラベルアワード (2005/0
8)日本統合失調症研究会 第3回研究助成 最優秀賞 橋本 隆紀.
スタッフ
三邉 義雄 (みなべ よしお)
医薬保健学域医学系教授脳情報病態学(金沢大学卒 昭和53年卒)
(資格) 精神保健指定医、精神科専門医、精神科指導医、医学博士
(専門分野) 臨床医学、神経科学
橋本 隆紀 (はしもと たかのり)
医薬保健学域医学系准教授脳情報病態学(新潟大学卒 平成1年卒)
(資格) 医学博士
(専門分野) 精神医学一般、統合失調症の病態メカニズム
棟居 俊夫 (むねすえ としお)
子どものこころの発達研究センター特任准教授(金沢大学卒 昭和55年卒)
(資格) 精神保健指定医、医学博士、日本精神神経学会認定医、
(専門分野) 児童思春期精神医学、広汎性発達障害
戸田 重誠 (とだ しげのぶ)
附属病院講師神経科精神科(東北大学卒 平成3年卒)
(資格) 医学博士、日本精神神経学会認定医
(専門分野) 精神医学一般、コカイン依存の病態メカニズム
長澤 達也 (ながさわ たつや)
附属病院講師神経科精神科 (金沢大学卒 平成5年卒)
(資格) 精神保健指定医、医学博士、総合病院精神医学会指導医。日本精神神経学会指導医
(専門分野) 臨床精神薬理学、統合失調症の薬物治療
菊知 充 (きくち みつる)
医薬保健学域医学系特任助教 (金沢大学卒 平成6年卒)
(資格) 精神保健指定医、医学博士
(専門分野) 臨床神経生理学、臨床脳波学(脳波解析学)
金田 礼三 (かねだ れいぞう)
附属病院助教神経科精神科 (金沢大学卒 平成6年卒)
(資格) 精神保健指定医、医学博士、日本精神神経学会指導医
(専門分野) 睡眠学、睡眠時無呼吸、変容性睡眠の終夜ポリグラフ
村上 雅子 (むらかみ まさこ)
医薬保健学域医学系助教脳情報病態学 (金沢大学文学部卒 昭和62年卒)
(資格) 臨床心理士、文学修士
(専門分野) 臨床心理学
中谷 英夫 (なかたに ひでお) 附属病院助教神経科精神科 (金沢大学卒 平成7年卒)
(資格) 精神保健指定医、医学博士日本児童青年期精神医学会認定医
(専門分野) 児童精神医学
小野 靖樹 (おの やすき) 附属病院助教神経科精神科 (東北大学卒 平成2年卒)
(資格) 日本脳神経外科学会専門医、医学博士
(専門分野) 精神医学一般、児童精神医学
花岡 昭 (はなおか あきら)附属病院助教神経科精神科 (金沢大学卒 平成12年卒)
(資格) 精神保健指定医
(専門分野) 精神医学
橋場 悟 (はしば さとる)附属病院医員神経科精神科 (金沢大学卒 平成18年卒)
廣澤 徹 (ひろさわ てつ)医薬保健学域医学系脳情報病態学院生(金沢大学卒 平成18年卒)
松原 拓郎 (まつばら たくろう)医薬保健学域医学系脳情報病態学院生(金沢医科大学卒 平成
18年卒)
山口 陽平(やまぐち ようへい)附属病院医員神経科精神科(金沢大学卒 平成20年卒)
立脇 信彦(たてわき のぶひこ)附属病院医員神経科精神科(新潟大学卒 平成20年卒)
研修プログラム
後期研修1年目(大学院・医員):複数の指導医のもとに、入院患者の診断治療にあたる。
回診時の病状報告、抄読、症例検討、関連病院パート、
学会参加、学会発表
後期研修2年目(大学院):入院患者の診断治療にあたる。回診時の病状報告、抄読、症
例検討、関連病院パート、研究グループを選び、学位研
究の指導、学会参加、研究、学会発表
後期研修2年目(医員):関連病院での入院患者の診断治療にあたる。大学の研究会など
へ参加、学会参加、学会発表
後期研修3年目(大学院・医員):入院患者の診断治療、外来での再来を担当。回診時の
病状報告、抄読、症例検討、関連病院パート、保健指定
医のレポート作成
後期研修4年目(大学院・医員):入院患者の診断治療、指導医としての役割、回診時の病
状報告、抄読、症例検討、関連病院パート、学位論文作
成、学会参加・発表
大学院
大学病院
医学博士
医員
精神保健指定医
学会専門医
医員
留学
関連病院
診療内容と症例数
神経科と精神科を標榜し、精神科病棟(精神保健福祉法による開放・閉鎖病棟)と神経科
病棟(精神保健福祉法によらない)があり、精神保健福祉法で規定される精神障害の患者
(精神科)と神経疾患や不安障害の患者(神経科)の診療にあたっています。小児から高齢
者まで、内因性・心因性の精神疾患から外因性の器質性精神障害まで、幅広く診断治療を
行っています。また、総合病院精神科として、他科の入院患者のリエゾン精神医療に積極的
にかかわっています。大学病院精神科として全国有数の外来患者数があり、閉鎖病棟と充
実した看護スタッフを持ち重症患者にも対応できます。紹介患者も多く、難治性精神疾患に
取り組んでいます。昨年平成17年度では、新患が1124人で再来患者数は一日で100~200
名程度です。全身麻酔科で筋弛緩剤を用いた修正電気けいれん療法、てんかん波や変容
睡眠検査のための専門脳波室やモニター装置など診療に必要なものはほぼ完備している。
症例数の紹介
(全体の患者数のパーセンテージでICD-10による分類で平成17年から平成19年まで)
外来患者の疾患別の概要(平成17年~19年)
人
4500
症状性を含む器質性精神障害
精神作用物質使用による精神及び行動の障害
4000
統合失調症、他の精神病性障害及び妄想性障害
3500
気分(感情)障害
神経症障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
3000
生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
2500
成人の人格及び行動の障害
精神遅滞
2000
心理的発達の障害
1500
小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
特定不能の精神障害
1000
神経疾患(認知症を伴わないもの)
500
てんかん
睡眠障害
0
平成17年 平成18年 平成19年
その他
入院患者の疾患別の概要(平成17年~19年)
人
350
症状性を含む器質性精神障害
精神作用物質使用による精神及び行動の障害
300
統合失調症、他の精神病性障害及び妄想性障害
気分(感情)障害
250
神経症障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
200
成人の人格及び行動の障害
精神遅滞
150
心理的発達の障害
小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
100
特定不能の精神障害
神経疾患(認知症を伴わないもの)
50
てんかん
睡眠障害
0
平成17年 平成18年 平成19年
その他
資格取得
精神保健指定医:これは厚生労働省が管轄する資格です。5 年以上の臨床経験と精神保
健指定医の指導のもとに 3 年以上の精神科臨床を行い、法律に定められた症例の診断治
療にあたり、かつこれらの症例報告を提出して得られる資格です。医療保護入院や措置入
院などの精神医療の中核を担う業務をする際に必須の資格で、精神科医である証しでもあ
ります。従って後期研修で 3 年以上の臨床を行わないとこの資格を請求することができませ
ん。
日本精神神経学会専門医:精神科医療に中心的役割果たしている日本精神神経学会が
定めた専門医です。最近発足した制度で、現在は移行措置がとられています。精神神経学
会の会員であり学会が定めた臨床研修を行い、症例報告と口頭試問に合格すれば、専門医
の資格がとれます。将来的には精神保健指定医の資格と連動するかもしれません。金沢大
学医学部附属病院神経科精神科は日本精神神経学会が定めた臨床研修施設に指定され
ています。
学位取得
大学院へ進学し、まとまった研究をすることを勧めます。これは学術研究に貢献するという
ことと学位取得後の臨床を充実させるためです。学位取得は研究内容にもよりますが、大学
院進学後、研究が順調にいけば4~5年で学位論文(甲論文)を投稿できます。脳情報病態
学では臨床研究を優先課題としています。代表的な研究分野としては、うつ病、不安障害、
統合失調症の病態の研究の他、生物学的アプローチから発達障害を探る研究があります。
大学院ではなく論文博士(乙論文)もこれまでに数名おります。新たな臨床知見を得ることも
大事ですが、学位研究をとおして臨床で生じた疑問を材料や方法を自ら組み立て、結果を得
てそれをもとに考察し一定の結論を得るという過程を経験することにより将来の臨床をより確
かなものに臨床生活が充実するはずです。
後期研修後の進路
後期研修を精神科で修了したあとは、是非、精神科の専門医となって精神医療で活躍され
ることを勧めます。また診療機関以外では医療行政にたずさわる先生も多く、県の精神保健
関連施設でのご活躍の先生もおられます。また、大学に残り、教育・研究・臨床を支える大学
職員となる道もあります。外来だけのクリニックを開業しておられる先生も多い。
留学
ある程度の研究業績ができたら海外へ出て外国人研究者と研鑽をつむことが望ましい。当科
では多くの大学や研究所へグラントを持って留学に出ています。一部を紹介します。
ベルン大学臨床精神医学(ベルン)、カルフォルニア大学脳研究所(カルフォルニア)、 サルペ
トリエール病院神経病理研究室(パリ)、 アルバート・アインシュタイン大学神経学教室睡眠覚
醒疾患センター(ニューヨーク)、 スタンフォード大学医学部睡眠クリニック(カルフォルニア)、
デュセルドルフ大学精神医学(デュセルドルフ)、 臨床薬理学:ケースウエスタン大学生物精
神医学研究室(オハイオ)、ピッツバーグ大学精神医学(ピッツバーグ)、サウスカロライナ大学
精神医学(サウスカロライナ)
関連施設
国公立病院
国立病院機構金沢医療センター(石川県金沢市) 石川県立高松病院(石川県かほく市)
公立能登総合病院精神センター(石川県七尾市) 小松市民病院精神科(石川県小松市)
公立松任石川中央病院神経科(石川県白山市)
富山市民病院精神科(富山県富山市) 高岡市民病院精神神経科(富山県高岡市)
国立病院機構北陸病院(富山県南砺市) 厚生連高岡病院神経科(富山県高岡市)
砺波総合病院精神科・緩和ケア科(富山県砺波市)
福井県立病院こころの医療センター(福井県福井市)
医療行政機関
石川県こころの健康センター(石川県金沢市)
私立病院
石川県:
桜ヶ丘病院(石川県金沢市)、岡部病院(石川県金沢市)、松原病院(石川県金沢市)、と
きわ病院(石川県野々市町)、粟津神経サナトリウム(石川県小松市)、十全病院(石川県
金沢市)、加賀こころの病院(石川県加賀市)、かないわ病院(石川県金沢市)、七尾松原
病院(石川県七尾市)、結城病院(石川県金沢市)、青和病院(石川県金沢市)、医王ヶ丘
病院(石川県金沢市)、丘の上病院(石川県加賀市)
富山県:
佐々木病院(富山県富山市)、グリーンヒルズ若草病院(富山県大門町)、中川病院(富山
県富山市)、川田病院(富山県高岡市)、谷野呉山病院(富山県富山市)、魚津神経サナト
リウム(富山県魚津市)、矢後病院(富山県高岡市)、常願寺病院(富山県富山市)、松岡
病院(富山県小矢部市)、柴田病院(富山県高岡市)
福井県:
武生記念病院(福井県武生市)、新田塚医療センター福井病院(福井県福井市)、福井松
原病院(福井県福井市)
外来のみパート医を派遣している公立病院
金沢市立病院、金沢社会保険病院、公立松任中央病院、能登総合病院、小松市民病院、
砺波総合病院、富山市民病院
医師の派遣依頼のある病院:
長野赤十字病院、高山赤十字病院、岐阜大など。
連絡先
詳細は下記までお問い合わせください
〒920-8641 石川県金沢市宝町13番1号
金沢大学医薬保健研究域医学系脳情報病態学
医局長 (長澤達也) E-mail: [email protected]
Tel: 076-265-2304 Fax: 076-234-4254
神経科精神科のホームページは
http://web.kanazawa-u.ac.jp/%7Emed20/index.htm
Fly UP