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渡良瀬遊水地第 2 調節池 エコミュージアム基本計画

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渡良瀬遊水地第 2 調節池 エコミュージアム基本計画
渡良瀬遊水地第 2 調節池
エコミュージアム基本計画
みんなで 「創る」
生井桜づつみ近傍掘削地(約 8.6ha)
みんなで 「活用する」
平成 26 年 10 月 18 日渡良瀬遊水地へコウノトリが 27 年ぶりに飛来
(写真提供:宇都宮大学
稲葉一将氏)
みんなで 「育て・支える」
ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦
平成 27 年 3 月
小 山 市
はじめに
小山の「宝」である渡良瀬遊水地が平成24年7月3日に世界の
ラムサール条約湿地に登録されたのを受け、小山市は、平成26年
3月に「渡良瀬遊水地関連振興5ヶ年計画」を策定し、「賢明な活
用の3本柱」として、その推進に努めております。
第1の治水機能確保を最優先とした「エコミュージアム化」は、
平成22年3月に国土交通省が策定しました「渡良瀬遊水地湿地保
全・再生基本計画」を具現化するためのものです。
この「エコミュージアム化」は、国土交通省が渡良瀬遊水地第2調節池の掘削により整
備する「浅い池」、「深い池」それらをつなぐ「水路」等を活用し、そこに園路や木道等を
整備し、東京圏の小中学生や、親子連れ、ハイカーなどに、自然観察や自然体験の場を提
供するものです。
本計画策定にあたりましては、地元自治会、治水団体、環境団体等により構成する「渡
良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会」を設置し、多種多様な視点
から意見を頂き策定いたしました。
本計画では、みんなで「創る」、「活用する」、「育て・支える」の取組みの3本柱を設定
しその推進に努めてまいります。
取組みの3本柱の第1のみんなで「創る」につきましては、掘削による湿地再生、ヨシ
原の再生、自然体験・観察コースの整備等を行い自然観察・自然体験の場としての利用環
境を整備してまいります。
第2のみんなで「活用する」につきましては、生き物の再生調査、体験観察プログラム
及びエコツアーの開発等を行い渡良瀬遊水地第2調節池を自然を学ぶ場として活用してま
いります。
第3のみんなで「育て・支える」につきましては、多様な主体の参加による維持管理体
制の整備、ツアーガイドの養成等を行い、貴重な環境を将来へ引き継いでいくための仕組
みや体制を作ってまいります。
結びに、本計画の策定にあたり関係された皆様に対し、心から感謝申し上げますととも
に、本計画の推進にあたり、今後ともご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成27年3月
小山市長
大久保 寿夫
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画
目 次
も
第1章
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定の背景
第2章
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアムの目標像
第3章
基本計画の全体像
第4章
基本計画
................................. 1
................................................... 2
......................................................................................................... 4
....................................................................................................................... 5
1.みんなで「創る」 ..................................................................................................................... 7
1-1 掘削による湿地再生 ............................................................................................................. 7
1-2 ヨシ原の再生 ..................................................................................................................... 10
1-3 自然体験・観察コースの整備(木道、園路、観察施設等) .............................................. 11
1-4 貴重な動植物の観察・研修施設等の整備........................................................................... 13
1-5 水路からの水供給による湿地再生実験 .............................................................................. 15
1-6 与良川へのゴム堰の設置検討 ............................................................................................ 18
1-7 野渡橋を活用した野木町との連携 ..................................................................................... 20
2.みんなで「活用する」 ............................................................................................................ 22
2-1 生きもの再生調査 .............................................................................................................. 22
2-2 体験・観察プログラムの開発 ............................................................................................ 23
2-3 エコツアーの開発 .............................................................................................................. 24
2-4 体験・観察プログラム、エコツアーの充実化 ................................................................... 25
2-5 エコツアーの広報・PR ...................................................................................................... 26
2-6 適正な利用に関するルールづくり ..................................................................................... 29
3.みんなで「育て・支える」 ..................................................................................................... 31
3-1 多様な主体の参画による維持管理体制の整備 ................................................................... 31
3-2 継続的な維持管理の実施.................................................................................................... 32
3-3 ツアーガイドの養成 ........................................................................................................... 33
3-4 国、2 市 1 町の連携による取り組みの推進........................................................................ 34
4. 渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画の実現に向けて .................................. 35
4-1 計画の進行管理 .................................................................................................................. 35
資料編:渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定の経緯
第1章
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定の背景
渡良瀬遊水地では、かつての第二貯水池建設計画への反対運動の一環として、貯水池建設では
なく自然を破壊せず地域振興にも貢献する「エコミュージアム」をあるべき将来像とした「渡良
瀬遊水池エコミュージアム・プラン」
(平成 11 年)が「渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議
会」によって作成されました。その後、第二貯水池建設計画の中止が決定し、平成 22 年に「渡
良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画」
(国土交通省)が策定され、さらに平成 24 年 7 月 3 日には
渡良瀬遊水地が世界のラムサール条約湿地に登録されました。
小山市は平成 26 年 3 月に「渡良瀬遊水地関連振興 5 ヶ年計画」を策定し、第1に「治水機能
確保を最優先としたエコミュージアム化」、第 2 に「トキ・コウノトリの野生復帰」、第 3 に「環
境にやさしい農業を中心とした地場産業の推進」を「賢明な活用の 3 本柱」として、その推進に
努めています。
この第 1 の「治水機能確保を最優先としたエコミュージアム化」を一層推進するために、
「渡良
瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会」を設置し、この懇話会における意見
を集約して「渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画」を策定することとなりました。
基本計画の策定後、この計画の実現に向けたお願いを国土交通省へしていくものです。
「渡良瀬遊水池エコミュージアム・プラン」の発表
(渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会、平成 11 年 2 月)
渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画(国土交通省、平成 22 年 3 月)
渡良瀬遊水地がラムサール条約湿地に登録(平成 24 年 7 月 3 日)
渡良瀬遊水地関連振興 5 ヶ年計画(小山市、平成 26 年 3 月)
・渡良瀬遊水地の「賢明な活用の 3 本柱」
治水機能確保を最
優先としたエコミ
ュージアム化
トキ・コウノトリ
の野生復帰
環境にやさしい農
業を中心とした地
場産業の推進
渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会の設置
意見の集約
基本計画の策定
実現に向けたお願い
国土交通省
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定の背景
1
第2章
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアムの目標像
本基本計画では、渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアムの目標像を以下のように定めるこ
ととし、この目標を実現するのための取り組みをすすめていきます。
<渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアムの目標像>
目標1: 豊かな自然があった頃の原風景の再現!
目標2: みんなが集い、学ぶ、自然観察・自然体験の拠点!
目標1
豊かな自然があった頃の原風景の再現!
渡良瀬遊水地では、かつて赤麻沼や石川沼のあった時代から昭和 30 年代まで大小の池沼が
点在し、水生植物や湿生植物などの群落も多く見られ、豊かな生物多様性が育まれていたと考
えられています。しかし、昭和 30 年代以降には河川水位の低下に伴う地下水位の低下により
乾燥化が進み、その結果、今日までに遊水地特有の在来の植生が失われ、さらにセイタカアワ
ダチソウ等の侵略的な外来種が拡大するなど湿地環境は悪化してきました。
平成 22 年に策定された「渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画」
(国土交通省)では、現存
する良好な環境の保全と治水機能の向上に配慮しながら、乾燥化によって環境が悪化した場所
を掘削することによって湿地の保全・再生をすすめることを目標としています。
本基本計画では、湿地の再生をより確実なものとするために、掘削のほか、水位管理等の手
法も取り入れながら、かつて見られた良好な水辺環境や貴重な動植物が生息・生育する魅力的
な湿地環境をとり戻す取り組みをすすめ、豊かな自然があった頃の原風景を再現することを目
標とします。
目標 2 みんなが集い、学ぶ、自然観察・自然体験の拠点!
渡良瀬遊水地は平成 24 年 7 月 3 日に世界のラムサール条約湿地に登録されました。ラムサ
ール条約は「ワイズ・ユース(賢明な活用)」を基本原則としています。
「ワイズ・ユース」と
は、湿地から得られる恵みを維持しながら、湿地を持続的に利用するというものです。
このワイズ・ユースの観点のもと、渡良瀬遊水地第 2 調節池に関心のある方々みんなが集い、
地域の自然と歴史を学ぶことのできる自然観察・自然体験の拠点としていきます。
渡良瀬遊水地第 2 調節池の保全・再生に向けた取り組みに加えて、地域の活性化や地域の
方々の生活に潤いや豊かさを与えることができるように、「保全」と「活用」の好循環を生み
出すことのできる取り組みをすすめます。
この目標像を実現することが、ラムサール条約登録湿地にふさわしい湿地づくりにつながる
ものと考えられます。
2
第3章
基本計画の全体像
渡良瀬遊水地関連振興
5 ヶ年計画
(小山市、平成 26 年 3 月)
渡良瀬遊水地の
「賢明な活用の 3 本柱」
治水機能確保を最優先とした
エコミュージアム化
トキ・コウノトリの野生復帰
環境にやさしい農業を中心と
した地場産業の推進
渡良瀬遊水地第 2 調節池
エコミュージアム基本計画
<目標とする姿>
豊かな自然があった頃の
原風景の再現!
みんなが集い、学ぶ、
自然観察・自然体験の拠点!
関連計画
渡良瀬遊水地
湿地保全・再生基本計画
(国土交通省:平成 22 年 3 月)
渡良瀬遊水池
エコミュージアム・プラン
(渡良瀬遊水池を守る利根川流
域住民協議会:平成 11 年 2 月)
国営土地改良事業
栃木南部地区事業計画(案)
(関東農政局:平成 26 年度策定予定)
3
具体的な取り組み内容と取組実施者、スケジュール
取組実施者
取り組みの
3本柱
具体的な取り組みの内容
国
土
交
通
省
関係自治体
農
林 栃
水 木 小 栃 野
産 県 山 木 木
市 市 町
省
地
市
元
民
自
団
治
体
会
スケジュール
渡
良
利
瀬
活
遊
用
水
協
地
議
保
会
全
・
ヨ
シ
採
取
業
者
旅
行
会
社
平 平 平
民
成 成 成
間
27 28 29
企
年 年 年
業
度 度 度
平
成
30
年
度
平
成
31
年
度
平
成
32
年
度
平
成
33
年
度
平
成
34
年
度
平
成
35
年
度
平
成
36
年
度
1.掘削による湿地再生
P7
(1)生井桜づつみ近傍約8.6haの
掘削地周辺エリアの掘削
(2)計画的な掘削による湿地再生
2.ヨシ原の再生
生井桜づつみ近傍エリア
●
●
●
P7,8
●
●
●
P9
●
●
●
P10
●
3.自然体験・観察コースの整備
●
(木道、園路、観察施設等)
P11,12
●
4.貴重な動植物の観察・研修施設等の
みんなで
「創る」
●
整備
P13,14
●
5.水路からの水供給による
P15
湿地再生実験
(1) 仮堰上げや水路造成等による
●
実験の検討
P15
●
(2) 樋管(与良川等)からの
●
導水の検討
●
P16
●
(3) 樋管からの導入水の
●
●
P17
6.与良川へのゴム堰の設置検討
●
●
P18
7.野渡橋を活用した野木町との連携
●
水質浄化の検討
1.生きもの再生調査
●
P20,21
●
継続的に実施
●
P22
●
●
2.体験・観察プログラムの開発
●
●
3.エコツアーの開発
●
●
●
P24
●
●
●
P25
継続的に実施
継続的に実施
4.体験・観察プログラム、
みんなで エコツアーの充実化
「活用する」
継続的に実施
5.エコツアーの広報・PR
●
●
●
●
●
6.適正な利用に関するルールづくり
(2)道路や占用耕作地に関する調整
利用の範囲、利用のマナー等の検討
●
道路や占用耕作地に関する調整
●
●
●
1.多様な主体の参画による
首都圏や企業からの参加の拡大
●
●
●
●
●
2.継続的な維持管理の実施
●
●
●
●
●
3.ツアーガイドの養成
●
維持管理体制の整備
つる植物・ヤナギ・セイタカアワダチソウの除去等
P26
●
●
●
4
●
●
P29
P30
P31
P32
P33
●
4.国、2市1町の連携による
取り組みの推進
P23
P29
(1)適正な利用に関するルールづくり
みんなで
「育て・
支える」
対
応
ペ
ー
ジ
継続的に実施
P34
渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画図
<取組段階の凡例>
短期(概ね 5 年以内)
中長期(概ね 6 年~10 年以内)
5
渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム 取り組みイメージ
みんなで「創る」
観察コースを設定し、標識類を整備
水辺の再生と園路整備
みんなで「活用する」
ヨシ舟体験
生きもの再生調査
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
みんなで「育て・支える」
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
wwwwww
協働による湿地再生、維持管理活動、ヨシの刈り取り
6
第4章
1.
1
1-1
基本計画
みんなで 「創る」
~
渡良瀬遊水地第 2 調節池の貴重な湿地環境を保全・再生し、
自然観察・自然体験の場としての利用環境を整備します
掘削による湿地再生
(1) 生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地周辺エリアの掘削
【短期】
平成 26 年度より生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削が国土交通省によってすすめられ、平
成 26 年 9 月に掘削が完了しました。また、平成 27 年度以降は東側 6.2ha の掘削が予定さ
れています。
本エリアは堤防から近く、アクセスも良好であることから、約 8.6ha の掘削地近傍の湿地
再生を先行してすすめ、利用施設も一体的に整備を図り、渡良瀬遊水地第 2 調節池における
エコミュージアムのモデルエリアとして活用していきます。
自然体験・観察コースの整備
既設
新設
地域の資源や歴史・文化を楽しむための
周辺におけるフットパスコースの設定
(旧思川、生井ふるさと公園、
田んぼアート、あんずの里などの
周辺資源との一体的な利用)
観察施設
生きもの再生調査の実施
自然体験・観察の場として活用
生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地周辺エリア基本計画図
7
 生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地に隣接する東側のエリアにおいて、つる植物が繁
茂するヨシ原を掘削し、多様な湿地環境の再生を図ります。
【掘削面積】
・池や湿地帯の造成 約 4.2ha
・ヨシ原の再生 約 2.0ha
 生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地と一体となったエコミュージアムのモデルエリ
アとして活用していく計画であることから、早期に掘削して頂くための要望活動を行
います。
<取組実施者>
・国土交通省、小山市、市民団体
生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地に隣接するエリアでは、堤防側にヨシ採取場(下生井
地区)があるものの、東日本大震災以降にヨシ焼きが行われなったことや乾燥化の進行によ
って現状ではヨシ原がつる植物で覆われてしまい、ヨシを採取することができない状態にな
っています。
そこで曝気ヤードや貴重な植物が生育する範囲を回避しながら、つる植物が繁茂するヨシ
原を掘削し、地盤を下げることで湿地やヨシ原の再生をすすめて生井桜づつみ近傍約 8.6ha
の掘削地と一体となった多様な湿地環境とヨシ原の再生を図ります。
平成 27 年度掘削要望範囲(面積約 6.2ha)については、小山市が平成 27 年 1 月に国土交
通省、栃木県に要望活動を行いました。
平成 27 年度掘削要望範囲
(面積約 6.2ha)
曝気ヤード
曝気ヤード
つる植物が繁茂したヨシ原
平成 27 年度掘削要望箇所
8
基本計画図
(2) 計画的な掘削による湿地再生【中長期】
 渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会におけるに評価結果に基づき、国土
交通省によって掘削を行います。
 実験地等におけるモニタリング結果を、適切に保全・再生手法へ反映します。
 「深い池」、
「浅い池」のほか、これらの池を「水路」によってつなぐことを今後の湿
地再生に取り入れて頂くことを要望していきます。
<取組実施者> 国土交通省、小山市、市民団体
掘削による湿地再生の際には、実験地として掘削された池と実験完了後に本格的に再生す
る湿地の位置付けや、渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画(国土交通省)における段階施
工等について調整を行った上で、渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会における
評価結果に基づき、国土交通省によって掘削を行います。
これまでに掘削された実験地においては、掘削後にセイタカアワダチソウやヤナギ類の繁
茂がみられるなどの課題もあることから、実験地におけるこれまでのモニタリング結果に基
づき、今後の掘削に際しては、適切に掘削手法に反映します。
また、「深い池」、「浅い池」のほか、掘削した池を「水路」によってつなぐことについて、
実験的な取り組みを行いながら技術的な可能性を検討し、今後の湿地再生に取り入れて頂く
ことを要望していきます。
生井桜づつみ近傍約 8.6ha 掘削地における
「多様な深さの池」のイメージ図
生井桜づつみ近傍約 8.6ha 掘削地における
「多様な湿地帯」のイメージ図
(出典:「第 8 回渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会資料」(国土交通省))
9
1-2
ヨシ原の再生
【短期~中長期】
 ヨシ原の環境が悪化し、ヨシの採取ができなくなってしまった場所では、掘削によっ
て地盤を下げ、ヨシの生育に適した環境を整備してヨシ原を再生します。
 ヨシ原が再生するまでの間、ヨシを採取できる代替地等についても関係者間で調整を
図っていきます。
<取組実施者>
国土交通省、小山市、地元自治会、ヨシ採取業者
渡良瀬遊水地のヨシ焼きは、平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災の影響で平成 23 年、24
年においては中止になりました。曝気ヤードの造成、湿地の乾燥化、震災後にヨシ焼きがで
きなかったこと等の影響で、ヨシ原の多くがつる植物に覆われてしまい、ヨシが採取できな
い場所が増えています。
このようにヨシ原の環境が悪化し、ヨシの採取ができなくなってしまった場所では、掘削
によって地盤を下げることで、ヨシの生育に適した環境の整備に取り組みます。
特に国土交通省がヨシ原再生実験地を造成し、
モニタリングが実施されており、再生手法によっ
ヨシ原再生実験地:平成 26 年 6 月より実験開始
ては早期にヨシの再生がみられています。ここで
の成果を活用した効果的な手法を適用してヨシ原
の再生をすすめます。
良質なヨシを採取できるまでには、掘削後、数
年はかかると考えられるため、その間にヨシを採
取できる代替地等についても関係者間で調整を図
っていきます。
撮影日:平成 26 年 9 月 10 日
ヨシが早期に再生している様子
(ヨシ原再生実験地)
(出典:「第 9 回渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会資料」(国土交通省))
ヨシ原再生実験地におけるヨシ原再生手法
10
1-3
自然体験・観察コースの整備(木道、園路、観察施設等)【短期~中長期】
 生井桜づつみ近傍エリアでは掘削による湿地再生とあわせて自然観察コースを設定
し、必要な利用施設を一体的に整備して渡良瀬遊水地第 2 調節池におけるエコミュー
ジアムのモデルエリアとして活用していきます。
【自然体験・観察コースの整備】 約 2~3km
 設定されたコースにおいて、湿原の自然景観の保全に十分配慮しながら、歩道、標識
類、観察施設、その他の利便施設(休憩施設、駐車場、トイレ等)を整備します。
 将来的には、掘削の進捗に応じて、ゆっくりと長く歩く自然観察コースを整備します。
<取組実施者> 小山市、市民団体
生井桜づつみ近傍エリアにおいては、掘削による湿地再生とあわせ、自然観察コースを設
定し、必要な利用施設を一体的に整備して渡良瀬遊水地第 2 調節池におけるエコミュージア
ムのモデルエリアとして活用していきます。
生井桜づつみ近傍エリアは、掘削によってできた広大な池と周辺の湿地帯、湿地帯を利用
する生きもの、与良川と旧与良川河道、ヨシの採取場、堤防からみえる富士山の眺望などの
多様な資源をコンパクトに有しています。それらの資源をつなぎ、活用することで魅力的な
体験を提供できるコースを設定します。
設定したコースにおいて、以下の利用施設などを整備していきます。これらの整備に際し
ては、湿原の自然景観の保全に十分配慮したデザインを採用します。
① 歩道
様々な利用者が自然の中で安全、快適に自然観察コースを利用できるように歩道(木
道、土の道等)を整備します。整備した歩道は利用者が歩く場所を限定する役割を持た
せるなど、自然環境の保全に資することもできます。
土の道(柏崎・夢の森公園)
木道(尾瀬ヶ原)
歩道の整備イメージ
11
② サイン・標識類
コースの起点となる堤防上の駐車場付近においてはコース全体を案内する総合案内標
識を、また、設定されたコースにおける分岐点、中間地点などの適正な設置位置におい
て利用誘導のための誘導標識を、歩道沿いの適切な地点において様々な資源を解説する
ための自然解説標識等を整備します。
ラムサール条約登録湿地
「サロベツ原野」における総合案内標識
ラムサール条約登録湿地
「奥日光の湿原」における誘導標識
自然景観に配慮した標識類の例
③ 観察施設
歩道における人の往来によって水辺に飛来した野鳥が警戒心を抱いてしまう可能性が
あるため、今後の野鳥の飛来状況等を調査しながら、必要に応じて水辺の野鳥にストレ
スを与えずに観察できる施設(歩行者を遮蔽し、かつ野鳥を観察することのできる施設)
等の整備を検討します。
ラムサール条約登録湿地
「宮島沼」における野鳥観察施設
渡良瀬遊水地第 2 調節池
環境学習フィールド
野鳥観察施設等の整備事例
④ その他の利便施設
その他の利便施設として、夏場の暑い時期に日陰を提供するヨシズハウス等の休憩施
設、利用の拠点となる堤防上には駐車場やトイレなどを整備します。
(小山市防災広場に
おいて整備を計画しています。)
ヨシを活用した休憩施設
(生井桜づつみのヨシズハウス)
12
1-4
貴重な動植物の観察・研修施設等の整備【中長期】
 自然観察・自然体験等の活動を支援し、活動の拠点、情報発信の拠点となる
(仮称)エコミュージアムセンターの設置を検討します。
<取組実施者> 小山市、農林水産省
渡良瀬遊水地の自然への理解を深め、自然観察・自然体験等の活動を支援するための施設
として、また、来訪者にとっての利用の拠点、情報発信の拠点となる(仮称)エコミュージ
アムセンターの設置を検討します。
生井桜づつみ近傍エリアを渡良瀬遊水地第 2 調節池におけるエコミュージアムのモデルエ
リアとして活用していくことから、隣接する与良川排水機場等を改修し、本施設を活用する
ことなども検討していきます。
また、施設の運営管理、維持管理を実施する運営体制もあわせて検討します。
(仮称)エコミュージアムセンターには以下のような機能を有することが期待されます。
① 渡良瀬遊水地の持つ魅力を伝える場
② 周辺のフィールドへの案内の場
③ 来訪者がゆっくりとくつろげる休憩スペースの提供
④ 渡良瀬遊水地の自然に関する調査・研究、プログラムの準備作業の場
⑤ ボランティアやエコツアーガイドの活動拠点
⑥ 維持管理の活動拠点
① 渡良瀬遊水地の持つ魅力を伝える場
渡良瀬遊水地の自然や生息する動植物、渡良瀬
遊水地の自然と共生して暮らしてきた地域の
人々の歴史や生活文化を伝える場とします。
サロベツ湿原センター
② 周辺のフィールドへの案内の場
自然観察コースや興味地点を案内する情報発
信を充実させるとともに、観察会やエコツアーの
集散の場とするなど、周辺のフィールドへ案内す
る場としての機能です。
軽井沢
13
野鳥の森
③ 来訪者がゆっくりとくつろげる休憩スペースの提供
来訪者が季節に応じてゆっくりとくつろぎながら自然を感じ、語り合うことのできる休憩
スペースとして、ラウンジ的なスペースを設けることも検討します。
八王子市 長池公園自然館
(お弁当などの飲食ができるスペース)
上高地ビジターセンター
(飲食はできない)
④ 渡良瀬遊水地の自然に関する調査・研究、プログラムの準備作業の場
専門家やボランティアスタッフによる調査やデータの整理、調査データ等を活用した新し
い展示物の製作作業、自然体験活動に用いる資材の手入れ等を行うことのできるワークスペ
ースの設置も検討します。
⑤ ボランティアやエコツアーガイドの活動拠点
スタッフのミーティングや休憩時のコミュニケーションができるスペースを設け、ボラン
ティアスタッフやガイドの活動拠点として機能する場とします。
新潟県当間高原
活動拠点施設(ミーティングルーム)
新潟県当間高原
活動拠点施設(半屋外の作業スペース)
⑥ 維持管理の活動拠点
渡良瀬遊水地第 2 調節池における維持管理を担当する人材の活動拠点として機能する場と
します。また、維持管理活動に必要な資機材を保管する倉庫等の設置も検討します。
14
1-5
水路からの水供給による湿地再生実験
渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画(国土交通省利根川上流河川事務所,平成 22 年 3 月)
における湿地の再生手法は、
「乾燥化して外来種の増殖等により環境が悪化した場所を掘削し、
多様な動植物の生息場の再生を目指す」こととしています。
これまでに掘削によって造成された実験地における湿地の再生状況をみると、掘削による
池には地下水と降水のみで水が供給されているため、雨の少ない渇水期には池の水位が低下
して乾燥化することがあります。また水際では、セイタカアワダチソウ等の外来植物が繁茂
しており、掘削による手法のみでは自然環境の質が低下してしまうことが危惧されます。
これらのことから、湿地の再生をより確実なものとするために、河川や水路に堰を設けて
水位調節を可能にし、掘削によって造成した池を水路によって繋いで多くの池に導水するこ
とと、水位管理によって湿地再生をすすめることを検討します。
これによってセイタカアワダチソウ等の繁茂も抑制し、生物多様性の保全を図り、ラムサ
ール条約登録湿地にふさわしい湿地を再生していくことを目標とします。
(1) 仮堰上げや水路造成等による実験の検討【短期~中長期】
 与良川に仮堰を設けて水位管理をするとともに、旧与良川や生井桜づつみ近傍
掘削地へ導水するために水路を造成して池の水位を管理する実験を検討します。
 治水機能の確保も十分考慮の上、実験計画を検討します。
<取組実施者>
小山市、市民団体
与良川
旧与良川跡
将来的に堰上げや水路からの水供給による湿地再生をすすめることを念頭においた予備的
な取り組みとして、与良川に仮堰を設けて水位管理をするとともに、旧与良川や生井桜づつ
み近傍掘削地へ導水するための水路を造成して池の水位を管理する実験を行うことを提案し
ます。
仮堰は堰板による手法などの簡易な構造を検討するとともに、渡良瀬遊水地第 2 調節池の
治水容量の確保や堤内地側への影響等も考慮し、実験計画を慎重に検討します。
15
(2) 樋管(与良川等)からの導水の検討【短期~中長期】
 石川樋管、与良川樋管、東生井樋管から渡良瀬遊水地第 2 調節池の湿地へ導水すると
ともに、主要な池を水路で結ぶ構造を実現するための検討をすすめます。
 与良川からの導水については、国営土地改良事業栃木南部地区事業計画と調整を図り
ながら「兎堰」を一部開放して、渡良瀬遊水地第 2 調節池への流量を増やすことを検
討します。
<取組実施者>
農林水産省、栃木県、小山市
前述の実験結果に基づき、実験エリア以外の湿地帯も将来的には堰上げや水路からの水供
給による湿地再生をすすめることを検討します。掘削によって造成する多くの池を、地下水
や雨水だけでなく、石川樋管、与良川樋管、東生井樋管から導水できるようにするとともに、
主要な池を水路で結ぶ構造を実現するための技術的な検討をすすめます。
とくに与良川からの導水については、渡良瀬遊水地第 2 調節池の治水容量の確保等も十分
考慮しつつ、国営土地改良事業栃木南部地区事業計画と調整を図りながら、
「兎堰」を一部開
放して、渡良瀬遊水地第 2 調節池への流量を増やすことを検討します。
兎堰の開放
第 2 調節池への
導入水量の増加
国営土地改良事業栃木南部地区事業計画案(平成 26 年度策定予定)をもとに作成
16
(3) 樋管からの導入水の水質浄化の検討【短期~中長期】
 樋管から渡良瀬遊水地第 2 調節池への導水に際して、水質調査(窒素、リン、鉄分等)
を実施し、導水に際する効果や影響を検討します。
 導入水の水質の実態に応じて、湿地帯の植物を活用した水質浄化手法を検討します。
<取組実施者>
・小山市、市民団体
渡良瀬遊水地第 2 調節池へ導水することによっ
て水質を悪化させることのないように、樋管から
の導入水の水質を調査し、導水に際する効果や影
響を検討した上で必要に応じて湿地帯の植物を活
用した水質浄化手法を検討します。
とくに水田からの排水には、肥料を起源とする
富栄養化物質である窒素やリン、用水として汲み
上げた地下水には鉄分などが含まれている可能性
植物による水質浄化の概念図
があります。ヨシ等の植物を用いた水質浄化によって窒素・リン等の栄養塩類の除去が可能
であり、高度な維持管理を必要とせず、省エネルギーかつ低コストで湿地再生にも寄与でき
ます。植物を活用した水質浄化手法については各地で試験的な取り組みが行われていますが、
一般的には植物による水質浄化によって以下に記す効果が期待できます。
・窒素除去
窒素は水中の植物の茎についている微生物
により分解されます。植物は水中の根へと酸素
を送り込み、この作用を促進すると同時に分解
された窒素を吸収します。
・リン除去
ヨシ原浄化施設
リンは底質に吸着される、もしくは無機化さ
(出典:利根川上流河川事務所 HP)
れたリンが植物に吸着されることにより除去
されます。
・BOD除去
BODは植物体によって直接除去されるのでは
なく、植物の存在により微生物量が増え有機物
の分解が促進されることによって除去されます。
・浮遊物質除去
植物体の存在する水域に浮遊物質が流入してく
ると、流入してきた浮遊物質は接触沈殿効果に
ヨシ原による浄化のメカニズム
よって除去されます。
(出典:利根川上流河川事務所 HP)
17
1-6
与良川へのゴム堰の設置検討【中長期】
 仮堰上げや水質浄化に関する実験結果に応じて、与良川にゴム堰(ラバーダム)を設
置し、非出水期の水位を上げ、水路の水深を維持することを検討します。
 非出水期において、第 2 調整池内の湿地保全のために第 2 排水門の水位調節をするこ
とについて、管理者である国土交通省と協議をすすめます。
<取組実施者>
小山市、市民団体
掘削によって造成した池を水路によって繋いで導水し、与良川の水位管理による湿地の保
全・再生と維持管理を確実にすすめるために、前述の実験結果や渡良瀬遊水地第 2 調節池の
地形等をふまえて与良川にラバー堰等を設置して水位を上昇させることを視野に入れた検討
をすすめます。
また、第 2 排水門は渡良瀬川の洪水を調節するために渡良瀬川や渡良瀬遊水地第 2 調節池
の水位に応じて操作されていますが、非出水期において、第 2 調整池内の湿地保全のために
第 2 排水門において水位調節をすることについて、管理者である国土交通省と協議をすすめ
ます。
(出典:「渡良瀬遊水地まるごと博物館」(渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会))
計画イメージ図
18
<取組段階の凡例>
短期(概ね 5 年以内)
中長期(概ね 6 年~10 年以内)
みんなで「創る」 基本計画図(短期、中長期)
19
1-7
野渡橋を活用した野木町との連携【短期】
 野渡橋を一般車両が通行できるようにすることで、野木町方面からの渡良瀬遊水地第
2 調節池へのアクセスの改善を検討します。
 管理者である国土交通省などの関係機関と調整し、野渡橋を活用して野木町の資源と
渡良瀬遊水地第 2 調節池の一体的な利活用を図ります。
<取組実施者>
小山市、野木町、栃木市
野渡橋は管理用道路として位置づけられ、関係者以外の一般車両が通行できません。
野渡橋を通行できるようにすることで、野木町方面からの渡良瀬遊水地第 2 調節池への
アクセスを大幅に改善することができます。
野木町では「水と緑と歴史のふるさとプラン(平成 27 年 3 月策定)
」において、渡良
瀬遊水地周辺の交流促進として、野渡橋の通行確保によるアクセスの強化、渡良瀬遊水
地を周遊するサイクリングコースの設定等が検討されています。
野渡橋の活用について、管理者である国土交通省などの関係機関と調整し、野木町の
有する資源(野木町煉瓦窯、野木神社、のぎ水辺の楽校等)や施設(乗馬クラブ等)と
渡良瀬遊水地第 2 調節池の自然を一体的に利活用することで、野木町との連携を図って
いきます。
野木町煉瓦窯
のぎ水辺の楽校
野木神社
野木神社(ニリンソウの群生地)
20
水と緑と歴史のふるさとプラン(野木町、平成 27 年 3 月策定)
構想図
野渡橋の車両の通行により、渡良瀬遊水地とのアクセスを強化し、来訪者が渡良瀬遊水地を
セットにして周遊できるようにします。
また、4市2町でレンタサイクル事業の連携を行うなど、野木町の資源と渡良瀬遊水地を周遊
するコースを設置することで、4市2町も含めた周遊性を向上させます。
(出典:
「水と緑と歴史のふるさとプラン」(野木町、平成27年3月策定))
21
2.
2
2-1
みんなで 「活用する」
~
みんなが集い、渡良瀬遊水地第 2 調節池の自然を
学ぶ場として活用します
生きもの再生調査【短期~中長期】
 国土交通省によるモニタリングに加えて、「人造湖」から生きものがどのように再生
するかを調査することを目的とした「生きもの再生調査」を実施します。
 トキ・コウノトリの野生復帰に向けた取り組みの1つとして、コウノトリの実物大の
模型(デコイ)を生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地において試験的に設置します。
 外来生物対策などについては、モニタリングを行いながら、その結果に合わせて対策
を変えるフィードバック管理(順応的管理)を基本として対応していきます。
<取組実施者>
国土交通省、小山市、市民団体
渡良瀬遊水地第 2 調節池において掘削された実験地では、国土交通省によって植物調査や
地下水位調査などのモニタリングが継続的に行われています。
今後は、
「人造湖」から生きものがどのように再生するかを調査することを目的として、掘
削された湿地を利用している野鳥や魚類、カエル等の両生類、水質等を対象とした「生きも
の再生調査」を実施します。外来生物であるアメリカザリガニやウシガエル、ブラックバス
などの生息状況も調査し、これらの外来生物が侵入、定着しないように、調査結果に応じて
必要な対策につなげます。このようにモニタリングを行いながら、その結果に合わせて対策
を変えるフィードバック管理(順応的管理)を基本として対応していきます。
また、トキ・コウノトリの野生復帰に向けた取り組みの1つとして、コウノトリの実物大
の模型(デコイ)を生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地において試験的に設置し、コウノト
リの飛来状況や餌場としての利用状況について調査・検証をすすめます。
長期にわたって調査を継続させるためには、何よりも調査の担い手としての多くの方々の
参加、協力が必要です。今後は調査活動に対しても、関係自治体ほか、市民団体、大学など
の教育・研究機関など多くの方々の参加、協力が必要と考えられます。
「生きもの再生調査」
生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地に
おいて生きもの再生調査を小山市が実
施しました。
(平成 27 年 1 月 17 日)
今後も小山市によって継続的に調査が
行われる予定です。
22
2-2
体験・観察プログラムの開発【短期】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池における利用の活性化を図るために、体験・観察プログラム
を開発します。
 小山市と市民団体が協力しながら渡良瀬遊水地第 2 調節池の資源を活用したパイロ
ットプロジェクト(試行的な取り組み)を実施します。
<取組実施者>
小山市、市民団体
渡良瀬遊水地第 2 調節池における利用の活性化を図るためには、自然観察、ヨシ焼き見学
会等のこれまでも行われている活動のほか、新たな魅力ある体験・観察プログラムを開発し、
来訪者へ提供していくことが必要と考えられます。
そこでエコミュージアムの理念のもと、渡良瀬遊水地第 2 調節池の資源を活用してどのよ
うな利活用ができるのか、小山市と市民団体等が協力しながらパイロットプロジェクト(試
行的な取り組み)を実施します。
例えばヨシを活用した活動や新たに造成された水辺と直接触れ合うことのできる活動(ヨ
シ舟、カヌーや E ボートを活用した活動等)、地域の子供たちのための自然体験活動、渡良瀬
遊水地の自然のみならず、歴史や文化も伝え、体感できる活動などが考えられ、具体的な内
容や実施主体などについて、今後、関係者間で検討していきます。
<現在も実施されているヨシを活用したプログラム>)
(ヨシ紙づくり)
(ヨシ紙を使った作品)
ヨシを活用した環境学習の例
<今後期待されるプログラム>)
ヨシ舟を使った自然体験・観察活動
23
(出典:河北潟湖沼研究所 HP)
2-3
エコツアーの開発【短期】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池の自然資源と周辺の人々の暮らしや文化的資源(産業・歴
史・文化など)を組み合わせたエコツアーの開発をすすめます。
 開発したエコツアーについてモニターツアー等を実施し、エコツアーの改善、リピー
ターへの PR 等を図り、本格的なエコツアーを展開していきます。
<取組実施者>
小山市、市民団体、旅行会社
魅力あるエコツアーを提供することが渡良瀬遊水地の自然や歴史に関する理解の促進と利
用の活性化にもつながっていくことから、ガイドが同行して直接来訪者へ伝えるエコツアー
を開発します。とくに渡良瀬遊水地第 2 調節池の自然資源のみならず、周辺の人々の暮らし
や文化的資源(産業・歴史・文化など)を組み合わせたエコツアーの開発をすすめます。
新しく開発したエコツアーを実施する際は、利用促進としての目的のほか、プログラムの
導入のテストとしてモニターツアーを実施することが必要と考えられます。モニターツアー
等の実施によるツアーの改善、リピーターへのPR等を図った上で、本格的なエコツアーを
展開していきます。
平成 26 年度は首都圏の方を対象としたモニターツアーを小山市が実施しました。平成 27
年度も引き続き首都圏向けモニターツアーや地産地消バスツアーが予定されています。
首都圏の方を対象としたモニターツアー
(平成 26 年 6 月 1 日)
平成 26 年度は 4 回のモニターツアーを
小山市が実施しました。
※モニターツアー:
旅行の内容等に関する事項について評価す
る人を集めて実施する募集型企画旅行
ヨシズ作りの様子
渡良瀬遊水地第 2 調節池の自然資源と周辺
の人々の暮らしや文化資源(産業・歴史・
文化など)を組み合わせたエコツアーの開
発をすすめます。
24
2-4
体験・観察プログラム、エコツアーの充実化【短期~中長期】
 開発した体験・観察プログラムやエコツアーをより魅力あるものとするために、内容
を常に改善しながら、新しい要素もとりいれて体験・観察プログラムやエコツアーの
充実化を図ります。
<取組実施者>
小山市、市民団体、旅行会社
開発した体験・観察プログラムやエコツアーを改善し、より魅力あるものとするために、
以下の観点で体験・観察プログラムやエコツアーの充実化を図ります。
・リピーターと新たな客層を継続的に確保するため、季節ごとのさまざまな体験・観察プ
ログラムやエコツアーを展開する。
・魅力ある体験・観察プログラムやエコツアーを継続的に提供するために、常にガイドの
資質向上に留意する。
・参加者へのアンケートや実施したプログラムの振り返りを行い、内容を改善する。
参加者へのアンケート項目とプログラムの振り返りチェックシートの例
(出典:「実践講座インタープリテーション」(財団法人日本交通公社))
人気の高い体験・観察プログラムやエコツアーを継続的に実施していくためには、プログ
ラムの振り返りによる評価が不可欠です。お客様が満足しているか、飽きられていないか、
テーマはねらいどおりに伝わっているかなどを意識して、継続的に内容を改善するための取
り組みを行います。
25
2-5
エコツアーの広報・PR【短期~中長期】
 2 市 1 町の広報やホームページ等を活用した広報・PR を継続します。
 渡良瀬遊水地第 2 調節池におけるエコツアーを広報・PR するためのリーフレットや
チラシ等を作成します。
 渡良瀬遊水地へ来訪する際の入口となる観光案内所や高速道路のサービスエリア、J
Rの各駅等において、エコツアーの広報・PR を積極的に行います。
<取組実施者>
関係自治体、旅行会社、民間企業
これまでも各関係機関の広報やホームページ等によって渡良瀬遊水地の利活用に関連する
様々な情報が発信されており、これを継続して広報・PR を積極的に行います。
また、渡良瀬遊水地第 2 調節池におけるエコツアーを広報・PR するためのリーフレットや
チラシ等を作成し、渡良瀬遊水地へ来訪する際の入口となる観光案内所や高速道路のサービ
スエリア、JRの各駅等において、エコツアーの広報・PR を積極的に行います。
利用の拠点となる施設として、以下の場所が考えられ、今後、情報発信の強化について、
関係機関と調整を図っていきます。
まちの駅思季彩館
道の駅 思川
JR 小山駅
小山市立博物館
車屋美術館
JR 間々田駅
第 2 調節池
JR 野木駅
JR 古河駅
情報発信を強化すべき主な施設
情報発信の対象は子供~高齢者まで幅広いと考えられるため、多様なメディアを通じて幅
広く、新しい情報を発信するように努めることが必要です。利用者が欲しい情報・ニーズに
あわせて的確な情報を発信できるようにしていきます。
26
渡良瀬遊水地における情報発信の例(現状)
インターネットによる情報発信
Facebook による渡良瀬遊水地及び生井地
区における活動を情報発信
(渡良瀬遊水地生井サポーターズクラブ)
第 2 調節池及び周辺地域生物多様性保全協議会)
様々な活動について写真を使って紹介し、
情報を共有している。
情報源として便利なだけでなく、インター
ネット上で参加者同士の直接やりとりが
できる。
リーフレットによる情報発信
「チュウヒの里おやま」のリーフレット
(ラムサール条約登録湿地「渡良瀬遊水地」
第 2 調節池及び周辺地域生物多様性保全協議会)
渡良瀬遊水地のシンボルバードであるチ
ュウヒの生態や第二調節池周辺における
観察ポイントを紹介している。
27
エコツーリズムの先進的な地域における情報発信の例
インターネットによる情報発信
北海道の web サイトにおけるエコツアーの
情報発信(出典:北海道 HP)
北海道の web サイトでは、季節や地域で検索
できるエコツアー情報が発信されている。
リーフレットによる情報発信
尾瀬ヶ原の野外セルフガイドシート
(出典:財団法人 尾瀬保護財団 HP)
観察ルートのほか、尾瀬を守るための取り
組みや、ビジターセンターの案内が掲載さ
れている。
湿原内の観察ルートとルート沿いに
見られる自然の魅力を紹介している。
28
2-6
適正な利用に関するルールづくり
(1) 適正な利用に関するルールづくり【短期】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池の有する貴重な動植物が生息・生育する湿地環境への負荷低
減という観点で、適正な利用に関するルールづくりを行います。
 今後の事業の進捗等に応じて、将来の渡良瀬遊水地第 2 調節池における利用ルールに
ついて、渡良瀬遊水地保全・利活用協議会で検討をすすめます。
<取組実施者>
渡良瀬遊水地保全・利活用協議会
渡良瀬遊水地では、渡良瀬遊水地スポーツ利用者等連絡協議
会によって「渡良瀬遊水地ルール&マナー」が策定されており、
利用に伴う事故の発生を防止し、安全・快適・公平に渡良瀬遊
水地を利用するためのルールとマナーが定められています。
渡良瀬遊水地第 2 調節池は貴重な動植物が生息・生育する
湿地環境を有していることから、事故の防止の観点のほか、自
然環境への影響を考慮するという視点での適正な利用に関す
るルールづくりが必要と考えられます。
現在は湿地保全・再生のための工事が進行している段階では
ありますが、今後の事業の進捗等に応じて、将来の渡良瀬遊水
地第 2 調節池における利用ルールについて、主に以下の観点 渡良瀬遊水地利用ルール&マナー
について関係者間で検討することが必要です。
(渡良瀬遊水地スポーツ利用者等
連絡協議会)
① 利用の範囲
貴重な動植物の生育・生息範囲、利用を行うフィールドや範囲の設定、車両の進
入範囲(工事用道路、市道)、施設の整備範囲、立ち入り制限箇所の指定等。
② 利用の時間・時期
野生動物の繁殖期の利用を避けるなど、利用期間、利用時間に関する利用の規定。
時期によってはフィールドや施設に入場する際に、ガイドの同行を義務づける等。
③ 利用のマナー
動物に触らない、フィールド内から動植物を持ち帰らない、ゴミを捨てない、と
いったマナーに関する規定。そのほか、大きな声を出さない、脅かさないなどの生
きものの保全への配慮事項等。
④ 安全な利用
渡良瀬遊水地第 2 調節池を利用する際の服装、危険な動植物、携行薬品、緊急時
の対応方法や連絡機関等。
29
(2) 道路や占用耕作地に関する調整【中長期】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池における市道 4164 号線や工事用道路、占用耕作地の位置づ
けについて、渡良瀬遊水地第 2 調節池の中での車両利用や耕作地のあり方をふまえて、
関係者間で協議、調整をすすめます。
<取組実施者>
国土交通省、小山市、地元自治会
① 市道 4164 号線や工事用道路に関する調整
今後の湿地再生の進行に応じて、市道 4164 号線や工事用道路について、車両通
行による自然環境への影響、車での利用による利用の促進、維持管理等の多面的な
観点から、渡良瀬遊水地第 2 調整池内での車両の利用に関する調整を図っていく必
要があります。
② 占用耕作地に関する調整
渡良瀬遊水地第 2 調整池内の占用耕作地については、耕作者の意向、国土交通省
による掘削計画、エコミュージアムとしての利用の観点から、将来の耕作地のあり
方について、今後、関係者間で協議・調整をすすめていく必要があります。
市道、工事用道路、占用耕作地位置図
30
3.
3
みんなで 「育て・支える」
~
貴重な湿地環境を将来へ引き継いでいくために、
各種取り組みを育て・支えるしくみや体制をつくります
3-1
多様な主体の参画による維持管理体制の整備【短期】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池の貴重な湿地環境を育て、将来へ引き継いでいくために、多
様な主体の参画による維持管理体制の整備に取り組みます。
 渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアムの実現にむけた取り組みを多様なメディ
アを通じて情報発信し、地元市民のみならず、首都圏や企業からも活動の支援をして
頂くための普及啓発・PR をすすめます。
<取組実施者>
関係自治体、市民団体、民間企業
渡良瀬遊水地第 2 調節池の貴重な湿地環境を育て、将来へ引き継いでいくために、多様な
主体の参画による維持管理体制の整備に取り組みます。
市民、行政等が一体となった取り組みをより一層推進していくためには、市民への広報・
PR を積極的に行うことが重要です。渡良瀬遊水地の価値、世界に誇るべきラムサール条約登
録湿地であることを理解している市民は一部であり、市民だれもが渡良瀬遊水地は地域の
「宝」という共通認識を持ってもらえるよう、広報・PR をすすめていく必要があります。ま
た、この意識を多くの市民が共有することで、自治体間の連携を後押しすることもできます。
さらに「私たちがつくるエコミュージアム/渡良瀬遊水地」として、渡良瀬遊水地の周知
を広く図り、湿地づくりに参加して頂ける主体を、地元市民だけでなく首都圏や企業、一般
利用者等から呼び込む取り組みをすすめます。
ラムサールサポーターズ
ハンドブックの作成
ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦に参加
(2014 年 10 月 19 日)
民間企業(MS&ADインシュアランスグループ)による取り組みの例
(出典:MS&ADインシュアランスグループ HP)
31
3-2
継続的な維持管理の実施【継続】
 効果的・効率的な維持管理をすすめるために、維持管理方針を検討し、活動を計画的・
継続的に行います。
 自然環境の状況に応じて維持管理計画を立案できる人材の養成も検討します。
<取組実施者>
関係自治体、市民団体、民間企業
これまでに関係機関・団体やボランティアの協力のもと、湿地の希少植物の生育に悪影響
を及ぼすヤナギやセイタカアワダチソウの抜き取り作業を、
「ヤナギ・セイタカアワダチソウ
除去作戦」として継続的に実施しています。平成 26 年度には渡良瀬遊水地第 2 調節池の実
験地周辺において合計 5 回の活動が実施されました。
今後はより効果的・効率的に維持管理をすすめるために、どの湿地帯で、どの程度の維持
管理を行うべきか、維持管理方針を検討し、計画的に活動を行っていきます。平成 27 年度
は活動範囲を重点化し、
生井桜づつみ近傍約 8.6ha の掘削地とその周辺で実施する予定です。
また、ヤナギやセイタカアワダチソウの除去のみならず、ヨシ原内にもつる植物の繁茂が
顕著にみられるため、ヨシ原につる植物が入ってきたら除去するなどの手入れも活動メニュ
ーに加えていきます。
さらに今後の活動に際しては、自然環境の変化の状況に応じて維持管理計画を立案ができ
る人材の養成も検討します。
平成 26 年度ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦の様子
ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦
平成 26 年度活動実績・平成 27 年度活動予定
平成 26 年度
平成 27 年度
実施日時
対象地
参加者
活動予定
第 1 回除去作戦
6 月 28 日(土)
7:00~8:00
環境学習フィールド 1
約 500 名
5月
第 2 回除去作戦
8 月 24 日(日)
7:00~8:00
環境学習フィールド 2
約 500 名
7月
第 3 回除去作戦
10 月 19 日(日)
7:00~8:00
湿潤環境形成実験地(東側)
約 1000 名
9月
第 4 回除去作戦
12 月 21 日(日)
9:00~10:00
環境学習フィールド 1
約 500 名
11 月
第 5 回除去作戦
2 月 15 日(日)
9:00~10:00
湿潤環境形成実験地(西側)
約 500 名
2月
32
3-3
ツアーガイドの養成【短期】
 渡良瀬遊水地の歴史や自然の魅力をエコツアー等の参加者へ伝えるために、地域の人
材によるツアーガイドを養成します。
 ガイドの養成方法を確立し、ツアーガイド育成マニュアルを作成するなど、ガイドの
レベルアップのためのカリキュラムの充実化を図っていきます。
<取組実施者>
小山市、市民団体
エコツアー等の実施に際して、地域の人材によるガイドの養成をすすめます。野鳥や植物
などの特定の分野だけでなく、地域の自然や歴史、文化など、幅広い分野の魅力を伝えるこ
とのできる人材である「トコロジスト」(※)の養成に努めます。
※トコロジスト:トコロジストとは、トコロ=場所、ジスト=専門家、の 2 つの言葉を併せた「その場所
の専門家」という意味の造語で、自分のお気に入りの場所をひとつ決めて徹底的に歩き、
生きものや文化、歴史など、その場所のことなら誰よりも詳しい専門家になろうと呼び
掛ける言葉です。
また、ガイドには以下の表に示すような力量が求められ、技術、知識、意識を向上させる
ための訓練がある程度必要となります。小山市教育委員会生涯学習課では、平成 27 年度に
おいて年8回程度の(仮称)渡良瀬遊水地ガイドボランティア養成コースの実施を予定して
います。今後、ガイドの養成方法を確立し、ツアーガイド育成マニュアルを作成するなど、
ガイドのレベルアップのためのカリキュラムの充実化を図っていきます。
エコツアーのガイドに求められる力
技術面
基礎的な力
安全管理力
(最低限備
基礎的なコミュニケ
えておくべ
ーション力
き力)
知識面
意識面
解説素材に関する基
礎知識、フィールド保 参加者の満足に気を
全のためのルールの 配るおもてなしの心
理解
高度な力
解説素材に関する専
参加者の気づきや発
(商品力の
門的な深い知識、対象 思慮深さや哲学(オリ
見、深い興味を引き出
向上につな
地域の社会文化や自 ジナリティ)
す力
がる力)
然に関する深い知識
プログラムの企画やガイドの技術を高め、
自然環境への理解や知識を深める必要性から、
専門家との協力体制を確立することが不可欠
です。
渡良瀬遊水地には、様々な分野の研究者や
専門家が関わっていることから、博物館や大
学などの教育・研究機関との協力体制につい
て検討していきます。
エコツアーガイド養成講習会
(出典:日本エコツーリズム協会 HP)
33
3-4
国、2 市 1 町の連携による取り組みの推進【継続】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池に関する施策を国、2 市 1 町が連携して実行します。
 渡良瀬遊水地第 2 調節池を多様な魅力を持つ湿地とするとともに、将来はトキやコウ
ノトリが舞い、地域のみんなが集うような魅力的な地域となるように、これまで以上
に関係機関・関係者の協働・連携による取り組みを推進します。
<取組実施者>
国土交通省、関係自治体(小山市、栃木市、野木町)、市民団体
渡良瀬遊水地第2調節池では、湿地保全・再生基本計画(国土交通省)の実現にむけて、
これまでも国土交通省や関係自治体、市民団体等が連携し、協議を行いながら事業が実施さ
れてきました。
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアムを成功に導くためには、これまで以上に、渡良
瀬遊水地第 2 調節池の所在する栃木県、小山市、栃木市、野木町、そして国土交通省の連携・
協力のもと、計画の実現に向けた取り組みをすすめることが必要です。
小山市では「渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画(平成 27 年 3 月策定)」、
栃木市では「ハートランドプラン(平成 27 年 3 月策定)」、野木町では「水と緑と歴史のふ
るさとプラン(平成 27 年 3 月策定)
」が策定されました。それぞれの計画にある渡良瀬遊水
地第 2 調節池に関する施策を 2 市 1 町が連携して実行していきます。
渡良瀬遊水地第 2 調節池を多様な魅力を持つ湿地とするとともに、将来はトキやコウノト
リが舞い、地域のみんなが集うような魅力的な地域となるように、関係機関・関係者の協働・
連携による取り組みをより一層推進します。
◎ 自然や生きものたちの今を知る
・ 植物、野鳥、昆虫、水生植物の調査
◎ 自然や生きものたちを守る
・ ヨシ焼きの実施
・ 外来種の駆除
・ 貴重種の保護
◎ 自然や生きものたちと親しむ
・ 観察会、学習会の実施
・ 植物、野鳥、水生植物の
観賞用スペースの確保
・ 鷹見台など観察スポットのPRと
安全な利用環境整備
・ 観察マナーの周知・啓発
渡良瀬遊水地第2調節池
エコミュージアム基本計画
(平成27年3月策定予定)
小山市
◎ 守り・受け継ぐ体制をつくる
・ 環境保全体制の構築
・ 渡良瀬遊水地内のパトロール体制の構築
・ 渡良瀬遊水地の価値を知るための
環境学習、体験学習の開催
・ 指導者の養成
◎ 陸での活動を楽しむ
・ サイクリング、マラソン、ウォーキングなど
を楽しむ環境整備
◎ 自然とふれあえる空間をつくる
・ 散策路の整備
◎ 憩いの場を確保する
ハートランドプラン
・ 憩い空間の創出
(「ハートランドプラン」
(平成27年3月策定)より、
渡良瀬遊水地第2調節池に関する施策を抜粋)
連携
栃木市
野木町
渡良瀬遊水地
第2調節池
◎ 野渡橋
・ 野渡橋の車両通行
・ 野渡橋へのアクセス路の整備
◎ サイクリングロード
・ サイクリングロード・散策路の整備
・ サイクリングマップ作成
◎ レンタサイクル
・ 遊水地内の他拠点との
相互貸し出しの検討
◎ 散策路
・ 休憩施設・ビュースポットの整備
◎ 活動推進・人材育成
・ 町内外への情報発信
水と緑と歴史の
ふるさとプラン
(「水と緑と歴史のふるさとプラン」
(平成27年3月策定)より、
渡良瀬遊水地第2調節池に関する施策を抜粋)
国土交通省
◎渡良瀬遊水地湿地保全・再生検討委員会
◎渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会
◎渡良瀬遊水地保全・利活用協議会
国、2市 1 町の連携
34
渡良瀬遊水地
湿地保全・再生基本計画
4
4.
4-1
渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画の実現に向けて
計画の進行管理【継続】
 渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画の進行管理に当たっては、実現性
の高い計画とするために、
「みんなで実行!」、
「計画の見直し」のサイクルを 10 年間
継続的に運用し、小山市と(仮称)渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム懇話会
で進行管理を行います。
<取組実施者>
小山市、(仮称)渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム懇話会
(1) 計画の策定
平成 26 年度は渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会を設置し、
活発な議論をもとに渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画を策定しました。
今後も湿地環境や動植物の生息状況の変化、取り組みの進捗等に応じて、基本計画の見直
しを行います。
(2) みんなで実行!
基本計画による 10 ヶ年のスケジュールに基づいて、それぞれの取組実施者が平成 27 年度
より実施計画、実施設計等を検討し、具体的な取り組みを実行します。基本計画の目標とす
る姿を実現するため、関係者・関係機関が連携して取り組みをすすめます。
(3) 計画の見直し
「(仮称)渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム懇話会」をおいて、取り組みの進捗等
について協議し、基本計画を見直す必要があると認められた場合には、今後の対応方針を検
討した上で、基本計画の見直しを行います。
(仮称)渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージア
ム懇話会は毎年開催します。
渡良瀬遊水地第2調節池
エコミュージアム基本計画の策定
・国土交通省
・農林水産省
みんなで実行!
・栃木県
・小山市
・栃木市
・野木町
・市民団体
・地元自治会
・渡良瀬遊水地保全・
利活用協議会
・ヨシ採取業者
・旅行会社
・民間企業
計画の見直し
(仮称)渡良瀬遊水地第2調節池
エコミュージアム懇話会における協議
進行管理のしくみ
35
資料編:渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定の経緯
平成 26 年度に渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会を設置し、3 回
の懇話会と現場見学会を開催し、渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画を策定しま
した。
第 1 回懇話会
(平成 26 年 10 月 1 日開催)
【議事】
(1)懇話会の背景、設置趣旨、規約、スケジュール案について
(2)エコミュージアム基本計画策定に向けた現状の共有と意見交換
(基本計画に盛り込みたい内容の意見出し)
(3)その他
関係者ヒアリング
現場見学会
(平成 26 年 11 月 14 日開催)
【議事】
(1)第 9 回渡良瀬遊水地湿地保全・再生モニタリング委員会
(10 月 20 日開催)の結果概要説明
(2)現場見学会を受けた協議
(3)その他
関係者ヒアリング
第 2 回懇話会
(平成 26 年 12 月 22 日開催)
【議事】
(1)エコミュージアム基本計画(素案)について
(2)平成 27 年度掘削要望について
(3)その他
関係者ヒアリング
第 3 回懇話会
(平成 27 年 2 月 26 日開催)
【議事】
(1)エコミュージアム基本計画(案)の確認、意見交換
(2)来年度以降の検討事項、スケジュールについて
(3)その他
渡良瀬遊水地第 2 調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会の開催経緯
36
渡良瀬遊水地第2調節池エコミュージアム基本計画策定懇話会名簿
(平成26年10月1日設置)
氏名
会
長
浅野
正富
高松
健比古
猿山
弘子
楠
委
所属・役職等
通昭
コウノトリ・トキの舞うふるさと
会 会長
日本野鳥の会栃木 代表
おやま
をめざす
渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会代表世話人
渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会事務局長
ラムサール湿地ネットわたらせ
青木
章彦
わたらせ未来基金
川田
裕美
NPO 法人
代表
代表世話人
オオタカ保護基金事務局
米田
弘
小山市渡良瀬遊水地治水推進・ラムサール賢明な活
用・周辺整備推進期成同盟会 副会長
荒井
邦
郷土史研究家
員
椎名
松本
英雄
池貝
治
高際
孝雄
岡田
はま子
オブザーバー
稔
思川西部土地改良区理事長
ふゆみずたんぼ実験田推進協議会
会長
ヨシの利用者
下生井小学校校長
野木町川西地区治水事業促進連絡協議会
荒川
雅義
藤岡町巴波川周辺地区
治水事業促進連絡協議会
平田
政吉
生井地区自治会連合会
小林
英明
利根川上流河川事務所地域連携課課長
青山
隆男
小山市建設水道部部長
清
野木町総合政策部部長
舘野
37
会長
会長
副会長(下生井自治会長)
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