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新医薬品の「使用上の注意」の解説 - アストラゼネカ AstraZeneca
2012 年 7 月作成 医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読み下さい。 新医薬品の「使用上の注意」の解説 劇薬、処方せん医薬品 注意-医師等の処方せんにより使用すること。 抗悪性腫瘍剤/上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤 ゲフィチニブ錠 IRESSA® Tablets 250 薬価基準収載 【警告】 1. 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期 症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を 得た上で投与すること。 2. 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部 X 線検査等を行 うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多い ため、少なくとも投与開始後 4 週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の 重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。 3. 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発 現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。 このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放 射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合に は特に注意すること。(「慎重投与」の項参照) 4. 急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告さ れているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本 剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。(「慎重投与」 の項参照) 5. 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に 十分に措置できる医療機関で行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「重大な 副作用」の項参照) 【禁忌】(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投 与すること) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照) 製造・販売元:アストラゼネカ株式会社 ゲフィチニブはアストラゼネカ社により合成、開発された上皮成長因子受容体(EGFR)チロ シンキナーゼ阻害剤です。 本剤は EGFR チロシンキナーゼを選択的に阻害することにより、腫瘍細胞の増殖能の低下、 また、アポトーシスを誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。さらに、血管 内皮増殖因子(VEGF)の産生抑制を介して腫瘍内の血管新生を阻害すると考えられていま す。 日本人固形癌患者(n=6)に本剤 225mg 注) を単回経口投与したとき、本剤の吸収は緩徐で、 最高血漿中濃度到達時間は概ね 4 時間であり(患者間で 3~12 時間の変動あり)、終末相 における消失半減期は約 30 時間でした。また、代謝には主に CYP3A4 が関与しているこ とから、肝臓が本剤の代謝クリアランスにおいて重要な役割を果たしているものと推察さ れます。 本冊子では、本剤の使用に際しての注意事項を、各項ごとに解説致しました。本剤の適正 使用の一助となれば、幸甚に存じます。 注):本剤の承認用量は 250mg/日です。 効能・効果 1 用法・用量 1 警告 3 禁忌(次の患者には投与しないこと) 5 原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、 特に必要とする場合には慎重に投与すること) 5 使用上の注意 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 7 2.重要な基本的注意 9 3.相互作用 13 4.副作用 27 5.高齢者への投与 69 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 69 7.小児等への投与 71 8.適用上の注意 71 9.その他の注意 73 【効能・効果】 EGFR 遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌 <効能・効果に関連する使用上の注意> 1. EGFR 遺伝子変異検査を実施すること。EGFR 遺伝子変異不明例の扱い等を含 めて、本剤を投与する際は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」等の最新 の情報を参考に行うこと。 2. 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。 3. 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上 で適応患者の選択を行うこと。 【用法・用量】 通常、成人にはゲフィチニブとして 250mg を 1 日 1 回、経口投与する。 <用法・用量に関連する使用上の注意> 日本人高齢者において無酸症が多いことが報告されているので、食後投与が望まし い。(「重要な基本的注意」の項参照) 1 【解 説】 1. 【効能・効果】の変更により、本剤使用の際は、EGFR 遺伝子変異検査を実施し EGFR 遺伝子変異陽性患者であることを確認する必要があると考えます。しかし、検体が入手 できない等の理由により EGFR 遺伝子変異検査の実施ができない場合や EGFR 遺伝 子変異不明例の扱い等を含めて、本剤を投与する際は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイ ドライン」等の最新の情報を参考に行うことが必要であると考え項目を設定しました。 2. 現時点では「術後補助療法」における本剤の有効性および安全性は確立されていないこ とから、本項目を設定しました。 3. IPASS 試験結果など「臨床成績」の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理 解した上で適応患者の選択を行う必要があると考え項目を設定しました。 【解 説】 著しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱することが 示唆されました。また、特に日本人高齢者において無酸症が多いとの報告*があります。 以上より、本剤は胃酸分泌が促進される食後投与とすることが望ましいと考え、本項目を 設定しました。 「2.重要な基本的注意(5)」の項を併せてご参照ください。 *参考文献 Morihara,M.:Biol.Pharm.Bull.,24(3),313-315(2001) 2 【警告】 1.本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の 初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、 同意を得た上で投与すること。 2.本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部 X 線検査等 を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行 うこと。 また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多 いため、少なくとも投与開始後 4 週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎 等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。 3.特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中 に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因 子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、 じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者 に使用する場合には特に注意すること。(「慎重投与」の項参照) 4.急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報 告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向が ある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。 (「慎 重投与」の項参照) 5.本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急 時に十分に措置できる医療機関で行うこと。(「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び 「重大な副作用」の項参照) 3 【解 説】 本剤の市販後使用において、本剤との関連性を否定できない間質性肺炎などの重篤な肺障 害が発現し、死亡に至った症例が報告されており、その中には投与開始後早期に症状が発 現し、急速に進行する症例が認められています。また、本剤投与による急性肺障害・間質 性肺炎の早期発見及び診断・治療に有用な情報を得ることを主たる目的として、社外専門 家を委員とした「ゲフィチニブ(イレッサ錠®250)の急性肺障害・間質性肺炎に関する専 門家会議」を組織し、詳細情報を入手し得た症例(152例)について審議された結果、特に 「特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎」の合併が、本剤投 与における急性肺障害・間質性肺炎発症の危険因子である可能性が否定できず、発症後の 転帰においては死亡につながる重要な危険因子と考えられる、との結論が出されました。 また、「全身状態が悪い患者」については、市販後に実施した特別調査「イレッサ錠®250 プロスペクティブ調査」*における多変量解析の結果、急性肺障害・間質性肺炎の発症及び 転帰死亡につながる危険因子であることが新たに検証されました。 本剤を安全にご使用いただくため、インフォームドコンセントや情報提供の徹底が必要で あること、また、より適切な管理の下で使用していただく必要があるため、本項目を設定 し、下記のとおり注意喚起を行うことと致しました。 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の 初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、 同意を得た上で投与を行ってください。 本剤の投与に際しては、胸部X線検査等を行うなど患者の観察を十分に行い、異常が認め られた場合には投与を中止するとともに適切な処置を行ってください。また、急性肺障害 や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくと も投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用 発現に関する観察を十分に行ってください。 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中 に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因 子になるため、本剤による治療を開始するにあたり、これらの合併の有無を確認し、合併 症を有する患者に使用する場合には特に注意してください。 急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報 告されていますが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向 があるため、本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意してく ださい。 本剤は肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時 に十分に措置できる医療機関で行ってください。 「1.慎重投与(1)、(2)」、「2.重要な基本的注意(1)、(2)」及び「4.副作用 大な副作用 1)」の項を併せてご参照ください。 *参考文献 吉田茂:医薬ジャーナル, 41(2), 772, 2005 4 (1)重 【禁忌】(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には 慎重に投与すること) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照) 5 【解 説】 一般に、薬剤によるアレルギーを起こした患者に同じ薬剤を再投与した場合、重篤なアレ ルギーを起こす可能性があることから、注意喚起のため本項目を設定しました。 本剤の投与により異常が認められた場合には、直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を 行ってください。 【解 説】 妊婦における使用経験がなく、安全性が確立されていないことから、注意が必要であると 考え本項目を設定しました。 「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項を併せてご参照ください。 6 【使用上の注意】 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)急性肺障害、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎または これらの疾患の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例が報告され ている。] (2) 全身状態の悪い患者[全身状態の悪化とともに急性肺障害、間質性肺炎の発現率及び 死亡率が上昇する傾向がある。] (3)肝機能障害のある患者[本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている(「副作 用」の項参照)。また、本剤の血中濃度の上昇がみられるとの報告がある(「薬物 動態」の項参照)。] 7 【解 説】 本剤の市販後使用において、本剤との関連性を否定できない間質性肺炎等の重篤な肺障害 が発現し、死亡に至った症例が報告されています。特に急性肺障害、特発性肺線維症、間 質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎またはこれらの疾患の既往歴のある患者へ の投与は、本剤投与中に発現した間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要 な危険因子になると考えられることから、注意喚起のため本項目を設定しました。 【解 説】 市販後に実施した特別調査「イレッサ錠®250 プロスペクティブ調査」*における多変量解析 の結果、急性肺障害・間質性肺炎の発症及び転帰死亡につながる危険因子であることが新 たに検証されたことから、注意喚起のため本項目を設定しました。 *参考文献 吉田茂:医薬ジャーナル, 41(2), 772, 2005 【解 説】 本剤において、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビン等の肝機能検査 値上昇がみられています。 また、海外における肝機能障害患者による薬物動態試験結果において、中等度及び重度の 肝硬変による肝機能障害患者(Child-Pugh 分類による)では本剤の未変化体の AUC の平均 は健康被験者の 3.1 倍を示しました。 以上のことから、注意喚起のため本項目を設定しました。 8 2. 重要な基本的注意 (1) 急性肺障害、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、致命的な経過をたど ることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の 有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部 CT 検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散 能力(DLco)などの検査を行い、急性肺障害、間質性肺炎等が疑われた場合には、直 ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。 (2) 本剤を投与するにあたっては、本剤の副作用について患者に十分に説明するとともに、 臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、これらが発現 した場合には、速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること。 (3) AST(GOT)、ALT(GPT)等の肝機能検査値の上昇があらわれることがあるので、本剤投 与中は 1~2 ヵ月に 1 回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望 ましい。また、重度の肝機能検査値変動がみられた場合には投与の中止を考慮すること。 9 【解 説】 本剤の市販後使用において、本剤との関連性を否定できない重篤な急性肺障害、間質性肺 炎等が発現し、死亡に至った症例が報告されています。これらの副作用を早期発見するた めには、臨床症状(呼吸状態、咳および発熱等の有無)の十分な観察や定期的な胸部X線 検査の実施が必要と考え、本項目を設定しました。なお、必要に応じて胸部CT検査、動脈 血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)など の検査を実施してください。また、急性肺障害、間質性肺炎等が疑われた場合は、直ちに 本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行ってください。 「警告」、「2.重要な基本的注意(2)」及び「4.副作用 (1) 重大な副作用 1)」の項 を併せてご参照ください。 【解 説】 本剤の市販後使用において、本剤との関連性を否定できない重篤な急性肺障害、間質性肺 炎等が発現し、死亡に至った症例が報告されています。これらの副作用を早期発見するた めには、患者が「息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等」の症状を自覚した場合に、速やかに 医療機関を受診することが重要です。このことを患者に十分説明していただく必要がある と考え、本項目を設定しました。 「警告」、「2.重要な基本的注意(1)」及び「4.副作用 (1) 重大な副作用 1)」の項 を併せてご参照ください。 【解 説】 国際共同第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-1)及び外国第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-2)(いずれも本剤 250mg/日投与群)において、AST(GOT)(5.9%)、ALT(GPT)(6.8%)等の肝機能検査値 上昇がみられました。そのうち大半は、軽度から中等度の無症候性の肝機能検査値上昇で あり、自覚症状を伴わず肝機能検査値が上昇しているおそれがあるため、1~2 ヵ月に 1 回、 あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望ましいと考え、本項目を設定 しました。また、重度の肝機能検査値がみられた場合には、投与の中止を考慮してくださ い。 10 (4) 下痢及び皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは 対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。 (5) 無酸症など著しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し作用 が減弱するおそれがある。(「相互作用」及び「有効成分に関する理化学的知見」 の項参照) (6) 臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の 運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。 (7) 非臨床試験において本剤による QT 延長の可能性が示唆されていることから、必 要に応じて心電図検査を実施すること。(「その他の注意」の項参照) 11 【解 説】 国際共同第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-1)及び外国第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-2)(いずれも本剤 250mg/日投与群)において高頻度で認められた副作用は、下痢(43.9%)および発疹(44.9%)、 そう痒症(19.0%)、皮膚乾燥(20.0%)、ざ瘡(18.5%)等の皮膚症状でした。そのうち大半は 軽度から中等度の症状であり、本剤の継続投与中、又は休薬により回復しています。 このため、下痢及び皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるい は副作用に対する対症療法を施すなどの処置が必要と考え、本項目を設定しました。 【解 説】 健康成人を対象とした試験において、制酸剤を用いて約 6~7 時間にわたり胃内 pH を 5 以 上で維持したところ、本剤の AUC が約 50%減少しました。このことから、無酸症など著 しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し作用が減弱することが示唆 されるため、本項目を設定しました。 「3.相互作用」の項を併せてご参照ください。 【解 説】 国際共同第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-1)及び外国第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-2)(いずれも本剤 250mg/日投与群)において無力症(6.8%)が報告されていることから、注意が必要であると 考え、本項目を設定しました。 【解 説】 非臨床試験において、本剤による QT 延長の可能性が示唆されたことから、必要に応じて 心電図検査を実施するなどの注意を行うべきであると考え、本項目を設定しました。 「9.その他の注意」の項を併せてご参照ください。 12 3.相互作用 in vitro 試験において、本薬は薬物代謝酵素チトクローム P450(CYP3A4)で代謝されるこ とが示唆されているので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意し て投与すること。CYP3A4 活性を阻害する薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され、 本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4 誘導剤との併用により、本剤の 代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。 一方、本薬は in vitro 試験において CYP2D6 を阻害することが示唆されているので、CYP2D6 により代謝される他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性がある(本剤とメトプロロール の併用では、メトプロロールの AUC は平均で 35%増加した)。 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 本剤の血中濃度が低下し、作用が減 本剤の代謝には主に CYP3A4 が フェニトイン、 弱するおそれがある。本剤とリファ 関与しているため、左記薬剤のよ カルバマゼピン、 ンピシンを併用したとき、本剤の うな CYP3A4 誘導剤との併用で、 リファンピシン、 AUC が単独投与時の約 17%に減少 本剤の代謝が亢進し血中濃度が バルビツール酸系薬物、 した。 低下する可能性がある。 CYP3A4 誘導剤 セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、 セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 等 13 【解 説】 in vitro 試験において、本剤は薬物代謝酵素チトクローム P450(CYP3A4)で代謝されるこ とが示唆されました。このため、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤(CYP3A4 誘導剤及び CYP3A4 阻害剤)と併用する場合には注意が必要であると考えました。 一方、in vitro 試験において、本剤は CYP2D6 を阻害することが示唆されています。 そこで、癌患者を対象に、ゲフィチニブとの併用におけるメトプロロール酒石酸塩 (CYP2D6 により代謝される薬剤)の薬物動態を検討しました(メトプロロール酒石酸塩 50mg 単独投与群:15 例、ゲフィチニブ 500mg*及びメトプロロール酒石酸塩 50mg 併用 群:15 例)。その結果、併用群ではメトプロロール酒石酸塩の平均 AUC 増加率が 35%で あり、臨床上問題となるような相互作用はないと判断しましたが、CYP2D6 により代謝さ れる他の薬剤の血中濃度を増加させる可能性は否定できないことから、本記載を行いまし た。 < 参考:薬物相互作用一覧表>(P21~)も合わせてご参照ください。 併用注意:CYP3A4 誘導剤 CYP3A4 誘導作用を有する薬剤を服用している患者に本剤を投与した場合には、本剤の代 謝が亢進され、血中濃度が低下することにより作用が減弱するおそれがあります。 本剤と CYP3A4 誘導剤であるリファンピシンを併用した際、本剤の AUC が単独投与時の 約 17%に減少しました。 なお、本項目では該当薬剤として、比較的強い CYP3A4 誘導作用を示す薬物として知られ ており、臨床現場で併用される可能性が高いフェニトイン、カルバマゼピン、リファンピ シン、バルビツール酸系薬物を、また、健康食品等に含まれることが多いセイヨウオトギ リソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)を例としてあげています。 リファンピシンとの併用における薬物動態 欧米健康成人を対象に、クロスオーバー法に従い、リファンピシンとの併用時における 薬物動態を検討した(ゲフィチニブ 500mg*単独投与群:18 例、ゲフィチニブ 500mg* 及びリファンピシン 600mg 併用群:18 例)。その結果、ゲフィチニブ単独投与群と比 較し、リファンピシン併用群では AUC が約 17%に減少した。 ゲフィチニブ 500mg* ゲフィチニブ 500mg* glsmean の 比 の 両 側 +リファンピシン 単独投与(n=18) 比 b) 90%CI b) 600mg(n=18) AUC(ng・hr/mL)a) 840.2 5044 0.167 0.140~ 0.199 Cmax(ng/mL) a) 58.8 167.6 0.351 0.292~ 0.421 a) glsmean:幾何最小二乗平均 b)ゲフィチニブ単独投与時の glsmean に対するリファンピシン併用時の glsmean の比及び その 90%CI *本剤の承認用量は 250mg/日です。 14 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 CYP3A4 阻害剤 本剤の血中濃度が増加し、副作用の 本剤の代謝には主に CYP3A4 が アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール 発現頻度及び重症度が増加するお 関与しているため、左記のような 等)、 それがある。本剤とイトラコナゾー CYP3A4 阻害剤等との併用で、本 マクロライド系抗生物質(エリスロマイ ルを併用したとき、本剤の AUC が 剤の代謝が阻害され血中濃度が シン等)、 約 80%増加した。 増加する可能性がある。 リトナビル、 インジナビル硫酸塩エタノール付加物、 ジルチアゼム塩酸塩、 ベラパミル塩酸塩等 グレープフルーツジュース 15 【解 説】 併用注意:CYP3A4 阻害剤 CYP3A4 阻害作用を示す薬剤を服用している患者に本剤を投与した場合には、本剤の代謝 が阻害され、血中濃度が増加することにより、副作用の発現頻度及び重症度が増加するお それがあります。 本剤と CYP3A4 阻害剤であるイトラコナゾールを併用したとき、本剤の AUC が単独投与 時に比べ約 80%増加しました。 なお、本項目では該当薬剤として、比較的強い CYP3A4 阻害作用を示す薬物として知られ ており、臨床現場で併用される可能性が高いアゾール系抗真菌剤、マクロライド系抗生物 質、リトナビル、インジナビル硫酸塩エタノール付加物、ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミ ル塩酸塩を、また CYP3A4 を阻害することが一般に知られている飲食物であるグレープフ ルーツジュースを例としてあげています。 イトラコナゾールとの併用における薬物動態 欧米健康成人を対象に、クロスオーバー法に従い、イトラコナゾールとの併用時における薬 物動態を検討した(ゲフィチニブ 250mg 単独投与群:24 例、ゲフィチニブ 250mg 及びイトラ コナゾール 200mg 併用群:23 例)。 その結果、ゲフィチニブ単独投与群と比較し、イトラコナゾール併用群では AUC が約 80%増 加した。 ゲフィチニブ 250mg+イ ゲフィチニブ 250mg 単独 glsmean 比の片側 トラコナゾール 200mg 投与(n=24) の比 b) 95%CI の 上限 b) (n=23) AUC0-∞(ng・hr/mL)a) 5272.6 2967.6 1.777 1.967 a) glsmean:幾何最小二乗平均 b) ゲフィチニブ単独投与時の glsmean に対するイトラコナゾール併用時の glsmean に対する比 及びその片側 95%CI の上限 16 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 プロトンポンプ阻害剤 著しい低胃酸状態が持続することによ 本剤の溶解性が pH に依存するこ オメプラゾール等 り、本剤の血中濃度が低下するおそれが とから、胃内 pH が持続的に上昇 ある。制酸剤を用いて約 6~7 時間にわ した条件下において、本剤の吸収 H2-受容体拮抗剤 ラニチジン塩酸塩等 たり胃内 pH を 5 以上で維持したところ、 が低下し、作用が減弱するおそれ 本剤の AUC が約 50%減少した。 17 がある。 【解 説】 本製剤の溶出試験において、pH 5.0 以下では 15 分以内に 85%以上の溶出がみられました が、pH が増加するにつれて溶出率が次第に低下しており、溶解度は pH に依存することが 示唆されています。 イレッサ錠 250 の溶出率 溶出率(%) 試験液 15 分 30 分 45 分 pH 1.2 101 102 - pH 3.0 90 96 - pH 4.0 89 94 96 pH 5.0 87 96 96 pH 6.8 <10 <10 <10 水 <10 <10 <10 このため、著しい低胃酸状態を持続させるおそれのある薬剤を服用している患者に本剤を 投与した場合、本剤の吸収が低下することにより血中濃度が低下し、作用減弱につながる 可能性が考えられることから注意が必要であると考え、本項目を設定しました。 健康成人を対象とした試験において、制酸剤を用いて約 6~7 時間にわたり胃内 pH を 5 以 上で維持したところ、本剤の AUC が約 50%減少しました。 なお、本項目では胃内 pH を持続的に上昇させるおそれのある薬剤として、プロトンポンプ 阻害剤及び H2-受容体拮抗剤を例としてあげています。 ゲフィチニブの体内動態に及ぼす胃内 pH の影響 欧米健康成人を対象に、クロスオーバー法に従い、ゲフィチニブの体内動態に及ぼす胃内 pH の影響を検討した。空腹時におけるゲフィチニブ 250mg 単独投与群と、ラニチジン塩酸塩 900mg/日*併用群(ラニチジン塩酸塩にて胃内 pH を 5 以上に維持した状態でゲフィチニブ 250mg を投与)を比較した結果、ラニチジン塩酸塩併用群では本剤の AUC が約 50%低下した。 ゲフィチニブ 250mg ゲフィチニブ 250mg +ラニチジン塩酸塩 単独投与(n=24) glsmean の比 b) 比の両側 90%CIb) (n=25) AUC0-∞ 1443.9 2738.8 0.527 0.466~0.596 35.7 121.9 0.293 0.257~0.334 (ng・hr/mL)a) Cmax(ng/mL) a) a) glsmean:幾何最小二乗平均 b) ゲフィチニブ単独投与時の glsmean に対するラニチジン塩酸塩併用時の glsmean の比及びその 90%CI * ラニチジン塩酸塩(内服)の本邦での承認用量は、150~300mg/日です。 18 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ワルファリン INR 上昇や出血があらわれたとの報 機序は不明。 告がある。本剤とワルファリンを併 用する場合には、定期的にプロトロ ンビン時間又は INR のモニターを 行うこと。 19 【解 説】 発現機序は不明ですが、これまでに本剤を投与された約 7000 例の症例から、ワルファリン を継続的に投与されていた患者において、INR(International normalized ratio:プロトロンビ ン比を国際的に標準化した値)上昇や出血がみられたとの報告(頻度不明)があります。こ のため、本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又は INR のモニターが必要であると考え、本項目を設定しました。 以下に、本剤とワルファリンとの併用時、INR 上昇を発症した症例をご紹介します。 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 非小細胞肺癌 250 mg/日 79 歳 (骨転移、肺転 24 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:喫煙歴あり、INR 上昇歴なし。 本剤投与開始から 壁不快感、便 8 日目:プロトロンビン時間延長(INR 5.8) (CTC グレ 秘、心房細動、 ード 3)がみられた。既存の心房細動予防とし 絶対的好中 て投与(5-5-7mg を順に投与)していたワルフ 球数低下、高 ァリンを中断。 血圧、疼痛、 10 日目:ワルファリン投与再開。 不眠症、粘膜 13 日目:INR 2.4 炎、喀血、下 19 日目:INR 8.5(PT=39.9) 脈瘤) 備考欄 回復 外国 症例 移、悪心、胸 痢、腹部大動 転帰 ワルファリン投与を中止。 24 日目:下痢のため、一時的に本剤の投与を中断。 本剤投与中止 8 日後:プロトロンビン時間延長は、入院を要すること なく回復。 28 日目:コントロール不可能な下痢のため、本剤投与 を再開することなく治験から脱落。 併用薬:カルボプラチン、パクリタキセル、*thiethylperazine、*hydrocodone、オンダンセトロン、センナ実、 *dolasetron、デキサメタゾン、ワルファリン、レボフロキサシン、ジルチアゼム塩酸塩、ロサルタン、塩化カリ ウム、アセトアミノフェン、オメプラゾール、フロセミド、ゾルピデム、ヒドロクロロチアジド *国内未発売薬剤 20 <参考:薬物相互作用一覧表> 下記相互作用一覧に記載した薬剤については、本剤との相互作用が発現するという明らか な臨床報告はありませんが、本剤との併用に際しましては十分ご注意頂くようお願い致し ます。なお、相手薬の「使用上の注意・相互作用」の項、又は「薬物動態」の項の記載は、 主に2011年10月時点の日本医薬品集データより引用させていただきました。 1. 併用時に本剤の血中濃度が低下する可能性があるもの CYP3A4を誘導する薬剤等 これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより本剤の代謝を促進し、本剤の血中濃度を 低下させる可能性があります。 「使用上の注意・相互作用」の項目に記載されているもの 一 般 名 薬 効 分 類 名 注 1) フェノバルビタール 催眠・鎮静,バルビツール酸系抗てんか ん剤 注1) アモバルビタール 催眠鎮静剤 カルバマゼピン 向精神作用性てんかん・躁状態治療剤 注 1) フェニトイン ヒダントイン系抗てんかん剤 注 1) フェニトイン・フェノバルビタール 抗てんかん剤 フェニトイン・フェノバルビタール 抗てんかん剤 注 1) ・安息香酸ナトリウムカフェイン フェノバルビタール・クロルプロマジン 精神神経用剤 塩酸塩・プロメタジン塩酸塩配合剤注 1) フェノバルビタール・メペンゾラート臭 過敏大腸症治療剤 化物注 1) デキサメタゾン 副腎皮質ホルモン デキサメタゾンリン酸エステルナトリウ ム フェノバルビタール・エフェドリン塩酸 塩・プロキシフィリン配合剤 デキサメタゾンパルミチン酸エステル リファンピシン エファビレンツ ネビラピン注1) リトナビル注 2) 注1) CYP3Aを誘導、代謝酵素もCYP3A 薬効分類番号 112,113 112 113,117 113 113 113 117 123 副腎皮質ホルモン 131,239,245, 264 131,132,245 喘息治療剤 222 副腎皮質ホルモン 抗結核・抗ハンセン病抗生物質 抗ウイルス化学療法剤 HIV-1逆転写酵素阻害剤 抗ウイルス・HIVプロテアーゼ阻害剤 245 616,623 625 625 625 注2) 連用時 その他 セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort セント・ジョーンズ・ワート) 健康食品 太線の薬剤名は、本剤の添付文書「使用上の注意・相互作用」の表中に記載がある薬剤です。 21 2. 併用時に本剤の血中濃度が上昇する可能性があるもの CYP3A4を阻害する薬剤等 これらの薬剤等はCYP3A4活性を阻害することにより本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃 度を上昇させる可能性があります。 「使用上の注意・相互作用」の項に記載されているもの 一 般 名 薬 効 分 類 名 ブロモクリプチンメシル酸塩注) 持続性ドパミン作動麦角アルカロイド誘 導体・抗パーキンソン剤 フルボキサミンマレイン酸塩 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI) ベラパミル塩酸塩 Ca2+拮抗性不整脈・虚血性心疾患治 療剤 ジルチアゼム塩酸塩 ベンゾチアゼピン系Ca拮抗剤 シメチジン H2受容体拮抗剤 ミコナゾール注) フェネチルイミダゾール系抗真菌剤 ビカルタミド 前立腺癌治療剤 イマチニブメシル酸塩 抗悪性腫瘍剤(チロシンキナーゼインヒ ビター) キヌプリスチン・ダルホプリスチン ストレプトグラミン系抗生物質 注) エリスロマイシン マクロライド系抗生物質 ジョサマイシン マクロライド系抗生物質 ジョサマイシンプロピオン酸エステル マクロライド系抗生物質 クラリスロマイシン マクロライド系抗生物質 エリスロマイシンエチルコハク酸エス マクロライド系抗生物質 テル注) エリスロマイシンステアリン酸塩注) マクロライド系抗生物質 注) エリスロマイシンラクトビオン酸塩 マクロライド系抗生物質 クラリスロマイシン・ランソプラゾー ヘリコバクター・ピロリ除菌用組み合わ ル・アモキシシリン水和物 せ製剤 デラビルジンメシル酸塩 抗ウイルス・HIV逆転写酵素阻害剤 リトナビル 抗ウイルス・HIVプロテアーゼ阻害剤 インジナビル硫酸塩エタノール付加物 抗ウイルス・HIVプロテアーゼ阻害剤 ホスアンプレナビルカルシウム水和物 抗ウイルス化学療法剤 ネルフィナビルメシル酸塩 抗ウイルス化学療法剤 注) ロピナビル・リトナビル 抗ウイルス化学療法剤 イトラコナゾール トリアゾール系抗真菌剤 薬効分類番号 116 117 212,217 217 232 252,265,629 429 429 611 614 614 614 614 614 614 614 619 625 625 625 625 625 625 629 注)CYP3Aを阻害 その他 グレープフルーツジュース 飲食物 太線の薬剤名は、本剤の添付文書「使用上の注意・相互作用」の表中に記載がある薬剤です。 22 3. 併用時に相手薬の血中濃度が低下する可能性があるもの CYP2D6で代謝される薬剤 本剤のCYP2D6阻害作用により以下の薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性 があります。 「使用上の注意・相互作用」の項に記載されているもの 一 般 名 薬 効 分 類 名 セレギリン塩酸塩 パーキンソン病治療剤 ノルトリプチリン塩酸塩 三環系情動調整剤 ペルフェナジン フェノチアジン系精神安定剤 フルボキサミンマレイン酸塩 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) パロキセチン塩酸塩水和物 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) リスペリドン 抗精神病薬 フルフェナジンデカン酸エス フェノチアジン系持続性抗精神病剤 テル アミトリプチリン塩酸塩 三環系抗うつ剤 イミプラミン塩酸塩 抗うつ剤・遺尿症治療剤 クロミプラミン塩酸塩 うつ病・遺尿症治療剤 マプロチリン塩酸塩 四環系抗うつ剤 オランザピン 抗精神病剤 トラゾドン塩酸塩 トリアゾロピリジン系抗うつ剤 ドネペジル塩酸塩 アルツハイマー型認知症治療剤 チモロールマレイン酸塩 緑内障・高眼圧症治療剤 メキシレチン塩酸塩 不整脈治療・糖尿病性神経障害治療剤 メトプロロール酒石酸塩 β1遮断剤 プロプラノロール塩酸塩 β遮断剤 シベンゾリンコハク酸塩 不整脈治療剤 フレカイニド酢酸塩 不整脈治療剤 セビメリン塩酸塩水和物 口腔乾燥症状改善剤 ロラタジン 持続性選択H 1 受容体拮抗・アレルギー疾患 治療剤 デラビルジンメシル酸塩 抗ウイルス・HIV逆転写酵素阻害剤 23 薬効分類番号 116 117 117 117 117 117 117 117 117 117 117 117 117 119 131 190,212 212,214 212,214 212 212 239 449 625 「薬物動態」の項にのみ記載されているもの 一 般 名 タンドスピロンクエン酸塩 薬 効 分 類 名 非ベンゾジアゼピン系・ セロトニン作動性抗不安薬 プロメタジン塩酸塩 フェノチアジン系抗ヒスタミン・抗パー キンソン剤 ハロペリドールデカン酸エステル ハロペリドールプロドラッグ ハロペリドール ブチロフェノン系精神安定剤 カルテオロール塩酸塩 β遮断剤 アプリンジン塩酸塩 不整脈治療剤 ニフェカラント塩酸塩 不整脈治療剤 ピルジカイニド塩酸塩水和物 不整脈治療剤 ピンドロール β遮断剤 カルベジロール α、β遮断剤 デキストロメトルファン臭化水素 中枢性鎮咳剤 酸塩水和物 ラフチジン H2受容体拮抗剤 シロスタゾール 抗血小板剤 ピオグリタゾン塩酸塩 インスリン抵抗性改善血糖降下剤 ネビラピン HIV-1逆転写酵素阻害剤 リトナビル 抗ウイルス・HIVプロテアーゼ阻害剤 24 薬効分類番号 112 116,441 117 117 131,212,214 212 212 212 212,214 214 222 232 339 396 625 625 4. 胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し作用が減弱する可能性があるもの 本剤の溶解性はpHに依存します。そのため、プロトンポンプ阻害剤やH2-受容体拮抗薬 による胃内pHの持続的な上昇は、本剤の吸収を低下させ、作用を減弱させる可能性があ ります。 プロトンポンプ阻害剤 一 般 名 オメプラゾール ラベプラゾールナトリウム ランソプラゾール H2-受容体拮抗剤 一 般 名 ラニチジン塩酸塩 ロキサチジン酢酸エステル塩 酸塩 シメチジン ニザチジン ファモチジン ラフチジン 薬 効 分 類 名 プロトンポンプインヒビター プロトンポンプインヒビター プロトンポンプインヒビター 薬効分類番号 232 232 232 薬 効 分 類 名 H2受容体拮抗剤 H2受容体拮抗剤 薬効分類番号 232 232 H2受容体拮抗剤 H2受容体拮抗剤 H2受容体拮抗剤 H2受容体拮抗剤 232 232 232 232 太線の薬剤名は、本剤の添付文書「使用上の注意・相互作用」の表中に記載がある薬剤です。 25 26 4. 副作用 特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*において、安全性評価対象症例 3,322 例中 1,867 例(56.2%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹 568 例(17.1%)、 肝機能異常 369 例(11.1%)、下痢 367 例(11.1%)、急性肺障害・間質性肺炎は 193 例(5.8%)等であった。急性肺障害・間質性肺炎 193 例のうち、75 例が死亡し、安 全性評価対象症例数 3,322 例中の死亡率は 2.3%、急性肺障害・間質性肺炎発現症例 数 193 例中の死亡率は 38.9%であった。(2004 年 8 月報告時) 国内第Ⅲ相製造販売後臨床試験(V-15-32)*において、安全性評価対象症例 244 例中 233 例(95.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹 158 例(64.8%)、下痢 113 例(46.3%)、 皮膚乾燥 84 例(34.4%)等であった。なお 、急性肺障害・間質 性肺炎は 13 例(5.3%)で、そのうち死亡例は 3 例であった。 日本人 114 例を含むアジア国際共同第 III 相臨床試験(IPASS)*において、安全性評 価対象症例 607 例中 538 例(88.6 %)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ ざ瘡 394 例(64.9%)、下痢 254 例(41.8%)、皮膚乾燥 143 例(23.6%)等であっ た。なお、急性肺障害・間質性肺炎 8 例(1.3%)で、そのうち死亡例は 3 例であった。 (効能・効果の一部変更承認時) 27 【解 説】 特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*において、安全性評価対象症例 3,322 例中 1,867 例(56.2%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹 568 例(17.1%)、肝 機能異常 369 例(11.1%)、下痢 367 例(11.1%)、急性肺障害・間質性肺炎は 193 例(5.8%) 等でした。急性肺障害・間質性肺炎 193 例のうち、75 例が死亡し、安全性評価対象症例数 3,322 例中の死亡率は 2.3%、急性肺障害・間質性肺炎発現症例数 193 例中の死亡率は 38.9%でした。 *参考文献 吉田茂:医薬ジャーナル, 41(2), 772, 2005 国内第Ⅲ相製造販売後臨床試験(V-15-32)*において、安全性評価対象症例 244 例中 233 例(95.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹 158 例(64.8%)、下痢 113 例(46.3%)、 皮膚乾燥 84 例(34.4%)等でした。なお 、急性肺障害・間質性肺炎は 13 例(5.3%)で、 そのうち死亡例は 3 例でした。 *参考文献 社内資料(平成 20 年度第 2 回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部 会安全対策調査会 資料 3, 2008) 日本人 114 例を含むアジア国際共同第 III 相臨床試験(IPASS)*において、安全性評価対 象症例 607 例中 538 例(88.6 %)に副作用が認められ、主な副作用は、発疹・ざ瘡**394 例(64.9%)、下痢 254 例(41.8% )、皮膚乾燥 143 例(23.6%) 等でした。なお、急性 肺障害・間質性肺炎 8 例(1.3%)で、そのうち死亡例は 3 例でした。 *参考文献 Mok, T.S., et al:. N. Engl. J. Med., 361(10), 947, 2009 **発疹・ざ瘡は、MedDRA 高位用語「発疹および皮疹」、「ざ瘡」、基本語「膿疱 性皮疹」、「皮膚炎」、「剥脱性発疹」、「紅斑性皮疹」、「丘疹」をグループ 化した。 28 プロスペクティブ調査(特別調査)における副作用発現頻度 安全性評価対象症例 副作用発現症例数(件数) 3,322例 1,867例 (3,194件) 副作用発現率 56.20% 副作用の種類別発現件数(発現率%) 感染症および寄生虫症 115例(3.46) 副作用の種類別発現件数(発現率%) 代謝および栄養障害 87例(2.62) 副作用の種類別発現件数(発現率%) 結膜炎 10(0.30) 1(0.03) クロストリジウム性大腸炎 2(0.06) 高カリウム血症 3(0.09) 結膜充血 胃腸炎 1(0.03) 高尿酸血症 3(0.09) 斜視 咽頭炎 1(0.03) 食欲減退 27(0.81) 耳および迷路障害 1(0.03) 2例(0.06) 外耳炎 2(0.06) 食欲不振 48(1.44) 耳鳴 感染性腸炎 1(0.03) 脱水 7(0.21) 前庭神経炎 気管支炎 2(0.06) 低カリウム血症 1(0.03) 心臓障害 気管支肺炎 1(0.03) 低ナトリウム血症 3(0.09) うっ血性心不全 1(0.03) 急性気管支炎 1(0.03) 精神障害 7例(0.21) 急性心筋梗塞 3(0.09) 急性腎盂腎炎 1(0.03) うつ病 1(0.03) 急性心不全 1(0.03) 口腔カンジダ症 1(0.03) 食事量の著減 1(0.03) 心筋梗塞 1(0.03) 細菌性肺炎 1(0.03) 不安 1(0.03) 心不全 3(0.09) 帯状疱疹 2(0.06) 不眠症 4(0.12) 心房細動 3(0.09) 単純ヘルペス 2(0.06) 神経系障害 不安定狭心症 1(0.03) 中耳炎 2(0.06) ジスキネジー 1(0.03) 血管障害 爪囲炎 48(1.44) 意識レベルの低下 1(0.03) 出血 尿路感染 4(0.12) 感覚減退 4(0.12) 潮紅 膿痂疹 1(0.03) 顔面麻痺 1(0.03) 呼吸器、胸郭および縦隔障 膿疱性皮疹 2(0.06) 錯感覚 1(0.03) 害 敗血症 2(0.06) 小脳梗塞 1(0.03) アレルギー性鼻炎 肺炎 20(0.60) 大脳動脈塞栓症 1(0.03) 咽喉頭疼痛 1(0.03) 白癬 2(0.06) 知覚過敏 1(0.03) 咽頭不快感 1(0.03) 鼻咽頭炎 3(0.09) 痴呆 1(0.03) 咳嗽 鼻炎 2(0.06) 頭痛 3(0.09) 間質性肺疾患 鼻前庭炎 1(0.03) 脳梗塞 1(0.03) 気胸 2(0.06) 蜂巣炎 1(0.03) 脳出血 1(0.03) 急性呼吸不全 2(0.06) 毛包炎 14(0.42) 浮動性めまい 4(0.12) 胸水 5(0.15) 肛門周囲膿瘍 1(0.03) 味覚異常 3(0.09) 呼吸困難 5(0.15) 膀胱炎 1(0.03) 両麻痺 1(0.03) 呼吸不全 1(0.03) 1例(0.03) 眼障害 29例(0.87) 好酸球性肺炎 1(0.03) 1(0.03) 上気道の炎症 1(0.03) 角膜びらん 1(0.03) 低酸素症 3(0.09) 角膜炎 3(0.09) 肺障害 38(1.14) 良性、悪性および詳細不明 の新生物(嚢胞およびポリ アレルギー性結膜炎 ープを含む) 脂漏性角化症 血液およびリンパ系障害 25例(0.75) 1(0.03) 5例(0.15) 1(0.03) 1(0.03) 12例(0.36) 4例(0.12) 1(0.03) 3(0.09) 231例(6.95) 2(0.06) 5(0.15) 148(4.46) 乾性角結膜炎 3(0.09) 肺水腫 1(0.03) 血小板減少症 1(0.03) 眼そう痒症 2(0.06) 肺臓炎 2(0.06) 好酸球増加症 2(0.06) 眼脂 1(0.03) 肺胞出血 1(0.03) 白血球減少症 1(0.03) 眼瞼そう痒症 1(0.03) 鼻出血 6(0.18) 汎血球減少症 1(0.03) 眼瞼びらん 1(0.03) 鼻漏 1(0.03) 貧血 1(0.03) 眼瞼炎 5(0.15) 閉塞性気道障害 1(0.03) ※副作用用語の統一のためICH国際医薬用語集日本語版(MedDRA/J ver 7.0)に収載されている用語で集計を行う 29 ※ は副作用発現例数 副作用の種類別発現件数(発現率%) 副作用の種類別発現件数(発現率%) 副作用の種類別発現件数(発現率%) 胞隔炎 1(0.03) 乾皮症 3(0.09) 膀胱出血 慢性閉塞性気道疾患増悪 1(0.03) 乾癬 1(0.03) 生殖系および乳房障害 労作性呼吸困難 1(0.03) 顔面腫脹 1(0.03) 陰茎水疱 喀血 4(0.12) 顔面浮腫 1(0.03) 全身障害および投与局所様 喘息 3(0.09) 丘疹 2(0.06) 態 嗄声 1(0.03) 局所性表皮剥脱 1(0.03) 炎症 1(0.03) 痰貯留 1(0.03) 紅斑 13(0.39) 胸痛 1(0.03) 胃腸障害 568例(17.10) イレウス 1(0.03) 1(0.03) 1 例(0.03) 1(0.03) 48例(1.44) 紅斑性皮疹 7(0.21) 胸部不快感 1(0.03) 紫斑 1(0.03) 倦怠感 11(0.33) 3(0.09) メレナ 2(0.06) 脂漏性皮膚炎 31(0.93) 口渇 悪心 70(2.11) 湿疹 65(1.96) 死亡 1(0.03) 異常便 1(0.03) 手掌紅斑 1(0.03) 多臓器不全 1(0.03) 胃炎 14(0.42) 手皮膚炎 1(0.03) 粘膜びらん 1(0.03) 胃腸出血 2(0.06) 全身性そう痒症 4(0.12) 発熱 24(0.72) 胃潰瘍 3(0.09) 全身性皮疹 3(0.09) 浮腫 3(0.09) 7(0.21) 多形紅斑 2(0.06) 末梢性浮腫 2(0.06) 脱毛症 7(0.21) 無力症 5(0.15) 臨床検査 胃不快感 下痢 367(11.05) 3(0.09) 逆流性食道炎 2(0.06) 中毒性皮疹 178例(5.36) 血便排泄 1(0.03) 爪の障害 5(0.15) C-反応性蛋白増加 口腔内痛 1(0.03) 爪甲縦裂症 1(0.03) アスパラギン酸アミノトランス 口腔内潰瘍形成 4(0.12) 膿疱性ざ瘡 2(0.06) フェラーゼ増加 20(0.60) アラニン・アミノトランスフェラ 1(0.03) 54(1.63) 口唇びらん 1(0.03) 剥脱性皮膚炎 口唇炎 11(0.33) 発疹 口内炎 89(2.68) 皮脂欠乏性湿疹 5(0.15) コンピュータ断層撮影異常 口内乾燥 2(0.06) 皮膚炎 31(0.93) γ-グルタミルトランスフェラ 痔瘻 2(0.06) 皮膚乾燥 73(2.20) ーゼ増加 十二指腸潰瘍 1(0.03) 皮膚亀裂 1(0.03) 肝機能検査値異常 出血性胃潰瘍 1(0.03) 皮膚障害 16(0.48) 肝酵素上昇 3(0.09) 消化不良 1(0.03) 皮膚脆弱性 1(0.03) 胸部X線異常 9(0.27) 上腹部痛 5(0.15) 皮膚潰瘍 8(0.24) 凝固時間延長 1(0.03) 舌炎 14(0.42) 皮膚変色 1(0.03) 血液ガス異常 1(0.03) 舌障害 5(0.15) 皮膚落屑 2(0.06) 血小板数減少 2(0.06) 大腸炎 1(0.03) 面皰 3(0.09) 血小板数増加 1(0.03) 腸炎 5(0.15) 薬剤性皮膚炎 11(0.33) 血中アミラーゼ増加 3(0.09) 腸管虚血 1(0.03) 嵌入爪 4(0.12) 血中アルカリホスファターゼ 吐血 2(0.06) 痒疹 2(0.06) 増加 軟便 12(0.36) 蕁麻疹 5(0.15) 排便障害 1(0.03) 筋骨格系および結合組 腹痛 3(0.09) 織障害 腹部不快感 1(0.03) シェーグレン症候群 腹部膨満 1(0.03) 筋痛 便秘 20(0.60) 筋力低下 嘔吐 44(1.32) 頚部腫瘤 1(0.03) 嚥下障害 肝胆道系障害 肝機能異常 肝細胞障害 肝障害 高ビリルビン血症 皮膚および皮下組織障害 492例(14.81) 369(11.11) 1(0.03) 120(3.61) 2(0.06) 948例(28.54) 568(17.10) 8例(0.24) ーゼ増加 55(1.66) 1(0.03) 24(0.72) 8(0.24) 1(0.03) 血中クレアチニン増加 8(0.24) 血中ビリルビン増加 10(0.30) 血中乳酸脱水素酵素増加 5(0.15) 血中尿素増加 44(1.32) 2(0.06) 好酸球数増加 5(0.15) 1(0.03) 腫瘍マーカー上昇 1(0.03) 1(0.03) 腎機能検査異常 1(0.03) 骨粗鬆症 1(0.03) 尿潜血陽性 1(0.03) 骨痛 1(0.03) 尿蛋白 1(0.03) 四肢痛 1(0.03) 白血球数減少 7(0.21) 74例(2.23) 白血球数増加 2(0.06) 1(0.03) 臨床検査異常 5(0.15) 血尿 8(0.24) 傷害、中毒および処置合併 高窒素血症 1(0.03) 症 腎および尿路障害 緊張性膀胱 1(0.03) 6例(0.18) ざ瘡 34(1.02) 出血性膀胱炎 9(0.27) 水疱 ざ瘡様皮膚炎 34(1.02) 腎機能障害 39(1.17) 創傷 1(0.03) そう痒症 73(2.20) 腎機能不全 2(0.06) 放射線性肺臓炎 4(0.12) そう痒性皮疹 5(0.15) 腎障害 10(0.30) ※副作用用語の統一のためICH国際医薬用語集 ひび・あかぎれ 7(0.21) 蛋白尿 1(0.03) 日本語版(MedDRA/J ver 7.0)に収載されている用 アレルギー性皮膚炎 3(0.09) 尿閉 1(0.03) 語で集計を行う 過角化 3(0.09) 慢性腎不全 1(0.03) 30 ※ 1(0.03) は副作用発現例数 国内第Ⅲ相製造販売後臨床試験(V-15-32)における副作用発現頻度 イレッサ®群 ドセタキセル群 副作用評価対象例数 244 239 副作用発現例数(%) 233(95.5) 233(97.5) イレッサ®群 ドセタキセル群 白血球減少症 1(0.4) 136(56.9) 好中球減少症 1(0.4) 189(79.1) 便秘 15(6.1) 52(21.8) 下痢 113(46.3) 51(21.3) 器官別大分類および基本語 血液およびリンパ系障害 胃腸障害 悪心 23(9.4) 88(36.8) 口内炎 46(18.9) 39(16.3) 嘔吐 19(7.8) 37(15.5) 疲労 14(5.7) 102(42.7) 発熱 6(2.5) 46(19.2) 44(18.0) 8(3.3) 33(13.5) 2(0.8) 42(17.2) 114(47.7) 6(2.5) 34(14.2) 全身障害および投与局所様態 肝胆道系障害 肝機能異常 感染症および寄生虫症 爪囲炎 代謝および栄養障害 食欲不振 神経系障害 味覚異常 皮膚および皮下組織障害 脱毛症 8(3.3) 142(59.4) 皮膚乾燥 84(34.4) 10(4.2) そう痒症 37(15.2) 10(4.2) 発疹 158(64.8) 41(17.2) 試験責任医師等により因果関係ありと判定された有害事象。 発現例数(%) いずれかの群において基本語での発現率が 10%以上であった副作用を示した。 (MedDRA/J ver.9.1) 31 アジア国際共同第Ⅲ相臨床試験(IPASS)における副作用発現頻度 イレッサ®群 カルボプラチン+パクリタキセル群 副作用評価対象例数 607 589 副作用発現例数(%) 538(88.6) 569(96.6) イレッサ®群 Grade 別発現例数 1 2 3 4 5 19(3.1) 4(0.7) 3(0.5) 4(0.7) 9 1 1 1 6 3 2 3 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 144(24.4) 146(24.8) 221(37.5) 70(11.9) 35 28 14 27 72 46 25 29 34 68 75 14 3 4 107 0 0 0 0 0 16(2.6) 254(41.8) 41(6.8) 70(11.5) 29(4.8) 12 183 38 55 17 4 54 2 15 11 0 16 1 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 112(19.0) 78(13.2) 249(42.3) 33(5.6) 180(30.6) 87 53 169 25 96 24 19 72 7 70 1 6 8 1 14 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 58(9.6) 48 9 1 0 0 211(35.8) 146 55 10 0 0 53(8.7) 25 10 17 1 0 23(3.9) 13 5 5 0 0 76(12.5) 42 32 2 0 0 0 0 0 0 0 0 57(9.4) 17 19 19 2 0 28(4.8) 18 8 2 0 0 48(7.9) 15 21 12 0 0 17(2.9) 13 3 1 0 0 59(9.7) 44 10 5 0 0 221(37.5) 138 68 15 0 0 関節痛 2(0.3) 2 0 0 0 0 103(17.5) 67 31 5 0 0 筋肉痛 3(0.5) 2 1 0 0 0 176(29.9) 101 65 10 0 0 味覚異常 13(2.1) 13 0 0 0 0 19(3.2) 16 3 0 0 0 感覚鈍麻 0 0 0 0 0 0 152(25.8) 118 27 6 1 0 末梢性ニューロパチー 4(0.7) 4 0 0 0 0 97(16.5) 60 26 11 0 0 末梢性感覚ニューロパチー 4(0.7) 4 0 0 0 0 140(23.8) 82 50 8 0 0 14(2.3) 11 3 0 0 0 40(6.8) 36 4 0 0 0 器官別大分類 および基本語 血液およびリンパ系障害 貧血 白血球減少症 好中球減少症 血小板減少症 胃腸障害 便秘 下痢 悪心 口内炎 嘔吐 全身障害および投与局所様態 疲労 肝胆道系障害 肝機能異常 感染症および寄生虫症 爪囲炎 臨床検査 アラニン・アミノトランス フェラーゼ増加 アスパラギン酸アミノトランス フェラーゼ増加 代謝および栄養障害 食欲不振 発現例数 (%) カルボプラチン+パクリタキセル群 Grade 別発現例数 発現例数 (%) 1 2 3 4 5 筋骨格系および結合組織障害 神経系障害 精神障害 不眠症 皮膚および皮下組織障害 ざ瘡 66(10.9) 41 24 1 0 0 2(0.3) 2 0 0 0 0 脱毛症 35(5.8) 34 1 0 0 0 343(58.2) 158 185 0 0 0 皮膚乾燥 143(23.6) 100 43 0 0 0 10(1.7) 9 1 0 0 0 そう痒症 102(16.8) 79 19 4 0 0 54(9.2) 41 12 1 0 0 発疹 302(49.8) 179 106 17 0 0 90(15.3) 51 35 4 0 0 治験責任医師等により因果関係ありと判定された有害事象(いずれかの群において基本語での発現率が 10%以上であった有害事象)に日本人/非日 本人別、遺伝子変異別で 10%以上であったものを追加。 Grade は NCI CTCAE ver.3.0 に基づき評価。 (MedDRA/J ver.11.0) 32 副作用発現頻度(日本人/非日本人別) イレッサ®群 副作用評価対象例数 副作用発現例数(%) 日本人患者 114 112(98.2) 器官別大分類および基本語 カルボプラチン+パクリタキセル群 非日本人患者 493 426(86.4) 日本人患者 118 118(100.0) イレッサ®群 非日本人患者 471 451(95.8) カルボプラチン+パクリタキセル群 日本人患者 非日本人患者 日本人患者 非日本人患者 3(2.6) 16(3.2) 17(14.4) 127(27.0) 白血球減少症 0 4(0.8) 23(19.5) 123(26.1) 好中球減少症 0 3(0.6) 54(45.8) 167(35.5) 血小板減少症 0 4(0.8) 13(11.0) 57(12.1) 便秘 9(7.9) 7(1.4) 58(49.2) 54(11.5) 下痢 58(50.9) 196(39.8) 23(19.5) 55(11.7) 悪心 9(7.9) 32(6.5) 73(61.9) 176(37.4) 35(30.7) 35(7.1) 18(15.3) 15(3.2) 7(6.1) 22(4.5) 38(32.2) 142(30.1) 13(11.4) 45(9.1) 67(56.8) 144(30.6) 31(27.2) 22(4.5) 7(5.9) 16(3.4) 33(28.9) 43(8.7) 0 0 5(4.4) 52(10.5) 3(2.5) 25(5.3) 14(12.3) 45(9.1) 79(66.9) 142(30.1) 関節痛 0 2(0.4) 53(44.9) 50(10.6) 筋肉痛 0 3(0.6) 48(40.7) 128(27.2) 味覚異常 11(9.6) 2(0.4) 17(14.4) 2(0.4) 感覚鈍麻 0 0 32(27.1) 120(25.5) 末梢性ニューロパチー 0 4(0.8) 20(16.9) 77(16.3) 2(1.8) 2(0.4) 43(36.4) 97(20.6) 4(3.5) 10(2.0) 14(11.9) 26(5.5) ざ瘡 12(10.5) 54(11.0) 1(0.8) 1(0.2) 脱毛症 11(9.6) 24(4.9) 100(84.7) 243(51.6) 皮膚乾燥 42(36.8) 101(20.5) 3(2.5) 7(1.5) 血液およびリンパ系障害 貧血 胃腸障害 口内炎 嘔吐 全身障害および投与局所様態 疲労 肝胆道系障害 肝機能異常 感染症および寄生虫症 爪囲炎 臨床検査 アラニン・アミノトランスフェラー ゼ増加 代謝および栄養障害 食欲不振 筋骨格系および結合組織障害 神経系障害 末梢性感覚ニューロパチー 精神障害 不眠症 皮膚および皮下組織障害 そう痒症 10(8.8) 92(18.7) 9(7.6) 45(9.6) 発疹 88(77.2) 214(43.4) 34(28.8) 56(11.9) 治験責任医師等により因果関係ありと判定された有害事象。 いずれかの群において基本語での発現率が 10%以上であった副作用を示した。 Grade は NCI CTCAE ver. 3.0 に基づき評価。 (MedDRA/J ver. 11.0) 33 発現例数(%) 副作用発現頻度(EGFR 遺伝子変異別) 副作用評価対象例数 変異陽性 132 イレッサ®群 EGFR 遺伝子 変異陰性 91 副作用発現例数(%) 128(97.0) 84(92.3) EGFR 遺伝子 EGFR 遺伝子 カルボプラチン+パクリタキセル群 EGFR 遺伝子 EGFR 遺伝子 変異陽性 変異陰性 変異不明 129 85 375 EGFR 遺伝子 変異不明 384 326(84.9) 129(100.0) イレッサ®群 器官別大分類および基本語 血液およびリンパ系障害 貧血 白血球減少症 好中球減少症 血小板減少症 胃腸障害 便秘 下痢 悪心 口内炎 嘔吐 全身障害および投与局所様態 疲労 感染症および寄生虫症 爪囲炎 臨床検査 アラニン・アミノトランスフェラ ーゼ増加 アスパラギン酸アミノトランス フェラーゼ増加 代謝および栄養障害 食欲不振 筋骨格系および結合組織障害 関節痛 筋肉痛 神経系障害 感覚鈍麻 末梢性ニューロパチー 末梢性感覚ニューロパチー 精神障害 不眠症 皮膚および皮下組織障害 ざ瘡 脱毛症 皮膚乾燥 そう痒症 発疹 83(97.6) 357(95.2) カルボプラチン+パクリタキセル群 EGFR 遺伝子 EGFR 遺伝子 変異陽性 変異陰性 変異不明 EGFR 遺伝子 EGFR 遺伝子 EGFR 遺伝子 変異陽性 変異陰性 変異不明 5(3.8) 0 0 0 0 0 0 1(1.1) 14(3.6) 4(1.0) 3(0.8) 3(0.8) 35(27.1) 32(24.8) 54(41.9) 17(13.2) 22(25.9) 17(20.0) 29(34.1) 8(9.4) 87(23.2) 97(25.9) 138(36.8) 45(12.0) 3(2.3) 64(48.5) 7(5.3) 17(12.9) 5(3.8) 2(2.2) 35(38.5) 10(11.0) 13(14.3) 6(6.6) 11(2.9) 155(40.4) 24(6.3) 40(10.4) 18(4.7) 32(24.8) 17(13.2) 55(42.6) 13(10.1) 39(30.2) 14(16.5) 13(15.3) 35(41.2) 3(3.5) 23(27.1) 66(17.6) 48(12.8) 159(42.4) 17(4.5) 118(31.5) 14(10.6) 14(15.4) 30(7.8) 53(41.1) 31(36.5) 127(33.9) 28(21.2) 5(5.5) 43(11.2) 0 0 0 16(12.1) 1(1.1) 40(10.4) 6(4.7) 7(8.2) 15(4.0) 15(11.4) 1(1.1) 32(8.3) 4(3.1) 6(7.1) 7(1.9) 8(6.1) 14(15.4) 37(9.6) 52(40.3) 27(31.8) 142(37.9) 0 1(0.8) 0 0 2(0.5) 2(0.5) 25(19.4) 52(40.3) 14(16.5) 37(43.5) 64(17.1) 87(23.2) 0 0 1(0.8) 0 0 0 0 4(1.0) 3(0.8) 40(31.0) 19(14.7) 39(30.2) 18(21.2) 17(20.0) 18(21.2) 94(25.1) 61(16.3) 83(22.1) 2(1.5) 3(3.3) 9(2.3) 13(10.1) 6(7.1) 21(5.6) 23(17.4) 12(9.1) 48(36.4) 34(25.8) 73(55.3) 12(13.2) 1(1.1) 11(12.1) 8(8.8) 47(51.6) 31(8.1) 22(5.7) 84(21.9) 60(15.6) 182(47.4) 0 88(68.2) 5(3.9) 12(9.3) 26(20.2) 0 54(63.5) 2(2.4) 5(5.9) 11(12.9) 2(0.5) 201(53.6) 3(0.8) 37(9.9) 53(14.1) 治験責任医師等により因果関係ありと判定された有害事象。 各サブグループのいずれかの群において基本語での発現率が 10%以上であった副作用を示した。 Grade は NCI CTCAE ver. 3.0 に基づき評価。 (MedDRA/J ver. 11.0) 34 EGFR 遺伝子 発現例数(%) (1) 重大な副作用 1) 急性肺障害、間質性肺炎(1~10%未満):急性肺障害、間質性肺炎があらわれる ことがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた 場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。 35 【解 説】 市販後使用において、本剤との関連性を否定できない重篤な急性肺障害、間質性肺炎など が報告されているため、注意喚起のため本項目を設定しました。 「警告」、「1.慎重投与(1)、(2) 」及び「2.重要な基本的注意(1)、(2)」の項を併 せてご参照ください。 以下に、間質性肺炎を発症した症例を3例ご紹介します。 【症例 1】 性別 年齢 男性 67 歳 使用理由 (合併症) 非小細胞肺 癌:線癌 (アルコー ル性肝硬変、 多発性筋炎、 肺アスペル ギルス症、 アレルギー (ミノサイ クリン塩酸 塩、ブチルス コポラミン 臭化物)) 投与量 投与期間 250mg/日 8 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:高血圧 転帰 備考欄 死亡 国内 症例 本剤投与開始 約 3 年 11 ヶ月前:肺癌(adeno alveolar cell type)と診断。 約 3 年 5 ヶ月前:右下葉切除術施行。 約 3.5 ヶ 月 前 : 化 学 療 法 ( ゲ ム シ タ ビ ン 塩 酸 塩 800mg/m2 、 ド セ タ キ セ ル 水 和 物 50mg/m2)4クール施行。(約 3 ヶ月間) 5 日前:38℃台の発熱発現。塩酸シプロフロキサシン 300mg/ 日 の 点 滴 静 注 開 始 。 CRP : 9.72 、 PaO2:80torr(N/C:1.5L)。 1 日前:解熱傾向にあり。CRP:7.8。 本剤投与開始から 3 日目:両下肢と背部に円板状の直径 5cm×5cm 程度の 皮疹出現。CRP:9.5、PaO2:72torr(N/C:1.5L)。ク リンダマイシンリン酸エステル 600mg/日点滴 静注併用開始。 5 日目:CRP:6.7、PaO2:66torr(N/C:1.5L)。 7 日目:38℃の発熱発現。PaO2:108torr(N/C:5L)、 CRP:8.73。胸部 X 線にて左中肺野に硬化像出 現。血中アスペルギルス抗原(+)であり、真菌 感染に対しイトラコナゾール 200mg/日投与を 再開。 8 日目:塩酸シプロフロキサシンの投与はセフピロム 硫酸塩に変更。夕方より酸素化悪化。オキシマ イザー10L にて SpO2:90~94%。胸部 X 線にて 左全肺野に淡いスリガラス影が出現。胸部 CT にて 左全肺野に非区域性の淡いスリガラス影が出現。薬 剤性間質性肺炎を疑い、メチルプレドニゾロン 2g/日パルス開始。また、真菌に対してはイトラコ ナゾールの投与を中止し、アムホテリシン B 1mg/日より点滴静注開始。本剤投与中止。 本剤投与中止 1 日後:オキシマイザー12L、PaO2 :66torr、CRP: 14.63、LDH 上昇。画像上も更に悪化。 3 日後:ジャクソンリース 15L にて SpO2:99%。患者の 苦痛が強く、モルヒネ塩酸塩水和物、ハロペ リドールによる鎮静開始。 4 日後:死亡。 死因:肺癌(肺胞上皮型腺癌)及び気管支肺炎(両 肺)による呼吸不全 併用薬:センノシド、エチゾラム、アロプリノール、メコバラミン、エスタゾラム、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、ベタメタ ゾンリン酸エステルナトリウム、フドステイン、タムスロシン塩酸塩、アルファカルシドール、エバスチン、コデインリン酸塩水 和物 36 検査項目(単位) 臨 床 検 査 値 の 推 移 白血球数(/mm3) 好中球(%) 好酸球(%) 好塩基球(%) 単球(%) リンパ球(%) 赤血球数(×104/mm3) ヘモグロビン(g/dL) 血小板数(×104/mm3) GOT(AST)(IU/L) GPT(ALT)IU/L) LDH(IU/L) BUN(mg/dL) 血清クレアチニン(mg/dL) Na(mEq/L) K(mEq/L) Cl(mEq/L) Ca(mEq/L) CRP(mg/dL) 投与 4 ヶ月前 11100 77.9 1.6 0.1 3.9 16.5 2.89 9.8 156 32 28 177 22.3 1.49 136 4.4 98 9.9 4.05 投与 1 日前 11700 82.3 0.3 0.6 3.8 13 2.35 8 286 18 7 260 13.6 1.2 138 3.3 102 7.8 投与 2 日目 10900 1 4 15 2.34 7.6 280 15 7 268 16.1 1.29 139 4.5 100 9.35 37 投与 5 日目 9100 71.2 1.1 0.2 10.4 17.1 2.48 8.2 302 17 7 276 16.3 1.35 130 4.5 99 8.3 6.7 投与 7 日目 11500 3 5 11 2.66 8.6 289 19 2 355 13.1 1.12 135 4.5 101 8.73 投与中止 投与中止 1 日後 3 日後 17000 28000 2 4 4 2 2.77 3.01 9 9.9 281 262 22 29 9 10 512 822 19.1 27.7 0.94 0.88 134 135 4.7 4.7 98 75 14.63 12.73 :発現日 【症例 2】 性別 年齢 男性 67 歳 使用理由 (合併症) 非小細胞肺癌 (アレルギー (造影剤にて 発疹発現)) 投与量 投与期間 250mg/日 7 日間+ 8 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:なし 転帰 備考欄 軽快 国内 症例 本剤投与開始 約 14 ヶ月前:T4N3M0 StageⅢB の腺癌と診断される。 約 13 ヶ月前:パクリタキセル+カルボプラチンによる 化学療法及実施。(約 5 ヶ月間) 約 13 ヶ月前:放射線治療実施。(約 2 ヶ月間) 約 3 ヶ月前:再発。化学療法(ゲムシタビン塩酸塩+ド セタキセル水和物) 5 クール施行。 3 日前:原疾患の増悪により、化学療法(ゲムシタビ ン塩酸塩+ドセタキセル水和物)中止。 本剤投与開始から 7 日目:食欲不振など出現。自己判断で本剤服用を中 断。 本剤投与中止 5 日後:倦怠感、息苦しさあり。本人の意志で本剤服用 を再開。SpO2 93%。X 線上、右肺野透過性低 下あり。 本剤投与再開から 8 日目:胸部CTにて右肺に淡い浸潤影あり。SpO2 89 ~90%。入院を勧めたが拒否。本剤服用中止。 本剤投与中止 3 日後:倦怠感が持続し来院。SpO2 90~94%。入院し プレドニゾロン 15mg 内服開始。 7 日後:症状軽快。 併用薬:ゾルピデム酒石酸塩、エチゾラム、レボフロキサシン水和物 投与 投与中止 投与再開 検査項目(単位) 3 日前 5 日後 8 日目 白血球数(/mm3) 3700 6200 8100 臨 好中球(%) 64 71.6 75.1 床 好酸球(%) 4.0 6.8 5.7 検 好塩基球(%) 0 0 0 査 単球(%) 8 11 9.5 値 リンパ球(%) 24 10.6 9.7 の ヘモグロビン(g/dL) 12.3 12.4 12.4 推 GOT(AST)(IU/L) 16 15 16 移 GPT(ALT)IU/L) 10 10 9 LDH(IU/L) 396 478 463 CRP(mg/dL) 4.6 5.1 2.6 38 投与中止 35 日後 6000 77.3 1.7 2.5 8.6 9.7 12.3 16 12 316 6.6 :発現日 【症例 3】 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 副作用の経過及び処置 転帰 備考欄 男性 非小細胞肺癌 250mg/日 死亡 国内 68 歳 (腰椎ヘルニ 140 日間 既往歴:なし 放射線療法歴:右上縦隔~右鎖骨上 (30Gy/30fraction/10 日)、右鎖骨胸骨側 と胸骨右上部(80Gy) ア) 症例 本剤投与開始 約 6 ヶ月前:内視鏡にて右 B3 入り口部の腺癌と診断。 右肺腫瘤に対し、80Gy/20fractions:1 回 4Gy 照射。(約 1 ヶ月間) 右肺門の腫瘤が増大。他画像上転移なし。 右肺門部、右下葉無気肺、心嚢水貯留有り。 大量の右胸水あり。 本剤投与開始から 約 3.5 ヶ月目:右胸水やや減少。心嚢水減少。効果判定: NC。 約 4.5 ヶ月目:定期受診時の胸部 X 線上、右肺野での間 質性変化を認めた。CT 上も同様の変化 があったが、症状また PaO2 の低下は認 めず。本剤投与中止。 本剤投与中止 3 日後:投与中止から 2 日間の経過観察にて胸部 X 線を とったが、陰影の変化はなく、PaO2 軽度低下が あったため、入院。 5 日後:未回復。PaO2 低下。(72.2mmHg) 7 日後:気管支肺胞洗浄施行。洗浄液中好酸球を多数確 認。ステロイドパルス療法を開始。 28 日後:死亡。 死因:間質性肺炎の関与が考えられる。 併用薬:コデインリン酸塩、酸化マグネシウム、ピコスルファートナトリウム、メコバラミン、リマプロストアルファデクス 投与 投与中止 投与中止 検査項目(単位) 約 4.5 ヶ月目 3 日後 5 日後 臨 白血球数(x 103/μL) 9.2 8.8 8.6 床 好中球(%) 74.0 71.0 80.0 検 リンパ球(%) 15.0 13.2 7.5 査 単球(%) 9.0 12.2 10.5 値 好酸球(%) 2.0 3.5 1.0 の 好塩基球(%) 0.1 推 ヘモグロビン(g/dL) 14.8 15.0 14.6 移 血小板数(×104/mm3) 22.5 22.6 21.9 LDH(IU/L) 263 270 238 CRP(mg/dL) 0.9 3.2 3.3 :発現日 39 40 2) 重度の下痢(1%未満):重度の下痢があらわれることがあるので、このような 症状があらわれた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。 41 【解 説】 市販後使用において、重度の下痢が報告されているため、注意喚起のため本項目を設定し ました。 以下に、重度の下痢を発症した症例をご紹介します。 性別 年齢 女性 61 歳 使用理由 (合併症) 肺癌 投与量 投与期間 250mg/日 6 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:なし 転帰 備考欄 回復 国内 症例 本剤投与開始 約 13 ヶ月前:右胸水にて入院。細胞診 class Ⅴ(腺癌)。胸 CT にて右下葉にφ 1cm 程度の結節影あ り。ストレプトコックス・ピオゲネス(A 群3型) Su 株ペニシリン処理凍結乾燥粉末+マイト マイシン C 10mg で胸膜癒着術。 その後、カルボプラチン+ビノレルビン酒石 酸塩 3 クール、カルボプラチン+ドセタキ セル水和物 2 クール化学療法を行った。 本剤投与開始から 2 日目:このころより軽度の下痢があった。 4 日目:退院。 5 日目:数十分に1回の激しい下痢発現。 6 日目:救急受診し、ロペラミド塩酸塩 1mg 頓用、ビフィズス 菌製剤 3g/日、天然ケイ酸アルミニウム 9g/日、テプ レノン 150mg/日の処方を受ける。本剤自己中断。 本剤投与中止 2 日後:下痢止めも効かなく、救急受診。主治医診察し、本 剤の副作用と診断し、本剤休薬を指示。ロペラミ ド塩酸塩 3mg/日、天然ケイ酸アルミニウム 3g/ 日、ビフィズス菌製剤 3g/日の投与開始。 3 日後:下痢は軽快。 7 日後:下痢は消失。 併用薬:モルヒネ硫酸塩水和物、ナプロキセン、テプレノン、インドメタシン、ブロチゾラム :発現日 42 3) 脱水(1%未満):下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることが あるので、このような症状があらわれた場合には、速やかに適切な処置を行うこと。 なお、脱水により腎不全に至った症例も報告されていることから、必要に応じて電解 質や腎機能検査を行うこと。 43 【解 説】 市販後使用において、下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振による脱水及び脱水症状による腎不 全が報告されているため、注意喚起のため本項目を設定しました。 以下に、食欲不振に伴う脱水を発症した症例及び脱水症状により腎不全に至った症例をご 紹介します。 ・食欲不振に伴う脱水を発症した症例 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 女性 肺腺癌 250 mg/日 57 歳 (腎障害) 19 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:なし 転帰 備考欄 軽快 国内 症例 本剤投与開始 約 4 年前:右肺癌手術。 約 3 年前:縦隔リンパ節で再発し、放射線治療実施。 約 2 年 6 ヶ月前:化学療法実施。 約 1 年 7 ヶ月前:肝転移のため再度化学療法実施。 本剤投与開始から 11 日目:外来受診。血清クレアチニン 1.82mg/dL。顔に発 疹がみられた。食欲不振あり。 14 日目:外来受診。発疹が増悪。食欲なし。 点滴(グルコース+塩化ナトリウム 500mL)、メトク ロプラミド 1A。ラニチジン塩酸塩 1A 投与。 19 日目:外来受診。血清クレアチニン 3.16mg/dL に上昇。 食欲、味覚なし。脱水発現。 本剤服用中止。 本剤投与中止 1 日後:入院。点滴(グルコース+塩化ナトリウム 500mL×2 回)開始。 2 日後:食欲不振軽快。 6 日後:脱水軽快。 併用薬:センノシド、デキサメタゾン、ラニチジン塩酸塩、メドロキシプロゲステロン酢酸エステル :発現日 44 ・脱水症状により腎不全に至った症例 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 肺癌 (糖尿病、高血 250 mg/日 65 歳 副作用の経過及び処置 16 日間 既往歴:なし 転帰 備考欄 軽快 国内 本剤投与開始 約 3 年前:左肺癌と診断。 約 2 年前:左肺上葉切除+ND2(pT3N0M0、stageIIB)。 放射線療法(50Gy)開始。 テガフール・ウラシル開始。 約 1 年前:胸膜・肋骨転移にて、パクリタキセル+カルボプラ チン投与開始(4 コース)。 約 2 ヶ月前:ゲムシタビン塩酸塩+ビノレルビン酒石酸塩投 与開始。 圧、慢性胃炎) 症例 本剤投与開始から 15 日目:夕より、下痢、嘔吐継続。 16 日目:本剤投与中止、点滴静注施行。嘔吐より下痢が 重度。血圧 80 台に一時低下した。嘔吐は回復。 本剤投与中止 1 日後 :BUN/Cr=40/3.74 と上昇。尿も減少。急性腎 不全にて、点滴静注、アルブミン、フロセミドによ り volume 負荷と利尿をはかった。 2 日後:BUN/Cr=30/1.86。 3 日後:BUN/Cr=18/1.06 と徐々に軽快。経口摂取も 徐々に増加。下痢は回復。 4 日後:急性腎不全は軽快。 13 日後:退院。 併用薬:グリメピリド、オルメサルタン メドキソミル、ビフィズス菌製剤、メロキシカム、レバミピド、オキシコドン塩酸塩水和 物、プレドニゾロン、クエン酸第一鉄ナトリウム、カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム 臨床検査値の推移 投与 投与 投与 投与中止 投与中止 投与中止 1 日前 12 日目 16 日目 1 日後 2 日後 3 日後 19 16 35 40 30 18 血清クレアチニン(mg/dL) 1.06 0.98 2.57 3.74 1.86 1.06 Na(mEq/L) 139 142 137 137 138 137 K(mEq/L) 5.6 4.4 4.4 4.3 4.3 3.7 検査項目(単位) BUN(mg/dL) Cl(mEq/L) 102 106 100 102 103 101 CRP(mg/dL) 3.21 1.32 8.13 9.64 9.65 11.94 _:発現日 45 46 4) 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(1%未満)、皮膚 粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)(1%未満)、多形紅斑(1%未満): 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるの で、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な 処置を行うこと。 47 【解 説】 外国での使用及び国内市販後使用において、中毒性表皮壊死融解症、多形紅斑及び皮膚粘 膜眼症候群が報告されているため、注意喚起のため本項目を設定しました。 以下に、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群及び多形紅斑を発症した症例をご紹介 します。 • 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN) 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 非小細胞肺癌 250 mg/日 68 歳 (脳転移) 40 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:放射線治療、頭蓋手術。皮膚疾患の既往なし。 転帰 備考欄 死亡 外国 症例 本剤投与開始から 27 日目:顔面、胸部及び体躯に CTC グレード 2 の発疹が 発現。本剤の投与は継続。ジフェンヒドラミン塩 酸塩、カラミンにて治療。 28 日目:発疹は CTC グレード 3 に悪化。 33 日目:CTC グレード 4 の中毒性表皮壊死融解症に進 展。ヒドロコルチゾンクリームで治療を継続する が、症状はさらに悪化し、水疱、潰瘍形成がみら れた。スルファジアジン銀クリーム治療に変更。 35 日目:メチルプレドニゾロンクリームを開始。 36 日目:潰瘍形成、剥脱性皮膚炎、水疱及び疼痛と滲出 液を伴う開口した潰瘍のため入院。顔面、頚部、 体躯の皮膚剥落、体躯、腕、下肢など全体表面 積の5%に紅斑性発疹がみられた。水分補給、 免疫グロブリン投与、神経病学的診察、創傷部 位の治療を含む追加治療が検討された。フェニト インナトリウムの投与は中断され*divalproex sodium(抗てんかん剤)、アルブミン、 *phytomenadione(ビタミン K 剤)、アスコルビン 酸、複合ビタミン剤、バルプロ酸ナトリウム、 *divalproex sodium(抗痙攣薬)、免疫グロブリ ン、塩化カリウム、フロセミド、レボフロキサシン、 モルヒネ、*oxandrolone(蛋白同化ステロイド)、フ ァモチジン、インスリン、オキシコドン塩酸塩/アセ トアミノフェン配合剤、ピペラシリンナトリウム /*tazobactam sodium 配合剤で治療。 40 日目:本剤投与中止。 本剤投与中止 2 日後:肺癌及び中毒性表皮壊死融解症のため死亡。 *国内未発売薬剤 併用薬:デキサメタゾン、フェニトインナトリウム、ファモチジン _:発現日 48 • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群) 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 女性 肺腺癌 250 mg/日 80 歳 (脳転移、骨転 161 日間 代 移、下肢蜂巣 炎) 副作用の経過及び処置 既往歴:骨粗鬆症 転帰 備考欄 死亡 国内 症例 本剤投与開始から 153 日目:白血球数 10400、CRP14.8、体温 36.4℃、蜂巣 炎としてアンピシリンナトリウム(2g/日)治療開 始。 158 日目:顔、体に発疹出現。口唇浸軟、痂皮の付着、顔 面を含む体幹四腿に痒みのない target 型の紅 斑が多数出現。薬疹疑いでアンピシリンナトリウ ム中止。 160 日目:プレドニゾロン(50mg/日)内服開始。発熱と球結 膜充血もみられ、発疹も水疱びらんを生じ、ス ティーブンス・ジョンソン症候群と診断。 161 日目:本剤、フェノバルビタール中止。内服はプレドニ ゾロン、ファモチジンのみ。 値の推移 臨床検査 本剤投与中止 1 日後:ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン 1g×3 日、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウ ム 1000mg/日×3 日間)開始。全身処置はジメ チルイソプロピルアズレン軟膏使用。セファゾリン ナトリウム(2g/日)使用。 4 日後:アルブミン低下、びらん面積が全体の 30%を越え、 ライエル症候群と診断。ステロイド中止。γグロブ リン、アルブミン投与。セファリゾンナトリウム→メロ ペネムに変更。 6 日後:血小板数低下。メシル酸ガベキサート(1000mg/ 日)投与。 11 日後:γグロブリン中止。 14 日後:メシル酸ガベキサートからダルテパリンナトリウム (2500 単位/日)に変更。内科に転棟。 16 日後:胸部 X 線でも胸水貯留。利尿剤その他治療行う も、突然呼吸不全となり死亡。 併用薬:フェノバルビタール、アンピシリンナトリウム、ウルソデスオキシコール酸、ファモチジン、補中益気湯、リセドロン酸 ナトリウム水和物、アルファカルシドール、ヘパリン類似物質、アルプロスタジルアルファデクス 投与 153 日目 検査項目(単位) 体温 (℃) 白血球数 (/mm3) CRP (mg/dL) 36.4 10400 14.8 _:発現日 • 多形紅斑 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 副作用の経過及び処置 転帰 備考欄 男性 非小細胞肺癌 250 mg/日 既往歴:バイパス術を要した冠動脈疾患。 回復 外国 56 歳 (胃食道逆流、 43 日間 疼痛、甲状腺 機能低下症、 本剤投与開始から 36 日目:発疹発現。 43 日目:病勢進展のため本剤の投与を中止。 症例 貧血) 本剤投与中止 1 日後:皮膚のパンチバイオプシーにより多形紅斑と判明。 トリアムシノロン及びクロベタゾールにて治療。 12 日後:多形紅斑は回復。 併用薬:ニザチジン、*hydrocodone bitartrate・アセトアミノフェン、エポエチン、レボチロキシンナトリウム *国内未発売薬剤 _:発現日 49 50 5) 肝炎(1%未満)、肝機能障害(10%以上)、黄疸(1%未満)、肝不全(1%未満): 肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビンの上昇等 を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告さ れているので、本剤投与中は 1~2 ヵ月に 1 回、あるいは患者の状態に応じて肝機 能検査を実施するなど観察を十分に行い、重度の肝機能検査値変動が認められた 場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意」 の項参照) 51 【解 説】 市販後使用において、肝機能障害、肝炎、黄疸、肝不全が報告されているため、注意喚起 のため本項目を設定しました。 「1.慎重投与(3)」及び「2.重要な基本的注意 (3) 」の項を併せてご参照ください。 以下に、肝機能障害、黄疸、肝不全を発症した症例をご紹介します。 ・肝機能障害 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 肺癌 250 mg/日 60 歳 (高血圧) 45 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:なし 転帰 備考欄 回復 国内 症例 本剤投与開始 約 13 ヶ月前:健診で胸部異常影を指摘され、肺癌と診断。 約 1 年前:手術。 約 6 ヶ月前:再発を認め、胸部に対する放射線療法及び化 学療法施行。 本剤投与開始から 45 日目:肝機能障害を認め、入院。本剤投与中止し、グリ チルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・ L-システイン塩酸塩水和物配合剤静注。 本剤投与中止 15 日後:検査データ改善。 16 日後:退院。 併用薬:アムロジピンベシル酸塩、ベナゼプリル塩酸塩、トリアゾラム 検査項目(単位) 臨 床 検 査 値 の 推 移 白血球数(/mm3) 好中球(%) 好酸球(%) 好塩基球(%) 単球(%) リンパ球(%) 赤血球数 (×104/mm3) ヘモグロビン (g/dL) 血小板数 (×104/mm3) 総蛋白(g/dL) GOT(AST)(IU/L) GPT(ALT)IU/L) LDH(IU/L) ALP(IU/L) γ-GTP(IU/L) 総ビリルビン (mg/dL) BUN(mg/dL) 血清クレアチニン (mg/dL) Na(mEq/L) K(mEq/L) Cl(mEq/L) 開始 投与 投与中止 1 日前 10500 70.9 1.3 0.9 8 16.1 304 4 日目 9900 69.4 1.7 0.7 7.1 19.0 316 8 日目 17 日目 31 日目 45 日目 1 日後 2 日後 8300 7800 8300 8400 8400 66.9 59.1 68.8 51.1 47.0 1.8 9.7 7.5 5.9 7.5 0.8 0.6 0.5 0.5 0.8 7.5 8.2 6.4 8.5 11.6 20.1 20.5 15.4 30.0 29.4 300 332 342 331 329 - 10.1 10.4 9.8 10.8 11.1 10.7 10.5 - 11.6 10.6 10.8 10.8 33 42.9 42.1 52.5 36.8 24.6 26.2 - 30.4 27.5 25.7 24.1 6.8 18 16 300 270 0.3 7.3 13 12 210 268 0.3 6.9 12 10 157 265 0.4 7.9 14 17 170 289 0.3 8.0 30 48 189 312 0.4 7.1 746 1264 528 631 0.7 7.1 548 1108 399 612 162 0.9 6.3 359 823 320 543 0.7 7.4 215 576 276 536 168 0.9 6.3 85 234 189 365 139 0.7 6.4 91 135 208 291 120 0.8 6.6 54 82 178 242 108 0.6 18 0.7 16 0.7 19 0.7 16 0.8 14 0.8 25 0.8 26 0.8 25 0.8 - - - - 138 3.8 100 137 4.3 98 136 4.6 99 136 4.2 98 135 4.0 98 136 3.6 101 136 3.7 100 137 3.7 103 - - :発現日 - 52 4 日後 7 日後 11 日後 15 日後 7400 6100 5700 6700 43.1 50.4 48.6 53.3 6.7 7.4 7.4 4.2 0.8 0.8 0.6 0.6 9.4 9.0 8.1 6.9 36.4 29.3 33.0 32.1 353 328 334 338 ・黄疸 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 副作用の経過及び処置 転帰 備考欄 男性 肺扁平上皮癌 250mg/日 投与開始 約 17 ヶ月半前:会社の検診にて、胸部異常影を指摘。約 2 週間後頃咳嗽あり。 約 17 ヶ月前:内科初診。精査にて右肺門扁平上皮癌、 cT4(気管)N2 (Bul)M0、stageIIIb と診断。 約 16 ヶ月半前:カルボプラチン+ドセタキセル水和物を6コ ース及び放射線療法(60Gy)施行。 約 8 ヶ月前:パクリタキセル投与開始(毎週)。合計 6 コース 施行。 軽快 国内 53 日間 50 歳 代 症例 本剤投与開始 1 日目:副作用のためパクリタキセルを中止し、本剤投与開 始。 11 日目:胸部 X 線上、変化なし。症状変化なし。 37 日目:CT 上、腫瘍の変化なし。 39 日目:1 週間前より食欲低下の訴えあり。黄疸なし。 53 日目:本剤を服用するとむかむかする。頻尿。食欲低 下。黄疸を認める。本剤が原因と考え投与中止。 腹部エコー上、特記すべき所見なく、黄疸の原 因ははっきりせず。 本剤投与中止 5 日後:前日 38.7℃の発熱があったため来院。黄疸改善、 食欲回復傾向。この日は既に解熱。 7 日後:本剤中止後、食欲など改善。採血結果も改善。 併用薬:メコバラミン 検査項目(単位) 臨 床 検 査 値 の 推 移 AST(GOT) (U/L) ALT(GPT) (U/L) LDH (U/L) Al-P (U/L) γ-GTP (U/L) 総ビリルビン (mg/dL) 直接ビリルビン (mg/dL) 総蛋白 (g/dL) アルブミン (g/dL) 投与 13 日前 22 19 364 221 30 0.3 0.1 6.4 4.2 投与 1 日目 24 21 352 190 62 0.8 0.2 6.5 4.3 53 投与 25 日目 57 52 394 255 43 0.5 0.2 6.6 4.3 投与 53 日目 451 630 484 571 360 7.9 6.2 5.0 3.3 投与中止 7 日後 171 295 399 523 - 3.7 - - - :発現日 ・肝不全 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 非小細胞肺癌 250mg/日 (前立腺癌、腎 13 日間 80 歳 代 細胞癌) 副作用の経過及び処置 転帰 既往歴:陳旧性心筋梗塞 死亡 本剤投与開始 約 8 ヶ月前:非小細胞肺癌と診断された。胸部に放射線療法 施行。(総照射量 66Gy、本剤投与約 6 ヶ月前ま で)。 約 6 ヶ月前:カルボプラチン+パクリタキセルによる化学療法開 始(合計 2 サイクル)。 約 3 ヶ月前:ゲムシタビン塩酸塩単剤による化学療法開始(合 計 2 サイクル)。 備考欄 国内 症例 本剤投与開始から 4 日目:消化管症状(食欲低下、下痢)発現。 13 日目:食欲不振悪化のため、補液開始。 14 日目:肝不全発現。全身倦怠感、苦痛のため、ステロイド点 滴。本剤投与中止。 本剤投与中止 1 日後:意識障害、肝不全、多臓器不全。ウリナスタチン、ガ ベキサートメシル酸塩、ステロイド、血小板輸血施行。 2 日後:永眠。死因:急性肝不全を疑う。剖検なし。 併用薬:カルボシステイン、アンブロキソール塩酸塩、トラネキサム酸、プレドニゾロン、ナプロキセン、ロキサチジン酢酸エ ステル塩酸塩、ビフィズス菌、タンニン酸アルブミン、硝酸イソソルビド、プラバスタチンナトリウム、フマル酸第一鉄、ジゴキ シン 検査項目(単位) 白血球数(/mm3) 臨床検査値の推移 赤血球数(×104/mm3) ヘモグロビン(g/L) ヘマトクリット(%) 血小板数(×104/mm3) 総蛋白(g/dL) AST[GOT](IU/L) ALT[GPT](IU/L) 投与 1 日前 14000 312 9.2 29.6 14.9 5.4 投与 3 日目 14300 295 8.8 27.9 13.1 - 投与 6 日目 12800 279 8.3 26.3 13.6 5.0 投与 9 日目 14600 299 8.9 28 14.2 - 投与 13 日目 19500 339 10.0 32.0 13.7 5.4 投与中止 1 日後 13600 367 10.9 33.1 1.3 - 87 66 72 67 74 370 95 71 78 83 102 192 LDH(IU/L) 1252 908 1285 955 1049 3480 ALP(IU/L) 973 1065 1120 1435 2074 1769 γ-GTP(IU/L) 349 362 367 452 636 549 総ビリルビン(mg/dL) 1.1 0.9 1.0 1.4 - 12.4 血清クレアチニン(mg/dL) 0.6 0.7 0.7 0.8 0.8 1.6 BUN(mg/dL) 16.4 21.2 20.8 25.5 33.9 64.9 Na(mEq/L) 140.9 138.3 138.9 138.6 138.0 132.1 K(mEq/L) 4.9 5.2 5.2 4.8 5.1 6.5 Cl(mEq/L) 104.3 105.0 102.6 102.0 101.1 97.8 Ca(mEq/L) 9.4 CRP(mg/dL) 13.17 12.2 54 12.5 10.0 11.44 10.9 11.31 :発現日 6) 血尿(1%未満)、出血性膀胱炎(1%未満):血尿、出血性膀胱炎があらわれる ことがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど、適切な処置 を行うこと。 55 【解 説】 市販後使用において、血尿及び出血性膀胱炎が報告されているため、注意喚起のため本項 目を設定しました。 以下に、血尿及び出血性膀胱炎を発症した症例をご紹介します。 • 血尿 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 副作用の経過及び処置 転帰 備考欄 男性 肺癌 250mg/日 既往歴:左足関節骨折、喉頭パピローマ、喫煙歴(約 40 年 間)、アルコール歴 軽快 国内 74 歳 (前立腺肥大) 99 日間 症例 本剤投与開始 約 7 ヶ月前:近医で喉頭ポリープ指摘。 約 5 ヶ月前:当院耳鼻咽喉科受診。胸部 X 線で異常影を認 め、CT で右上葉に直径 5cm 大の腫瘤あり。 約 3 ヶ月半前:気管支鏡検査施行。経気管支肺生検にて右 肺上葉扁平上皮癌(低分化)(P-T4N0M0 StageⅢB)と診断。 約 3 ヶ月前:全身麻酔下で右上葉切除・右 S6 部分切除、肺動 脈形成術施行。その後、外来で経過観察。 10 日前:胸腹部 CT で右肺内及び肝左葉に転移出現。 本剤投与開始から 44 日目:排尿時に凝血塊出現。 50 日目:当院泌尿器科に受診し、膀胱鏡で薬剤性膀胱炎と 診断。セフカペンピボキシル塩酸塩 300mg 及び排 尿時痛のためジクロフェナクナトリウム 50mg 内服開 始。 55 日目:泌尿器科再診。血尿変わらず。セフカペンピボキシ ル塩酸塩のみ内服継続し、カルバゾクロムスルホン 酸ナトリウム 90mg 追加投与。 65 日目:泌尿器科再診。肉眼的血尿は改善するも尿潜血陽 性(+)のため、セフカペンピボキシル塩酸塩投与継 続し、プレドニゾロン 5mg 投与開始(本剤投与中止 3 日後まで)。 82 日目:胸部及び腹部 CT 上、右肺内部の転移縮小みられる も肝転移増大を認めた。 85 日目:血尿は軽快。 96 日目:尿潜血(±)。 99 日目:肝転移へは無効と判断し、本剤投与中止とした。 併用薬:ブロチゾラム、パロキセチン塩酸塩水和物、センノシド、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネ シウム、シベンゾリンコハク酸塩、フルニトラゼパム、フェニルプロパノールアミン配合剤、ロペラミド塩酸塩 臨 床 検 査 値 の 推 移 検査項目(単位) 白血球(/mm3) 赤血球(×104/mm3) ヘモグロビン(g/dL) ヘマトクリット (%) 血小板(×104/mm3) 総蛋白(g/dL) GOT [AST] (IU/L) GPT [ALT] (IU/L) LDH (IU/L) BUN (mg/dL) 血清クレアチニン(mg/dL) CRP(mg/dL) 尿潜血 尿沈渣 投与 7 日前 9400 406 12.7 38.6 33.7 7.4 15 6 395 15.8 1.2 2.9 ― ― 投与 50 日目 5700 415 12.9 39.6 24.6 6.9 147 235 ― 22.5 1.2 ― (3+) 赤血球多数 56 投与 65 日目 8100 406 12.8 38.7 23.5 ― 64 115 343 16.4 1.1 ― (+) 赤血球: 5-9/HPF 投与 82 日目 13900 436 13.7 41.8 30.0 7.4 33 40 433 22.5 1.1 1.7 (2+) 赤血球: 30-49/HPF 投与 96 日目 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― (±) 赤血球: 5-9/HPF :発現日 • 性別 年齢 出血性膀胱炎 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 肺腺癌 250mg/日 69 歳 (脳転移、骨転 50 日間 移、狭心症、 高血圧症) 副作用の経過及び処置 既往歴:胸膜炎 転帰 軽快 本剤投与開始 約 27 ヶ月前:腰痛をおぼえ精査したところ、肺癌骨転移の 診断を得た。 約 26 ヶ月前:カルボプラチン+パクリタキセルによる化学療 法を 6 コース施行。 約 12 ヶ月前:脳転移と診断され、ガンマナイフ治療施行。 化学療法は 2nd line としてゲムシタビン塩酸 塩単独療法 6 コース施行。 約 4 ヶ月前:3rd line としてイリノテカン塩酸塩単独療法施 行。5 コース施行したところで原発巣の増大 を認めた。 備考欄 国内 症例 本剤投与開始から 43 日目:排尿痛、肉眼的血尿出現。 50 日目:泌尿器科緊急受診。著明な膀胱炎が指摘され、 同日泌尿器科入院。プレドニゾロン 30mg 内服に て治療開始。本剤投与中止。 本剤投与中止 4 日後:プレドニゾロン 20mg に減量。 10 日後:プレドニゾロン 10mg に減量。 15 日後:出血性膀胱炎軽快。 併用薬:アムロジピンベシル酸塩、硝酸イソソルビド、ニコランジル 投与 13 日前 投与 50 日目 検査項目(単位) 白血球(/mm3) 4400 7600 赤血球(×104/mm3) 423 439 ヘモグロビン(g/dL) 12.1 12.7 ヘマトクリット (%) 37.4 38.0 臨 血小板(×104/mm3) 27.5 23.2 総蛋白(g/dL) 6.7 7.0 床 GOT [AST] (IU/L) 19 57 検 GPT [ALT] (IU/L) 10 119 査 LDH (IU/L) 409 258 値 BUN (mg/dL) 13.9 27.2 の クレアチニン(mg/dL) 0.8 1.1 推 尿酸(mg/dL) 8.2 4.9 移 Na(mEq/L) 144 146 K(mEq/L) 4.3 3.7 Cl(mEq/L) 107 110 CRP(mg/dL) 0.4 <0.1 尿潜血 (-) ― 尿沈渣 正常 ― 57 投与中止 8 日後 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― (-) 正常 投与中止 11 日後 7400 414 11.9 36.3 23.9 5.2 15 24 169 24.3 0.7 ― 141 3.7 104 <0.1 ― ― :発現日 58 7) 急性膵炎(1%未満):急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、 腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処 置を行うこと。 59 【解 説】 市販後使用において、急性膵炎が報告されているため、注意喚起のため本項目を設定しま した。 以下に、急性膵炎を発症した症例をご紹介します。 60 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 男性 肺腺癌 250mg/日 65 歳 79 日間 +10 日間 +6 日間 +9 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:大腸ポリープ切除、副鼻腔炎手術、飲酒歴あり、喫煙歴なし 本剤投与開始 約 20 ヶ月前:咳嗽発現。 約 16 ヶ月前:肺癌疑いのため入院。 約 15 ヶ月半前:気管支鏡にて右 B6、経気管支生検にて腺癌と診断。全 身検索の結果、StageⅣ(T4N3M1)と判明。 約 15 ヶ月前:右骨盤に 30Gy(10 回)放射線療法施行。 約 14 ヶ月前:化学療法(シスプラチン+ビノレルビン酒石酸塩)を 3 コース 施行するも SD。 約 11 ヶ月前:全脳照射 30Gy(10 回)施行。 約 10 ヶ月前:左骨盤に新たな転移認め(PD)、同部に 30Gy(10 回)照 射。 約 9 ヶ月前:一旦退院。 約 7 ヶ月前:肝転移のため、再入院。 約 6 ヶ月半前:化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)を 2 コース 施行するも PD。 約 4 ヶ月半前:化学療法(ゲムシタビン塩酸塩)を 2 コース施行するも PD。 約 2 ヶ月半前:退院。 約 1 ヶ月半前:全身骨痛増強し、再入院。 転帰 備考欄 死亡 国内 症例 本剤投与開始から 1 日目:その後肝転移による肝機能異常、CRP 上昇、腫瘍熱、全身倦怠 などの自覚症状は約 1 週間で改善。2 週間後には画像的にも 著明に縮小。4 週間後には PR。 73 日目:経口摂取後、嘔吐、微熱、腹部膨満感が出現。 79 日目:来院。来院までの間、排便なし。イレウスを疑い同日入院。本剤 を含む経口薬を中断とする。アミラーゼ 353IU/L、リパーゼ 131IU/L、エラスターゼ-1 1343ng/dL と上昇。絶食持続点滴、 ガベキサートメシル酸塩 600mg/日にて腹痛改善。嘔気改善 し、排ガスもみられるようになった。 本剤投与中止 4 日後:膵臓食にて、経口摂取再開。 12 日後:アミラーゼ 95IU/L と正常化。 13 日後:本剤投与再開。その後、順調であった。 本剤投与再開から 10 日目:再び嘔吐出現したため、本剤を含む経口薬投与中断。アミラー ゼ 3845IU/L。 本剤投与中止(2 回目) 2 日後:アミラーゼ 1233IU/L。 3 日後:この日以降、本人の希望強く、本剤のみ投与再開。 本剤投与再開(2 回目)から 5 日目:経口摂取量増加せず、高カロリー輸液施行。 6 日目:本剤投与中断。 本剤投与中止(3 回目) 2 日後:アミラーゼ 2313IU/L。 5 日後:本人の希望強く、本剤投与開始。その後も麻痺性イレウスが一 進一退。 本剤投与再開(3 回目)から 9 日目:胆汁様嘔吐出現。 10 日目:急に呼吸が微弱、血圧低下となり、死亡。 併用薬:ファモチジン、フルニトラゼパム、プレドニゾロン、メトクロプラミド、アレンドロン酸ナトリウム水和物、ナプロキセン、 モルヒネ塩酸塩水和物、ミノサイクリン塩酸塩、モルヒネ硫酸塩水和物 61 臨床検査値の推移 検査項目 (単位) 投与 13 日前 投与 1 日目 投与 44 日目 投与 58 日目 投与 79 日目 投与中止 12 日後 再開 10 日目 白血球数(/mm3) 好中球(%) リンパ球(%) 赤血球数 (×104/ mm3) ヘモグロビン(g/dL) 総蛋白(g/dL) アルブミン(g/dL) CRP(mg/dL) アミラーゼ(IU/L) 13240 76.5 15.4 13200 72.7 19.8 10890 82.7 12.0 10270 82.3 11.1 14400 86.3 6.7 12100 78.8 12.0 ― ― ― 再開 (3 回目) 4 日目 7280 82.2 10.0 319 330 373 406 401 327 ― 269 8.3 6.7 2.3 7.5 60 8.6 6.4 2.3 7.8 58 10.2 6.3 3.1 1.1 108 11.0 ― 3.0 3.6 145 10.7 ― 2.6 10.7 353 8.6 ― ― 7.5 95 62 ― 7.4 ― 5.2 ― 2.2 ― 4.0 3845 3082 _:発現日 8) 消化管穿孔(1%未満)、消化管潰瘍(1%未満)、消化管出血(1%未満): 消化管穿孔、消化管潰瘍、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分 に行い、異常が認められた場合には、内視鏡、腹部 X 線、CT 等の必要な検査を行 い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。 63 【解 説】 市販後使用において、消化管穿孔、消化管潰瘍、消化管出血が報告されているため、 注意喚起のため本項目を設定しました。 以下に、消化管穿孔を発症した症例をご紹介します。 ・消化管穿孔 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 女性 非小細胞肺癌 250mg/日 70 歳 代 (高血圧) 11 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:巨大S状結腸症、白内障 本剤投与開始 約 3 年 2 ヶ月前:左肺野部肺癌(腺癌)に対し精査の上、手術 施行。胸腔内播種を認めたため、HCT 施行 (ネダプラチン 50mg+蒸留水 500mL)する が、cT4N0M0 として、試験開胸で終わる。 約 3 年 1 ヶ月前:化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル) 2 クール行うも NC。以後、外来フォロー。 約 3 ヶ月前:癌性胸膜炎に対し、胸膜癒着術施行。 転帰 軽快 備考欄 国内 症例 本剤投与開始から 8 日目:外来受診。下痢気味。センノシド併用していたため中 止を指示。ビフィズス菌整腸剤を下痢が軽快しないと きに内服するよう指示。 11 日目:水様性下痢、38℃発熱出現。自己判断にて本剤内 服中止。 本剤投与中止 5 日後:下痢が続き、食事がとれず力が入らない。 6 日後 0 時頃まで:意識状態に問題はなかったと家族談。 4 時頃より:手足の冷汗著明となる。 9 時:同居中の家族が患者の反応が鈍いことに気付き、救 急車で来院。 9 時 10 分頃:意識障害、血圧低下、低酸素血症あり。即時 入院。 12 時:腹部 CT にて腸管穿孔判明。 14 時 45 分:手術施行。横行~下行結腸切除、人工肛門造 設。下行結腸に穿孔あり。腹腔内膿性滲出液 貯留。 術中~術後ショック状態で経過。 術後、人工呼吸管理の上、全身管理を継続 し、状態改善。 手術創の感染をきたし、開放創となっているも のの、人工呼吸管理から離脱。 リハビリを実施。 約 3 ヶ月後:穿孔性腸膜炎は軽快。 併用薬:ニフェジピン、アロチノロール塩酸塩、センノシド、ブロチゾラム、テガフール・ウラシル、ジクロフェナクナトリウム、ミ ソプロストール、モルヒネ硫酸塩、プロクロルペラジンマレイン酸塩 64 検査項目(単位) 臨床検査値の推移 白血球数(/mm3) 赤血球数(×104/mm3) ヘモグロビン(g/L) ヘマトクリット(%) 血小板数(×104/mm3) PT(秒) 総蛋白(g/dL) アルブミン(g/dL) AST[GOT](IU/L) ALT[GPT](IU/L) LDH(IU/L) ALP(IU/L) γ-GTP(IU/L) 総ビリルビン(mg/dL) 直接ビリルビン(%) 総コレステロール(mg/dL) BUN(mg/dL) 血清クレアチニン(mg/dL) 血中尿酸(mg/dL) Na(mEq/L) K(mEq/L) Cl(mEq/L) Ca(mEq/L) CRP(mg/dL) 投与 49 日前 6200 408 12.4 37.7 35.0 7.4 4.4 19 7 197 298 13 0.6 67 230 21.2 0.7 4.6 143 4.5 105 <0.2 中止 6 日後 14700 441 13.1 39.4 30.9 18.8 5.1 2.2 33 20 229 377 22 0.7 86 52 46.7 1.9 9.9 139 5.0 104 7.9 43.0 65 中止 8 日後 21400 427 12.9 38.9 10.7 4.8 2.7 73 55 261 355 22 1.4 86 66 42.3 0.9 8.6 146 3.4 104 7.2 28.0 中止 46 日後 8200 314 10.3 31.6 38.1 2.9 16 11 167 353 44 0.3 67 149 16.7 0.4 2.7 136 3.9 101 <0.2 _:発現日 ・消化管穿孔 性別 年齢 使用理由 (合併症) 投与量 投与期間 女性 肺腺癌 250mg/日 70 歳 (間質性肺炎、 15 日間 代 高血圧) 副作用の経過及び処置 既往歴:肺炎 本剤投与開始から 5 日目:嘔吐、下痢が出現し、患者は自己判断で本剤中止 とした。 15 日目:再診時、本剤投与中止。対症療法行うも症状あま り改善せず。 転帰 備考欄 不明 国内 症例 本剤投与中止 13 日後:食欲なく、入院。茶色水様便が頻回にあり、腹部 圧痛(2+)。 16 日後:夜より腹痛が出現。 17 日後:腹痛増強。筋性防衛も出現。X 線にて腹腔内の 遊離ガス(+)。胃カメラでは異常なし。患者本人は 手術を希望せず、抗生剤にて保存的に治療。 18 日後:症状はゆっくりと軽快。 25 日後:症状はほぼ消失するも、血便(+)。 併用薬:コデインリン酸塩 検査項目(単位) 臨床検査値の推移 白血球数(/mm3) 赤血球数(×104/mm3) ヘモグロビン(g/L) ヘマトクリット(%) 血小板数(×104/mm3) PT 総蛋白(g/dL) AST[GOT](IU/L) ALT[GPT](IU/L) LDH(IU/L) ALP(IU/L) γ-GTP(IU/L) 総ビリルビン(mg/dL) 直接ビリルビン(mg/dL) BUN(mg/dL) 血清クレアチニン(mg/dL) 血中尿酸(mg/dL) Na(mEq/L) K(mEq/L) Cl(mEq/L) CRP(mg/dL) 投与 9 ヶ月前 7820 12.6 40.1 8.7 24 15 601 9.59 投与中止 8 日後 8390 400 11.3 33.3 32.6 19.9 1.0 9.2 139 4.0 107 - 投与中止 13 日後 4650 354 9.5 29.4 24.4 5.5 7 9 194 225 32 0.4 0.3 16.6 0.7 4.3 136 3.9 101 - 投与中止 17 日後 1010 318 8.7 26.3 16.7 48.1 4.9 7 4 164 137 24 0.7 0.4 15.9 0.7 3.4 135 3.9 97 27.96 投与中止 21 日後 3680 333 9.1 27.5 28.9 56 4.8 95 75 206 536 204 0.7 0.5 7.2 0.5 2.5 134 3.9 101 6.42 投与中止 28 日後 6130 323 8.8 26.8 54.2 6.6 38 34 260 474 128 0.5 0.3 9.7 0.6 2.1 136 5.7 96 3.55 _:発現日 66 (2) その他の副作用 10%以上 1~10%未満 全 身 皮 膚 1%未満 無力症、疲労、倦怠感 発疹、そう痒症、皮 爪の障害 脱毛、皮下出血、皮膚血管 膚乾燥、皮膚亀裂、 炎 ざ瘡等の皮膚症状 眼 注 1) 結膜炎、眼瞼炎、角膜炎、 角膜びらん注 2)、眼乾燥注 3) 消化器 下痢 嘔気、嘔吐、食欲 口内乾燥注 3) 不振、口内炎 血液 肝 臓 白血球減少、血小板減少 肝機能障害(AST (GOT)上昇、ALT (GPT)上昇等) 過敏症 血管浮腫、蕁麻疹 その他 鼻出血、INR 上昇注 4)、 出血注 4)、クレアチニン上 昇、蛋白尿、発熱 注1)眼に異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行うなど適切な処置を行う こと。 注2)症状は可逆的である。異所性睫毛に伴い起こる場合もある。 注3)他の乾燥症状(主に皮膚症状)に関連して起こる場合もある。 注4)ワルファリンとの併用時にこれらの症状があらわれたとの報告がある。(「相互 作用」の項参照) 発現頻度は特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*から算出した。なお、 本調査で認められなかった副作用については1%未満に記載した。 67 【解 説】 日本及び外国で実施された臨床試験成績、国内での発現状況及び CCDS(企業中核データ シート)を参考に設定しました。 なお、発現頻度は特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*での発現率をもとに 設定し、本調査で認められなかった副作用については1%未満に記載しました。 副作用発現頻度表をご参照ください。 *参考文献 吉田茂:医薬ジャーナル, 41(2), 772, 2005 68 5. 高齢者への投与 本剤の臨床試験成績から、65 歳以上と 65 歳未満で血漿中濃度及び副作用発現率並び にその程度に差はみられていない。しかし、一般に高齢者では生理機能が低下してい ることが多いので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。 6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回る と判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与に よるリスクについて患者に十分説明すること。[妊婦及び授乳婦における使用経験 はない。動物実験で胎児重量の減少(ウサギ)、生存出生児数の減少(ラット) 及び出生児の早期死亡(ラット)が認められている。] (2) 授乳中の婦人に投与することは避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止さ せること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。] (3) 本剤投与中の婦人には妊娠を避けるよう指導すること。 69 【解 説】 日本及び外国における第Ⅰ相試験、第Ⅰ/Ⅱ相試験及び国際共同第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-1) 及び外国第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-2)について、65 歳以上と 65 歳未満で層別し検討したと ころ、副作用発現率はほぼ同程度でした。また、国際共同第Ⅱ相臨床試験(IDEAL-1)にお けるポピュレーションファーマコキネティクス(PPK)解析の結果、年齢と薬物動態との 間に相関はみられませんでした。しかしながら、一般に高齢者では生理機能が低下してい ることが多いと考えられることから、注意喚起のため本項目を設定しました。 【解 説】 器官形成期投与試験では、ラット及びウサギのいずれにも催奇形性を示唆する所見は認め られなかったものの、ウサギにおいて胎児体重減少が認められました。ラットにおける器 官形成期、周産期及び授乳期投与試験では、生存出生児数の減少、20mg/kg/day(母動物の 毒性用量)投与群において出生後間もない新生児の生存率が顕著に低下し、5mg/kg/day 群 でも、弱いながら同様の結果が得られました。これらの動物試験結果及び、本剤には妊婦 及び授乳婦における使用経験がなく、安全性が確立されていないことから本項目を設定し ました。 【解 説】 ラットにおける試験で、本薬の乳汁中への移行が認められていることから本項目を設定し ました。 【解 説】 ラットを用いた妊娠前及び妊娠初期投与試験において、黄体数、着床数並びに生存胎児数 の減少が認められました。また、ラット及びウサギにおいて、本薬の胎盤移行性が認めら れていることから本項目を設定しました。 70 7. 小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用 経験がない)。 8. 適用上の注意 薬剤交付時: PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること。[PTP シー トの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等 の重篤な合併症を併発することが報告されている。] 71 【解 説】 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児における使用経験がないことから本項目を設 定しました。 【解 説】 近年患者が「PTP シートから薬剤を取り出さず、分割した PTP シートのまま飲み込む」誤 飲事例で、緊急処置を要する症例が増加傾向にあるため、注意喚起のため本項目を設定し ました。 《参考》平成 8 年 3 月 27 日付日薬連発第 240 号「PTP の誤飲対策について」 72 9. その他の注意 (1) 海外で実施された化学療法歴のない進行非小細胞肺癌患者を対象とした 2 つの臨 床試験において、本剤とビノレルビンとの併用により、重症の好中球減少や発熱 性好中球減少がみられ、臨床試験が中止された。また、日本においても、本剤と ビノレルビンとの併用で重篤な好中球減少、白血球減少、血小板減少が報告され ている。 73 【解説】 2001 年後半より開始された海外での 2 つの臨床試験(化学療法歴のない進行非小細胞 肺癌患者におけるゲフィチニブとビノレルビン酒石酸塩併用)において、重症の好中球 減少症や発熱性好中球減少がみられため、臨床試験が中断されました。 また、国内においても、市販後の重篤な好中球減少症、白血球減少、血小板減少が報告 されています。 本剤と化学療法を併用した場合の有効性および安全性は確立されていないため、本剤単 独使用のお願いいたします。 以下にビノレルビン酒石酸塩併用にて好中球減少、白血球減少、血小板減少を発現した 国内症例をご紹介します。 性別 年齢 男性 75 歳 使用理由 (合併症) 肺癌 投与量 投与期間 250 mg/日 41 日間 副作用の経過及び処置 既往歴:なし 転帰 備考欄 死亡 国内 症例 本剤投与開始 約 2 年前:右下葉に異常陰影あり。肺炎として治療されてい た。 約7ヶ月前:ARDS(成人呼吸窮迫症候群)発症。ステロイドパ ルス及び人工呼吸器管理にて軽快。 約 4 ヶ 月 前 : 経 気 管 支 生 検 に て 肺 腺 癌 と 診 断 ( T2N0M0 stageⅠB)。 約 3 ヶ月前:右下葉切除術施行。 約 1 ヶ月前:胸部 X 線及びCT上、再発を確認。 本剤投与開始から 34 日目:胸部CT上、PD。 36 日目:ビノレルビン酒石酸塩 25mg/㎡投与(day1)。 41 日目:口内炎のため、本剤投与中止。 本剤投与中止 2 日後:ビノレルビン酒石酸塩 25mg/㎡投与(day8)。 6 日後:未明より 39℃の発熱。白血球数 1000、好中球 0%。 抗生剤及び G-CSF(レノグラスチム 100μg 皮下注) 投与開始。 9 日後:呼吸状態悪化。胸部 X 線上、肺炎の併発あり。レノグ ラスチムを 250μg 静注に変更。 10 日後:白血球数 400、好中球 4.4%。呼吸不全が進行し、 挿管。人工呼吸器装着。 11 日後:17 時頃より尿量減少。血圧低下。血小板減少発現。 12 日後:12 時 06 分 死亡。 併用薬:ビノレルビン酒石酸塩 検査項目(単位) 臨床検査値の推移 白血球数(/mm3) 好中球(%) 好酸球(%) 好塩基球(%) 単球(%) リンパ球(%) 血小板数(×104/mm3) LDH(IU/L) CRP(mg/dL) 投与 17日前 8400 59.9 0.3 0.4 11.0 28.4 26.0 126 0.38 投与 3日前 6300 56.1 0.4 0.2 6.3 37.0 16.2 - 0.11 投与 36日目 5600 66.4 0.2 0.3 7.5 25.6 20.6 - 1.5 74 投与中止 2日後 3600 43.0 - - - - - - - 投与中止 6 日後 1000 0.0 0.0 0.0 1.5 97.5 17.0 187 19.0 投与中止 8 日後 300 3.5 0.2 0.0 1.9 94.4 13.0 144 32.1 投与中止 投与中止 11日後 10日後 400 200 4.4 6.5 0.0 0.0 0.0 0.0 1.0 12.5 94.6 81.0 9.3 3.8 - - 37.9 - :発現日 (2) 国内で実施した特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*における多変 量解析の結果、喫煙歴有、全身状態の悪い患者、本剤投与時の間質性肺炎の合併、 化学療法歴有が急性肺障害、間質性肺炎の発現因子として報告されている。また、 全身状態の悪い患者、男性が予後不良因子(転帰死亡)として報告されている。 (3) 国内で実施した「非小細胞肺癌患者におけるゲフィチニブ投与及び非投与での急 性肺障害・間質性肺炎の相対リスク及び危険因子を検討するためのコホート内ケ ースコントロールスタディ」(V-15-33)*において、本剤の急性肺障害・間質性肺 炎発症の化学療法に対する相対リスクは、治療法間の患者背景の偏りを調整した オッズ比(調整オッズ比)で 3.23(95%信頼区間:1.94-5.40)であった。 (4) 国内で実施した 1 又は 2 レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(IIIB 期/IV 期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者を対象に本剤(250mg/日投与)とドセ タキセル(60mg/m2 投与)の生存期間を比較する第 III 相製造販売後臨床試験 (V-15-32)*において、全生存期間の中央値は、イレッサ群で 11.5 ヵ月、ドセタ キセル群で 14.0 ヵ月であり(ハザード比:1.12、95.24%信頼区間:0.89-1.40)、 全生存期間における本剤のドセタキセルに対する非劣性は示されなかった。 (5) 海外で実施された1~2レジメンの化学療法歴のある再発又は進行非小細胞肺癌 患者を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第 III 相比較臨床試験(ISEL)* において、 腫瘍縮小効果では統計学的に有意差が認められたが、対象患者全体 (HR=0.89,p=0.09,中央値 5.6 ヵ月 vs p=0.09,中央値 6.3 ヵ月 vs 5.1 ヵ月)、腺癌患者群(HR=0.84, 5.4 ヵ月)で生存期間の延長に統計学的な有意差は 認められなかった。 75 【解 説】 特別調査「イレッサ錠 250 プロスペクティブ調査」*における多変量解析の結果、急性肺 障害、間質性肺炎の発現に影響を与える因子(発現因子)及び予後(転帰死亡)に影響を 与える因子(予後不良因子)が判明しました。 *参考文献 吉田茂:医薬ジャーナル, 41(2), 772, 2005 【解 説】 国内で実施した 1 レジメン以上の化学療法歴を有し、ゲフィチニブあるいは化学療法を受 けた進行/再発非小細胞肺癌患者からなる「ゲフィチニブ コホート内ケースコントロー ルスタディ」(V-15-33)の結果、投与開始後 12 週間以内の本剤による急性肺障害・間質 性肺炎発症のリスクは、治療法間の患者背景の偏りを調整した上で(調整オッズ比)、化 学療法の約 3.23 倍高いことが示されました。 *参考文献 Kudoh, S., et al.:Am. J. Respir. Crit. Care Med., 177(12), 1348, 2008 【解 説】 国内で実施した「1 又は 2 レジメンの化学療法治療歴を有する、進行/転移性(ⅢB 期/IV 期)又は術後再発の非小細胞肺癌患者を対象に本剤(250mg/日投与)とドセタキセル(60 mg/m2 投与)の生存期間を比較する第Ⅲ相製造販売後臨床試験」(V-15-32)について、 「平成 20 年度第 2 回 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 安全対策調査会」 (平成 20 年 8 月 1 日開催)における検討結果に基づき、進行/再発非小細胞肺癌治療に ついての重要な情報である本試験結果を記載致しました。 *参考文献 社内資料(平成 20 年度第 2 回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部 会安全対策調査会 資料 3, 2008) 【解 説】 海外で実施した ISEL 試験(1~2 レジメンの化学療法歴のある再発又は進行非小細胞肺癌 患者を対象とした無作為化プラセボ対象二重盲検第Ⅲ相比較臨床試験)の生存期間に関 する結果が得られましたので記載いたしました。 *参考文献 Thatcher, N., et al.:Lancet, 366, 1527, 2005 76 (6) 非臨床の一般薬理試験において、本薬が心電図検査で QT 間隔の延長を示す可能 性のあることが以下のように示唆されている。イヌプルキンエ線維を用いた刺激 伝達試験(in vitro 系)において、本薬は濃度依存的に再分極時間を延長させた。 また hERG(ヒト電位依存性カリウムチャンネルのαサブユニットをコードする 遺伝子)を発現させたヒト胚腎細胞を用いた in vitro 試験において、本薬は遅延整 流性カリウム電流を濃度依存的に阻害し、心筋の再分極阻害を示唆する結果が得 られた。さらにイヌのテレメトリー試験では心電図には統計学的に有意な変化は 認められなかったが、個体別に QTc 間隔の投与前値と投与後 2 時間の値を検討し た結果、5mg/kg 投与群の 6 例中 1 例、50mg/kg 投与群の 6 例中 2 例に 10%を超 える QTc 間隔の延長が認められた。 (7) イヌを用いた反復投与毒性試験の心電図検査では、回復性のある PR 間隔の延長 及び II 度の房室ブロックが単発的かつ少数例に認められた。 77 【解 説】 現在のところ QT 延長の検索手法は確立されていませんが、一般的に行われている3つの 試験を実施しました。 イヌのプルキンエ線維を用いた刺激伝導試験(in vitro 系)において、本薬は濃度依存的に 再分極時間を延長させました。また、hERG (ヒト電位依存性カリウムチャンネルのαサブ ユニットをコードする遺伝子)を発現させたヒト胚腎細胞を用いた in vitro 試験において、本 薬は遅延整流性カリウム電流を濃度依存的に阻害し、心筋の再分極阻害を示唆する結果が 得られました。さらに、イヌのテレメトリー試験では心電図には統計学的に有意な変化は 認められませんでしたが、個体別に QTc 間隔の投与前値と投与後 2 時間の値を検討した結 果、5mg/kg 投与群の6例中1例、50mg/kg 投与群の6例中 2 例に 10%を越える QTc 間隔 の延長が認められました。このように in vitro 試験で、本薬が臨床上において QTc 間隔延 長作用を有する可能性が示唆されたため、注意喚起のために設定しました。なお、in vitro 試験結果とヒトでの QTc 間隔延長作用との間には相関関係は確立されておらず、現在まで に本剤単独投与群において QTc 間隔延長の報告はありません。 【解 説】 イヌを用いた 1 ヵ月間及び 6 ヵ月間反復投与毒性試験において、回復性のある PR 間隔の 延長及びⅡ度の房室ブロックが単発的かつ小数例に認められ、本薬が房室伝導障害を引き 起こす可能性を示唆する結果が得られました。この房室伝導障害は、本薬の EGFR 阻害作 用に起因した所見と考えられます。なお、現在のところヒト心臓での EGFR 発現の報告は ありません。 78 (8) ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、投与量及び投与期間に依存する と考えられる角膜における異常(半透明化、混濁及び角膜上皮の萎縮等)がみら れた。これらのうち、角膜混濁はイヌにおいてのみ認められたものの、回復試験 終了時においても正常には回復しなかった。また、ラット角膜創傷モデルにおい て、創傷治癒を遅延させるものの、創傷治癒を完全には妨げないという以下の報 告もある*。[溶媒対照群では創傷誘発後 84 時間までに完全治癒したのに対し、 本薬投与群(40 及び 80mg/kg/日)では、創傷誘発後 108 または 136 時間後に治 癒したが、創傷誘発後 84 時間以降は、溶媒対照群及び本薬投与群において、角膜 上皮の損傷面積に統計学的な有意差は認められなかった。] (9) ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験では、皮膚(痂皮形成等)、腎臓(腎 乳頭壊死等)及び卵巣(黄体数減少等)における所見が認められた。これらの所 見は、本薬の EGFR チロシンキナーゼ阻害作用に起因した所見と考えられる。 (10) 2 年間がん原性試験において、ラットの高用量(10mg/kg/日)投与群で有意な肝 細胞腺腫(雌雄)と腸間膜リンパ節血管肉腫(雌)の発生増加が認められた。ま た、マウスの高用量(90mg/kg/日、125mg/kg/日を 22 週目から減量)投与群(雌) で有意な肝細胞腺腫の発生増加が認められた。 79 【解 説】 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、投与量及び投与期間に依存すると考 えられる角膜における異常(半透明化、混濁及び角膜上皮の萎縮等)がみられました。こ れらのうち、角膜混濁はイヌのみで1例認められましたが、回復試験終了時においても正 常に回復していませんでした。 ラットを用いて角膜上皮の創傷治癒に対する本薬の影響を検討した結果、本薬投与により 用量依存的な創傷治癒の遅延がみられましたが、溶媒対照群と本薬投与群とで損傷面積を 比較したところ、創傷誘発後 84 時間以降では統計学的な差異は認められませんでした。こ のことより本薬の投与により創傷治癒が完全に阻害されることはないと考えられます。 なお、創傷治癒には EGF の他に KGF(ケラチノサイト成長因子)、HGF(肝細胞成長因 子)等が関与していますが、KGF 及び HGF は EGFR と結合しないため、本薬の EGFR 阻 害作用の影響を受けません。 *参考文献 Nakamura, Y., et al.:Experimental Eye Research, 72(5), 511,(2001) 【解 説】 ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、皮膚(痂皮形成等)、腎臓(腎乳頭 壊死等)及び卵巣(黄体数減少等)における所見が認められました。これらの所見は、本 薬の EGFR チロシンキナーゼ阻害作用に起因した所見と考えられます。 【解 説】 ラット及びマウスの 2 年間がん原性試験の結果、ラットの高用量(10mg/kg/日)投与群で 有意な肝細胞腺腫(雌雄)と腸間膜リンパ節血管肉腫(雌)の発生増加が認められました。 また、マウスの高用量(90mg/kg/日、125mg/kg/日を 22 週目から減量)投与群(雌)で有 意な肝細胞腺腫の発生増加が認められました。 なお、ラットで認められた腸間膜リンパ節血管肉腫の増加はマウスでは認められませんで した。 80 《MEMO》 Drug Information イレッサ錠 250 DS550 ト(2012 年 7 月)