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労務法制委員会Q&A

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労務法制委員会Q&A
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労務法制委員会Q&A
けやき総合法律事務所 弁護士 柿 田 徳 宏 氏
懲戒解雇をする場合に、退職金を不支給や減額
かった非違行為の存在等)と④従業員に有利な事
にできるかどうかについては、様々な条件があり
情(勤続年数の長さ・職務内容の重要性・下記の
ます。そこで、どういう場合に退職金を不支給や
特別な功績の存在や内容等)が挙げられます。
減額にできるのか等についてみていきましょう。
これらの要素を考慮したうえで、不支給の割合
(全額不支給とするのか、一部は支給するのか)を
Q1懲戒解雇が有効な場合に退職金を不支給や
定める必要があります。
減額にすることはできますか。
A1退職金が就業規則上制度化され、支給基準
Q4具体的に不支給の割合を認めた裁判例を教
が明確になっている場合には、労働者は退職金請
えてください。
求権を有することになり、退職金も労働基準法上
の「賃金」ということになります。よって、たと
A4たとえば、鉄道会社の従業員(勤続20年)
え懲戒解雇をする場合であっても、就業規則等に、
が電車内の痴漢行為(過去に懲戒処分あり)で逮
退職金の不支給・減額を定める明文の規定が存在
捕・起訴され、懲戒解雇された事例については、
しない限り、退職金を不支給や減額にすることは
3
割相当額まで減額することが認められました(全
できません。
額不支給は認められませんでした)
(小田急電鉄事
件・東京高判平成1
5
・1
2
・1
1
労判8
6
7
号5
頁)。他に
も、運送会社のドライバー(勤続34
年)が、業務
Q2それでは就業規則に定めさえすれば、退職
終了後自家用車を運転中に酒気帯び運転で検挙さ
金を不支給や減額にすることができるのですか。
れ、懲戒解雇された事例についても約3分の1
まで
減額することが認められました(ヤマト運輸事件・
A2退職金には賃金の後払い的な性格及び功労
東京地判平成1
9
・8
・2
7
労判9
4
5
号9
2
頁)。
報償の性格があるとされていますので、たとえ懲
一方、テレホンカードの管理責任者である支店
戒解雇事由が認められたとしても、必ず退職金を
長(勤続3
0
年)が5
0
0
万円相当のテレホンカードを
不支給や減額することができるわけではありませ
持ち出し懲戒解雇された事例については、退職金
ん。一般的には、従業員のそれまでの勤続の功を
の全額不支給が認められています(日本電信電話
抹消するほどの著しい背信行為があった場合に限
事件・大阪地判平成9
・4
・2
5
労経速1
6
3
8
号1
5
頁)。
定して不支給が認められることになります。
以上 Q3では退職金の支給割合をどのように決定す
べきでしょうか。
A3重要な考慮要素としては、①懲戒解雇事由
の内容・程度と、②使用者の被る損害の性質・程
度があげられます。そのほかの考慮要素としては、
③懲戒解雇の一般的な情状(解雇事由とされな
CH
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BAke
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kyo・No391
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