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ST ニュース 冬号 2015
ST ニュース 冬号 2015 ST を目指す方へ 現職者からの想い 現場で働くスタッフから熱い想いをいただきました。皆様も一度、ST を目指した“記念すべき一 日”を振り返り、今日から心機一転頑張りましょう。 発行者:言語聴覚士 笹岡岳 【記載内容】 1. 職種 2. 経験年数 3. 性別 4. 働いている地域 5. 若い ST(学生)に望むこと、ST になった理由、臨床で大切にしている事 等 *名前は仮名です。名前ランキングから引用しています。 ~ST からのメッセージ~ 【NO1.あおいさん】 1.小児領域の言語聴覚士 2.5~10 年 3.女性 4.関東地方 5.若い ST(学生)に望むこと:「学校で習っていないので出来ません」ではなく「習っていないので 勉強してみます、そしてやってみます」という姿勢をみせて欲しいです。特に小児は 1 人職場が多 いため、自分で試行錯誤して切り開いていく努力と勇気が必要だと感じています。 現職を目指した理由:もともと子供好きで、自閉症のお子さんをサポートするボランティアに関わ り、ST の存在を知り興味を持つようになりました。 臨床で大事にしていること:言語面はもちろん、運動発達、心理面や睡眠等、様々な情報を集め て整理し、お子さんの全体像をみるように心掛けて訓練を行っています。その際、他職種の視点 はとても勉強になります!時間の許す限り情報共有に励んでいます。 【NO2.そうたさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.関東地方 5.若い ST(学生)に望むこと:知識と技術も大切ですが、“人として”が、かなり問われる職業です。 先生と呼ばれますが、そんなに偉い立場ではないことを肝に命じてください。臨床は、良い意味 で、患者さんもセラピストも楽しめることが大切です。 現職を目指した理由:言語聴覚士を知るきっかけは、後天的な自身の聴覚障害です。これと前後 して学生時代に祖父が失語になったことです。 臨床で大事にしていること:人生の先輩から人生を教わっているという立場を忘れないようにしま しょう。臨床においては、人と症状に対する第一印象を大事にしています。 【NO3.ゆいさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.中部地方 5.若い ST(学生)に望むこと:若いうちは、セミナーに行ったり自分で調べたりして、手技の習得、 評価や訓練方法に関する知識をつけられるといいのかなと思います。行き詰まったら、症例をま とめてみると良いかもしれません。問題点が見えやすいです。そんな風に、日々の積み重ねが大 切かと思います。 臨床で大切にしていること:普段気を付けていることは、言語聴覚士は孤立しがちな事も多いの で、色んな職種の先生とお話しをするようにしています。他の職種がどんな視点を、どんな考えを もって臨床をされているのかを知ることで、自分が何を担うべきなのかが見えてくることもしばしば あります。また、臨床を続けていくと、いつかその延長には研究が出てくるように最近は感じてい ます。 ST になった理由:ST になったら理由は、正直なところ特にありません。 知り合いの医師に勧めら れたからです。 当時は大学卒業後の専門学校がほとんどで、大卒後に 2 年で取れるならと安易 な気持ちでした。 ですが、今はなっては、良かったと思っています。ただ、新人さんや学生さんには申し訳ありませ んが、言語聴覚士じゃないといけないとは思いません。医療に携わる者の一人として、真摯に患 者さんに向き合うことが大切だと思っています。その中で自分が患者さんに提供できるものが、言 語聴覚療法であるだけと思っています。常に医療人の中の一人であるという気持ちをもって臨床 に取り組んでいます。 【NO4.りこさん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年目 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:在学中から相手の話を聴く姿勢を育てて頂きたいです。患者様の 心を開くには、「この人に話したら、ちゃんと聴いてもらえる」という信頼感を得ることがとても大切 だと感じるからです。 現職を目指した理由:ST としてコミュニケーション障害が生じた方のサポートをする仕事に魅力を 感じたからです。 臨床で大切にしていること:患者様にとって一番話が通じる人であることです。 【NO5.めいさん】 1.言語聴覚士 2.16~20 年 3.関東地方 4.ST になった理由:きっかけは、高校 3 年生のとき、TV で言語訓練の様子をたまたま見かけまし た。その時は、看護師が行っていたのですが、こんな仕事を専門にする仕事ってないのかな?と 疑問に思い、調べたときに ST という職業を知りました。臨床検査技師になることを決め、学校も大 体決まっていた所だったので少々焦りましたが、この仕事とは運命の出会い!とばかりに ST にな れる大学を捜しました。 臨床で大切にしていること:どうしたら患者さんの人生が良いものになるかを常に考えることでしょ うか。今ある症状を良くすることが、何に繋がるのかをよく考え、必要なアプローチができるように 気をつけています。また、尊敬する先輩の言葉、「出会ったら一生の付き合い」を忘れないようにし ています。ここ 10 年くらいは急性期病院勤務で、多くの患者さんが転院してしまうので、なかなか 一生のお付きあいはできないのですが、患者さんの新たな人生の始まりとも言える急性期病院で の役割をしっかり果たせるようにしていきたいと考えています。 若い ST(学生)に望むこと:最近は、データやエビデンスに基づいたことだけが信じてもらえるよう な世の中ですが、ST の仕事は基本、人と人との繋がりです。まずは患者さんや家族に寄り添って いける人間になることが大切なのではないかと思います。 これから ST になる皆さん、頑張ってくださいね。 【NO6.はなさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関東地方 5.ST になった理由:一度獲得された言語が話せなくなる失語症とはなんぞや!と、興味を持った からです。 若い ST に望むこと:『えんげ屋さん』が増えている気がします。コミュニケーションをしっかりみて、 ST の専門性をもって働いてほしいです。 臨床で大切にしていること:やってよかったと思ってもらえる、満足度の高いリハビリを提供できる ように心がけています。 【NO7.ひまりさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関東地方 5.学生に望むこと:クラスメイトや先生、その他色々な人が周りにいらっしゃるかと思います。他人 と楽しく話すこと、他人と交流すること(特に目上の人)に慣れておいて頂ければ嬉しいです。 現職を目指した理由:大学の選考が心理学科で、何か心理関係の仕事に従事したかった。母が 現職を勧めてくれた(元学校教員、特別支援学級を担当したときに ST の存在を知ったらしいで す)のもあります。 臨床で大切にしていること:患者さんの反応は、一挙一動見逃すまいという気持ちで対応していま す。どこが障害されているのか、どうすれば良くなるか、患者さんが全て教えてくれていると思って います。あとは、ダラダラ仕事をしないことでしょうか。 【NO8.いちかさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関東地方 5.若い ST に望むこと:人間性や感受性を大切にして欲しいです。 ST になった理由:少しでも生きるって楽しいと思えるお手伝いができる仕事をしたかったから。 臨床で大切にしていること:相手を自分の家族に置き換えて考える、1 人の人間として尊重する ことです。 【NO9.あかりさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.女性 4.関東地方 5.若い ST(学生)に望むこと:症状を安易に専門用語で括ろうとせず、できる限り細かい観察と記 録をしましょう。迷ったときは、その症状が他の ST との共通認識として成立するかを確認してくだ さい。例えば、貴方が判断した「失行」が、そうでない可能性だってあるわけです。怖いのは何も疑 わず正しいと思い込んでしまうことで、個別訓練ゆえ、誤ったまま何年も経過してしまうこともあり ます。患者様にとっては、人生の一大事の時期であることを忘れないようにしましょう。わからない ときはどんどん他の ST に相談したり、患者様を実際見てもらったり、勉強会に足を運んだり、自分 を疑いながら臨床を行なうことが重要かと思います。 現職を目指した理由:医学を通じて言葉に携わる仕事がしたかったので。 臨床で大切にしていること:共感と客観 【NO10.かんなさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関西地方 5:若い ST に望むこと:医療従事者は「病気の人がいてはじめて仕事がな成り立っている」ことを 忘れずにいてほしいと思います。患者さんから学び続けるセラピストが増えてほしいと思っていま す。 私は先輩セラピストから教えてもらった言葉「患者さんは自分の家族だと思って接してください」 「患者さんは患者さんである前に、私たちの人生の先輩です」を今でも大切にしています。 いつの間にか、教える側になりましたが、私も学生さんや若い人たちから多くのことを学びま す。たくさん失敗して、怒られて、人としてもセラピストとしても、成長してほしいなと思います。 【NO11.さらさん】 1.言語聴覚士 2.11〜15 年 3.女性 4.九州・沖縄地方 5.若い ST に望む事:勉強してきた事が、現場で通用しない事が多々あります。相談する事が恥 ずかしいとか思うかも知れませんが、同じ職種の先輩やら同期生等、ぜひ話をして下さい。学べ る事、気づかされる事、得られるものがあると思います。職場に同じ職種の人がいる事だけでも今 となっては羨ましいです。他スタッフは優しい方々ばかりでしたが 自分自身がいっぱいいっぱい で PT&OT さんに相談出来なかったので。 現職を目指した理由:私は未熟児で産まれた為、軽度 CP があります。 その為、足の手術をして からリハビリをした時に リハビリという仕事があるのを知りましたが、私は足の事があるので、PT は出来ないと分かっていたので、OT と ST のどちらかを…といった結果です。 臨床で大事にしている事:患者さんの話を出来るだけ聞くようにして共感出来るようにする事で す。リハビリ職は PT、OT、ST と3職種ありますが、言葉のリハビリをする ST には凄く大事な事だ と思います。患者さんとの信頼関係がないと、リハビリさせて頂けないので。 【NO12.にこさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:実習では、患者様に学ばせて頂いているという意識を持ち、疑問に 思った事を調べ、追求していく志しです。 ST になった理由:祖父が脳梗塞になり、構音障害、嚥下障害を患いました。最終的には、誤嚥性 肺炎で亡くなりました。祖父に出来なかった事を、出来ればと思い、目指しました。 臨床で大切にしていること:患者様の思いに寄り添いながら関わる事。です。 【NO13.陽菜さん】 1.言語聴覚士 2.16~20 年 3.女性 4.中国・四国地方 若い ST(学生)に望むこと:患者さんの立場になって、患者さんを思って臨床をしてほしいです。思 いだけではこまりますが、なぜこんな症状がでているかを考えてほしいと思います。 ST になった理由:もともと母が難聴でもっと難聴のことを知りたかったからです。大学に入って、脳 について学び、脳のメカニズムに感動しました。失語症もですが、学生のときにミトコンドリア脳筋 症で失語症と相貌失認を呈した患者さんをみて、ビックリしました。 【NO14.凛さん】 1.言語聴覚士 2.21~25 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:患者さんの「不全感」に寄り添える人であってほしいです。こちらか ら見て軽度の障害であっても、そのことを重く受け止めておられる方もあります。 現職を目指した理由:元々は会社員をしていましたが、継続して仕事をすることを考えた時、何か 専門技術を持って働きたいと思うようになりました。リハビリに興味があり、その中で自分がやれ そうなのは ST かなと思って志しました。 臨床で大切にしていること:患者さんに対して「上から」目線で物を言わないこと。敬語を使うこと。 患者さん個々の状況に合わせた援助を行うこと。 【NO15.結菜さん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関西 5. 若いST(学生)に望むこと:なんでも自己解決せず、自分の意見を持ったうえで、周囲に相談 してほしいです。当たり前ですが、仕事中は装飾せず身なりも職場の規則に従いましょう。(ある 方に私たちと患者さんがいいと思う格好は違うと話していたのを覚えています。大事です。) 現職を目指した理由:以前の仕事でパーキンソン病の方のリハビリの付き添いをする機会があり ました。リハビリ後、その方が「リハビリはしんどいけど楽しい。元気になったやろ?」と言われ、リ ハビリ前と比べて帰りの方が大きな声で話せ、表情豊かになっていたのです。私は驚き、言語聴 覚士という仕事に憧れを持ちました。 臨床で大切にしていること:患者さんやご家族を不安にさせないこと。先輩に相談する、院外で症 例検討に出すなど、自分から進んで学び、患者さんに最善を尽くす。(知らないこと、できないこと を人に隠さない。患者さんの前ではうろたえず・・・・。) 【NO16.葵さん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年 3.女性 4.東海地方 5.若い ST(学生)に望むこと:何事にも積極的な態度で取り組んでいる方は素敵だと思います。 患者様とのフリートークでは旅行や出身地の話になることが多く、学生の頃の国内旅行の経験が 臨床で活かせています。時間を見つけて旅行することをお勧めします。 現職を目指した理由:中学生の頃、一週間がんセンターで看護師の職業体験をし、舌癌・咽頭癌 の患者様とお話する機会がありました。その患者様は、放射線治療を続けていたことで、口腔内 の粘膜は赤くなり、火傷したような状態でした。「一口でもいいから水を飲みたい」と繰り返し話して いたことが印象的でした。この体験をきっかけに ST の仕事を知り、志すようになりました。 臨床で大切にしていること:本人や家族の主訴・希望を聞き取り、言語や嚥下の訓練だけでなく、 精神面に配慮して関わっていくように心がけています。 【NO17.結愛さん】 1.言語聴覚士 2.16~20 年 3.女性 4.東北・北海道地方 5.若い ST(学生)に望むこと:社会性が身についていなければ、どんな知識や技術が伴っていて も ST としてのスペシャリストには結びつきません。若いうちは(年を重ねてもですが)広い視野をも ち、様々な人の意見を受け入れることが成長するカギと感じています。そして・・・・好奇心、探究 心が臨床を楽しくさせます。患者・利用者さんが自分の身内の方と思って、一所懸命に関わって 差し上げてください。 現職を目指した理由:小学生の時の読書感想文でヘレンケラーを読み、漠然となぜ「ウオーター」 という言葉が発せられたのか疑問を持ち、合わせて言葉の素晴らしさを感じました。高校生の時 にチャップリンの映画をみて、無声映画を見て愕然としました。あれだけ言葉の重要さを感じてい たのに「言葉ってなんだろう」と・・・・・。そこで言葉に興味を持ち、それに関わる職業ということで ST という職業を知ることができました。 臨床で大切にしていること:急性期ですと・・・言葉を発することができない患者さん(多くは意識障 害)の奥底にある声を聞いて対応すること(呼吸苦を感じておられるのなら、安息な呼吸を ST であ っても狙うべきなど)、困っていらっしゃることに少しでも、1 日でも早く解決できるように四苦八苦す ることでしょうかね? 【NO18.陽菜さん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.女性 4.中国・四国地方 5.若い ST(学生)に望むこと:知識や技術はもちろん重要ですが、組織で働く以上連携が大切で す。報告・連絡・相談や物事の優先順位のつけ方を覚えていくと良いと思います。また、既存のも のに頼りすぎず、アイデアもたくさん出せる ST になって下さい。 ST を目指した理由:技術職への憧れと、ST の紹介記事に「脳の専門家」と載っていたことです。 進路に迷っているときに思わず目に飛び込んだ広告に瞬間、興味を抱いたことがきっかけです。 臨床で大切にしていること:臨床では、ありきたりですが信頼関係を築くことを大切にしています。 経験年数としては多くはありませんが、マニュアル通りのリハビリでは通用しないことを何度も感じ ました。笑顔で始まり、笑顔で終わるリハビリを心がけています。 【NO19.はるとさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.関西地方 5.ST の学生に望む事:学生の間に現時点でどういう方向で、働きたいかのビジョンを持てるよう に(途中で変わってもいいので)。社会的常識を守って欲しいです。 ST になった理由:自分の滑舌が悪く聞き返される事があり、患者立場にたてるのでは、無いのか と思って選びました。リハビリ関係に進みたかったのですが、腰が学生時代に悪かったので、PT では、50、60 才台では、厳しいと思いました。 臨床で大切にしている事:自分本意な治療をしないことです。なるべく、患者の立場で考えるよう 心がけています。初心を忘れずに行いましょう。 【NO20.りくさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:医学は常に発展しています。生涯にわたる学習を継続するための思 考方法を進取して下さい。新しいものを生み出さなければ、大切なものを守ることが出来なくなる と思います。 現職を目指した理由:食べることと話すことが大好きだったので、言語聴覚士が適職だと考えてい ました。実際に言語聴覚士になってみて、間違いではなかったと感じています。 臨床で大切にしていること:人と人のつながりを重要視しています。我々の領域に不明なことがあ る以上、医科学に関して研究を行うのは必須です。臨床家であり科学者であるという意識を忘れ ないようにしています。 【NO21.ゆうとさん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:疑問点があれば、その場もしくはその日中にできれば質問してほし い。疑問が解決せずに新たな疑問が増えていくと、対処ができなくなってしまうから。 ST を目指した理由:祖母が食物を詰まらせ窒息死した過去があり、祖母のような事故を未然に防 ぎ、一人でも多くの方を助けたいと考え、ST を目指しました。 臨床で大切にしていること:ST のみで関わるのではなく、PT、OT、その他スタッフと協力して関わ っていくチーム医療を大切にしています。単一職のみで行えることは少ないです。話し合い、意見 を言い合い進めることでよりよりリハビリにつながると考えています。 【NO22.かいとさん】 1.言語聴覚士 2.10~15 年 3.男性 4.東北・北海道地方 5.現職を目指した理由:進学時には「言語聴覚士」という国家資格(職種名)はなく、どのような存 在かも知りませんでした。そのため、『言語聴覚士になろう!』と思って養成校の門を叩いたわけ ではありません。しかし、在学中に学べば学ぶ程、学際的な職種であり、「困っている人、苦しんで いる人の力になれる」ことを知り、徐々に魅力を感じ始め、現在に至っています。 臨床で大切にしていること:独りよがりのサービスを提供してしまわないことを常に考えています。 教科書的や倫理的に正論であっても、クライアントやそのご家族が望んでいなければ「間違った」 サービスになる。例え、訓練で機能が改善・向上でき、リスクを回避できたとしても喜んでもらえま せん。反対に、王道から外れていても、リスクが高かったとしても、言動や選択の真ん中が本当の 「クライアント中心」であれば感謝すらしてもらえることもしばしばです。ぜひ、「AAC 利用だけど意 思疎通ができた方が良いよね?」とか「肺炎になるぐらいなら食べられなくても良いよね?」といっ た『多分、こう望んでいるはず』で判断せず、担当するクライアントやそのご家族の考えや気持ちを 知った上で専門性を発揮できるセラピストになって下さい!! 【NO23.あさひさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと :『患者さんに興味を持って下さい』『表面上のセラピーを行うのでは なく、熱い気持ちを持って患者さんと話して下さい』 現職を目指した理由:①『PT に落ちたから』、②『パーキンソン病+アルツハイマー病の祖父が窒 息死したから』 臨床で大切にしていること :『1 セラピー、1 笑い』です。 【NO24.いつきさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.甲信越地方 5.若い ST(学生)に望むこと :患者さんのために何ができるかを第1に考えてください。患者さん の意味は目の前の患者さんだけでなく、自分が直接関わることのない方も含みます。そのため、 臨床、教育、研究、職能団体活動をバランスよく行ってください。臨床は、目の前の患者さんのた め、教育は将来実習指導を行い、そこで育った学生がその後臨床に出て、患者さんのために尽く してくれるはずです。研究は自分の行った研究結果を会ったこともない言語聴覚士が患者さんの ために役立ってくれるはずです。職能団体活動は一人一人では出来ないことを団体として動くこと で、患者さんのために動く原動力となりますので、県士会や全国の協会に入りましょう。 言語聴覚士を目指した理由:「母親の紹介」です 臨床で大事にしていること:「患者さんや家族の方にとって有意義な時間となるような臨床を提供 すること」です。 【NO25.ひなたさん】 1.言語聴覚士 2.16~20 年 3.男性 4.関東地方 5.若い ST(学生)に望むこと:豊かな人間性をもち、国際社会に貢献し、臨床はやりっ放しにせ ず、臨床で得られた知見を後世に引き継ぐための研究者であってほしいです。そして、後世の育 成無しにして我々のリハビリテーションの発展はないと心得えてください。常に後輩育成を念頭 に、自らの技術のイノベーションを意識しましょう。その上で模範となる医療専門職として多職種と の相互扶助、補完的指向、外向的指向を絶対に欠いてはなりません。 現職を目指した理由:国内になくてはならない資格であり、罹患者数と専門職とのバランスの隔た りが大きく必要な領域であり、言語聴覚領域を発展させる使命と、どこでも治療を受けられるよう 充実化が必要と感じました。また、人里離れた甲信越地方の山奥の口蓋裂のこどもがはるばる毎 月都市部まで通院している現状が昔に存在していました。口蓋裂治療を充実化させたい気持ち が強く、大学に合格していても親の反対を押し切って、言語聴覚士になると決めました。当時から 歯学博士 兼 言語聴覚士として口腔顎顔面外科の領域で活躍することが目的でもあって、現在 その職務に至ります。 臨床で大切にしていること:食は細く、気は長く、仕事は永く、心広かれ。己の怒り、不満、不安は 敵と思い常に精神は安定的な己でいなければなりません。多くの医療従事者との会話ができない のは致命的であり、常に、謙虚、寛容、寛大でいる必要があります。 リハビリテーション治療には、作用、副作用の二つが毎日生じていることを失念してはなりませ ん。作用した成果だけの満足したカルテ記載は避けたいです。教科書は新卒 1 年目までで、それ 以降は常に論文から新規性ある知識と技術などの情報を得ています。 最後に、国家資格を伴う資格者の責任と誇りをもって、綺麗な歩き方をしましょう。言語聴覚 士にふさわしい綺麗なことばの使い方、表現の仕方で患者から、患者家族から、社会から評価さ れていることの喜びを楽しみましょう。 【NO26.そらさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.九州・沖縄地方 5.若い ST(学生)に望むこと:ST として医療人として力をつけるだけではなく、一般常識やモラル をもった社会人としての成長を期待しています。 現職を目指した理由:利益追求主体の仕事から人への貢献を主体とした仕事を目指したいと考え たことから。 臨床で大切にしていること:患者さんの生活背景を知った上で出来る限り寄り添うこと(それによっ て考えていることや体調の変化なども感じ取れるように)、具体的な目標をしっかりと共有するこ と、評価や訓練においては目立った症状だけでなく微妙な反応も見逃さないこと(治療のポイン トになることもあるので)、型にはめるようなリハをせず個別性を尊重すること、ST以外の時間の 過ごし方や様子についての情報も知っておくこと、訓練にはメリハリをつけること、また失語におい ては、プラトーはないと考えて臨床に取り組んでいます。 【NO27.しずくさん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:やる気、意欲 ST になった理由:自分の家族や大切な人に「ありがとう。 」の一言が言える、それは人が尊 厳を持って人間として生きる上でどれだけ大切なことだろうかと感じます。手や足が動か ないことも辛いけれど、言葉を失う方が私は辛いのではないかと思います。目に見えない ものだからこそ、理解されにくいものだからこそ、そう言った部分にアプローチ出来る他 にない職種だと思って働いています。 臨床で大切にしていること:患者様の言葉を引き出すこと、その言えた言葉を大切にする ことです。突然病気になり、悲しみや不安がある中で私たちのリハビリを受けようとして くれていることを心に置いて接すること、です。 【NO28.りあさん】 1.言語聴覚士 2.16~20 年 3.女性 4.関東地方 5.若い ST、学生に望むこと:学会や協会の活動に積極的に参加し、最新の知識を学ぶ姿勢 を忘れないこと、多職種との連携、患者や家族との意思疎通のためコミュニケーションス キルを伸ばしていくことが大切と考えています。その一方で知識やデータに振り回されて、 患者やその家族など周囲の人達の気持ちに気づけなくならないでほしいと思います。 現職を目指した理由:大学で認知心理学を専攻し、言語発達や失語症について興味を持っ たからです。 臨床で大切にしていること:笑顔。 【NO29.とあさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.甲信越地方 5.若い ST(学生)に望むこと:若手の時・学生の時にしかできないことがあります。それ は ST 領域に専心することであったり、ST 以外での経験であったりします。失敗を恐れず色々 なことにチャレンジし、そこから多くのことを学んで下さい。また ST になる・目指すなか で多くの出会いがあると思います。一つ一つの出会いを大切にし、自分の糧として下さい。 それらことが ST としてまた人間としての礎になります。 現職を目指した理由:学生時代にことばを学んでいる時に失語症を知り、自分の持ってい る知識で少しでも病気で苦しんでいる人の助けになれたらという思いからです。 臨床で大切にしていること:日々自身が成長できる、人や事物との出会いや機会が臨床に はあり、そのことに感謝する気持ちを大切にしていきたいと思っています。 【NO30.たいがさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:知識も大事ですが、患者さんの気持ちや人となりを察する感 覚を養ってほしいです。 現職を目指した理由:大学で心理学を学んで、高次脳機能障害に興味があったことと、人 の役にたてる仕事をしたいと思ったため。 臨床で大切にしていること:常に親切に対応することです。 【NO31.ひろとさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:本ばかりで理解した気にならず、治療の練習をしてくださ い。 現職を目指した理由:将来の安定感 臨床で大切にしていること:患者への同情より治療効果がだせないことへの患者への申し 訳なさ、それに対する練習です。 【NO32.ももさん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年 3.男性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:①日々の臨床から些細なことでも「なぜ?」と疑問に思う 姿勢を持つこと、②より上を目指すこと、③その患者(利用者)が死ぬまでに出会う ST は 限られており、そのうちの一人であることにもっと自覚と責任を持つこと、④学会発表に チャレンジすること、です。 現職を目指した理由:最初は、言語聴覚士という職種になりたいという強い希望はなく、 ただなんとなく親の薦めもあり、なんとなく進学して大学の門を叩きました。しかし、学 ぶうちに魅了され、どんどんのめり込んでいきました。現在の生活期のステージで働くき っかけは、回復期での葛藤があったからです。病院からは、単位取得のためとノルマが定 められ、ST のリハがあまり必要のない患者へ 3 単位を毎日行わなければならない日々に疑 問を感じていました。また、病院を退院してからの生活の方が長いため、そこで ST として 関わりたいという思いも強くなってきたため、生活期で携わる位置を選びました。 その他:①お金をもらっている以上、それに見合った以上の内容を提供できるように心が けること、②リハを少しでも楽しんでもらえるように教材を工夫すること、③ST の職域の 安定および拡大に向けた取り組みに参加すること、④ST の認知度向上に向けて、他職種へ アピールをすること、です。 【NO33.きんさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 年 3.男性 4.九州・沖縄地方 5.若い ST(学生)に望むこと:自分自身の言葉ではないが、大学時代に指導教官に言われ たことが今でも自分自身への戒めになっています。「専門職を志すなら一生学び続ける覚 悟を持ちなさい」指導教官は臨床心理士だったが、今でも怠け心が出てきたときに自分を 戒める言葉になっています。最初のうちは仕事に慣れるのもとても大変なこともあるし、 社会人としても覚えることもあるし、とにかく忙しい日々だと思います。まずは3年同じ 職場で頑張ると自分のやりたいことが見つかると思います。 現職を目指した理由:大学 3 年生の時に、現職 ST の講話で ST の仕事を知りました。その 当時は国家試験が始まった頃でまだまだ人数が少なく、ニーズはあるが県内では 20 名前後 であることを知りました。もともと大学入学時から心理職を志していて、なんらかの対人 援助をする仕事に興味をもっていました。講話を聴いて直観的にこの仕事だと思い大学 4 年次に進路変更し大卒過程の ST 養成校受験を決意しました。 臨床で大切にしていること:言語聴覚療法を通して患者さんのストレスを少しでも減らせ たら良いなと思っています。 【NO34.うらさん】 1.言語聴覚士 2.11~15 3.男性 4.東海地方 5.若い ST に望むこと:型にはまる必要はないので言語聴覚士の知識だけでなく、色々な 方面に興味を持って何かを吸収できるような毎日を過ごしてほしいいです。そして、言語 聴覚士になったあかつきにはそのことを臨床にも役立てて欲しいです。 現職を目指した理由:お恥ずかしい話し、言語聴覚士に関わるようなエピソードはなく、 人の役に立つような資格を取りたいと考えたときに、言語聴覚士(言語療法士)を知り専門 学校を受験したことが始まりになります。 臨床で大切にしていること:介護施設で働いていることも関係していると思いますが、客 観的な評価だけでなく、患者様(利用者)の希望を叶えるために一緒に障害に対して悩むよ うにしています。結果だけでなくプロセスを大切に臨床に取り組んでいます 【NO35.れいさん】 1.言語聴覚士 2.1~5 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:学生のうちに色々経験して患者さんとの会話のネタを作っ てください。 現職を目指した理由:小さい頃から人の身体のしくみや生命について興味があり、前職も 医療に関わる仕事をしていました。医療に関わる仕事、女性が結婚出産を経て続けられる 仕事、人と接する仕事、など自分のやりたいことを軸に転職を考え始めたところ ST に出会 いました。 臨床で大切にしていること:専門学校時代に講師からもらったことばを大事にしています。 「患者さまが全てを教えてくれる」ということです。対面している患者さまの、にこにこ 笑顔、難しい顔、疲れた表情、緊張した顔、すべて自分が行ったことに対するメッセージ だと考えます。 まだ経験が浅い私は患者さまのメッセージを見落としていることもたくさんあると思い ます。患者さまの難しい表情を目の前にしても柔軟に対応できないこともたくさんありま す。まだ修行の日々です。患者様から受け取るメッセージへの気づきが増え、その背景に 思いを馳せられるようになったら、もっと臨床が楽しくなるような気がします。出来れば 患者さまの笑顔をたくさんみたいです。 【NO36.まりんさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:人から注意されたら受け入れてきくことができること。利 用者様のことを真剣に考える姿勢をもつこと、ですね。 現職を目指した理由:私自身が、自分の言葉を伝えることが苦手で、言葉に興味があり、 大学で失語症について講義を聞いて、これだ!と思いました。 臨床で大切にしていること:利用者様のことを第1に考え、利用者様が困らないように、 利用者様が笑顔になれることを意識しています。 【NO37.るなさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.東北・北海道地方 5.若い ST(学生)に望むこと:まずはしっかりと挨拶ができるようになってくださいね。 それは患者さんだけでなくどんなスタッフでも。そうすることで皆さん助けてもらえます し励ましてくれます! 現職を目指した理由:自分自身が言葉に対して敏感でうまく人に伝えられなかったです。 病気によって言いたいことも言えない方がいることを知り、少しでもお手伝いできればと 思い、この仕事に就きました。 臨床で大切にしていること:臨床家の前にまず人であるということを大切にしています。 患者さんの多くは自分より年上の方々ですので、相手に敬意を表して話しふるまうことが 大切だと思います。そして、少しずつでもいいので、知識を身につけて還元していくこと が患者さんのためにもなり、自分への蓄えになると思います。 【NO38.かこさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST に望むこと:ST の訓練が出来たか出来てないかだけでなく、訓練の先にある「そ の方の生活」に目を向けて欲しいです。訓練が自己満足で終わらないように。 現職を目指した理由:もともと医療に興味があり、薬関係の仕事を行っていました。しか し研究室で、1人で行う仕事ではなく、実際の臨床現場で人と人が直接関わる仕事に魅力 を感じるようになりました。人と人との関わりの究極が「コミュニケーション」だと感じ、 それを対象としている ST の仕事を志すようになりました。 臨床で大切にしていること:成人の方であれば、病気になられる前の生活や性格、好きだ ったことなどご家族やご本人から窺うようにしています。 「1患者」ではない視線でリハビ リに取り組める姿勢となります。そして対象者の方にとっての言語訓練の意味をよく考え るようにしています。 【NO39.たくさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.男性 4.北陸地方 5.若い ST(学生)に望むこと:自分中心ではなく、クライアントが中心です。自分が主 役ではなく、黒子で十分。クライアントの人生に再び光を灯せるよう、考え、学び、行動 すること。成果は他者に譲ったとしても、いつかその喜びは自分に返ってくるはずです。 諦めずに進んでいってほしいです。 ST になった理由:嚥下食の営業で全国を回っているときに ST と出会い、自分の手で人 を笑顔にできる姿に感動し、この世界に飛び込みました。 臨床で大切にしていること:3 人のバイザーからの教えです。 「邁進せよ。楽しめ。自分 が幸せでいないといけない」 。そして私自身は「5 年前の自分に負けていないこと(どんな ことでもいいから、一歩でも前に進めていることを他者に話せる)」。実習生には最後にこ の 4 つを必ず伝えています。 【NO40.とうさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.男性 4.北陸地方 5.若い ST(学生)に望むこと:私自身まだまだ経験が少ないですが、 ST の仕事は強い 情熱をもっていないと働き続けることが難しいと思います。 ある分野について深く調べてみることや、訓練場面以外で患者さんとかかわる場、他職種 や福祉など医療関係以外の場にも参加することではじめてわかることがたくさんありま す。そういった場に参加していくことに加え、先輩 ST の臨床だけでなく「経験」を聞くこ とも貴重です。自分の理想とする ST 像を変えることもあります。なにより現状に満足せず 謙虚に学ぶ姿勢が大切と思います。 ST になった理由:学生の時に障害者のボランティアにかかわっていたことで医療にかかわ る仕事に興味をもちました。その後進路を考える中でコミュニケーションを支援する言語 聴覚士という仕事を知り、その道に進みました。 臨床で大切にしていること:小児分野で働く ST は少なく研修や勉強の場も限られています が、苦手意識をもたずに色々な文献を読むことや小児にこだわらず講演、勉強会に参加す ることを心がけています。広い知識や高い専門性がより患者さんを理解、支援することに つながると考えています。 また一人で抱え込まずに PT、OT、Dr をはじめ他職種と情報交換する時間をもつように気 をつけています。 【NO40.あっちゃんさん】 1.言語聴覚士 2.6~10 年 3.女性 4.北陸地方 5.若い ST(学生)に望むこと(ST になった理由、臨床で大切にしていること): ある日、高校生の時に違うクラスの同級生と友達になりました。しかし、その友達は、そ の夜、交通事故に遭い、高次脳機能障害者となりました。何が何だかわからぬまま、入院 している病院までお見舞いへ行きました。すると友達は私のことを覚えていませんでした。 そうです、健忘です。友達に忘れられてしまい、悲しい思いをしましたが、その時に担当 していた言語聴覚士から「今から友達になれる方法があるよ」 と声を掛けてくれたことを キッカケに、言語聴覚士は障害者だけでなく、周りの人をも明るく元気にさせることが出 来る仕事だと思い、いつの間にか勉学に励んでいまし た。 私が臨床で大切していることは、やはりコミュニケーションです。これは臨床でなくても 大切なことですが、どんな小さなことでも拾い上げています。そのため、治療以外の時間 が必要となってきますが、チームアプローチを円滑に行うための必須アイテムをゲットす るためにも大切な時間だと思っています。ヒトはそれぞれ考え方が異なります。全てを鵜 呑みにすることは出来ませんが、耳を傾けることで何かしらのヒントとなることには違い ありません。ぜひ友達や職場の人だけでなく、たくさんの人たちとコミュニケーションを 取ってみてください。 ~他職種から ST へのメッセージ~ 【NO1.あいりさん】 1.看護師 2.21~25 年 3.女性 4.東海地方 5.若い ST(学生)に望むこと:嚥下にも興味を持ってもらえるとありがたいです。 現職を目指した理由:祖母を在宅でみていた時期の、訪問看護師さんの姿を見て、憧れ、飛び込 みました。 臨床で大切にしていること:多職種で、患者さんの意思決定を支えることができるようにコ-ディネトしていくことが、看護師の役割だと思います。そのためには、アセスメントに基づく信念を、正しく 伝えていけるように努力する(安全・安楽が保証される看護技術の提供、アセスメント能力・コミュ ニケーション能力の向上を図るための努力、自己研鑽を、持続する)ことが大切だと感じていま す。 【NO2.みさきさん】 1.歯科衛生士 2.36~40 年 3.女性 4.兵庫県 5.若い ST(学生)に望むこと:その方の病気を見て、その方の身体を見て、その方の生き方を見 て、色んな角度から視られて 色んな可能性を考える ST さんを目指してください! 現職を目指した理由:助産師を目指していたが、合格出来そうに無かったので、簡単に合格出来 そうで、しかも国家資格取れそうたったから。 【NO3.いぶきさん】 1.製薬(医療食)メーカー 2.6~10 年 3.男性 4.東海地方 5.若い ST(学生)に望むこと:“ツール”を作ることで解決できるものがあれば、どんどんメーカー へご意見をお寄せください。 【NO4.ひなさん】 1.管理栄養士 2.6~10 年 3.女性 4.北海道 5.若い ST(学生)に望むこと:栄養士と交流して、一緒に患者さんのことを診てほしいです。食形 態について一緒に考えてほしいです。 現職を目指した理由:食べ物の好き嫌いを克服して、代替法を学ぶ。好き嫌いの無い子供を育て られるように、母親にむけた栄養指導をしたいです。 臨床で大切にしていること:患者さんと家族が喜ぶことをする。自分がしてほしい栄養管理を、相 手にも提供する。 【NO5.ゆきなさん】 1.看護師 3.女性 4.関東地方 5.現職を目指した理由:「これが運命だから受け止めなさい」。障害を持って産まれた娘がなかな かミルクを上手に飲めず体重が増えず、経管栄養に切り替えた時に当時の主治医から言われた 言葉です。娘の病気に対する受容が出来ずに、大きくなったら普通の子になれると必死にミルク を飲ませようと1時間以上かけて 30ml も飲めず、ムセては吐いてしまう。「なんで、カエルみたいに ゲロゲロ吐くの??あんたなんかにミルクあげない!!」ストレスを発散させていました。 平成 6 年夏の出来事であり、今のようにインターネットなどはなく、人づてで昭和大学病院摂食 嚥下外来を知り、歯科金子芳洋医師・小児科田角勝医師に出会いました。月 1 回の通院により娘 の食べられない原因と対応の指導を受けて 1 年 3 か月、平成 8 年 3 月 13 日栄養チューブの離脱 に成功しました。 先生方に対して「恩返しはしないが、自分が地域の食べるを守る」と約束したのをきっかけに摂 食嚥下障害看護への道に入りました。 現在、摂食嚥下障害看護認定看護師を取得し 7 年目。回復期病棟に所属しながら、地域包括 ケアに向けて、グループホームなどの高齢者施設訪問、介護支援専門員や歯科衛生士・管理栄 養士・介護士に対して嚥下障害の勉強会を開催しています。 嚥下障害がある方のご家族に医師は「食べたら肺炎になる可能性があります。胃瘻は如何で しょうか?」と説明をしています。「食べる楽しみを味わうための胃瘻」ならばまだしも、その方の予 後も考えずに胃瘻造設される。経口が禁止されて亡くなられた方のご家族からは、「先生から食 べたら死ぬと言われ食べたいというのを我慢させたのに、亡くなるのなら好きな物を食べさせてあ げたかった」と言われることも時折あります。「食べる」は栄養を取るだけでなく、家族との絆でもあ ります。 家族の立場を知っている自分だから出来る「口から楽しむための支援」、本人ばかりではなくご 家族へも手を差し伸べていきたいです。 若い ST(学生)に望むこと:食べる専門家の皆様!貴方方が食べられないと決めてしまうと、患者 さんの「食べる」が消えてしまいます。その方の強みを 見つけて一口でも、「美味しい」と、言って いただけるような関わりを持ってください。ご家族との会話を大切にして、悔いが残らないような仕 事をしてください。心より応援しています。 【NO6.うたさん】 1.作業療法士 2.21~25 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:若い ST さん、頑張ってください。特に小児領域に元気になってほし いです。 現職を目指した理由:母がナースで「夜勤もないし、血もあまり見なくていい」と言われたことと、当 時国立で学費が格安だったことです。 臨床で大事にしていること:OT をしながら、うちの子が OT を受けています。「相手の立場になって 考える」を地で行く状況になり、若い時の自分の無知さが歯がゆくてなりません。 24 時間の当事者の生活の中で、リハがその人のどういう位置づけにあるのか、病院や施設にい ると見えにくいです。在宅にかかわって、やっと見えてくる部分もあります。知識だけじゃなくて、い ろいろな経験をとにかく積んで行きたいです。 【NO7.あこさん】 1.看護師 2.6~10 年 3.女性 4.東北・北海道地方 5.若い ST(学生)に望むこと:是非、他職種との連携を活発にとって、医チームにどんどん入 ってきてほしいです。 ”若い”というところでは、コミュニケーションを大切にする職種だ と思うので社会性や接遇とかも求めたいです。 現職を目指した理由:幼稚園児の時から看護師になりたかったみたいで、理由はよく覚え てないです。看護学校行きながら病棟で働いていた時に、患者さんのためにもっと前に進 みたいと思って正看護師の学校に進学したのは覚えています。 臨床で大切にしていること:患者さんだけではなく、家族のサポートも急性期から介入す ることです。忙しくてもまず笑顔。自分の健康管理。他職種との連携。 【NO8.れなさん】 1. 作業療法士 2.6~10 年 3.女性 4.北陸地方 5.若いSTに望むこと:高次脳機能テストの結果がどのように ADL に支障を与えるか、ど のように代償すれば生活しやすくなるかを一緒に考えていきたいです。首から上の摂食嚥 下機能だけではなく、食事の姿勢、認知面、食具、そして栄養、食事内容についても気を 配れる ST さんがどんどん増えていくと頼もしいなぁと思います。 現職を目指した理由:①身体・心理面の治療を対象者の趣味や手工芸など好きな作業活動 を媒介として行うことに興味が沸きました。②予備校講師をしている時に、心に問題のあ る生徒と沢山接してきました。そのような相手との接し方や心理面についてもっと勉強し たいと感じました。 臨床で大切にしていること:病気よりひとをみることです。ICF に基づき対象者を評価し、 目標設定をするようにしています。目標は対象者や家族と共有しています。患者さんのこ とで悩んだら、一人で抱え込まずに、主治医や看護師や他のリハスタッフ、緩和ケアチー ムなどの専門チームに相談しています。多職種で仕事をすると、大きな力になることを常 日頃感じています。 【NO9.ここさん】 1.歯科衛生士(在宅訪問専任) 2.6~10 年 3.女性 4.東海地方 5.ST さんに望むこと:患者さんとはひとりの人として、友人のように向かい合ってほしい です。仕事の環境によっては、時間に追われ、リハビリの内容に追われ、結果に追われて しまい、患者さんが置き去りにされてしまうかもしれません。 【誰のためのリハビリなのか】 【なんのためのリハビリなのか】を忘れず、ブレずにいてほしいです。 現職をめざした理由:歯科医院で 7 年歯科助手をして、歯科衛生士を取得しました。きっ かけは、歯周疾患の治療にしっかりとかかわっていきたいという、 【診療所で患者さんを待 つ】歯科衛生士を目指しました。父が脳梗塞後遺症で左半側運動機能障碍者だったことも あり、介護保険制度が始まった頃から訪問歯科診療を受けました。訪問する歯科医師や歯 科衛生士とたわいない世間話ができることで、思うように体が動かず気分がふさぎがちだ った父に笑顔が戻り、デイサービスを利用して、積極的に外出を楽しむ朗らかな父になり ました。その後、心疾患から看取り期を迎え、亡くなる直前まで口から食べることを続け、 家族として本人の想いを支える介護をやりきったと感じました。 障がいや認知症などいろいろな状況、環境で生活している人たちの心の想いを支えるこ と、生きる活力を支えること、私自身が介護家族として経験できたことを生かして介護す る人たちも支える仕事をしていきたいと思ったのです。 臨床で大切にしていること: 1. 患者さんとの壁をつくらない。人として尊厳ある接し方をするけれども、壁をつくら ない。 2. 【友人のひとり】という関係、心の奥にしまっている想いを話してもらえる関係をつ くる。でも、単なる馴れ合いにはしない。 3. ポジショニング、シーティングの調整。身体の緊張を緩めることで、誤嚥のリスクヘ ッジとなり、リハビリの効果をあげられる。 4. その人ができること、やれることを奪わない。【過剰介入は生きる意欲も奪っている】 手を出しすぎず、自立支援を意識する。 5. 患者さんのペースにあわせる。反応を待つ。急がせない。 【できない】と決めつけない。 あきらめない。できたときはおもいきり褒めて一緒に喜ぶ。でも、その時できないこ とには自信を失わせないフォローをする。 6. 自分がかかわるときは必ず笑顔にする。できれば声を出して笑ってもらえるように。 自分自身がその人といる時を楽しむ。 一番心がけているのは、 【6.笑顔にする、声をだして笑ってもらう】ことです。 ST も歯科衛生士もかかわる専門は口腔。 【口(くち)は命の入り口、ココロの出口】です。 『口が動けば心が動く、心が動けば体が動く。』節食・嚥下だけでなく、気持ちや想いを伝 えるチカラも取り戻せるよう、一緒に支えていきましょう。 【NO10.こうさん】 1. 作業療法士 2. 6~10 年 3. 男性 4. 北陸地方 5. 若い ST(学生)に望むこと:学生のうちにしかできないことを「一生懸命」してほしい です。みなさんの行う職業は「対人援助職」です。摂食や嚥下、失語症を深めるのは当然 ですが、学生のうちに、たくさんの人に出逢って話したり、アルバイトで様々な経験をし たり、恋愛をしたり、本を読んだり映画を見たりなど、ぜひさまざまな事に挑戦し、時に は失敗することもあると思いますが、すべてあなた方の糧になるはずです。ST の勉強以外 のことが社会に出るととても活かされます。私はこれらのことを全くしておらず、他者と コミュニケーションをとることや指導者と人間関係を気付けず、臨床実習で 2 度不合格を いただきました。精神面はどん底落ちましたが、家族や仲間、学校の先生方のおかげ、立 ち直れた経験があります。今ではこの経験は私の「肝」になっていると心から言えます。 ぜひ、失敗や挫折をしてください。そこから得られることは山ほどあります。以前した失 敗を、次にしなければ、その失敗は「失敗」ではなくなります。いろんな経験をし、さま ざまな価値観、考え方に触れ、素敵な言語聴覚士になってください。臨床や学会などどこ かでお会いできることを楽しみにしています。 OT になった理由:もともと大工になろうと思っていました。たまたま身内が介護福祉士で、 こんな職業もあるよと言われ、PT と OT を見て「モノづくりがリハビリにつながるのだ」と いう事に興味を持ち、勢いで受験したような感じです。偉そうに言えたものではありませ ん。 臨床で大切にしていること:臨床で大切にしていることは、上記5の望むこととも似てい ますが、まずは接遇です。患者さんと接するときに社会人として適切な対応をとることで す。自分の考えだけで患者さんにかかわるのではなく、しっかり患者さんのいままでの生 活暦、生き方、現在困っていることなどの思いを傾聴する。OT の専門性はもちろん追求し なくてはいけませんが、OT だけで目標を立てるのではなく、チームで一緒に考えて、協業 していくことでしょうか?あとはどんどん病院、施設から出て外からの刺激を取り入れる ことを大切にしています。 【NO11.あやさん】 1.作業療法士 2.6~10 年 3.女性 4.北陸地方 5.若い ST(学生)に望むこと:自分の殻に閉じこもらずに、色々な経験をしてください! 患者さんの多くは人生の先輩ですので、ST(学生)自身も、色々な経験をして、視野を広 げる事が大切だと思います。患者さんとの会話も広がるでしょうし、ハッとするような一 言を引き出せるかもしれません。 ・現職を目指した理由:作業療法士という仕事は、高校の授業で知りました。私は総合学 科出身で、 「産業社会と人間」という必須科目がありました。興味のある職業を調べたり、 職業体験をしたり、専門職の方々の講話を聴く等、非常に興味深い授業でした。元々物作 りが好きだった事もあり、作業を介して関わる作業療法士という仕事に強く興味を持ちま した。 見学させていただいた病院で、着物の着付けの仕事に復帰するために、作業療法室のド アノブに着物の帯をくくりつけて、引っ張る練習をしている高齢の女性がいました。その 光景を見て、単純に手工芸を用いるのではなく、ひとりひとりの生きてきた人生や価値観 を尊重し、対象者と関われるという作業療法の治療の無限の可能性に惹かれ、それ以来 OT 一筋です。 ・臨床で大切にしている事:ひとりひとりの患者さんの声を聴く事です。その方がどのよ うな人生を歩んできたのか、何をどういうふうにやりたいのか、…といった患者さんの想 いをしっかり聴取し、アプローチが出来るように心がけています。臨床経験 6~10 年目に なりますが、まだまだ勉強不足です。 【NO12.みほさん】 1.看護師 2.6~10 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:特に摂食・嚥下リハは、多職種での協力が欠かせません。 例えば、医師による治療、STによる嚥下機能評価、間接訓練や直接訓練の実施、PTに よる姿勢調整、OTによる食具の調整など。私たち看護師は、生活リズムの調整やそれぞ れのリハビリを病棟での生活に取り入れ、訓練の効果を向上させることなどです。そのた め、日頃から他の専門職と意見交換がしやすい関係作りを心がけています。ぜひ、STの みなさんにも柔軟な思考で様々な意見を聞き、チームで患者様を支えていってほしいと思 います。 【NO13.ほたるさん】 1.理学療法士 2.31~35 年 3.女性 4.関西地方 5.若い ST(学生)に望むこと:摂食嚥下障害分野でも活躍の場が広がっています。施設 によりますが、どんどんお部屋から出て行って、他職種と交わってください。現在はそれ が主流ですし、それがないとどんどん取り残されます。 私は、最近になってやっと自分の職業の大切さが身に染みています。もっとやることが あるなって、自分のやることが見つかれば、年なんて関係ないですね。年齢を重ねていっ てわかることもたくさんあります。多職種の方たちを尊敬しながら、自分も ST のアピール をしましょう。今置かれている環境が悪いとか、ここに行かされた・・・なんて考えは取 っ払いましょう。仮にそう思ってらっしゃったらですが・・・じゃなくて、 「そこで ST を している」じゃなくて「ST としてそこで何をするか」を考えて仕事をしてください。