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研究開発課題概要書(基盤研究)
研究開発課題概要書(基盤研究) 1.課題名(研究開発期間)【防火研究グループ】 加熱条件や寸法の変化および吸発熱性に応じた耐火性能の推定手法に関する研究 (平成25年度~平成26年度) 2.背景・目的・必要性 背景: 建物の火災安全設計は以下の 2 つの段階が踏まれる。まず火災をある一定の範囲に 閉じ込める防火区画策であり、次にこの枠組みの中で、可燃物が燃え尽きるまで建物 が倒壊しないような構造耐火設計である。具体的には、耐火試験を要する大臣認定制 度の利用が主流であり、防火区画内での火災性状が標準加熱曲線に沿うとした、単一 加熱条件下における安全性評価が行われている。これに対し、区画内の開口率や可燃 物量と燃焼速度の関係など、近年の工学的な理論構築を背景に、性能的耐火設計法が 公布制定された。これにより、建物用途毎に設定された設計用可燃物密度と、建物の 設計条件に応じて、加熱条件を個別に設定することが出来るようになった。しかし、 算定された様々な火災条件に対して、建築部材の応答を予測する手法については整備 が遅れている。 必要性と目的: 建築部材の火災時応答を予測するために、その都度、加熱条件を変化させた耐火試 験を行うのでは、経済上効率的とは言えない。そこで耐火性能検証法では、加熱曲線 の温度時間面積が等価となるように保有耐火時間を求める手法が採られている。しか しこの手法は、コンクリート構造物などの無機質材や鉄骨の柱・はりといった線材を 想定しており、加熱時に亀裂や脱落などの形態変化を生じやすい壁や床といった区画 構成部材(面材)や、加熱中に吸発熱を伴う木質系構造物などの有機質材や発泡性耐 火塗料に対しては、材料の化学的・機械的変質と熱伝導性との相互影響を考慮してい ないため、適切な手法とは言えない。また近年、環境への配慮から使用実績が増えて いる木材などの自然素材は、工業製品と違い寸法範囲が広く、寸法の変化に応じた耐 火性能の適切な推定手法が存在しないために、バリエーションの制限や試験数の増加 が問題となっている。 これに対し主担当者らはこれまでに、熱伝導と水分蒸発の方程式を基に、耐火試験 結果における材料レベルでの化学的・機械的変質の影響を、見かけの熱拡散率の変化 から読み取る手法を提案している。そこでこれを基に、標準加熱曲線下での耐火試験 結果を基に、加熱条件や寸法の変化および吸発熱性に応じた適切な推定を行い、設計 条件下における耐火時間を算出する手法の開発を目的とする。これにより、既存の大 臣認定制度における耐火試験結果の活用と新たに導入された耐火性能検証法の利用 促進が期待できる。 3.研究開発の概要 加熱強度と燃焼に伴う吸発熱や形態変化の関係を実験的に把握し、認定制度におい て標準加熱曲線下で行われる耐火試験結果を、性能設計における様々な設計条件下お よび加熱条件下での耐火性能を推定するための、計算式の提案を行う。 また、計算式を用いて耐火試験結果から読み取れる見かけの熱拡散率を、材料・工 法毎に整理して、データベースとして取りまとめ、設計資料に供する。 4.達成すべき目標 設計条件下における耐火性能の推定手法に関する技術資料を作成する。