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平成28年度山岳遭難救助研修会の様子を更新しました。
全国から集った救助のプロたち! ~山岳遭難救助研修会より~ 国立登山研修所 10 月 17 日(月)~21 日(金)の日程で、山岳遭難救助研修会を開催しました。 普段は災害や事故現場などで活躍している「救助のプロ」たちが、山岳に適した救助方 法や山岳に潜む危険を熟知する「山岳のプロ」から山岳救助に関わる知識や技術を学ぶ研 修会です。 全国から消防士、警察官、自衛隊員、民間救助組織で山岳救助に携わる人、総勢 143 名 の応募がありましたが、書類選考の結果、47 名の参加となりました。 【山岳遭難救助研修会】 ◆目 的:山岳遭難救助活動を行う組織の指導的立場にある人を対象として、遭難救助に関する知識と 技術、救助活動の方法及びその指導法について研修を行い、現場での即応力及び指導者とし ての資質の向上を目指す。 ◆日 時:平成 28 年 10 月 17 日(月)~21 日(金) ◆場 所:国立登山研修所及び周辺山域 ◆参加者:47 名 ◆講 師:国立登山研修所講師 16 名 <主任>長岡健一(モンテ・アルパインクラブ) <副主任>小林 亘(春日井山岳会) ※以下 50 音順 新井健二(クライミングメイトクラブ) 大森 上田幸雄(チーム・ブランカ) 亘(岐阜県警察山岳警備隊) 加藤直之(日本バックカントリースキーガイド協会) 佐々木大輔(日本バックカントリースキーガイド協会) 笹倉孝昭(日本プロガイド協会) 島田和昭(日本プロガイド協会) 杉坂 谷本悠基(富山県警察山岳警備隊) 中村直弘(富山県警察山岳警備隊) 本庄賢司(長野県警察山岳遭難救助隊) 松井貴充(富山県警察山岳警備隊) <全国各地から集まった救助のプロたち 勉(JAGU) 増本 亮(同人クライミングファイト) 三井康志(長野県警察山岳遭難救助隊) 10 月 17 日 開会式にて撮影> 研修会では、まず初めに「山岳」固有の危険性やその場所における救助について、長岡 主任講師より説明がありました。また、笹倉講師による「確保理論」 、小林講師による「地 形図による約束事」の講義、富山県警察山岳警備隊員である松井講師による「遭難現場進 入の際の着眼点」についての解説があり、山岳救助の基本的な内容を机上で学習しました。 実技においては、まず、岩、草、土などの自然物を使った支点構築の方法を学びました。 研修所敷地内にある岩、草、土を使い、「石八(いしはち)」「草取り」「土のう袋」と言わ れる支点構築について、7 班が 3 グループに分かれてローテーション形式でそれぞれの支 点構築方法を講師陣から学びました。支点構築は、山岳救助等の現場において命の要とな る最重要なもので、頑強な支点を作ることは、その後の救助活動を安全に進める上では欠 かせないものとなります。研修生は講師陣の示範によって方法を学び、その後実際に自然 物を使った支点構築を行いました。 <「山岳」に潜む危険とその把握の重要性の説明> <確保理論の講義を受ける研修生> <支点構築の方法についての説明> <土のうを使った支点の強度確認> 2 日目から 5 日目までは、研修所内のロッククライミング施設、スポーツクライミング 施設の他、周辺山域である大辻山、雑穀谷の岩場において、朝から夕方まで班別に研修を 行いました。 班別研修では、ロープの結び方や束ね方、ハーネスへのロープの装着方法等の基礎的な ことから始まり、それぞれの研修場所において支点構築や懸垂下降、搬送訓練など、順次 応用的な内容を学びました。 研修生は全国各地から集まっています。研修生の中には、山岳地域への救助出動の経験 のない研修生もおり、初めは器具の扱いなどにも時間を要していましたが、経験豊富な講 師陣の指導により、徐々に早く身に付けられるようになっていきました。 <ストレッチャーを使った搬送訓練> <谷底からの引き上げ訓練> <チロリアンブリッジによる救助訓練> <研修の合間を縫った食事休憩> 5 日間の充実した研修で、 「山岳」という固有の場面での救助について、研修生自身の意 識の変容や多くの技術、知識の学びがあったと思います。今後、所属の救助組織において 伝達をされるとともに、山岳救助の現場では、リーダーシップを取って任務に当たってい ただくことを期待しています。 <称名川から上流を望む(右側の白い建物は登山研修所) 10 月 16 日撮影>