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2008
Finance mini 金融工学 mini Hiroshi Toyoizumi 1 March 4, 2009 1 E-mail: [email protected] Contents 1 Introduction 3 2 確率論の奥義:サンプル数を増やせ 2.1 The Law of Large Numbers:大数の法則 . . . . . . . . . . . . . 2.2 多数のサンプルの確率的変動の理論:中心極限定理 . . . . . . 2.3 大数の法則たちと中心極限定理の違い . . . . . . . . . . . . . . 5 5 7 9 3 ブラウン運動を近似せよ 13 3.1 幾何ブラウン運動 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13 3.2 Discrete Time Tree Binomial Process . . . . . . . . . . . . . . . 16 4 儲け話 4.1 オプションの売買 . . . . . . . . . 4.1.1 不確定性を消去せよ . . . . 4.1.2 うまい儲け話はありません 4.2 理想的な値動き . . . . . . . . . . 4.3 Duplication and Law of One Price . 4.4 Arbitrage Theorem . . . . . . . . . 4.5 References . . . . . . . . . . . . . . 4.6 Exercises . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 Black-Scholes Formula 5.1 Risk-neutral Tree Binomial Model . . . . . . . . . . 5.2 Option Price on the Discrete Time . . . . . . . . . . 5.3 Black-Scholes Model . . . . . . . . . . . . . . . . . 5.4 Examples of Option Price via Black-Scholes Formula 5.5 References . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5.6 Exercises . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 24 24 25 26 28 30 31 34 34 . . . . . . 35 35 37 37 42 43 43 Chapter 1 Introduction この講義の目的は、Black-Scholes 式の意味を理解することです。 細かい数 学的な証明の理解はさておき、裁定定理や geometric Brown 運動を直感的に 把握することを目標にします。当然、本当の意味で「知って」、「使える」よ うになるためには、数学を理解する必要があります。しかし、そのためには、 少なくとも、解析ツール(微積分)や無限和といった数学的知識が前提とな ります。 この講義をきっかけに、より深い知識を得たいという興味を持ってもら えればと思っています。 簡単に言えば、Black-Scholes 式とは、将来の株価に連動した金融商品の 「現在の」適正価格を算出する式です。将来の株価に連動した金融商品、こ こでは特に、コールオプション1 と呼ばれる商品を取り上げます。 Problem 1.1. どのようにすれば、コールオプションの価格を決定できるので しょう? 不確定な未来に対して価格(値段)をつけるのは、コールオプションのよ うな金融商品に限りません。例えば、宝くじ。1等2億円のサマージャンボ 宝くじを一枚300円で購入できます。購入者にとって、高いでしょうか? また、発行者にとって1枚300円売ることでで、損失は生まれないでしょ うか? Problem 1.2. 不確定な未来に対して価格(値段)をつけるものは、他に、ど んなものがあるでしょう? 1 コールオプションは、将来のある時期に株価を約束した価格で購入する権利です。 3 4 CHAPTER 1. INTRODUCTION 宝くじの場合には、各当たり等級の本数が決まっています。また、過去の 売り上げ情報に基づいて考えることで、売り主は損失を出さないようにする ことが可能です。 Problem 1.3. サッカーくじの TOTO は、どうして巨額の赤字になったので しょう? TOTO のような損失を出さないようするためにも、Black-Scholes 式の背 後にある理論的な枠組みを知っていることは非常に重要です。 さらに 1. volatility はなぜ重要なのか? 2. 効率的市場の仮説とブラウン運動の関係は? といった疑問に対する答えを探ります。 このハンドアウトは、 Hiroshi Toyoizumi, Applied Probability and Mathematical Finance Theory2 [1] に基づいています。数学的にもっと厳密で詳しいことが知りたい人は、そち らを見てください。 また、このハンドアウトはつぎはぎで作っているので、ところどころ英 語な可能性があります。ご了承ください。 2 このハンドアウトは、www.f.waseda.jp/toyoizumi/classes/accounting/statistics/statistics2/main.pdf からダウンロード可能です。 Chapter 2 確率論の奥義:サンプル数を増やせ 将来の株価を元にした金融商品に適正な価格をつけるには、当然、未来の株 価の変動を予測しなければなりません1 。 変動する物理現象の記述には、確率論が必要です。株価の変動を記述す るのに、よく用いられるのは、geometric Brownian motion です。 Problem 2.1. 株価は、geometric Brownian motion なのでしょうか?どうして、 株価は geometric Brownian motion なのでしょう? その理由を知るためには、大数法則と中心極限定理を理解し、その「強 力さ」と「もろさ」を把握しておく必要があります。 2.1 The Law of Large Numbers:大数の法則 どこの駅前でも、宝くじの売り場があります。宝くじは、たくさんの人が購 入していきます。一日をみると、よく売れる日もあれば、まったく売れない 日もあるでしょう。何日も売り上げを記録していれば、だいたいの売り上げ 見込みがわかることでしょう。平均売上高です。このように、不確定な変動 をしているものも、「平均」という概念を考えることで、そのレベルや一日 の一日の変動の様子が明確に把握できます。 ところで、いわゆる平均には、二つの並列した考え方が含まれています。 さいころを考えましょう。さいころを同時に二つ投げます。中学生レベル(?) の問題です。 1 株価の変動の予測と株価の予測は異なる概念です。株価の予測は予想屋さんの仕事で、 株価の変動の予測は統計家の仕事です。 5 6 CHAPTER 2. 確率論の奥義:サンプル数を増やせ Problem 2.2. 出る目の和の期待値はいくつですか? さいころを同時に二つ投げることを、何度も繰り返します。4回繰り返 すと、(5,3), (4,2), (2,1), (3,1), のように出るかもしれません。 この場合、(サンプル)平均は次のようになります。 8 + 6 + 3 + 4 21 = . 4 4 (2.1) Problem 2.3. (サンプル)平均と期待値は同じですか?どこが違いますか? サンプル平均は、サンプルの和をサンプルの数で割った値です。 Sn ∑ni=1 Xi = . n n (2.2) この値は、観測された値に対して、計算することができます。その意味では、 我々が「知る」ことができる値です。それに対して、期待値は、ある意味で は「神」のみが知ることができる値です。 ∫ ∞ E[X] = x=−∞ xdP{X ≤ x}. (2.3) P{X ≤ x} は確率分布と呼ばれ、X の確率的な情報のすべてが既知の場合に計 算可能です。 この二つの平均の捉え方、サンプル平均 Sn /n と期待値 E[X] の間を結ぶ、 数学的定理が大数の法則です。 まずはじめに、大数の弱法則をみましょう。 In many cases, we need to evaluate the average of large number of independent and identically-distributed random variables. Perhaps, you can intuitively assume the average will be approximated by its mean. This intuition can be validated by the following theorems. Theorem 2.1 (Weak law of large numbers). Let X1 , X2 , .... be an i.i.d. sequence of random variables with µ = E[Xn ]. (2.4) Let Sn = ∑ni=1 Xi . Then, for all ε > 0, P{|Sn /n − µ| > ε} → 0 as n → ∞. (2.5) Or, if we take sufficiently large number of samples, the average will be close to µ with high probability. 2.2. 多数のサンプルの確率的変動の理論:中心極限定理 7 重要なのは、“Or” 以下の部分です。十分大きなサンプルをとれば、サン プル平均は高い確率で期待値 µ に近い値であることが数学的定理として保証 されます。 You can say, “OK. I understand, for the large sample, we can expect the average will be close to the mean most of the times. So, it might be possible to have some exceptions...” In that case, we have another answer. 「高い確率で」というのは、 「非科学的」な響きがあります。小さい確率で すが、サンプル平均は、期待値に近づくない場合がありうるということです。 だから、この法則は「弱」法則なのです。もっと「強い」法則もあります。 Theorem 2.2 (Strong law of large numbers). Let X1 , X2 , .... be an i.i.d. sequence of random variables with µ = E[Xn ]. (2.6) Sn → µ as n → ∞. n (2.7) With probability 1, we have So, now we cay say that almost all trials, the average will be converges to µ. これで、すべて2 のサンプル平均で、繰り返しの数を増やせば、確実に期 待値にどんどん近づくことがわかります。 2.2 多数のサンプルの確率的変動の理論:中心極限 定理 大数の法則で、大きなサンプルをとれば、サンプル平均は期待値と一致する ことわかりました。しかし、大きなサンプルでサンプル平均をとったとして も、期待値より大きな値がでたり、期待値より小さい値がでることはあり得 ます。さいころの出る目の期待値は 7/2 ですが、実際のサンプル平均値は、い つも 7/2 ぴったりになることはありません。確率的試行による、確率的な変 動の影響(観測誤差とも言えます)があります。 この確率的変動は、オプションの価格を決定する上では重要です。この 確率的変動が、株価の変動の大きな要因となります。確率的変動は、大きく 2 実は、 「確率1で」と「すべての」は異なる概念です。ここでは簡単のために、 「すべて」 と言いましたが、厳密な意味ではありません。 8 CHAPTER 2. 確率論の奥義:サンプル数を増やせ なったり、小さくなったりしますが、これをうまく見積もることが大事にな ります。どのようにすれば、見積もることができるのでしょう? 一つの方法は、何度も繰り返し観測し、確率的変動の「傾向」を把握す ることです。これは重要なアプローチですが、手間がかかる、過去のデータ の傾向が将来も続くか不確定、といった欠点があります。 そこで、中心極限定理です。この数学的定理を使うことで、もっと簡単に 確実に確率的変動の傾向を把握することができます。 Let X1 , X2 , .... be an i.i.d. sequence of random variables with µ = E[Xn ], (2.8) σ 2 = Var[Xn ]. (2.9) Now we would like to estimate the sum of this random variables, i.e. n Sn = ∑ Xi . (2.10) i=1 Theorem 2.3 (Central limit theorem). For a large n, we have { } Sn − nµ √ ≤ x ≈ Φ(x), P σ n (2.11) where Φ(x) is the distribution function of the standard normal distribution N(0, 1). Or √ Sn ∼ N(nµ, σ n). (2.12) ここでも、“or” 以下に注目してください。サンプル平均 Sn /n は大数の法 則により、期待値 µ に収束することがわかっています。すわなち、Sn は、足 し合わせる項が増えるに従って増加しますが、その増加は、 Sn ∼ µn (2.13) で表すことができます。しかし、当然、不確定な変動の影響を受けるので、ちょ √ うど µn ぴったりということはありません。その変動分が正規分布 N(0, σ n) という形で表されます。 √ ここで重要なのは、この不確定な変動の大きさは σ n というように、n のルートのオーダーになるということです。Sn 自体は n のオーダーで増加し ているので、サンプル数が大きくなれば、徐々に、不確定要素の影響は相対 的に小さくなることがわかります。 2.3. 大数の法則たちと中心極限定理の違い 9 The central limit theorem indicate that no matter what the random variable Xi is like, the sum Sn can be regarded normal distribution. Instead of stating lengthy and technically advanced proof of laws of large numbers and ccentral limit theorem, we give some examples of how Sn converges to a Normal random variable. 2.3 大数の法則たちと中心極限定理の違い さて、簡単なコイントスの例をあげましょう。 Example 2.1 (Average of Bernouilli Random Variables). サッカーやテニスの コート決めなど、さまざまな場面でコイントスで決着がはかられることがあ ります。当然、コインは 1/2 の確率で表が出て欲しいのですが、実際にはど うでしょう?ここでは、コインを実際に投げることで、そのコインがフェア かどうか判定することを考えます。 Let Xi be i.i.d Bernoulli random variables with p = 1/2. Suppose we are going to evaluate the sample average A of Xi ’s; A= 1 n ∑ Xi. n i=1 (2.14) Of course, we expect that A is close to the mean E[Xi ] = 1/2 but how close? A は、コインを何回か投げて、表の出る確率を推定しています。ここで は、フェアなコインをテストすることを考えます3 。当然、フェアなコインで すので、表の出る確率の推定値 A は 1/2 に近いことが予想されます。 10 回のコイントスで A = ∑10 i=1 Xi /10 の計算をしてみましょう。例えば、次 のようになります。 A= 6 1 (1 + 0 + 0 + 1 + 1 + 1 + 1 + 0 + 1 + 0) = . 10 10 (2.15) A の値、一回だけで、フェアなコインかどうか言えるほど強心臓ではない ので、同じことを1000回繰り返します4 。図 2.1 のように、その値を頻度 の形でグラフ化できます。 Problem 2.4. サンプルの数 n を増やすと、推定値 A には、どんな変化が起こ るのでしょう? CHAPTER 2. 確率論の奥義:サンプル数を増やせ 10 8 6 4 2 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Figure 2.1: Histogram of the sample average A = n1 ∑ni=1 Xi when n = 10, where Xi is a Bernouilli random variable with E[Xi ] = 1/2. 8 6 4 2 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Figure 2.2: The sample average A when n = 100. 17.5 15 12.5 10 7.5 5 2.5 0.2 0.4 0.6 0.8 1 Figure 2.3: The sample average A when n = 1000. 2.3. 大数の法則たちと中心極限定理の違い 11 図 2.2 と図 2.3 を図 2.1 と見比べます。サンプル数が増えるに従って、大 数の弱法則(Theorem 2.1)通りに、サンプル平均は期待値に収束していく様 子がわかります。 それでも、1000個のサンプルでも、たまには 1/2 よりもかなり大きな 値になるような例外もあることまでわかります。 それでは、そのような例外的な場合は、サンプルの数を増やすとどうな るのでしょうか?図 2.4 が、その疑問の答えです。最初にどんなに外れた値 であっても、大数の強法則 (Theorem 2.2) 通り、サンプル数 n を増やすと、推 定値 A は、徐々に 1/2 に近づく様子がわかります。 1 0.8 0.6 0.4 0.2 100 200 300 400 500 Figure 2.4: The sample path of the sample average A = 1n ∑ni=1 Xi up to n = 500, where Xi is a Bernouilli random variable with E[Xi ] = 1/2. さて、これで、我々はフェアなコインの場合、推定値 A が 1/2 に近づいて 行くことがわかりました。これは大数の法則が予想する通りの結果です。 それでは、中心極限定理はどうなるのでしょうか?先ほどの頻度のグラ フ、特に大きなサンプルをとった図 2.3 を、もう一度見ましょう。0.5 の周辺 に頻度が集中しています。これを拡大してみます。すると、図 2.5 が得られま す。そうです。これが我々の中心極限定理が予告していた正規分布です。平 均のまわりの変動の様子がきれいに釣り鐘状になっていることがわかります。 中心極限定理によるこの結果は、かなり強力です。推定の元はコイント スで0か1の値で激しい変動があるのに、結果として、サンプルを多くとれ ば、その誤差は正規分布で近似できることがわかります。 3 フェアなコインであっても、フェアであることをチェックすることは重要です。 4 ここでのサンプルと繰り返しの違いには注意しましょう。サンプルは一回の推定値 A を 構成する要素であるのに対して、繰り返しはその推定を何度もすすることです。 CHAPTER 2. 確率論の奥義:サンプル数を増やせ 12 そして、このように0−1の値でもサンプルを多くとれば、正規分布で 近似できるということは、後に、geometric brownian motion に応用され、最 終的に我々の目標の Black-Scholes 式へと我々を導くことになります。 Now we know that A converges to 1/2. Further, due to Central Limit Theorem (Theorem 2.3), magnifying the histogram, the distribution can be approximate by Normal distribution. Figure 2.5 show the detail of the histogram of A. The histogram is quite similar to the corresponding Normal distribution. 30 25 20 15 10 5 0.46 0.48 0.5 0.52 0.54 Figure 2.5: The detailed histgram of the sample average A = 1n ∑ni=1 Xi when n = 10, where Xi is a Bernouilli random variable with E[Xi ] = 1/2. The solid line is the corresponding Normal distribution. Chapter 3 ブラウン運動を近似せよ 金融商品の変動の基礎モデルはよくも悪くも、通常のブラウン運動の変種で ある、幾何ブラウン運動(geometric brownian motion )です。ここでは、そ の秘密に迫ります。 3.1 幾何ブラウン運動 まずは、geometric brownian motion(幾何ブラウン運動)の定義です。通常の ブラウン運動は、「動き」が独立な正規分布に従います。geometric brownian motion では、「動き」ではなく、「増加率」の変化が独立な正規分布に従い ます。 Definition 3.1 (Geometric Brownian motion). We say S(t) is a geometric Brownian motion with the drift parameter µ and the volatility parameter σ if for any y ≥ 0, 1. the growth rate S(t + y)/S(t) is independent of all history of S up to t, and 2. log(S(t + y)/S(t)) is a normal random varialble with its mean µt and its variance σ 2t. 一般に、金融工学では、 • µ のことを drift parameter、 • σ のことを volatitlity 13 CHAPTER 3. ブラウン運動を近似せよ 14 と呼んでいます。drift parameter は S(t) 全体がどのようなトレンドを持って いるかを表し、volatility は確率的な変動の大きさを表しています。 物理現象では、通常のブラウン運動がよく用いられますが、金融工学で は、幾何ブラウン運動の方が、用いられることが多いようです。 Problem 3.1. なぜ、金融工学では、幾何ブラウン運動の方が、多く用いられ るのでしょう? Let S(t) be the price of a stock at time t. In mathematical finance theory, often, we assume S(t) to be a geometric Brownian motion. If the price of stock S(t) is a geometric Brownian motion, we can say that 1. the future price growth rate is independent of the past price, and 2. the distribution of the growth rate is distributed as the lognormal with the parameter µt and σ 2t.. The future price is probabilistically decided by the present price. Sometimes, this kind of stochastic processes are refereed to a Markov process. このように定義された geometric brownian motion の時刻 t での期待値は次 の Lemma で与えられます。 Lemma 3.1. If S(t) is a geometric Brownian motion, we have E[S(t)|S(0) = s0 ] = s0 et(µ+σ 2 /2) . (3.1) Proof. 証明はハンドアウト参照。 ここで、重要なのは、geometric brownian motion では、平均的には、S(t) が 指数関数的に大きくなることです。また、そのレートは、µ ではなく、µ +σ 2 /2 とずれていることに注意が必要です。指数関数が線形ではありません。ぶれ の反映のしかたが、対称ではないことにより、このように「ずれ」が生まれ ます。 Remark 3.1. Here the mean of S(t) increase exponentially with the rate µ + σ 2 /2, not the rate of µ. The parameter σ represents the fluctuation, but since the lognormal distribution has some bias, σ affects the average exponential growth rate. Theorem 3.1. Let S(t) be a geometric Brownian motion with its drift µ and volatility σ , then for a fixed t ≥ 0, S(t) can be represented as S(t) = S(0)eW , where W is the normal random variable N(µt, σ 2t). (3.2) 3.1. 幾何ブラウン運動 15 Proof. We need to check that (3.2) satisfies the second part of Definition 3.1, which is easy by taking log on both sides in (3.2) and by seeing ( ) S(t) log = W. (3.3) S(0) この定理から、普通の正規分布を指数関数で「変換」することで geometric Brownian motion が得られることがわかります。また、逆に、geometric Brownian motion を log で逆変換すると通常の正規分布(より正確には Brownian motion) に戻ることがわかります。この性質は、いろいろな計算を行なうと きに、便利に使えます。 geometric Brownian motion には、別な表現方法もあります。このような 微分方程式の形での表現は、時間発展の様子を捉えやすいですね。但し、こ の微分方程式の本当の数学的意味を知るためには、確率積分の理論を知る必 要があります。なぜなら、ここで使われている通常のブラウン運動 B(t) は、 いたるところで、微分不能だからです。 Sometimes instead of Definition 3.1, we use the following stochastic differential equation to define geometric Brownian motions, dS(t) = µS(t)dt + σ S(t)dB(t), (3.4) where B(t) is the standard Brownian motion and dB(t) is define by so-called Ito calculus. Note that the standard Brownian motion is continuous function but nowhere differentiable, so the terms like dB(t)/dt should be treated appropriately. But these treatment includes the knowledge beyond this book. Thus, the following parts is not mathematically rigorous. The solution to this equation is S(t) = S(0)eµt+σ B(t) . (3.5) Formally, if we differentiate (3.5), we can verify this satisfy (3.4). It easy to see that S(t) satisfies Definition 3.1. Theorem 3.2. The geometric Brownian motion S(t) satisfies the stochastic differential equation, dS(t) = µS(t)dt + σ S(t)dB(t), with the initial condition S(0). (3.6) 16 CHAPTER 3. ブラウン運動を近似せよ 3.2 Discrete Time Tree Binomial Process geometric Brownian motion は実時間上で定義されます。実時間上で定義され るプロセスは、一般に、数学的取り扱いが難しかったり、シミュレーション がしにくいといった欠点があります。geometric Brownian motion の代わりに なるような簡単なプロセスを探してみましょう。 In this section, we imitate a stock price dynamic on the discrete time, which is subject to geometric Brownian motion. Definition 3.2 (Tree binomial process). The process Sn is said to be a Tree Binomial process, if the dynamics is express as { uSn−1 with probability p, Sn = (3.7) dSn−1 with probability 1 − p, for some constant factors u ≥ d ≥ 0 and some probability p. 確率 p で上に、1 − p で下に、という簡単なプロセスです。上への変化と、 下への変化が非対称になっていることに注意してください。 Figure 3.1 depicts a sample path of Tree Binomial Process. Do you think it is reasonably similar to Figure 3.2, which is a exchange rate of yen? Problem 3.2. 図 3.1 と図 3.2 に Tree binomial process の例を、為替レートと並 べてみました。どうでしょう?似ていますか? さて、ここからが本題です。Tree binomial process を使って、どのように geometric Brownian motion を近似するのでしょう? geometric Brownian motion には、drift µ と volatitlity σ の二つのパラメー タがあります。それに対して、Tree binomial process には、上下の向きをコン トロールする確率 p、上向きの大きさ u、下向きの大きさ d の3つのパラメー タがあります。これらのパラメータをうまく調整して、Tree binomial process が定義されている離散時間の間隔を縮めて、geometric Brownian motion にぴっ たり一致させるのが目的です。うまくいけば、geometric Brownian motion の 代わりに、Tree binomial process という非常にシンプルなプロセスだけで、話 が済ませます。 時刻 t = n∆ までの間で、∆ 間隔で、値をとる Tree binomial process を考え ます。この間、プロセスは、上下に変動します。 { uS((i − 1)∆) with probability p, S(i∆) = (3.8) dS((i − 1)∆) with probability 1 − p, 3.2. DISCRETE TIME TREE BINOMIAL PROCESS 17 130 120 110 100 90 80 20 40 60 80 100 Figure 3.1: An example of Tree binomial process with d = 0.970446, u = 1.03045, p = 0.516667 and starting from S0 = 100. Figure 3.2: Exchange rate of yen at 2005/10/19. http://markets.nikkei.co.jp/kawase/index.cfm Adopted from CHAPTER 3. ブラウン運動を近似せよ 18 ここで、時刻 T までに上向きに変化した回数をカウントしましょう。そ れには、 { 1 up at time i∆, Yi = (3.9) 0 down at time i∆. で、各時点で上向きかどうかをチェックする関数を用意し、これを足し合わ せます。すると上向きの回数が、次のように得られます。 n ∑ Yi. (3.10) i=1 この回数は、Example 2.1 で見たように0、1の独立なサンプルを足し合 わせたものです。前の Example ではコイントスであった部分が、株価の変動 になっているわけです。 離散な時刻を徐々に縮めていくと、このランダムな変動のサンプル数は どんどん増えます。増えるに従って、変動の大きさ u、d をうまく調整して おけば、ちょうど中心極限定理が使える条件が整います。前の例と同じよう に、このランダムな変動の足し合わせは極限をとることで、正規分布に一致 します。 普通のブラウン運動の場合は、変動の大きさは「和」の形で、積み重な ります。しかし、Tree binomial process の場合には、変動の大きさは、元の プロセスに「積」の形で効力を発揮します。したがって、この変動の積み重 ねは、指数関数的に元のプロセスに影響します。したがって、Tree binomial process の収束した極限は、geometric Brownian motion になります。 うまくパラメータを調整することで、Tree binomial process をどんな geometric Brownian motion にもすることができます。すなわち、一般の geometric Brownian motion を Tree binomial process で近似することが可能です。 Theorem 3.3 (Approximation of geometric brownian motion). A geometric Brownian motion S(t) with the drift µ and the volatillity σ can be regardede as the limit of a tree binomial process with the parameters: d = e−σ √ ∆ √ , u = eσ ∆ , 1( µ√ ) p= 1+ ∆ . 2 σ (3.11) (3.12) (3.13) 3.2. DISCRETE TIME TREE BINOMIAL PROCESS 19 Proof. Let ∆ be a small interval and n = t/∆. Define a tree binomial process on the discrete time {i∆} such as { uS((i − 1)∆) with probability p, S(i∆) = (3.14) dS((i − 1)∆) with probability 1 − p, for all n. The multiplication factors d and u as well as the probability p have some specific value, as described in the following, to imitate the dynamics of the Brownian motion. Let Yi be the indicator of “up”s (Bernouilli random variable), i.e., { 1 up at time i∆, Yi = (3.15) 0 down at time i∆. Thus, the number of “up”s up to time n∆ is ∑ni=1 Yi , and the number of “down”s is n − ∑ni=1 Yi . Hence, the stock price at time n∆ given that the initial price S(0) is S(n∆) = S(0)u∑ Yi d n−∑ Yi ( u )∑ Yi . = S(0)d n d Now set t/∆ S(t) = S(0)d t/∆ (u/d)∑i=1 Yi , (3.16) and show that the limit S(t) is geometric Brownian motion with the drift µ and the volatility σ as ∆ → 0. Taking log on the both side, we have ( S(t) log S(0) ) = ( u ) t/∆ t log d + log ∑ Yi. ∆ d i=1 (3.17) To imitate the dynamics of geometric Brownian motion, here we artificially set d = e−σ √ √ ∆ , u = eσ ∆ , 1( µ√ ) p= 1+ ∆ . 2 σ CHAPTER 3. ブラウン運動を近似せよ 20 Note that log d and log u are symmetric, while d and u are asymmetric, and p → 1/2 as ∆ → 0. Now using these, we have ( S(t) log S(0) ) √ t/∆ −tσ = √ + 2σ ∆ ∑ Yi . ∆ i=1 (3.18) Consider taking the limit ∆ → 0, then the number of terms in the sum increases. Using Central Limit Theorem (Theorem 2.3), we have the approximation: t/∆ ∑ Yi ∼ Normal distribution. (3.19) i=1 Thus, log(S(t)/S(0)) has also the normal distribution with its mean and variance: √ t/∆ −tσ E[log(S(t)/S(0)] = √ + 2σ ∆ ∑ E[Yi ] ∆ i=1 √ t −tσ = √ + 2σ ∆ p, ∆ ∆ √ µ√ ) −tσ t ( 1+ = √ +σ ∆ ∆ ∆ σ ∆ = µt, and t/∆ Var[log(S(t)/S(0)] = 4σ 2 ∆ ∑ Var[Yi ] i=1 = 4σ t p(1 − p) 2 → σ 2t, as ∆ → 0, since p → 1/2. Thus, log(S(t)/S(0)) ∼ N[µt, σ 2t], (3.20) and moreover S(t + y)/S(t) is independent with the past because of the construction of S(t). Hence the limiting distribution of S(t) with ∆ → 0 is a geometric Brownian motion, which means all the geometric Brownian motion S(t) with the drift µ and the volatility σ can be approximated by an appropriate tree Binomial process. 3.2. DISCRETE TIME TREE BINOMIAL PROCESS 21 Remark 3.2. In the following, to show the properties of geometric Brownian motions, we sometimes check the properties holds for the corresponding tree Binomial Process and then taking appropriate limit to show the validity of the properties of geometric Brownian motions. Example 3.1 (Trajectories of geometric brownian motions). Geometric Brownian Motions を tree binomial process で近似してみた例です。特に、図 3.4 を見ま しょう。drift は µ = 0.1 なので、上向きのトレンドを持つ場合です。 ところが、ほとんどの場合、株価は一定レベルで動いているように見え ます。逆に、下向きのトレンドを持って、動いているように見えるものさえ あります。 Geometric Brownian Motions や tree binomial process は、上下に非対称な プロセスです。ごくまれな大幅な上昇と、小幅な下降とで構成された確率的 構造を持つプロセスであることがわかります。 This is an example of different trajectories of Geometric Brownian Motions. Here we set the drift µ = 0.1, the volatility σ = 0.3 and the interval ∆ = 0.01 in the geometric brownian motion. As pointed out in Remark 3.2, we use tree binomial process as an approximation of geometric brownian motion. Thus, the corresponding parameters are d = 0.970446, u = 1.03045 and p = 0.516667. 130 120 110 100 90 80 20 40 60 80 100 Figure 3.3: Another example of geometric brownian motion with the drift µ = 0.1, the volatility σ = 0.3 and the interval ∆ = 0.01 and starting from S0 = 100. It is important to see that the path from geometric brownian motion will differ time by time, even we have the same parameters. It can rise and down. Figure 3.4 CHAPTER 3. ブラウン運動を近似せよ 22 gathers those 10 different trajectories. Since we set the drift µ = 0.1 > 0, we can see up-ward trend while each trajectories are radically different. On the other hand, Figure 3.5 shows the geometric brownian motion with the negative drift µ = −0.1, and the probability of the upward change p = 0.483333. Can you see the difference between Figure 3.5 and Figure 3.4? 200 180 160 140 120 100 80 20 40 60 80 100 Figure 3.4: Many trajectories of geometric brownian motion with the upward drift µ = 0.1, the volatility σ = 0.3 and the interval ∆ = 0.01 and starting from S0 = 100. 3.2. DISCRETE TIME TREE BINOMIAL PROCESS 23 140 120 100 20 40 60 80 100 Figure 3.5: Many trajectories of geometric brownian motion with the downward drift µ = −0.1. Chapter 4 儲け話 Problem 4.1. うまい儲け話はあるのでしょうか?あるとすると、どんなこと が起こるのでしょうか? 4.1 オプションの売買 ここでは、架空の非常にシンプルな株式をもとにしたオプション市場を考え ます Let r be the interest rate. We consider to give the price of an option to purchase a stock at a future time at a fixed price. Let Xn be the price of stock at time n. Suppose, given X0 = 100, the price of the stock can be either $200 or $50 at time 1 for simplicity. We can consider an option to buy the stock at $150 at time 1. Note that this option is worthless if the X1 = 50, since in that case, you can buy the stock at $50 instead. Problem 4.2. このようなオプションが市場にあるときに、どんな売買が考え られますか?あなただったら、どんな風に売買しますか? At time 0, how can we determine the price of this option? Or, how much can we pay for this option? 直感的には、もし株価が上昇する確率が高ければ、このオプションの価 格は低くなるはずです。 Problem 4.3. なぜですか? 24 4.1. オプションの売買 25 この直感は間違っています。 実際には、驚くべきことに、株価の上下にかかわらず、このオプションの 価格は、次のようになるべきです。 100 − 50(1 + r)−1 . (4.1) 3 We have a couple of ways to formulate the option price. However, we will follow the simplest way. c= 4.1.1 不確定性を消去せよ We will see how we can avoid risk of the up and down of stock price. Let us suppose at time 0 we buy x unit of stocks and y unit of options. We allow both x and y to be negative. For example, when x < 0, the position of this stock is short, or we are in the position to selling the stocks without actually having the stocks. Likewise, when y <, we are actually selling the option. Wonderful world of free trade. At time 0, the cost of this investment is 100x + cy, where c is the price of the option. Of course, the value of this investment will be varied according to the fluctuation of the stock price. However, we can avoid this risk. At time 1, the option is worthless if X1 = 50, since in that case, you can buy the stock at $50 which is far less expensive than exercising the option obtaining the stock at $ 150. On the other hand, if X1 = 200, you can use the option to buy the stocks at $150. Moreover, you can sell the stocks at the market price and obtain the difference $ 50 immediately. Thus, the value of the investment V1 at time 1 depends on the value of X1 and is { 200x + 50y, if X1 = 200, V1 = (4.2) 50x if X1 = 50. So, if the equation 200x + 50y = 50x, (4.3) holds regardless of the stock price X1 , the value of the investment V1 can be fixed. By solving (4.3), we have y = −3x, which means that either (4.4) CHAPTER 4. 儲け話 26 • by buying x stocks and selling y option at time 0, or • by selling x stock and buying y option at time 0, we can avoid the risk of stock value fluctuation, and obtain V1 = 50x at time 1. このようにすることで、オプション売買は、株価の不確定性を消去する ことができるのです。 Problem 4.4. 他には、株価の不確定性を無くす方法はありますか? 4.1.2 うまい儲け話はありません Now we evaluate the overall investment performance. Suppose we borrow the money needed for this investment. At time 0, we need to invest the money 100x + cy. (4.5) So, we will borrow the money form a bank. At time 1 we need to pay its interest, but at the same time we earn the money V1 from our investment. Thus, overall gain G1 is G1 = V1 − (100x + cy)(1 + r). (4.6) Now from the argument in Section 4.1.1, if we adopt the investment strategy such as in (4.4), we know that we can avoid the risk and V1 = 50x. Thus, G1 = 50x − (100x + 3xc)(1 + r) = (1 + r)x{3c − 100 + 50(1 + r)−1 }. (4.7) さて、もうける方法を教えましょう。Consider the following situations: 1. Suppose 3c > 100 − 50(1 + r)−1 . Set some positive x, then G1 > 0. That means our investment guaranteed to be profitable. Actually, in this case, the option price c satisfies c> 100 − 50(1 + r)−1 . 3 (4.8) Compared to (4.1), the option price is expensive. So, we can exploit the situation by selling the options in short. 4.1. オプションの売買 27 2. Suppose 3c < 100 − 50(1 + r)−1 . In this case by setting negative x, we can also get positive gain G1 at time 1. In this case c< 100 − 50(1 + r)−1 , 3 (4.9) which means the options is being selling at a bargain. Thus, buying options, you can earn money, while hedging the risk of stock price drop by stock on spot. 3. Suppose 3c = 100 − 50(1 + r)−1 . The option price satisfies (4.1). We’re sorry but you cannot obtain easy money. Of course, in some temporary cases, we may experience case 1 and 2. We call these sure-win situation arbitrage. However, for example, if the option price is expensive compared to (4.1), as soon as many investors and the dealer of options realized that they can exploit it by selling the option, everybody starts to sell the options. Thus, in the end the price of the options will drop. If the option price is lower than (4.1), everybody wants to buy them, and eventually the option price will soar. Hence the price of option will converge to (4.1). ここで、次のような思考実験を考えてみましょう。オプション価格が(適 正な価格である)c = {100 − 50(1 + r)−1 }/3 よりも高くなったとします。上 のケース1が成立しています。すなわち、すると、ケース1に書いてある方 法で、確実にもうけることができます。 Problem 4.5. もし、あなたが、そのことに気がついたらどうしますか? 当然、オプションの「空売り」です。同時に、現物の株を適正な数だけ 買っておけば、儲かることは、確実です。このことに気がつくのは、あなた だけでしょうか?市場には、あなた以外にも、このテキストを読んでいる人 がいるかもしれません。(実際には、少し考えれば、誰でも、同じ結論に達 することでしょう。) 市場全部が、オプションの空売りに走ることでしょう。これは、オプショ ン価格の下落を意味します。 逆に、オプション価格が(適正な価格である)c = {100 − 50(1 + r)−1 }/3 よりも低い場合にも、同じような議論が成立します。 このように、この仮想市場が適正に運営されていれば、オプションの価 格は c = {100 − 50(1 + r)−1 }/3 以外には、あり得ないのです。 CHAPTER 4. 儲け話 28 4.2 理想的な値動き さて、この議論を別の角度からみてみましょう。今度は、逆に、市場にとっ て望ましい値動きとは何かを探ってみます。 Assume we need to estimate the price of a call option of a stock. Suppose the initial price of the stock is s. After a week, the stock can be either a > s or b < s. Let C be the price of call option buying the stock at strike price K. We can either buy or sell the stock option with C. We need to find out appropriate value of C, which gives no sure-win. We have the following two choices: • buy (or sell) stock, • buy (or sell) option. Let p = P{X1 = a} and 1 − p = P{X1 = b}. Suppose we buy one stock at spot. Let r be the interest rate. Then, the present value of this investment R1 is R1 = X1 (1 + r)−1 − s (4.10) taking into account of the initial payment s. Thus, the expected return of this investment is E[R1 ] = p{a(1 + r)−1 − s} + (1 − p){b(1 + r)−1 − s} a−b b =p + − s. 1+r 1+r (4.11) 実は、確実な儲け話を市場から追放するためには、その商品から得られ る利益の期待値が0である必要があるのです。 By setting E[R1 ] = 0, we have p= s(1 + r) − b . a−b (4.12) Thus, given that the expected return of this investment R1 equals to zero, p should should have the value like in (4.29). Next, suppose we buy one option. The present value of the return of this investment Q1 is { (a − K)(1 + r)−1 −C if X1 = a, Q1 = (4.13) −C if X1 = b. 4.2. 理想的な値動き 29 Thus, we have E[Q1 ] = p(a − K)(1 + r)−1 −C (4.14) Assuming (4.29), we have E[Q1 ] = (a − K){s − b(1 + r)−1 } −C a−b (4.15) To guarantee to have no sure-win, E[Q1 ] also has to be zero. Thus, C= (a − K){s − b(1 + r)−1 } a−b (4.16) Hence, by Theorem 4.2, we don’t have sure-win if the option price is (4.33). Remark 4.1. The option price (4.33) coincides with (4.1). Example 4.1 (Risk-neutral probabilities). 我々の仮想市場に戻って、考えてみ ましょう。 Assume the same setting in Section 4.1. Given no arbitrage, the stock price must have p = P{X1 = 200} 100(1 + r) − 50 = 150 2r + 1 = , 3 from (4.29). Thus, E[X1 ] = 200p + 50(1 − p) = 50 + 150p 2r + 1 = 50 + 150 3 = 100(1 + r). This means that the only “rational” probability structure for the future stock price should has the same expected present value. Of course, given that this probability structure, we have the option price, c= 100 − 50(1 + r)−1 . 3 CHAPTER 4. 儲け話 30 ここで、この section で考えたことをまとめておきましょう。 まず、オプションの売買を考えることで、現物の株が持つ不確定性を除 去できることがわかります。不確定性を除去した上で利益が出るのなら、確 実に儲かるスキームを手にしたことになります。もし、これが可能なら、市 場でオプションの価格が適正な(儲からない)価格に修正されることでしょ う。したがって、オプションの価格は、不確定性を除去した場合の利益0に なるような価格になります。これは、別の見方をすると、利益0になるよう な株価の変動を考えることができ、その場合、やはり、そのオプションから 得られる利益が0になるように考えることで、オプションの価格が算出でき るということです。 4.3 Duplication and Law of One Price The other way to set the option price is following law of one price. Theorem 4.1 (law of one price). Consider two investments and their costs c1 and c2 respectively. If the present values of their payoff are same, then either 1. c1 = c2 , or 2. there is an arbitrage opportunity. Proof. Suppose c1 < c2 , then we can buy c1 and selling c2 , and obtain money. Corollary 4.1. If there is no arbitrage, the price of the investments with the same return should be identical. Now using Theorem 4.1, we will derive the option cost as in the same situation as in Section 4.1 by considering two different investments: 1. Buy a call option. The payoff P1 at time 1 is { 50 if the price of stock is $200, P1 = 0 if the price of stock is $50. (4.17) 2. Borrow x from bank, and buy y shares. The initial investment is 100y − x. At time 1 you need to pay back (1 + r)x, while selling the y share. Thus, the payoff Q1 is { 200y − x(1 + r) if the price of stock is $200, Q1 = (4.18) 50y − x(1 + r) if the price of stock is $50. 4.4. ARBITRAGE THEOREM 31 By choosing appropriate x and y, we have the same pay off P1 = Q1 for these two investment, i.e., 200y − x(1 + r) = 50, 50y − x(1 + r) = 0, (4.19) (4.20) or 1 y= , 3 x= 50 . 3(1 + r) (4.21) (4.22) In this case, two investments have the identical payoff. In other word, we could duplicate the option by buying stocks at spot and borrowing money from bank. Thus, using Theorem 4.1, the initial costs of two investments are identical. Thus the option price c is c = 100y − x = 100 − 50(1 + r)−1 , 3 (4.23) which is identical to (4.1). 4.4 Arbitrage Theorem Here’s the third way to decide the option price. Let J be an experiment (of a gamble?). The outcome of J can be {1, ..., m}. Let ri ( j) be the return fuction, that is, when we bet a unit money on wager i, if the experiment result is J = j, we can get ri ( j). Note that the amount of bet can be negative. We can bet xi on wager i. We call the vector x = (x1 , ..., xn ) the betting strategy. If we bet on the strategy x, we can get the amount of money n ∑ xiri(J). (4.24) i=1 Definition 4.1 (risk neutral probability). The probability measure is said to be risk neutral when the expectation of outcome on all bets is fair. CHAPTER 4. 儲け話 32 Theorem 4.2 (arbitrage theorem). Either there exists risk neutral probability, or there is the sure-win strategy (arbitrage). More precisely, either one of the followings true. 1. There exists a probability vector p = (p1 , ..., pm ) for which m E[ri (J)] = ∑ p j ri( j) = 0 for all wager i, (4.25) j=1 where we regard p j = P{J = j}. 2. There is a betting strategy x = (x1 , ..., xn ) for which n ∑ xiri( j) > 0 for all outcome j. (4.26) i=1 Assume we need to estimate the price of a call option of a stock. Suppose the initial price of the stock is s. After a week, the stock can be either a > s or b < s. Let C be the price of call option buying the stock at strike price K. We can either buy or sell the stock option with C. We need to find out appropriate value of C, which gives no sure-win. We have the following two choices: • buy (or sell) stock, • buy (or sell) option. Let p = P{X1 = a} and 1 − p = P{X1 = b}. Suppose we buy one stock at spot. Let r be the interest rate. Then, the present value of this investment R1 is R1 = X1 (1 + r)−1 − s (4.27) taking into account of the initial payment s. Thus, the expected return of this investment is E[R1 ] = p{a(1 + r)−1 − s} + (1 − p){b(1 + r)−1 − s} b a−b + − s. =p 1+r 1+r (4.28) By setting E[R1 ] = 0, we have p= s(1 + r) − b . a−b (4.29) 4.4. ARBITRAGE THEOREM 33 Thus, given that the expected return of this investment R1 equals to zero, p should should have the value like in (4.29). Next, suppose we buy one option. The present value of the return of this investment Q1 is { (a − K)(1 + r)−1 −C if X1 = a, Q1 = (4.30) −C if X1 = b. Thus, we have E[Q1 ] = p(a − K)(1 + r)−1 −C (4.31) Assuming (4.29), we have E[Q1 ] = (a − K){s − b(1 + r)−1 } −C a−b (4.32) To guarantee to have no sure-win, E[Q1 ] also has to be zero. Thus, (a − K){s − b(1 + r)−1 } C= a−b (4.33) Hence, by Theorem 4.2, we don’t have sure-win if the option price is (4.33). Remark 4.2. The option price (4.33) coincides with (4.1). Example 4.2 (Risk-neutral probabilities). Assume the same setting in Section 4.1. Given no arbitrage, the stock price must have p = P{X1 = 200} 100(1 + r) − 50 = 150 2r + 1 = , 3 from (4.29). Thus, E[X1 ] = 200p + 50(1 − p) = 50 + 150p 2r + 1 = 50 + 150 3 = 100(1 + r). CHAPTER 4. 儲け話 34 This means that the only “rational” probability structure for the future stock price should has the same expected present value. Of course, given that this probability structure, we have the option price, c= 4.5 References reference here! 4.6 Exercises Exercise 4.1. Something here! 100 − 50(1 + r)−1 . 3 Chapter 5 Black-Scholes Formula 5.1 Risk-neutral Tree Binomial Model We show the tree binomial process introduced in Section 3.2 can be derived form arbitrage theorem. This is the process we assume for the stock dynamics. Theorem 5.1 (Risk-neutral tree binomial process). Consider the stock price on the discrete time. Let r be the interest rate, and let Sn be the stock price at time n and satisfies the following special dynamics: { uSn−1 , Sn = dSn−1 , (5.1) where we assume d < (1 + r) < u. If there is no arbitrage opportunity, then the process Sn should be a tree binomial process with the probability of up is p = (1 + r − d)/(u − d). Proof. Let Xn be the indicator of “up”s of stock price at time n, i.e., { 1 up at n, Xn = 0 down at n, (5.2) Note that (X1 , X2 , . . . , Xn ) determines the stock price Sn . By Arbitrage Theorem (Theorem 4.2), in order to avoid arbitrage, the expected return of all bet is equal to zero. 35 36 CHAPTER 5. BLACK-SCHOLES FORMULA First, let us consider an investment scheme. The stock price data up to time n − 1 are used only for the observation. According to some rule, we decide to buy stock or not. More precisely, if (X1 , X2 , . . . , Xn−1 ) = (x1 , x2 , . . . , xn−1 ), (5.3) we buy the stock at time n − 1 by borrowing money from a bank, and sell it at time n. (Isn’t this fairly common rule?) Let α = P{(X1 , X2 , . . . , Xn−1 ) = (x1 , x2 , . . . , xn−1 )}, p = P{Xn = 1|(X1 , X2 , . . . , Xn−1 ) = (x1 , x2 , . . . , xn−1 )}. (5.4) (5.5) According to the stock price change, the gain of this investment differs. By conditioning the event (X1 , X2 , . . . , Xn−1 ), we can get the expected gain at time n of this investment E[Gn ]: E[Gn ] = αE[profit from buying the stock] + (1 − α)0, (5.6) since we avoid buying stock with probability 1 − α. The probability of stock rise is p, so E[profit from buying the stock] = puSn−1 + (1 − p)dSn−1 − (1 + r)Sn−1 , (5.7) since we need to pay the interest for the money borrowed from the bank. Thus, E[Gn ] = α{puSn−1 + (1 − p)dSn−1 − (1 + r)Sn−1 }. (5.8) Thus, setting the expected gain to be zero, we have 0 = E[Gn ] = α{puSn−1 + (1 − p)dSn−1 − (1 + r)Sn−1 }, (5.9) or, p = P{Xn = 1|(X1 , X2 , . . . , Xn−1 ) = (x1 , x2 , . . . , xn−1 )} = 1+r−d , u−d (5.10) which is independent of our specific rule (x1 , x2 , . . . , xn−1 ). This means that Xn is independent of (X1 , X2 , . . . , Xn−1 ). Accordingly, using inductive arguments, we conclude that (X1 , X2 , . . . , Xn ) are independent. Thus, the process Sn is a tree binomial process. 5.2. OPTION PRICE ON THE DISCRETE TIME 37 5.2 Option Price on the Discrete Time Definition 5.1 (Strike price and expiration time). Let Sn be the price of a stock at time n. Consider an option that we can buy a stock at the price K at time n. The value K is called the strike price and n is called the expiration time of the option. Theorem 5.2 (Option price on binomial process). If there is no arbitrage opportunity, the option price C should be C = (1 + r)−n E[(Sn − K)+ ], (5.11) where Sn is defined and proved to be the risk-neutral binomial tree process in Theorem 5.1. Proof. We need to find out appropriate value of C, which gives no sure-win. By Theorem 5.1, we know that Sn should be the risk-neutral binomial process when there is no arbitrage opportunities. Suppose we buy one option at cost C. The option is worthless if the stock price Sn is less than K. On the other hand, if Sn is larger than the strike price K, then the value of this option is Sn − K, since we can sell the stock obtained by exercising the option at the market price Sn . Thus, the payoff of the option at time n is (Sn − K)+ , (5.12) where x+ = max(x, 0). Thus, the present value of the expected return of this investment R is E[R] = (1 + r)−n E[(Sn − K)+ ] −C. (5.13) By Arbitrage Theorem (Theorem 4.2), this should be zero, or we have an arbitrage. Thus, C = (1 + r)−n E[(Sn − K)+ ]. (5.14) 5.3 Black-Scholes Model Now we proceed to the continuous time model. Let S(t) be a stock price at time t. We assume the stock price S(t) is a geometric Brownian motion with the drift 38 CHAPTER 5. BLACK-SCHOLES FORMULA µ and the volatility σ as defined in Section 3.1. As noted in Theorem ??, if we divide t into n interval, all geometric Brownian motion can be approximated by discrete-time binomial tree process with { uSn−1 with probability p, Sn = (5.15) dSn−1 with probability 1 − p, where d = e−σ √ ∆ √ , u = eσ ∆ , 1( µ√ ) p= 1+ ∆ . 2 σ (5.16) (5.17) (5.18) and ∆ = t/n is the time interval. However, by Theorem 5.1. if we assume there is no arbitrage, the binomial process should be risk-neutral with p = P{up} = 1 + rt/n − d , u−d (5.19) since the nominal interest rate is rt/n. Using the Taylor expansion of the exponential function, we have √ √ σ 2t d = e−σ t/n = 1 − σ t/n + + O((t/n)3/2 ), 2n √ √ σ 2t u = eσ t/n = 1 + σ t/n + + O((t/n)3/2 ), 2n (5.20) (5.21) Using these in (5.19), we have ( ) 1 r − σ 2 /2 √ p≈ 1+ t/n , 2 σ (5.22) for a large n. Comparing this to (5.18), we can conclude that the original geometric Brownian motion has to have the drift µ = r − σ 2 /2, if we assume there is no arbitrage. Thus, we have the following theorem. (5.23) 5.3. BLACK-SCHOLES MODEL 39 Theorem 5.3 (Risk neutral geometric Brownian motion). Let r be the nominal interest rate. If there is no arbitrage, the geometric Brownian motion representing stock price dynamics should have the drift µ = r − σ 2 /2 and the volatility σ . This process is called the risk neutral geometric Brownian motion. Further, we can prove the famous Black-Scholes formula in the simple form. Theorem 5.4 (Black-Scholes formula). Consider a call option of the stock with strike price K and the expiration time t. Let C be the price of this option. If we assume there is no arbitrage opportunity, then we have C = e−rt E[(S(t) − K)+ ], (5.24) where S(t) is the geometric Brownian motion with the drift µ = r − σ 2 /2 and the volatility σ . Proof. Since we assume no arbitrage, the expected gain of all bets, including purchase of the option, should be zero. Thus, supposing to buy a option with cost C, we have E[gain at time t] = E[(S(t) − K)+ −Cert ] = 0, (5.25) which results (5.24). Remark 5.1. Since the term e−rt represents drawing back to present value, (5.24) is nothing but the present value of expectation of option payoff. Although, (5.24) is simple for our eyes, it is hard to evaluate. Corollary 5.1 (Original Black-Scholes formula). Given S(0) = s, the option price C is obtained by C = e−rt E[(seW − K)+ ] −rt = sΦ(ω) − Ke √ Φ(ω − σ t), (5.26) (5.27) where W is a normal random variable with N((r − σ 2 /2)t, σ 2t), Φ(x) is the distribution function of the standard normal random variable and ω= rt + σ 2t/2 − log(K/s) √ . σ t (5.28) 40 CHAPTER 5. BLACK-SCHOLES FORMULA To prove this Corollary, we need the following Lemmas. Note that S(t) can be expressed in S(t) = seW = se (r−σ 2 /2)t+σ √ tZ (5.29) , (5.30) where Z is the standard normal random variable. Lemma 5.1. By using the representation in (5.29), the following two set of events are considered to be equivalent: √ { } {S(t) > K} ⇐⇒ Z > σ t − ω . (5.31) Proof. By (5.29), we have { √ (r−σ 2 /2)t+σ tZ {S(t) > K} ⇐⇒ e K > s } . (5.32) Since log is increasing function, we have } { } { √ K log(K/s) − (r − σ 2 /2)t (r−σ 2 /2)t+σ tZ √ > ⇐⇒ Z > e s σ t √ { } ⇐⇒ Z > σ t − ω , where we used the fact: √ log(K/s − (r − σ 2 /2)t √ . σ t −ω = σ t Lemma 5.2. Let I be the indicator such as { 1 if S(t) > K, I= 0 if S(t) ≤ K. (5.33) (5.34) Then, √ E[I] = P{S(t) > K} = Φ(σ t − ω). (5.35) 5.3. BLACK-SCHOLES MODEL 41 Proof. Using Lemma 5.1, we have E[I] = P{I = 1} = P{S(t) > K} √ = P{Z > σ t − ω} √ = P{Z < ω − σ t}. Lemma 5.3. e−rt E[IS(t)] = sΦ(ω). (5.36) √ Proof. Set α = σ t − ω. Since I and S(t) can be regarded as a function of the random variable Z, we have [ √ ] (r−σ 2 /2)t+σ tZ E[IS(t)] = E 1{Z>α} se ∫ ∞ = = ∫α∞ α se(r−σ 2 /2)t+σ x √ t se(r−σ 2 /2)t+σ x √ t ∫ dP{Z ≤ x} 2 1 √ e−x /2 dx 2π √ ∞ 2 2 1 e−(x −2σ x t)/2 dx = √ se(r−σ /2)t α 2π √ √ Since x2 − 2σ x t = (x − σ t)2 − σ 2t, we have ∫ √ 2 ∞ 1 = √ sert e−(x−σ t) /2 dx α 2π ∫ ∞ 2 1 e−y /2 dy, = √ sert −ω 2π √ where we put y = x − σ t. Since the integrant is indeed the density of standard normal distribution, we have = sert P{Z > −ω} = sert Φ(ω), by the symmetry of Φ. 42 CHAPTER 5. BLACK-SCHOLES FORMULA Proof of Corollary 5.1. Since (S(t) − K)+ = I(S(t) − K), by Theorem 5.4 and , we have C = e−rt E[(S(t) − K)+ ] = e−rt E[I(S(t) − K)] = e−rt E[I(S(t)] − Ke−rt E[I] √ = sΦ(ω) − Ke−rt Φ(σ t − ω), where we used Lemma 5.2 and 5.3. 5.4 Examples of Option Price via Black-Scholes Formula Example 5.1 (Option price via Black-Scholes). Suppose the current price of a stock s = S(0) = 30. The yearly interest rate r = 0.08 and the volatility σ = 0.20. Let C be the price of call option with the strike price K = 36 and its expiration date is 3 month from now. We will estimate C. Then, t = 1/4 and ω in (5.28) is rt + σ 2t/2 − log(K/s) √ σ t 0.08 · 1/4 + 0.22 · 1/4 · 1/2 − log(36/30) √ = 0.2 1/4 ≈ −1.57322. ω= Thus, by (5.27) in Corollary 5.1, we have √ C = sΦ(ω) − Ke−rt Φ(ω − σ t), √ = 30 · Φ(−1.57322) − 36e0.08·1/4 Φ(−1.57322 − 0.2 1/4) = 0.0715115 Thus, the price of this option is 0.07. Table 5.1 shows the return of stock and option purchase. You can get more profit when the stock price rises. However, by Lemma 5.2, √ (5.37) P{S(t) > K} = Φ(σ t − ω) = 0.0471424. 5.5. REFERENCES 43 Table 5.1: Return when the stock price rises value at 0 value at 1 return Stock 30 40 4/3 Option 0.07 4 4/0.07 With high probability you will lose your money with this option. Thus, you can understand that option is high risk and high return. In Figure 5.1, we show the simulation of the stock price dynamics. Your opinion? 40 35 30 25 20 40 60 80 100 Figure 5.1: Example of risk-neutral geometric brownian motion with the volatility σ = 0.2 starting from S0 = 30, when the interest rate r = 0.08. Here we used the tree-binomial approximation with the interval ∆ = 0.01. 5.5 References reference here! 5.6 Exercises Exercise 5.1. Estimate the value of following call options, given the current price of a stock s = S(0) = 30, and compare the result with Example 5.1. What can you 44 CHAPTER 5. BLACK-SCHOLES FORMULA say about it. 1. The yearly interest rate r = 0.08 and the volatility σ = 0.40. 2. The yearly interest rate r = 0.04 and the volatility σ = 0.20. Note that e0.1 = 1.10517 and e0.05 = 1.05127. Exercise 5.2. Give two examples where buying options is more appropriate than buying its stocks. Bibliography [1] Hiroshi Toyoizumi. Applied probability and mathematical finance theory. http://www.f.waseda.jp/toyoizumi/classes/classes.html, 2008. 45