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演習編 - 金沢工業大学

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演習編 - 金沢工業大学
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント
演習編(第 9 版)
Web 版
金 沢 工 業 大 学
情報マネジメント研究所
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
目次
演習編目次
第 1章 製 品 開 発 と図 面 管 理
1頁
1.1 顧 客 要 望 の製 品 仕 様 決 定 への反 映 法
1.2 織 布 機 械 開 発 事 例
1.2.1 開 発 の背 景
2頁
1.2.2 開 発 の方 針
2頁
1.2.3 製 品 系 列 の分 析
2頁
1.2.4 政 治 的 ・経 済 的 ・社 会 的 ・個 人 的 なものからの情 報 収 集
3頁
1.2.5 ユーザー・ニーズ・アセスメント(問 題 掲 示 )
5頁
1.2.6 ユーザー・ニーズ・アセスメントとテクノロジー・アセスメント
6頁
1.2.7 技 術 情 報 の収 集
7頁
1.2.8 基 本 仕 様 決 定
10 頁
1.2.9 織 機 開 発 事 例 の討 議 ヒント
14 頁
1.3 布 団 乾 燥 機 開 発 事 例
1.3.1 開 発 事 例 の融 合 モデルによる記 述
15 頁
1.3.2 布 団 乾 燥 機 開 発 事 例 の討 議 ヒント
21 頁
22 頁
1.4 図 面 管 理 システム
1.5 部 品 表 の作 成
1.5.1 部 品 表 の構 成
28 頁
1.5.2 設 計 用 部 品 表 の作 成 方 法
29 頁
1.5.3 製 造 用 部 品 表 (工 程 表 )の作 成 方 法
34 頁
1.5.4 部 品 表 データの IT 治 具 (V-FMS21(i))へのインポートの方 法
38 頁
39 頁
参考文献
第 2章 部 品 表 と工 程 管 理
2.1 ファミリーツリー分 析 演 習
2.1.1 演 習 課 題
40 頁
2.1.2 塗 装 機 械 開 発 事 例
46 頁
2.2 生 産 計 画 と生 産 統 制 演 習
2.2.1 3つのマスターの作 成 方 法
52 頁
2.2.2 生 産 計 画 と生 産 統 制 演 習
58 頁
2.3 レイアウトプランニング演 習
2.3.1 演 習 課 題
72 頁
2.3.2 演 習 課 題 例 の条 件
72 頁
i
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
目次
76 頁
2.3.3 生 産 計 画 とレイアウト計 画 演 習
2.4 バッファーシステム設 計 演 習
2.4.1 自 動 倉 庫 のバッファー機 能 設 計 演 習 課 題
77 頁
2.4.2 各 工 程 に専 有 バッファースペース(Station)を設 置 する場 合 の効
80 頁
果解析演習
2.5 ロットサイズとスケジューリング
2.5.1 運 搬 ロットサイズおよび生 産 ロットサイズの影 響
84 頁
2.5.2 生 産 ロットサイズに伴 う段 取 時 間 の影 響
90 頁
2.6 隘 路 工 程 (ネック工 程 )改 善 演 習
2.6.1 演 習 課 題 の条 件
95 頁
2.6.2 IT 治 具 の操 作 方 法
96 頁
2.6.3 演 習 結 果
96 頁
2.6.4 段 取 時 間 マトリックによる段 取 時 間 短 縮 法
100 頁
105 頁
参考文献
第 3章 業 務 統 合 化 管 理
3.1 標 準 化 と改 善 活 動 の統 合 化 演 習
3.1.1 A 社 の沿 革
106 頁
3.1.2 目 経 管 の背 景
107 頁
3.1.3 目 経 管 のモデルとそのシステム
108 頁
3.2 原 価 管 理 演 習
3.2.1 コスト破 壊 活 動 の背 景
110 頁
3.2.2 コスト破 壊 (CD45)活 動 体 系
110 頁
3.2.3 コスト破 壊 の事 例
113 頁
参考文献
115 頁
索 引
116 頁
ii
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
演習編
第1章 製品開発と図面管理
1.1 顧 客 要 望 の製 品 仕 様 決 定 への反 映 法
以 下 に新 製 品 開 発 事 例 を図 1.1 に示 す融 合 モデルに基 づき整 理 した資 料 が掲 載 され
ています。この資 料 を読 んで以 下 の事 項 を検 討 してください。
(1) 事 例 の各 アイテムの内 容 で特 に興 味 を持 ったアイテムとその理 由 を述 べてください。
なお、各 事 例 の最 後 にある「討 議 のヒント」を参 考 にしてください。
(2) あなたが選 んだアイテムについてあなた自 身 がその開 発 の担 当 者 と仮 定 して、事 例 の
内 容 を説 明 した上 で、その決 定 内 容 と決 定 に至 る過 程 についての問 題 点 を指 摘 して
ください。
(3) 指 摘 した問 題 点 について、改 善 案 を提 示 してください。
図 1.1 新 製 品 開 発 のための融 合 モデル
1
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
1. 2 織 布 機 械 開 発 事 例 [ 1 ]
1.2.1 開 発 の背 景
I 社 は 1921 年 、繊 維 機 械 の部 品 製 造 ・販 売 会 社 として創 業 した。戦 時 中 は海 軍 水 中
兵 器 を製 造 していたが、戦 後 は繊 維 機 械 の生 産 を再 開 し、紡 績 機 械 コンプリートメーカー
の体 制 を確 立 した。1962 年 から欧 州 繊 維 機 械 メーカーと技 術 提 携 を開 始 し、1964 年 に
初 めての織 布 機 械 (以 下 、織 機 と略 す)として A を開 発 し、販 売 し始 めた。当 時 、この A は
主 流 であったシャットル織 機 (注 1)ではなく、市 場 拡 大 が予 想 されたレピア織 機 (注 2)であ
った。その後 、自 社 技 術 で織 機 を開 発 しようとする気 運 が高 まるが、高 速 製 織 の整 経 技 術
が未 完 成 と判 断 し、既 存 技 術 で B を開 発 した。その後 、整 経 技 術 の状 況 を見 て C の開 発
が始 まった。
一 方 、提 携 技 術 を基 礎 とする A の後 継 機 としては A の改 善 要 望 を取 り入 れた A1 が新
たに開 発 されている。1987 年 頃 から自 社 技 術 によって開 発 された C の回 転 数 が低 いこと
から、新 しい機 種 の開 発 が検 討 され始 めた。この頃 、レピア織 機 とエアジェット織 機 の2つ
の機 種 の開 発 が検 討 されていたが、エアジェット(注 3)織 機 は I 社 において開 発 が中 断 さ
れていたものであった。
1.2.2 開 発 の方 針
表 2.1 開 発 の背 景 と開 発 ポリシー(方 針 )
ファクター
技術
マーケットチャンネル*
ユーザー
セールスポイント
内容
自 社 のレピア織 機 を中 心 とする既 存 技 術 を活 用 する
自 社 のマーケットチャンネルを利 用 する。
綿 関 係 を織 るユーザーを対 象 とする。
よい 布 を 織 り、回 転 数 の水 準 を 高 めるとともに 新 し くセー ルス
ポイントを増 やす。
*製 品 が生 産 者 からユーザーに渡 るまでの経 路 のこと
2.3 製 品 系 列 の分 析
表 2.2 に I 社 の織 機 部 門 の製 品 系 列 分 析 結 果 を示 す。
この表 に基 づき、以 下 の意 思 決 定 が行 なわれた。
(1) レピア織 機 の市 場 占 有 率 は低 迷 状 況 であった。エアジェット織 機 とシャトル織 機 の出
荷 台 数 は零 である。
(2) レピア織 機 はエアジェット織 機 に比 べて汎 用 性 に富 むという技 術 的 な利 点 がある。
注 1 : 緯 糸 を通 すのに糸 を巻 いた物 を船 のようなものにいれ、横 から飛 ばして緯 糸 を通
す方 式 。
注 2 : 緯 糸 を通 すのに片 側 からまん中 まで持 って行 ってやり、反 対 側 からむかえにきた
ものを渡 し、引 っ張 る方 式 。
注 3 : 緯 糸 が流 れるように空 気 の流 れをつくり、そこに糸 を流 す方 式 。
2
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
表 2.2
会社の製品系列分析
製 品 グループの市 場 占 有 率
自社
市場全般
高
低
エアジェット
高
レピア(全 40 社 )
製 品 グループの
中
成長率
シャットル
低
○:市 場 規 模 を表 す。
→:5年 後 の予 測 を意 味 する
():競 争 相 手 の数 を示 す
(3) レピア織 機 市 場 を対 象 に製 品 開 発 を行 う。
1.2.4 政 治 的 ・経 済 的 ・社 会 的 ・個 人 的 なものからの情 報 収 集
(1) ユーザー・ニーズの調 査
レピア織 機 のユーザーの動 向 を明 らかにするためにユーザー分 類 を表 2.3 に示 す。ユ
ーザー分 類 に基 づき情 報 収 集 を行 った結 果 、以 下 の情 報 を得 た。
①
使 用 糸 について天 然 と合 繊 の要 求 がある、
②
ユーザーの合 繊 の出 荷 額 が増 えている、
③
国 内 市 場 は「柔 らかい布 を織 りたい」という要 求 が多 い
表 2.3 既 存 ユーザーの細 分 化
ユーザーの分 類 基 準
分類項目
使用糸
天然
合繊
技術力
新技術対応
既存技術対応
価格帯
広い
狭い
地 域
国内
国外
(2) 競 合 他 社 製 品 の情 報 収 集
自 社 製 品 C のセールスポイント、織 機 に対 する一 般 的 な要 求 事 項 および方 針 に基 づき
レピア織 機 市 場 の競 合 他 社 製 品 との比 較 評 価 項 目 を決 定 する。
まず、製 品 C のセールスポイントの評 価 項 目 を整 理 したものが表 2.4 である。
3
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
表 2.4 製 品 C のセールスポイントと評 価 尺 度 (技 術 特 性 )
製 品 C のセールスポイント
*レピアバンドガイド無 しでの超 高 速 緯 入 を可 能 にする
*緯 入 の汎 用 性 が広 い
*テープ寿 命 の延 命
評価項目
製織範囲
保全性
*電 動 送 出 の採 用
エレクトロニクス化
*特 殊 電 磁 クラッチの採 用 により、起 動 特 性 を高 めスターティング
マークを解 消 する。
織欠点
*超 高 速 製 織 の追 従 性 がよい
*ビームフェラ採 用 でビーム張 力 を一 定 にしている
上 記 の情 報 に以 下 の情 報 が加 わり、最 終 的 な意 思 決 定 がされた。
①
織 機 に対 する一 般 的 な要 求 事 項 は常 用 回 転 数 、緯 入 安 定 度 、操 作 性 、価 格 であ
る。
②
「よい布 を織 る」は風 合 で評 価 する。回 転 数 の水 準 向 上 はポリシーとして上 がってい
る。
以 上 の情 報 から、他 社 競 合 製 品 との比 較 評 価 項 目 は以 下 の9項 目 に決 定 された。
Ⅰ)製 織 範 囲 、Ⅱ)保 全 性 、Ⅲ)エレクトロニクス化 、Ⅳ)緯 欠 点 、
Ⅴ)常 用 回 転 数 、Ⅵ)緯 入 安 定 度 、Ⅶ)操 作 性 、Ⅷ)価 格 、Ⅸ)風 合
(3) 比 較 対 象 製 品 の自 社 製 品 と他 社 製 品 の決 定
①
自 社 製 品 の決 定
レピア織 機 市 場 の自 社 製 品 と競 合 製 品 の特 徴 を比 較 分 析 するための自 社 製 品 を決 定
するために、自 社 内 既 存 製 品 とユーザー情 報 を整 理 したものを表 2.5 に示 す。
これらの情 報 を基 に、糸 は天 然 と合 繊 が織 れるものとして、他 社 製 品 との比 較 のための
自 社 製 品 を機 種 C に決 定 した。
表 2.5 自 社 既 存 製 品 と対 象 ユーザー
機種
②
対 象 ユーザー
A
天 然 糸 を使 用 するユーザー
A1
天 然 糸 を使 用 するユーザー
B
天 然 糸 を使 用 するユーザー
C
天 然 糸 と合 繊 を使 用 するユーザー
他 社 製 品 の決 定
レピア織 機 市 場 を対 象 に開 発 すべき製 品 の特 徴 を決 定 するための比 較 対 象 となる競
4
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
合 他 社 製 品 を決 定 するために、担 当 者 が以 下 の営 業 の情 報 に基 づき、有 力 な競 合 製 品
として T、U、V を選 んだ。
営 業 が「T はよく客 先 で有 力 な競 争 相 手 になっている」と言 っている。製 品 U、V も一
部 自 社 製 品 より優 れている項 目 がある。
(4) 競 合 製 品 の調 査
レピア織 機 市 場 の自 社 既 存 製 品 の特 徴 を明 らかにするために自 社 製 品 の競 合 製 品 に
対 する相 対 的 強 さ、弱 さを明 らかにするために、先 に定 めたレピア織 機 市 場 の有 力 競 合
製 品 3製 品 (T、U、V)に対 し、自 社 製 品 C のセールスポイント、織 機 に対 する一 般 的 な要
求 事 項 および方 針 から決 定 した項 目 で評 価 した結 果 を表 2.6 に示 す。
表 2.6 より、以 下 の評 価 結 果 が結 論 付 けられた。
①
自 社 製 品 C が競 合 他 社 製 品 より評 価 の高 い項 目 は以 下 の 5 項 目 である。製 織 範 囲 、
織 欠 点 、緯 入 安 定 度 、安 全 性 、風 合 。
②
自 社 製 品 C が競 合 他 社 製 品 より評 価 の低 い項 目 は以 下 の4項 目 である。常 用 回 転
数 、エレクトロニクス化 、操 作 性 、価 格 。
表 2.6 自 社 製 品 及 び競 合 製 品 の情 報
製品
決定
要因
評価項目
ー
C 製織範囲
の
セ 織欠点
ル
エレクトロ
ス
ニクス化
ポ
イ
ン 安全性
ト
緯入安定度
一
般 操作性
的
要
価格
求
事
項 常用回転数
方 風合
針
自社製品
C
T
競合製品
U
V
広い
普通
狭い
狭い
客先
営業
自社
少ない
普通
多い
多い
客先
営業
自社
普通
高い
普通
普通
展示会
客先
営業
他社
客先
営業
自社
高い
情報源
評価が高い
機種
高い
普通
普通
普通
客先
営業
自社
低い
普通
普通
普通
客先
営業
他社
高い
低い
低い
低い
客先
営業
他社
小さい
普通
大きい
大きい
展示会
客先
他社
優
普通
普通
普通
方針
自社
1.2.5 ユーザー・ニーズ・アセスメント(問 題 掲 示 )
開 発 すべきレピア織 機 の特 徴 および目 標 を以 下 の基 準 から決 定 した。
5
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
①
コストパフォーマンスを高 める。
②
市 場 動 向 に合 わせる。
③
方 針 を考 慮 する。
その際 、参 考 となった情 報 は以 下 の通 り。
①
コストパフォーマンスとして一 般 的 に最 も重 要 視 されるのは常 用 回 転 数 である。
②
市 場 動 向 は使 用 糸 に対 して、天 然 と合 繊 の両 方 が織 れるという要 求 がある。
③
市 場 動 向 は国 内 市 場 では「柔 らかい布 を織 りたい」という要 望 がある。
④
セールスポイントは「よい布 を織 る」、「回 転 数 の水 準 を上 げる」である。
以 上 の経 緯 から、織 機 開 発 の問 題 提 示 、すなわち開 発 の狙 いは以 下 のように結 論 づ
けられた。
①
織 れる布 の種 類 が多 いこと
②
柔 らかい布 を織 れること
③
回 転 数 が高 いこと
1.2.6 ユーザー・ニーズ・アセスメントとテクノロジー・アセスメント
織 れる布 の種 類 が多 いこと、柔 らかい布 を織 れること、回 転 数 が高 いことを特 徴 に持 つ
製 品 の基 本 仕 様 決 定 のための技 術 開 発 目 標 となる技 術 特 性 の開 発 、決 定 内 容 を表 2.7
に示 す。
表 2.7 織 布 機 械 の製 品 特 性 展 開 表 例 (商 品 特 性 →技 術 特 性 )
商品特性の展開
基本特性
織れる布の種
類が多いこと
衣料糸,異番手の混
織
フィラメント切れ及び
スパン糸の繊維
切れが極小
糸切れが減少
技術特性
糸自身の滑りが
少なく確実に
把持できる
繊細な糸のクサ
ビ面への食い込
みが少ない
製織範囲
糸を軽く受け
る
糸渡しミスを防止
する
製織範囲
製織範囲
性能
産業資材系の移入
が可能
フィラメント切れ及び
スパン糸の繊維
切れが極小
糸切れが減少
製織範囲
糸自身の滑りが
少なく確実に
把持できる
繊細な糸のクサ
ビ面への食い込
みが少ない
糸渡しミスを防止
する
綿,合繊に対応
できる
糸を軽く受け
る
製織範囲
製織範囲
製織範囲
布の表面に傷がつかない
FAに対応できる
織り縮みが大きい織物で
もテンブル傷を作らない
柔らかい
布が織れ
ること
回転数が高い
こと
スターティングマークを
防止する
空うちがな
い
製織範囲
再起動時の瞬時立
ち上がりを可能に
する
織欠点
運転中のみならず停止中も経
張力を一定に保つ
織欠点
機械段を防止
する
運転中のみならず停止中も経
張力を一定に保つ
織欠点
経糸われによ
るガイドマークの
影響が極小
eで
早く下糸が逃げる
織欠点
織布の左右
差がない
織欠点
同口数本の
緯入が可能
織欠点
高速製織
常用回転数
6
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
注 1 追 従 性 とは、糸 と糸 の間 の密 度 が均 一 に保 持 される性 質 を言 います。
注 2 ビームフェラーとは、経 糸 (たていと)送 出 量 を調 整 するため、ビーム径 の変 化 を探 知
する装 置 です。
注 3 常 用 回 転 数 とは 顧 客 が織 布 を作 る際 の通 常 操 業 時 の回 転 数 のことです。
注 4 衣 料 糸 とは衣 料 品 に使 う平 均 的 な糸 を指 します。 番 手 とは、糸 の太 さを表 す単 位
のことで数 字 が大 きくなればなるほど糸 は細 くなります。すなわち、異 番 手 の混 織 と
は、太 さの異 なる糸 を混 ぜて織 ることをいいます。
注 5 糸 から布 を織 る方 法 は縦 糸 に横 糸 を通 して行 く事 で成 立 ちます。この際 、横 糸 を通
す事 を糸 渡 しと言 います。
注 6 糸 自 身 の滑 りが少 なく、確 実 に把 持 できるとは、糸 はそれ自 身 滑 らかさを持 ち合 わ
せているため、機 械 が糸 を掴 むと糸 の持 つなめらかさから、また、緯 糸 (よこいと)に掛
かる張 力 に負 けて糸 をつかみ損 ねる事 があります。その際 、確 実 に、かつ正 確 に糸
を掴 むことのできる織 布 機 械 の性 質 が要 求 されます。
注 7 糸 を軽 く受 ける、とは糸 を“軽 い力 ”でグリップ(把 持 )することです。「軽 い力 」とは低
張 力 のことをいいます。
注 8 産 業 資 材 系 とは、産 業 資 材 分 野 の糸 の事 を指 します。「移 入 」とは、市 場 参 入 のこと
を指 します。
注 9 繊 細 な糸 のクサビの「クサビ」とは、織 機 の緯 糸 (よこいと)を把 持 する部 分 のことを指
します。クサビ構 造 になっていることからそう言 います。
注 10 「織 り縮 みが大 きい織 物 でもテンプル傷 を作 らない」の「織 り縮 みが大 きい織 物 」とは、
機 械 からはずして広 げると織 っていたときに見 えていた大 きさよりも小 さくなるという意
味 で、テンプルとは、製 織 に伴 う布 の急 激 な幅 の縮 みを抑 制 するための織 り前 近 く
で 布 の両 耳 (端 )を左 右 に引 っ張 るも装 置 です。
注 11 「機 械 段 」とは織 機 の不 調 から緯 糸 (よこいと)の打 込 みに粗 密 を生 じて発 生 するもの
で、規 則 正 しい段 状 に現 れるのが特 徴 です。
注 12 「経 糸 われ」とは、経 糸 (たていと)同 士 の間 隔 が広 がることです。
注 13 「織 布 の左 右 差 がない」とは織 りあがった布 が左 右 対 称 であることです。張 力 の差 異
から生 じる差 を指 します。
注 14 「同 口 数 本 の緯 入 が可 能 」とは同 じ口 (すなわち経 糸 (たていと)の開 口 動 作 1回 )に
て、数 本 の緯 入 が可 能 という意 味 です。
注 15 「早 く下 糸 が逃 げる」とは経 糸 を交 互 に開 口 する際 に、経 糸 同 士 が滑 らかに交 差 す
る様 子 を表 現 する言 葉 です。
1.2.7 技 術 情 報 の収 集
(1) 新 機 種 開 発 のための自 社 既 存 製 品 に対 する評 価 対 象 技 術 の決 定
①
目的
7
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
自 社 既 存 技 術 での開 発 の可 能 性 を検 討 するための評 価 対 象 技 術 を決 定 する。
②
意 思 決 定 ルール
織 機 の重 要 な技 術 である5大 機 構 を評 価 する。
③
情報
織 機 の 5 大 機 構 は緯 入 機 構 、開 口 機 構 、送 出 機 構 、巻 取 機 構 、筬 打 (セイダ)機 構 であ
る。
④
結論
緯 入 機 構 、開 口 機 構 、送 出 機 構 、巻 取 機 構 、筬 打 機 構 の5つの技 術 に関 して新 機 種
開 発 のための自 社 既 存 製 品 の技 術 の利 用 可 能 性 を評 価 する。
(2) 自 社 既 存 技 術 の利 用 可 能 性 の調 査
①
目的
機 種 X の開 発 に際 し、5大 機 構 について自 社 既 存 製 品 の開 発 技 術 で対 応 できるもの、
できないものを明 らかにする。
②
意 思 決 定 ルール
織 機 の重 要 な機 構 である5大 機 構 に対 して、開 発 目 標 となる技 術 特 性 の回 転 数 と操 作
性 の2項 目 についてその利 用 可 能 性 を評 価 する。
③
収 集 した情 報
表 2.8 5大 機 構 の技 術 特 性 による評 価
技術特性
技術
回転数
操作性
利用可能
利用可能
A
利用可能
利用可能
B
不可能
不可能
電気式
利用可能
利用可能
フランジ径
利用可能
利用可能
巻取機構
利用可能
利用可能
筬打機構
不明
不明
緯入機構
開口機構
送出機構
④
結論
開 口 機 構 の B についてのみ回 転 数 および操 作 性 の面 で自 社 既 存 技 術 の活 用 は難 しく、
新 たに技 術 開 発 を行 わなければならない。
(3) 自 社 他 製 品 への部 品 共 通 化 の効 果 の度 合 評 価
①
目的
コスト低 減 を目 的 とした他 製 品 との部 品 共 通 化 の効 果 を明 らかにする。
8
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
②
意 思 決 定 ルール
自 社 既 存 技 術 が利 用 可 能 な機 構 に対 して、部 品 共 通 化 の効 果 を評 価 する。
表 2.9 5大 機 構 と部 品 共 通 化 の度 合
技術
他 製 品 に対 応 する部 品 共 通 化 の度 合
緯入機構
大
開口機構
A
大
電気式
小
フランジ径
大
送出機構
巻取機構
③
大
結論
緯 入 機 構 、開 口 機 構 の A、送 出 機 構 のフランジ径 、巻 取 機 構 は他 製 品 との部 品 共 通
化 の程 度 は大 きい。
送 出 機 構 の電 気 式 は他 製 品 との部 品 共 通 化 の程 度 は小 さい。
(4) 基 本 仕 様 決 定 のためのアイデア・ジェネレーション
①
目的
新 たに開 発 すべき開 口 機 構 の B’の仕 様 を決 定 する。
②
意 思 決 定 ルール
競 合 他 社 製 品 の多 くの機 種 が採 っている形 式 またはその組 合 せを選 択 する。
③
情報
表 2.10 自 社 製 品 と競 合 製 品 の開 口 機 構 に関 する仕 様 情 報 の一 部
自 社 ・他 社 製 品
競合製品
自社製品
項目
機種
C
T
U
V
機械式
採用
不採用
採用
採用
電子式
不採用
採用
採用
採用
開口機構
B’形 式
開 口 機 構 の B’形 式 の基 本 仕 様 決 定 のアイデア・ジェネレーションの過 程 を以 下 に示
す。
9
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第1章 製品開発と図面管理
開 口 機 構 B’形 式
電子式
電 子 式 と機 械 式 の選 択 方 式
機械式
既 存 製 品 C のセ
ールスポイントの補
強 にも有 効 であ
るが既 存 技 術 の
機械式の有効
活 用 が図 れない
既 存 に機 械 式 技 術 の有 効
活 用 と共 に既 存 製 品 C の
送 出 機 構 の電 子 式 技 術 の
開 発 経 験 を活 かすことでエレ
クトロニクス化 の従 来 の弱 点 が
補 強 できる
既 存 技 術で信 頼 性
があるが、既 存 製 品
C のセールスポイントの1
つである電 子 化 技 術
の補 強 には有 効 で
無い
中止
採択
中止
図 2.1 開 口 機 構 の B’形 式 のアイデア・ジェネレーション
1.2.8 基 本 仕 様 決 定
決 定 された機 種 X の基 本 仕 様 は表 2.11 の通 りである。また、製 品 および関 連 製 品 群 を
図 2.2 に示 す。
表 2.11 製 品 X の基 本 仕 様
仕様項目
内容
呼称幅
標 準 5種
調整幅
C
回転数
400rpm
緯入機構
レピア、レピアガイド付 (着 脱 可 能 型 )
開口機構
A、B、電 子 式 、機 械 式 選 択 可 能 方 式
送出機構
電 気 式 積 極 方 式 、フランジ径 Ø800、オプション有
巻取機構
D、クロス系 、最 大 Ø500
機台高さ
E
フロアースペース
200Cm 機 -縦 ×横 (フランジ径 Ø800)
以 上 の新 製 品 開 発 過 程 の意 思 決 定 を目 的 (ゴール:G)、情 報 (インプット:I)と意 思 決
定 結 果 (アウトプット:O)に整 理 すると表 2.12 のようになります。
10
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
図 2.2 織 布 機 械 (レピア織 機 )と関 連 製 品 群
11
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第1章 製品開発と図面管理
表 2.12(1/2) 織 布 機 械 の新 製 品 開 発 過 程 における主 な意 思 決 定 内 容
アイ
テム
No.
②
モジュール
番号
1
2
3
4
I(インプット)
G(ゴール)
ターゲットとする
市 場 を決 定 する
レピア織 機 市 場
のユーザーの動 向
を明 らかにする
レピア織 機 市 場
の自 社 製 品 と競
合製品の特徴
を分 析 するため
の自社製品を
決 定 する
レピア織 機 市 場
の開 発 すべき製
品の競合他社
製 品 を決 定 する
③
5
6
レピア織 機 市 場
の競合他社製
品 との比 較 評 価
項 目 を決 定 する
レピア織 機 市 場
の自社既存製
品 の特 徴 を明 ら
かにするために
自社製品と競
合 製 品 に対 する
相 対 的 強 さ、弱
さを明 らかにす
る
情報
1987 年 当 時 の 成 長 率 、 市
場 占 有 率 、市 場 規 模 、競 争
状 態 を用 いて製 品 グループを
評 価 する
レピア織 機 市 場 の市 場 占 有
率 は低 迷 状 態 であっ た。エ ア
ジェット織 機 とシャットル織 機 の
出 荷 台 数 は 0 である
レピア織 機 はエアジェット織 機 に
比 べて汎 用 性 に富 むという
技 術 的 な利 点 を有 していた
製 品 とユーザの分 類
ユーザの合 繊 の出 荷 額 が増
えている
使 用 糸 につい ては天 然 と 合
繊 の要 求 がある
国 内 市 場 で「柔 らかい布 を
織 りたい」という要 求 が強 い
自 社 既 存 製 品 の 対 象 ユー ザ
ー
「T はよく顧 客 で有 力 な競 争
相 手 になっている」
製 品 U,V も一 部 自 社 製 品 よ
り優 れている項 目 がある
製 品 C のセールスポイントを変
換 すると製 織 範 囲 、保 全
性 、エレクトロニクス化 、織 欠 点
になる
織 機 に対 する一 般 的 な要
求 項 目 は常 用 回 転 数 、緯
入 安 定 度 、操 作 性 、価 格 で
ある
「よい布 を織 る」は風 合 で評
価 する
回 転 数 の水 準 向 上
自 社 製 品 および競 合 製 品
の情 報
12
情報源
O(アウトプット)
文献
ニーズ
社内情報
レピア織 機 市 場 を対 象 に
製 品 開 発 を行 う
ニーズ
社内情報
社内情報
文献
常識
ニーズ
専門知識
社内情報
社内情報
ニーズ
実験調査
専門知識
ニーズ
①ユーザの使 用 糸 の要
求 は天 然 と合 繊 の両
方 にあると予 測 され
る
②合 繊 の要 求 が、今 後
多 くなると予 測 される
他 社 比 較 対 象 製 品 とし
て自 社 製 品 を C に決 定
する
競 合 製 品 は T、U、V に
決 定 する
他 社 競 合 製 品 との比 較
評 価 項 目 は製 織 範 囲 、
保 全 性 、エレクトロニクス
化、織 欠 点 常 用 回転
数 、緯 入 安 定 度 、操 作
性 、価 格 、風 合 である
文献
方針
社内情報
ニーズ
催 し物
自 社 製 品 が競 合 製 品
より評 価 の高 いものは
製 織 範 囲 、織 欠 点 、緯
入 安 定 度 、保 全 性 、風
合 の5項 目 である
自 社 製 品 の競 合 製 品
より評 価 の低 いものは
常 用 回 転 数 、 エレクトロニク
ス化 、操 作 性 、価 格 の4
項 目 である
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第1章 製品開発と図面管理
表 2.12(2/2) 織 布 機 械 の新 製 品 開 発 過 程 における主 な意 思 決 定 内 容
アイ
テム
No.
④
⑤
モジュール
番号
7
8
9
I(インプット)
G(ゴール)
開 発 すべきレピア
織 機 の特 徴 およ
び目 標 を決 定 す
る
織 れる布 の種 類
が多 いこと、柔 ら
かい布 を織 れる
ことを特 徴 に持
つ製 品 の基 本 仕
様 決 定 のための
新技術開発目
標 となる技 術 特
性 を決 定 する
自社既存技術で
の開 発 を検 討 す
るための評 価 対
象 技 術 を決 定 す
る
情報
コストパフォーマンスとして一 般 的
に最 も重 視 されるのは常 用 回
転 数 である
使 用 糸 に対 し て、天 然 と合 織
の両 方 が織 れるという要 求 が
ある
国 内 の市 場 に対 して、「柔 ら
かい布 を織 りたい」という要 望
がある
「柔 らかい布 を織 る」、「回 転
数 の水 準 を上 げる」
情報源
ニーズ
ニーズ
ニーズ
不明
不明
開 発 製 品 X の基 本 仕
様 決 定 のための技 術 目
標 となる技 術 特 性 は製
織 範 囲 、織 欠 点 、常 用
回 転 数 である。
織機の5大機構は緯入機
構 、開 口 機 構 、送 出 機 構 、巻
取 機 構 、筬 打 機 構 である
常識
緯 入 機 構 、開 口 機 構 、
送 出 機 構 、巻 取 機 構 、
筬打機構
10
5大 機 構 の技 術 特 性 による
評価
実験調査
11
コスト低 減 を目 的
とした他 製 品 と
の部 品 共 通 化 の
効 果 を明 らかに
する
5大 機 構 と部 品 共 通 化 の度
合
専門知識
12
開 口 機 構 b’ の
使 用 を決 定 する
13
製 品 X の基 本 仕
様 を決 定 する
⑦
①織 れる布 の種 類 が多
いこと
②柔 らかい布 を織 れる
こと
③回 転 数 が高 いこと
方針
自社既存製品
の開 発 技 術 で対
応できるものを
明 らかにする
⑧
O(アウトプット)
自 社 製 品 の競 合 製 品 の仕 様
に関 する情 報 の一 部
開 口 機 構 b’形 式 のアイデア・
ジェネレーション
開 口 機 構 b’の基 本 仕 様
各 種 基 本 仕 様 の情 報
13
催 し物
文献
社内情報
催 し物
開 口 機 構 の b について
のみ回 転 数 、操 作 性 の
面 え自 社 既 存 技 術 の
活 用 は難 しく、新 たに技
術 開 発 を行 わなければ
ならない
緯 入 機 構 、開 口 機 構 の
a、送 出 機 構 b、巻 取 機
構 は他 製 品 との部 品 共
通 化 の程 度 は大 きい
送 出 機 構 の a は他 製 品
との部 品 共 通 化 の程 度
は小 さい
開 口 機 構 b’ 形 式 の 基
本仕様
製 品 X の基 本 仕 様
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第1章 製品開発と図面管理
1.2.9 織 機 開 発 事 例 の討 議 ヒント
以 上 の事 例 資 料 を基 に演 習 課 題 を検 討 する前 の問 題 意 識 を整 理 するための視 点 とし
て以 下 の質 問 について各 自 の考 えをまとめてからグループ討 議 を始 めてください。
(1) 開 発 の方 針 のターゲット(狙 いとする顧 客 )が「綿 関 係 を織 るユーザー」となっています
が、その決 定 過 程 においてユーザー・ニーズの調 査 、競 合 製 品 比 較 のための自 社 製
品 選 定 および開 発 の狙 いには天 然 糸 と合 繊 糸 の両 方 を織 るユーザーが考 慮 されて
いる点 についてどう考 えますか?
(2) 既 存 製 品 グループの評 価 を市 場 規 模 、市 場 成 長 率 および市 場 占 有 率 (マーケットシェ
ア)の3点 に置 き、レピア織 機 市 場 に対 象 市 場 を決 定 する際 は市 場 占 有 率 の維 持 、向
上 に重 点 をおいていますが、この判 断をどう思いますか?
(3) 開 発 の狙 いの以 下 の3点 と技 術 的 課 題 の関 係 を見 ると、方 針 に基 づく「回 転 数 が高
いこと」のみに共 通 点 が見 出 されますが、この点 をどう思 いますか?
①
織 れる布 の種 類 が多 いこと
②
柔 らかい布 を織 れること
③
回 転 数 が高 いこと
(4) 商 品 特 性 (顧 客 の要 望 )から技 術 特 性 (設 計 目 標 なるもの)に展 開 する過 程 で顧 客 の
要 望 がどのように開 発 に配 慮 されているかをチェックし、顧 客 感 動 を呼 び起 こすような
製 品 開 発 の視 点 であなたの考 えるところをまとめてください。
(5) 回 転 数 向 上 やエレクトロニクス化 の技 術 開 発 に対 し、構 成 部 品 の標 準 化 の検 討 をし
ている事 例 内 容 から、顧 客 要 望 の多 様 化 による製 品 多 仕 様 化 と構 成 部 品 の標 準 化
の意 義 や効 果 についてあなたはどのように考 えますか。
14
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
1.3 布 団 乾 燥 機 開 発 事 例 [ 2 ] , [ 3 ] , [ 4 ]
M 社 は総 合 電 機 メーカーとして業 界 のリーディング企 業 の位 置 を維 持 してきました。そこ
で行 われた布 団 乾 燥 機 の事 例 を以 下 に紹 介 します。
1.3.1 開 発 事 例 の融 合 モデルによる記 述
表 3.1 開 発 の背 景 と開 発 ポリシー(方 針 :アイテム1)
背景
重 電 機 、電 子 機 器 、家 電 品 など幅 広 い電 気 製 品 の製 造 販 売 、
創 業 以 来 90年 に渡 り競 合 会 社 の内 でも技 術 的 にトップレベルを保 持 、
家 電 品 の分 野 で競 合 会 社 の台 頭 により業 界 トップの地 位 を脅 かされる。
方針
業 界 でもトップレベルの自 社 技 術 を活 用 する、
長 年 築 いてきた幅 広 いマーケットチャンネル(販 売 経 路 )を活 用 する。
表 3.2 M 社 の製 品 系 列 の分 析 結 果 (アイテム2)[2]
表2.6 製品系列の評価
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設
計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.236)
製
品
群
品
目
評価(クラス)
ト ー ス タ ー
台
掃
所
除
用
用
品
品
視 聴 覚 用 品
冷
庫
E
電 子 オ ー ブ ン
D
洗
濯
機
D
掃
除
機
E
テ
レ
ビ
E
ラ
ジ
オ
H
ス
冷 暖 房 用 品
身 の 回 り 用 品
蔵
E
テ
レ
オ
B
ク
ー
ラ
ー
A
ヒ
ー
タ
ー
A
電 気 カ ミ ソ リ
E
ド ラ イ ヤ ー
F
布
I
プ
E
寝
具
用
品
電
照
明
用
品
ラ
気
毛
ン
補 助 表 (表 3.2 の評 価 (クラス)記 号 表 )[2]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.232)
自社
市場
製 品 グループの市 場 占 有 率
高
中
低
製 品 グループの
高
A
B
C
成長率
中
D
E
F
低
G
H
I
15
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第1章 製品開発と図面管理
表 3.3 使 用 されている寝 具 様 式 (アイテム3)[2]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.237)
地区
都市
農村
布団
82(%)
98(%)
洋 式 ベッド
18(%)
2(%)
寝具洋式
(データの出 所 :ベッド組 合 の業 界 資 料 )
表 3.4 布 団 に関 するユーザニーズ(アイテム3)[2]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.237)
主 要 なユーザーニーズ
回答比率
1)柔 らかさ
75%
2)軽 さ
68%
3)丈 夫 さ
55%
4)清 潔 さ
33%
5)乾 燥 し易 さ
23%
ニーズを満 たす為 にユーザーが採 る方 法
材 料 の選 択
乾 燥
材 料 の選 択
乾 燥
材 料 の選 択
シーツの取 り換 え
乾 燥
選択
材 料 の選 択
天日乾燥
コタツ、暖 炉 乾 燥
(データの出 所 :M 社 のマーケテイング部 の調 査 資 料 )
1)
天 日 乾 燥 では雨 天 に干 せない。
2)
天 日 乾 燥 では外 出 中 に雨 になると困 る。
3)
天 日 乾 燥 では日 照 時 間 が少 ない。
4)
天 日 乾 燥 では乾 燥 場 所 が狭 い。
5)
天 日 乾 燥 では乾 燥 場 所 まで運 ぶのに重 くて男 手 が必 要 。
6)
天 日 乾 燥 では乾 燥 したい時 に乾 燥 できない。
7)
天 日 乾 燥 では汚 れ(ホコリ、煤 、鳥 の糞 等 )がつく。
8)
コタツ、暖 炉 乾 燥 では火 災 の危 険 があり、つききりが必 要 。
9)
コタツ、暖 炉 乾 燥 では広 げる場 所 が狭 い。
10) コタツ、暖 炉 乾 燥 では乾 燥 のために人 手 が必 要 。
11) コタツ、暖 炉 乾 燥 では持 ち運 びが不 自 由 。
図 3.1 布 団 の乾 燥 方 法 の難 しさについての調 査 結 果 (アイテム3)[2]
(M 社 のマーケテイング部 の調 査 資 料 )
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.235)
16
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第1章 製品開発と図面管理
1.
都 市 生 活 について
(1) ビルの高 層 化 に伴 って物 干 し場 所 が狭 くなった。
(2) 人 口 の過 密 化 に伴 って、各 家 の日 照 時 間 と乾 燥 時 間 が短 くなりつつある。
2.
家 族 構 成 について
(1) 核 家 族 化 に伴 って、老 齢 家 族 では布 団 の持 ち運 びが困 難 である。
(2) 共 稼 ぎの家 族 が多 くなりつつあるが、このような家 庭 では日 中 布 団 を 干 す時 間 は
休 日 に限 られてしまう。
―政 府 住 宅 局 資 料 より―
図 3.2 社 会 条 件 についての情 報 収 集 (アイテム3)
○ 布 団 を敷 いたままで乾 燥 できること。
○ 火 災 の危 険 がないこと。
○ 操 作 が簡 単 であること。
○ 家 族 が留 守 中 に乾 燥 できること。
図 3.3 布 団 乾 燥 に関 する問 題 提 起 (製 品 コンセプト:アイテム4)
表 3.5 ユーザニーズ・アセスメント用 の製 品 特 性 (商 品 特 性 :アイテム4)[2]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.239)
1
2
3
4
5
6
7
8
乾 燥 時 間 が短 いこと
エネルギー、電 力 が少 ないこと
数 枚 の布 団 を同 時 に乾 燥 できること
全面均一乾燥
布 団 を傷 めない
綿 、化 繊 、毛 布 、ポリウレタン材 料 も乾 燥 可 能
火 災 、漏 電 が無 い
乾 燥 終 了 後 に電 源 が切 れる。
4. 保 全 性
9
修 理 のし易 さ(特 に回 転 部 分 )
5. 操 作 性
10 主 婦 が両 手 だけで操 作 できる
6. 運 搬 性
11 主 婦 が2階 への持 ち運 びができる
7. フィーリング
12 見 栄 えが良 い
1. 性 能
2. 信 頼 性
3. 安 全 性
8. 保 証 事 項
9. コスト
13 オリジナルコストが安 い
14 電 力 コストが安 い
15 ユーザの投 資 限 度 額 の検 討 (電 気 掃 除 機 の価 格 帯 と比 較 )
17
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第1章 製品開発と図面管理
表 3.6 テクノロジー・アセスメント用 の製 品 特 性 (技 術 特 性 :アイテム5)[2]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.240)
1. 性 能
2. 信 頼 性
1
乾 燥 性 能 の尺 度 (脱 水 度 、ふんわり度 )
2
乾 燥 時 間 、乾 燥 度 、電 力 使 用 量 と乾 燥 方 法 の関 係
3
乾 燥 方 法 の関 東
4
3 に対 し布 団 材 料 ごとに検 討 、
乾 燥 度 測 定 部 位 の検 定 と実 験
5,6 布 地 の損 傷 度 の尺 度
信 頼 性 設 計 標 準 の適 用 と実 験
3. 安 全 性
7
法 規 、規 定 の調 査
8
安 全 性 設 計 標 準 の適 用 と実 験
誤 使 用 に対 する配 慮
4. 保 全 性
5. 操 作 性
9
実 績 のある機 械 部 品 の採 用
部 品 の互 換 性 、標 準 化
10 婦 人 の人 間 工 学 的 作 業 条 件 の決 定
10 を制 約 とした乾 燥 作 業 方 法 の検 討
11 装 置 の格 納 様 式
6. 運 搬 性
装 置 の平 面 および2階 への移 動 方 法
装 置 の組 立 方 法
9. コスト
12 オリジナルコストと生 産 量 の関 係
オリジナルコストと電 力 使 用 ・保 全 費 (ランニングコスト)の見 積 り
表 3.7 収 集 された技 術 情 報 (アイテム6)
項目
評価内容
ヘヤー・ドライヤー
役 立 ちそう
温 風 循 環 システム
消 費 電 力 が大 きい
赤 外 線 システム
布 団 の素 材 を損 傷 する
18
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第1章 製品開発と図面管理
布団の間に温風を通す方法
積み重ねた布団の間に温風を通す方法
直接温風をふき込む
布団をまるめて筒にしてその中に温風を通す方法
布団の間に空間をつくる
布団の形が崩れる
高圧、高速送
風の必要性
穴のあいたパイプで空
間を作る
布団の中に風船を
入れる
たくさんの小さな穴のあいた風船
を布団の間に入れる
布団の形を保つため
の構造の必要性
大きな構造と高
いコスト
・パイプの形状による
低い操作性と運搬性
・ふき出す空気の不規
則性
布団の間を空気が
流れない
供給する空気の量と放出する空
気の量とのバランスがとれないと
空間ができる
大きな構造
高いコスト
低い操作性、運搬性
温風のこもりによっ
て材料を損傷する
穴の大きさと数、風圧と風速の決
定
中止
穴のあいた材料のかわりに風圧、
風速のコントロールのできる布の
選択
中止
中止
木 綿 布
合成繊維
織り糸の太さ、通風の不安定性、温度による
大きな変化
織り糸の太さ、通風の安定性、温度やクリーニングに
よる変化が小さい
中止
採用
中止
図 3.4 図2.8
布 団 乾布団乾燥機の温風循環方式のアイデアジェネレーション
燥 の温 風 循 環 方 式 のアイデア・ジェネレーション(アイテム8) [ 2 ]
(秋 庭 他 ,生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.241)
乾燥性能(H)
温風拡散貫通方式
H=f(M,V,T)
実験式
合成繊維製拡散(M)
温風供給装置
ヘアードライヤー
ふとんへの適性温風
と貫通量の算定
風量
(V)
風温
(T)
パワー不足
寿命短い
合成繊維性エアマット
温風ヒーター
大 型
コスト高
装置仕様
風量 0.8m3/min
使用方法
使用環境
使用条件の明示
3時間タイマー
風温 90℃
3重安全装置
乾燥時間の設定
安全装置の設置
図2.9
図 3.5
布 団布団乾燥機の技術仕様決定プロセス
乾 燥 の技 術 仕 様 決 定 プロセス(アイテム7) [ 2 ]
(秋 庭 他 、生 産 管 理 システムの設 計 、日 本 能 率 協 会 、1986、p.242)
19
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第1章 製品開発と図面管理
MATTRESS
図 3.6 布 団 乾 燥 の仕 様 図 (アイテム8) [ 2 ]
基 本 仕 様
デザインレビュー
製 造 設 計
1.法規
2.部品の互換性・標準化
3.実績ある部品採用
4.新しい部品のテスト
5.設計標準との照合
6.FMEA
特 許
1.生産性検討
2.必要治工具検討
3.必要安全装置検討
IG
4.V.A.検討
5.信頼性・安全性
製 品 仕 様
IG
IG
IG
マーケティング
品 質 保 証
IG
コ ス ト 評 価
製 造 方 法
IG
ユーザー満足度の調査
クレーム処理
IG
再 設 計
生産および配送計画
IG
……アイディア・ジェネレーション
布団乾燥機の基本仕様決定後のプロセス
図 図2.10
3.7 布 団 乾
燥 機 の基 本 仕 様 決 定 後 のプロセス(アイテム7) [ 2 ]
(秋 庭 他 ,生 産 管 理 システムの設 計 ,日 本 能 率 協 会 ,1986,p.243)
20
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第1章 製品開発と図面管理
1.3.2 布 団 乾 燥 機 開 発 事 例 の討 議 ヒント
以 上 の事 例 資 料 を基 に演 習 課 題 を検 討 する前 の問 題 意 識 を整 理 するための視 点 とし
て以 下 の質 問 について各 自 の考 えをまとめてからグループ討 議 を始 めてください。
(1) 開 発 の方 針 にはターゲット(狙 いとする顧 客 )や製 品 特 徴 (開 発 目 標 )が明 示 されてい
ません。この点 は織 機 開 発 事 例 と異 なるところです。開 発 の方 針 が細 かく明 示 されて
いる開 発 と概 略 のみや不 明 示 の場 合 の製 品 開 発 の結 果 に及 ぼす影 響 について、あ
なたはどう考 えますか?
(2) 既 存 製 品 グループの評 価 から開 発 対 象 市 場 を市 場 成 長 率 と市 場 占 有 率 (マーケット
シェア)の2点 から決 定 している点 も織 機 開 発 事 例 と異 なりますが、製 品 開 発 に当 たっ
て製 品 評 価 方 法 が製 品 開 発 における対 象 市 場 を決 定 することに及 ぼす影 響 をあな
たはどう思 いますか?
(3) 事 例 では市 場 成 長 率 と市 場 占 有 率 (マーケットシェア)の共 に低 い「寝 具 部 門 」での市
品 開 発 が決 定 されましたが、この決 定 についてあなたがその意 思 決 定 に直 面 した場
合 は、どのような決 定 (布 団 乾 燥 機 と同 じ結 論 か、異 なるか)を行 いますか?また、そ
の理 由 はどのようなことですか?
(4) 寝 具 部 門 での新 製 品 開 発 を行 うためのユーザー・ニーズ調 査 について以 下 の各 項
目 をあなたはどのように考 えますか。
①
調 査 方 法 としては既 存 のデータや資 料 を活 用 する方 法 と新 規 に M 社 独 自 の調 査 法
を設 計 ・開 発 した方 法 を使 っていますが、あなたが調 査 担 当 責 任 者 だったら、この2
種 類 の方 法 をどのように使 い分 けますか?
②
いくつもの調 査 が行 なわれていますが、その中 で特 にこの開 発 事 例 のポイントとなった
調 査 はどれだと思 いますか?また、その理 由 はどのようなことですか?
③
「図 3.2 社 会 条 件 についての情 報 収 集 (アイテム3)」の調 査 は有 効 だったと思 います
か?また、その理 由 はどのようなものですか?
④
有 効 なニーズ調 査 をする際 の問 題 点 はどのようなことだと思 いますか?
(5) 商 品 特 性 (表 3.5)と技 術 特 性 (表 3.6)の基 本 特 性 を比 べると「フィーリング」の基 本
特 性 が技 術 特 性 には見 当 たりません。その理 由 についてどのように思 いますか?
21
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第1章 製品開発と図面管理
1.4 図 面 管 理 システム
以 下 に示 す表 4.1 と表 4.2 を参 考 に以 下 の事 項 を検 討 してください。
(1) 貴 社 の図 面 管 理 システムの現 状 を表 4.1 に示 される3段 階 評 価 基 準 で評 価 すると、
どの段 階 になるかを明 らかにして表 4.3 に記 入 して下 さい。なお、その際 、判 断 を
行 った経 緯 を具 体 的 事 象 やシステムの状 況 を使 って説 明 して下 さい。
(2) 表 4.1 の段 階 に関 連 して表 4.2 に示 される事 例 を参 照 して、類 似 の問 題 (トラブル)
を探 し出 し、表 中 の改 善 法 を参 考 に自 社 の問 題 解 決 方 法 を考 案 して下 さい。
(3) 上 記 (2)をさらに改 善 し、表 4.2 と異 なる改 善 方 法 を検 討 してください。なお、その
際 、自 社 と表 4.2 の改 善 案 の記 載 内 容 の違 いを意 識 してその工 夫 点 を解 説 して
下 さい。
表 4.1 図 面 管 理 システム開 発 、改 善 プロセスの主 な段 階
1
段階
状 況 ・内 容
図 面 管 理 の標 準 化
この段 階 は設 計 部 門 、製 造 部 門 、購 買 ・外 注 部 門 が各
部 門 ごとに業 務 遂 行 して来 た従 前 の図 面 管 理 方 式 の不
徹 底 や設 計 変 更 などの変 化 に対 応 する際 に生 じるトラブ
ル解 消 策 として図 面 管 理 の明 確 化 、標 準 化 を図 る段 階 。
標 準 化 された各 部 門 の図 面 管 理 方 式 を部 品 番 号 システ
ムと図 面 番 号 システムを全 社 的 に統 合 化 し、部 門 ごと違
2
図 面 管 理 のシステム
いによるトラブルや対 応 の遅 さを改 善 するためのシステム
化 および統 合 化
化 を図 る段 階 。このような動 きは、全 社 的 改 善 活 動 として
の情 報 システム化 や合 理 化 のような動 きをきっかけにす
ることが多 い。
グローバル化 、製 品 寿 命 の短 縮 化 、顧 客 要 望 の多 様 化
などの環 境 変 化 に対 し、品 質 、リードタイムや原 価 に関 す
3
戦 略 的 図 面 管 理 シス
テム化
る競 争 優 位 の確 保 を目 指 し経 営 戦 略 として製 品 開 発 、
生 産 、サービスを一 貫 して管 理 できるシステムとしての図
面 管 理 システムの創 出 を図 る段 階 。
22
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第1章 製品開発と図面管理
表 4.2 図面管理システム開発・改善段階別トラブル解消事例集(文献[5],pp.136-143 より引用)
段
階
トラブルの状況
トラブルの原因
改善(上段:改善前
下段:改善後)
図面変更者が必要部署に配布していた.
旧図は各部門及び外注で破棄するが,その結果の記録は取らなかった.
図面管理者が新規図面を配布,差替えを確認し,旧図を破棄するようルールにした.
設計と製造現場で管理台帳を作成し,図面の差替えと図面管理台帳への記入をセット
にした.
旧図が破棄されていなかった.
新図と旧図が混在しており,旧図には何
旧図を新図の裏側にファイリングしているが,旧図には何の表示もしていなかった.
の識別表示もなかった.
旧図には旧図とわかるように図面に朱書きすることにした.
図面の設計変更レベルを図面貸与書の内容と照合する手順が標準化されていなかっ
旧図(寸法)で加工・製造された.
顧客の支給図面(旧図)を返却するとき
た.
に,誤って新図を返却してしまった.
支給図面(新図)の設計変更レベルを確認し,図面貸与書にレ点チェックを行ってか
ら旧図を返却する手順で標準化を行った.
図面の廃棄について現場任せだった.
旧図が現場に保管されていた.
図面の廃棄について返却又は廃棄連絡書の提出を標準化した.
新図が出たことが,製作側に伝わってい
新図面については,口頭での指示・連絡であった.
なかった.
図面配布案内書を作成し,製作側に受取りの確認を求めた.
図面の差替えは現場事務所が管理するこ
とになっていたが,変更製番の指示を見
落とし旧図面をコピーし配布した.
1
緊急品のため,図面が間に合わず,類似
緊急製作品の寸法を間違って加工した.
品の品名を連絡したが,製作品寸法はそ
れより大きいものだった.
ルール違反の図番が使用されている.
別事業部で図番の重複が発生している.
変更図面の差替えが現場事務所任せであった.
以下の方法で全社統一管理方法とした.
①図面を電子化し,②全社共有サーバで保管し,③現場事務所は必要時に印刷し生産
指示する.④使用後は破棄する.
情報だけで部品を加工していた.
図面を確認したうえで作業指示を出すことの徹底をした.
図番の空きがなく,プログラムによる制
各事業部で判断して対応していた.
御がなかった.
プログラムによる制御を設け,使用できないようにした.
製品の事業部移管の際に,図版に対する配慮がされていなかった.
製品の事業部移管が行われた.
製品の事業部移管の際に,事業部間で図版をチェックできるよう,プログラム化した.
社外正式配布時のチェック事項を,対象製品グループリーダーが独自で選択し,決定
対象製品の社外正式図面配布のときのチ
外注作業でトルク指定のある箇所を手締めによる作業で行った. ェック方式が不十分で,図面の棚卸がさ
れていなかった.
23
していた.
社外正式配布時の以下のチェック事項の検討をグループリーダーと管理者で行う.①
対象製品の組立に必要な図面,②工具類構成表を作成する.③すべての製品に関して
配布されるべき図面が外注に渡っているか,管理台帳と付き合わせて確認する.
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第1章 製品開発と図面管理
過去に製作したことがあったが,誤った方法で製作された.
図面に製作要領を書き込んだものを現場
で保管していたが,紛失した.
特急製作品の板厚を間違って製作した.
特急製作依頼を FAX 図面で受けたので,
FAX の文字を見間違えた.
標準装置の組立工程で再組立が生じた.
変更内容がファイルにそのまま保管さ
れ,組立工程に伝わらなかった.
同品番の図面が現場に流れていた.
品番末尾が変更(廃止)になったが旧末
尾の図面が現場にあったため,そのまま
違う図面で加工された.
短納期のため,設計変更の仮図面(先行
図面)で模型修正し,鋳造された.
図面変更箇所がわかりにくかったため,
変更部分を見落とした.
新規図面が生産技術部門より出図された
が,寸法が抜けていた.
工程ごとに加工部の指示がなかった.
1
図面と違う治具・部品,製品が加工,製造,鋳造された.
最新の紙図面のみ登録し,CAD 図を登録
していなかった.
試作段階の図面が残っており,重複して
登録されていた.
図面配布時の図番チェック方法が決まっ
ていなかった.
旧図面の裏紙に本来の図面をコピーし生
産指示したが,現場は裏側の図面と勘違
いした.
製作要領の記録保管は,現場任せだった.
図面登録時に製作要領の記録も登録することを手順化した.
特急製作受付の際の図面はほとんど FAX 受信であった.
特急製作の場合でも,顧客に理解を求め,購買先も含め,正式図面データのみ受け付
けることとした.
変更内容は手書きし,各部署に回覧して各自コピーをとっていた
手書きデータもデジタル化し,物件ごとに管理して,各部署がパソコンにより閲覧で
きるようにした.
基本的なルールが守られていなかった.
出図側,受取側の双方が品番の採番ルールを守るように周知徹底した.
品番末尾が変更(廃止)になっても,追加して現場に保管されていた.
廃止品番の図面はその都度廃棄し,現場には最新の図面のみ保管することをルール化
した.
仮図面(先行図面)と正式図面の違いをチェックする手順が標準化されていなかった.
正式図面であることを確認し,仮図面との違いをチェックする手順を標準化した.
図面変更箇所の表示法が定められていなかった.
図面変更箇所のマーキング法を定め,手順化した.
新規図面が流れる場合,生産技術部門の担当者のみがチェックを行っていた.
生産技術部門でのダブルチェック法に変更した.
部品図をもとに工程ごとに現場レベルで判断しながら加工していた.
重要部品については工作図を作成し,工程ごとの加工部,精度を明記する方法を手順
化した.
紙図面,CAD 図面ともに試作段階(初期)に登録したままとなっていた.
変更があった都度 CAD データを入手し,紙図面とともに登録するルールを設定した.
図番名称と登録日も記載されていたので,図番が重複しているものに関しては登録日
を作業者が確認し,新しい方の図面を見ていた.
図面変更が行われた都度,図番に改訂番号を記載したものを登録し直すこととした.
管理部より発行された作業指示書が,直接,現場へ出ていた.
作業指示書が現場に出る前に,生産技術部門でチェックルールとした.
不要となった図面の裏に正規図面をコピーし,現場に指示していた.
図面指示の場合は裏紙使用禁止にした.
図面変更をした際,図面の入替えのみを行っていた.
加工違いなどの図面返納の際は,必ず図面番号の変更表示を行うことをルール化した.
組図が変更になっていたが,変更情報に 旧図と新図の明確な区別表示がなされていなかった.
気付かず機械を設置した.
旧図には“旧版”印を捺印し,違いがわかるようにした.
図面変更指示がなかったため,変更前の図面で製作した.営業担当者が不在の場合の
客先から営業部門に変更図面がきていた
処置がない.
が,営業担当者が不在のため現場に配布
生産技術部門が主幹となり出図案内表を配布し受領印をもらうようにした.営業部門
されず,現場は変更前の図面で製作した.
から生産技術部門に自動配布されるルールとした.
図面変更に現場が気づかなかった.
24
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第1章 製品開発と図面管理
他部門へロット購入品の払い出しを依頼したが,部品表と違う部
品が払い出された.
客先より改訂図面が配布されたが,当部
門で止まっており,各関連部門へ通知さ
れていなかった.
図面中の個数指示を勝手違いの物(図名仕様と異なる)1 個,図 図面のなかに文章で表現してあった内容
面どおりの物 1 個と書いたが,
図面どおりの物が 2 個作られた. を,作業者が見落としてしまった.
図面変更内容が一部しか処理されずに出荷された.
部品表に記載されている部品が製作されていなかった.
購入品に追加のめっき加工がされていなかった.
外注先に新改訂図面が配布されたが,旧図面で製造された製品が
納入された.
設計者の発注図番と違う図番の物が納品された.
組立間違いで手直しをした.
リピート製作なのに,部品が取り付けられなかった.
1
組立時に設計どおり組み付けされなかった.
納入先での部品交換時,図面と異なる部品が取り付けられてお
り,持参した部品では交換できなかった.
変更内容が 2 種あったのに,1 種のみの
変更と担当者が思い込んだため.
標準部品のため,手配者は在庫があると
思い手配しなかった.
購入品と加工品の区別がされていなかっ
た.
外注先が,無断で旧図の複写図面を作成
し,使用していた.
購買で手書きの注文書を書く際に,間違
えた.
工事用図面を使用すべきところを,誤っ
て見積もり用図面を使って組み立ててし
まった.
以前にも同様の不具合が発生し追加加工
で修正をしたが,その修正図が部品作成
時に使用されなかった.
設計部門からの組付け指示が明確でなか
った.
製品据付時の部品加工の内容が,図面に
反映されていなかった.
図面管理の電子化を行った際,入力ミスが起きたり,作業負荷が
増加したりした.
客先特注で新規部品を取り付ける際,組
立指示が生産技術部門から発行されなか
った.
図面管理の電子化を行った際,入力作業
の標準がなかった.
図面の設計変更中に金型を外注へ発注してしまったため,旧図で
製作された.
設計変更中の情報が,発注担当者に伝わ
っていなかった.
原材料変更前の旧レシピで製造された.
旧レシピが破棄されず,製造現場に新旧
レシピあったため,従来の旧レシピをそ
のまま使用してしまった.
ミキシング変更指示が出ていたが,変更前のミキシングで製造さ
れた.
変更指示書が出ていなかった.
組立時に取付位置を間違えたまま出荷された.
25
改訂ごとに各部門へ作業指示を出すが,作業指示の記録はしていなかった.
作業指示書の原紙へ配布部門を記入し,保管することにした.
勝手違い部品は図面上に“勝手違い~個”と表記していた.
“一品一様”
(一品につき一図面)というルールをつくり,図面を見たまま作ればいい
ようにした.
現場責任者に,口頭で,変更があることを指示していた.
変更図が届いたら,訂正箇所をマーキングし,変更箇所を示す方法に変更した.
手配業務における発注手順が明文化されていなかった.
製作が必要なものは,すべて部品表に明記し,手配するようにした.
購入品と加工品の区別表示がされていなかった.
図面材料コードで区別する表示方法に変更し,ルール化した.
ISO 9001 に基づき,改訂,配布枚数の管理が規定されていた.
発注時ごとに図面を配布し,納品時に図面を回収することにした.
設計者が部品表を書き,それに基づき購買が手書きで注文書を発行していた.
設計者が部品表を入力し,そのまま注文書が発行できるようにした.
見積もり用図面と工事用図面が,現場に混在していた.
工事用図面と見積もり用図面とを分類して管理し,図面に“見積もり”と表示するこ
とにした.
追加加工図の修正を残す方法が定められていない.
図面修正の徹底と,図面変更の履歴を残す方法を定めた.
設計部門からの指示が,担当者によって異なっていた.
社内文書規定にて組付指示書を作成して指示する方法を定めた.
現地での部品を再加工したとき,現地作業者は,その内容を図面に手書きして記録を
残す.
現地作業における不具合について,設計部門への連絡と図面修正の徹底をした.
生産技術部門から新規部品の取付指示がなかった.
組立開始前までに組立図を社内文書で関係課に配布することを,手順化した.
特に入力の取決めを行っていなかった.
顧客別/図面番号別/機種別などで入力項目を区別して入力することとした.
設計変更中の情報が発注者に伝わる仕組みでなかった.
設計変更中の情報を一元管理するとともに,設計変更中は注文書を作成できないよう
にした.
新レシピはレシピ作成者が製造ライン担当者に配布しており,旧レシピの廃棄法も明
確でなかった.
レシピの配布経路を,レシピ作成者→工場長・副工場長→担当ライン長→ライン担当
者全員(現場)と定め,新レシピが現場に行ったら旧レシピをライン長が破棄する方
法とした
変更指示者と現場担当者との間で口頭のみの指示が行われていた
ミキシングなどに変更が生じる場合には,必ず変更指示書を作成して出す方法にした.
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第1章 製品開発と図面管理
設計変更部品が,変更前部品として加工されてしまった.
図面と違う部品が加工された.
設計変更をオンラインにて工程確認し,
設計部門が,工程の加工完了を確認してから変更通知を出していた.
加工完了前だったので通知したが,当該
設計部門より変更通知を出すときには,部品の加工開始時点の確認に基づき現場に連
部品はすでに加工中であった.
絡する体制にした.
2D CAD では,小数点以下の桁数を設定し
2D
CAD で小数点以下の桁数を設定する必要があった.
ないと四捨五入されるため,実際寸法が
8.5 のところが 9 と表示され,9 で加工
3DCAD に変更し,小数点第三位まで自動表示するようした.
された.
規格番号で品番を検索すると,複数のコード番号があった.
顧客からの電子ファイルで設計データをいただいたが,当社で開
けなかった.
2
別図面の部品が鋳造された.
図面管理の電子化を急に進めたため,図面登録部門の負荷が増え
た.
れた.
顧客のCADデータと自社のCADデータの確認手順がなかった.
ソフト/バージョンが異なっていた.
指示書どおり鋳造したが,部品兼用品番
の登録が誤ってされていた.
多数のため,入力にかなりの労力がいる.
また,入力ミスが起こりやすくなった.
の取決めがなかった.
せたくない情報も一緒に出力されてしまい,セキュリテイー上の
不安があることから,出力情報をあらためて作成する手間がかか
った.
新機種に対応するための部品番号システムが複雑になり,管理部
門の負荷が急増した.
システムへの部品兼用品番の登録の際に,図面確認の手順が明示されていなかった.
図面登録部門に対し,図面の登録時に図面確認をして兼用品番を登録することを手順
化し,徹底依頼した.
これまでの図面の保管枚数/顧客の数が
らなかったため,顧客を待たせ,迷惑をかけた.
顧客と情報共有するための出図が求められる場合に,顧客には見
顧客のCADデータを自社のものと照合し,自社のデータに合うことを確認すること
を手順化した.
CAD システムに変更後,図面の履歴管理
で,最初から打合せし直しになり,顧客に迷惑をかけた.
同一規格品が複数登録されても変更されない方式であった.
重複部品コードを発見すると使用できない方式とし,半年に一度チェックする手順書
を作成した.
CAD になってから,お客様に出した図面がいつのどれなのかわか
営業部門が使用した図面が設計部門からの出図と違っていたの
3
同一規格品に複数の部品コードが登録さ
図面登録の電子化について取決めを行っていなかった.
顧客別/図面番号別/機種別などに分けて管理することとした.
出図以後も,同じ番号の図面を触ることができることが,わからない要因を作ってい
た.
出図日以降は,必ずページ番号を変えて登録することとした.
作図の進捗に関係なく,作図中でも営業
図面閲覧システムで,作図中かどうかがわからなかった.
部門で印字ができてしまうシステムであ
作図中であることを表示できるようにし,作図中は印字できないようにした.
った.
外部に出したくないデータやシンボルを
CAD 上で選択できるシステムになってい
なかった.
社内で共有するデータフォーマットでは渡さず,必ず PD に変換したうえで,渡すよう
にしていた.
顧客と共有することを可能とする代わり,電子データに含まれる情報の知的所有権保
護とセキュリテイーを守るよう契約したうえで,電子データで渡す方法に変更した.
部品番号の機種コードが既存のものでは
過去の生産実績に基づき,機種コードを逐次追加する方式であった.
限界があり,無理な使い回しが管理業務
業種コードを新たに設け,新規開発分野の機種コードは生産実績の前にあらかじめ分
を複雑にした.
類コードを登録できる方式に変更した.
26
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第1章 製品開発と図面管理
表 4.3 貴社における図面管理のトラブル解消事例
段階
トラブルの状況
トラブルの原因
改善(上段:改善前
27
下段:改善後)
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第1章 製品開発と図面管理
1.5 部 品 表 の作 成 [ 6 ] , [ 7 ] , [ 8 ]
顧 客 の要 望 を反 映 した製 品 企 画 ・設 計 が行 われると、これをもとに工 程 設 計 、工 程 管 理
および購 買 ・外 注 活 動 が行 われます。この活 動 を常 に顧 客 満 足 向 上 を目 指 し、かつ、効
率 的 なものにするためには、これら活 動 が常 に製 品 に対 する顧 客 要 望 の情 報 と関 連 づけ
られたものであることが必 要 となります。そのために、ナレッジ・チェーンの1つ1つの鎖 とな
る部 品 表 を作 成 し、維 持 管 理 する必 要 があります。そのために、このプログラムでは3つの
部 品 表 を中 核 とする設 計 ・製 造 ・購 買 外 注 のプロセス統 合 化 を目 指 した工 程 管 理 システ
ムを構 築 することを目 指 しています。
以 下 、第 2章 「部 品 表 と工 程 管 理 」、第 3章 「部 品 表 と購 買 ・外 注 管 理 」の学 習 での基 楚
となる3つの部 品 表 の作 成 方 法 を以 下 に解 説 します。各 受 講 者 は自 社 製 品 について以
下 の3つの部 品 表 を受 講 の準 備 作 業 として作 成 しておくと本 コース受 講 成 果 が効 率 的 に
上 がると期 待 できます。
1.5.1 部 品 表 の構 成
図 5.1 は本 プログラムが目 指 す3つの部 品 表 による設 計 ・製 造 ・購 買 外 注 管 理 統 合 化
の部 品 表 構 成 図 を示 します。図 5.1 に示 すように部 品 表 には設 計 用 部 品 表 、製 造 用 部 品
表 と購 買 用 部 品 表 があります。設 計 用 部 品 表 とは設 計 段 階 で作 成 される当 該 製 品 を構
成 する全 ての構 成 部 品 を表 記 し、製 造 か購 買 かを決 定 した情 報 を含 む部 品 表 をいいま
す。購 買 用 部 品 表 とは設 計 用 部 品 表 の中 で、購 買 対 象 部 品 のみを抜 き出 して製 品 との
関 係 を表 示 し、これに購 買 活 動 に必 要 な諸 情 報 を追 加 して作 成 した部 品 表 をいいます。
また、設 計 用 部 品 表 から購 買 用 部 品 表 部 を除 いた部 品 のみを対 象 としてその親 子 関 係 と
生 産 活 動 に必 要 な諸 情 報 を追 加 した部 品 表 を製 造 用 部 品 表 といいます。この中 には外
作 (外 注 )部 品 も含 みます。
設計用部品表
購入用部品表
製 造 用 部 品 表 (含 、外 作 部 品 )
図 5.1 ものづくりのナレッジ・チェーンを構 成 する3つの部 品 表 構 成 図
この3つの部 品 表 にはそれぞれの業 務 のノウハウが集 約 され、業 務 に反 映 されますので、
この情 報 が現 場 で共 有 化 されると工 程 管 理 能 力 は比 較 的 に向 上 することが期 待 できます。
これらの情 報 をどう業 務 に繋 げるかを示 すと図 5.2 になります。これら部 品 表 は IT 治 具 によ
り効 率 的 に業 務 成 果 に結 びつけられます。
28
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第1章 製品開発と図面管理
受注処理
↓
購買用部品表
所要量計算表
設計用部品表
レイアウト計 画
製造用部品表
工 程 マスター
購買計画
受注選択
↓
受注
手順計画
工数計画
レイアウトエディタ
手入力操作
計
基準生産計画
受注表
負荷計画
設備別
負荷計算表
画
I T 治 具
データベース
装 備 マスター
:自 動 操 作
日程計画
FMS シミュレータ
Scheduling
部 品 マスター
:マニュアル操 作
ガントチャート表 示 装 置
図 5.2 生 産 計 画 立 案 手 順 と IT 治 具 の操 作 手 順
1.5.2 設 計 用 部 品 表 の作 成 方 法
設 計 用 部 品 表 は3種 の部 品 表 の基 本 となるもので、第 1章 の最 後 に紹 介 した IT 治 具 に
直 接 インポートするデータベースになります。以 下 の手 順 で作 成 して下 さい。
手 順 1 設 計 段 階 のファミリーツリーを基 にして表 5.1 のフォーマットに沿 って情 報 収 集 を行
い、結 果 を整 理 して下 さい。整 理 結 果 は Excel で予 め準 備 されたファイルに入 力 し
て下 さい。表 5.1 はボトリング・マシンの例 を前 提 としています。まず左 端 の欄 の製
品 コードと製 品 名 (製 番 )を入 れ、ファミリーツリーからその子 部 品 (部 組 )を列 挙 し
ます。さらに、その右 欄 に子 部 品 (部 組 )の子 部 品 (部 品 )を列 挙 します。図 5.3 の
製 番 レベルを製 品 とし、部 組 および部 品 の3レベルまでを対 象 に部 品 表 化 すること
を前 提 に表 5.1 ができています。つまり、ボトリング・マシーンのケースでは図 5.3 か
ら部 品 レベルで製 作 部 品 と購 入 部 品 が仕 分 けされていることから、このレベルで生
産 /購 買 の区 分 が確 定 することを条 件 として表 5.1 が作 成 されているという背 景 が
29
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第1章 製品開発と図面管理
あります。
ライン
受注表(製造指図表)
製番1
製番2
…
製番10
部組目録
…
部組1(フィラ) 部組2(ラベラ)
社外設計部品
部組99
社内設計部品
部品表(製作部品表、購入部品表)
部品1
購入部品(図面なし)
部品2
…
製作部品(図面あり)
外作部品
内作部品
図 5.3 ボトリング・マシーンの設 計 段 階 ファミリーツリー
表 5.1 設 計 用 部 品 表 のフォーマット
(Point1)
設 計 関 係 部 署 等 にて情 報 収 集
30
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第1章 製品開発と図面管理
表 5.2 表 5.1 の記 入 項 目 の説 明
項目名
手順2
内容
製 品 コード
当 該 製 品 の製 品 番 号 またはコード
製品名
製 品 名 または製 品 番 号
部 組 ・部 品 コード
当 該 製 品 を構 成 する部 品 番 号 またはコード
部 組 ・部 品 名
部 品 名 または部 品 番 号
分類
当 該 部 品 の製 造 ・購 買 区 分 *
図面番号
図面番号
備考
その他 の情 報
表 5.3 のように項 目 を以 下 の順 で入 力 してください。
1.製 品 コード、製 品 名 、部 組 コード、部 組 名 を入 力 します。
ここでは[フレーム部 ]と入 力 します。
2.次 にフレーム部 を構 成 する部 品 コード、部 品 名 、数 量 を入 力 します。
3.入 力 した部 品 が製 造 によるものか購 買 によるものかの分 類 を入 力 します。購
買 と入 力 した場 合 は、その購 入 先 を入 力 して下 さい。
4.図 面 番 号 と必 要 情 報 を入 力 して下 さい。
5.表 5.4 のように赤 枠 部 をコピーして空 白 を埋 めてください。
表 5.3 データの入 力 状 況
31
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第1章 製品開発と図面管理
表 5.4 親 部 品 名 ・コードのコピー
手 順 3 手 順 2と同 様 に部 組 名 [駆 動 部 ]の部 品 コード、部 品 名 から図 面 番 号 まで入 力 し
下 さい。また、空 白 も埋 めてください。
手 順 4 手 順 2と同 様 に部 組 名 [ロータリテーブル部 ]の部 品 コード、部 品 名 から図 面 番 号 まで
入 力 して下 さい。また、空 白 も埋 めてください。
32
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第1章 製品開発と図面管理
手 順 5 手 順 2と同 様 に部 組 名 [ロータリテーブル部 ]の部 品 コード、部 品 名 から図 面 番 号
まで入 力 して下 さい。これで、製 品 名 「NW32」を構 成 する3つの部 組 の各 々を構 成
する部 品 が全 て表 5.5 のように部 品 情 報 として 入 力 すると作 業 が終 了 します。最
後 に、仕 切 り線 を引 いて完 成 です。
※実 際 は更 に多 くの部 組 数 や部 品 数 がありますので続 けて入 力 して下 さい。
表 5.5 設 計 用 部 品 表 の完 成 イメージ
【説 明 】
IT 治 具 に作 成 した上 記 [設 計 用 部 品 表 ]をインポートさせると、分 類 項 の製 造
又 は購 買 の情 報 により製 造 用 部 品 表 と購 入 用 部 品 表 に自 動 分 離 し、表 示
します。
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第1章 製品開発と図面管理
1.5.3 製 造 用 部 品 表 (工 程 表 )の作 成 方 法
設 計 用 部 品 表 の分 類 項 で[製 造 ]と分 類 した部 品 に関 する部 品 表 である製 造 用 部 品
表 (工 程 表 )を作 成 します。
この製 造 用 部 品 表 も IT 治 具 に直 接 インポートするデータベースになります。
( Point2)
工 程 設 計 関 係 部 署 等 にて情 報 収 集 。また、各 工 程 の詳 細 情 報 は現 場
スッタフにて確 認 して下 さい。
手 順 1 表 5.6 のフォーマットに基 づき表 5.7 の項 目 内 容 を調 査 し、結 果 をまとめて下 さい。
表 5.6 製 造 用 部 品 表 の形 式
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第1章 製品開発と図面管理
表 5.7 製 造 用 部 品 表 作 成 のための項 目 説 明 (●IT 治 具 が認 識 する情 報 )
情報分類
部品情報
項目
製 品 ・製 番 コード
製 品 ・製 番 名
部 組 コード
部組名
部 品 コード
部品名
数量
工程順
工程番号
工程名
工程情報
工程種類
パレット
装 備 コード番 号
装備名1
装備情報
時間情報
工程情報
装備名2
加 工 時 間 (分 )
加 工 時 間 (秒 )
非 加 工 時 間 (分 )
非 加 工 時 間 (秒 )
工程情報
内容
製 品 コード又 は型 式 を入 力
製 品 名 を入 力
部 組 コードを入 力
製 品 又 は製 番 を構 成 する部 組 名 を入 力
部 品 コードを入 力
加 工 物 の名 称 を入 力
数 量 を入 力
加 工 順 序 の番 号 を入 力
各 工 程 の固 有 番 号 を入 力 (重 複 使 用 はできません)
具 体 的 な工 程 名 を入 力
工 程 の種 類 を決 定 します。
[設 置 ]・[切 削 ]・[洗 浄 ]・[組 立 ]・[検 査 ]・[熱 処 理 ]・
[塗
装 ]・[除 去 ]
の8つの種 類 があります。
※レ イア ウトエディ タ ( 別 資 料 で解 説 し ま す)と 一 致 さ せ てくださ
い。
A~I までアルファベット大 文 字 の9種 類 から選 択 します。(当 初
は全 て A としてください)
装 備 のコードがあれば入 力 (この情 報 は IT 治 具 が認 識 しません)
この工 程 を実 行 する装 備 名 を入 力
同 工 程 を複 数 台 で実 行 する場 合 は併 記 してください。
(3台 目 以 降 は「列 」を挿 入 して入 力 してください)
この工 程 の所 要 時 間 を分 単 位 で入 力 します。
この工 程 の所 要 時 間 を秒 単 位 で入 力 します。
この工 程 の段 取 り等 の所 要 時 間 を分 単 位 で入 力 します。
この工 程 の段 取 り等 の所 要 時 間 を秒 単 位 で入 力 します。
工 程 情 報 を入 力
手 順 2 表 5.8 のように以 下 の項 目 を入 力 します。
①製 品 コード ②製 品 名 ③部 組 名 ④部 品 コード ⑤部 品 名 ⑥工 程 名
※部 品 名 に部 品 コードを付 しているのは、異 なる部 組 名 に対 し同 じ部 品 名 が
あるためにこれを IT 治 具 が判 別 するためです。
【重 要 事 項 】
全 ての加 工 部 品 の工 程 作 成 にあたり、最 初 に[設 置 ]又 は[投 入 ]の工 程 を設
定 して下 さい。また、最 後 に[除 去 ]工 程 を設 定 してください。
これは、IT 治 具 が加 工 の始 まりと終 了 を認 識 するためです。
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第1章 製品開発と図面管理
表 5.8 工 程 名 と工 程 番 号 の入 力
部 品 [フレームベッド]は作 業 工 程 のみですので、工 程 名 は[作 業 ]と入 力 します。
従 って、[作 業 ]の前 に投 入 工 程 を設 定 し[作 業 ]の次 に除 去 工 程 を設 定 して下 さい。
手 順 3 表 5.9 のように以 下 の項 目 を入 力 します。
⑦工 程 の[作 業 ]に割 り付 けられた装 備 名 又 は作 業 者 名 、ここでは[作 業 者 ]としま
した。
⑧工 程 の[作 業 ]に必 要 な所 要 時 間 を分 ・秒 単 位 で入 力 します。
表 5.9 工 程 の生 産 割 付 可 能 設 備 の候 補 列 挙 と加 工 、段 取 時 間 等 の入 力
工 程 [作 業 ]に割 り付 けられた[作 業 者 ]を入 力 。また、所 要 時 間 を入 力 して下 さい。
※[投 入 ]工 程 に割 り付 けられた装 備 名 は[投 入 ]として下 さい。
※[除 去 ]工 程 に割 り付 けられた装 備 名 は[除 去 ]として下 さい。
[投 入 ]・[除 去 ]工 程 はシステム上 ですので、所 要 時 間 として最 低 1秒 は入 力 して下 さい。
手 順 4 表 5.10 のように以 下 の項 目 を入 力 します。
⑨製 品 コードから部 品 名 までコピーして空 白 を埋 めてください。
⑩工 程 順 を1から番 号 を入 力 して下 さい。
表 5.10 製 品 名 ・製 品 コードおよび工 程 順 序 の入 力
コピーで空 白 を埋 めてください。
また、工 程 番 号 を1から入 力 して下 さい。
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第1章 製品開発と図面管理
手 順 5 表 5.11 のように以 下 の項 目 を入 力 します。
[パレット]の項 目 は全 て“A”と入 力 して下 さい。
⑩[工 程 種 類 ]はレイアウトと関 係 します。(表 5.12 を参 照 )
⑪部 品 [フレームベッド]の工 程 表 が完 成 です。
※この後 に、必 要 部 品 数 を続 けて入 力 して下 さい。
表 5.11 必 要 備 品 および工 程 区 分 (設 備 名 )の入 力
表 5.12 を参 照 して記 入 して下 さい。
パレットは常 に A にして下 さい。
表 5.12
工程種類の分類
工程
工 程 の種 類 を選 択 します。
種類
[設 置 ]・[切 削 ]・[洗 浄 ]・[組 立 ]・[検 査 ]・[除 去 ]の5つの種 類 があります。
・[設 置 ]:セットアップ(投 入 )でパレットに部 品 を設 置 する工 程
※1 ・[切 削 ]:マシニングセンター、旋 盤 で加 工 する工 程
・[洗 浄 ]:洗 浄 機 で処 理 する工 程
・[組 立 ]:組 立 ・マシン(ロボット等 )の工 程
・[検 査 ]:加 工 した部 品 の検 査 をする工 程
・[除 去 ]:セットアップ(除 去 )でパレットから部 品 を除 去 する工 程
※1 レイアウトエディタで、機 械 モジュール「マシニング」と「旋 盤 」を設 定 した装 備 のみ
[工 程 種 類 ]の[切 削 ]を選 択 します。
表 5.13 製 造 用 部 品 表 (工 程 表 )のサンプル
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第1章 製品開発と図面管理
1.5.4 部 品 表 データの IT 治 具 (V-FMS21(i))(注 1)へのインポートの方 法
表 5.13 の製 造 用 部 品 表 (工 程 表 )は「列 」が B~Q で、「行 」が 5~28 までの表 です。タ
イトル名 の行 数 は含 みません。以 下 の手 順 でインポートしてください。
手 順 1 図 5.4 のように[生 産 情 報 管 理 ] [インポート]を左 クリックすると図 5.5 のエクセル
データのインポートウインドウが開 きます。
図 5.4 IT 治 具 (V-FMS21(i))の画 面 例
手 順 2 図 5.5 にて①[ファイル名 ]を選 択 →②[シート名 ]を選 択
→③[部 品 名 ]~[装 備 名 ]に「列 」記 号 を入 力 →④「行 」範 囲 を設 定
→⑤[インポート]をクリック→⑥[設 定 ]をクリック
図 5.5 IT 治 具 (V-FMS21(i))でのインポート操 作 画 面
図 5.6 部 品 表 データをインポートウインドウにインポートした状 態
(注 1)New Technology Systems(NETS)社 [ 9 ] 製 ソフト名 で a,k,i 版 の3種 があります。
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製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第1章 製品開発と図面管理
参考文献
[1] K.Ishii, T.Ichimura and S.Imori, Information behavior in the development of new
product in the case of weaving machine, Proceeding of the ISPIM2008 Conference,
CD-Version,2008,pp.1-17
[2] 秋 庭 雅 夫 、黒 田 充 、田 部 勉 、石 井 和 克 、宮 崎 晴 夫 、市 村 隆 哉 、生 産 管 理 システムの
設 計 -その研 究 と活 用 -、日 本 能 率 協 会 、1986、p.232、pp.236-243
[3] R.Muramatsu, T.Ichimura and K.Ishii, An analysis of needs assessment and
information
behavior
in
product
development
based
on
the
fusion
model,
Technovation, 1990,Vol.10, No.5,pp.305-317
[4] 大 竹 操 、ふ と ん 乾 燥 機 の 商 品 イヒに つ い 、 品 質 、 1978、 Vol.29,No.8,pp.18-21
[5]澤 田 善 治 郎 監 修 、名 古 屋 QS 研 究 会 編 集 、実 践 現 場 の管 理 と改 善 講 座 12-作 業 改
善 第 2版 -、日 本 規 格 協 会 、2012、pp.135-143
[6] K.Ishii and M.Nakano, IT Educational Tools (IT Jigs) for Production Planning and
Control, Proceedings of the 20th ICPR CD-Version,2009,pp.1-8
[7] K.Ishii and M.Nakano, IT EDUCATIONAL TOOLS FOR PRODUCTION MANAGER
BY COMBINATION OF THREE TYPES OF BOMS, The Proceedings of the 12th
APIEMS 2011,pp.658- 663
[8] 石 井 和 克 、特 許 :生 産 管 理 装 置 及 び 生 産 管 理 方 法 、特 許 第 4242816 号 (2009)
[9] http://nets-sys.com/(2013.7.2)
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
演習編
第 2章 部 品 表 による工 程 管 理
2.1 ファミリーツリー分 析 演 習
2.1.1 演 習 課 題
以 下 に、ファミリーツリー分 析 [1]を使 った工 程 設 計 事 例 として塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 の
開 発 事 例 と情 報 システムのファミリーツリーの設 計 用 と工 程 設 計 用 の事 例 を紹 介 します。
この事 例 を参 考 に以 下 の検 討 を行 ってください。
(1) あなたの会 社 の主 な製 品 から1つ選 んで、講 義 編 第 1章 を参 照 して以 下 の作 業 を行
ってください。
①
表 2.1.1を使 ってその製 品 の特 徴 を確 認 してください。
表 2.1.1 製 品 戦 略 分 析 表 [2]
基本製品特性*
ニ
|
ズ
の
変
化
↓
②
現製品
競合製品
新(改良)製品
1.仕 様 ・ 性 能
2.信 頼 性
3.安 全 性
4.保 全 性
5.操 作 性
6.見 栄 え ( フ ィ ー リ ン グ )
7.運 搬 ・ 保 存 性
8.TLCC*
9.タイミング
10.保 証 事 項
11.廃 棄 性
表 2.1.2 を使 ってその製 品 に対 する顧 客 要 望 を整 理 してください。
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.2 製品基本特性表[3] (秋庭他、生産管理システムの設計、日本能率協会、1986、p.258 加筆)
基本特性*
定
義 **
材 料 、製 品 、工 具 、設 備 等 について要 求 する特 定 の形 状 、成 分 等 CGS単 位
仕 様 /性 能
または元 の比 率 で表 せるもの。/製 品 の使 用 目 的 と合 致 性 に関 する項 目 で
能 力 、精 度 等 に直 接 関 係 を持 ち、CGS単 位 の組 み合 わせで表 せるもの。
信頼性
安全性
保全性
操作性
運 搬 /保 存 性
フィーリング
TLCC
保証事項
廃棄性
ある項 目 が与 えられた条 件 で期 間 中 要 求 された機 能 を果 たすことができる
性 質 のこと。
人 間 の死 傷 または資 材 に損 失 もしくは損 傷 を与 えるような状 態 のないこと。
ある項 目 を使 用 および運 搬 可 能 な状 態 に維 持 したり、故 障 、欠 点 等 を回 復
するための全 ての処 置 および活 動 に関 する性 質 のこと。
操 作 、人 力 またはその他 の方 法 によって対 象 とする機 器 に所 定 の状 態 変
化 を行 わせること。
ある位 置 から他 の位 置 へ移 動 または一 定 の場 所 に保 存 する場 合 に起 こる
状 態 の性 質 のこと。
人 間 の感 覚 に基 づく性 質 で官 能 値 により表 されるもの。
Total Life Cycle Costの略 。金 額 表 示 される内 容 で購 入 →使 用 →廃 棄 に関
わる費 用 のこと。
アフターサービスの条 件 、保 証 期 間 等 によって示 される内 容 のこと。
製 品 の廃 棄 に伴 う性 質 で解 体 容 易 性 、分 別 容 易 性 、リサイクル率 等 のこと。
その他
③
表 2.1.3~2.1.6 を参 考 に商 品 特 性 (顧 客 の言 葉 で表 記 した要 望 )と技 術 特 性 (設 計
目 標 になる技 術 的 尺 度 )の関 係 を整 理 してください。
(2) 上 記 (1)で選 んだ製 品 ファミリーツリーをスケッチして下 さい。
(3) 以 下 の手 順 で工 程 設 計 をしてください。
手 順 1 製 品 の基 本 仕 様 をファミリーツリーの形 に整 理 する。
手 順 2 製 品 の構 成 品 および部 品 の組 合 せと設 計 開 発 の際 に目 標 とした技 術 特 性 との関
係 を明 らかにする。
手 順 3 工 程 能 力 、コストおよび納 期 を考 慮 し、構 成 品 および部 品 等 を自 社 内 で内 製 化 す
るか外 注 または購 買 先 から購 入 するかといった内 外 作 ・購 買 区 分 を明 らかにする。
(4) 対 象 製 品 の生 産 計 画 を調 査 して納 期 条 件 と製 品 ・仕 掛 在 庫 および生 産 指 示 方 式 、
運 搬 方 式 の検 討 をしてください。なお、この部 分 は予 習 として考 えてください。
以上の手順により工程図が決定され、加工・組立、検査、保管の工程内容が定
められます。
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.3 塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 開 発 の製 品 特 性 展 開 事 例
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.4 エアコン開 発 事 例 の製 品 特 性 展 開 事 例 [2]
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.5 女 性 用 ケーキファンデーションの製 品 特 性 展 開 事 例
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.6 歯 科 材 料 開 発 の製 品 特 性 展 開 事 例
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第2章 部品表による工程管理
2.1.2 塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 開 発 事 例 [1]
事 例 としたX社 は 1942 年 に創 立 され、従 業 員 400 名 、1986 年 実 績 で年 間 売 上 85 億
円 、資 本 金 25,500 万 円 、製 品 は塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 と冷 間 圧 造 機 械 を主 力 としてい
ます。本 事 例 での開 発 方 針 は以 下 の通 りです。
①
自 社 の R&D 部 門 により新 技 術 を開 発 する。
②
自 社 の既 存 マーケットチャンネルを活 用 する。
③
競 合 製 品 および自 社 既 存 製 品 に新 しいセールスポイントを付 加 する。
④
既 存 製 品 のセールスポイントのレベルを上 げる。
X社 では塗 装 方 法 の違 いにより塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 をいくつかの製 品 グループに
層 別 していました。表 2.1.7 は塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の製 品 グループ分 析 結 果 です。こ
の分 析 によりX社 は“A”製 品 グループのマーケットシェアを増 加 させることを目 標 としました。
表 2.1.8 は 1986 年 当 初 における A 製 品 グループの国 内 市 場 状 況 を示 しています。
表 2.1.7 Y 社 の製 品 系 列 分 析 結 果
市 場 成 長 性 \市 場 占 有 率
高
高
中
C 製 品 グループ
中
A 製 品 グループ
D 製 品 グループ
低
表 2.1.8
低
B 製 品 グループ
塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の国 内 市 場 の占 有 状 況 (1986 年 )
企 業 規 模 \業 界
A
H
F
M
大
Y
Y
Y
Y
中
Y
Y>Z>X
Y
Y>Z>X
小
Y
Y>Z>X
Y>Z>X
Y>Z>X
(注 )各 欄 において「Y」は Y 社 による市 場 独 占 状 況 を、「Y>Z>X」は各 社 の市 場 占 有 率 の大
小 関 係 を意 味 します。
Y 社 は当 時 の塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 市 場 を殆 ど独 占 していました。これは Y 社 が過
去 この分 野 で基 本 特 許 を保 有 していたためでした。1981 年 、この基 本 特 許 の効 力 が消 失
した後 にX社 Z 社 が市 場 参 入 を行 いました。X社 のマーケットシェアは当 時 、最 下 位 でした
が数 種 類 の製 品 を市 場 に出 していました。当 初 はクレームが多 発 する状 況 が続 きました。
製 品 分 析 と市 場 調 査 の結 果 に基 づきX社 は以 下 の開 発 目 的 を設 定 し、新 製 品 開 発 を開
始 したのは 1986 年 の中 頃 でした。
①
Y 社 の独 占 状 態 の打 破
②
X 社 自 体 の市 場 占 有 率 の向 上
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第2章 部品表による工程管理
競 合 品 の比 較 分 析 をクレーム調 査 に基 づき、開 発 目 標 を以 下 のように設 定 しました。
①
多 種 多 様 な被 塗 装 物 に適 用 し、かつ、様 々の塗 装 性 能 を有 すること。
②
塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 のトラブルによりユーザーの生 産 ラインが停 止 しないこと。
③
洗 浄 が容 易 なこと。
図 2.1.1 は開 発 された塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の概 観 です。また、図 2.1.2 は構 成 品 の
アトマイジングヘッドセット部 のスプレイ部 分 の写 真 です。
図 2.1.1 開 発 された塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の概 観
47
製造中
中核人材育成セ
セミナー テキス
スト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習
習編(Web 版)
第2章
章 部品表による
る工程管理
ア
グヘッドセット
ト部 (スプレイ
イ)の説 明 図
図 2.1.2 アトマイジング
図 2.1.3 は開
開 発 された塗
塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 の 基 本 仕 様 から直
か
接 作 成 された最 初 のフ
ァミリ ーツリーの一
一 部 です。表
表 2.1.4 は技
技 術 特 性 の 関 係 から図 2.1.1 のファ
ァミリーツリー
ーを修
正 して
て工 程 設 計 用 に作 成 した製
し
品 ファ
ァミリーツリー
ーの一 部 を示
示 しています
す。表 中 、最
最終段
階 の ファミリーツリ
リーでは、図
図 2.1.1 中 の
の空 気 管 がエアノズル孔
が
孔 径 等 3つの
の技 術 特 性 、メイ
ンユニ
ニットのター ボセットがア
アンバランス量
量 の技 術 特 性 との関 係 から修 正 さ れていること
とが分
48
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第2章 部品表による工程管理
かるでしょう。
図 2.1.4 は表 2.1.3 に基 づき作 成 された工 程 計 画 案 の一 部 を示 す工 程 図 です。図
2.1.4 より、品 質 保 証 のための工 程 管 理 は、[A]および[A,3]では工 程 外 検 査 で、[A,2]’は
工 程 内 検 査 で行 われ、[A,1,1]および[A,1,2]では治 工 具 で無 検 査 化 が図 られ品 質 の作
込 みがなされたことが判 るでしょう。
また、表 2.1.4 は、この塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の開 発 過 程 における商 品 特 性 、技 術 特
性 およびファミリーツリー分 析 から作 成 された工 程 図 (図 2.1.4)から作 成 された工 程 特 性
の 相 互 関 係 を ま と め た も の で す 。 こ れ ら の 特 性 展 開 に 基 礎 に 設 計 用 FMEA や 工 程 用
FMEA の作 成 や改 善 活 動 が展 開 されます。
1988 年 6 月 時 点 で今 回 対 象 となった製 品 は、約 50 セットが販 売 されました。
その時 まで、生 産 ラインの停 止 に至 るようなクレームは皆 無 で、また、クレームとして処 理
しなくてはならない事 例 は一 件 のみでした。
塗装機
アトマイジング
ヘッドセット
メイン
ユニット
ペイント
バルブ
アトマイジング
高抵抗
セット
5
…
スプリング
サポートセット
…
図 2.1.3 基 本 仕 様 から直 接 作 成 された製 品 ファミリーツリー(設 計 用 部 品 表 )
49
2
1
…
3
1
1
…
6
1
1
…
4
…
1
インナー
カップ
ボルト
アウター
カップ
9
3
1
空気管
スクリュー
シャフト
セット1
静電
ケーブル
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.9 工 程 設 計 用 製 品 ファミリーツリーと塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の技 術
ファミリーツリー(最終段階)
技術特性
塗装機
A
ガン重量
ガン寸法
回転数
アトマイジング
ヘッドセット
A,1
アンバランス量
アトマイジング
A,1,1
アウターカップ
A,1,1,1
インナーカップ
A,1,1,2
空気管
A,1,2
エアノズル孔径
エアノズル孔数
エアノズル噴射角度
スクリュー
A,1,3
メインユニット
A,2
アンバランス量
ターボセット
A,2’
A,2,1
A,2,2
A,2,3
~
ペイントバルブ
A,3
重量
寸法
№1項目
ボルト
A,3,1
シャフト
A,3,2
静電ケーブル
A,4
(注)
A,4,1
構成品/部品と技術特性の関連を示す
設計直後のファミリーツリーに対し変化のあったツリー構成
A,1,1,1
A,1
A,1,1
A,1,1,2
A,1,2
A,1,3
A,2,1
A
A,2
A,2’
A,2,4~
A,3
A,3,1
A,3,2
A,4
A,4,1
生産工程
検査工程
物の流れ
図 2.1.4 塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 械 の工 程 図
50
A,2,2
A,2,3
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第2章 部品表による工程管理
表 2.1.10 塗 装 機 械 塗 装 機 械 械 開 発 の製 品 特 性 展 開 事 例
51
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第2章 部品表による工程管理
2.2 生 産 計 画 と生 産 統 制 演 習 [4]
2.2.1 3つのマスターの作 成 方 法
2.2.1.1 工 程 マスターの作 成 方 法
工 程 マスター(図 2.2.1~2.2.2)はレイアウトエディタを用 いて予 め機 械 の選 択 を行 った
加 工 設 備 (マシニングセンター、旋 盤 、検 査 機 など)を元 に工 程 種 類 (設 置 、切 削 、洗
浄 、・・)と数 を決 定 し、加 工 物 を生 産 する加 工 手 順 と以 下 に示 す(1)~(7)の工 程 情 報 を入
力 したものです。つまり、入 力 項 目 (1)~(5)は手 順 計 画 の結 果 であり、(6)~(7)が工 数 計 画
の結 果 になります。入 力 項 目 は以 下 の通 りです。
(1) 工 程 番 号 :工 程 ごとの番 号 で重 複 して使 用 は出 来 ません。工 程 番 地 と考 えて下 さい。
(2) 工 程 名 :具 体 的 な加 工 工 程 の内 容 。(例 )投 入 ・穴 あけ加 工 ・ねじ加 工 等 、又 は、工
程 1・工 程 2等
(3) *工 程 種 類 :設 置 ・切 削 ・洗 浄 ・組 立 ・検 査 ・除 去 の6種 類 があります。下 記 説 明 を参
照 して下 さい。
(4) パレットタイプ:加 工 物 を各 工 程 に搬 送 する際 に使 用 する治 具 でトレーと考 えて下 さ
い。
(5) プログラム:数 値 制 御 工 作 機 (NC 工 作 機 )は加 工 プログラムにより制 御 されます。従 っ
て、工 程 種 類 が切 削 の場 合 のみ情 報 入 力 し、設 定 します。
(6) 加 工 時 間 :工 程 処 理 にかかる実 加 工 時 間 で設 計 時 に算 出 するか、経 験 的 時 間 値 を
使 用 します。
(7) 非 加 工 時 間 :加 工 プログラムのセットや交 換 、必 要 備 品 ・資 材 の準 備 など段 取 作 業 と
しての実 加 工 時 間 以 外 の時 間 です。
なお、上 記 (1)~(6)項 目 の入 力 設 定 は必 須 項 目 です。
*工 程 種 類 (図 2.2.1)は以 下 の6種 類 があり、図 2.2.3 のレイアウトエディタの内 容 により
分 類 します。
①
設 置 :投 入 又 はセットアップ工 程 (レイアウトエディタの装 備 の設 定 作 成 時 にセットアッ
プを使 用 した場 合 )
②
切 削 :加 工 工 程 (レイアウトエディタの装 備 の設 定 作 成 時 に旋 盤 又 はマシニングを使
用 した場 合 )
③
洗 浄 :洗 浄 工 程 (レイアウトエディタの装 備 設 定 作 成 時 に洗 浄 機 を使 用 した場 合 )
④
組 立 :組 立 工 程 (レイアウトエディタの装 備 設 定 作 成 時 に組 立 機 を使 用 した場 合 )
⑤
検 査 :検 査 工 程 (レイアウトエディタの装 備 設 定 作 成 時 に検 査 機 を使 用 した場 合 )
⑥
除 去 :除 去 又 はピックアップ工 程 (レイアウトエディタの装 備 設 定 作 成 時 にセットアップ
を使 用 し除 去 とした場 合 )
・レイアウト作 成 時 に「機 械 の選 択 」のメニューにないもの、例 えば「放 電 加 工 機 」を考 慮 し
たい場 合 は、機 械 の選 択 をマシニングセンターとして、「工 程 種 類 」を②の切 削 として選
52
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
択 して下 さい。
図 2.2.1 工 程 マスター画 面 例
図 2.2.2 部 品 マスター画 面 の拡 大 図 (工 程 種 類 )
図 2.2.3 レイアウトエディタ(機 械 の選 択 )と工 程 種 類 の関 係
2.2.1.2 装 備 マスターの作 成
装 備 マスター(図 2.2.4)は工 程 マスター(図 2.2.1)で入 力 された加 工 工 程 をどの加 工
設 備 で処 理 するかを決 定 し、割 り付 けるマスターファイルです。つまり、この装 備 マスターを
作 成 することが設 備 ごとの負 荷 計 画 を作 成 することを意 味 します。レイアウトエディタで設
定 した装 備 が図 2.2.4 の赤 枠 の[装 備 情 報 ]に自 動 表 示 され、青 枠 のID項 に工 程 種 類 の
マークが表 示 されます。従 って、工 程 マスターが作 成 されていないと装 備 マスターを作 成
することはできません。
装 備 情 報 のマシニングをクリックすると前 項 の工 程 マスタ―の工 程 種 類 で[切 削 ]を選 定
した工 程 のすべてが緑 枠 の[追 加 可 能 な工 程 ]に表 示 されます。
53
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第2章 部品表による工程管理
この[追 加 可 能 な工 程 ]の中 からマシニング(MC01)という設 備 に割 り付 ける工 程 を選 択 し、
追 加 (割 付 )をします。図 2.2.5、図 2.2.6 ではマシニングと旋 盤 という8個 の工 程 の中 からマ
シニングという4つの工 程 のみを割 り付 けるという負 荷 計 画 を立 てている様 子 を示 していま
す。
* [装 備 情 報 ]で、ある装 備 を選 択 した際 、[追 加 可 能 な工 程 ]に表 示 する工 程 内 容 は工
程 マスターにおいて[工 程 種 類 ]で設 定 した同 種 の工 程 のみを表 示 します。
図 2.2.4 装 備 マスターの画 面 例
図 2.2.5 追 加 可 能 な工 程 の中 から割 付 中 の画 面 例
2.2.1.3 部 品 マスターの作 成 方 法
54
図 2.2.6 割 付 終 了 状 況 の画 面 例
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第2章 部品表による工程管理
部 品 マスター(図 2.2.7~2.2.13)は工 程 マスターで入 力 された部 品 または製 品 と工 程
の組 み合 わせから作 成 された工 程 リストの中 から、部 品 又 は製 品 ごとの工 程 に振 り分 けて、
各 部 品 や製 品 の納 期 を管 理 するために使 用 するマスターファイルです。この部 品 マスター
と生 産 計 画 を結 びつけることで日 程 計 画 の検 討 が可 能 になります。
手 順 1 図 2.2.7 の白 紙 の部 品 マスター左 下 の[追 加 ]をクリックすると New Item の入 力 枠
が表 示 されます(図 2.2.8)。この枠 に生 産 計 画 で入 力 した製 品 ・部 品 名 を入 力 し
て 追 加 をクリックすると(図 2.2.9)、工 程 マスターで作 成 した全 工 程 が[工 程 追 加 ]
として表 示 されます(図 2.2.10)。
手 順 2 次 に[工 程 追 加 ]表 の中 から当 該 製 品 ・部 品 に関 する工 程 を選 択 し(図 2.2.11)、
[追 加 ]をクリックすると、当 該 部 品 の工 程 が[部 品 情 報 ]に設 定 されます(図
2.2.12)。
手 順 3 工 程 マスターで入 力 した工 程 を全 て割 り付 けた画 面 (図 2.2.13)。
図 2.2.7 部 品 マスターの初 期 画 面
図 2.2.8 部 品 マスター作 成 開 始 操 作 画 面
55
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第2章 部品表による工程管理
図 2.2.9 工 程 マスターを部 品 マスターに読 込 む操 作
図 2.2.10 読 込 まれた工 程 マスター画 面
図 2.2.11 工 程 マスターから製 品 A の必 要 工 程 を割 り付 ける画 面
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第2章 部品表による工程管理
図 2.2.12 部 品 マスターに割 り付 けられた製 品 Aの工 程 リスト
図 2.2.13 生 産 計 画 対 象 の製 品 A~D までの部 品 マスター作 成 終 了 画 面 例
以上の3種のマスターを作成する手順は手順計画から工程別負荷計画作成とい
う工程設計を工程管理に結びつける重要な意思決定過程です。従って、工程管理
上の多くの有効なノウハウがあるはずですが、これが形式知化(マニュアルや情
報システム化)されていません。自社のデータを使ってこの作業をする際に、現
場担当者と良く話をしてこの作業をすることで多くの工程管理に関する自社内ノ
ウハウの発見が期待できます。
57
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第2章 部品表による工程管理
2.2.2 生 産 計 画 と生 産 統 制 演 習
この節 では生 産 計 画 と生 産 統 制 問 題 について簡 単 な数 値 例 を紹 介 します。これを参 考
に IT 治 具 の使 い方 を習 得 した上 で、X社 のボトリングマシンのデータを使 って演 習 を行 い
ます。
受 講 生 はX社 の事 例 を参 考 にして、自 社 の製 品 および生 産 工 程 についてのデータを部
品 表 として準 備 した上 で、自 社 の工 程 管 理 上 の問 題 について、その解 決 法 を検 討 してく
ださい。
2.2.2.1 IT治 具 の操 作 法 と情 報 表 示 法
日 程 計 画 問 題 を効 率 的 に扱 うためにIT治 具 を演 習 で用 います。そのためにIT治 具 の基
本 的 操 作 方 法 を習 得 します。
図 2.2.14は受 注 処 理 から日 程 計 画 間 での流 れと先 に作 成 法 を紹 介 した3つのマスター
との関 係 を示 したものです。
受注処理
↓
購買用部品表
所要量計算表
設計用部品表
レイアウト計 画
製造用部品表
工 程 マスター
購買計画
受注選択
↓
受注
手順計画
工数計画
レイアウトエディタ
手入力操作
計
基準生産計画
受注表
負荷計画
設備別
負荷計算表
画
I T 治 具
データベース
装 備 マスター
:機 械 支 援 応 答 操 作
日程計画
FMS シミュレータ
Scheduling
部 品 マスター
:自 動 操 作
:マニュアル操 作
ガントチャート表 示 装 置
図 2.2.14 IT治 具 の操 作 手 順 と生 産 計 画 立 案 手 順 との関 係
58
製造中核人材育
製
育成セミナー テキスト
テ
ナレッジチェーン・マネジメン
ント 演習編(W
Web 版)
第2章 部
部品表による工程管理
こで使 用 する
る表 示 法 の用
用 語 は New
w Technologgy Systems:: NETS 社 製 シミュレー ション
ここ
ソフト
ト V-FMS211(a)[5]で使 用 されている
るもので、必
必 ずしも一 般 用 語 ではな
ないのでその
の用 語
には 「“”」の表 示 をして表 記 しておきます
す。
(1) 手 順 計 画 と 工 数 計 画 の情
の 報
各 注 文 や品 種 の生 産 順 序 と生 産 時 間 の情 報 の表
の 示 法 とし
して図 2.2.155に示 すような
な”部
品 マス
スター”と呼
呼 ぶ製 造 用 部 品 表 を使 用 します。図
図 2.2.15の部
部 品 マスター
ーから生 産 品 種 A
(注 文 No.1:OR D1)について
て以 下 の内 容 が読 み取
取 れます。
生 産 品 種 Aの
の生 産 順 序 と生
と 産時間は
は、投 入 A( 5分 )→旋 盤 (15分 )→マ
マシニング(
(40分 )
→洗 浄 (10分 )→
→組 立 (20分
分 )→検 査 ( 5分 )→除 去 A(5分 )で
で、全 7工 程 の
の総 生 産 時 間 は
100分
分 (()内 の生
生 産 時 間 を合
合 計 した時 間 )であると
ということにな
なります。なお
お、旋 盤 とマ
マシニ
ングの
のプログラム
ム欄 には記 載 があります
すがこれは数
数 値 制 御 機 械 を想 定 して
ていますので
で、そ
のため
めのプログラ
ラムを意 味 します。
し
図 2.2.15 “部 品 マスタ
ター“の例
(2) 生 産 計 画 の情
の 報
日 程 計 画 問 題 の計 画 対 象 となる全 注 文 または 生 産 品 種 のリストとそれ
の
れらを生 産 する期
す
間 の 情 報 は図 2 .16に示 す” 生 産 計 画 ””として表 記 されます。図
図 2.2.16の左
左 上 に示 され
れるよ
う に こ の 生 産 計 画 問 題 は A ( 注 文 番 号 ODR001) 、 B ( 注 文 番 号 ODR0022) 、 C ( 注 文 番 号
ODR
R003)の3品 種 が対 象 になります。生
に
生 産 計 画 から
ら以 下 の情 報 が読 み取
取 れます。
①
「何 時 までに
に?」は「開 始 日 時 」と「終
終 了 日 時 」を
を見 ます。
開 始 日 時 とは生
生 産 開 始 できる日
で
時で
ですので、必 要 資 材 等 のすべてがそ
の
そろっている
る場 合
は、
*「「時 点 計 画 法 」なら注 文 到 着 時 点 を
を意 味 し、
*「「期 間 山 積 計 画 法 」なら
ら計 画 期 首 を
を意 味 します
す。
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
なお、材 料 遅 れ等 の情 報 が予 め分 かっていれば、その時 点 が開 始 可 能 時 点 となります。
図 2.2.16では期 間 山 積 計 画 法 を取 っているので3つの品 種 (注 文 )は全 てから2006年 1
月 29日 になっています。
終 了 日 時 は各 品 種 (注 文 )の納 期 を意 味 します。図 2.2.16では全 品 種 が同 じで2006年
2月 5日 になっています。
図 2.2.16 生 産 計 画 例
②
「どんな品 種 ・注 文 を?」は「部 品 名 」と「注 文 名 」から
→A製 品 (注 文 番 号 01)、B製 品 (注 文 番 号 02)、C製 品 の3品 種 (注 文 番 号 03)を、
③
「何 個 生 産 しなければならないか?」は「総 数 量 」から
→各 製 品 1個 ずつ、
なお、図 2.2.16の左 端 の欄 の「No.」は注 文 到 着 順 を意 味 し、「ロットサイズ」は1度 に同
じ品 種 をまとめて生 産 する時 の個 数 、「ロット数 」は所 定 のロットサイズで注 文 に必 要 なすべ
ての数 量 (総 数 量 )を生 産 するための繰 り返 し回 数 を意 味 するので、
総 数 量 =ロットサイズ×ロット数
の関 係 が成 り立 ちます。
中 央 の「優 先 」の欄 は日 程 計 画 立 案 の際 に生 産 優 先 順 位 を計 画 立 案 者 が予 め決 めて
おきたい場 合 の品 種 または注 文 の優 先 順 位 を意 味 します。
右 端 の「状 態 」の欄 はIT治 具 のシミュレータを動 かす以 前 では「待 機 」、動 かした後 の状
態 は「完 了 」と表 示 されます。シミュレーションを行 う前 には必 ずこの欄 が「待 機 」であること
を確 認 する必 要 があります。
(3) IT治 具 操 作 法 演 習
①
3つのマスターの作 成 演 習
講 義 編 テキストp.56の表 3.3の部 品 マスターを以 下 の手 順 で作 成 して下 さい。
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第2章 部品表による工程管理
手 順 1 レイアウトエデイタ(操 作 方 法 は別 紙 マニュアル参 照 )を使 い指 定 のレイアウト図 (AGV
ルートと使 用 設 備 配 置 )を作 成 する。使 用 設 備 は旋 盤 、マシニング、洗 浄 機 、検 査
機 、セットアップ(取 付 )、セットアップ(除 去 )、ステーション、自 動 倉 庫 (5連 ・3段 )。
演 習 対 象 の工 場 レイアウトは図 2.2.17に示 されるものとします。
スタッカークレーン(SC)
倉庫
洗 浄 機 (WA):工 程 4
検 査 機 (IN):工 程 5
除 去 :工 程 6
セ ッ ト ア ッ プ (SU) : 工 程
AGV(搬 送 車 )
旋 盤 (LT):工 程 2
マシニング(MC)工 程 3
図 2.2.17 対 象 職 場 のレイアウト
手 順 2 工 程 マスターを作 成 する。なお、その際 の工 程 番 号 は、製 品 Aは10~、製 品 Bは2
0~、製 品 Cは30~とする。また、パレット(加 工 物 を載 せて加 工 、運 搬 、保 管 する
ための装 備 )については、製 品 AはパレットA、製 品 BはパレットB、製 品 Cはパレッ
トCとする。また、旋 盤 およびマシニングには数 値 制 御 用 プログラムが必 要 なので、プロ
グラムの選 択 をして設 定 (インストール)します。この際 、プログラムの選 定 は任 意 で
構 いません。
手 順 3 装 備 マスターを作 成 する。装 備 マスターとはレイアウト図 に設 置 された設 備 (旋 盤 、
マシニング、洗 浄 機 、検 査 機 、セットアップ(取 付 )、セットアップ(除 去 )のどの工 程
を処 理 可 能 かの生 産 技 術 的 な検 討 を行 うために作 成 されます。例 えば、洗 浄 機 で
は洗 浄 は行 えますがマシニングや旋 盤 作 業 は行 えません。従 って、洗 浄 機 には洗
浄 工 程 (作 業 )が割 付 可 能 となります。しかし、マシニング(正 確 にはマシニングセ
ンター)ではマシニング工 程 (作 業 )と旋 盤 作 業 のどちらでも可 能 ですし、セットアッ
プ(段 取 作 業 者 )では投 入 と除 去 の両 方 が可 能 です。このような検 討 を行 うことが
手 順 計 画 と呼 ばれる内 容 です。この演 習 では、手 順 計 画 を以 下 の前 提 で作 成 し
61
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第2章 部品表による工程管理
て下 さい。
表 2.2.1 装 備 マスター作 成 上 の条 件
装備名
マシニング
旋盤
工程名
マシニング
旋盤
手順4
○
洗 浄 機 検 査 機 投 入 ステーション
洗浄
検査
除 去 ステーション
投入
除去
部 品 マスターを製 品 A、B、Cの順 に作 成 する。
日 程 計 画 (加 工 計 画 )作 成 演 習
講 義 編 テキストp.58の表 3.4の総 所 要 時 間 を求 めてください。
上 記 課 題 を、IT治 具 を使 用 して行 う場 合 は、立 ち上 げた画 面 の上 方 にある”生 産 “計
画 管 理 ”→”生 産 計 画 ”に入 り、生 産 計 画 の以 下 の事 項 を確 認 してください。
○
「部 品 名 」、「総 数 量 」が表 2.3.4と一 致 しているか?いなければ修 正 する、
○
「開 始 日 時 」が今 日 になっているか?
○
「終 了 日 時 」は演 習 時 に指 示 したものに設 定 されているか?
○
「状 態 」が”待 機 ”になっているか?なっていなければ”待 機 ”に修 正 、
○
「優 先 」が生 産 優 先 順 位 になっているか?
次 に、”生 産 計 画 管 理 ”→”加 工 計 画 ”に入 り、”作 成 (M)”を左 クリックしてガントチャート
作 成 してください。
ガントチャートの最 右 端 をクリックすると画 面 右 欄 の「終 了 時 間 」に総 所 要 時 間 が表 示 さ
れるので、これを読 み取 ってください。ただし、数 字 の表 示 は「時 間 :分 :秒 」で表 示 されて
いるので、分 単 位 換 算 すると判 りやすいでしょう。例 えば、終 了 時 間 が02:35:00と表 示 され
ていれば、2(時 間 )×60(分 )+35(分 )+0(秒 )=155(分 )が総 所 要 時 間 となります。
なお、ガントチャートが作 成 できたら画 面 右 下 の「保 存 (S)」を左 クリックしてデータを保
存 しておく必 要 があります。
2.2.2.2 生 産 統 制 演 習
講 義 編 のp.59に示 された以 下 の疑 問 に対 して演 習 で検 討 することにしましょう。
(1) 運 搬 時 間 の日 程 計 画 への影 響
(2) 設 備 故 障 (不 適 合 品 の発 生 )の日 程 計 画 への影 響
(1) 運 搬 時 間 の日 程 計 画 への影 響
自 動 搬 送 車 (AGV)およびスタッカークレーンなどの運 搬 機 器 のスケジュールの影 響 が
先 の日 程 計 画 結 果 (”加 工 計 画 ”)にどの様 に出 るか、AGVの速 度 を変 えて総 所 要 時 間
に及 ぼす影 響 を検 討 してみましょう。
運 搬 に関 する条 件 は以 下 のように設 定 するものとします。具 体 的 なIT治 具 の操 作 法 は
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第2章 部品表による工程管理
図 2.2.18および図 2.2.19を参 照 して下 さい。
・AGV速 度 :60m/分 →30m/分 →10m/分 と変 化 させる。
Loading/Unloading速 度 :5Sec.(秒 )
・各 工 程 のLoading/Unloading速 度 :5Sec.(秒 )
・スタッカークレーン速 度 :60m/分 、 Loading/Unloading速 度 :1Sec.(秒 )
上 図 の下 方 丸 囲 みのAGVと上
図 の上 方 丸 囲 みスッタカークレ
ーンの搬 送 速 度 を“60m”にす
るには、以 下 の手 順 で行 う。
(当 ソフトで物 流 を意 味 するのは
AG Vとスッタカークレーンの2種
類)
手 順 1.静 止 状 態 時 にカーソル
をAGVの上 に合 わせ、
右 クリックすると下 図 の
ダイアログが表 示 され
る。
手 順 2. 詳 細 (A) ボタンで次 のダ
イアログが表示され
る。
手 順 3.速 度 :60m/分 になっていなければ
設 定 (S) ボ タ ン を ク リ ッ ク し て 速 度
を 60m/分 にする。スタッカークレー
ン(最 初 のレイアウト図 中 の上 図
の上 方 丸 囲 み内 )も同 様 の作 業 を
する。
図 2.2.18 運 搬 速 度 の設 定 方 法
63
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第2章 部品表による工程管理
上 図 の丸 囲 み装 備 の Load Time を“5秒 ”
に設 定 するには、以 下 の手 順 で行 う。
手 順 1 . 静 止 状 態 時 に カ ーソ ル を 装 備 の 上
に合 わる。右 クリックすると下 図 の
ダイアログが表 示 される。
手 順 2.Load Time が 5sec になっているか確
認し、異なっていれば5と入 力して
設 定 ボタンをクリックする。
各 装 備 も同 様 の作 業 を行 う 。
図 2.2.19 AGV から各 工 程 への Load/Unload 時 間 の設 定 方 法
先 に設 定 した運 搬 条 件 ①~③と先 に作 成 した加 工 計 画 (運 搬 を考 慮 していないスケジ
ュール)の下 で運 搬 を実 施 してみます。以 下 にその手 順 の1例 を示 します。シミュレーショ
ン操 作 手 順 は以 下 に示 す以 外 にも幾 つかありますので、各 自 慣 れたら自 分 流 を開 発 して
ください。
手 順 1 V-FMS21(a)の「運 転 管 理 」を左 クリックし、運 転 管 理 →運 転 モード設 定 →自 動 モ
ード→設 定 (S)に設 定 します。
手 順 2 V-FMS21(a)画 面 の「シミュレーション設 定 」を左 クリックし、に設 定 します。なお、運
転 速 度 比 率 の数 値 は画 面 の動 きのスピードになりますのでゆっくり動 きを見 たい場
合 は数 値 を小 さく、シミュレーション結 果 を見 たければ大 きな数 値 に設 定 します。
各 自 で自 分 の見 やすい数 値 を見 出 してください。最 初 は1,000~3,000倍 位 にして、
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第2章 部品表による工程管理
試 してみてください。
手 順 3 V-FMS21(a)画 面 の「運 転 管 理 」を左 クリックし、運 転 モード(もし、自 動 モードなっ
ていなければ設 定 し直 す)→自 動 運 転 開 始 →(シミュレーション終 了 )
手 順 4 手 結 果 の確 認 はV-FMS21(a)画 面 の「実 績 管 理 /分 析 」を左 クリックし、見 たい情
報 に応 じて以 下 の選 択 をします。
①
総 所 要 時 間 を知 りたい時 :”生 産 実 績 ”をクリックし、表 示 画 面 の最 右 端 の「終 了 時 間 」
の最 下 段 にある数 字 を読 み取 ります(図 2.2.20参 照 )。数 字 の単 位 は時 間 :分 :秒 の
入 力 の単 位 になっています。例 えば、02:38:56と表 示 されていれば2時 間 38分 56秒
を意 味 します。秒 単 位 は運 搬 時 間 の最 小 単 位 です。読 んだ結 果 を下 表 にまとめてく
ださい。
表 2.2.2 運 搬 時 間 が総 所 要 時 間 に与 える影 響
FIFO
SPT
AGV速 度 \生 産 優 先 順 位 法
(B→A→C)
(C→B→A)
EDD
(A→B→C)
講 義 編 テキストp.58の表 3.4の結 果
60m/分
30m/分
10m/分
②
ガントチャートの様 子 (仕 掛 待 時 間 や遊 休 時 間 、特 にAGVの運 搬 により発 生 する遊
休 時 間 )を知 りたい時 :”稼 動 実 績 ガント”をクリックしてガントチャートを表 示 する。特
定 の品 種 や注 文 について知 りたければ、カーソルをガントチャート上 の当 該 品 種 また
は注 文 に移 動 すれば赤 線 表 示 が点 滅 します。
③
各 設 備 稼 働 状 況 を知 りたい:”装 備 別 稼 動 データ”で数 値 表 示 、”装 備 別 実 績 グラフ”
でグラフ表 示 の結 果 を見 ることができます。
グラフ表 示 については「稼 動 実 績 グラフ(稼 働 率 の時 系 列 変 化 表 示 グラフ)」の下 段
にある「チャート表 示 (V)」から各 設 備 ごとの期 間 中 の平 均 稼 働 率 が読 み取 れます(図
2.2.21参 照 )。
④
結 果 の出 力 が必 要 なら一 旦 ファイルに落 としてから、出 力 形 式 を整 えて印 刷 するとよ
いでしょう。
65
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第2章 部品表による工程管理
ここをクリックす
ると下 に総 所
要 時 間 が表 示
されます。
図 2.2.20 運 搬 時 間 の日 程 計 画 への影 響
図 2.2.21 生 産 設 備 および運 搬 設 備 の稼 働 率 一 覧
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(2) 設 備 故 障 が生 産 計 画 に及 ぼす影 響
あなたの職 場 あるいは工 場 の設 備 故 障 率 はどの程 度 か、調 べてみて下 さい。あるいは、
設 備 故 障 でなくても不 適 合 品 を出 すような設 備 は、そのような製 品 を生 産 した時 間 を設 備
故 障 時 間 と考 えることも可 能 です。設 備 故 障 が生 ずれば故 障 個 所 の探 索 と修 理 に要 する
時 間 が生 じます。このような時 間 が日 程 計 画 にどのように影 響 を与 えるのでしょうか。また、
このような場 合 に、生 産 現 場 ではどのように対 処 したら良 いのでしょうか。特 に、日 程 計 画
の実 現 を運 搬 計 画 と組 み合 わせてどのように生 産 活 動 を制 御 するかに焦 点 を当 てて考 え
てみましょう。
以 下 の生 産 職 場 を対 象 に検 討 しましょう。
①
この職 場 の生 産 設 備 とそのレイアウトは図 2.2.22 のようになっています。
図 2.2.22 設 備 故 障 問 題 の対 象 となる生 産 職 場 のレイアウト
製品 A
Order No.01
製品 B
Order No.02
製品 C
Order No.03
図 2.2.23 生 産 統 制 演 習 対 象 の工 場 で生 産 される製 品
67
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第2章 部品表による工程管理
②
この生 産 職 場 では図 2.2.23 に示 す3品 種 の生 産 を行 っています。これらの製 品 の生
産 計 画 と生 産 手 順 は表 2.2.3 に示 されるような内 容 とします
③
ここでは、旋 盤 工 程 (工 程 2)に故 障 が起 こるものとし、その発 生 条 件 は過 去 の設 備 点
検 ・保 全 履 歴 から、故 障 率 10%、復 旧 時 間 30 分 とします。
表 2.2.3 生 産 統 制 演 習 の生 産 情 報 ( 工 程 表 示 時 間 単 位 : 分 )
製 品 (注 文 番 号 )
A(No.01)
B(No.02)
C(No.03)
生産個数
1個
1 個
1 個
注文到着順位
1位
2位
3位
投入
(工 程 1)
5
5
5
旋盤
(工 程 2)
15
20
10
マシニング
(工 程 3)
40
30
20
洗浄
(工 程 4)
10
40
30
組立
(工 程 5)
20
10
-
検査
(工 程 6)
5
5
5
除去
(工 程 7)
5
5
5
100
115
75
総 生 産 時 間 (分 )
④
運 搬 計 画 において以 下 を考 慮 します。
a)
運 搬 に関 する優 先 は生 産 終 了 時 点 の早 いもの順 とし、生 産 工 程 を自 動 倉 庫 に優 先
します。すなわち、生 産 工 程 内 の旋 盤 、マシニング、洗 浄 などの各 工 程 で生 産 終 了 を
迎 えた順 に生 産 物 が優 先 されて運 搬 対 象 になります。
b)
運 搬 先 が自 動 倉 庫 以 外 の生 産 工 程 で、かつ、運 搬 先 工 程 が生 産 中 の場 合 は一 旦
自 動 倉 庫 に運 搬 され仕 掛 在 庫 として自 動 倉 庫 に一 時 保 管 される。運 搬 先 工 程 が生
産 終 了 したら他 の生 産 物 に優 先 して自 動 倉 庫 から運 搬 します。
c)
運 搬 要 求 が同 時 の場 合 は近 接 した工 程 を優 先 します。
d)
生 産 工 程 の全 てで運 搬 要 求 が出 た場 合 は、最 終 工 程 の生 産 物 を優 先 して自 動 倉
庫 に運 びます。
⑤
運 搬 機 器 の設 定 条 件 は以 下 の通 りです。
* AGV 速 度 :60m/分
* AGV から各 工 程 への Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
* スタッカークレーン速 度 :60m/分 、 Loading/Unloading 速 度 :1Sec.(秒 )
図 2.2.24 は表 2.2.11 に対 し、先 着 順 (FIFO)法 で作 成 した日 程 計 画 案 を示 しています。
このガントチャートから総 所 要 時 間 は除 去 工 程 (工 程 7)の最 終 製 品 C(水 色 )の生 産 終 了
時 点 になるので、2時 間 30 分 になっていることが分 かります。
68
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第2章 部品表による工程管理
図 2.2.25 は図 2.2.24 に対 し運 搬 時 間 の影 響 が分 かります。運 搬 が加 わると総 所 要 時
間 は2時 間 30 分 から2時 間 36 分 に増 えます。これは、例 えば、マシニング2で見 ると、製 品
B(緑 )の加 工 が終 了 するといったん空 白 が生 じた後 に製 品 C(水 色 )の生 産 が開 始 されて
います。この空 白 は自 動 搬 送 車 が生 産 品 を次 の工 程 の洗 浄 工 程 のステーションもしくは
自 動 倉 庫 に運 び、次 の製 品 C をマシニング2に運 んで来 るためにかかる時 間 です。
図 2.2.24 表 2.3 の注 文 群 に対 し先 着 順 による日 程 計 画 のガントチャート
運搬による生産開始時点の遅れ
図 2.2.25 運 搬 時 間 の影 響
図 2.2.26 は旋 盤 工 程 に故 障 が発 生 し、その復 旧 作 業 に 30 分 かかることを示 していま
69
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第2章 部品表による工程管理
す。
このように実 際 の生 産 職 場 では、機 械 の故 障 や不 適 合 品 の発 生 など予 定 通 りに行 かな
い場 合 が多 々生 じる場 面 に遭 遇 します。機 械 等 の故 障 が起 きた際 、いかに生 産 統 制 を行
い効 率 よく対 処 するかが生 産 活 動 に大 きく影 響 を与 えることを認 識 することが大 切 でしょ
う。
図 2.2.26 図 2.25 に対 して旋 盤 工 程 に設 備 故 障 が生 じた場 合 のガントチャート
2.2.2.3 パレット枚 数 決 定 演 習
FMS では仕 掛 品 、製 品 の運 搬 、生 産 および仕 掛 品 としての保 管 にはパレットを
必 要 とします。このパレット枚 数 の設 定 によって総 所 要 時 間 や設 備 稼 働 率 が影 響
を受 けます。
先 の設 備 故 障 問 題 の演 習 課 題 についてパレット枚 数 1枚 →2枚 →3枚 と変 化 さ
せた時 の総 所 要 時 間 を求 めて考 察 して下 さい。
なお、パレットの設 定 方 法 は IT 治 具 画 面 の上 段 のツールバーを以 下 のように
操 作 して、設 定 して下 さい。
図 2.2.27:[生 産 情 報 管 理 ]→[パレットの設 定 ]、
図 2.2.28:パレット設 定 画 面 の「行 」をクリックし、 修 正 (E)
図 2.2.29:パレット情 報 修 正 画 面 で
①
パレット有 無 ・・あり、
②
パレットタイプ・・A、
③
パレット状 態 ・・ 待 機 状 態 、
④
登 録 (S) クリック、
⑤
閉 じる(C)
70
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第2章 部品表による工程管理
図 2.2.27 パレットの設 定 画 面
図 2.2.28 修 正 行 画 面
図 2.2.29 パレット情 報 修 正
2.3 レイアウトプランニング演 習
2.3.1 演 習 課 題
71
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第2章 部品表による工程管理
ある工 場 でのレイアウト案 は従 来 、設 備 の配 置 の決 定 に物 の流 れや近 接 性 の考 慮 はさ
れていませんでした。そこで、SLP[6]に基 づきレイアウト改 善 案 を作 成 し、従 来 のレイアウト
案 について、生 産 計 画 を使 って生 産 、運 搬 設 備 稼 働 率 および総 所 要 時 間 で評 価 して下
さい。
2.3.2 演 習 課 題 例 の条 件
(1) 対 象 とする生 産 職 場 での注 文 情 報 は表 2.3.1 の通 りです。
表 2.3.1 当 該 工 場 の生 産 計 画 (工 程 表 示 時 間 単 位 :分 )
製 品 A(No.01)
製 品 B(No.02)
製 品 C(No.03)
製 品 D(No.04)
注 文 到 着 順 位 :1位
注 文 到 着 順 位 :2位
注 文 到 着 順 位 :3位
注 文 到 着 順 位 :4位
生 産 数 量 :10 個
生 産 数 量 :10 個
生 産 数 量 :10 個
生 産 数 量 :10 個
セットアップ(工 程 1)
10
セットアップ(工 程 1)
15
セットアップ (工 程 1)
15
セットアップ(工 程 1)
15
旋盤
(工 程 2)
35
旋盤
(工 程 2)
30
マシニング (工 程 2)
25
マ シニ ング ( 工 程 2 )
30
マシニング (工 程 3)
20
検査
(工 程 3)
10
旋盤
(工 程 3)
25
旋盤
(工 程 3)
25
洗浄
(工 程 4)
15
マシニング (工 程 4)
20
検査
(工 程 4)
20
洗浄
(工 程 4)
10
組立
(工 程 5)
15
組立
( 工 程 5)
15
洗浄
(工 程 5)
15
組立
(工 程 5)
15
検査
(工 程 6)
20
洗浄
(工 程 6)
10
組立
(工 程 6)
10
検査
(工 程 6)
10
除去
(工 程 7)
10
除去
(工 程 7)
15
除去
(工 程 7)
10
除去
(工 程 7)
10
工 程 時 間 (分 )
125
工 程 時 間 (分 )
115
工 程 時 間 (分 )
120
工 程 時 間 (分 )
115
(2) 物 流 機 器 (AGV、スタッカ-クレーン)の設 定 条 件 は以 下 のようにします。
①
AGV 速 度 :60m/分
②
AGV から各 工 程 への Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
③
スタッカークレーン速 度 :60m/分
④
スタッカークレーンから AGV への Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
⑤
設 備 故 障 は無 いものとしパレットも十 分 あるものとします。
⑥
投 入 方 式 は FIFO
(3) レイアウト案
①
現 状 のレイアウト案
現 状 のレイアウトは図 2.3.1 に示 すように、この工 場 は旋 盤 が2台 、マシニングセンターが
2台 、洗 浄 機 が1台 、検 査 機 が1台 、組 み立 て機 が1台 、搬 送 車 及 び自 動 倉 庫 が1台 ずつ
で設 備 構 成 がなされています。
72
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第2章 部品表による工程管理
図 2.3.1 現 状 の工 場 レイアウト
②
SLP によるレイアウト改 善 案 の作 成
a)
フロム・ツーチャートおよびアクテイビテイ相 互 関 係 表 により近 接 性 評 価
図 2.3.2 から洗 浄 機 -組 立 機 、 検 査 機 -セットアップ、組 立 機 -検 査 機 の近 接 性 が高
いことが判 ります。
図 2.3.2 表 3.1 に基 づく近 接 性 評 価 結 果
73
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第2章 部品表による工程管理
b)
近 接 性 に基 づくレイアウトの作 成
図 2.3.2 より洗 浄 機 -組 立 機 の近 接 性 が特 に強 いので、近 くに配 置 し、検 査 機 -セット
アップ、組 立 機 -検 査 機 が近 くになるように配 置 すると図 2.3.3 のようなレイアウト案 を作 るこ
とができます。
図 2.3.3 近 接 性 に基 づき提 案 されたレイアウト案
(4) レイアウト案 の評 価
①
ガントチャートによるレイアウト案 の比 較
図 2.3.4 現 状 レイアウトでの日 程 計 画 結 果 (運 搬 時 間 を含 む)
74
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第2章 部品表による工程管理
図 2.3.5 改 善 レイアウト案 での日 程 計 画 結 果 (運 搬 時 間 を含 む)
②
設 備 稼 働 率 によるレイアウト案 の比 較
図 2.3.6 各 設 備 毎 の稼 働 率 (現 状 レイアウト)
図 2.3.7 新 レイアウトでのスケジューリング結 果 の各 工 程 別 稼 働 率
75
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第2章 部品表による工程管理
③
レイアウト案 の比 較 結 果 のまとめ
以 上 の結 果 を分 析 より新 旧 レイアウトの総 所 要 時 間 と設 備 稼 働 率 を比 較 すると表 2.3.2
のようになります。
表 2.3.2 新 旧 レイアウト案 の比 較 表
評価項目
現 レイアウト
総所要時間
新 レイアウト案
18:32:50
18:08:46
稼
マシニング1、2
42
43
働
旋 盤 1、2
51
52
率
セットアップ
89
91
%
検査機
53
55
洗浄機
44
45
2.3.3 生 産 計 画 とレイアウト計 画 演 習
表 2.3.1 の生 産 計 画 が表 2.3.3 のように変 化 した場 合 の新 レイアウト案 と現 レイアウト案
の特 性 比 較 を表 2.3.2 の項 目 で比 較 検 討 して下 さい。
表 2.3.3 演 習 問 題 の工 場 の生 産 計 画 (工 程 表 示 時 間 単 位 :分 )
製 品 A(No.01)
製 品 B(No.02)
製 品 C(No.03)
製 品 D(No.04)
注 文 到 着 順 位 :4位
注 文 到 着 順 位 :3位
注 文 到 着 順 位 :2位
注 文 到 着 順 位 :1位
生 産 数 量 :20 個
生 産 数 量 :10 個
生 産 数 量 :30 個
生 産 数 量 :40 個
表 2.3.4 演 習 問 題 の結 果 のまとめ
評価項目
現 レイアウト案
総所要時間
稼
M/C1
働
LATHE1、2
率
SETUP
%
WASH1、ビジョン1
76
新 レイアウト案
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2.4 バッファーシステム設 計 演 習
2.4.1 自 動 倉 庫 のバッファー機 能 設 計 演 習 課 題
FMS におけるバッファーシステムとして自 動 倉 庫 を取 り上 げ、自 動 倉 庫 を工 程 途 中 のワ
ークの一 時 保 管 場 所 として使 用 した場 合 の総 所 要 時 間 と設 備 稼 働 率 におよぼす影 響 を
比 較 検 討 しましょう。
2.4.1.1 演 習 問 題 の条 件 設 定
(1) 工 場 レイアウト
対 象 とする生 産 工 場 は図 2.4.1 に示 されるような、旋 盤 が1台 、マシニングセンターが1
台 、洗 浄 機 が1台 、ワーク設 置 のためのセットアップステーションが 1 台 、ワークを除 去 のた
めのステーションが 1 台 、搬 送 車 及 び自 動 倉 庫 が1台 ずつで構 成 されたジョブショップ型 の
生 産 システムになっています。
除去専用
セットアップ専 用
図 2.4.1 自 動 倉 庫 を含 む対 象 とする生 産 システム
(2) 生 産 情 報
対 象 とする生 産 職 場 では表 2.4.1 に示 すような注 文 情 報 を対 象 に自 動 倉 庫 のバッファ
ー機 能 の検 討 を行 います。
77
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表 2.4.1 生 産 品 目 と生 産 数 量 および加 工 時 間 (工 程 表 示 時 間 単 位 :分 )
製品
A
B
C
D
生産数
3個
4個
5個
6個
納期順位
2位
3位
4位
1位
セットアップ
(工 程 1)
5
5
5
5
旋盤
(工 程 2)
35
10
―
20
マシニング
(工 程 3)
15
―
10
40
洗浄
(工 程 4)
5
5
―
―
除去
(工 程 5)
5
5
5
5
65
25
20
70
全工程時間
2.4.1.2 IT 治 具 を使 った自 動 倉 庫 のバッファ機 能 操 作 方 法
自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 の IT 治 具 の操 作 方 法 は以 下 の通 りです。
図 2.4.2 に示 す V-FMS21(a)の画 面 上 段 のツールバーから、「シミュレーション設 定 」→
「倉 庫 をバッファとして使 用 」に設 定 します。
図 2.4.2 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 の設 定 法
なお、自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 しない場 合 は、「シミュレーション設 定 」→「自 動 倉
庫 をバッファとして使 用 」を外 します。
2.4.1.3 物 流 機 器 (AGV、スタッカ-クレーン)の設 定 条 件 と投 入 順 序
①
AGV 速 度 :60m/分
②
AGV から各 工 程 への Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
③
スタッカークレーン速 度 :60m/分
④
スタッカークレーンから AGV への Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
⑤
設 備 故 障 は無 いものとしパレットも十 分 あるものとします。
⑥
投 入 方 式 は FIFO:D→A→B→C
2.4.1.4 分 析 結 果
自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 のガントチャートを図 2.4.3 に、使 用 しない場 合 の
78
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ガントチャートを図 2.4.4 に示 します。
また、自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 の設 備 稼 働 率 を図 2.4.5 に、使 用 しない
場 合 の設 備 稼 働 率 を図 2.4.6 に示 します。
以 上 をまとめると、自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 としない場 合 を比 較 すると表
2.4.2 のようになります。
図 2.4.3 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 した場 合 のガントチャート
図 2.4.4 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 しない場 合 のガントチャート
図 2.4.5 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 の稼 働 率
79
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図 2.4.6 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 しない場 合 の稼 働 率
表 2.4.2 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 する場 合 としない場 合 の比 較
評価項目
自 動 倉 庫 をバッファと
して使 用
自 動 倉 庫 をバッファと
して使 用 しない
総所要時間
6 時 間 38 分 30 秒
7 時 間 35 分 51 秒
AGV
44 分
41 分
S/C
15 分
5分
AGV
117 回
88 回
S/C
94 回
36 回
稼働時間
稼動回数
表 4.2 より自 動 倉 庫 を途 中 工 程 のバッファとして使 用 した場 合 、各 設 備 における待 機 時
間 が減 るために、その分 全 体 の生 産 時 間 が短 縮 され生 産 効 率 が良 くなる事 が確 認 できま
す。これは自 動 倉 庫 のバッファ機 能 が物 流 機 器 (AGV、ASRS)の稼 働 率 を高 めることで結
果 的 に生 産 設 備 の稼 働 率 を向 上 する効 果 を持 っていることを示 しています。
また、人 が作 業 するセットアップ作 業 (SET1)とワークの取 外 し作 業 (SET2)についてみる
と、自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 しない場 合 は、SET1 と SET2 に人 が一 人 ずついないと
生 産 システムを運 営 することが難 しいが、自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 すると、SET1 で製
品 A,B,C,D の取 付 け作 業 をすべて終 了 したあと、SET2 で取 外 し作 業 をしても全 体 の生 産
に影 響 を与 えないので、作 業 者 が一 人 でも十 分 にシステムを運 営 することが可 能 であり、
省 人 化 効 果 が出 ることも判 ります。
4.2 各 工 程 に専 有 バッファースペース(Station)を設 置 する場 合 の効 果 解 析 演 習
各 工 程 で意 図 的 に仕 掛 在 庫 を持 つことで先 の自 動 倉 庫 の共 有 バッファと同 様 なバッフ
ァ効 果 を出 せないかどうか検 討 してみましょう。
FMSに各 工 程 専 用 の仕 掛 在 庫 スペースを設 置 することで工 程 間 仕 掛 在 庫 量 を制 御
することが可 能 です。つまり、各 生 産 装 備 で1個 ずつ Station が設 置 されている場 合 (工 程
80
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間 に仕 掛 在 庫 を持 たない場 合 )と Station が2個 ずつ設 置 されている場 合 (工 程 間 に仕 掛
在 庫 を最 大 1個 まで持 てる)とで各 設 備 におけるバッファの活 用 が生 産 に及 ぼす影 響 を比
較 検 討 します。
2.4.2.1 課 題 の条 件
(1) 工 場 レイアウトと設 備 仕 様
対 象 とする工 場 は3台 の旋 盤 、3台 のマシニングセンター、ワーク設 置 のためのセットア
ップステーションが1台 、そして自 動 倉 庫 と AGV のある物 流 システムで構 成 されています。
各 装 備 にはすべての工 具 が備 えられていて、旋 盤 ではすべての旋 盤 工 程 を、マシニング
センターでは全 てのマシニングセンター工 程 を処 理 できます。図 2.4.7 は各 設 備 の Station
の数 が1個 の場 合 、図 2.4.8 は各 設 備 の Station の数 が2個 の場 合 のレイアウト図 である。
図 2.4.7 各 設 備 の Station の数 が1個 の場 合 レイアウト図
図 2.4.8 各 設 備 の Station の数 が2個 の場 合 のレイアウト図
81
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(2) 製 品 情 報
対 象 生 産 システムでは図 2.4.9 に示 す4品 種 を生 産 しています。
製 品 A(Clover-Down)
製 品 B(Head-Down)
製 品 C(Head-Up)
製 品 D(Square-Down)
Order No. 001
Order No. 002
Order No. 003
Order No. 004
図 2.4.9 生 産 品 目
(3) 生 産 情 報
生 産 品 目 は4品 目 でその注 文 情 報 は表 2.4.3 に示 す通 りです。
表 2.4.3 製 品 品 目 の生 産 数 量 と加 工 手 順
製品
A
B
C
D
生産数
3個
4個
4個
3個
到着順位
1位
2位
3位
4位
工程1
設置1
(1 分 )
設置1
(1 分 )
設置1
(1 分 )
設置2
(1 分 )
工程2
外径1
(2 分 )
外径1
(2 分 )
外径1
(2 分 )
内面
工程3
精 密 加 工 1 (3 分 )
精 密 加 工 1 (3 分 )
精 密 加 工 1 (3 分 )
精 密 加 工 (6 分 )
工程4
外径2
(2 分 )
荒削1
(3 分 )
外径2
(2 分 )
荒削 1
(4 分 )
工程5
精 密 加 工 2 (3 分 )
外径2
(2 分 )
精 密 加 工 2 (3 分 )
除去 2
(1 分 )
工程6
Milling3
(15 分 )
精 密 加 工 2 (3 分 )
高 内 径 仕 上 (2 分 )
―
工程7
除去1
(1 分 )
高 内 径 仕 上 (2 分 )
精 内 径 仕 上 (2 分 )
―
(14 分 )
工程8
―
精 内 径 仕 上 (2 分 )
中 ぐり
(3 分 )
―
工程9
―
中 ぐり
(3 分 )
ドリル1
(5 分 )
―
工 程 10
―
ドリル1
(5 分 )
ドリル3
(5 分 )
―
工 程 11
―
ドリル2
(7 分 )
除去1
(1 分 )
―
工 程 12
―
面削
工 程 13
―
除去1
全工程時間
27 分
(12 分 )
―
―
(1 分 )
―
―
29 分
26 分
46 分
2.4.2.2 運 搬 機 器 の設 定 条 件 と投 入 順 序
①
AGV速 度 :60m/分
②
AGVから各 工 程 へのLoading/Unloading速 度 :5Sec.(秒 )
③
スタッカークレーン速 度 :60m/分
82
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
④
設 備 故 障 無 し、パレットは十 分 あるものとします。
⑤
投 入 順 序 はFIFO:A→B→C→D
2.4.2.3 結 果
ステーション数 が1個 と2個 の場 合 の検 討 結 果 を表 2.4.4 に示 します。
表 2.4.4 ステーション数 が1個 と2個 の場 合 の結 果 比 較
比 較 内 容 \ステーション数
Station 1 個
Station 2 個
総所要時間
2 時 間 43 分 13 秒
2 時 間 10 分 28 秒
AGV 動 作 回 数
194 回
165 回
AGV 稼 働 時 間
89 分
78 分
S/C 動 作 回 数
134 回
76 回
S/C 稼 働 時 間
6分
4分
表 2.4.4 より Station が 1 個 である場 合 は AGV 動 作 回 数 が 194 回 、2 個 の場 合 は 165
回 と 29 回 の差 がでています。また、スタッカークレーン(S/C)の場 合 は 134 回 と 76 回 でそ
の差 は 58 回 になっています。その理 由 は Station が 1 個 であれば、現 在 加 工 装 備 で加 工
中 の場 合 、装 備 が稼 働 しているために、加 工 が終 了 する時 点 まで、その次 の加 工 物 はバ
ッファから工 程 待 機 をするように指 示 を受 ける。そのために、ここでは自 動 倉 庫 を一 時 バッ
ファとして使 用 して、加 工 物 を一 時 自 動 倉 庫 に保 管 する。その結 果 、移 動 の距 離 と移 動
時 間 が増 加 して、加 工 装 備 の有 効 時 間 が長 くなったと考 えられます。したがって、Station1
個 より 2 個 でシステムを運 営 した時 、Station がバッファの役 割 をするためシステム性 能 が向
上 する事 がわかります。
以 上 のことから、各 設 備 ごとにある程 度 のバッファを持 たせれば柔 軟 性 のある運 用 をす
ることができるが、あまりバッファを持 ちすぎると、現 場 が複 雑 になるばかりか、現 場 の状 況
把 握 をすることが困 難 になる場 合 があるので、適 切 な量 のバッファを持 つこと重 要 になりま
す。
2.4.2.4 生 産 量 変 化 の影 響 解 析 演 習 課 題
表 2.4.3 の生 産 量 が表 4.5 のように変 化 した時 、ステーション数 が1個 と2個 の場 合 につ
いて表 2.4.4 の内 容 を求 め、結 果 を考 察 して下 さい。
表 2.4.5 製 品 品 目 の生 産 数 量 と加 工 手 順
製品
A
B
C
D
生産数
6個
4個
5個
6個
83
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
2.5 ロットサイズとスケジューリング
工 程 間 の在 庫 量 を減 らすために小 ロット化 をすると運 搬 回 数 および段 取 回 数 が増 え、
その分 、物 流 において負 荷 がかかることが予 想 されます。本 演 習 では生 産 ロットと運 搬 ロッ
トを同 じロットサイズとした場 合 のロット分 割 が総 所 要 時 間 、生 産 および運 搬 設 備 の稼 働
率 に及 ぼす影 響 を検 討 しましょう。
2.5.1 運 搬 ロットサイズおよび生 産 ロットサイズの影 響
(1) 工 場 レイアウト
対 象 とする工 場 レイアウトは図 2.5.1 に示 す。旋 盤 、洗 浄 、マシニング、組 立 およびセット
アップと除 去 の6工 程 からなる生 産 ラインを対 象 としています。
図 2.5.1 対 象 の工 場 レイアウト
(2) 生 産 情 報
生 産 情 報 を表 2.5.1に示 します。この表 には2つの問 題 の条 件 が示 されています。
問題1
生 産 品 種 は製 品 Aだけの1品 種 を生 産 する場 合 を想 定 します。この時 、生 産 数
量 を20個 として以 下 のような3つの計 画 を考 えます。
①
20 個 まとめて1ロットとして運 搬 及 び生 産 を行 った場 合 、(ロットサイズは 20 個 、ロット
数 1回 )
②
5個 ずつ生 産 し、そのたびに運 搬 し、これを4回 繰 り返 す、(ロットサイズは5個 、ロット
数 は4回 )
③
1 個 流 し。すなわち、1個 生 産 したらそのたびに運 搬 する、(ロットサイズは1個 、ロット
数 は 20 回 )。
問題2
生 産 品 種 はA、B、Cの3品 種 。それぞれの生 産 数 量 は4個 ずつ。この時 、生 産 ロ
ットサイズを1個 、2個 、4個 の3種 を考 える。また、ロットサイズの品 種 による変 更 は
しないものとする。すなわち、
84
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第2章 部品表による工程管理
①
生 産 ロットサイズが1個 なら(ABC)、(ABC)、(ABC)、(ABC)をAB、Cの各 品 種 ご
とに1個 ずつ、4回 繰 り返 して生 産 する。
②
生 産 ロットサイズが2個 なら(AABBCC)、(AABBCC)を2回 繰 り返 す。
③
生 産 ロットサイズが4個 なら(AAAABBBBCCCC)を1回 行 う。
なお、運 搬 は生 産 ロットごとに行 うものする。
表 2.5.1 生 産 品 目 と生 産 数 量 (工 程 時 間 は分 単 位 )
問題
問題1
問題2
製品
A
生産数
20個
4個
B
C
4個
4個
LOT 数
20
4
1
4
2
1
4
2
1
4
2
1
ロットサイズ
1
5
20
1
2
4
1
2
4
1
2
4
セットアップ(工 程 1)
5
25
100
旋盤
(工 程 2)
15
75
200
マシニング(工 程 3)
40
200
800
洗浄
(工 程 4)
10
50
200
組立
(工 程 5)
20
100
400
除去
(工 程 6)
5
25
100
95 分
475 分
1,900 分
全工程時間
設 備 の1日 稼 働 時 間 :最 大 21 時 間
(3) 設 備 故 障 および物 流 速 度 の条 件 設 定 およびバッファ
①
AGV 速 度 :30m/分
②
Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
③
スタッカークレーン速 度 :30m/分
④
設 備 故 障 無 し、パレットは十 分 ある。
⑤
自 動 倉 庫 をバッファとして設 定 せず、現 場 にはいつも在 庫 がない状 態 にします。つま
りは工 程 (後 工 程 )が終 わってはじめて前 工 程 の部 品 を持 ってくることになります。万
一 、前 工 程 が終 わってなければ待 機 しなければなりません。
チェックを取 る
図 2.5.2 自 動 倉 庫 のバッファ機 能 を削 除 する操 作
85
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第2章 部品表による工程管理
(4) 運 搬 ロットサイズの影 響 の分 析 (問 題 1)の検 討 法 と結 果
生 産 計 画 画 面 の注 文 名 の欄 に「演 習 1」~「演 習 3」と表 示 し、3つの運 搬 ロットサイズの
設 置 方 法 に 応 じて シミュ レーション さ せる 条 件 で ある 、 ロット サイズ( 運 搬 ロッ ト) と ロット 数
(運 搬 回 数 )を3通 り設 定 し、右 端 の「状 態 」の欄 を「待 機 」にしたもののシミュレーションを
行 う。図 2.5.3 は運 搬 ロットサイズを 20 個 にし、1回 の運 搬 で終 了 する案 の設 定 法 である。
図 2.5.3 1品 種 生 産 における運 搬 ロットサイズ案 の作 成 法
図 2.5.4は運 搬 ロットサイズが1個 、20回 運 搬 の場 合 のガントチャートと設 備 稼 働 率 グラ
フである。また、図 2.5.5は運 搬 ロットサイズ20個 の場 合 の結 果 である。
86
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第2章 部品表による工程管理
図 2.5.4 一 品 種 生 産 の下 での運 搬 ロットサイズが1個 の場 合 の結 果
図 2.5.5 一 品 種 生 産 の下 での運 搬 ロットサイズが 20 個 の場 合 の結 果
表 2.5.2 は一 品 種 生 産 の下 での運 搬 ロットサイズのシステムへの影 響 の結 果 をまとめたも
のです。
表 2.5.2 運 搬 ロットの分 割 がシステムに及 ぼす影 響
項目
運 搬 ロットサイズ
1個
5個
20 個
総所要時間
15:29:47
18:12:04
31:45:49
全設備稼働率
33%
28%
16%
AGV 稼 働 回 数
176 回
34 回
7回
AGV 稼 働 時 間
149 分
23 分
3分
S/C 稼 働 回 数
112 回
20 回
2回
S/C 稼 働 時 間
15 分
3 分以下
1 分以下
表 2.5.2を見 ると、ロットサイズを小 さくすればする程 、総 所 要 時 間 が短 縮 されるが、その
反 対 に物 流 (AGV、S/C)にかかる負 荷 が高 まっています。総 所 要 時 間 が短 縮 された原 因
は小 ロット化 することにより設 備 の待 機 時 間 が減 少 したからです。
87
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第2章 部品表による工程管理
(5) 生 産 ロットサイズの影 響 の分 析 (問 題 2)の検 討 法 と結 果
図 2.5.6 は3品 種 生 産 での生 産 ロットサイズ問 題 の生 産 計 画 画 面 である。「注 文 名 」欄 の
1 ~3 は 生 産 ロ ッ ト サ イ ズ が 4 個 の 場 合 、 O1 ~ O6 ま で が 生 産 ロ ッ ト サ イ ズ 2 個 の 場 合 、
ORD11~ORD22 までが生 産 ロットサイズ1個 の計 画 である。3つのどの生 産 計 画 を検 討 す
る か に 従 い 、 右 端 の 「 状 態 」 欄 を 「 完 了 」 → 「 待 機 」 に し て シ ミ ュレ ー シ ョ ン す れ ば よ い 。 図
2.5.6(1)は生 産 ロットサイズが4個 :(AAAABBBBCCCC)の生 産 計 画 を検 討 するための状
態 、図 2.5.6(2)は生 産 ロットサイズが1個 (ABC),(ABC),(ABC),(ABC)の生 産 計 画 の検 討
状 況 を示 しています。
図 2.5.6(1) 生 産 ロットサイズが4個 の場 合 の生 産 計 画 の検 討 画 面
図 2.5.6(2) 生 産 ロットサイズが1個 の場 合 の生 産 計 画 の検 討 画 面
図 2.5.7 は生 産 ロットサイズが4個 の場 合 、図 2.5.8 は1個 の場 合 のガントチャートと設 備
稼 働 率 グラフである。
88
製造中核人材育
製
育成セミナー テキスト
テ
ナレッジチェーン・マネジメン
ント 演習編(W
Web 版)
第2章 部
部品表による工程管理
図 2.5.7 生 産 ロットサ
サイズが4個
個 の場 合 のガ
ガントチャート
トと設 備 稼 働 率 グラフ
図 2.55.8 生 産 ロ ットサイズが
が1個 の時 の ガントチャー
ートと稼 働 率 グラフ
表 2.5.3 は3品
品 目 生 産 に おける生 産 ロットサイズ がシステムに
におよぼす影
影 響 を求 めた
たもの
である
る。なお、生
生 産 順 序 は A→B→C
A
の
の順 である。
表 2.5.33 3品 目 生 産 における生
生 産 ロットの
の分 割 がシス
ステムに及 ぼ
ぼす影 響
項目
生 産 ロットサイス
ズ
4
4個
2個
個
1個
総所要時間
12:330:18
10:46::41
8:41:34
全設備稼働率
2 9%
33%
%
41%
AGV 稼 働 回 数
255 回
53 回
109 回
AGV 稼 働 時 間
111 分
24 分
51 分
S/C 稼 働 回 数
144 回
34 回
74 回
S/C 稼 働 時 間
1分
2分
5分
(6) 追 加 演 習 課 題
①
表 2.5.1の結
結 果 に表 2.5 .4の条 件 を
を加 えて表 2..5.2の結 果 にまとめてロ
に
ロットサイズと
と総 所
89
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第2章 部品表による工程管理
要 時 間 、全 設 備 稼 働 率 、AGVの稼 働 回 数 ・稼 働 時 間 、S/C稼 働 回 数 ・稼 働 率 の関
係 を表 2.5.5にまとめてその結 果 をグラフで表 し、考 察 して下 さい。
表 2.5.4 生 産 品 目 と生 産 数 量 (工 程 時 間 は分 単 位 )
生産数
20 個
20 個
LOT 数
10 ロット
5 ロット
LOT 単 位 生 産 個 数
2個
4個
セットアップ
(工 程 1)
5
25
旋盤
(工 程 2)
15
75
マシニング
(工 程 3)
40
200
洗浄
(工 程 4)
10
50
組立
(工 程 5)
20
100
除去
(工 程 6)
5
25
95 分
475 分
全工程時間
表 2.5.5 演 習 結 果 のまとめ
運 搬 ロットサイズ
1
4
5
総所要時間
15:29:470
18:12:04
31:45:49
全設備稼働率
33%
28%
16%
AGV 稼 働 回 数
176 回
34 回
7回
AGV 稼 働 時 間
149 分
23 分
3分
S/C 稼 働 回 数
112 回
20 回
2回
S/C 稼 働 時 間
15 分
3 分以下
1 分以下
②
表 2.5.3 の結 果 に対 し、以 下 の検 討 をしてみてください。
I)
生 産 順 序 の影 響
II) 生 産 ロットサイズと運 搬 ロットサイズが異 なる場 合 の影 響
90
10
20
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第2章 部品表による工程管理
2.5.2 生 産 ロットサイズに伴 う段 取 時 間 の影 響
前 2.5.1 節 の演 習 問 題 では各 工 程 における生 産 において品 種 切 替 に伴 う段 取 段 取 時
間 の影 響 を考 慮 しませんでした。そこで、ここでの演 習 では各 品 種 の切 替 に一 定 の段 取
段 取 換 えに伴 う段 取 段 取 時 間 を考 慮 したロット生 産 問 題 を検 討 しましょう。
まず、対 象 とする注 文 情 報 を表 2.5.6 に示 します。3品 種 の生 産 において各 品 種 の総
生 産 量 は4個 ずつであるので、問 題 2と同 様 に生 産 ロットサイズはいずれの品 種 も同 じロッ
トサイズで、繰 り返 しにおけるロットサイズも一 定 にすると、以 下 の3つの生 産 方 法 が考 えら
れます。ただし、生 産 順 序 は A→B→C とします。
①
生 産 ロットサイズが1個 なら(ABC)、(ABC)、(ABC)、(ABC)のようにとA、B、Cの
各 品 種 ごとに1個 ずつ、4回 繰 り返 して生 産 する。
②
生 産 ロットサイズが2個 なら(AABBCC)、(AABBCC)を2回 繰 り返 す。
③
生 産 ロットサイズが4個 なら(AAAABBBBCCCC)を1回 行 う。
なお、運 搬 は生 産 ロットごとに行 うものとします。
以 上 のような生 産 を行 う場 合 、品 種 の切 替 に段 取 替 えが必 要 だとするとその段 取 は
各 々のケースで次 のようになります。
①
(段 →A→段 →B→段 →C)、(段 →A→段 →B→段 →C)、(段 →A→段 →B→段 →C)、
(段 →A→段 →B→段 →C)となり、段 取 段 取 回 数 は 12 回 となります。なお、段 は「一
定 の時 間 を持 つ段 取 替 作 業 」を意 味 します。
②
(段 →AA→段 →BB→段 →CC)、(段 →AA→段 →BB→段 →CC)となり、段 取 段 取
回 数 は6回 となります。
③
(段 →AAAA→段 →BBBB→段 →CCCC)となり、段 取 段 取 回 数 は3回 となります。
従 って、1回 の段 取 時 間 が表 2.5.6 のように品 種 によらず一 定 (5分 )とすれば、総 段 取
段 取 時 間 は①のケースは③のケースに比 べ4倍 長 くなります。このことがまとめづくり(生 産
ロットサイズを大 きくする)をする際 のメリットになります。つまり、①のケースより③のケースの
方 が、リードタイムが短 いように思 われます。あなたは、どう思 いますか?
表 2.5.6 段 取 時 間 を考 慮 した生 産 計 画 演 習 の生 産 情 報 (工 程 表 示 時 間 単 位 :分 )
製 品 (注 文 番 号 )
生産個数
注文到着順位
加 工 時 間 /段 取 時 間
投入
(工 程 1)
旋盤
(工 程 2)
マシニング (工 程 3)
洗浄
(工 程 4)
検査
(工 程 5)
除去
(工 程 6)
生 産 時 間 (分 )
A(No.01)
4個
1位
加工
段取
15
0
40
5
10
5
20
5
5
5
5
0
105
20
125 分
B(No.02)
4個
2位
加工
段取
10
0
30
5
20
5
10
5
15
5
15
0
100
20
120
91
C(No.03)
4個
3位
加工
段取
10
0
20
5
30
5
15
5
10
5
10
0
95
20
115
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第2章 部品表による工程管理
そこで、実 際 に日 程 計 画 を①~③について検 討 し、総 所 要 時 間 を求 めてみましょう。そ
の際 の条 件 は以 下 の通 りとします。
(1) 現 場 のレイアウト
図 2.5.9 に対 象 とする職 場 のレイアウトを示 す。
図 2.5.9 段 取 時 間 を考 慮 したロット生 産 の対 象 工 程
(2) IT 治 具 による生 産 計 画 の立 案 操 作 法
図 2.5.10(1)は生 産 ロットサイズを1個 とした場 合 の生 産 計 画 表 示 例 を示 します。生 産 計
画 画 面 の表 の左 端 の No.10~18 がその計 画 をこれから実 行 しようとしている状 況 です。そ
れは、表 の右 端 の「状 態 」の欄 が「待 機 」になっていることで分 かります。また、図 2.5.10(2)
は生 産 ロットサイズが4個 の場 合 の生 産 計 画 の画 面 です。
図 2.5.10(1) 生 産 ロットサイズが1個 の場 合 の生 産 計 画 画 面
92
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第2章 部品表による工程管理
図 2.5.10(2) 生 産 ロットサイズが4個 の場 合 の生 産 計 画 画 面
(3) 運 搬 を考 慮 しない場 合 の日 程 計 画 の結 果
図 2.5.11 は生 産 順 序 を A→B→C とした時 の段 取 段 取 時 間 を考 慮 した時 の生 産 ロット
サイズが4個 の場 合 (左 側 )と1個 の場 合 ( 右 側 ) のガントチャートです。総 所 要 時 間 は表
5.7 のようになります。なお、生 産 ロットサイズと運 搬 ロットサイズは同 じとします。
製 品 A:40×4+5=165 分
製 品 A:40×1+5=45 分
図 2.5.11 生 産 順 序 A→B→C かつ段 取 段 取 時 間 を考 慮 した場 合 のガントチャート
(左 側 :ロットサイズ4個 、右 側 :ロットサイズ1個 )
表 2.5.7 段 取 段 取 時 間 を考 慮 した場 合 の生 産 ロットサイズと総 所 要 時 間 の関 係
生 産 ロットサイズ
1個
2個
4個
総所要時間
8時 間 5分
8時 間 45 分
10 時 間 50 分
(4) 演 習 課 題
1)
表 2.5.6 の結 果 について、運 搬 を考 慮 した場 合 にどのようになるか検 討 してみてくださ
い。なお、運 搬 の条 件 は以 下 のものとします。
①
AGV速 度 :60m/分
②
AGVから各 工 程 へのLoading/Unloading速 度 :5Sec.(秒 )
93
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第2章 部品表による工程管理
③
スタッカークレーン速 度 :60m/分
④
設 備 故 障 無 し、パレットは十 分 あるものとします。
⑤
バッファ(自 動 倉 庫 および各 工 程 でのパレットチェンジャー個 数 )は使 用 しないものとし
ます。
2)
以 下 の事 項 についてさらに検 討 してください。
①
生 産 順 序 (A→B→C)が変 化 した場 合 、
②
バッファを使 った場 合 、
③
生 産 ロットサイズと運 搬 ロットサイズは異 なる場 合 。
以 上 のようなロット生 産 方 式 に関 する理 論 的 な内 容 は文 献 [7]を参 照 してください。
94
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第2章 部品表による工程管理
2.6 隘 路 工 程 (ネック工 程 )改 善 演 習
テキスト講義編の隘路工程改善(pp.73-76)では以下の方策について検討しました。
(1) 工 程 の分 割 ・統 合 (設 備 への作 業 割 付 の変 更 )
(2) 設 備 台 数 増 加 (生 産 能 力 の増 加 )
本 演 習 では以 下 の改 善 策 について検 討 してみましょう。
(1) 設 備 の代 替 性 (マシニングと旋 盤 が同 一 機 能 を有 する場 合 )
(2) ネック工 程 に仕 掛 在 庫 を設 定 する方 法 (パレットチェンジャーの設 置 )
(3) 段 取 時 間 マトリックスを使 った段 取 時 間 短 縮 法
2.6.1 演 習 課 題 の条 件
条 件 設 定 は講 義 編 と同 様 に表 2.6.1 のデータを使 って検 討 してみましょう。なお、
セットアップと除 去 工 程 は統 合 化 するものとします。
表 2.6.1 ネック工 程 改 善 事 例 の生 産 情 報 (工 程 表 示 時 間 単 位 :分 )
製 品 (注 文 番 号 )
A(No.01)
B(No.02)
C(No.03)
生産個数
5個
5個
5個
注文到着順位
1位
2位
3位
セットアップ (工 程 1)
5
5
5
75
旋盤
(工 程 2)
15
20
10
225
マシニング
(工 程 3)
40
30
20
450
洗浄
(工 程 4)
10
40
30
400
組立
(工 程 5)
20
10
-
150
除去
(工 程 6)
5
5
5
75
95
110
70
1,375
合 計 時 間 (分 )
工 程 別 負 荷 量 (分 )
(注 ) 生 産 時 間 は各 製 品 1個 の生 産 にかかる生 産 時 間 を意 味 します。
なお、運 搬 条 件 は以 下 の通 りです。
(1) 設 備 故 障 は発 生 しないものとします。
(2) パレット数 は十 分 あるものとします。
(3) 生 産 優 先 規 則 として FIFO(到 着 順 )を用 います。
(4) レイアウトデータは演 習 時 にファイルを配 付 します。
(5) 自 動 倉 庫 をバッファとして使 用 します。
(6) 運 搬 条 件 の設 定
①
AGV 速 度 :60m/分 、Loading/Unloading 速 度 :1Sec.(秒 )
②
各 工 程 の Loading/Unloading 速 度 :5Sec.(秒 )
③
ス タ ッ カ ー ク レ ー ン 速 度 :60m/分 、Loading/Unloading 速 度 :1Sec.(秒 )
④
レイアウトは図 2.6.1 の通 りとします。
95
製造中
中核人材育成セ
セミナー テキス
スト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習
習編(Web 版)
第2章
章 部品表による
る工程管理
図 2.6.1 隘 路 工 程 改 善 演 習 問 題 の対 象 職 場 レイアウト
ト
2.6.22 IT 治 具 の操
の 作方法
(1) 設 備 の代 替 性 による改 善
表 6.1 より、ネ
ネック工 程 の マシニングに
に対 し、旋 盤 が代 替 設 備 として同 一 機 能 を有 するも
す
のとす
する。このとき
き、マシニン グと旋 盤 へ の工 程 割 付 は同 一 とな
なります。そこ
こで、IT 治 具 の装
備 マス
スターを図 2.6.2 のよう に設 定 します
す。
図 2.6.22 マシニング
グと旋 盤 に代
代 替 性 がある
る場 合 の設 備 マスターの
の設 定 法
(2) 隘 路 工 程 (マ
マシニング) への仕 掛 在 庫 (パレット
トチェンジャー
ー)の設 定
隘 路 工 程 のマ
マシニングに
に仕 掛 在 庫 を
を設 置 する方
方 法 としてマ
マシニングに
にパレットチェ
ェンジ
ャーを
を設 定 するた
ための操 作 は、レイアウ
は
トエディタを
を図 2.6.3 のように設
の
定し
しマシニング
グへの
仕 掛 在 庫 スペー
ースを確 保 し ます。このよ
ように設 定 し た結 果 のレイ
イアウトを図
図 2.6.4 に示
示 しま
す。
96
製造中核人材育成セミナー テキスト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
図 2.6.3 マシニングにパレットチェンジャー3個 分 を設 定 するための8の操 作 法
図 2.6.4 マシニングにパレットチェンジャー3個 分 を設 定 したレイアウト図
2.6.3 演 習 結 果
図 2.6.5 は表 2.6.1 に基 づき生 産 を行 った場 合 のガントチャートと各 設 備 に稼 働 率 を示 しま
す。図 2.6.6 はマシニングと旋 盤 に代 替 性 があるとして生 産 を行 った場 合 のガントチャートと稼
働 率 グラフです。ガントチャートおよび表 2.6.2 よりマシニングでは製 品 Aのマシニング工 程 と
製 品 Bのマシニングおよび旋 盤 工 程 が加 工 され、旋 盤 では製 品 Cのマシニング工 程 の旋
盤 工 程 、製 品 Aの旋 盤 工 程 が加 工 され、マシニングが 42%および旋 盤 が 46%の稼 働 率 とな
っています。また、表 2.6.3 に示 される総 所 要 時 間 をみると、1時 間 余 りの短 縮 効 果 になっ
ていることが分 かります。なお、表 2.6.2 は図 2.6.6 のガントチャートにおける各 装 備 での加 工
開 始 、終 了 時 刻 です。図 2.6.7 はネック工 程 のマシニングに3個 のパレットチェンジャーを
設 置 した場 合 のガントチャートと稼 働 率 グラフです。この効 果 はそれほど顕 著 なものでは無 い
97
製造中
中核人材育成セ
セミナー テキス
スト
ナレッジチェーン・マネジメント 演習
習編(Web 版)
第2章
章 部品表による
る工程管理
です。
ようで
図 2.6 .5 ネック工
工 程 改 善 をし
しない場 合 のガントチャー
の
ートと稼 働 率 グラフ
代替装備
図 2.6.6
2
マシニ
ニングと旋 盤 を代 替 設 備 とした場 合 のガントチ ャート
図 2 .6.7 マシニ
ニングにパレ ットチェンジ
ジャーを装 備 した場 合 の 結 果
なお、
、表 2.6.3 にはテキスト
に
ト講 義 編 の隘
隘 路 工 程 改 善 の際 に検
検 討 した、旋 盤 とマシニン
ングの
割 付 作 業 の見 直 しによる割 付 変 更 を想
想 定 した表 2.6.4
2
の加 工 時 間 データ
タで、セットア
アップ
と除 去 を統 合 した
た場 合 の総 所 要 時 間 も
も参 考 までに
に示 してありま
ます。
98
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第2章 部品表による工程管理
表 2.6.2 マシニングと旋 盤 に代 替 性 を持 たせた場 合 の各 装 備 での加 工 開 始 、終 了 時 間
(図 2.6.6 のガントチャートの各 時 刻 )
製品名
工程番号
工程名
処理装備
開始時間
終了時間
工程時間
製品 A
1
セットアップ(工 程 1)
セットアップ
0:00
0:25
25
製品 B
11
セットアップ(工 程 1)
セットアップ
0:25
0:50
25
製品 A
2
旋 盤 (工 程 2)
マシニング
0:25
1:40
75
製品 C
21
セットアップ(工 程 1)
セットアップ
0:50
1:15
25
製品 B
12
旋 盤 (工 程 2)
マシニング
1:40
3:20
100
製品 A
3
マシニング(工 程 3)
旋盤
1:40
5:00
200
製品 B
13
マシニング(工 程 3)
マシニング
3:20
5:50
150
製品 C
22
旋 盤 (工 程 2)
旋盤
5:00
5:50
50
製品 A
4
洗 浄 (工 程 4)
洗浄
5:00
5:50
50
製品 A
5
組 立 (工 程 5)
組立
5:50
7:30
100
製品 C
23
マシニング(工 程 3)
旋盤
5:50
7:30
100
製品 B
14
洗 浄 (工 程 4)
洗浄
5:50
9:10
200
製品 A
6
除 去 (工 程 6)
セットアップ
7:30
7:55
25
製品 B
15
組 立 (工 程 5)
組立
9:10
10:00
50
製品 C
24
洗 浄 (工 程 4)
洗浄
9:10
11:40
150
製品 B
16
除 去 (工 程 6)
セットアップ
10:00
10:25
25
製品 C
26
除 去 (工 程 6)
セットアップ
11:40
12:05
25
表 2.6.3 隘 路 工 程 改 善 策 毎 の総 所 要 時 間
隘路工程改善策
改善無し
装備代替性
仕掛在庫
割付見直し
総所要時間
13:50:18
12:36:50
13:48:57
13:25:16
99
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第2章 部品表による工程管理
表 2.6.4 マシニングと旋 盤 割 付 工 程 の見 直 しによる工 程 時 間
製 品 (注 文 番 号 )
A(No.01)
B(No.02)
C(No.03)
生産個数
5個
5 個
5 個
注文到着順位
1位
2位
3位
セットアップ (工 程 1)
5
5
5
75
旋盤
(工 程 2)
25
25
15
325
マシニング
(工 程 3)
30
25
15
350
洗浄
(工 程 4)
10
40
30
400
組立
(工 程 5)
20
10
-
150
除去
(工 程 6)
5
5
5
75
95
110
70
1,375
合 計 時 間 (分 )
工 程 別 負 荷 量 (分 )
(注 )生 産 時 間 は各 製 品 1個 の生 産 にかかる生 産 時 間 を意 味 します。
2.6.4 段 取 時 間 マトリックによる段 取 時 間 短 縮 法
ネック工 程 改 善 策 として品 目 の投 入 順 序 により段 取 時 間 が異 なる場 合 には品 目 の投 入
順 序 を工 夫 することで効 果 を上 げることができます。例 えば、グループテクノロジー(Group
Technology: GT) [ 8 ] や塗 装 工 程 での色 の切 替 、熱 処 理 工 程 で熱 管 理 の場 面 で遭 遇 する
問 題 です。
表 2.6.5 はその数 値 例 です。例 えば、製 品 A から製 品 B への段 取 時 間 は3時 間 ですが、
逆 に製 品 B を先 に生 産 してから製 品 A の段 取 にすると 10 時 間 かかるというような状 況 で
す。また、製 品 B から製 品 C への切 替 には段 取 は必 要 ありませんが(段 取 時 間 ゼロ)です
が、製 品 C から製 品 B だと6時 間 かかることが判 ります。
このような現 場 を管 理 担 当 するあなたなら、製 品 A から製 品 E を同 じ設 備 を使 って段 取
替 えしながら生 産 する際 に、どうやって総 段 取 時 間 を最 短 にしてネック工 程 の改 善 を図 り
ますか。
全 ての組 み合 わせ、つまり5の階 乗 通 り(5!=5×4×3×2×1=120 通 り)を考 えて見 ます
か?
ここでは、J.D.Little [ 9 ] らが提 案 した、セールスマンが営 業 のために一 定 の数 の町 を一 巡
(必 ず1回 訪 れて)して、再 び出 発 した町 に帰 ってくる最 短 ルートを見 つけるための「巡 回 セ
ールスマン問 題 」の解 法 を紹 介 します。この「巡 回 セールスマン問 題 」問 題 では表 6.5 に示
される数 値 は時 間 ではなく、距 離 になります。つまり、工 場 も営 業 も似 たような問 題 に直 面
していると言 うことですね。
なお、この手 順 では以 下 に示 すように何 枚 かの表 を書 き直 す手 間 はかかりますが、120
通 りの作 業 ほどではありません。
(1) まず、同 じ品 目 を繰 り替 えさないように表 6.5 の斜 線 が入 っている部 分 に最 も大 きい時
100
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第2章 部品表による工程管理
間 がかかるとして「無 限 大 ∞」を記 入 します。(表 2.6.6(1)参 照 )
(2) 各 行 毎 に最 小 時 間 を見 つけて、各 行 の値 からその最 小 時 間 を差 し引 いた時 間 値 の
表 を作 成 します。(表 2.6.6(2)参 照 )
(3) 表 2.6.6(2)の各 列 毎 にゼロ以 外 の最 小 値 が無 いか確 認 し、あれば、その最 小 値 をそ
の列 の数 字 から差 し引 いた時 間 値 を求 め、その数 値 を作 表 する。(表 2.6.6(3)参 照 )
(4) 表 2.6.6(3)の「ゼロ」の欄 毎 に以 下 の計 算 をして、計 算 結 果 を各 欄 の右 肩 に記 載 する。
(表 2.6.6(4)参 照 )
*
①:対 象 とする「ゼロ」の列 の数 字 の最 小 値 (但 し、対 象 とする欄 のゼロは除 く)+②対
象 とする「ゼロ」の行 の数 字 の最 小 値 (但 し、対 象 とする欄 のゼロは除 く)
(例 )製 品 A から製 品 B の欄 にある「ゼロ」を例 にすると、(表 2.6.6(4)の黄 色 )
①
製 品 B の列 を見 ると、製 品 B から「∞」、製 品 C から「6」、製 品 D から「1」、製 品 E
から「0」となっているので、最 小 値 は0。
②
製 品 A の行 を見 ると、製 品 A へ「∞」、製 品 C へ「4」、製 品 D へ「1」、製 品 E へ「3」
があるので、最 小 値 は1。
よって、製 品 A から製 品 B の欄 の「ゼロ」には右 肩 に「1」が記 載 される。
同 様 の手 順 で、表 2.6.6(4)ができる。
(5) 手 順 (4)で計 算 した各 欄 の「ゼロ」の右 肩 の数 字 の最 大 のものの行 と列 (製 品 B から製
品 C)を表 2.6.6(4)から削 除 すると共 に、製 品 B→製 品 C を最 後 の順 番 として記 録 す
る。(表 2.6.6(5)参 照 )
表 2.6.5 段 取 時 間 マトリックス(単 位 :時 間 )
From
To
製品 A
製品 A
製品 B
製品 C
製品 D
製品 E
3
7
4
6
0
5
4
0
4
製品 B
10
製品 C
1
6
製品 D
5
4
4
製品 E
8
2
3
3
6
表 2.6.6(1) 同 じ品 目 を繰 り返 さないための処 理 をした段 取 時 間 マトリックス
製品 A
製品 B
製品 C
製品 D
製品 E
製品 A
∞
3
7
4
6
製品 B
10
∞
0
5
4
製品 C
1
6
∞
0
4
製品 D
5
4
4
∞
3
製品 E
8
2
3
6
∞
From
To
(注 )下 線 を引 いた数 字 は書 く行 の最 小 値
101
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第2章 部品表による工程管理
表 2.6.6(2) 各 行 の最 小 値 を各 行 から引 いた数 値 の段 取 時 間 マトリックス
From To
製品 A
製品 B
製品 C
製品 D
製品 E
引 く数 字
製品 A
∞
0
4
1
3
3
製品 B
10
∞
0
5
4
0
製品 C
1
6
∞
0
4
0
製品 D
2
1
1
∞
0
3
製品 E
6
0
1
4
∞
2
表 2.6.6(3) 各 列 のゼロ以 外 の最 小 値 を各 列 から引 いた数 値 の段 取 時 間 マトリックス
製品A
製品B
製品C
製品D
製品E
製品A
∞
0
4
1
3
製品B
9
∞
0
5
4
製品C
0
6
∞
0
4
製品D
1
1
1
∞
0
製品E
5
0
1
4
∞
引 く数 字
1
0
0
0
0
From
To
表 2.6.6(4) ゼロの欄 に対 する所 定 の計 算 結 果 を併 記 した取 時 間 マトリックス
製品A
製品B
製品C
製品D
製品E
製品A
∞
01
4
1
3
製品B
9
∞
05
5
4
From
To
製品C
0
製品D
製品 E
1
1
6
∞
0
4
1
1
1
∞
04
5
01
1
4
∞
表 2.6.6(5) 表 6.6(4)から製 品 B 行 、製 品 C 列 を削 除 した取 時 間 マトリックス
製品A
製品B
製品D
製品E
製品A
∞
01
1
3
製品C
01
6
01
4
製品D
1
1
∞
04
製品E
5
01
4
∞
From
To
(6) 製 品 B→製 品 C を削 除 した表 6.6(5)に対 して、更 に手 順 (3)と同 様 の計 算 式 を用 いて、
「ゼロ」の右 肩 にある数 字 の再 計 算 をする。(表 2.6.6(6)参 照 )
(7) 手 順 (5)を表 2.6.6(6)に対 して行 う。但 し、右 肩 の数 字 が同 じ場 合 は、どれをとっても
102
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第2章 部品表による工程管理
良 い。表 2.6.6(6)では製 品 E→製 品 B と製 品 D→製 品 E が同 じ4となっているが、ここ
では製 品 E→製 品 B を削 除 の対 象 とし、製 品 E→製 品 A を既 に削 除 した製 品 B→製
品 C の前 にする。製 品 E→製 品 B:製 品 B→製 品 C(表 2.6.6(7)参 照 )
(8) 表 2.6.6(7)の製 品 A 行 は最 小 値 が1でありゼロで無 いので、改 めて製 品 A 行 からその
最 小 値 を差 し引 いた段 取 時 間 マトリックスを作 成 し、ゼロの欄 の数 値 計 算 を手 順 (6)に
準 じて行 う。(表 2.6.6(8)参 照 )
(9) 表 2.6.6(8)の製 品 D→製 品 E の右 肩 数 字 が「3」で最 大 なので表 2.6.6(8)から製 品 D
行 、製 品 E 列 を削 除 し、各 行 、列 の最 小 値 の確 認 と「ゼロ」の欄 の計 算 を行 い、削 除
した製 品 D→製 品 E を既 に削 除 したグループに追 加 する。製 品 D→製 品 E:製 品 E→
製 品 B:製 品 B→製 品 C(表 2.6.6(9)参 照 )
(10) 段 取 時 間 マトリックスが以 下 の条 件 が満 したら手 順 を終 了 する。
①
2行 2列 になったか?
②
各 行 、列 のゼロ以 外 の最 小 値 が無 いか?
表 6.6(9)から製 品 A→製 品 D が残 ったので、これを最 初 にして、これまでに削 除 し
た製 品 グループの削 除 を先 にしたものを後 にして順 番 を決 定 します。すなわち、以
下 の生 産 順 序 が総 段 取 時 間 を最 小 にする順 序 ということになります。その時 の総
段 取 時 間 は、1+4+3+2+0=10 時 間
製 品 A→製 品 D: 製 品 D→製 品 E:製 品 E→製 品 B:製 品 B→製 品 C
製 品 A→製 品 D→製 品 E→製 品 B→製 品 C
表 2.6.6(6) 表 2.6.6(5)の「ゼロ」の欄 の再 計 算 結 果 を表 示 した段 取 時 間 マトリックス
製品A
製品B
製品D
製品E
製品A
∞
01
1
3
製品C
01
6
01
4
製品D
1
1
∞
04
製品E
5
04
4
∞
From
To
表 2.6.6(7) 表 2.6.6(6)から製 品 E 行 、製 品 B 列 を削 除 した段 取 時 間 マトリックス
From
To
製品A
製品D
製品E
製品A
∞
1
3
製品C
01
01
4
製品D
1
∞
04
103
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第2章 部品表による工程管理
表 2.6.6(8) 表 2.6.6(7)から製 品 A 行 の最 小 値 を引 き、再 計 算 した段 取 時 間 マトリックス
From
To
製品A
製品D
製品E
引 く数 字
製品A
∞
02
2
1
製品C
0
1
0
4
0
製品D
1
03
0
0
∞
表 2.6.6(9) 表 2.6.6(7)から製 品 A 行 の最 小 値 を引 き、再 計 算 した段 取 時 間 マトリックス
From
To
製品A
製品D
製品A
∞
00
製品C
00
00
なお、手 順 (7)で右 肩 の数 字 が同 じ場 合 が生 じ、上 記 の例 では表 2.6.6(6)では製 品 D
→製 品 E を削 除 対 象 から外 しましたが、ここで製 品 D→製 品 E を削 除 対 象 に選 んだら結
果 はどうなるか、検 討 して結 果 を確 かめて下 さい。
104
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第2章 部品表による工程管理
参考文献
[1] K.Ishii and T.Ichimura, A process design approach based on the fusion
model,Technovation, Vol.12, No.7 1992,pp.499-507
[2] Ishii, I.Mihara, T.Ichimura, Information Behavior in the Determination of
Functional Specifications for New Product Development, International Journal of
Production Economics, Vol.98,2005,pp262-270
[3] 秋 庭 雅 夫 ・黒 田 充 ・田 部 勉 ・石 井 和 克 ・宮 崎 晴 夫 ・市 村 隆 哉 、生 産 管 理 システムの
設 計 -その研 究 と活 用 -、日 本 能 率 協 会 、昭 和 61 年 、p.258
[4] 石 井 和 克 ・池 田 寛 編 著 、平 成 23 年 度 工 学 専 門 実 験 ・演 習 Ⅱ[情 報 マネジメント学 科 ]
指 導 書 、金 沢 工 業 大 学 実 技 教 育 部 委 員 会 、2011
[5] 浅 見 登 、New Technology Systems TUTORIAL & 使 用 説 明 書 、NETS、2004
[6] R.Muther、十 時 昌 訳 、工 場 レイアウトの技 術 、日 本 能 率 協 会 、1978
[7] 村 松 林 太 郎 、新 版 生 産 管 理 の基 礎 、国 元 書 房 、1984、pp.221-265
[8] S.P.Mitrofanov, Scientific Principles of Group Technology, Parts 1-3,National
Lending Library for Science and Technology,1966,pp.119-210
[9] J.D.C.Little, K.G.Murty, D.W. Sweeney and C. Karel, An Algorithm for the
Traveling Salesman Problem, Operations Research,Voll.11,No.6,1963 pp.972-987
105
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第3章 統合化管理
演習編
第 3章 統 合 化 管 理
3.1 標 準 化 と改 善 活 動 の統 合 化 演 習
ここではA社 において行 われている「目 標 経 営 管 理 (目 経 管 )」という全 社 的 改 善 活 動 を
取 り上 げ、紹 介 します。この事 例 を参 考 にして、あなたの会 社 がこのような全 社 的 改 善 活
動 を導 入 する際 の課 題 について、各 自 検 討 して下 さい。
3.1.1 A社 の沿 革
まず、A社 の主 な沿 革 を以 下 に示 します。
1931年 金 沢 市 内 に個 人 商 店 として創 立
1949年 株 式 会 社 に改 組 (資 本 金 150 万 円 )
1953年 現 本 社 工 場 新 設
1963年 販 売 部 門 を独 立
1964年 販 売 部 門 を合 併 、名 古 屋 中 小 企 業 投 資 育 成 ㈱の投 資 第 1号 、
資 本 金 7,000 万 円 、
4半 期 ごとの実 地 棚 卸 による総 合 原 価 計 算 に基 づく原 価 管 理 方 式 の採 用
1965年 資 本 金 1億 円
1975年 SSD 活 動 開 始
個 別 原 価 計 算 制 度 への変 更
1982年 名 証 第 二 部 上 場 、資 本 金 5 億 5,000 万 円
1985年 東 証 二 部 上 場 、資 本 金 52 億 8,240 万 円
1986年 東 証 、名 証 一 部 上 場 、アメリカに現 地 法 人 設 立
納 品 後 の実 績 原 価 を受 注 時 の予 定 原 価 内 で作 り込 む「予 実 原 価 管 理 方 式 」
の導 入
1991年 米 国 で子 会 社 設 立
1992年 目 標 経 営 管 理 (目 経 管 )、コスト破 壊 (CD)の活 動 を開 始
1994年 40 年 ぶりの営 業 利 益 赤 字 、改 善 、改 革 、開 発 の「三 カイ」活 動 着 手
1995年 医 療 機 器 分 野 に進 出 、医 療 機 器 製 造 分 野 で ISO9001 認 証 取 得
2002 年 中 期 経 営 計 画 を 発 表 。 目 経 管 の 推 進 責 任 者 を 社 長 か ら 事 業 本 部 長 に 移
管。
2004年 売 上 金 額 320 億 円
2005年 米 国 ホップマン社 がグループに加 わる
2008年 グループ会 社 10 社 (在 アメリカ会 社 1社 を含 む)
従 業 員 数 1,350 名 (グループ前 提 で 2,400 名 )
2009年 資 本 金 113 億 9,201 万 円
106
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第3章 統合化管理
3.1.2 目 経 管 の背 景
この管 理 活 動 は役 員 (事 業 本 部 長 )、部 長 、課 長 、係 長 の職 制 が推 進 役 となり、1975
年 に開 始 された SSD(小 集 団 )活 動 が母 体 となった期 間 数 値 目 標 の設 定 とその実 現 の一
連 の活 動 です。その活 動 構 成 は以 下 の2本 立 てになっています。
* 目 標 管 理 (管 理 レベル層 中 心 )
* 日 常 管 理 (小 集 団 活 動 、現 場 レベルが中 心 )
目 標 経 営 管 理 (以 下 、目 経 管 と略 します)の名 称 が使 われたのは 1992 年 からです。
1994 年 の決 算 でA社 は 40 年 ぶりの営 業 利 益 赤 字 を出 しましたが、これを契 機 に改 善 、改
革 、開 発 の「三 カイ」活 動 の着 手 し、翌 事 業 期 には黒 字 に転 じた背 景 にはこの三 カイ活 動
の目 標 達 成 における目 経 管 の裏 支 えがあったと言 われます。2001 年 には目 経 管 の見 直
しが行 われ、2002 年 には推 進 責 任 者 が社 長 から事 業 本 部 長 に移 管 されました。この活 動
はさらに進 化 し、共 創 (お互 いに知 恵 を出 し合 い、知 恵 を束 ね合 う)、共 育 (お互 い聞 き合
い、教 え合 い、励 まし合 う)、共 成 (お互 いに成 果 を出 し合 い、成 長 し合 う)の「3共 の実 現 」
という、人 材 育 成 の段 階 に進 んでいます。
この目 経 管 については 2004(平 成 14)年 に「A社 の目 標 管 理 」の社 内 冊 子 の「改 訂 に
当 たって」に記 載 されている特 徴 的 な記 述 に目 標 経 営 管 理 のネーミングの一 端 が期 され
ていますので、紹 介 します。
『「目 標 による管 理 」の考 え方 をもう一 歩 高 めて、企 業 の経 営 管 理 、殊 に受 注 生
産 型 機 械 メーカーの経 営 管 理 そのものとする意 義 を込 めて、当 社 独 自 の「目 標 経
営 管 理 」とネーミングし、毎 期 強 く推 進 してきた。また、すべての管 理 ・監 督 者 が「経
営 」の観 点 から職 場 ならびに自 身 の管 理 をとうして、目 標 の達 成 をはかるようにとの
趣 旨 が「目 標 」と「管 理 」の間 の「経 営 」という二 文 字 に込 められている。』
ところで、経 営 と管 理 の違 いは何 でしょうか。みなさんも考 えて見 てください。以 下 に私
見 を述 べますので、ご意 見 を聞 かせてください。
「経 営 」とはその組 織 の
①
目 的 を明 らかにし、
②
達 成 すべき目 標 を設 定 し、
③
目 標 達 成 のためにとるべき行 動 基 準 と大 綱 を示 すこと。
これらは具 体 的 には社 是 、社 訓 、企 業 理 念 ・方 針 、利 益 目 標 、予 算 大 綱 、管 理 基 準 な
どの形 で示 されます。
「管 理 」とは上 記 経 営 によって示 された企 業 活 動 の性 格 ・方 針 および基 準 に基 づいて、
それを実 現 するための具 体 的 な行 動 体 系 をいいます。この行 動 体 系 は次 のような諸 機 能
からなっています。
①
計 画 (標 準 化 )、
②
実施、
③
統 制 (改 善 )
107
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第3章 統合化管理
3.1.3 目 経 管 のモデル [ 1 ] とそのシステム
(1) 目 経 管 を企 業 競 争 力 向 上 に効 果 的 に進 める条 件
①
基本方針
a)
二 層 間 ミーテイングの完 全 実 施
職 位 ・業 務 間 の上 下 左 右 間 のコミュニケーションでやるべきことを期 初 に徹 底 的 に
抽 出 し、優 先 順 位 の一 致 を図 る。
b)
日 常 管 理 で維 持 (現 状 維 持 )を、目 標 管 理 で革 新 (現 状 打 破 )
日 常 管 理 で業 績 の維 持 管 理 、目 標 管 理 で革 新 的 変 化 に挑 戦 により生 産 性 の飛
躍 的 向 上 と人 材 の能 力 開 発 を推 進 する。
②
目標設定
以 下 を留 意 した重 点 志 向 で進 める。
a)
事 業 部 門 の目 標 ・方 針 と利 益 計 画
全 社 方 針 、利 益 計 画 を受 けて各 部 門 での目 標 である売 上 目 標 、原 価 目 標 に展 開 する。
目 標 展 開 例 は以 下 のようなものが参 考 になるでしょう。
利 益 =売 上 ―原 価
売 上 =製 番 1の価 格 ×数 量 +製 番 2の価 格 ×数 量 +・・・
原 価 =固 定 費 +変 動 費
=固 定 費 +変 動 費 率 (単 位 当 たり変 動 費 )×売 上 金 額 (数 量 )
b)
管理指標
方 針 、目 標 を実 現 するために行 動 計 画 を立 案 し、その結 果 を実 績 データで測 定 ・
確 認 し、評 価 する(予 実 管 理 ともいうことがあります)。その結 果 、必 要 に応 じて調
整 を行 う、いわゆる管 理 活 動 を行 う。
c)
標準化
*
技術標準
* 管 理 標 準 (ISO9000、14000 など)
d)
機種別原価低減方針
e)
教育
*
OJT(On the Job Training)中 心
*
自 己 啓 発 、相 互 啓 発 を基 礎 とする職 制 レベルの集 合 研 修
(2) 目 経 管 と SSD 運 動 との関 係
目 経 管 で設 定 した自 部 門 の目 標 を効 率 よく達 成 するためには各 種 の問 題 解 決 手 法 の
活 用 が必 要 になります。SSD 運 動 は小 集 団 活 動 による改 善 活 動 であると同 時 に、基 礎 的
な各 種 の問 題 解 決 手 法 を習 得 する場 でもあります。すなわち、SSD 運 動 は目 経 管 で設 定
された目 標 から自 主 的 にテーマを選 び、改 善 活 動 を実 施 する中 で、各 種 の問 題 解 決 手
法 を継 続 的 習 得 する、いわゆる「腕 を磨 く場 」であり、目 経 管 は SSD で習 得 した各 種 の問
108
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第3章 統合化管理
題 解 決 手 法 を積 極 的 に活 用 し、組 織 目 標 の達 成 に寄 与 する、いわゆる「腕 を発 揮 する場 」
であるとされています。
(3) 目 経 管 システム
目 経 管 組 織 システムとは企 業 の組 織 成 長 目 標 と組 織 構 成 員 としての管 理 職 個 人 の成
長 目 標 の2つの目 標 達 成 を実 現 するために、
①
日 常 的 な維 持 目 標 による管 理 (日 常 管 理 →守 りの管 理 )
②
計 画 的 な革 新 目 標 による管 理 (目 標 管 理 →攻 めの管 理 )
の2つの管 理 方 式 を確 立 するとともに、この2つを有 機 的 連 動 させることにより、
①
目 標 のスピード達 成
②
マネジメント技 術 の強 化
を実 現 するためのトータルマネジメントの概 念 であるとしています。
目 経 管 システムの構 成 要 素 は以 下 の3つです。
①
目 標 設 定 のシステム
②
日 常 管 理 のシステム
③
目 標 管 理 のシステム
この3つのシステムの関 係 を図 示 すると図 3.1.1 のようになります。
中長期経営計画
当期全社方針
当期本部目標
目 標 設 定 システム
当 期 部 ・課 ・係 目 標
管理資料
技術強化計画
革新目標
維持目標
月 次 チェック
重点目標別管理資料
標準化
定期検討会
目 標 管 理 システム
問題対策検討会
月次目標達成状況
SSD 活 動
日 常 管 理 システム
図 3.1.1 目 経 管 システムの構 成
109
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ナレッジチェーン・マネジメント 演習編(Web 版)
第3章 統合化管理
3. 2 原 価 管 理 演 習
A 社 のコスト破 壊 活 動 を参 考 にして、自 分 の会 社 の原 価 低 減 活 動 の現 状 と課 題 を
検 討 して下 さい。
3.2.1 コスト破 壊 活 動 の背 景
A 社 では 1994 年 より目 標 経 営 管 理 をコスト破 壊 活 動 (Cost Destruction: CD)に本 格 的
に展 開 し、効 果 を上 げてきています。この活 動 は A 社 における原 価 管 理 システムの改 善 の
歴 史 でもあります。
A 社 では原 価 管 理 システムの要 素 である原 価 計 算 方 式 をその経 営 活 動 の必 要 性 と継
続 的 改 善 の活 動 の中 で以 下 のように変 化 させてきています。
1964年 総 合 原 価 計 算 制 度 を基 礎
1975年 個 別 原 価 計 算 制 度 へ変 更
1984年 「直 接 原 価 計 算 」制 度 を基 礎 とする予 実 原 価 管 理 方 式 の導 入
1992年 目 計 管 、CD 活 動 開 始
1994年 40年 ぶりの営 業 利 益 赤 字
以 上 の背 景 の中 から生 まれた CD45 活 動 を例 にして紹 介 します。なお、CD45 という表
現 は生 産 部 門 での部 門 活 動 用 語 であり、原 価 低 減 率 を45%とすることを意 味 します。
3.2.2 コスト破 壊 (CD45)活 動 体 系
その活 動 のポイントは、目 計 管 の体 系 を基 礎 に以 下 の3点 におかれています。
1)
目標管理
①
製 品 系 列 単 位 の CD→製 品 自 体 の CD
②
組 織 横 断 型 CD
→VA/VE、設 計 標 準 化
→新 製 品 開 発
2)
日常管理
製 品 個 々にとらわれない組 織 横 断 的 活 動 →全 社 的 加 工 標 準 の設 定 ・徹 底
→加 工 内 容 の見 直 し
3)
品質改善活動
(1) 社 内 取 引 価 格 (マル工 )の設 定
利 益 を生 産 活 動 の評 価 指 標 として使 う場 合 は営 業 活 動 の影 響 を受 けることを指 摘 しま
した。そこで、多 くの 企 業 でこの問 題 の 解 決 方 法 として 自 社 内 での取 引 関 係 を想 定 して
「仕 切 単 価 」の概 念 を導 入 することがあります。
A 社 でこの仕 切 単 価 に相 当 するものとして図 3.2.1 に示 す「マル工 価 格 (マルコウカカク:
社 内 取 引 価 格 )」の概 念 を導 入 しています。このマル工 価 格 を基 準 に生 産 活 動 の利 益 貢
献 度 に基 づく原 価 低 減 活 動 が展 開 されています。つまり、変 動 費 管 理 による限 界 利 益 管
110
製造中核人材育
製
育成セミナー テキスト
テ
ナレッジチェーン・マネジメン
ント 演習編(W
Web 版)
第3章 統合化管理
通 じて生 産 活 動 と利 益 を直 接 結 び
びつけることを
を狙 っていま
ます。
理 を通
図 3.2.1 A 社 におけ
ける製 造 利 益 管 理 概 念 図 とマル工 価 格 [ 2 ]
(澁
澁 谷 弘 利 ,受 注 生 産 :勝 利 への方 程 式 -予 実 原 価 管 理 とコス
スト破 壊 -,ダイ
イヤモンド社 ,p
p.147)
(2) 期 間 材 料 費 率 の管 理
A 社 ではボト リングマシン
ンの生 産 は受
受 注 生 産 形 態 を取 っており、生 産 の
の繰 り返 しの
の頻 度
の少 ない生 産 の 中 で出 荷 金 額 ベースで
では月 間 10 倍 程 度 の負
負 荷 量 変 動 があります。 製 造
原 価 を生 産 活 動 の評 価 指 標 として使 用 し、原 価 管 理 を進 め て行 く場 合 、標 準 原 価 の設
定 が 基 本 となりま
ます。しかし 、個 別 受 注 生 産 形 態 の場
の 合 、個 別 仕 様 に基
基 づく原 価 計 算 要
素 の 変 化 や仕 事 量 (負 荷 量 )変 動 の大
大 きさから工 場 操 業 度 の管
の 理 の手 段 が限 られた
たもの
となる
ることから、A
A 社 では固 定 費 を工 場 サイドで管
管 理 することと
と変 動 費 を管
管 理 すること
とを分
けて、
、変 動 費 管 理 に重 点 を置
を く方 法 が
が取 られてい
います。これ は、限 界 利 益 、変 動 費 管 理
を原 価 管 理 の基
基 本 においた
た方 針 の現 れ
れです。その
の変 動 費 の 主 な部 分 が
が材 料 費 にな
なって
いるこ
ことから「期 間 材 料 費 率 」の管 理 に よって標 準 原 価 ベースの原 価 管 理 活 動 を行 ってい
っ
ます。
。
期 間 材 料 費 は図
は 3.2.2 に示
に す注 文 別 材 料 費 (電
電 装 品 費 から組 立 費 )を
を基 礎 に図 3.2.3
の部 門 別 費 目 が出
が 荷 時 点 での費 用 計 上 として期 間 集 計 され
れたものを基 準 としていま
ます。
この基
基 準 を予 定 値 として各 期 の実 績 値 が比 較 され
れ、その差 が大 きい場 合 には改 善 のため
の
のアク
クションが取
取 られます。
各注文仕様書
マル工 見 積
販売価格
予 定 原 価 表 111
電装品費
○
部 組 単 位 原価
部 品単位価格
○
○
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第3章 統合化管理
図 3.2.2 製 品 別 (製 番 別 )管 理 、部 組 別 管 理 および部 品 別 管 理
「よこ」の管理(費目別管理)
売上高
製造原価
直接材料費
加工費
販売費・一般管理費
営業利益
・直接材料費管理
・直接労務費管理
・製造間接費管理
・工場固定費管理
・販売・物流費管理
・一般管理費管理
「たて」の管理(セグメント別損益管理)
・部門別管理 ・製品別管理 ・地域別管理 ・工場別管理
図 3.2.3 部 門 別 (縦 )・費 目 別 (横 )原 価 管 理 概 念
(3) 予 実 原 価 管 理 体 系 図
以 上 のようにA社 の予 実 原 価 管 理 体 系 は以 下 の基 本 要 素 を前 提 として図 3.2.4 の予 実
原 価 管 理 体 系 図 の下 で運 営 されています。
①
社 内 取 引 価 格 (マル工 )
②
限 界 利 益 管 理 に基 づく期 間 材 料 費 率 管 理
112
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第3章 統合化管理
図 3.2.4 A 社 の予 実 原 価 管 理 体 系 図 [ 2 ]
( 澁 谷 弘 利 ,受 注 生 産 :勝 利 への方 程 式 -予 実 原 価 管 理 とコスト破 壊 -,ダイヤモンド社 、2005,pp.158-159 )
3.2.3 コスト破 壊 の事 例
A 社 における製 品 原 価 を対 象 としたコスト破 壊 を充 填 システム(重 量 充 填 式 )の事 例 で
紹 介 します。
(1) 革 新 目 標 展 開 のファミリーツリー表 示
この事 例 はSS作 戦 と呼 ばれるA社 設 計 Ⅰ課 で革 新 目 標 「30%原 価 低 減 」のもとで行
われました。図 3.2.5 は部 組 レベルの充 填 機 (フィラー)に対 する原 価 低 減 目 標 30%を
部 品 レベルに展 開 したものです。このように部 品 レベルに展 開 された原 価 低 減 目 標 は
技 術 的 な難 易 度 や部 品 原 価 を考 慮 して最 終 的 な目 標 値 として決 定 されます。
フィラー
30%↓
113
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第3章 統合化管理
ロータリーテーブル部
CIP 部
⑤バルブ昇 降 部
フレーム部
駆動部
20%↓
20%↓
④昇 降 軸
③クラッチユニット
40%
10%
40%
給 液 ・回 収 経 路
②計 量 ユニット
20%↓
30%↓
バルブリフタ昇 降 部
バルブ
ノヅル部
駆動部
⑥CIP カップ
給液
回 収 マニホールド
ロータリ
駆動部
マニホールド
接 続 ユニット
ジョイント
①コントローラー
30%
ロードセル~
クリッパ-部
30%
図 3.2.5 フィラーのファミリーツリーと原 価 低 減 目 標 展 開
上 記 の開 発 目 標 の展 開 内 容 を一 覧 表 化 したものが表 3.2.1 です。
表 3.2.1 フィラー原 価 低 減 30%の部 品 展 開 と期 間 展 開 〈低 減 目 標 〉
レベル0
第 1年 度 フィラー(20%)
第 2年 度 フィラー(10%)
レベル1
ロータリーテーブル(20%)
レベル2
レベル3
⑤バルブ昇 降 部 (10%)
②計 量 ユニト(30%)
駆 動 部 (20%)
③クラッチユニット(40%)
ロータリーテーブル(10%)
給 液 ・回 収 経 路 (20%)
フレーム(20%)
④昇 降 軸 (40%)
(2) 開 発 体 制
114
①コントローラー(30%)
⑥CIP カップ駆 動 部 (30%)
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第3章 統合化管理
フィラーの原 価 低 減 のための開 発 、設 計 は図 3.2.6 の太 枠 にある設 計 Ⅰ課 、設 計 課 およ
びシステム開 発 部 と外 部 開 発 会 社 の共 同 作 業 によって行 われた。
ボトリング事 業 部
ボトリングシステム設 計 部
電気制御技術部
システム開 発 部
外 部 A社
外 部 B社
設計課
開発部
設 計 Ⅲ課
設 計 Ⅱ課
設 計 Ⅰ課
図 3.2.6 フィラーの原 価 低 減 活 動 の関 連 組 織
参考文献
[1] 石 井 和 克 、倉 島 千 徳 、中 野 真 、ナレッジチェーンマネジメント講 義 編 テキスト(第 9版 )、
金 沢 工 業 大 学 情 報 マネジメント研 究 所 、2013、pp.117-135
[2] 澁 谷 弘 利 、受 注 生 産 勝 利 への方 程 式 -予 実 原 価 管 理 とコスト破 壊 -、ダイヤモンド
社 、2005、p.147、pp.158-159
115
索 引
数 字
3段階評価基準
22
A~Z
FIFO
IT治具
Little
Load/Unload
OJT
SLP
V-FMS21(a)
83,95
35,38,58,62,70,78,92,100
100
64,85
108
73
59,64,65,78
管理標準
管理目標
機械モジュール
期間材料費率
期間数値目標
期間展開
期間山積計画法
企業競争
企業理念
技術開発
技術情報の収集
技術特性(設計目標なるもの)
ア 行
9,10
1
15
15
16,17
17
18
18,19
19,20
19,20
95,96、98,99
73
100
8,9
109
29,34,38
108
108
64
67,68
62,65,66,69
64,95
66
63
68
84,86,87,90,93,94
2
2
アイデア・ジェネレーション
アイテム
アイテム1
アイテム2
アイテム3
アイテム4
アイテム5
アイテム6
アイテム7
アイテム8
隘路工程(ネック工程)
アクテイビテイ相互関係表
意思決定
意思決定ルール
維持目標
インポート
売上
売上目標
運転管理
運搬計画
運搬時間
運搬条件
運搬設備
運搬速度
運搬要求
運搬ロットサイズ
エアジェット織機
沿革
カ 行
改善
改善活動
開発方針(ポリシー)
開発の背景
革新目標
加工開始
加工計画
加工時間
稼働回数
稼働率
ガントチャート
管理
管理基準
顧客要望の多様化
23,24,25,26,27
106
2,12,14,21,46
106
109
99
64
52,78
89
84,89,97,98
65,68,70,74,78,79,86,89,93,97
107
107
28
技術標準
既存製品
基本仕様
共育
教育
共創
共成
競合製品
競合他社
共有バッファー
近接性
グループテクノロジー
経営
計画(標準化)
計画管理
原価
原価(コスト)低減活動
限界利益
原価管理
原価計算
原価低減活動
原価低減目標展開
原価目標
現状維持
現状打破
工場操業度
工数計画
高速製織
工程管理
工程管理システム
工程時間
工程種類
工程順序
工程図
工程設計
工程能力
工程番号
工程マスター
工程名
工程用FMEA
行動基準
購入部品
購買・外注管理
購買用部品表
顧客要望
製品多仕様化
108
108
37
111
14
114
59,60
108
107
107
14
7
108
9,10,46
6,8,9,15,41,48
107
108
107
107
8,14,21,41,48,49,50
4,5,14
80
73,74
100
107
107
62
108
113,114
110,111
110
110
110,115
114
108
108
108
111
52,59
14
28,49,57,59
28
90,100
37,52,53,54
36
41,49,50
28,40,57
41
52
52,53,54,55,56,61
35,36,52
49
107
29
28
28,29
1,3,14,40
2
構成部品の標準化
コスト
コストパフォーマンス
固定費
子部品
個別原価解散
コミュニケーション
14
41
6
108,111
29
110
108
サ 行
材料費
111
仕掛在庫
41,80,81,96
仕掛待時間
65
仕切単価
110
自己啓発
108
市場規模
2
市場成長率
14
市場占有率
21
市場動向
6
自社既存技術
14,21
自社既存製品
8,9
時点計画法
59
自動倉庫
68,77,78,79,80,85,95
自動搬送車
69
シミュレーション
59,60.,64,65,78,86,88
社是・社訓
107
社内取引価格
110,111
集合研修
108
受注処理
58
受注生産形態
111
巡回セールスマン問題
100
小集団活動
14,21,41,49,108
商品特性(顧客の要望)
4,5,7
職制
107
織布機械
107
所要時間
36
人材育成
107
新機種開発
2
新製品開発
46
スケジューリング
75
スタッカークレーン
68,72,78,85,94
ステーション数
83
図面管理システム
22
図面管理のシステム化
22
図面管理の標準化
22
図面番号
32,33
整経技術
1
生産活動
110
生産計画
55,58,62,67,76
生産時間
59
生産順序
59,90,93,94
生産性
108
生産設備
66
生産統制
58,68
生産ロットサイズ
87,88,89,90,91,92,93,94
製造用部品表
28,29,33,34,35,38,59
製品基本特性
41
製品系列分析
2,46
製品コード
29,31,35,36
非加工時間
52
製品特性展開
製品分析
製品名(製番)
セールスポイント
設計用FMEA
設計用部品表
設備稼働率
設備故障
設備の代替性
全社的改善活動
先着順(FIFO)
専有バッファー
戦略的図面管理システム化
繊維機械
総合原価計算
総合電機メーカー
相互啓発
総所要時間
装備マスター
組織目標
42,43,44,45,51
46
29,31,33,36
3,4,5,46
49
28,29,30,33,34,49,50
70,75,76,77,79
62,67,70
95,96
2
68
80
22
14
110
84,89,98
108
70,76,77,91,93,106
53,54,61,62,96
109
タ 行
ターゲット
大綱
代替性
代替設備(装備)
緯糸
段取回数
段取時間
段取時間マトリックス
直接原価計算
提携技術
データーベース
テクノロジー・アセスメント
手順計画
討議のヒント
統制(改善)
投入順序
塗装機械
トラブルの原因
トラブルの状況
12,14
107
99
98
12,13
84,91
90,92,95,100
95,102,103,104
110
15
29
6
52,59
1,14,21
107
100
40,46,49
23,24,25,26,27
23,24,25,26,27
ナ行
日常管理
日程計画
日程計画
ネック工程
2,109,110
55,58
60,66
98,100
ハ 行
バッファー機能
バッファーシステム
パレット
パレット情報
パレットタイプ
パレットチェンジャー
パレット枚数
比較対象製品
目経管
77,78,80
77
37,61
71
52
96,97,98
70
107,108
108
標準化
標準原価
品質改善活動
品質保証
品種切替
ファミリーツリー
ファミリーツリー
負荷計画
負荷量
部組
部組コード
布団乾燥機
部品
部品共通化
部品コード
部品展開
部品表
部品表構成図
部品表データ
部品マスター
部品名
プログラム
プロセス統合
フロムツーチャート
変動費
紡績機械コンプリートメーカー
ボトリングマシン
4
111
110
49
90
29,40,41,48,49
113,114
53,54,57
111
29,31,33,35
31,32
106
29,35
15
31,32,33,35
114
28
28,29
38
54,55,56,57,59,60,62
32,33
52
28
73
108,111
8
29,30,58,111
目標
目標管理
目標経営管理(目経管)
目標設定
目標展開
114
2,109,110
107,108
108,109
108
ヤ 行
融合モデル
14
5
1,3
14,15
60,62
108
ユーザー・ニーズ・アセスメント(問題掲示)
ユーザー分類
ユーザニーズ
優先順位
予実管理
予実原価管理
ラ 行
リーディング企業
利益
利益計画
利益貢献度
レイアウト
レイアウトエデイタ
レピア織機
ロットサイズ
ロット数
ロット生産
ロット分割
15
108
108
110
61,72,74,75,76,81,84,91,95
37,52,53,96
2,3,4,5,11
60,84
60
92
ワ 行
マ 行
マーケットシェア(市場占有率)
無検査化
46
49
割付変更
割付工程
84
98
ナレッジチェーンマネジメント演習編テキスト Web 版
(第9版)
2006 年 11 月 30 日
2007 年 9 月 10 日
2008 年 7 月 29 日
2008 年 9 月 24 日
2009 年 6 月 29 日
2010 年 7 月 15 日
2011 年 7 月 2 日
2012 年 6 月 6 日
2013 年 6 月 30 日
編集者
初版発行
第2版発行
第3版発行
第4版発行
第5版発行
第6版発行
第7版発行
第8版発行
第9版発行
石井 和克
中野 真
発行所 金沢工業大学 情報マネジメント研究所
〒924-0838 石川県白山市八束穂 3-1
TEL:076-274-7733 FAX:076-274-7061
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