ネパールの初等教育教員研修

ネパールの初等教育教員研修
背景
2010年から、ネパール政府は初等教育を含め、国内の公教育を改善するための改革に重点を置いてきま
した。しかし、その目的を達成するためには、まだ行うべきことが多くあり、特に、ネパールではほと
んどの場合、一方通行型の教育が行われ、教育が試験で良い成績をとることを重視しすぎているところ
があります。
そこで、このプロジェクトでは、子
ども中心の教育方法を紹介すること
により、以下の３点を目標としまし
た。
1. ネパール政府が導入した、現
在行われている教育改革をサ
ポートすること。
2. 小学校教育で基礎となってい
る指導方法を改善し、生徒に
より良い学習環境を提供する
こと。
3. 教材を通して日本文化の諸側
面を伝えることで文化交流に
資すること。
プログラムの概要
プログラムは、3つのワークショップから構成され、広島にある福山平成大学で初等教育を専門とする林
原慎教授の指導のもと行われました。2014年6月から12月にかけてカトマンズ峡谷の4つの自治体（キリ
トプル、バクタプル、マディアプル、ラリトプル）にある9大学17名の教師が参加し、このワークショッ
プは成功裡に終わりました。これは、シティネット横浜プロジェクトオフィスが行う、公立、私立両方
の学校を含んだ初めてのプロジェクトで、次年度には、今年度参加しなかった別の学校が、参加する予
定です。
ワークショップ1
最初のワークショップでは参加者に早
期児童教育と初等教育の基礎について
紹介し、日本の学校がどのように授業
を計画し実施するのか説明しました。
多くの参加者にとって、目標が明確
で、かつ能動的な研修を受けるのは初
めてでした。研修は実践的で楽しく、
自分たちの学校にも適用できるもので
した。日本が共有した授業の構成要素
は以下のとおりです。
◦紙芝居を書いたり作ったりする
こと
◦教材として折紙を使うこと
◦子供の心理を理解すること
◦日本における初等教育と教員研修
◦模擬授業を通した教育訓練
◦初等教育のための創造的な教材
を開発すること
ワークショップ2
このワークショップでは、1度目のワークショップ
で学んだことを実行に移しました。教師は、教室で
自らの教材を試行し改善するため、1度目のワーク
ショップ後、2か月の期間が与えられました。模擬
授業の間は成果をお互いに共有し合いました。この
2か月間で、1度目のワークショップでは教わること
のなかった内容も含め、広範囲に渡る創造的で刷新
的な教材を生み出しました。このワークショップの
大きな成果としては、ネパールのバルビカス中等学
校と広島県の駅家西小学校の絵画交流事業が発展し
たことが挙げられます。
ワークショップ3
このワークショップでは、生徒の描いた絵画を評
価しました。絵画は学年に応じて3つのカテゴリー
に分け、幼稚園の生徒は家族、1～3年生は学校環
境、4～5年生はコミュニティや村を描きました。こ
こでは教師に、様々な評価方法を通じ、どのように
して生徒の芸術の才能が伸ばせるか、またどのよう
にして隠れた才能をサポートするかについてガイダ
ンスが行われました。参加者は各カテゴリーから、
それぞれ最も良い３作品ずつを選び、優勝した学校
の教師には賞状が贈られました。
広島への交換訪問
ネパール自治体協会のヌペインさんは、広島を訪
れた際にネパールの子どもたちの描いた絵画を駅
家西小学校へ届けました、またネパールのことを
紹介し、昼食をとりながら生徒たちと文化交流を
行いました。
プログラムの成果
プログラムを通して、このプロジェクトは3つの主要な
目的を達成することができました。参加した多くの教
師にとって、授業環境をさらに改善するために、自分
たちの指導方法について学び、それを改良する機会を
持てる参加型の実践的な研修に参加するのは初めてで
した。このことを通じ教師の役割がどれほど大切なの
かを学びました。
それぞれのワークショップが終わった後には、参加者
は学習する過程を大いに楽しむことができ、自らの授
業で、習得した新しい指導方法を試してみたくなった
という評価があり、これらのフィードバックから、研
修が教師にとって非常に効果的で実践的だったことが
わかりました。当初は言語の壁を越えられるのか、文
脈の相違を理解できるのかといった課題があると思わ
れていましたが、参加者は皆学んだ事を実践に活か
し、他の教師と情報を共有し、さらに指導方法を改善
することができました。今後も、このような研修プロ
グラムが継続されることで、より多くのネパールの教
師に良い変化がもたらされることが期待されます。
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