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第62回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 (2015 東海大学 湘南キャンパス)
マイクロ波加熱によるシリコン表面近傍のプラズマ誘起欠陥修復
Microwave Annealing of Plasma-Induced Defect Structures near Si Substrate Surface
岩井 隆晃 1、江利口 浩二 3、山内 祥平 2、野呂 尚孝 1、北川 淳一 1、斧 髙一 3
○
(1.東京エレクトロン山梨、2.東京エレクトロン、3.京大院工)
○
1
Takaaki Iwai , Koji Eriguchi3, Shohei Yamauchi2, Naotaka Noro1, Junichi Kitagawa1, Kouichi Ono3
(1.Tokyo Electron Yamanashi Limited, 2.Tokyo Electron Limited, 3.Kyoto Univ.)
E-mail: [email protected]
【はじめに】高性能 MOS デバイスの微細化に伴い,Si 表面の反応を精確に制御することが要求
されるようになった.プラズマプロセスにより誘発される欠陥は,その制御を阻害する原因のひ
とつである.例えば既存の熱処理による欠陥回復の指針は報告されている[1]が,その回復には高
い温度を必要とするため,現行のプロセス工程では許容出来ない場合もある.近年,熱拡散プロ
セスにおいてマイクロ波加熱は既存の技術よりも低温で反応を促進することが報告されている[3,
4].プラズマ誘起欠陥は局所的に分極した構造であり,マイクロ波との相互作用は大きいと期待
される.そこで本研究ではマイクロ波加熱によるプラズマ誘起欠陥の修復機構を詳細に解析した.
【実験】CCP 型エッチング装置を用い Si 基板を Ar プラズマに暴露し,欠陥を生成した.その後,
マ イ ク ロ 波 加 熱 (MWA) 又 は ラ ン プ 加 熱 (RTA) 処 理 を 施 し た . 基 板 内 欠 陥 の 評 価 に は ,
photoreflectance (PR) spectroscopy [5]を用いた.また,Hg プローブを用いて擬似 MOS 構造を形成
し,C–V 測定から Cfb = 0.5 F/cm2 における Vfb を見積もり,表面欠陥の密度の指標とした[6].
【結果と考察】Fig. 1(a)に MWA 及び RTA 後の試料の PR スペクトルを示す.3.4 eV 付近のピーク
(R/R の最小値)は Si の直接遷移(E1 又は E0)に由来する.このピーク強度は基板内欠陥の密度の増
加に伴い減少する[5].MWA 又は RTA 処理後の試料に関して,その強度の変化を比較した(Fig. 1(b)).
MWA と RTA のR/R の値は同じように温度の逆数に対し単調増加した.つまり,基板内欠陥が
MWA/RTA 処理により回復したと考えられ,MWA であってもこの欠陥は巨視的な熱エネルギーに
より修復されると言える.Fig. 2(a)に代表的な C–V カーブを示す.プラズマ照射によって Vfb の負
方向への移動が,熱処理により正方向の移動が観測された. Fig. 2(b)に MWA/RTA による Vfb の値
の変化を示す.RTA と比較し MWA による Vfb の変化は大きい.従って MWA は RTA よりも表面
欠陥の回復させる能力が高い.マイクロ波の吸収は双極子モーメントの大きさに依存する.規則
的に並ぶ Si 結晶に比べその中に存在する欠陥は大きな双極子モーメントを持つと考えられる.ま
た Si 表面は非晶質のような構造のため,マイクロ波照射した際の双極子の動きは高い自由度を持
つと予想される.そのためマイクロ波は表面欠陥の回復を効果的に促すと推定した.ゆえにマイ
クロ波加熱は Si 表面近傍のプラズマ誘起欠陥を修復する有望な技術の一つとなると期待できる.
[1] M. Fukasawa et al., Proc. 35th DPS, 183 (2013). [2] Y. Lee et al., Trans. Electron Device, 61, 651 (2014). [3] T.
Yamaguchi et al., IEDM Tech. Dig., 26 (2010). [4] T. L. Alford et al., J. Appl. Phys. 106, 114902 (2009). [5] H. Wada et al., J.
Appl. Phys. 88, 2336 (2000). [6] Y. Nakakubo et al., Emerging Technologies and Circuits, Springer, 2010, p. 107.
600℃ 400℃ as damaged
Repairing
3.1
3.3
3.5
Photon energy [eV]
MWA
T [C]
600
1.2
-1.5
MWA
(b)
400
C [F/cm2]
-1.0
RTA
MWA 400 °C
RTA 400 °C
As damaged
‐1.2
0.8
RTA
T [C]
600
400
Repairing
‐1.4
Repairing
0.4
Vfb [V]
(b)
R/R [arb. units]
R/R [arb. units]
(a) RTA
MWA
MWA 600 °C
RTA 600 °C
Control
(a)
‐1.6
‐1.8
-2.0
1.0
1.5
1/T [ 103 K-1]
0
-3.0
‐2.0
-2.0
-1.0
Vg [V]
0.0
As damaged
1.0
1.5
1/T [ 103 K-1]
Fig. 1. (a) PR spectra for MWA and RTA samples
Fig. 2. (a) Typical C–V curves, and (b) the Vfb
and (b) Arrhenius plot of R/R with MWA and RTA.
comparison between MWA and RTA.
© 2015年 応用物理学会
07-130
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