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4.使用状況の事前調査
4.使用状況の事前調査 建築物の解体工事、改造、補修工事を行うときは、あらかじめ吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・ 保温材・耐火被覆材(吹付け石綿は除く)の使用状況を調査し、これらの材料が使用されている場合は 飛散防止対策を行う必要がある。 この使用状況調査は、施工者又は注文者が行う。調査は以下の3項目について実施する。なお、石 綿含有成形板についても、調査を行うことが望ましい。 ① 吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火被覆材の使用有無の判定 ② 届出要件の確認 ③ 吹付け石綿、石綿を含有する断熱材・保温材・耐火被覆材の使用箇所の現場確認 この調査結果に基づき、施工者は、届出が必要な場合には、必要な飛散防止措置を盛り込んだ工事 実施計画を作成し、都道府県知事等に届け出た上で、工事を実施する。 大気汚染防止法における「建築物」とは、建築基準法第 2 条第 1 号に規定される建築物を基本として おり、建物本体のほか、建物に設ける建築設備(電気、ガス、給排水、換気、冷暖房、消火、排煙若しくは 汚物処理の設備又は煙突等)などが含まれる。 【参考 1】 「建築基準法第 2 条」 (抜粋) 第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めると ころによる。 一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類 する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地 下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する 施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホ ームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものと する。 (中略) 三 建築設備 建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若 しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。 −43− 【参考2】 施工者又は注文者における石綿使用有無の判断フロー ●設計図書等による判断 設計図書 (施工記録、維持保全記録等) 建築物/工作物の種別 (一般住宅、共同住宅等) 施工年 使用建築材料 (3.1,3.2,3.3 参照) 石綿含有材料 施工部位 (3.1,3.2,3.3 参照) 不 明 非石綿材料 目視調査等による判断へ 図表 3−5 設計図書などよる判断フロー ●目視調査等による判断 石綿含有吹付け材には、①吹付け石綿、②石綿含有吹付けロックウール(乾式・湿式)、③石綿含有 ひる石吹付け材(石綿含有吹付けバーミキュライト)、④石綿含有パーライト吹付け材(石綿含有吹付け パーライト)がある(P20、P41)が、これに類似したものに、石綿を含有していない吹付けロックウール(乾 式、湿式)、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトがある。このうち、①吹付け石綿、石綿含有吹付 けロックウール(乾式) と石綿を含有していない吹付けロックウール(乾式)は針で容易に貫通し、これ以 外は針に容易に貫通しないので、これらの判別は可能であるが、石綿の有無の判断は難しく、分析調 査を実施する必要がある。 また、石綿を含有する断熱材の使用箇所は、屋根折版の天井、煙突で、代替繊維はガラス長繊維 が主であり、石綿を含有する保温材は鋼鈑で覆われている場合がほとんどである。石綿含有耐火被覆 板は下地または表面化粧されている場合もある。このため、目視調査等による判断は難しく、分析調査 を実施することが必要である。 −44− 4.1 吹付け材の石綿有無の判定 吹付け材の石綿有無の判定には、設計図書に基づく竣工年と商品名による判定、設計図書及び現場 調査に基づく施工箇所による判定、分析調査よる判定がある。 (1) 竣工年と商品名による判定 吹付け材の石綿有無の判定には、設計図書等に記載されている建物の竣工年及び石綿含有吹付け 材の商品名により識別する方法があり、図表3−6に石綿含有吹付けロックウールの使用期間を、図表3 −7に吹付け石綿の商品名を、図表3−8に石綿含有吹付けロックウール(乾式)の商品名、図表3−9に 石綿含有吹付けロックウール(湿式)の商品名を示す。 図表3−8、3−9中の石綿含有吹付けロックウールの商品名は、石綿を全く含まない現在においても、 同一の商品名のものが使用されているため、必ず竣工年を考慮して判断する必要がある。また、石綿含 有吹付けロックウール以外に、石綿を含有する吹付けバーミキュライト(ひる石)等があるが、これらの石綿 含有時期は不明であるものの、商品名が判明しているものがあるので、図表3−10に石綿を含有するバ ーミキュライトの商品名、図表3−11に石綿を含有する吹付けパーライトの商品名を示す。 図表3−6 石綿含有吹付けロックウールが使用された期間 吹付け材の 種類 使 用 期 間 石綿含有率 昭和 平成 30 40 45 50 55 60 2 石綿 約70% (吸音・結露防止用) 吹付け石綿 石綿 約60% (耐火被覆用) 石綿含有吹付 けロックウール (乾式) 石綿含有吹付 けロックウール (湿式) 石綿 30%以下 石綿 5%以下 石綿 5%以下 図表3−7 吹付け石綿の商品名 1)ブロベスト 2)オパベスト 3)サーモテックスA 4)トムレックス 5)リンペット 6)コーベックスA 7)ヘイワレックス 8)スターレックス 9)ベリーコート 10)防湿モルベルト (注)1974年(昭和49年)以前に施工中止されており、石綿含有率は60∼70重量%である。 なお、トムレックスは吹付けを意味することで使用された場合があるので、1975年(昭和50 年)以降の設計図書に、この商品名がある場合は石綿含有の有無の確認が必要である。 −45− 図表3−8 石綿含有吹付けロックウール(乾式)の商品名 1)スプレーテックス 2)スプレエース 3)スプレークラフトS,H 4)サーモテックス 5)ニッカウール(昭和62年12月耐火構造としての大臣指定取り消し) 6)ブロベストR 7)浅野ダイアロック(昭和50年10月耐火構造としての大臣指定取り消し) 8)コーベックス(R) 9)スプレーコート 10)スターレックスR(昭和57年7月耐火構造としての大臣指定取り消し) 11)バルカロック 12)ヘーワレックス 13)オパベストR 14)べリーコートR 15)タイカレックス (注)1980 年(昭和 55 年)以前に施工中止されており、石綿含有率は5重量%以下である。 ただし、上記 1)の商品でカラー用は昭和 62 年まで石綿が使用されていたので注意を要する。 図表 3−9 石綿含有吹付けロックウール(湿式)の商品名 1)トムウェット 2)バルカーウェット 3)ブロベストウェット 4)(アサノ)スプレーコートウェット 5)ATM-120 6)サンウエット 7)スプレーウエット 8)吹きつけロックンライト (注)上記商品は、1989年(平成元年)以前に施工中止されており、石綿含有率は5重量%以下で あるが、他にも商品化されている可能性がある。また、作業現場で、石綿を混入した場合がある ので注意を要する。 図表3−10 石綿含有ひる石吹付け材(石綿含有吹付けバーミキュライト)の商品名 1)バーミライト 2)ミクライトAP 3)ウォールコートM折版用 4)ゾノライト吸音プラスター 5)モノコート 6)バーミックスAP (注)他にも商品化されている可能性がある。また、作業現場で、石綿を混入した場合があるので注 意を要する。 図表3−11 石綿含有パーライト吹付け材(石綿含有吹付けパーライト)の商品名 1)アロック 2)ダンコートF3 3)ジュラックスB (注)他にも商品化されている可能性がある。また、作業現場で、石綿を混入した場合があるので注 意を要する。 (2) 施工箇所による判定 施工箇所としては、耐火被覆目的の場合は鉄骨部分が中心となり、吸音・断熱用又は結露防止用の 場合は、天井、壁が中心となる。 ア 耐火被覆用 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式、湿式)は、建築基準法の耐火要求に応じて使われ ている。使用場所は、3 階建て以上の鉄骨造建築物の梁、柱等である。この他にデッキプレート裏面へ −46− の吹付けなどがある。使用期間は、昭和 38 年頃から平成元年頃までである。 イ 吸音・断熱用 使用場所は、ビルの機械室、ボイラー室、地下駐車場等の天井、壁などである。ビル以外の建造物 (体育館、講堂、学校、工場等)では、天井、壁などに使用されている。 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は、それ自体が耐火建築であるため、これらの建 物で吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)が使用されるのは、ほとんどすべてが吸音用で ある。これらの構造の建物の中で人間が日常的に在室する部屋(例えば、学校の教室、実験室、体育 館等)では、コンクリート壁面に囲まれているために、残響時間が長く、会話がしにくいために吸音用の 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)が使用されている。各種吸音用内装材の使用と吹付 け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の選択については、明確な仕分けの根拠はないようであ る。 また、鉄骨造建築物においては、人間が常時在室しない部屋(機械設備等が設置されていることが 多い)でも、内部の音を外部に漏らさないために吸音用の吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール (乾式)が使用された。 コンクリートは遮音効果が高いが、鉄骨造では機械室回りの壁に遮音性に劣るコンクリートブロック や(ALC)板を使用するためである。 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の建築物構造別の使用箇所は、概ね、図表 3−12、 図表 3−13 のとおりである。 なお、石綿含有吹付けロックウール(湿式)は、石綿含有吹付けロックウール(乾式)と異なり、強度を 有し、振動等がある箇所に施工され、また、石綿含有ひる石吹付け材(石綿含有吹付けバーミキュライ ト)、石綿含有パーライト吹付け材(石綿含有吹付けパーライト)は、天井、壁に使用されていた。 図表 3−12 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の使用箇所 構 造 鉄骨造建造物 使 用 箇 所 鉄骨の梁、柱、鉄板床、 空調機械室、 ボイラー室や昇降機などの機械室 鉄筋コンクリート造 空調機械室、 鉄骨鉄筋コンクリート造建築物 ボイラー室や昇降機などの機械室、 駐車場の天井、壁 −47− (耐火被覆材:柱・梁) (断熱材 (吸音・断熱材 図表 3−13 屋根) 機械室の壁・天井) 吹付け石綿の施工例 (出典:吹付けアスベスト施工部位事例 −48− 日本石綿製品工業会 石綿処理部会) (3) 分析調査による判定 前述した 3.1、3.2、3.3 でも、石綿含有の有無が判定できない場合、必要に応じて該当する吹付け材を 採取する。 この採取に当たっては、次の点に留意する必要がある。 ・試料採取に当たっては、石綿含有の可能性があるので、必ず呼吸用保護具を着用し、可能で あれば湿潤化して採取すること。 ・吹付け材は、現場施工のため、吹きむらがある。試料採取に当たり、たまたま、石綿を含ま ない部分からの試料採取も考えられるため、一フロアの施工面積が 3,000m2未満の場合、試 料は最低 3 箇所以上から 10cm3/箇所を採取すること。 ・昭和 50 年以降の吹付け材には、石綿が含有している吹付け材と石綿を含有していない吹付け 材が混在している可能性があるため、一フロアの施工面積が 3,000m2以上の場合は 600m2 ごとに最低 3 箇所以上から 10cm3/箇所を採取すること。 ・最低 3 箇所以上から採取した試料を一つにまとめて密封した容器に入れ、試料番号、採取年 月日、竣工年月日、採取建物名、採取場所、採取部位を記入すること。 ・採取部位を補修する場合は、無石綿の材料を使用し、また、接着剤を使用する場合は、ホル ムアルデヒドなど健康に影響のある溶剤が含まれているものは避けること。 採取した試料は、日本工業規格(JIS)A 1481「建材製品中のアスベスト含有率分析方法」により、X 線回折分析法と位相差・分散顕微鏡による分散染色法又は偏光顕微鏡を使用した消光角法との併用 等により、石綿含有の有無を確認する分析調査を行う。 この分析は高度の技術が必要とされることから、石綿の同定に必要な技術、経験を有する分析機関 ((社)日本作業環境測定協会のホームページ http://www.jawe.or.jpにも例示)に依頼する必要があ る。 【参考1】吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の状態の確認 解体工事の場合は、石綿含有吹付け材を除去することになるが、改造及び補修工事の場合は、吹付 け材の劣化・損傷状態に応じて、除去、囲い込み、封じ込めの 3 つの処理工法のいずれかを選択するこ ととなる。 例として、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の劣化状態について、図表 3−14、図表 3 −15、図表 3−16 に示す。①層表面の毛羽立ち、②繊維のくずれ、③たれ下がり、④下地と石綿層との 間の浮き・はがれ、⑤層の局部的損傷・欠損、⑥層の損傷・欠損などがある。この中で②∼④のように吹 付け材の劣化・損傷状態が著しい場合は、当該部分の吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式) を除去する必要がある。 −49− 図表 3−14 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)の状態の確認に関する検討条件 劣化・損傷の程度 下地との接合が良好 でない場合 除去工法 封じ込め工法 囲い込み工法 大 小 全面 部分 適用可 適用可 適用可 適用可 適用不可 条件付(注1) 適用可 (注 2) 適用可 適用可(注 2) 適用不可 条件付(注 4) 適用可 条件付(注 4) 適用可 適用可(注 2) 劣化の進行が 工事後、使用 予想される ・利用者等が 場合 接触し得る 場合 適用可 適用可 条件付適用可(注 3) 条件付適用可(注 5) 条件付適用可(注 3) 適用可 (注 1) 補修及び粉じん飛散防止処理剤の吹付けが必要となる。 (注 2) 必要により補修を行う (注 3) 原因を除去することによって、適用可能となる。 (注 4) 場合により、下地及びアスベストの補修が必要となる(付着強さの確認が必要である)。 (注 5) 耐衝撃性を確保するのが前提である。 (出典:既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説,日本建築センター) 図表 3−15 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール(乾式)層の劣化現象の種類 劣化現象 定義 ・ 主な要因 ①層表面の毛羽立ち 吹付けアスベスト層の表層部で結合材の劣化などによってア スベスト繊維が毛羽立っているもの ②繊維のくずれ 「毛羽立ち」の程度からさらに劣化が進行し、表層または表 層下部の繊維がほぐれて荒れた状態になっているもの ③たれ下がり 吹付けアスベスト層の一部分が劣化・外力等によって層外へ 垂れ下がっているもの ④下地とアスベスト層との間 アスベスト層の下地への付着力が低下することによって、ア の浮き・はがれ スベスト層と下地との間に隙間・剥離が見られるもの ⑤層の局部的損傷・欠損 人為的または経時変化によって、アスベスト層の表面、層自 体の層間・下地間で生じた局部的な凹凸、剥落、剥離 ⑥層の損傷・欠損 人為的または経時変化によって生じた施工面のほぼ全面にわ たる凹凸、剥落、剥離 (出典:既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説,日本建築センター) −50− 図表 3-16 吹付け石綿の劣化損傷状態のモデル図(その 1) (出典:既存建築物の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理技術指針・同解説,日本建築センター) 処理工法の選定に当たっては、吹付け材の状態、施工条件及び施工後の性能等の条件を配慮し、選 定する。選定に当たっての検討条件を次ぺ一ジに示す。 しかしながら、処理工法については、様々の諸条件(例えば吹付け層の劣化状態と面積、作業空間、 経費など)によるため、同一対象に対して、複数の工法が組み合わされて適用されることもあり得る。他の 改修・補修工事等と合わせ施工することも有効であり、建物の運用計画を考慮に入れる必要もある。 以上の詳細については、日本建築センター刊『既存建物等の吹付けアスベスト粉じん飛散防止処理 技術指針・同解説』も参照されたい。 −51− 【参考 2】建築物の種類 石綿含有吹付け材は、耐火を主目的として使用されていることから、建築基準法における耐火建築物、 準耐火建築物 (平成 4 年の建築基準法改正前の簡易耐火建築物も含まれる) が対象となる。 図表 3-17 耐火建築物及び準耐火建築物の定義(建築基準法) 建 築 基 準 法 主要構造部を耐火構造とした建築物で、外壁の開口部で延焼のおそれのある 耐火建築物 部分に政令で定める構造の防火戸その他の防火設備を有するものをいう。 (第 2 条第 9 号の 2) 耐火建築物以外の建築物で、イ又は口のいずれかに該当し、外壁の開口部で 延焼のあるおそれのある部分に政令で定める構造の防火戸その他の防火設備 を有するものをいう。(第 2 条第 9 号の 3) 準耐火建築物 イ 主要構造部を準耐火構造又は準耐火構造及び耐火構造としたもの ロ イに掲げる建築物以外の建築物であって、イに掲げるものと同等の耐火 性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令 で定める技術的基準に適合するもの 図表 3-18 耐火建築物または準耐火建築物としなければならない特殊建築物(建築基準法) 用 1 途 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、 階数 3 階以上 病院、診療所(患者の収容施設あり)、 床面積注 2 200m2(屋外観覧 席 1,000m2) 集会場等 2 床面積注 1 300m2以上 3 階以上 ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、 児童福祉施設等 3 学校、体育館、博物館、美術館、図書館、 2,000m2以上 3 階以上 ボーリング場、スキー場、スケート場、 水泳場、スポーツ練習場 4 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、 3 階以上 3,000m2以上 500m2以上 200m2以上 1,500m2以上 カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンス ホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理 店、飲食店、部品販売業を営む店舗等 5 倉庫等 6 自動車倉庫、自動車修理工場、映画スタ 3 階以上 150m2以上 ジオ、テレビスタジオ (注 1)用途に供する部分(1 の場合は客席、5 の場合は 3 階以上の部分に限る)の床面積の合計 (注 2)用途に供する部分(2 及び 4 の場合は 2 階部分に限り、かつ、病院及び診療所はその部分 に患者の収容施設がある場合に限る)の床面積の合計 −52− 図表 3-19 防火地域、準防火地域内の以下の建築物 耐火建集物としなけれ 防火地域 3 階以上、延べ床面積 100m2以上 ばならない建築物注 1 準防火地域 4 階以上(地階を除く)、延べ床面積 1500m2超 耐火建築物または準耐 防火地域 耐火建築物以外の建築物(例外としたものを除く) 火建築物としなければ 準防火地域 延べ床面積 500m2超 1500m2以下、3 階(地階を除く)(但 ならない建築物 し、政令で定める技術的基準に適合する建築物を除く) (注 1)但し、以下のものは例外 ・延べ 50m2以内の平屋建附属建築物で外壁等が防火構造のもの ・卸売市場の上屋または機械製作工場で主要構造部が不燃材料等でつくられたもの ・高さ 2m超の門または塀で不燃材料で造られたもの ・高さ 2m以下の門または塀 【参考 3】特定建築材料等の使用面積の算定 吹付け材の石綿使用の有無の判定により、吹付け材に石綿の使用が認められた場合、吹付け石綿等 の使用箇所・使用面積を確認する。設計図書等により使用箇所・使用面積が確認可能な場合は、これに より行うとともに・念のため図書の内容を目視調査で確認する。図書等で確認が困難な場合は、目視調 査で判明した使用部位ごとに、通常行われている表面積算定方法により計算する。なお、この算定は石 綿含有廃棄物量の推定にも役立つ。 ●柱の表面積算定方法の例 ●梁の表面積算定方法の例 −53− ●配管(保温材等で円筒状のもの)の面積算定方法の例 例 1) 直管 直径 D で長さ L の 除去面積の計算方法 D 保温材 L A = πD × L 例 2) 直径Dのパイプ エルボ部分の保温材の 除去面積の算定方法 保温材外周は πD →簡易計算としてL1 とL2 を実測し下記 式に入力する 外円周・・・・・・・・・・ 実測 内円周・・・・・・・・・・・・実測 A= (L1+L2) 2 ×πD 外円周=L1 D 内円周=L2 D 図面から計算方法 角度 Λ 外円周;L1=πr1×Λ/360 内円周;L2=πr2 ×Λ/360 −54− 【参考 4】 工法の特徴と選定の留意点 留意点/工法 除去工法 ①表面がもろいか、吹付け 石綿が基層によく接合 していない場合 ②石綿含有吹付け材等が漏水に 適用できる例 封じ込め工法 ①除去作業が困難か、 不適当な場合 ②基層にしっかり接合 している場合 より著しい損傷を受けていたり、 ③損傷を受け難い場合 劣化・剥離が進行するおそれがあ ④構造物の耐用年数が短い る場合 ③エアコンダクト内にある場合 ④空気中の石綿粉じんの濃度が 場合 ⑤定期点検が十分であり、目で 見てすぐわかる場合 高い場合 囲い込み工法 ①除去工事が極端に困 難な場合 ②石綿繊維が囲い込み の中に完全に密封で きる場合 ③石綿含有吹付け材等の大部 分に近づけない場合 ④囲い込む場所が狭くて入れ ないか、中に入ることが全く ない場合 ⑤他の防止技術が適当 でない場合 ①石綿含有吹付け材等が複雑に 組み込まれており、表 適用できない例 ①石綿含有吹付け材等が老化・ 剥離しかけている場合 面に近づけない場合 ②薬液の使用によって建材 ②除去作業が極端に困 に損傷を与えるおそれが 難で、他の満足すべ き代替技術がある場合 ある場合 ③漏水・振動により損傷を受け るおそれがある場合 ④石綿含有吹付け材等の損傷 ①囲い込みが原因で損 傷を受けるおそれが ある場合 ②漏水による損傷を受 けるおそれがある場合 ③石綿含有吹付け材等の全面 を完全に囲い込みができない 場合 範囲が大きい場合 ①危険性が除去される 利点 ②それ以上の対策を必 要としない ①早くて短期的には 経済的な方法 ②石綿粉じんの飛散を ①建物居住者への工事に 伴う粉じん曝露のおそれが 除去工法より少ない 防止する簡便な手段 ①除去作業の従事者に 直接汚染の危険が高まる ②建物内でのその他の 作業に支障がある ③工費が高く、複雑で 時間がかかる 問題点 ④石綿除去により、建物の耐 火性等が減少するため、 ①危険性は依然として 残る ①危険性は依然として 残る ②工事部分が大きいと ②囲い込み施設のメン 工費は除去工法と変 テナンスを続けなけ わらなくなる ればならない ③建物の使用における石綿管 ③建物の使用における石綿管 理計画を立てる必要がある 理計画を立てる必要がある ④除去工事が必要とな ④石綿除去工事を行う 代替品が必要となる ったとき、工事がよ 必要が生じたとき、 ⑤除去作業が不完全な り難しく、費用がよ 囲い込み施設も撤去 りかかるようになる しなければならない ときは、建物全体および周 辺環境へ汚染を引き起こす おそれがある −55− 4.2 石綿含有保温材の石綿有無の判定 保温材は工作物本体の保温・断熱及び配管経路での保温・断熱を目的に使用されている。これら の施工部位は、図表 3−17、3−18 により石綿有無の判定を行うが、この判定でも石綿の有無が不明 な場合は前述 4.1.(3)により分析調査を実施する。 なお、工作物関連は、定期メンテナンス時などに、石綿を含まない保温材に変更している場合もあ る。 図表 3−17 石綿含有保温材の製造期間 石綿の種類 石綿使用時期 石綿含有率 (%) 石綿保温材 クリソタイル,アモサイト ∼昭和 55 年 90 以上 けいそう土保温材 アモサイト ∼昭和 49 年 1∼10 パーライト保温材 アモサイト ∼昭和 55 年 1∼5 けい酸カルシウム保温材 クリソタイル,アモサイト ∼昭和 55 年 1∼25 水練り保温材 クリソタイル,アモサイト ∼昭和 63 年 1∼25 図表 3−18 石綿含有保温材の商品名 一般名称 製品名 けい酸カルシウム保温材 シリカライト(カバー・ボード#650シリカ) シリカライト(カバー・ボード#1000シリカ) ダイパライト(カバー・ボード) インヒビライト(カバー・ボード) エックスライト(ボード) ベストライト(カバー) ベストライト(ボード) ダイヤライト ダイヤライトL 石綿保温材 けいそう土保温材 製造時期と含有量 製造開始 製造終了 含有量 年月 年月 (重量比%) S27 S53 4∼5% S40 S53 6% S51/11 S54/2 7∼10% S52/6 S54 7% S40/4 S54/2 10% S35/5 S54 4.6% S40/4 S54 10% S35 S53 3% シリカライト S15 S55 1∼25% スーパーテンプボード S38 S54 5∼10% スポンジボード スポンジカバー S47 S53 カポサイト S35 S54 珪藻土保温材1号 S39 S49 1∼10% 三井パーライト保温材 S40 S49/9 1.17% 不明 石綿種類 茶 白 茶 茶 茶、白 茶 茶、白 茶 茶 S54無石綿化、現在も製造・販売継続 設備機器、設備配管用保温材 80∼100% S55以降販売中止 パーライト保温材 −56− 備考 S54以降、無石綿化にて製造 S54以降、無石綿化にて製造 S54/2∼S55/2在庫出荷 S54∼S55/2在庫出荷 S54/2∼S55/2在庫出荷 S54∼S55/2在庫出荷 S54∼S55/2在庫出荷 筒型成形の配管保温材 S54∼H6 無石綿化にて製造 茶 茶、白 茶 茶 筒型成形の配管保温材 H12製造終了 茶 4.3 石綿含有断熱材、耐火被覆板の石綿有無の判定 石綿含有断熱材は断熱を目的に、屋根折版用、煙突に使用され、耐火被覆板は吹付け材の代わり に、下地、化粧等の目的に鉄骨の耐火被覆に使用されており、設計図書等に記載されている図表 3− 19 の商品名及び使用期間を目安に石綿有無の判定を行うが、この判定でも石綿の有無が不明な場 合は前述 3.1.3 により分析調査を実施する。 図表 3−19 石綿含有断熱材、耐火被覆板の商品名及び製造時期 一般名 〔耐火被覆板〕 石綿含有耐火被覆板 商品名 製造期間 トムボード ∼1973 ブロベストボード ∼1973 リフライト ∼1973 サーモボード ∼1973 コーベックスマット ∼1978 キャスライト L,H ∼1990 ケイカライト・ケイカライトL ∼1986 ダイアスライトE ― カルシライト一号・二号 ∼1987 ソニックライト一号・二号 ∼1987 石綿含有けい酸 タイカライト一号・二号 ∼1986 カルシウム板第二種 サーモボード L ∼1987 ヒシライト ∼1999 ダイオライト ― リフボード ― ミュージライト ∼1986 フェルトン ∼1982 ブルーフェルト一般用 ∼1971 ウォールコート M 折板用 ∼1989 カポスタック ∼1987 ハイスタック ∼1988 〔耐火被覆板〕 屋根用折版裏石綿断熱材 煙突石綿断熱材 −57− 4.4 石綿含有成形板の石綿有無の判定 その他の石綿含有成形板に関しては、労働安全衛生法第55条に基づく製造等の禁止が 2004 年(平 成 16 年)10 月 1 日からであり、また、石綿代替化材料と同時並行的に販売されている場合もあるため、平 成 16 年 10 月以前の窯業系建築材料には石綿が含有されている可能性が高いと判断すべきであるが、 その目安として、図表 3−20(吹付け材、保温材、耐火被覆材、断熱材は除く)を示す。 なお、石綿含有成形板の商品名は付録 1)を参照のこと。 図表 3−20 石綿含有成形板の例 石綿含有建築材料一般名 石綿の種類 石綿使用時期 石綿含有スレート波板 クリソタイル 注1) ∼2004 年 石綿含有スレートボード クリソタイル注2) ∼2004 年 石綿含有けい酸カルシウム板第一種 クリソタイル、アモサイト ∼2004 年 石綿含有押出成形品 クリソタイル ∼2004 年 石綿含有パルプセメント板 クリソタイル ∼2004 年 石綿含有スラグせっこう板 クリソタイル ∼2004 年 石綿含有サイディング クリソタイル ∼2004 年 石綿含有住宅屋根用化粧スレート クリソタイル ∼2004 年 石綿含有ロックウール吸音天井板 クリソタイル ∼1987 年 石綿含有せっこうボード クリソタイル ∼1986 年 石綿含有セメント円筒 クリソタイル ∼2004 年 石綿含有フリーアクセスフロア クリソタイル 石綿含有ビニル床タイル クリソタイル ∼1988 年 注3) ∼1988 年 (注1)石綿含有スレート波板のごく一部にはクロシドライト(2社のみ、1970∼1982 年)及びアモサイト (1社のみ、1975∼1986 年)を使用されていた。 (注2)石綿含有スレートボードのごく一部にはアモサイト(2社のみ、1978∼1985 年)が使用されてい た。 (注3)石綿含有ビニル床タイルは、関連する工業会が解散しているため主要メーカー(3社)のみを調 査した。なお、1 社のみ、生産量は極めて少ないが、特殊用途(耐酸性)にトレモライトが使用さ れていた時期がある。 −58−