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自治体の補助金の法的性質
自治体の補助金の法的性質 自治体は、特 定の施策 を推進する方 法の一つ として、補助 金制度を 活用していま す。 補助金 の対 象や 条件は 「補助 金交 付要 綱」に のっと り、 補助 金の手 続は「 補助 金交 付規則 」 にのっとって 行われる ことが通例で す。 補助金 につ いて は、そ の支出 の適 正性 などに 関して 住民 訴訟 が多く 提起さ れて いま すので 、 判決のポイン トから補 助金の法的性 質を紹介 します。 *基礎知識1 地 方 自 治 法 第 232 条 の 2 普 通 地 方 公 共 団 体 は 、そ の 公 益 上 必 要 が あ る 場 合 に お い て は 、寄 附 又 は 補 助 を す る こ と が で き る 。 *基礎知識2 千葉県補助金等交付規則第 1 条 こ の 規 則 は 、法 令 、条 例 及 び 他 の 規 則 に 特 別 の 定 あ る も の の ほ か 、補 助 金 等 の 交 付 の 申 請 及 び 決 定 等 に 関 す る 事 項 そ の 他 補 助 金 等 に 係 る 予 算 の 執 行 に 関 す る 基 本 的 事 項 を 規 定 す る こ と に よ り 、こ れらに係る予算の執行の適正化を図ることを目的とする。 判決のポイント ①地方公 共団体 が地 方 自治法第 232 条の 2 に基づい て行う 補助 は 、原則と して私 法上の 贈与に 類する もので あ り、地 方公共 団体の 長 が行う 補助金 交付決 定 は、私 法上の 贈与契 約の申込みに対する承諾と同視できるから、交付決定は行政処分に該当しない。 ②市の補 助金交 付規 則 ・補助金 交付要 綱は 交 付手続上 の内部 手続 を 定めたに 過ぎず 、交付 決定に行政処分的性質を付与するものではない。 ③補助金交付決定の取消しは、贈与契約に付された解除特約に基づく解除権の行使である。 【参考裁判例】 東 京 高 裁( S56.11.25)、名 古 屋 地 裁 (S59.12.26)、東 京 高 裁 (H1.7.11)、東 京 地 裁 (H10.11.13) 等 H10.11.13) 実務での注意点 地方自治体の 補助金は 法的には「負 担 付 贈 与契 約 」とされています 。 「このよ うな条件(負担 ) を守っ た場 合に は、こ の金額 を補 助す る」と いう贈 与契 約を 、県と 補助事 業者 が対 等な関 係で 締結したとい うことに なります。 契約である以 上、補助 金交付規則の 手続や補 助金交付要綱 に定める 条件(負担)、補 助金返 還 (解約)とな る事由な どを補助金交 付決定通 知書(契約書 )に明示 しておく必要 がありま す。 ※国庫補助金の交付決定は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(補助金適正化法)に基づく ため行政処分とされています。 ●コラム● ~政策法務一年生成長記~ 時 の 経 つ の は 早 い も の で 、「 一 年 生 」 も 終 わ り が 近 づ い て き ま し た 。 落 第 せ ず に 無 事 、 進 級 す る ことができるでしょうか?少し不安です。 さ て 、こ の 一 年 間 を 振 り 返 っ て み る と 、法 律 相 談 の 対 応 や 研 修 の 講 師 な ど 多 く の 経 験 を さ せ て い ただきました。その中でも目から鱗がたくさん落ちたのは、行政手法との出会いです。行政手法と は、許可制や補助金など政策課題を解決するためのツールを体系的に整理した理論のことです。 行 政 手 法 を 意 識 す る こ と に よ り 、自 分 が 携 わ っ て い る 日 常 業 務 の 意 味 が よ く 見 え て き ま し た 。ま た、体系的な理論には、他の職員への伝播と、後世の職員への継承という効果もあります。私がし て い た だ い た よ う に 、「 一 年 生 」に 政 策 法 務 を 伝 え る こ と の で き る 職 員 に な り た い と 思 っ て い ま す 。 4 政策法務ニュースレター VOL.7-3