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2. 事例調査
2. 事例調査 目 次 2. 事例調査 -------------------------------------------------------------------------- 2-1 2.1 調査の目的 --------------------------------------------------------------------- 2-1 2.2 調査の概要 --------------------------------------------------------------------- 2-1 2.3 地域特性・連携事例の整理・分析 ------------------------------------------------- 2-3 2.4 連携の課題の整理 -------------------------------------------------------------- 2-36 2.5 活力向上に資する連携パターンの提案 -------------------------------------------- 2-41 2. 事例調査 2.1 調査の目的 中部圏内を中心に、意図的に地域連携を強めている事例の調査を目的とするものである。各事例に ついて、連携の目的、連携による取組、地域の活力向上という視点からの成果、連携上の課題等を整 理・分析し、地域特性にあった活力向上に資する連携パターンを提案する。 2.2 調査の概要 2.2.1 調査フロー 調査は次のフローに従って実施する。 ■地域特性・連携事例の整理・分析 1) 文献・資料調査 【出版物調査】 【既存調査】 【新聞検索調査】 2) 自治体・産業団体アンケート調査 【自治体アンケート調査】 【産業団体アンケート調査】 3) 住民アンケート調査(ウェブアンケート調査) ■ 有 識 者 ヒ ア リ ン グ ■連携の課題の整理 ■活力向上に資する連携パターン抽出 図 2.2.1.1 事例調査のフロー 2-1 2.2.2 調査の概要 調査の概要を次に示す。 1) 文献・資料調査 (1) 出版物調査 出版物については、過去 5 年で発行された書籍のうち「地域連携」「活力向上」について記述され た主な書籍 19 冊を対象に連携の目的とその方法について抽出した。 (2) 既存調査 既存調査については、平成 19 年夏に中部地方整備局が実施した『地域連携に関する実態・意識 ア ンケート調査・ヒアリング調査結果』 (長野県は南部地域の自治体のみ)に基づき、 「活力向上という 観点から最も効果的だと思う連携」の相手先について抽出した。 (3) 新聞検索調査 新聞については、全国紙3紙(朝日・読売・毎日)及び地方紙4紙(中日・信濃毎日・岐阜・静岡) の計7紙における近年の新聞記事(平成 12 年 4 月 1 日∼19 年 11 月 30 日)を対象に、 「地域連携」 をキーワードに新聞記事検索により抽出した。 2) 自治体・産業団体アンケート調査 (1) 自治体アンケート調査 自治体アンケートは、中部圏の 257 市町村の総合計画担当課長を対象に、アンケート調査票の郵送 配布、郵送回収により調査を実施した。 (2) 産業団体アンケート調査 産業団体アンケートは、中部圏の商工団体(商工会議所、商工会)264 団体の会頭、農協 81 団体 の協会長、漁協 205 団体の協会長を対象に、アンケート調査票の郵送配布、郵送回収により調査を実 施した。 3) 住民アンケート調査(ウェブアンケート調査) 中部圏に居住する住民を対象に、地域連携施策分類別の重要度、地域の資源、その資源を活かした 地域連携施策アイデアを把握するため、インターネットリサーチ会社(楽天リサーチ)による会員へ の電子メール配信調査を実施した。 2-2 2.3 地域特性・連携事例の整理・分析 2.3.1 文献・資料調査 1) 出版物調査 過去 5 年で発行された書籍のうち「地域連携」 「活力向上」について記述された書籍 19 冊を対象に して、連携事例を抽出し、その目的とその方法について抽出した。 (1) 中部圏内の連携事例 中部圏内の事例として、以下に示すような、静岡県浜松市、長野県松本市、愛知県多治見市等の事 例が紹介されている。 【産官学の連携】 静岡県浜松市では、産官学の連携による地域活性化策が紹介されている。これは生産拠点の海外 移転や本社機能の東京移転による産業空洞化に歯止めをかけ、産業界と大学・研究機関の連携を高 めることを目的とする取組である。静岡大学、浜松医科大学、県の工業技術センター、浜松テクノ ポリス推進機構、静岡TLO、浜松商工会議所、光科学技術研究振興財団と協働で、「知的クラス ター創成事業」を立ち上げ、蓄積された光技術を応用した超視覚イメージング技術やイメージング システムの開発と新商品への適用を目指している。産学の共同研究数は、H10 年の 34 件からH15 年には 137 件と 4 倍の増加をみせている。 【産業観光を通したまちづくりの推進】 岐阜県多治見市では、陶器ブランドを活用したまちづくりに、政策的に力を入れている「やきも の文化を活かした産業観光の推進」に向け、陶器ファンを呼び込むためのプロジェクトを実施して いる。オリベイズムを使った地場産業の活性化やまちづくりの施策として「オリベプロジェクト」 を提唱し、まちなみを活かしたまちづくりを進めるために、地元住民と市とが協働して街路整備や 施設整備等に携わった。さらに周辺市町村を巻き込んで合同イベントの開催も実施した。町並みも 整い、陶器まつりも盛況になり、往時の賑わいが戻ってきた。また「たじみ陶器まつり」は「全国 の行ってみたい陶器祭」の 3 位にランクされるなど注目を集めた。 【都市と農村の交流、農業の活性化】 長野県松本市では、農業の活性化策として「クラインガルテン事業」が紹介されている。これは 四賀地区に増加する遊休荒廃地を活用し、都市住民へ農作業の場所を提供することにより、都市と 農村の交流を図るとともに、過疎・高齢化に悩む地区の活性化を図る取組を行っている例である。 全国からの利用者によって地域活性化の重要な役割を担っており、利用者は栽培講習会や農機具の 貸与、肥料の配布などのフォローを受けられる。また「田舎の親戚制度」により地元住民との1対 1のつきあいで交流を深めている。このクラインガルテン事業は多くの利用希望者があり、毎回、 募集定数に対して4倍前後の応募者がある。 2-3 表 2.3.1.1 中部圏内の主な連携事例(文献調査結果より) ③地域の活力向上と いう視点からの成果 ①連携の目的 ②連携による取組 利用者は栽培講習会や農機 具の貸与、肥料の配布など のフォローを受けられる。 また「田舎の親戚制度」に より地元住民との1対1の つきあいで交流を深めてい る。 このクラインガルテ ン事業は多くの利用 希望者があり、毎回、 募集定数に対して4 倍前後の応募者があ る。 クラインガルテン建 設費用の回収に長期 間を要するため、安易 な増設ができず、利用 希望者の需要に対す る供給が追いついて いないのが課題であ る。 長 野 県 長 野 市 (都市と農村の交流) 四賀地区に増加する遊 休荒廃地を活用し、都 市住民へ農作業の場所 を提供することによ り、都市と農村の交流 を図るとともに、過 疎・高齢化に悩む地区 の活性化を図る。 (滞在型観光の振興) 観光産業の振興によ り、経済を活性化させ、 長野市を観光都市とし て更に発展させるた め、平成 22 年度におけ る交流人口を 1,200 万 人とする。 善光寺一点通過型の観光ス タイルから、周年型・滞在 型及び体験型観光への転換 を図るため、市内複数の地 域を観光地としてブランド 化し、多軸型観光都市なが のを形成する戦略プランで ある。 観光客誘致事業展開 と共に、市民が地域に 愛着や誇りを持てる 魅力あるまちづくり、 観光客が何度も訪れ、 住みたくなるような まちづくりが必要。 岐 阜 県 高 山 市 (中心市街地活性化) 空洞化に苦しむ中心市 街地の活性化を図るた めに「ウォーキングシ ティ構想」による歩い て回遊できる街並みづ くり。 重要伝統的建造物群保存地 区の町並みを無電柱化など で保存・復元。川沿いの遊 歩道や駐車場の整備、横丁 の再生、空き店舗活用、町 なか活性化イベントへの補 助や道路使用許可のスムー ズな手続きの実施など。 オリベイズムを使った地場 産業の活性化やまちづくり の施策として「オリベプロ ジェクト」を提唱し、まち なみを活かしたまちづくり を進めるために、地元住民 と市とが協働して街路整備 や施設整備等に携わった。 さらに周辺市町村を巻き込 んで合同イベントの開催も 実施した。 静岡大学、浜松医科大学、 県の工業技術センター、浜 松テクノポリス推進機構、 静岡TLO、浜松商工会議 所、光科学技術研究振興財 団と協働で、「知的クラス ター創成事業」を立ち上げ、 蓄積された光技術を応用し た超視覚イメージング技術 やイメージングシステムの 開発と新商品への適用を目 指している。 「選択と集中」の方針 により、年次計画によ る集中的な予算配分 によりブランド化地 域のキャンペーンを 展開する。プラン策定 段階より官民協働体 制により地域と一体 化した取組を進める ことができる。 H16 年度の計画認定 から、空き店舗の活用 数は計画策定前より 9 店増え、H17 年末で 58 店舗になった。 町並みも整い、陶器ま つりも盛況になり、往 時の賑わいが戻って きた。また「たじみ陶 器まつり」は「全国の 行ってみたい陶器祭」 の 3 位にランクされる など注目を集めた。 ブランドを消費者に 訴求するためのスト ーリーづくりが必要。 またルーツを同じく するタイルと陶器を 組み合わせた売り出 し方も検討の余地が ある。 産学の共同研究数は、 H10 年の 34 件からH 15 年には 137 件と 4 倍 の増加をみせている。 様々なプロジェクト が立ち上げっている ところであるが、各プ ロジェクト間のシナ ジー効果の発揮、開発 された技術の地域内 企業への迅速な普及 が課題である。 長 野 県 松 本 市 岐 阜 県 多 治 見 市 静 岡 県 浜 松 市 (陶器ブランドを活用 したまちづくり) 政策的に力を入れて いる「やきもの文化を 活かした産業観光の推 進」に向け、陶器ファ ンを呼び込むためのプ ロジェクトの実施を図 る。 (産業振興) 生産拠点の海外移転や 本社機能の東京移転に よる産業空洞化に歯止 めをかけ、産業界と大 学・研究機関の連携を 高めることを目的とす る。 2-4 ④連携上の課題 市民と商店街の一体 感を高める試みをさ らに広げていくと共 に、空き店舗を使って 若手起業家を育てた り、雇用拡大につなげ る取組が必要である。 (2) 中部圏外の連携事例 中部圏外の事例は多数あることから、連携の目的別に主な事例について記述する。 【福祉・医療】 青森市では、 「地域ぐるみの健康づくり実践報告事業」として、地域の健康をつくる市民活動団 体が地域ぐるみの健康づくりの実践について報告しあい、互いの実践の知恵や成果・課題などの共 有を図り、活動の方法やアイデア、課題を分かち合うことを通じて継続活動を支援する活動を行っ ている。活動を実践する市民同士が地域や組織を超えて語りあい、認め合うことにより、健康づく り活動に対する充足感や継続への意欲の向上が図られている。 東京都渋谷区では、 「ハッピーマザー助成」として、産みやすく育てやすい環境づくりのため、 妊娠中の母体と子供の健康を維持し、妊娠期間中の健康診査費用にかかる経済的負担を軽減する取 り組みを実施している。助成金については、1回の妊娠につき、助成金を 50,000 円支給している。 【観光・交流】 北海道小樽市では、 「観光基本計画の策定と実践」として、市の特性を活かした観光振興の推進 を図ると共に、観光施策を総合的かつ体系的にとりまとめ、市民と行政が一体となった観光振興の 推進体制を確立している。内容は、市民、観光事業者、観光関連団体、経済界、行政が相互に協力・ 連携を図りながら、自主的かつ積極的な取組によって観光施策の新たな展開を目指している。 神奈川県小田原市では、 「西さがみ連邦共和国フィルムコミッション」として小田原市、箱根町、 真鶴町、湯河原町の 1 市 3 町の広域連携を創造するために「西さがみ連邦共和国」の活動を行って いる。映画制作者と支援者が良好なパートナーシップを築くことで互いにメリットをもたらし、素 晴らしいロケーションを最大限映像に活かした優れた作品と文化の創造を支援している。 新潟市では、 「新潟市シティプロモーション推進戦略プラン」として、少子高齢化や団塊の世代 の退職時代を迎え、交流人口・定住人口の拡大を図るため、官民一体となって本市の魅力を伝える シティプロモーション推進の活動を図っている。 新潟県十日町市では、「珠川ネイチャーカレッジ」として、交流人口の拡大を図るため、都市の 小中学生や在住者の利用施設として、旧馬場小学校珠田分校を体験工房や 36 人の宿泊が可能な施 設に改修し、自然豊かな当間高原リゾートを拠点として生物及び自然環境の保全等を行う研究者・ 学生の研究拠点とする活動を行っている。小中学生には、サッカーや自然観察及び野外活動の拠点 として施設を提供している。また地域住民がインストラクターとして体験学習に参画し、地域で伝 承されてきた技や食など生活の営みを生きた教材として、体験プログラムを提供している。 【農業の活性化】 千葉市では、 「新規就農の推進」として、農業従事者が減少しているおり、農業を維持するため 意欲的な就農希望者に対し、農業の技術及び経営方法の習得のための研修を行い、新規就農の推進 を図る取組を行っている。意欲的な新規就農希望者を募集し、農政センターでの基礎研修と市内農 家での農家研修、借り上げ地での農家のアドバイスによる実施研修により、3 年計画で新規就農を 育成・確保するという内容である。 【産官学の連携】 神奈川県横須賀市では、 「市政 100 周年記念事業の実施」として、市制 100 周年を機に市民・企 業・行政が一体となって記念事業を実施し、横須賀に対する誇りや愛着心を高め、活気のある「元 気な横須賀」の実現を図る取組を行っている。地域資源の掘り起こし、地域資源の活用、市民参加 と地域連携の推進、誇れるもののさらなる創造を基本方針に、市民協働による記念事業の実施を行 2-5 っている。 【民間活力の導入】 神奈川県川崎市では、救急医療及び急性期医療を軸とする中核病院の確立を目的に、民間活力を 活かした効率的な病院経営により、患者サービスの向上と財政負担の軽減を図るため、指定管理者 制度を用いて運営する取組を行っている。24 時間体制での全診療科への対応、地震等の災害時にお ける医療拠点としての機能発揮のため、屋上ヘリポート等の整備を図っている。 【市民との協働】 岩手県盛岡市では、 「花と緑のガーデン都市づくり事業」として、商店街等が道路の沿道にハン ギングバスケットを設置する場合に、器材の無料貸し付けや植え付け、製作等の費用の補助を行っ ている。また町内会等の団体が主催する講習会等へのアドバイザーの派遣や市民への普及を目的と したハンギングバスケット製作講習会、ハンギングバスケット作品の展示、コンテスト、製作体験 教室などを内容とした「もりお花ハンギングバスケット」を開催している。地域による水やりなど の維持管理と一体となって、地域の活力向上に寄与している。 千葉県市川市では、 「市民が選ぶ市民活動団体支援制度」として、公共サービスの新たな担い手 として期待されるボランティア団体やNPOなど市民の自主的な社会貢献活動に対し、市民税納税 者が支援したい1団体を選び、個人市民税の 1%相当額を支援できる制度を導入している。税金の 使い道を市民自身が選ぶ試みであり、市民が市民活動への理解を深め、住んでいる地域や市政に関 心をもってもらうように取り組んでいる。 【行政への市民参加】 東京都新宿区では、区内の 10 特別出張所管内ごとに、区民の区政参加及び地域課題解決の場を 設立し、住民自治の充実を図る取組を行っており、各地区協議会と区とは対等な立場で協力しあう パートナーとして位置づけている。 【中心市街地の活性化】 福島県会津若松市では、既存建物の表層部分の修景による「大正浪漫調」の街並みづくりと、交 流活動を通したおもてなしの心による「ふれあいのまちづくり」の推進により、「中心市街地活性 化事業」に取り組んでいる。景観に配慮した街並みづくりやおもてなしによる交流づくりは、民間 による草の根的活動からはじまり、行政やまちづくり会社、他のまちづくり団体と様々な機関を巻 き込んだ大きなまちづくり活動となっている。中心市街地活性化の一方策として「まちなか観光の 推進」を掲げ、非日常を感じる異空間の創出とおもてなしとの相乗効果により、まちなかを散策す る観光客が増加している。 富山市では、 「お出かけバス事業」に取り組んでいる。公共交通(路線バス)の利用促進による 中心市街地への来街者の増加を図るとともに、高齢者の社会参加を促すことで、中心市街地の活性 化に寄与している。交通事業者・利用者(市民) ・市がそれぞれ運賃を負担することにより、3 者で 事業をすすめる仕組みを作っている。市内に住所を有する 65 歳以上の人を対象に、利用希望者に 「お出かけ定期券」を 500 円で交付、その定期券で市内のどのバス停からでも1回あたりの乗車料 金が 100 円で中心市街地にバスで来ることができる。 熊本市では、中心市街地の大型店の倒産や撤退、郊外部への大型ショッピングセンターの進出な ど商業の転換期を迎える中で中心市街地の活性化を図ることを目的とした「魅力ある熊本駅周辺の まちづくり」のためのさまざまな連携策が講じられている。電子マネー(Edy)の導入や季節イベ ントの共同開催など、マチの楽しみづくりや魅力アップに向けた組織間の相互連携を図っている。 2-6 さまざまなイベントの開催と個々の店舗との連携が図られるようになり、参加商店街の増加、市民 団体が復活させた精霊流しとの連携などで、賑やかさが増している。 【世界との連携、PR】 福岡市では、 「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」を掲げ、アジアの交流拠点都市として一 極を成すことを目的とした取組みを行っており、「知的創造型産業プロジェクト」としてシリコン シーベルト福岡プロジェクトの実施を図っている。 京都市では、1200 年を超える悠久の歴史と文化が息づく山紫水明の都市京都を日本の歴史文化 の象徴として守り育て、その素晴らしさを国内外に発信する「国家戦略としての京都創生」に取り 組んでいる。平成 15 年に京都創生懇談会から「国家戦略としての京都創生の提言」を受けて、京 都創生百人委員会の設立、歴史都市・京都創生案の国への提案、京都創生推進フォーラムの設立等、 京都創生の実現を目指した取組を進めている。 2-7 2) 既存調査による連携の相手先の抽出 平成 19 年夏に中部地方整備局が実施した『地域連携に関する実態・意識 アンケート調査・ヒア リング調査結果』 (長野県は南部地域の自治体のみ)に基づき、 「活力向上という観点から最も効果的 だと思う連携」の相手先について抽出する。 調査は配布総数 212 自治体のうち、203 自治体よ り回答が得られている。 【長野県】 飯田市が、4 自治体に連携の相手先として上げ られており、南信州の中心都市として期待されて いることが伺える。 諏訪地域では特定の市町村名ではなく、「諏訪 地域」や「諏訪郡」という広域的な地名で回答が 上げられ、地域としての一体的な連携への期待が 伺える。 木曽、飯伊地域では隣接する愛知県を上げる回 答が目立ち、また連携の成功例とされる「三遠南 信地域」の浜松市や三遠地域を上げる例もある。 上伊那地域では首都圏を上げる回答が目立ち、 名古屋を中心とする中部圏よりも東京を中心と する首都圏との連携に対する期待が伺える。 図 2.3.1.1 最も効果的だと思う連携【長野県】 【岐阜県】 岐阜市と大垣市が 5 自治体に連携の相手先とし て上げられており、地域の中心都市として期待さ れていることが伺える。 愛知県との県境に位置する自治体においては、 名古屋地域や愛知県を上げている例が多い。 ほとんどの自治体が周辺自治体を上げている 中で、郡上市→東京都港区(民間団体主体による 交流)、揖斐川町→北海道芽室町(中学生相互訪 問)を上げていることが目立つ。 飛騨地域では、白川村及び下呂市が地域の中心 である高山市を上げている一方、高山市は安房峠 で結ばれた松本市を上げている。また飛騨市は東 海北陸自動車で結ばれる富山市を上げている。 図 2.3.1.2 最も効果的だと思う連携【岐阜県】 2-8 【静岡県】 御殿場・小山、富士・富士宮、 藤枝・岡部などが、互いを連携の 相手先として上げており、関係の 強さが伺える。 浜松市、湖西市では共に「三遠 南信地域」を上げており、長野県、 愛知県での回答同様、連携の成功 例として認識されているものと考 えられる。 静岡市は周辺の 6 市町村を上げ ており、広域との連携を強く意識 していることが伺える。 図 2.3.1.3 最も効果的だと思う連携【静岡県】 【愛知県】 名古屋市、豊田市、豊川市が 3 自治体に連携の相手先として上げ られており、地域の中心都市とし て期待されていることが伺える。 知多半島に存する自治体では特 定の市町村名ではなく、「知多半 島」や「知多地域」という回答が 上げられ、地域としての一体性へ の期待が読みとれる。 豊橋市では「三遠南信地域」を 上げており、長野県、静岡県での 回答同様、連携の成功例として認 図 2.3.1.4 最も効果的だと思う連携【愛知県】 識されているものと考えられる。 豊田市では岐阜県の諸都市(瑞浪市、土岐市、多治見市、可児市、美濃加茂市、関市、美濃市) を上げており、東海環状自動車への期待が伺える。 2-9 【三重県】 熊野市、尾鷲市、紀北町がいずれも東紀州を 連携の相手先として上げており、地域としての 一体的な連携への期待が伺える。 伊賀市、名張市は互いを相手先に上げており、 関係性の強さが伺える。 鳥羽市は東京都心(修学旅行)を上げており、 修学旅行がひとつの産業ともなっていること が伺える。 図 2.3.1.5 最も効果的だと思う連携【三重県】 2-10 2.3.2 新聞検索 新聞については、全国紙3紙(朝日・読売・毎日)及び地方紙4紙(中日・信濃毎日・岐阜・静岡) の計7紙における近年の新聞記事(平成 12 年 4 月 1 日∼19 年 11 月 30 日)を対象に、 「地域連携」 をキーワードに新聞記事検索による抽出を行った。 その結果 543 件の記事が抽出され、これらの記事を「(1) 各県内で展開されている連携の新聞記事」、 「(2) 県境を越えた広域連携の新聞記事」 、 「(3)産官学連携の新聞記事」の 3 つに区分してその特徴を 分析した。 (1) 各県内で展開されている連携の新聞記事 各県内で展開されている連携では、医療、防災、観光に関する記事が多い。また、東海環状自動車 道、東海北陸自動車道など幹線道路沿線自治体や河川流域圏における連携方策の記事も多い。 各県ごとの主な記事は以下の通りである。 《長野県》 • 小諸で広域医療シンポ 医師不足など議論−展望探る「浅間山麓、連携を」(2005/5/29 信 濃毎日新聞) • 自然災害の心構えを守ろう 松本・奈川シンポ 梓川流域を考える会(2007/9/20 信濃毎日 新聞) 《岐阜県》 • 医師不足・偏在厳しさ増す現場 地域利用対策協初会合/岐阜県(2007/4/21 岐阜新聞) • 地域の安全連携で守れ 各務原6市3町集い会議発足(2006/5/12中日新聞) • 東海環状道対応の事業展開など研究 多治見市観光協会総会(2006/4/26 中日新聞) • 東海北陸連絡軸 岐阜県縦断道路リレーフォーラム 第1回「飛騨キックオフ座談会」(2002/5/2 岐阜新聞) 《静岡県》 • 富士山観光交流ビューロ、来春設立へ準備−富士の検討委が報告書(2007/9/12静岡新聞) • 災害に備え地域連携−浜松・上石田町が訓練 地元無線クラブの初参加(2005/3/2 静岡新 聞) • 東海地震防災へ地域連携−静岡会議が官民シンポ市民と情報共有(2004/11/13 静岡新聞) • 小児科医療で病院連携「9月実施へ準備」−磐田市長(2004/6/3 静岡新聞) • 温泉生かし新産業創出−サンフロント21懇話会伊豆地区分科会 滞在型観光も提案地域連 携呼び掛け(2002/7/10 静岡新聞) 《愛知県》 • 春日井市の活動紹介 安全・安心地域連絡会議「住民参加に意味」(2007/2/21 中日新聞) • 棚田サミットの事業計画を承認鳳来町で実行委(2005/1/18 中日新聞) • アオサの有効利用考える蒲郡でシンポ専門家から意見交換(2004/1/30中日新聞) • 穂の国の林業考えよう新城市でフォーラム課題と展望を討論(2004/1/25 中日新聞) 《三重県》 • 企業と地域連携で「安全なまち」県が講演会と事例発表会(2007/9/2 読売新聞) • 地域利用を考えるサミット26日 島で意見交換やシンポジウム(2006/11/23 朝日新聞) 2-11 • 連携して地域づくり 奥熊野5町村が奥熊野21世紀新地域創造連携事業協議会を設立し、熊 野川流域生活圏での連携を検討(2000/11/25 中日新聞) (2) 県境を越えた広域連携の新聞記事 県境を超えた広がりを持つ広域連携としては、高山市、松本市、浜松市、豊橋市など、地域の拠点 都市を中心にして、観光や産業振興などの分野における広域連携を進めている記事が多く取り上げら れている。 各県ごとの主な記事は以下の通りである。 《長野県》 • 観光連携「武田・上杉とも」長野と上越の協議会、検討(2006/8/26 信濃毎日新聞) • 松本で広域観光フォーラム NPOツアー結果報告、ルートの開発急げ(2005/3/2 信濃毎 日新聞) • 魅力いっぱい塩の道 松本 沿線市町村が会議(2002/6/1 中日新聞) • 「塩の道会議」、長野松本で開幕30市町村が出席し地域の連携訴え(2002/6/1 静岡新聞) 《岐阜県》 • 北アルプス広域観光、体制強化、岐阜など4県推進協議会高山市で総会(2007/11/3中日新聞) • 共生を考える飛騨地域連絡会議トラブル防止へ情報交換、外国人の人権尊重しよう (2006/9/16 岐阜新聞) • 広域観光とテーマに意見交換、大垣で滋賀・福井・岐阜県経済同友会(2000/10/25 岐阜新 聞) 《静岡県》 • ジェトロ支援事業に採択される−浜松市と独・イエナの国際地域連携(2007/4/27 静岡新聞) • 三遠南信連携ビジョン策定に向け初会合 浜松(2006/10/17 中日新聞) 《愛知県》 • 愛知豊橋で三遠南信サミット 道州制討議で圏域連携訴え(2006/10/24 読売新聞) • 産業観光サミット開催 中部の活性化へ熱い議論/名古屋(2001/10/26 読売新聞) • 「全国県境地域シンポ」開催自治体など関係者400人参加/豊橋(2004/4/24 毎日新聞) 《三重県》 • 「伊勢湾口道路」促進へ豊橋で交流シンポ、東三河、静岡、三重の220人出席(2002/1/25 中 日新聞) 2-12 (3) 産官学連携の新聞記事 産官学連携では、大学が積極的に地域連携の取組を行っている記事は多い。大学としては、信州大 学、静岡大学、岐阜経済大学、愛知大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、三重大学等がみられ た。主な連携内容としては、大学と地方自治体との連携が多く、まちづくり、ベンチャー企業支援、 環境分野等が多い。 各県ごとの主な記事は以下の通りである。 《長野県》 • 青木村と信大人文学部が連携協定(2007/7/20 信濃毎日新聞) • 愛大生が田植え体験 長野・売木村 米作り調査、研究に(2006/5/26 中日新聞) • 信大と地域や行政の連携可能性探る 松本 フォーラムに200人(2005/10/17 中日新聞) • 市街地活性化で連携−長野市と信大、初の意見交換会研究拠点模索(2003/11/1 信濃毎日新 聞) • 信州・大学地域連携プロジェクト 東北信事業部を設立−坂城町/長野(2003/8/29 毎日新 聞) • 松本の信大 産学共同研究の拠点施設完成 (2003/11/5 信濃毎日新聞) 《岐阜県》 • 美濃加茂市、たくみアカデミーを地域連携協定(2007/6/28 毎日新聞) • まちづくり協定、岐阜経済大と結ぶ美濃加茂市(2006/5/23 朝日新聞) • 魅力あるまちづくりを 下呂市、岐阜経済大学など協定(2006/4/12 読売新聞) • 「街づくり」で高山市に岐阜経済大学が提言 人材育成など講師派遣(2004/4/1 読売新聞) 《静岡県》 • 地域連携の活動報告 シンポで2年間を総括(2007/2/16 静岡新聞) • 災害時の大学と地域連携を考える 清水の東海大でシンポジウム(2006/6/25 読売新聞) • ベンチャー企業支援テーマに静大が23日、浜松でシンポ(2006/10/17 静岡新聞) 《愛知県》 • 東栄町、愛大が協定地域づくりで連携・協力(2007/6/23 中日新聞) • 愛知大生が駄菓子屋 地域活性化へ商店街の空き店舗活用−豊橋(2006/4/28 中日新聞) • 持続可能な地域づくり 産官学と住民が連携でシンポ協力呼び掛け 豊橋技科大(2006/3/29 中日新聞) • 産官学 環境で連携EPOC(環境パートナーシップクラブ)と名大エコ研最新技術の情報 交換(2004/10/9 中日新聞) • 「三遠南信」地域の拠点に愛知大・豊橋校舎に連携センター開設(2004/10/6 読売新聞) 《三重県》 • 三重大 研究内容ネット公開 全学シーズ集 産学連携、活用狙う(2005/11/15 中日新聞) • 相互友好協力協定 三重大、四日市市と調印きょう拠点「フロント」開設(2003/10/7 読売 新聞) 2-13 2.3.3 自治体・産業団体アンケート調査 中部圏内の自治体及び産業団体を対象に、文献調査を踏まえ、地域の活性化に向けて活用できる資 源及び今後の地域連携の取り組みについてアンケート調査を実施した。 回収率は自治体が 65.4%、産業団体は商工団体が 33.0%、農協が 24.7%、漁協が 23.4%であった。 12 27 124 25 15 5 11 56 静岡県 42 48 18 53 161 30 11 6 13 60 愛知県 63 65 18 45 191 50 23 4 7 84 0% 三重県 29 28 13 61 131 19 9 1 12 41 257 264 81 205 807 168 87 20 48 323 計 計 82 回収率 自治体 40.0% 33.0% 24.7% 23.4% 合計 43 計 漁協 42 自治体 65.4% 農協 岐阜県 回収数 商工団体 200 商工 農協 漁協 団体 44 29 4 5 発送数 自治体 長野県 商工 農協 漁協 団体 81 80 20 19 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 表 2.3.3.1 アンケート調査票の発送・回収状況 図 2.3.3.1 自治体・産業団体別アンケート回収率 1) 自治体へのアンケート調査結果 調査票は 257 自治体に郵送配布し、65.4%にあたる 168 自治体より回答が寄せられた。 (1) 保有している地域資源 活性化に向けて活用できると考える地域資源として、最も回答率が高かったのは「特産品、産業」 で、回答頂いた自治体の 85%が上げている。次いで、「自然、風景」と「祭り、イベント」が 78%、 「歴史(歴史上の人物含む) 」が 65%、 「観光施設」が 57%で5割を超える回答率となっている。 一方、回答率が低いものとしては、 「人物」が 10%、 「スポーツ」が 32%、 「温泉」が 38%、「文化、 芸術」が 43%となっている。 表 2.3.3.2 活性化に向けて活用できると考える地域資源(回答自治体数168) 特産品、産業 自然、風景 祭り、イベント 歴史 観光施設 文化、芸術 温泉 スポーツ その他 人物 総数(複数回答あり) 回答自治体数 143 131 131 109 95 73 63 54 53 17 869 回答率 85% 78% 78% 65% 57% 43% 38% 32% 32% 10% 具体的に回答のあった地域資源について、主要なもの、特徴的なものを整理する。 【特産品、産業】 《長野県》 長野県においては、りんご・ぶどう、そば、高原野菜などの農産物の回答が非常に多い。お やき、ワイン、ジャムなど農産物の一次加工品の回答数が多いことも特徴的である。また内陸 の山間地であることを反映して松茸、きのこ、木曾ひのき、さらに木工製品も特産品として上 2-14 げられている。 産業面で特徴的なものは、オルゴールに代表される精密機器産業であり、諏訪地域において は諏訪圏工業メッセの開催等により地域産業の売り込みが図られている。 《岐阜県》 岐阜県においては、農産物としては高冷地トマトや柿などが上げられている。また、長野県 同様に山間地であることを反映して木工製品の回答も多い。さらに、ブランド牛である飛騨牛 という回答も複数上げられている。 そのほか特徴的なものとしては、和紙製品や陶磁器が複数上げられている。 《静岡県》 静岡県においては、日本一のお茶どころとして、朝比奈茶、川根茶、牧の原茶などのブラン ド茶をはじめとするお茶の回答が複数ある。また、お茶以外にも三島うなぎ、富士宮やきそば、 箱根西麓野菜など地域名を冠した回答が複数上げられている。 さらに、駿河湾に面し漁業が盛んであることから、マグロ、さくらえび、とらふぐなどの海 産物の回答が多いことが特徴的である。 《愛知県》 愛知県においては、農産物としていちごやメロンなどの高級果物のほか、洋ラン、カーネー ションなど花卉が上げられていることが特徴的である。また吉良茶・抹茶、みかん、うなぎ、 海産物など静岡県の特産品と重複するものが複数ある。 産業としては、刷毛・ブラシ産業、自動車関連産業等なども県の特徴となっている。 《三重県》 三重県においては、農産物としてはトマト、メロン、お茶などが上げられているが、最も特 徴的なことは、はまぐり、あわび、サザエなどの海産物であり、特に伊勢エビ、的矢牡蠣は地 域名を冠したブランド品となっている。また当地では松坂牛も全国に名声を博している。 産業としては、臨海部の高度部材産業、液晶関連産業等が特徴として上げられている。 【自然、風景】 長野県においては北アルプスや中央アルプス、高原等の回答が多いことが特徴的である。岐阜県に おいては長野県同様に、北アルプス、白山等の山々の回答が多くなっている。静岡県においては富士 山という最多回答に加え、遠州灘や海、柿田川・富士川・大井川等の河川が上げられている。愛知県 と三重県においては、『自然、風景』に関する回答傾向にはばらつきがあり、県としての統一性は特 に持っていない。 【歴史】 歴史については、松本城、岐阜城、大垣城、山中城址など城や城址に関する回答と、北国街道、中 山道、甲州街道、東海道、熊野古道など街道及びその宿場町に関しての回答が最も多い。 あわせて真田三代、斉藤道三・織田信長、徳川家康など、戦国時代から江戸時代にかけての歴史上 の人物の回答も多い。 【文化・芸術】 文化・芸術に関しては、松本市と浜松市における文化・芸術活動の充実が特徴的である。また、各 地でアート展やビエンナーレ(2年に1度開催される美術展覧会)等の開催も行われている。 2-15 【温泉】 山岳地に囲まれた長野県、静岡県において、温泉地の回答が多い。また岐阜県、愛知県、三重県に おいても複数の温泉が回答に上げられ、地域資源としての活用が図られている。 【祭り、イベント】 祭り、イベントに関しては、地域に古くから伝えられてきた伝統的な祭りのほかに、梅祭り・桜祭 り・藤祭り・あじさい祭りなど自然資源を活かした祭り、そば祭り・ふるさと栗祭り・伊勢エビ祭り など旬の食材を活かした祭り、フェスティバルなどのイベントまで多種多様なものが開催され、地域 活性化に役立てられている。 【スポーツ】 スポーツで特徴的なものは、長野県、岐阜県におけるスキーと静岡県におけるサッカー、三重県熊 野市のソフトボールである。長野県、岐阜県では冬場に首都圏、近畿圏からスキー・スノーボード客 が多数来県している。また静岡県はサッカーどころとしてサッカー場の整備が進んでいることを活か して、老若を問わず全国からサッカー愛好者を集めた大会の開催を図っている。熊野市は、冬季に多 くの企業ソフトボールクラブが合宿を行う場所になっている。 【観光施設】 観光施設に関しては、展示施設、行楽地、公園等が中心になっているが、特徴のある観光施設とし て、朝市、ファーマーズマーケット等の回答も上げられている。 【人物】 人物に関しては、オリンピック選手、ノーベル賞受賞者、漫画家等の当地出身の有名人のほか、近 年話題のご当地ヒーローも回答に上げられている。 【その他】 その他の回答のなかで特徴的なものとしては、長野県では「高い晴天率と太陽エネルギー」「道の 駅(複数回答あり) 」 、岐阜県では「アウトレットモール」「神岡鉱山地下空間」「道の駅」、静岡県で は「アウトレット」 「ガンセンター」 「第二東名」 、愛知県では「中京女子大学(女子レスリング)」 「東 部丘陵線リニモ」 、三重県では「道の駅」 「鳥羽ガイドボランティア」等が上げられている。 6.祭り、イベント(回答−131自治体) (2) 地域資源の貢献度 次に、それぞれの地域資源が【地域活性 3.どちらとも言えない, 4% 1.大いに役立っている, 73% 回答数 2.少し役立っている, 23% 4.あまり役立ってない, 0% 化にどの程度役立っているか】について、 5.全く役立ってない, 0% 0% 「大いに役立っている」という割合が高か 10% 20% 30% ったのは、 「祭り、イベント」の 73%、「温 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 5.温泉(回答−63自治体) 3.どちらとも言えない, 5% 泉」の 68%、 「観光施設」の 65%である。 1.大いに役立っている, 68% 回答数 一方、 「人物」 、 「自然、風景」 、 「歴史」に 2.少し役立っている, 23% 4.あまり役立ってない, 3% 5.全く役立ってない, 0% ついては「大いに役立っている」という割 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 合が5割未満と低い水準にとどまっている。 8.観光施設(回答−95自治体) 特に「自然、風景」、「歴史」については、 地域資源として上げる自治体が多かったに 3.どちらとも言えない, 4% 1.大いに役立っている, 65% 回答数 2.少し役立っている, 29% も関わらず、貢献度への評価が低く、資源 はあっても有効利用されていないことが伺 える。 4.あまり役立ってない, 1% 5.全く役立ってない, 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 図 2.3.3.2 地域活性化への貢献が高いと回答された資源 2-16 (3) 地域資源の保有率と貢献度 (1)、(2)で整理した地域資源の保有率と貢献度を図に整理する。 「自然、風景」 、 「歴史」 、 「文化、芸術」などは保有率が高いものの貢献度が低く、有効活用を図る ことが今後の課題となる。 一方、 「祭り、イベント」、 「観光施設」、「スポーツ」などは保有率が低いものの貢献度が高く、確 実に貢献が期待できる地域資源であるということができる。 100% 90% 保有率が高く、貢献 保有率が高く、貢献 度が低い資源 80% 度も高い資源 特産品、産業 自然、風景 歴史 70% 文化、芸術 保有率 60% 温泉 保有率平均51% 50% 祭り、イベント 40% 保有率が低く、貢献 スポーツ 人物 30% 20% 保有率が低く、貢献 10% 度も低い資源 度が高い資源 観光施設 貢 献 度 平 均 58 % その他 0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 貢献度 60% 70% 80% 90% 100% 〔保有率〕=活用できると回答のあった数/回答自治体数 〔貢献度〕=大いに役立っていると回答/活用できると回答のあった数 図 2.3.3.3 地域活性化への貢献が高いと回答された資源 (4) 地域連携策 具体的な地域連携策として 609 事例が回答されており、そのうち「大成功している」事例は 112 例 (18%) 、 「まあまあ成功している」は 379 例(62%)、 「どちらでもない」は 106 例(17%)、 「あま りうまくいってない」は 11 例(2%) 、 「失敗している」は 1 例(0%)上げられている。 地域連携策の評価(回答数-609) 大成功して いる 18% 0% 10% あま り う ま くいっ てな い 2% ま あま あ成功している 62% 20% 30% 40% 50% 60% ど ち ら でも な い 17% 70% 80% 図 2.3.3.4 地域連携策の評価(自治体) 2-17 90% 100% 【成功事例】 成功事例のなかから特色のある事例を次に示す。 《周辺自治体との連携》 長野県上田市においては医療関係団体(医師会、薬剤師会、国立病院機能長野病院、信州大学 付属病院)の協力と隣接自治体(青木村)との連携のもと、小児初期救急センターの運営を行っ ている。 長野県岡谷市・諏訪市・下諏訪町では、諏訪地域の高い付加価値を持つ工業技術等の資源を世 界に発信するために、諏訪圏工業メッセを開催し、工業製品のPRを行っている。 岐阜県高山市では災害に備え、県境を超えた富山市、松本市等と災害相互応援協定を結んでい る。 静岡県富士宮市では、隣接市町村と公共の運動施設等について施設の利用料金を同一のものと することで、利用者向上が図られている。 《国内外の市町村との広域的な交流》 最も多数を数えるのは、姉妹都市、友好都市の協定を国内外の市町村と結び、相互に市民・学 生等の交流を実施している例である。 岐阜県八百津市では、北海道北見市と協力し、八百津市の特産である柿と北見市の特産である 牡蠣とを語呂合わせした柿・牡蠣まつりの開催を行っている。 静岡県浜松市では、愛知県東三河地域、静岡県遠州地域、長野県南信州地域の 35 市町村で三 遠南信地域協議会を設け、地域住民、大学、経済界、行政などが一体となり、圏域内の様々な分 野における交流・連携を深めるとともに、地域の振興・発展のための検討を行っている。 愛知県瀬戸市では、常滑市、多治見市、土岐市、瑞浪市、四日市市とともに、陶磁器産地活性 化推進連絡会議(陶の国)を設け、 「陶の国」ブランド「匠三寸」を発表している。 《都会と農村・山村・漁村との交流》 最も多数を数えるのは、都会にある自治体、都会の小中学校等と連携し、農業体験、農作物及 び棚田等のオーナー制度、民泊体験等を実施している例である。 長野県小川村では、 「小川」つながりで全国の「小川さん」を中心に、村の応援団として登録 したい方を募集している。現在 750 件(2000 名程度)が登録済であり、 「わがおがわ親戚隊」に よる交流活動(村づくり支援)を実施している。 《産官学の連携》 静岡県富士宮市では、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻、(有)サンワ工務店、(有)千葉学 建築計画事務所、(株)神田橋コンシェルジェと協力し、古民家・路地裏再生事業を行っている。 これは市の豊富な食資源を食することができる場として、古建築と近代建築の融合による個性あ る建築、街並みを創り中心市街地の賑わいや街の回復、活性化を図るものである。 三重県亀山市では、大学、事業所、地域の環境団体と総合環境研究センター事業の実施(かめ やま環境市民大学・大学院の開設)を行っている。地元に根ざしたシンクタンクとして、環境施 策に取り組んでいる。また、市民の環境保全に対する意識の醸成を図っている。 【失敗事例】 「あまりうまくいっていない」 「失敗している」という回答のあった事例としては、 「海外都市との 交流が途絶え継続性が保たれていない」 「連携の成果が見えない」などの事例が上げられている。 2-18 (5) 地域活性化に向けた地域連携に対する期待 今後の地域活性化に向けた地域連携に対する期待について整理する。 【市町村間の連携】 周辺市町村とは、医療・福祉、消防・ゴミ処理・徴税事務、公共交通の共同運行等の連携に期待す る回答が多い。また広域的な連携については、観光連携、農山村と都市との交流の期待が多い。 医療・福祉に関しては、産科・小児科医師不足により地域医療の破綻が懸念されるなかで、周辺自 治体あるいは医科大学との連携によって医師等の確保を図ろうとしている自治体が多い。安全・安心 な暮らしを提供して定住者の確保を図るためにも、周辺市町村との連携による医療・福祉の充実が求 められている。 《医療・福祉》 • 医師確保。産科医師が大幅に不足しているなかで、危険度の高い出産を担う地域の基幹病院であ る国立病院機構長野病院に勤務する産科医師を大学へ引き揚げる方針が出され、併せて常勤麻酔 医師の不在により、上小地域の産科医療体制が崩壊の危機に直面している。(長野県) • 誰もが住み慣れた地域で生きがいや楽しみを持って安心して健康で生活が送れるようにする。 (長野県) • 住民の生活が広域化している中、医療や就業先等に関連した交通ネットワークを構築したい。 (長野県) • 広域救急医療体制の構築が、住民の生活基盤の充実や居住条件の向上につながり、過疎抑制や定 住の促進に効果がある。(岐阜県) • 自治体の設立病院は医師不足等により、経営状況や医療提供体制の維持が極めて厳しい状況にな っており、地域の連携により、必要な医療体制を確保することが求められる。(愛知県) 消防・ゴミ処理・納税事務等に関しては、同様に周辺自治体との共同実施によって、作業の効率化 と住民サービスの向上を図ることが期待されている。 《消防・ゴミ処理・納税事務等の広域行政》 • 消防の広域化による経費削減、機動力アップ、ゴミ処理の広域化による経費削減・利便性アップ (岐阜県) • 広域防災対策事業を行うことで、より効果的な自然災害の予防につながる。(岐阜県) • 隣接市町村にある他市町村の住民でも利用可能な施設(図書館、プールなど)への交通手段(広 域巡回バス)を整備することにより、施設の有効活用、地域での施設の重複を避けることができ る。(愛知県) • 市税等徴収事務の広域化による経費節減、徴収力アップ(岐阜県) 公共交通に関しては、住民の高齢化による交通弱者の増大に対応してバス等の交通サービスの提供 が求められる中で、周辺自治体との共同運行による経費削減、効率化の向上が期待されている。 《公共交通の共同運行》 • 地域公共交通計画の連携が必要。バス等民間事業者が収支赤字のため、路線等の縮小が懸念され る中で、地方自治体独自でバス等を走らせているが、生活圏で考えたとき、各自治体だけで考え るのでなく、広域的な路線を考えた方が地域住民の利便性の向上に貢献する。(長野県) 観光連携に関しては、それぞれの地域資源を活用しながら、広域的に観光地間の連携を強めること で観光地としての魅力と集客力の向上を目指している。特に、北陸新幹線の開通や富士山静岡空港の 2-19 開業等を間近に控えた地域において、これら交通基盤施設の整備を契機に、広域的な連携によって観 光産業の振興を図ろうとしている自治体が多い。 《観光連携》 • 広域観光圏の形成。近隣市町村が、それぞれの特徴を活かした役割分担を行いながら広域的な観 • 経済産業省から認定された、地域活性化のための近代化産業遺産群『上州から信州そして全国へ』 光圏の整備を進めることが、観光客の滞在時間を増やすことにつながる。(長野県) に関して、市町村や県を越えた連携、対応を行うことにより、それぞれの地域活性化に結びつけ ることが可能となると考えられる。(長野県) • 北陸新幹線の延伸を見据え、新幹線沿線地域との連携により広域観光ルートを開発するとともに 広域的なプロモーション活動を展開して北陸地域からの誘客を図る。また、海外(主に中国・台 湾)からの誘客のためには、観光ルートの開発及び誘致活動の展開について広域的な連携を図る 必要がある。(長野県) • 平成 26 年度に北陸新幹線が金沢まで開通するのに併せ当市に新駅が開業する。観光は当市の基 幹産業であり他には負けない観光地に発展するには広域観光が不可欠である。(長野県) • 市内にある観光資源だけに着目するのではなく、周辺の観光地に観光客が流出しないよう市外の 観光地等と共生する広域観光を推進する必要がある。(岐阜県) • 東アジアや北海道、九州など静岡空港の就航予定先からの誘客促進を図るよう、相手方のニーズ に即した観光ルートの創設及びセールス等を行い、交流人口の増加を図る。(静岡県) • 富士山静岡空港を中心に周辺市町が連携し、商業、産業、観光等の活性化を広域的に推進する。 (静岡県) • 富士山静岡空港をはじめ、第二東名高速自動車道の供用開始が迫る中、圏域が連携し、観光や工 業、農業など総合的な産業振興を図る必要がある。(静岡県) • 近隣市町との連携だけでなく、SKY 圏市町村ネットワークのような県をまたぐ広域の連携をする ことにより、圏域も特色を活かした施策や、圏域の抱える課題の解決に協力し合う基盤ができる。 (静岡県) • 松阪市と中部国際空港を結ぶ海上アクセス「松阪ベルライン」が就航し、紀勢自動車道の大宮大 台インターチェンジまでの開通による地の利を生かし、南三重地域の各市町の連携による産業の 活性化と交流を図る。(三重県) • 東紀州地域は熊野灘に面し、環境が似ていることから、地域連携による広域的なブランドづくり が地域活性化に繋がる。(三重県) 都市との交流への期待に関しては、人口減少・高齢化が進行する中山間地の自治体を中心に、豊かな 自然環境を都市住民に情報発信して交流を進めながら、移住を期待する自治体が多い。 《都市との交流》 • 当村に何らかの関係、縁を持つ方を対象に、「広く浅く」ではなく、スポット的に交流を深め、 観光客の域を超えた村民の一員としての自覚を持ってもらうことを通じて、地域活性化の直接的 な原動力になってもらう。更に交流を深め、移住・定住へと結びつけられれば BEST。(長野県) • 田舎の実情を都市部の人たちにもっと良く知ってもらい、交流の場を持ち、人・物・金といった 面で支援の輪を広げてゆきたい。(長野県) • 人口減少と都市部との経済格差に歯止めをかけるため、都市部との交流、移住を推進し、持続可 能な地域経済の活性化をめざす。(岐阜県) • 当町のような過疎地域にとって、都市部等からの移住・交流は地域の活性化に結びつく施策とし て期待できる。(静岡県) 2-20 【産官学の連携】 産官学の連携については、民間活力や大学(研究機関)の専門知識に期待する回答が多い。 行財政が逼迫するなかで、自治会、企業、NPOなどの民間活力の導入と、大学(研究機関)の先進 的・専門的知識の施策立案への活用が期待され、産官学の連携によって地域活性化を目指そうという動 きになっている。 《産官学の連携》 • 過疎化、高齢化の進行により集落、町内活動が維持できない地域が増加することが予想され、今 後、地域社会の課題解決は身近なところで解決すべきであり、多種多様な地域課題の解決に向け、 連携が必要である。(町内会、各種団体、企業、NPO、地域審議会)(岐阜県) • 地域が抱える課題の解決やニーズに応えるため、大学が持つ先進的、専門的な知識や技術を活用 して本市の活性化を図る。(岐阜県) • 行政の財政的逼迫、人的削減が続く中で、単なる資金拠出の役割は破綻している。今後は幅広く 民間を巻き込んだまちづくりの動きを作り出していく必要がある。(静岡県) • 地域の企業、商工会、学校等が行政と協力し、異なる分野が交流することで、行政の視点からだ けではなく、他分野のノウハウを活かした施策を行うことができる。(静岡県) • 三重大学伊賀拠点が有する研究開発機能(シーズ)と、本市内の企業のニーズのマッチングによ り、新分野の創出や新製品の開発を進め、地域内の活性化につなげる。(三重県) • 駅に至近の距離にあり広大な面積を有する企業跡地の利活用が既存商店街を中心とした中心市 街地の活性化の起爆剤となるよう、既存商店街をはじめとして多様な関係者との連携により、重 要な都市機能の一つである中心市街地の活性化を図る。(長野県) 2-21 2) 商工団体へのアンケート調査結果 調査票は 264 団体に郵送配布し、33.0%にあたる 87 団体より回答が寄せられた。 (1) 保有している地域資源 【ものづくり(製造業、工業等)の振興策】 ものづくり(製造業、工業等)の振興策として活用できると考える地域資源として、最も回答率が 高かったのは「交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) 」で、回答頂いた団体の 46%が上げている。 次いで、 「特定分野の高いシェアを有する製造品」が 36%、 「知名度の高い企業(オンリーワン、ナン バーワン企業) 」が 33%、 「伝統工芸品」と「生産インフラ(産業団地、試験施設等) 」が 28%で続い ている。 一方、回答率が低いものとしては、 「NPO等の民間団体」が 5%、 「無形文化財」が 9%、「産業文 化遺産」が 10%となっている。 表 2.3.3.3 ものづくりの振興策として活用できると考える地域資源(回答団体数87) 交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) 特定分野の高いシェアを有する製造品 知名度の高い企業(オンリーワン、ナンバーワン企業) 伝統工芸品 生産インフラ(産業団地、試験施設等) オープンファクトリー(工場観光) 国機関、大学等の研究機関、研究所 産業支援施設 その他 産業文化遺産 無形文化財(人・技術) NPO等の民間団体 総数(複数回答あり) 回答自治体数 40 31 29 24 24 20 18 16 13 9 8 4 236 回答率 46% 36% 33% 28% 28% 23% 21% 18% 15% 10% 9% 5% 具体的に回答のあった地域資源について、主要なもの、特徴的なものを示す。 交通インフラとしては、既存の高速道路、新幹線、空港及び計画・構想中の高速道路網等が活用で きる資源として上げられている。 《交通インフラ》 長野県−中央自動車道、上信越自動車道、信州松本空港、三遠南信自動車道、北陸新幹線(長野新幹 線)、中部横断自動車道、地域高規格道路松本糸魚川連絡道路 岐阜県−東海環状自動車道、東海北陸自動車道 静岡県−東名高速道路、第二東名高速道路、中部横断自動車道、国道 1 号バイパス、富士山静岡空港、 清水港、田子の浦港 愛知県−東名高速道路、名古屋高速、知多中央道、東名阪高速自動車道、名古屋都市高速、名岐国道、 名古屋環状 2 号、南知多道路、名浜道路、中部新国際空港(セントレア) 三重県−中勢バイパス、リニア中央エクスプレス、新名神高速道路、名阪自動車道、伊勢自動車道 製造品、製造場所等については、自動車産業及び自動車部品産業が多く上げられているほか、長野 県におけるオルゴール・時計、岐阜県における木材加工品、静岡県における水産加工品・海洋深層水、 愛知県における産業観光、三重県における液晶関連企業等が特徴的な地域資源として上げられている。 2-22 《製造品、製造場所等》 長野県−自動車関連(ブレーキ、ピストン)、ベアリング等の精密部品、オルゴール、時計、黒曜石、 臨空工業団地、光学レンズ、製薬工場、漆器、木工品 岐阜県−ソフトピアジャパン、フリーズドライ技術、神岡鉱山、飛騨産木材加工品、撚糸業、工業団 地 静岡県−自動車・自動車部品、二輪車・二輪車部品、楽器、光関連製品・部品、木工機械、遠州織物、 水産加工品、海洋深層水、桐製品 愛知県−自動車・自動車部品、産業団地・工業団地、精密切削部品、豊橋サイエンスコア、産業観光、 三河木綿の製造 三重県−中勢北部サイエンスシティ、久居ニューファクトリー工業団地、自動車関連製品、液晶関連 企業、木材(製材等)の資源、ゆめポリス伊賀クリエイトランド 【商業、観光の振興策】 商業、観光の振興策として活用できると考える地域資源として、最も回答率が高かったのは「特産 品、産業」及び「自然、風景」で、回答頂いた団体の 68%が上げている。次いで、 「祭り、イベント」 が 63%、 「歴史」が 57%、「観光施設」が 53%で続いている。 一方、回答率が低いものとしては、 「人物」が 17%、「商店街、大規模商業施設」が 18%となって いる。 表 2.3.3.4 商業、観光の振興策として活用できると考える地域資源(回答団体数87) 特産品、産業 自然、風景 祭り、イベント 歴史 観光施設 温泉 交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) スポーツ 文化、芸術 商店街、大規模商業施設 人物 その他 総数(複数回答あり) 回答自治体数 59 59 55 50 46 34 31 28 23 16 15 6 422 回答率 68% 68% 63% 57% 53% 39% 36% 32% 26% 18% 17% 7% 具体的に回答のあった地域資源について、主要なもの、特徴的なものを示す。 自然、風景としては、地形条件を反映して長野県と岐阜県では山岳地が、静岡県、愛知県、三重県 で海岸及び河川が、共通する地域資源として上げられている。また温泉施設が全県で上げられている ほか、歴史的な街道及びその宿場町を上げる団体も多い。そのほか三重県では中部国際空港への海上 アクセスや熊野古道が特徴的な地域資源として上げられている。 《自然、風景》 長野県−北アルプス、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳連峰、北国街道、温泉施設、中山道宿場町 岐阜県−北アルプス、恵那峡、関ヶ原決戦の地、飛水峡、温泉施設、中山道の宿場町 静岡県−富士山、日本平、浜名湖、海水浴場、港湾施設、温泉施設、東海道の宿場町 愛知県−中部国際空港、太平洋ロングビーチ、矢作川、港湾施設、温泉施設、東海道の宿場町 三重県−中部国際空港への海上アクセス、木曽三川、熊野古道、温泉施設 2-23 (2) 地域連携策 具体的な地域連携策として 152 事例が回答されており、そのうち「大成功している」事例は 18 例 (12%) 、 「まあまあ成功している」は 93 例(61%)、「どちらでもない」は 36 例(24%)、 「あまり うまくいってない」は 5 例(3%)上げられている。 地域連携策の評価(回答数-152) 大成功 している 12% 0% 10% あま り う ま くいっ てない 3% ま あま あ成功している 61% 20% 30% 40% 50% ど ち ら でもない 24% 60% 70% 80% 90% 100% 図 2.3.3.5 地域連携策の評価(商工団体) 【成功事例】 主な事例を次に示す。 《イベントの開催》 長野県辰野町において、商工会、町、JAが事務局となった「辰野ほたる祭り」が開催され ている。期間中、全国から 20 万人の観光客が訪れる町最大のイベントである。 岐阜県大垣市において、商工会、地元企業、菓子組合が開催する「手づくり体験」が行われ、 木枡の組み立て、豆腐づくり、和菓子づくりなどの体験ができる。 静岡県沼津市において、沼津の海の再発見をテーマに海人祭りが実施され、シーフードガー デン、カッターレース、体験乗船などが行われている。 《広報活動等》 三重県伊賀市、名張市、滋賀県甲賀市、大津市における連携で、世界的知名度を誇る『NI NJA』と『HAIKU』を地域内外、国内外に発信している。毎年開催している『NINJ Aフェスタ』は好評を博し、来街者も増えている。 東海環状自動車道沿線の 9 都市と 9 商工会議所により「東海環状都市地域交流連携推進協議 会」が開催され、地域間の交流・連携の調査・研究、広報啓発活動等が行われている。 (3) 地域活性化に向けた地域連携に対する期待 主要な回答を整理する。 【交通基盤への期待】 高速自動車網の早期整備及びICの設置、高速自動車や空港へのアクセス道路の整備、港湾の機能 強化等交通基盤の整備を進め、新たな広域観光ネットワークの形成や、時間短縮効果によって地域の 利便性を高め地域外への企業の流出を防ぐ、といった期待が上げられている。 【産官学の連携】 学に対しては大学の知恵の導入や研究機関による支援、行政に対しては融資制度や補助金、継続し た助成措置、人材確保が困難な中小企業に対する支援措置、人材育成への期待、イベントへの予算面 での支援への期待が上げられている。 【広域的な観光等の連携】 県境を越えた連携の推進、観光客の多様なニーズに対応した広域観光ネットワークの形成、地域と 2-24 しての戦略的な広報活動への期待が上げられている。 【特産品の開発とブランド化】 観光資源を商業の活性化に結びつけるための地域特産品の開発、商業・観光・農業の連携、原材料 に地場のものを使用したオリジナルブランド品の開発と製品化、さらにできた商品の市場調査や国内 外へのPRが上げられている。 【イベントの開催】 複数の市町村や地域による観光連盟の設立、イベントの開催、観光パンフレットの作成等が上げら れている。 2-25 3) 農協へのアンケート調査結果 調査票は 81 農協に郵送配布し、24.7%にあたる 20 農協より回答が寄せられた。 (1) 保有している地域資源 農林業振興策として活用できると考える地域資源として、最も回答率が高かったのは「ブランド品、 特産品」及び「道の駅等の直売所」で、回答頂いた農協の 90%が上げている。次いで、 「体験農林業、 貸し農園」が 65%、 「農地、山林」 、 「交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) 」が 55%、「風景、景 観(棚田など) 」が 50%で続いている。 一方、回答率が低いものとしては、 「NPO等の民間団体」が 10%、 「特殊技術」が 15%となって いる。 表 2.3.3.5 農林業の振興策として活用できると考える地域資源(回答団体数20) 回答自治体数 18 18 13 11 11 10 7 6 6 3 2 2 107 ブランド品、特産品 道の駅等の直売所 体験農林業、貸し農園 農地、山林 交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) 風景、景観(棚田など) 国機関、大学等の研究機関、研究所 歴史・文化資源 生産インフラ(加工施設、冷蔵施設等) 特殊技術 NPO等の民間団体 その他 総数(複数回答あり) 回答率 90% 90% 65% 55% 55% 50% 35% 30% 30% 15% 10% 10% 具体的に回答のあった地域資源について、主要なもの、特徴的なものを示す。 ブランド品としては、岐阜の飛騨牛、静岡のお茶、愛知のメロン等すでにブランド品としての地位 を確立しているもののほか、ネギ、イチゴ、米等についても地域ブランドとしての売り出しを考えて いる農協が多い。また道の駅を地域資源として上げ、地元で採れる野菜等の直売を考えている農協も 多い。 (2) 地域連携策 具体的な地域連携策として 91 事例が回答されており、そのうち「大成功している」事例は 12 例 (13%) 、 「まあまあ成功している」は 58 例(64%)、「どちらでもない」は 21 例(23%)上げられ ている。 地域連携策の評価(回答数-91) 大成 功している 13% 0% 10% ま あま あ成功 している 64% 20% 30% 40% 50% ど ち ら でも ない 23% 60% 70% 80% 図 2.3.3.6 地域連携策の評価(農協) 2-26 90% 100% 【成功事例】 主な事例を次に示す。 《イベントの開催》 三重県志摩市において、JAまつり、伊勢エビ祭り、潮かけ祭り、わらじ祭り、磯部祭りが 開催され成功を納めている。 《産官の連携》 長野県松本市において、農協、松本大学、市民が協力して、地域伝統野菜の普及を目的に、 松本一本ねぎの部会の開催とその広報活動を行っている。 《ブランド化》 岐阜県飛騨市において、ぎふクリーン農業の取組みと飛騨牛、ほうれんそう、トマトを中心 にした農畜産物の「飛騨ブランド化」を図っている。安全・安心な地域ブランドとしての認識 が高まり、経済活性化につながっている。 (3) 地域活性化に向けた地域連携に対する期待 主要な回答を整理する。 【地域作物のブランド化】 ふるさとの誇りとなる地域ブランド作物の開発、販路情報の提供等が上げられている。 【地産池消への取り組みと直売所の設置】 安全・安心な農産物の提供を図るとともに、地域で生産された農畜産物を地域で消費することで地 域経済の活性化につなげるために、地産池消への取組みが上げられている。 またこうした農産物を地元消費者に販売しながら、地域活性化への寄与を図る施設として、直売所 やファーマーズマーケットの設置への期待が上げられている。 2-27 4) 漁協へのアンケート調査結果 調査票は 205 団体に郵送配布し、23.4%にあたる 48 団体より回答が寄せられた。 (1) 保有している地域資源 漁業・水産業振興策として活用できると考える地域資源として、最も回答率が高かったのは「釣り、 体験漁業、地引き網など」で 71%、次いで、 「ブランド品、特産品」が 52%、 「風景、景観」が 48%、 「海、砂浜、磯、海岸」が 40%で続いている。 一方、回答率が低いものとしては、 「特殊技術」が 10%、 「NPO等の民間団体」が 15%、 「生産イ ンフラ(加工施設、冷蔵施設等) 」が 17%となっている。 表 2.3.3.6 漁業・水産業振興策として活用できると考える地域資源(回答団体数48) 回答自治体数 34 25 23 19 14 11 11 11 10 8 7 5 178 釣り、体験漁業、地引き網など ブランド品、特産品 風景、景観 海、砂浜、磯、海岸 歴史・文化資源 市場等の直売所 その他 交通インフラ(高速道路、空港、港湾等) 国機関、大学等の研究機関、研究所 生産インフラ(加工施設、冷蔵施設等) NPO等の民間団体 特殊技術 総数(複数回答あり) 回答率 71% 52% 48% 40% 29% 23% 23% 23% 21% 17% 15% 10% 具体的に回答のあった地域資源について、主要なもの、特徴的なものを示す。 ブランド品の期待としては、長野のイワナ・ヤマメ、岐阜の鮎、静岡のしらす・キンメダイ、三重 の伊勢エビ・あわびなどが上げられている。また釣りや体験漁業などについては、小中学生を対象に した事業実施や、親子体験教室の開催など、漁業に親しみを持ってもらうような取り組みも実施され ている。 さらに高校生を対象にした魚料理教室の開催なども行われており、魚離れを食い止めようとする動 きもみられる。 (2) 地域連携策 具体的な地域連携策として 196 事例が回答されており、そのうち「大成功している」事例は 13 例 (7%)、 「まあまあ成功している」は 116 例(59%) 、「どちらでもない」は 39 例(20%)、 「あまり うまくいっていない」は 28 例(14%)上げられている。 地域連携策の評価(回答数-196) 大成功している 7% 0% ま あま あ成功して いる 59% 10% 20% 30% 40% ど ち ら でも ない 20% 50% 60% 70% 図 2.3.3.7 地域連携策の評価(漁協) 2-28 80% あま り う ま くいっ てな い 14% 90% 100% 【成功事例】 主な事例を次に示す。 《イベントの開催》 魚釣り大会の開催が各地で実施され成功事例とされている。 静岡県下田市では 29 回を数えるJGFA(ジャパン・ゲーム・フィッシュ・アソシエイシ ョン)が開催され、関係者が 800 名以上にも上っている。 愛知県弥富市では金魚日本一大会(品評会)が開催され、年々アマチュアの出品数が増加し、 質も上がっている。 《環境への貢献》 三重県津市において、漁協役員と地域ボランティアによる河川清掃が行われ、毎年の恒例行 事になっている。 (3) 地域活性化に向けた地域連携に対する期待 主要な回答を整理する。 【ブランドの立ち上げと発信】 あゆなど地域ブランドとなる特産品の立ち上げ、また消費地への広報等が上げられている。 【消費者との交流、PR】 川遊びや漁業体験を通じた消費者開拓、魚介類の直売所の設置による情報提供と発信が上げられて いる。 【河川環境の保護】 行政が行う河川工事に対する河川再生への要望、行政との連携による河川環境保全、魚類の繁殖環 境の整備、資源保全に向けた取組みなどが上げられている。 2-29 2.3.4 住民アンケート調査(ウェブアンケート調査) 中部圏に居住する住民を対象に、地域連携施策分類別の重要度、地域の資源、その資源を活かした 地域連携施策アイデアを把握するため、インターネットリサーチ会社(楽天リサーチ)による会員へ の電子メール配信調査を実施した。 中部圏にある 257 の自治体数(最大の自治体数は長野県の 81、最小は三重県の 29)を踏まえて、 各県均等、区市町村均等数を基本にして、生産年齢人口(15∼64 歳)の男女計 1,000 人(各県 200 人、例えば、長野県では各自治体で2人以上、三重県では6人以上)から回答者を得ることを目標と する。 その結果、無効回答をのぞき 995 票の有効回答が得られた。 回答者の属性は、男子 51%、女子 49%でほぼ同数の回答が得られた。 年齢別構成では、30 代が最も多く 43%を占め、次いで 40 代の 26%である。 居住地区分では、郊外住宅地が最も多く、52%を占め、次いで、中心市街地の 18%、農村集落地 の 17%、中山間地8%、漁村集落地3%と続く。 職業別では、会社員が最も多く、45%を占め、次いで、主婦・主夫が 19%である。 男女比 女 485 49% 年代別 60代 11 1% N=995 男 510 51% N=995 10代 19 2% 50代 96 10% 20代 183 18% 40代 261 26% 30代 425 43% 居住地域区分 漁村集落地 33 3% 中山間地 80 8% 農村集落地 167 17% 職業別 N=995 その他 11 1% その他 20 2% 学生 38 4% 中心市街地 (まちなか) 181 18% 無職 29 3% 主婦・主夫 188 19% アルバイト・ フリーター 61 6% 派遣社員 34 3% 自由業 専門家(医 14 師・弁護士・ 自営業 公務員 1% 会計士等) 76 62 15 8% 6% 2% 郊外住宅地 514 52% 図 2.3.4.1 回答者の属性 2-30 N=995 会社員 445 45% 団体職員 22 2% (1) 重要度が高い施策のランキング(居住地域別) 地域の活力を維持・向上していくために必要な施策の重要度を居住地別に集計した。 全体として、 【暮らし】に関する連携への重要度が高いと考えている。その中で、最も重要度が高 いのは、 「2.医療、福祉サービスの充実」である。 農村集落地居住者の回答では、 「1.人口増加策(UJI ターン、二地域居住等)」 、「7.農林水産業振興」 などの項目において他地域と比べ重要度が高いと答えた割合が高い。 中山間地居住者の回答では、 「1.人口増加策(UJI ターン、二地域居住等) 」を重要度が高いと答え た割合が最も高く、また、 【産業・観光】に関する重要度も高いのが特徴となっている。 漁村集落地居住者の回答では、中山間地居住者と同様【産業・観光】に関する重要度も高いのが特 徴であり、また、 「1.人口増加策(UJI ターン、二地域居住等)」、 「3.教育環境の充実」、 「17.地域情報 の発信・広報活動」 、 「20.産業活力を向上する空港、港湾、高速道路等の整備」、「21.交流施設(道の 駅、ホール、博物館等)整備」などの項目において重要度が高いと答えた割合が高い。 図 2.3.4.2 地域の活力を維持・向上していくために必要な施策の重要度(居住地域別) 2-31 (2) 地域の活力向上のために、特に重要な地域資源 地域の活力向上のため特に重要と考えている地域資源の自由回答を下図に示す 12 分類に分類して 居住地域別に集計した。 全体でもっとも回答が多いのは「2.自然・風景」であり、次いで、「1.特産品・産業」、「10.社会基 盤施設」 、 「10.祭り、イベント」の順である。 中心市街地(まちなか)居住者の回答では、総数に比べ「6.祭り、イベント」の項目の割合が高い。 郊外住宅地居住者の回答では、総数に比べ「2.自然、風景」、「6.祭り、イベント」の項目の割合が 高い。 農村集落地居住者の回答では、総数に比べ「1.特産品、産業」、「3.歴史」、「4.温泉」の項目の割合 が高い。 中山間地居住者の回答では、総数に比べ「1.特産品、産業」、「2.自然、風景」、「4.温泉」の項目の 割合が高い。 漁村集落居住者の回答では、総数に比べ「1.特産品、産業」、 「2.自然、風景」、「10.社会基盤施設」 の項目の割合が高い。 図 2.3.4.3 地域の活力向上のために、特に重要な地域資源 2-32 (3) 効果的な地域連携施策の主体となる組織・団体 地域資源を活かした連携方策の主体となるべき組織・団体について、居住地域別に集計した。 全体でもっとも回答が多いのは「5.行政」であり、次いで「3.企業・産業団体」、 「1.住民組織」の 順である。 中心市街地(まちなか)居住者の回答では、 「3.企業・産業団体」、 「5.行政」が 33%と最も多い。 郊外住宅地居住者の回答では、 「5.行政」が 36%と最も多く、次いで「3.企業・産業団体」の 33% となっている。 農村集落地居住者の回答では、 「5.行政」が 38%と最も多く、次いで「1.住民組織」の 27%となっ ている。 中山間地居住者の回答では、 「5.行政」が 49%と約半数を占めており、行政への依存が高い結果と なっている。 漁村集落居住者の回答では、 「3.企業・産業団体」が 50%を占め、企業等への依存が高い結果とな っている。 図 2.3.4.4 効果的な地域連携施策の主体となる組織・団体 2-33 (4) 地域連携施策の範囲 効果的な地域連携施策を行うための連携の範囲について、居住地域別に集計した。 全体でもっとも回答が多いのは「2.市町村内」であり、次いで、 「3.周辺市町村を含む地域内」、 「1. 自治会内、町会内」の順であり、市町村内までの範囲で 47%、県内までの範囲で 85%である。 中心市街地(まちなか)居住者の回答では、総数に比べ「5.中部圏内の複数県」、「7.国内全般」の 項目の割合が高く、市町村内までの範囲で 47%、県内までの範囲で 85%である。 郊外住宅地居住者の回答では、総数に比べ「5.中部圏内の複数県」、「7.国内全般」の項目の割合が 高く、市町村内までの範囲で 47%、県内までの範囲で 84%である。 農村集落地居住者の回答では、総数に比べ「3.周辺市町村を含む地域内」、「7.国内全般」の項目の 割合が高く、市町村内までの範囲で 46%、県内までの範囲で 84%である。 中山間地居住者の回答では、総数に比べ「2 市町村内」、「4.県内全般」、「8.世界全般」の項目の割 合が高く、市町村内までの範囲で 46%、県内までの範囲で 84%である。 漁村集落居住者の回答では、総数に比べ「1.自治会内、町会内」、「4.県内全般」の項目の割合が高 く、市町村内までの範囲で 56%、県内までの範囲で 94%である。 各地域とも、住民の意識では日常生活の範囲(周辺市町村を含む地域まで)における連携を重視し ている結果となっている。 図 2.3.4.5 地域連携施策の範囲(居住地域別) 2-34 (5) 地域資源別の連携主体及び連携の範囲 地域資源分類別に、その資源を活用した連携方策の主体とその連携の範囲についてその回答比率を 集計した。 住民組織が主体となるべき連携で は、 「06.祭り、イベント」の回答が多 い。 企業・産業団体が主体となるべき連 携では、 「01.特産品、産業」、次いで 「05.温泉」、 「07.スポーツ」となって いる。 産官学連携が主体となるべきとの 連携は「11.くらし」に関する回答が 多い。 行政が主体となるべきと答えた意 見はどの資源でも多いが、中でも、 「10.社会基盤施設」、 「02.自然、風景」 、 「08.観光施設」について、主体とな るべきとの意見が多い。 図 2.3.4.6 効果的な地域連携施策の主体となる組織・団体 (地域資源別) (6) 地域資源別の連携の範囲 地域資源分類別に、その資源を活 用した連携方策の範囲についてその 回答比率を集計した。 ほとんどが、自市町村内までを連 携の範囲と答えている人が多いが、 「01.特産品、産業」、「02.自然、風 景」 、 「04.文化芸術」 、 「05.温泉」 、 「08. 人物」 、 「10.社会基盤施設」について は、周辺市町村あるいは県内までの 連携の範囲と答えている人が若干多 い。 図 2.3.4.7 地域連携施策の範囲(地域資源別) 2-35 2.4 連携の課題の整理 地域連携に関する取り組みに関する情報収集として、文献資料調査、自治体・団体・住民アンケート を実施し、有識者インタビューも実施した。ここでは、これらの情報収集結果にもとづき、中部圏にお ける活力向上に向けた地域連携における課題について整理する。 2.4.1 地域連携の目的 中部圏で行われている地域連携の目的は、大別すれば、図2.4.1に示すように、生活必需サービスを 提供すること、産業振興、観光振興、定住・UJIターン促進、まちづくり(歴史保全・自然環境保全 含む)の5つに分類できる。中山間地域や漁村地域では、人口減少や農林水産業の担い手減少に歯止め をかけることを究極の目的として、産業振興、観光振興、定住・UJIターン促進、まちづくりに総合 的に取り組んでいる場合が多い。 生活必需サービス提供 (暮らしの維持) 医療(産婦人科、小児科、高齢者医療等) 教育(義務教育、社会人教育等) 公共交通サービス(通学、通院、買い物等) 消防、防災、ゴミ処理 図書館、博物館等の文化施設利用 担い手確保、二地域居住・移住促進 定住・UJIターン促進 地域ポータルサイト、空き家バンク等の情報提供 クラインガルテンによる農地等の有効活用 観光振興 (交流人口拡大) 農林水産業振興(ブランド化、体験漁業等) イベント開催、観光ネットワーク、観光キャンペーン等 産業振興 (雇用確保、所得向上等) モノづくり振興(産官学による研究開発等) スポーツ振興 中心市街地活性化、食材等によるまちなか観光等 まちづくり(歴史・自然環境 保全含む) 世界遺産登録、歴史的な街並み保全と景観形成 良好な自然環境保全 図2.4.1 地域連携の目的の分類 2-36 2.4.2 地域連携の取り組み方法(パートナー、拡がり、方策) 中部圏で行われている地域連携の取り組み方法を連携の目的別にみると表2.4.1のように整理できる。 目的別にみた、パートナー、拡がり、方策等の取り組みの状況を以下に述べる。 第1に、生活必需サービスの提供については、過疎化の進行が顕著な中山間地域や漁村地域等での同 一生活圏内自治体の協力関係が多い。人口減少、急速な高齢化に伴い行財政が悪化し、住民サービスの 低下が懸念される地域で、周辺自治体間の協力によって医療・福祉、教育、バス交通、消防、防災、ゴ ミ処理等を共同運営し、効率化する取り組みである。市町村合併には至らなかったが、連携協定や事務 組合等を通じて協力関係を続けている例が多い。また、バスの共同運行、図書館・文化施設の相互利用、 納税事務の一本化などにより、行政コストの削減を図るとともに住民サービスの向上につなげている。 第2に、産業振興については、産官学連携や産業団体連携が主要な連携方策である。地域資源を活用 した地域ブランドの創出や、大学と企業の連携による競争力の高い製品の開発などの取り組みも見られ る。産官学連携では、同一県内の国立大学、公立大学、私立大学が主役になって、取り組んでいる例が 多い。大学は県境を越えて自治体と連携している。例えば、愛知大学と南信州連合、松本大学と高山市、 信州大学と上越市などである。 第3に、観光振興を目的とする地域連携は、現在、自治体相互ではかなり増えてきている。単独でも 一定の集客を見込める観光地を中心にして、自治体が複数集まって、主に観光キャンペーン等の広報活 動を行う取り組みである。東アジアからの来訪者の増加に対応して、国際観光地づくりを共同で取り組 む高山市、金沢市、松本市の連携もみられる。郡上市では、単独であるが、企業、市民、行政が連携し て、2008 年2月、スノーボードワールドカップを開催した。 第4に、定住・UJIターン促進は、人口減少が顕著な中山間地域、漁村地域ばかりでなく、地方中 小都市においても、現在、最もホットなテーマである。成功例としては、松本市のクラインガルテンが 上げられ、毎年、応募者が溢れるほど人気がある。自治体はホームページ等で、空き家情報や就業支援 策を情報発信している。情報発信力が大きな課題であるが、複数の自治体が地域連携してそれに取り組 んでいる例はみられない。また、県が代表して首都圏等でUJIターンのキャンペーンを定期的に開催 している例はみられる。さらには、JA全中や連合などが協賛している NPO 法人ふるさと回帰支援セン ターや総務省自治行政局過疎対策室・財団法人過疎地域問題調査会が管理運営している「交流居住のす すめ」というWEBサイトに自治体が参加している。地方では、今、非常にホットなテーマであるが、 全般的にみると中部圏内では成功例はかなり限定的である。 第5に、まちづくりは、基本的に単独の自治体や同一生活圏内(同一都市計画区域内)で行うもので あるが、産官学連携によるまちづくりなど、県内外の多様な力を結集する取り組みも増えている。富士 宮市、熊野市、郡上市をはじめ、東京都内の大学の先生達が中部圏の自治体において、景観等のまちづ くりを支援している例も多い。また、白山世界遺産登録などでは、県境を越えた自治体が連携して運動 を展開している。さらには、東海北陸自動車道、富士山静岡空港などの大規模なインフラ整備に伴って、 広域的な協議会が設立され、さまざまなイベント企画等を進めている。 2-37 表 2.4.1 地域連携の取り組み方法 連携の目的 地域連携のパートナー 生活必需サービス ・近隣自治体 ・行政と医師会、交通事 提供 業者等 (暮らしの維持) 産業振興 (雇用確保、所得 向上) ・産官学連携 ・商工団体連携 ・農林漁業団体連携 観光振興 (交流人口拡大) ・近隣自治体 ・広域交通軸、河川流域 の沿線自治体 ・国内外の姉妹都市 定住・UJIター ン促進 ・近隣自治体 ・都市と農村、漁村 地域連携の拡がり 連携方策例 ・上田市における小児初期救急 センター運営 ・高山市の災害相互応援協定 ・単独∼生活圏内 ・多数ある公共バスのバス事業 者への運行委託 ・三遠南信地域協議会の産官学 連携 ・単独∼同一県内 ・大学は県境を越えて ・諏訪圏工業メッセ ・瀬戸市の陶の国ブランド「匠 連携している 三寸」 ・高山市の松本市、金沢市との ・単独、生活圏、複数 国際観光ルート協議会 県∼国内外まで多様 ・郡上市のスノーボードワール 化 ドカップ開催 ・単独∼同一県内 ・松本市のクラインガルテン ・小川村の「わがおがわ親戚隊」 ・熊野市の体験漁業 ・自治体内の市民、企業、 ・かめやま環境市民大学 NPO 等の団体と協働 ・ぶり街道 ・単独∼生活圏内 ・近隣自治体 まちづくり ・白山、松本城、犬山城の世界 (歴史・自然環境 ・街道、流域等の沿線自 ・大学、企業が連携す 遺産登録運動 る場合は県内外 治体組織 保全含む) ・富士宮のやきそば ・産官学連携(県内外の ・熊野市のソフトボール振興 有識者で構成等) 2.4.3 地域連携の課題の整理 地域連携の目的別に、現在の主な連携パターン、期待する成果及び課題を整理すると表 2.4.2 に示す ように、以下のような課題がある。 第1に、生活必需サービス提供に関わる地域連携においては、医療サービスの確保が最も深刻な課題 であり、医療圏としての複数の自治体連携が今後より重視されるべきである。また、飛騨、北信、三遠 南信、熊野灘沿岸地域などの中山間・漁村地域などは県境に位置する地域が多いことに留意する必要が ある。例えば、県境を越えれば、高度な医療機関があっても、現実は、医師会、行政とも組織的に連携 が進めづらいのが現実である。そのため、医師派遣等の対応策等、柔軟に連携できる環境づくりを考え る必要がある。外国人居住者が増えていることから、場合によっては外国人医師の採用も必要な選択肢 になってきている。また、バス事業などは地域独占している企業が運行委託を受けている場合が多いた め、価格、サービス競争が起きない場合が多い。そのため、地域のタクシー会社等の参入を進めて、競 争を高めるような新規参入しやすい環境づくりが課題と考える。 第2に、産業振興に関わる地域連携は、効果的な取り組みとして、積極的に中部圏内では進められて いる。しかし、大学から遠い飛騨地域や熊野灘沿岸地域では産官学連携の取り組みが限定的になってい 2-38 る。産官学連携の場として、大学教員等が常駐できる場が必要である。また、大学は県内外地域との連 携に熱心であるが、地域からみて企業が相談しやすい窓口機能が身近に整備される必要もある。さらに、 産業振興に活用する地域資源は多様化しているが、疲弊した地方自治体では研究開発資金が十分に確保 できない問題がある。地元金融機関等からの研究開発資金の調達を円滑にする仕組みも必要である。 第3に、観光振興に関わる地域連携においては、中部圏では2005年に中部国際空港が開港し、愛知万 博が開催され、一気に国内外からの観光客が増加した。その後もスキー、ゴルフ、歴史文化観光など、 東アジアを中心にした外国人観光客は増加している。このような中で、2008年夏に全線供用予定の東海 北陸自動車道沿線地域等では、海外観光客の増大に対応する県内外の広域連携の積極的な推進が大きな 課題である。県境を越えた情報が、多くの言語で、わかり易く解説されたホームページ、観光地図や語 学が達者な地域観光ガイドも必要である。国際観光都市である高山市のホームページでは、観光情報は 10外国語で提供されている。また、持続的な観光振興を図っていくためには、観光カリスマ等の民間人 の積極的な活用、活かされていない歴史、自然、人物等の多様な地域資源を活かす交流人口増加策の展 開も課題である。 第4に、定住・UJIターン促進は、今後最も地域連携が積極的に進められるべき分野と考えられる。 現在は、全国組織に自治体が個別に自由参加、県がリーダーシップをとって自治体が参加してUJIタ ーンのキャンペーンを展開し、又は、自治体単独でホームページ等で情報提供しているのが実態である。 例えば、地域イメージが薄い三遠南信地域では、近傍の豊橋市や浜松市に居住する人向けに、よりイン センティブを付与して田舎暮らしを促進すべきであるし、東京等の大都市圏に情報発信及び全国から受 信するチャンネルを増やす必要があると考える。また、同一生活圏で歴史と文化等を共有する地域では、 単独でなく地域連携して地域ポータルサイトを運営する必要がある。全国的に競争が厳しくなる中で、 移住ニーズに適した個性的な生活支援策の推進も課題である。 第5に、まちづくりにおける地域連携としては、特に、中小都市では、長野県小布施町の例にみられ るような、地域の個性、身の丈にあったまちづくりを、市民組織が中心になって進めることをより促進 すべきである。デービスやボルダーなど、アメリカの中小都市では、実践的な市民まちづくり組織によ る継続的な計画提案、施策の実施を通して、多くの中小都市が元気を回復したという報告もある。地方 都市でまちづくりの焦点になっている中心市街地においては、郊外大型店との競争が厳しい物販機能以 外の地域資源に注目すべきである。食材、多文化共生、まちなか観光等の多彩な地域資源を活かしたま ちづくりが必要である。中心市街地活性化の取り組みは、一時的なものでなく、永続的な取り組みとし て、常に時代ニーズに沿って工夫していく姿勢も必要である。また、中山間地域等では、環境とまちづ くり、環境と観光、環境と経済を結びつける取り組みが望まれる。地球温暖化対策、森林、水、大気等 の環境保全における広域的な情報交流等の取り組みも課題である。比較的規模が大きい都市では、生活 必需サービスの提供や総合的な土地管理の関連から、静岡県で実施しているような広域都市計画行政の 枠組みによる広域調整が行いやすい仕組みをつくり、総合的で効果的な土地利用規制、インフラ整備を 実施することが課題である。 2-39 表 2.4.2 地域連携の目的別にみた課題の整理 連携の目的 現在の主な 地域連携により 地域連携パターン 期待する主な成果 ・地元医師会と複数の自 ・子づくり、子育て環境 治体が連携 の向上 ・同一県内の自治体が一 ・高齢者の安心、安全な 生活必需サ 部事務 組合を設立 し 暮らし ービス提供 て共助、協働。 ・人口の定住化 ( 暮 ら し の ・自治体が交通事業者等 ・サービス提供に要する 維持) にバス事業を委託 財政負担の削減 ・大学が県内外の自治体 ・製造業の育成、地域内 や企業 と連携して 産 企業の競争力向上 官学連 携組織を立 ち ・農林漁業の付加価値向 上げ商品開発、特許取 上に伴う生産額増 得等に取り組む ・雇用確保による人口の 産業振興 ・自治体と農林漁業団体 定住化、人口増加 が連携 してブラン ド ・雇用拡大、所得の向上 (雇用確保、 化に取り組む に伴う税収の向上 所得向上) ・共有する観光資源や交 通ネッ トワークに よ り互恵 関係にある 県 観光振興 内外の 自治体が連 携 (交流人口 協定を結び協働 拡大) ・複数の自治体が連携し てホー ムページ運 営 等 ・全国組織に自治体が個 別に自由参加 ・県がリーダーシップを とって 自治体が参 加 してキャンペーン 定住・UJI ・自治体単独でホームペ ターン促進 ージ等で情報提供 ・観光ネットワークづく りによ る集客圏の 拡 大 ・観光客及び観光消費額 の増加 ・地域経済の活性化 ・まちへの関心を高めて UJIターン促進 ・まちづくりに貢献でき る人材確保 ・専門技術者の確保によ る地場産業活性化 ・農林漁業担い手確保 ・耕作放棄地、空き地、 空き家の有効活用 ・商業、サービス業の顧 客増加 ・税収の増加 ・自治体内の市民、企業、 ・市民、企業のまちづく NPO が参加する ま りへの参加促進 ちづくり組織 ・美しく、文化的で、環 ・県内外の有識者から構 境負荷の小さい、持続 成する 産官学連携 に 可能なまちづくり まちづくり よるまちづくり ・安心、安全で、活力の (歴史・自然 ・共通資源、交通ネット あるまちづくり ワーク の互恵関係 に 環境保全含 ある自治体連携 む) 2-40 地域連携上の課題 ・飛騨、北信、三遠南信、熊野灘沿岸 地域などの中山間・漁村地域は県境 に位置する。県境をまたいでは、医 師会、行政とも連携が進めづらいた め、柔軟な対応策を考える必要があ る。 ・バス事業などは価格、サービス競争 を高めるためにも新規参入しやすい 環境が必要。 ・大学から遠い飛騨地域や熊野灘沿岸 地域では産官学連携の取り組みが限 定的。産官学連携の場として、大学 教員等が常駐できる場が必要。 ・大学は県内外地域との連携に熱心で あるが、地域からみて企業が相談し やすい窓口機能が身近に整備される 必要がある。 ・地域資源を共有化し、地域連携して ブランド化を積極的に推進する必要 がある。 ・地元金融機関等からの研究開発資金 の調達。 ・東海北陸自動車道沿線地域等では、 海外観光客の増大に対応する県内外 の広域連携の積極的な推進。 ・観光カリスマ等の民間人の積極的活 用。 ・活かされていない歴史、自然、人物 等の多様な地域資源を活かす交流人 口増加策の展開。 ・地域イメージが薄い三遠南信地域等 では大都市圏に情報発信及び全国か ら受信するチャンネルを増やす必要 がある。 ・同一生活圏で歴史と文化等を共有す る地域では、単独でなく地域連携し て地域ポータルサイトを運営する必 要がある。 ・全国的に競争が厳しくなる中で、移 住ニーズに適した個性的な生活支援 策の推進。 ・中心市街地における物販機能以外で、 食材、多文化共生、まちなか観光等 の多彩な地域資源を活かしたまちづ くりが必要。 ・中小都市では、市民まちづくり組織 による継続的な計画提案、施策の実 施が必要。 ・中山間地域では、環境とまちづくり を一体化し、地球温暖化対策、森林、 水、大気等の環境保全における広域 的な情報交流等の地域連携の取組み ・都市計画行政の広域化による総合的 で効果的な土地利用規制、インフラ 整備の実施。 2.5 活力向上に資する連携パターンの提案 ここでは、前段までに整理した地域連携の課題と中部圏の各地域の特性を踏まえて、今後、検討し 導入すべき以下の地域連携パターンを提案する。 先ず、地域の連携パターンは、事例調査等で情報入手した、当該自治体及び周辺自治体のニーズ、 地域資源、地域連携の仕組み等をもとに、次の3つのパターンに分類できる。 (連携パターン分類) A.互助共助型:中山間地域や漁村地域など、複数の自治体に共通する生活必需サービスの維持と いう課題等に互助、共助の姿勢で取り組み、効率化や集積化のメリットを創出す る連携パターン。このパターンは、医師不足問題等に対して、最優先されるべき 地域連携であり、地域連携が必要不可欠で、行政が責任を持って取り組むべき生 活必需サービスの連携パターンである。 B.共有協働型:比較的人口規模の小さい市町村などが連担する地域で、産官学連携等を通じて、 広域的に分散、点在する地域資源を活用し、相互補完し、相乗効果を創出する共 有協働型の連携パターン。地域が協働し、共通資源を活用したり、機能補完し、 人材交流を図りながら、活力向上に資する連携パターンであり、生活圏域に地域 を牽引する都市がない地域で特に積極的に取り組まれるべき連携パターンであ る。 C.牽引波及型:中心都市が明確な圏域において、企業誘致やインフラ整備で中心都市が活力向上 を図り、周辺の自治体を牽引し、生活圏全体に効果を波及させる連携パターン。 このパターンは、地域を牽引する雇用力がある、観光集客力が高い、地域イメー ジが優れている又は大規模なインフラ投資や企業誘致が予定されている都市が ある場合などに活用される地域連携パターンである。 表 2.5.1 連携パターンとその内容 A.互助共助型 複数の自治体に共通す る課題に共同で取り組 み、効率化や集積化のメ リットを創出する互助共 助型の連携パターン B.共有協働型 広域的に分散、点在す る地域資源を活用し、相 乗効果を創出する共有協 働型の連携パターン C.牽引波及型 生活圏の拠点都市が活 力向上を図り、周辺の自 治体を牽引し、生活圏全 体に効果を波及させる連 携パターン ・中山間地域や漁村地域など、人口減少、財政悪化などにより、必要となる 生活必需サービスの低下が懸念される地域で、各自治体が抱える共通課題 に、複数の自治体が連携して取り組む連携パターン。 ・複数の自治体の参画により、サービス効果を高め、コストを削減し、施策 を効率的に実施することを目指す。 ・例えば、複数の自治体が医療・福祉・教育・消防・廃棄物処理や公共バス の共同運営を行う等による互助共助関係を基本とする。 ・病院等の集約的な施設整備、公共バスの共同運行、道路等の交通基盤、地 域ポータルサイト、情報基盤整備などを伴う。 ・行政にとっては、この連携が最優先課題である。 ・産官学連携等を通じて、特産品、産業、自然・風景、祭り・イベント等、 分散あるいは点在する地域資源を活用し相乗効果を生み出すために、地域 が広域的に協働で取り組む連携パターン。 ・複数の自治体とともに、地元産業団体、大学との協働で経営のノウハウや 専門的知識の導入を図り、取り組みの成功を目指す。 ・例えば、地域コンセプトを打ち出した周遊観光ルートづくり、地域特産品 のブランド化、地場産業の活性化を目指した産官学による共同研究及び新 製品の開発などが代表的な取り組みである。 ・地方中小都市にみられるような、地域の暮らしや観光集客を支える生活圏 内の拠点都市の成長が、周辺地域に波及効果をもたらし、生活圏域全体を 牽引するパターン。 ・例えば、自動車組立工場や大学・研究所の立地が地域周辺に様々な機能立 地を誘導し、周辺部に経済波及効果をもたらす。また、大規模なイベント 開催が周辺地域も含めた観光客数の底上げや知名度向上に貢献することな どが代表的な例である。 ・新幹線、高速道路、空港、港湾など大規模なインフラ整備を契機にして、 取り組まれることが多い。また、最終的に市町村合併に繋がるタイプで、 拠点都市へのアクセス交通の改善が必要となる場合が多い。 2-41 次に、連携の目的区分に応じて、現在の連携パターン、自治体アンケート調査結果に基づく地域が 期待する連携パターン、そして、今後、検討し、導入すべき地域連携パターンを整理したのが、表 2.4.4 である。 中部圏においては、前段で整理した地域連携パターン分類に沿って、特に、以下のような地域連携 策を今後、検討、導入すべきであると提案する。 (今後、検討し、導入すべき地域連携の基本的な方向) A.互助共助型連携 中山間地域や漁村地域等においては、生活必需サービスを提供するための地域連携として、県境 を越えた効率的で効果的な地域連携、例えば医師派遣や医療地域ポータルサイトの運営等、また、 複数の自治体による公共交通の共同運行等が特に重要である。喫緊の課題としては、地域が連携し て、場合によっては県境を越える地域医療圏を柔軟に再設定し、県の支援を受けて、総合的に医師 不足問題に取り組むことが考えられる。 B.共有協働型連携 産業振興としては、産官学連携を通じた商品開発、ブランド化が期待される。地域財政に余力が 乏しい中、地元金融機関が参画するプロジェクトファイナンス方式の事業実施や研究開発資金の調 達等、地域金融機関が参画した取り組みも望まれる。 観光振興として、東京∼富士箱根∼京都・奈良・大阪の東西国際観光軸に匹敵する南北の東海北 陸自動車道沿線地域での国際観光地化に向けた広域観光連携プロジェクト、観光振興をUJIター ンに結びつける施策展開、十分に活かされていない地域資源を広域的に共有化し、活性化に繋げる 取り組み等が重要である。 定住・UJIターン促進としては、身近な都市と農村の交流促進を図る地域連携方策の推進、同 一生活圏で歴史と文化等を共有する地域での地域ポータルサイト運営等の取り組みが特に重要で ある。 まちづくりとしては、歴史文化資源、食材、スポーツ等を活用した広域的な地域連携、外国人等 との多文化共生のまちづくり、中山間地域における、自然環境と観光とまちづくりを一体化する地 域連携等の取り組みが特に望まれる。 C.牽引波及型連携 産業振興として、大学が身近にない地域における産官学の連携拠点となる場づくり、大学サテラ イトキャンパスの誘致、インフラ整備を地域活力向上に結びつける企業誘致、労働力確保に向けた 地域連携等の取り組みが特に望まれる。 観光集客力の高い都市の中心市街地に、周辺の中山間地域や漁村地域での特産物を直販する朝市 のような場を設けるような取り組みを再生することなども、都市と農村・漁村のニーズマッチング 施策として有効と考えられる。 2-42 表 2.5.2 地域連携の目的別にみた連携パターンのあり方 連携の目的 現在の主な 地域連携パターン 地域が期待する 地域連携方策(※1) 特に、今後、検討し、 導入すべき地域連携パターン ・地元医師会と複数の自 ・通院、通学、通勤交通 (互助共助型連携) 治体が連携 サービスの充実 ・効率的で効果的な地域連携(医師派 生活必需サ ・同一県内の自治体が一 ・広域連携医療体制の確 遣、医療地域ポータルサイト運営等) ービス提供 部事務組合を設立し 立 ・必要に応じて県境を越えるような、 (暮らしの て共助、協働。 ・公益施設の広域管理、 柔軟な地域医療圏の再設定と運営 維持) ・自治体が交通事業者等 広域利用促進 ・複数の自治体による公共交通の共同 にバス事業を委託 運行 ・大学が県内外の自治体 ・大学が専門的な知識と (牽引波及型連携) や企業と 連携して産 技術を駆使して、地域 ・大学が身近にない地域における、産 官学連携 組織を立ち の活性化に取り組む 官学の連携拠点となる場づくり、大 上げ、商品開発、特許 ・富士山静岡空港、第二 学サテライトキャンパスの誘致 取得等に取り組む 東名整 備を契機に し ・インフラ整備を地域活力向上に結び 産業振興 ・自治体と農林漁業団体 た広域 圏域が連携 し つける企業誘致、労働力確保に向け が連携し てブランド た産業振興 た地域連携 (雇用確保、 化に取り組む ・近畿自動車道紀勢線整 (共有協働型連携) 所得向上) 備を活 かした南三 重 ・産官学連携による商品開発、ブラン 地域の産業活性化 ド化 ・地元金融機関が参画するプロジェク トファイナンス方式の事業実施や研 究開発資金の調達 ・共有する観光資源や交 ・国内外に向けた広域観 (共有協働型連携) 通ネット ワークによ 光連携キャンペーン ・東京∼富士箱根∼京都・奈良・大阪 り互恵関 係にある県 ・東海北陸自動車道と北 の東西国際観光軸に匹敵する東海北 内外の自 治体が連携 陸新幹 線を活かし た 陸自動車道沿線地域での国際観光地 観光振興 協定を結び協働 広域観光振興 化に向けた広域観光連携プロジェク ト ( 交 流 人 口 ・複数の自治体が連携し ・熊野灘沿岸地域の共有 てホーム ページ運営 資源を 活かした広 域 ・観光振興をUJIターンに結びつけ 拡大) 等 的なブランドづくり る施策展開 ・十分に活かされていない地域資源を 広域的に共有化し、活性化に繋げる 取り組み ・全国組織に自治体が個 ・観光客の域を超えた村 (共有協働型連携) 別に自由参加 民の1 人としての 地 ・身近な都市と農村の交流促進を図る ・県がリーダーシップを 域活性 化に向けて の 地域連携方策の推進 定住・UJI とって自 治体が参加 交流 ・同一生活圏で歴史と文化等を共有す してキャンペーン ・交流の場づくり、人、 る地域での地域ポータルサイト運営 ターン促進 ・自治体単独でホームペ モノ、金といった面で ージ等で情報提供 の支援の輪づくり ・自治体内の市民、企業、 ・企業、商工会、学校、 (共有協働型連携) NPOが 参加するま 行政が協力するなど、 ・中心市街地における食材、まちなか ちづくり組織 異分野 交流と民間 活 観光等の多彩な地域資源を活かした まちづくり ・県内外の有識者から構 力を活 かしたまち づ まちづくりに向けた地域連携 (歴史・自然 成する産 官学連携に くり ・外国人等との多文化共生のまちづく 環境保全含 よるまちづくり ・駅周辺の工場跡地等の り む) ・共通資源、交通ネット 遊休地 を中心市街 地 ・中山間地域における、環境と観光と ワークの 互恵関係に 活性化 に向けて有 効 まちづくりを一体化する地域連携 ある自治体連携 活用する取り組み 2-43