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学習療法で認知症の重症化を予防
~KUMОNの事業展開と新たな官民連携の仕組み(SIB)について~
株式会社公文教育研究会 社長室調査企画チーム
井上
健士 様
皆様、初めまして。私、公文教育研究会の井上と申します。本日は、こういった場に
登壇させていただきまして、どうもありがとうございます。
KUMОNのほうで、高齢者向けの「脳の健康教室」と「学習療法」という保険外サ
ービスを提供させていただいています。我々もいろんな課題があって、悩みながら、試
行錯誤しながら事業を進めております。全てがうまくいっているわけではありませんの
で、少しでも皆様のお役に立てるようなお話ができたらなと思いますので、今日はどう
ぞよろしくお願いいたします。
まず、「学習療法」ということを聞かれて、余りイメージが湧かない方もいらっしゃ
るかなと思いますので、まず映像を見ていただきたいと思っております。
(ビデオ上映)
○ナレーター:一旦失われた脳の機能を鍛えることで回復できる。そんな挑戦が、この老
人介護施設で始まっています。参加している高齢者は177人。1日20分、スタッフ
に励まされながら、短い文章の音読や簡単な計算を毎日繰り返す「学習療法」と呼ばれ
る取り組みです。
認知症や脳梗塞などで脳の機能が落ちたお年寄りがこの療法で成果を上げています。
東北大学の川島隆太教授。この施設の教育のもと、研究と実践を重ねてきました。そ
の中で予想を超えたケースが現れ始めています。
症状が改善されるだけでなく、多くのお年寄りたちが再び生きがいを持って人生を歩
き出そうとしているのです。
○川島教授:私たちのこれまでの実験を通して、脳を確実に鍛えることができるというこ
とがわかりました。また、それは何歳であっても、どんな状態からでも鍛えることがで
きるということが見えてきたと思います。
○ナレーター:脳の失われた機能をどこまで改善できるのか。生きる喜びを再び取り戻そ
うと取り組むお年寄りたちの姿を追います。
はい、ありがとうございます。少しイメージは持っていただけたかなと思います。弊
社は御存じのように、子ども向けに学習サービスを提供していますが、子ども向けの教
材を高齢者用にアレンジいたしまして、先ほど映像にも出ておりました東北大学の川島
先生と一緒に10年前から共同開発をして、サービスを提供しているところでございま
す。
先ほど映像に出ていたのは、介護施設にいらっしゃる既に認知症になられた方向けの
認知症の維持改善を「学習療法」というふうに呼んでおります。「学習療法」の教材を
元気高齢者向けにアレンジして、認知症の予防というところでサービスを提供させてい
ただいているのは、「脳の健康教室」という名称で展開をさせていただいております。
まず前半に、「脳の健康教室」のご説明をさせていただきたいと思います。
こちらが「脳の健康教室」の様子ですけども、「脳の健康教室」は自治体さんから弊
社が委託されて事業を実施するというケースが多々あります。地元のボランティアの方
がいらっしゃいますが、そういったボランティアの方を募集して、そのボランティアの
方に弊社のほうが研修をさせていただく形をとっています。そして、ボランティアの方
が地域の住民の方に「脳の健康教室」を提供するというようなスキームでございます。
「学習療法」というふうに聞くと、何か勉強をさせられるんじゃないかみたいな、そ
んな話を聞くのですけれども、高齢者の方がいろんなことを勉強するという意味ではな
くて、簡単な読み書き、計算を通じて、脳を活性化させるというのが一つ大きな特徴で
ございます。なので、何か無理やり難しいことをさせるという意味ではなく、楽しくや
るというのが1つのコンセプトでございます。
もう1つが、コミュニケーションを非常に大切にしているサービスでございます。教
材としていろんな物語がありますので、その物語の話をきっかけに、こういったサポー
ターの方が高齢者といろんなコミュニケーションをとると。そういったことで、さらに
脳の活性化にもつながって、高齢者の方が認知症の改善であるとか、楽しく場を過ごし
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ていただくというようなサービスになっております。
実際、どのような成果があらわれているかといいますと、岐阜県でやった6か月の調
査があるのですけども、MMSEという認知機能を測る検査があります。その数値です
けども、縦軸が数値で、横軸が「学習療法」をやる前と6か月後の数値でございます。
MMSEの27以上は正常と言われておりまして、27~21が軽度認知障害というグ
レーゾーンになります。20以下は認知症の疑いが高いというものですけれども、「脳
の健康教室」をやっていただくと、グレーゾーンの20名のうち、18名が6か月後に
正常値になったというような結果も出ています。MCIと呼ばれている軽度認知障害の
疑いの方というのは、いろんな調査がありまして、MCIのうち15%か20%は1年
後に「要介護」になるというデータにもなっておりますので、このMCIの方が正常に
戻るということは、非常にインパクトのあるサービスなのかなというふうに思っており
ます。
先ほどサポーターの方のお話をさせていただきましたけれども、このサービスの特徴
は、このサポーターがかなりキーになっております。我々は、「脳の健康教室」を全国
展開しておるのですけれども、やはり地元にネットワークのある方というのをいかに取
り込むかというのが重要なポイントかなと思ったときに、このサポーターの方をいかに
やる気にするかというのが、「脳の健康教室」がうまくいくかどうかの一つ大きな成功
要因にもなっております。
こういったサポーターの方たちが「脳の健康教室」を盛り上げていただいていますの
で、単にコミュニケーションといっても、サポーターの方と高齢者の方、1対1とか1
対2とかだけではなくて、横のつながりができるように交流会みたいなものを設けまし
て、「脳の健康教室」の参加者が全員で交流できるような場を幾つか設けております。
そういった活動を通じて、「脳の健康教室」は6か月という期間ですけども、それが
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終わった後、参加者のメンバーと一緒に旅行に行ったり、サークル活動を新しくつくっ
てみたり、いろんな活動が広がっているところでございます。
また、地域のことをよく知っている方々ですので、例えば「脳の健康教室」を実施す
るに当たって、なかなか会場がないといったときには、例えば福島県では少子化で子ど
もが減っているので、小学校の空き教室があると。そういった空き教室で「脳の健康教
室」ができないかというのを、学校の校長さんに持ちかけていって、小学校で「脳の健
康教室」をやりますと。そうすると、高齢者と小学生がいろんなコミュニケーションを
とるということで、世代間交流ができると。そういった形で地域に広がっているという
ことです。「脳の健康教室」自体は、認知機能の改善ということを言われているのです
けれども、こういった地域づくりの一つのきっかけになっているような形になります。
次に、「学習療法」ですけども、こちらは既に要介護認定をされている方向けのサー
ビスになります。こちらは似たような形で、介護職員の方が高齢者の方に「学習療法」
をするという仕組みですけども、先ほどありましたMMSEの結果を「学習療法」とみ
ると、半年後で、KUMОNの「学習療法」をやっている方は少し改善されたのですけ
ど、「学習療法」をやっていない方は、認知機能が下がってしまったというような結果
もあり、いろんな効果が「学習療法」でも出ているところでございます。
実際に滋賀県の「学習療法」を導入していただいている施設は、2016年2月で、
大津市や草津市、全部で19か所に導入をしていただいております。
認知症のサービスを提供する場合、先ほどの調査結果は6か月ですが、「どうせ短期
間だけじゃない」みたいなことを認知症の場合に言われてしまいます。これを医学的な
調査というよりも、一つの施設で9年間の追跡記録があります。それをご紹介させてい
ただくと、「学習療法」をしている方が2001年時点で39名、実施していない方は
37名で、対照群と学習群としたときに、9年間生存されていて、データがとれるのは
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学習群が9名で、対照群は4名でした。対照群の方はMMSEが20から14.3でマ
イナス5.7に対して、学習群は24から18.9と(マイナス5.1)下がってしまっ
て、やや抑えられているかなというところでございます。
一方、介護度で言うと、(対照群では)4人の平均が1.0から3.3で、2.3と悪
化しているところですけども、学習群で言うと、2001年から2009年を比べると、
0.8ということで、介護度の進行も「学習療法」を通じて抑えられているのではない
かなというところです。これは集計的なものなので、確実なエビデンスというわけでは
ないのですけども、今の段階では、こういった傾向があらわれているところでございま
す。
実際の事例をご紹介させていただきます。T.Oさんは元気なころは好奇心旺盛で、
いろんなことに興味を持ってアクティブに動いている方でございました。この方が脳梗
塞で、68歳のときに入院されました。体の左半分が動かないような状態で、食事以外
全介助という状況だったのです。何をやってもやりたくないとか、比較的ネガティブな
発言が多かったのですが、その方が71歳で「学習療法」を始めました。
その変化をご紹介させていただくと、まず1年後には、笑顔と意欲が出てきました。
笑顔が多くなって、積極的にコミュニケーションをとるようになりました。先ほど介護
施設の方と高齢者がコミュニケーションをとるのが大事というお話をさせていただきま
したけども、教材の中にはいろんなコミュニケーションをする要素がありますので、積
極的に施設の方がコミュニケーションを図っていただいて、本人もかなり前向きになっ
ていただくというようなことがあります。
先ほどの「学習療法」の映像で、丸をして「100点」と書いてあったかと思います。
基本的に褒めて伸ばすというのがKUMОNの子ども向けの学習ではコンセプトとして
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ありますが、高齢者もできることに丸をつけたり、100点にしたりして、褒めて認め
るということを非常に大事にしております。たかが計算で、100点とっても喜ばない
だろうなと思うかもしれませんが、介護をされている方って、ふだんからなかなか褒め
る機会というのはありませんので、小さいことでも積み重ねると、承認欲求が満たされ
るといいますか、そういった形で少しずつ前向きになってきています。
2年後は、「身辺自立」という、生きることに積極的になってきていますので、自分
のことは自分でやろうという気持ちも芽生えてきます。それが2年後でございます。
3年後、6年後というと、思いやりとか役に立てる喜び、自分だけじゃなくて、人の
役に立ちたいとか人の笑顔が見たいとか、自分だけじゃなくて、ほかの人にも関心を持
って、いろんな役に立てる喜びを感じたいと思うようになってきています。
最初のころは、前傾姿勢しかとれなかった状態だったのが、いろんなリハビリの結果、
姿勢もしっかりできるようになっていって、気持ちの部分だけではなくて、会話の面で
も大きな変化が見られるような事例です。
このT.Oさんの脳機能とか自立度の変化をまとめると、開始時はMMSEが20だ
ったのが、3年後、5年後は29というふうに改善して、維持されております。介護度
で言うと、開始時は5だったのが、3年後に4、5年後も4と改善して維持ができてい
る状況でございます。
この方のADLと介助時間の変化を見ると、移動と排泄と更衣というのが介護で主に
かかる時間の中で、最初は121分だったのが、徐々に身辺整理が自分でできるように
なって、5年後には11分になりまして、1日のADLの支援時間、食事とかの支援な
んかも、237分から143分まで減っております。なぜ、こんな時間でお示ししたか
というのは、また後半でご説明させていただきたいと思います。
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次は、Y.Iさんですけども、このとき110歳です。「学習療法」を101歳のと
きに始められました。この方も、本当に重い認知症の方で入院と自宅療養を繰り返して
おりまして、入院すると夜間に暴れて手がつけられなくなるので、病院の方も困ってし
まって、施設に入ることになったのです。この方は101歳で入られて、MMSEが6
で、介護度5という数字の中で、1年後には大きな改善が見られました。最初の1か月
後に自分でトイレに行きたいという話があったり、自分で何かやりたいという意思を示
したり、排泄の訴えが確実になったり、問題行動を起こすことが少なくなりました。
それを示したものが次のページで、これは学習する前の夜間20時から朝6時までの
行動の様子を施設の方が記録したものでございます。緑が安全なところです。赤いとこ
ろが危険度で、徘徊をするとか危険な状態の期間がかなりあったのですけども、7か月
後には危険な行為がたまに出るぐらいで、安全なところが増えたというような結果にな
っております。
こういった話は少なからずありますが、何でこういった変化が起こるかというのをま
とめてみたのが、この3つのポイントでございます。
まず1つ目が、先ほども少しお伝えしましたけども、高齢者の方、我々大人もそうで
すけども、なかなか褒めてもらえないというか、承認欲求が満たされない方は、小さな
ことでも褒めて認めて、楽しい場を過ごすというのがモチベーションになります。
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2つ目が、「学習療法」によって認知機能が維持・改善するケースがありまして、例
えば「学習療法」をすると、高齢者でおむつをしている方が、おむつが外れるケースが
あります。脳の前頭前野は排泄をしたいという命令を出すところですけど、その機能の
改善によって、自分で出したいというところから、少しずつよくなっていくというよう
なことも考えられます。
3つ目は、これが一番大事なポイントですけども、「学習療法」は、介護の施設の方
がよいケアをするための一つのきっかけというふうな認識でございます。介護施設の方
ってふだんは忙しくされているので、一人一人向き合ってコミュニケーションしたり、
話したりする時間が余りないケースが多いのですね。
そういったときに、1日30分でも高齢者の方とお話をします。例えば、嫌だ、嫌だ
と言っている方も、教材の中に釣りの話が出てきて、施設の方が「釣りをしますか?」
と聞くと、高齢者の方は「昔、釣りが大好きでしたが、こんな介護度なので動けないか
ら諦めている」という話になり、介護施設の方は、「じゃ、釣りができるように、こう
いうリハビリはどうですかとか、あんなことをやったらどうですか」といろいろ提案し
て、高齢者の方がやりたいと思うことをサポートして、ケアを実践するようになってい
ます。そういったコミュニケーションを通じて、施設の方のケアのやり方とか、かかわ
り方が変わって、よくなるというのが大きな特徴でございます。
我々は、
介護保険外のサービスをやっておりまして、
課題が非常にたくさんあります。
おかげさまで「脳の健康教室」も「学習療法」も全国各地で広がっているのですけども、
必ずしも事業として黒字とは言えない。余り大きな声で言えないのですけども、そうい
う状況でございます。
そういった問題意識をご説明させていただくと、まず介護保険制度というのは市町村
の負担が9割で、これは社会保障費の増大というのが大きな課題かなというふうに思っ
ております。保険外サービスをする事業者としては、高齢者はこういった保険サービス
が安く手に入りますので、健康に対してなかなか大きな費用を払ってくれないというの
が、大きく一つ課題意識としてございます。
2つ目が、サービスを提供して、介護度が例えば4から3に下がりますと。現行の介
護保険制度では、それぞれの介護度によって国が補助できる額が決まっておりまして、
症状が悪化するほど限度額が上がるという仕組みでございます。これは実際に介護が必
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要な、しかも介護度が重くなりますと時間が長くなる。これは当然のことですけども、
先ほどお伝えいたしましたような「学習療法」を通じて、介護度が4から3とか、5か
ら4に下がったときに、倫理的にはいいことをしているのですけれども、介護施設の経
営的には収益が下がってしまうというような矛盾を抱えているような状態です。
こういったことをうまく解決できないかなというところを悩んでいましたが、その解
決方法の一つとして、「ソーシャルインパクトボンド」というのを本年度、経済産業省
の委託事業で調査をしております。
それを後半はご説明させていただきたいと思います。
ちなみに「ソーシャルインパクトボンド」って、聞かれたことのある方はいらっしゃ
いますでしょうか。もしいらっしゃったら、挙手をお願いしたいと。
ありがとうございます。ほぼ知られていないようですね。ボンドというと、難しそう
なイメージがあるのですけど、債券ではありません。これはもともと、2010年から
イギリスのほうで休眠口座を開発された官民連携の社会投資モデルです。簡単に言うと、
いろんなサービスを提供して、成果に連動する形で民間投資の事業実施を行うというの
が、「ソーシャルインパクトボンド」の仕組みでございます。
簡単に事例をご紹介させていただくと、「受刑者社会復帰プログラム」というのをイ
ギリスで最初にやりました。イギリスでは、犯罪後に刑務所から出て、1年以内の再犯
率が70%と言われております。その70%をイギリス政府はいろんな手を使って改善
しようとするのですけども、なかなか改善できないと。じゃ、そのサービスを一旦民間
に任せたらどうかというところと、例えば再犯率が70%から60%に下がりましたと。
そしたら、10%は平均より下がっていますので、その下がった分だけ成果報酬をお支
払いしようと。そういった仕組みが、簡単に言うと「ソーシャルインパクトボンド」と
いう名前で呼ばれています。仕組みとしては複雑ですけれども、きょうは、こういった
ものがあるというのをお知りおきいただけたらなというふうに思っております。
行政の立場で言うと、SIBでどのぐらいコスト削減されているのかが関心事かと思
います。これは簡単な図ですけども、現状、行政がいろんな実施コストを負担している
と思うのですけども、そこを民間に委託して、SIBの運営コストや投資家のリターン
とかいったものを減らしても、行政予算の削減策ということで、この部分が浮くんじゃ
ないかなという、ざっくりとした仕組みです。口で言うと何かわかったような、わから
ないような感じですが、結局、どういうサービスをすればどの程度社会保障費が削減さ
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れてたかという具体的な数字を示したく、それを実証したのが今年度でございます。
これは、経産省から受託した事業です。この図を簡単に説明させていただくと、まず
サービス提供者がございます。サービス提供者と消費者があって、これは普通にサービ
スを提供して支払いという一般的な形です。プレーヤーとして評価者という人と、成果
報酬の出し手というので、成果自体にお金を出してくれる人、中間支援組織と民間投資
家があります。
今回は、「学習療法」で言うと、「学習療法」をやっている人とやっていない人の対
照群をとったりして、実験をしました。「学習療法」を始める前と始めた後で介護時間
がどう変化するか、介護度がどう変化するかを評価しました。その評価指標ですけど、
今回は介護度といたしました。先ほどの事例で、介護度が下がるとか介護時間が下がっ
ているというインパクトが上がるお話をしましたので、それを独立評価者、今回、慶應
義塾大学さんに評価いただいています。
例えば、5から4になる人が何パーセントいましたよとか、社会保障費は幾ら削減で
きましたよというのは計算してくださいます。その計算をもって、例えば自治体が、今
回は7つの自治体に協力をお願いしているのですけども、例えば甲賀市さんで、ある程
度の規模の人数で「学習療法」をやると、幾ら削減されますよと。そのかわり、その削
減した額の成果が出たら、その分お金を払ってくださいねというのが自治体の方でござ
います。
こういった難しい仕組みをまとめるのが中間支援組織ということで、これをまた一民
間企業でしようとすると、そのコストが非常に高かったりするので、こういった中間支
援組織が核となって、サービス事業者だったり、独立評価者だったり、成果報酬の出し
手だったり、そういったものをまとめているような結果でございます。
サービスを提供するときに、皆さん、そんな潤沢にお金があるわけではなくて、新し
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いことをしようとするときには、ある程度の資金が要るケースというのは多々あると思
います。そういった場合に、民間投資家がやってきて、お金を投資するというような形
になります。
今回、こういったSIBの仕組みをつくろうとしているのですけども、成果物として
は、SIBのガイドラインみたいなものをつくろうかなと思っております。この仕組み
を聞いても、じゃ、何をしていいかというのは、なかなか皆さんわかりづらいのかなと
いうふうに思いますので、サービス提供者だったり、評価者だったり、自治体がどうい
うことを手続的にやっていったら、SIBができるとかというのは、ガイドラインみた
いなものは成果物として出そうとしています。
もう一つは、今回、キーになるのが自治体でございまして、これは今のところ、大き
くは市町村さんとやっています。
市町村なんかで、
例えば認知症だと短期間でやって二、
三年というふうな成果を見たときに、自治体さんは単年度予算ですので、実際、単年度
予算ではどうやるかみたいなことを、いろいろ課題を抽出しておりまして、それに対す
るガイドラインなんかもつくっております。そういったいろんな課題があるものを調査
で洗い出して、それに対するガイドラインというか、マニュアルを作成する予定でござ
います。
こちらの介護度が下がって成果報酬という仕組みは、滋賀県さんのほうでもやられて
いるというふうに伺っています。滋賀県さんのほかにも、岡山市とか品川区さんのほう
でもやられています。こういったサービスというのは介護度だけではなくて、サービス
業者はいろんなジャンルにわたっておりますので、いろんな方が参入できたらなという
ふうに思っております。
最近やっている例としては、尼崎市だったり、横須賀市だったり、そういったところ
で子どもの養子縁組とか若年の就労支援、がん検診とか、そういった分野でSIBに取
り組もうとしていますので、いろんなサービス事業者がこういった仕組みに参入できた
らなというふうな視点で、ガイドラインを作成しています。
こういったものは経産省の事業でやらせていただいておりますので、報告書で公開し
たいと思っておりますので、ご興味をお持ちの方は、ぜひご覧いただけたらなと思って
おります。
介護分野というのは厚労省さんが強くて、
今、
経産省の事業でやっているのですけど、
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国が動いていただかないと、この仕組み自体は難しいなというふうな感触を持っており
ます。でも、何かを動かそうとすると、いろんな軋轢とかトラブルがあるのですけども、
少しずつ実績をつくりながら、前に進もうかなと言っているところでございます。
きょう、来られている方はサービス事業者の方がいらっしゃったり、評価者の方がい
らっしゃったり、その中で地域の活動を推進される方、いろんな方がおられるかなと思
います。ぜひ滋賀県でも実際に何かできたらなと思っておりますので、これが終わった
後、何か情報交換とかができたらと思っております。
私の話は以上になります。
本日は、ありがとうございました。
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