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菜食で下がる白内障のリスク 魚の摂取で黄斑変性が減少 魚は黄斑変性

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菜食で下がる白内障のリスク 魚の摂取で黄斑変性が減少 魚は黄斑変性
特別号 加齢性眼疾患 * ドクター・ジャンスンが米国において執筆しているニュースレターを翻訳したものです。日米の食文化、栄養療法あるいは規制の違いにより、日本では入手が不可能な商
品についても、原文に忠実に翻訳しておりますことをあらかじめご了承ください。
* また当社はヘルシーリビングにおいて特定商品の医学的な効果効能を説明したり、批判したりする立場にはございません。
* 尚、ヘルシーリビングに書かれているハーブ、ビタミン類を、ご自身で摂取される場合は、個々の商品の注意書きに従って下さい。
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菜食で下がる白内障のリスク
加齢に伴う白内障は、(手術で治療することができて良好な結果が得られるにしても)機能低下の重大な一因となっています。イギリ
スのオックスフォード大学で行われた新しい研究では、食事と白内障のリスクとの関連について評価されました。(Appleby PN, et
al., Diet, vege-tarianism, and cataract risk. Am J Clin Nutr. 2011 May;93(5):1128-35.)
この研究で、糖尿病ではない 40 歳以上の被験者 27,670 人について調べたところ、食事が実際に白内障に関連していることがわか
りました。獣肉の摂取量が最も多かったグループでは、白内障の発症リスクが最も高くなっており、獣肉の摂取量が中程度であった
グループでも、リスクは同じくらいでした。獣肉をほとんど食べないグループでは、白内障のリスクが 15%低くなっており、魚類と菜
食食材しか食べないグループでは、21%低くなっていました。そして、菜食主義者のグループでは 30%、完全菜食主義者のグル
ープでは 40%のリスク低下が見られました。菜食主義者および完全菜食主義者の食事は、加工を最小限に抑えた健康的な自然食
品を選んで摂るものであり、心臓疾患やガンの予防をはじめ、多くの健康効果があります。白内障の予防効果は、その一つに過ぎ
ません。
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魚の摂取で黄斑変性が減少
新しい研究によると、魚油由来のオメガ 3 系脂肪酸(EPA と DHA)により、加齢性黄斑変性の発症リスクが低下する可能性がありま
す。この研究では、食品摂取頻度調査票を用いて 39,876 人の女性医療従事者の評価が行われ、被験者の平均追跡期間は 10 年で
した。(Christen WG, et al., Dietary {omega}-3 fatty acid and fish intake and incident age-related macular degeneration in women. Arch
Ophthalmol. 2011 Mar 14. [印刷物に先行した電子出版]
この調査の終了時点で、合計235 件の加齢性黄斑変性があったことがわかりました。DHA の摂取量が最も多かったグループでは、
最も摂取量が少なかったグループと比較して、加齢性黄斑変性のリスクが 38%低くなっていました。また、EPA の摂取量が最も多
かったグループでは、34%の低下が見られました。
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魚は黄斑変性のリスクを低下
魚由来のオメガ 3 系油を摂ると、加齢黄斑変性の発症リスクが低くなる可能性があります。メリーランド州の 65∼84 歳の住民 2,520
人について、食品摂取頻度調査票を用いて調査を行ったところ、黄斑変性の減少傾向は見られたものの、全体としては統計的に有
意な減少率ではありませんでした。しかし、進行した黄斑変性がある被験者グループについて調べたところ、オメガ 3 系脂肪酸を豊
富に含む魚類を摂っていた可能性が有意に低いことがわかりました。(Swenor BK, et al., The Impact of Fish and Shellfish Consumption
on Age-Related Macular Degeneration. Ophthalmology. 2010 Jul 12. [印刷に先行した電子出版].)
サケやイワシなど、脂肪の豊富な魚を週1回以上摂っていたグループでは、その摂取回数が週1回未満であったグループと比較し
て、進行黄斑変性のリスクが 60%低くなっていました。加齢黄斑変性は、網膜の最も敏感な部分が喪失するものです。喫煙者に見
られることが多く、予防には抗酸化物質(ビタミン C、ビタミン E、β-カロテン)や亜鉛のサプリメントが役立ちます。
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食品による黄斑変性症のリスク低下
加齢性眼疾患調査(AREDS)にもとづく新たな分析によると、様々な栄養素が加齢性黄斑変性症のリスク低下に関係しているそうで
す。この調査では、4,003人の被験者を対象とし、ビタミンC、ビタミンE、オメガ3系を含む油、亜鉛、カロテノイドであるルテインとゼア
キサンチン、およびグリセミックインデックス(GI)が高い食品の摂取量の評価を行いました。GI値が高い食品は、血糖値(ブドウ糖
値)上昇の原因となります。
ドルーゼンは、網膜と視神経に生じる色素性または白色の沈着物であり、黄斑変性症の初期兆候の一つです。この調査の結果、上
記の栄養素のほとんどについて摂取量が多いことと、高 GI 食品の摂取量が少ないことが組み合わさると、ドルーゼンと進行黄斑変
性症の両方の発生率が 28∼43%低くなることがわかりました。高血糖は、糖・蛋白質複合体が網膜に沈着する原因となります(同様
に水晶体にも沈着し、白内障の原因となります)。この糖・蛋白質複合体は、腎臓など、他の組織にも損傷を与え、老化を進めること
になります。
GI 値が低い食品には、レンズ豆やヒヨコ豆、大豆、プレーンヨーグルトの他に、全粒小麦やオートミールなど、食物繊維の多い全粒
穀物があります。精白小麦粉は、食物繊維が少ない高 GI 食品です。洋式の食事では、砂糖と精白小麦粉が、カロリーのかなりの部
分を占めています。(Chiu CJ, et al., Dietary compound score and risk of age-related macular degeneration in the age-related eye disease study.
Ophthalmology. 2009 May;116 (5):939-46.)
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オメガ3系を含む油による眼疾患の低減
新しい研究総覧によると、オメガ3系を含む油を摂ることにより、黄斑変性の発症率が低くなる可能性があるということです。オースト
ラリアの研究グループによるこのメタ分析では、オメガ3系を含む油と魚類を多く含む食品の摂取量が異なる88,974人の被験者を対
象とした9つの研究におけるデータの総覧を行いました。(Chong EW, et al., Dietary omega-3 fatty acid and fish intake in the primary
prevention of age-related macular degeneration: a systematic review and meta-analysis. Arch Ophthalmol. 2008 Jun; 126(6):826-33.)
オメガ3系を含む油を豊富に含む食品を大量に摂取していたグループでは、黄斑変性の発症率が24∼38%少なくなっていました。
週に2回魚類を食べていたグループでは、それより摂取量が少なかったグループと比較して、その条件における低下率が24%とな
っていました。オメガ3系油のすべての摂取源の量が多かったグループでは、効果が最大となっていました。
オメガ3系油は、魚類だけでなく、フラックスシード:亜麻の実(およびフラックスシードオイル:亜麻仁油)やクルミ、豆腐、ヘンプシ
ード:麻の実(およびヘンプシードオイル:麻の実油)にも含まれています。フラックスシードは、摂取源としてこれを最も多く含んで
います。植物源に含まれているオメガ3系を含む油は、α‐リノレン酸であり、人によってはα‐リノレン酸をその人が必要とするE
PAやDHAに変換するのが困難な人がいます。これはとくに、高齢者や、様々な健康問題をかかえている人々にあてはまり、こう
いう人には、魚や魚油のサプリメントを使って必要なものを補給する必要があると思われます。
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抗酸化物質による白内障の予防
5,551人の女性医療従事者を対象とした新しい研究によると、抗酸化栄養素の数値が高いグループでは、白内障になるリスクが低く
なっていました。(Christen WG, et al., Dietary carotenoids, vitamins C and E, and risk of cataract in women: a prospective study. Arch
Ophthalmol. 2008 Jan;126(1):102-9.)
この研究で保護作用が見られた栄養素には、ビタミンEの他に、カロテノイドであるルテインとゼアキサンチンがありました。これらの
栄養素の数値が最も高かったグループでは、最も低かったグループと比較して、白内障のリスクに15∼20%の低下が見られました。
これらの栄養素の摂取源としては、食品とサプリメントの両方がありました。
目のレンズには、ルテインとゼアキサンチンが含まれていますが、他のカロテノイドは含まれていません。これらの栄養素やビタミン
Eは、レンズにて抗酸化機能を果たし、白内障の形成を予防すると想定されます。
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