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眼科専門研修プログラム(2015 年度)

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眼科専門研修プログラム(2015 年度)
眼科専門研修プログラム(2015 年度)
杏林アイセンターは、日本でも有数の眼科医療機関であり、多くの患者数と多岐に渡る疾患群に対応していま
す。幅広い眼科臨床能力の獲得を教育目標としており、教育スタッフおよび診療設備・機器ともに日本のトップ
レベルにあります。レジデント時代は、毎日が新しい経験に遭遇し、刺激的な期間であり、この時期に多くの患
者さんに接しながら、眼科医としての幅広い知識と良医を目指した診療態度を身につけることは、今後の仕事の
充実や人生の夢につながると確診しております。この大切な研修期間に積極的に診療参加しながら学術的にも
研鑽することで、有能な眼科医としての土台となる経験を提供できるようにスタッフ一同がめざしています。当ア
イセンターでの研修希望者をお待ちしています。
Ⅰ.研修目標
眼科は専門性の高い診療科です。視覚器(眼球、視神経、眼球付属器)という小さいのに大きな役割を果たす
臓器を対象としています。検査・診察・治療は、眼科独特なもので他科と共通するものは少ないです。検査は、
専門検査員(主に視能訓練士)または眼科医が行います。治療は、薬物療法では点眼治療が主体で、外科的
治療は顕微鏡下のマイクロサージャリーが主体です。近年の科学技術の進歩に伴い、新しい検査法・手術法が
次々に導入され、眼科医療は急速な変革・進歩を遂げてきています。このため眼科専門医となるためには長い
期間の研修が必要です。日本眼科学会認定の眼科専門医の受験資格を得るためには、初期臨床研修修了後
4 年以上の眼科研修、20 件以上の内眼手術執刀、1 編以上の筆頭論文、2 つ以上の学会発表が必要とされて
います。3 年の研修期間中、これらの規定を一つ一つクリアーしていくことが最低限の目標です。具体的には、1
年目に、眼科検査・診断・薬物療法・手術助手・緊急疾患の治療を、2 年目に、執刀医としてレーザー治療・内
眼手術(主に白内障手術)を担当してもらいます。最終年には、眼科診療技術をさらに深めてもらい、学術的課
題を達成することを目標とします。
Ⅱ.研修内容
年次
1 年次
2 年次
3 年次
研修内容
入院患者受け持ち
眼底写真、蛍光眼底写真撮影と読影
CT、MRI 読影
霰粒腫、麦粒腫手術
眼瞼皮膚縫合
動的視野、静的視野
レーザー虹彩切開術
網膜光凝固術
学会報告
入院患者受け持ち
眼底写真、蛍光眼底写真撮影と読影
CT、MRI 読影
角膜、結膜縫合
白内障手術
学会報告
論文の投稿
入院患者受け持ち
眼底写真、蛍光眼底写真撮影と読影
CT、MRI 読影
白内障手術
レーザー虹彩切開術
網膜光凝固術
外来
学会報告
論文の投稿
目標症例数など
100
100
10
5
5
10
5
5
1
200
100
10
10
10
1
1
300
200
10
20
10
30
週1回
1
1
1
眼科専門研修プログラム
4 年次
5 年次
300
週1回
300
週1回
入院患者受け持ち
外来
入院患者受け持ち
外来
専門医試験受験資格
※基本的には杏林アイセンターでの研修になりますが、2 年次以降に 1 年以上、外部関連病院で研修を行うこと
もあります。
Ⅲ.研修指導スタッフ
氏名
平形明人主任教授
岡田アナベルあやめ教授
山田昌和教授
井上 真教授
慶野博准教授
厚東隆志講師
渡邊交世講師(外来医長)
廣田和成講師(病棟医長)
北 善幸助教
松木奈央子助教(医局長)
堀江大介助教
折原唯史助教
柳沼重晴助教
中山真紀子助教
佐野公彦助教
出身大学
慶応義塾大学
ハーバード大学
慶応義塾大学
慶応義塾大学
東京医科大学
慶応義塾大学
杏林大学
東京大学
東邦大学
杏林大学
杏林大学
杏林大学
杏林大学
藤田保健衛生大
東京医科大学
専門分野
網膜硝子体
黄斑疾患、眼炎症
角膜、斜視
網膜硝子体
眼炎症
網膜硝子体
水晶体、眼炎症
網膜硝子体
網膜硝子体、緑内障
水晶体
緑内障
網膜硝子体
水晶体、眼瞼・眼窩
黄斑疾患、眼炎症
網膜硝子体
Ⅳ.診療班(専門外来)
角膜・水晶体・緑内障・網膜硝子体・眼炎症・加齢黄斑変性・神経眼科・小児など約 10 部門を開設し
ています。 後期研修医は各班をローテーションして研修することで各疾患群の診療技術習得を目指します。
1) 網膜硝子体(火、金: 平形教授、月、土: 井上教授、水、木: 厚東講師、月、土: 廣田講師)
当院では裂孔原性網膜剥離、糖尿病網膜症、増殖硝子体網膜症、黄斑上膜や黄斑円孔など年間 1000 件以
上の手術を行っています。また黄斑上膜や黄斑円孔などの黄斑疾患に対して25ゲージ硝子体手術を主体とし
た小切開手術を積極的に導入しています。
2) 角膜外来(火、金: 山田教授):各種角膜疾患、特に角膜疾患で移植の適応となるものについては杏林アイ
バンクを通じて治療を行っています。
3) 水晶体(水: 渡辺講師、松木助教)
良好な QOV が得られるよう多焦点レンズやトーリックレンズ(乱視矯正)など積極的に導入しています。
3) 眼炎症(月: 岡田教授、木:慶野准教授)
各種ぶどう膜炎の診断、治療、特に最近ではベーチェット病による難治性ぶどう膜炎に対して抗 TNF 抗体療法
にて良好な成績を得ています。
4) 黄斑疾患(水:岡田教授、山本医師)
近年増加傾向にある加齢黄斑変性症に対しては、抗 VEGF 剤であるルセンティスⓇやアイリーアⓇを用いた治療
を積極的に行って良好な治療成績を得ています。
5) 緑内障(水・木: 吉野講師、堀江助教):眼圧コントロールの難しい緑内障に対して、各症例に応じて内科的、
外科的治療を組みあわせて診療を行っています。
その他、眼窩・涙器(火)、斜視・小児眼科(金)、神経眼科(金)、糖尿病網膜症(金)、コンタクトレンズ(火・金)、
ロービジョン(月~土、午前・午後)となっています。
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眼科専門研修プログラム
Ⅴ.共通週間予定
月
5:00PM
井上教授回診(第 1 病棟 5 階・眼科病棟診察室)
水
6:15PM
6:45PM
医局会(外来棟 10 階・第 2 会議室)、術前・術後カンファレンス(同)
総合カンファレンス(予演会・学術カンファ・研究カンファ・招待講演)(同)
木
8:00AM
金
8:00AM
7:00PM
カンファレンス(抄読会・臨床カンファ・FA カンファ)
(外来棟 10 階・第 2 会議室)
平形教授・山田教授回診(第 1 病棟 5 階・眼科処置室)
白内障手術ウエットラボ(外来棟 10 階・第 2 会議室または院外施設)
Ⅵ.研修施設
杏林アイセンター、関連病院(亀田メディカルセンター、栗原眼科病院、若葉眼科病院、NTT 東日本病院、久
我山病院、海谷眼科病院、佼成病院など)
ⅥI.研修終了後の道筋
1)助教または医員として杏林アイセンターにて勤務、2)外部関連病院への就職、3)学位取得、大学院進学(眼
科専門医取得後が望ましい)、4)眼科医院開業、5)海外留学(学位取得後が望ましい):2013 年度米国クリーブ
ランドアイクリニックへ1名留学予定
ⅥII.診療実績
平成 25 年度実績 外来患者数 65428 人 (救急外来 1292 人)
手術件数 白内障手術 2053 件、緑内障手術 119 件、網膜硝子体手術 1327 件
IX.研究実績
平形教授、井上教授を中心とした網膜硝子体班では光干渉断層計(OCT)を用いた強度近視、網膜分離症、
pit-macular 症候群における網膜の解剖学的特徴の検討、黄斑前膜や黄斑円孔、網膜剥離術前後の IS-OS
line、COST line と視力との関係に関する検討、最近ではスペクトラーリス OCT を用いた脈絡膜厚の
測定、HRA2 による自発蛍光を基にした網膜疾患の病態解析に力を入れています。山田教授を中心とし
た角膜班では角膜移植、ドライアイに関する臨床研究、岡田教授を中心とした眼炎症班では近年、ベー
チェット病ぶどう膜炎に保険適応となった抗 TNF-α抗体インフリキシマブによる有効性の検討や gene
chip を用いた作用機序の解析などに取り組んでいます。その他、黄斑疾患、緑内障、小児眼科、角膜、
眼窩疾患などの各班から定期的に臨床研究の報告を行っています。基礎研究については眼炎症の動物モ
デルを用いて、ぶどう膜炎の病態解明、新規治療法の開発、硝子体手術の採取組織の病理組織、生化学
的検討などに取り組んでいます。
以下は平成25年度発表の主な和文、英文論文の一覧です。
Ito Y, Inoue M, Rii T, Hirota K, Hirakata A: Correlation between foveal cone outer segment tips line
and visual recovery after epiretinal membrane surgery. Invest Ophthalmol Vis Sci 54:7302-7308,
2013.
Kawamura R, Shinoda K, Inoue M, Noda T, Ohnuma K, Hirakata A: Images of intravitreal objects
projected onto posterior surface of model eye. Acta Ophthalmol 91:e561-566,2013.
Taniuchi S, Hirakata A, Itoh Y, Hirota K, Inoue M : Vitrectomy with or without internal limiting
membrane peeling for each stage of myopic traction maculopathy. Retina 33:2018-2025,2013
Ohno-Matsui K, Hirakata A, Inoue M, Akiba M, Ishibashi T: Evaluation of congenital optic disc pits
and optic disc colobomas by swept-source optical coherence tomography. Invest Ophthalmol Vis Sci
54:7769-78, 2013.
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眼科専門研修プログラム
Rii T, Hirakata A, Inoue M: Comparative findings in childhood-onset versus adult-onset optic disc
pit maculopathy. Acta Ophthalmol 91:429-33, 2013.
Inoue M, Bissen-Miyajima H, Arai H, Hirakata A: Retinal images viewed through a small aperture
corneal inlay. Acta Ophthalmol: 92, e168-9, 2014.
Hirota K, Hirakata A, Inoue M: Dehiscence of detached internal limiting membrane in eyes with
myopic traction maculopathy with spontaneous resolution. BMC Ophthalmol 14: 39, 2014.
Iwahashi-Shima C, Azumi A, Ohguro N, Okada AA, Kaburaki T, Goto H, Sonoda K-H, Namba K,
Mizuki N, Mochizuki M: Factors associated with anatomic and visual outcomes in acute retinal
necrosis. Jpn J Ophthalmol 57:98-103, 2013.
Yamamoto A, Okada AA, Sugitani A, Kunita D, Rii T, Yokota R: Two-year outcomes of pro re nata
ranibizumab therapy for exudative age-related macular degeneration in Japanese patients. Clinical
Ophthalmology 7:757-763, 2013.
Trusko BE, Jabs DA, Thorne JE, Belfort R, Dick AD, Gangaputra S, Nussenblatt RB, Okada AA,
Rosenbaum JT and the Standardization of Uveitis Nomenclature (SUN) Working Group:
Development of a clinical evidence base utilizing informatics tools and techniques for the
standardization of uveitis nomenclature (SUN) project. Methods Inf Med. 52:259-260, 2013.
Okada AA, Jabs DA: The SUN Project: the future is here. JAMA Ophthalmol [Editorial]
131:787-789, 2013.
Hirukawa K, Keino H, Watanabe T, Okada AA: Enhanced depth imaging optical coherence
tomography of the choroid in new-onset acute posterior scleritis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol
251:2273-2275.
Taki W, Keino H, Watanabe T, Okada AA: Enhanced depth imaging optical coherence tomography
of the choroid in recurrent unilateral posterior scleritis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol
251:1003-1004, 2013.
Hiratsuka Y, Yamada M, Akune Y, Murakami A, Okada AA, Yamashita H, Ohashi Y, Yamagishi N,
Tamura H, Fukuhara S, Takura T: Cost-utility analysis of cataract surgery in Japan: a probabilistic
Markov modeling study. Jpn J Ophthalmol 57:391-401, 2013.
LEVEL-J Study Group: Maintenance therapy with pegaptanib sodium for neovascular age-related
macular degeneration: an exploratory study in Japanese patients (LEVEL-J study). Jpn J
Ophthalmol 57:417-423, 2013.
Wolf S, Balciuniene VJ, Laganovska G, Menchini U, Ohno-Matsui K, Sharma T, Wong TY, Silva R,
Pilz S, Gekkieva M on behalf of the the RADIANCE Study Group (including AA Okada):
RADIANCE: A Randomized Controlled Study of Ranibizumab in Patinets with Choroidal
Neovascularization Secondary to Pathologic Myopia. Ophthalmology (in press).
Kaburaki T, Namba K, Sonoda K, Kezuka T, Keino H, Fukuhara T, Kamoi K, Nakai K, Mizuki N,
Ohguro N and the Ocular Behcet Disease Research Group of Japan (including AA Okada): Behcet’s
disease ocular attack score 24: evaluation of ocular disease activity before and after initiation of
infliximab. Jpn J Ophthalmol (in press).
Tano T, Ono K, Hiratsuka Y, Fukuhara S, Murakami A, Yamada M: Prevalence of pterygium in a
population in Northern Japan: The Locomotive Syndrome and Health Outcome in Aizu Cohort
Study. Acta Ophthalmologica. 2013;91:e232-e236.
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眼科専門研修プログラム
Hiratsuka Y, Akune Y, Yamada M, Eye Care Comparative Effectiveness Research Team
(ECCERT) : Cost-utility analysis of cataract surgery in Japan: a probabilistic Markov modeling
study. Jpn J Ophthalmol 2013;27:391-401.
Araki-Sasaki K, Hirano K, Osakabe Y, Kuroda M, Kitagawa K, Mishima H, Obata H, Yamada M,
Maeda N, Nishida K, Kinoshita S: Classification of secondary corneal amyloidosis and involvement
of lactoferrin. Ophthalmology 2013;120:1166-1172.
Shigeyasu C, Hirano S, Akune Y, Mochizuki H, Yamada M: Evaluation of the frequency of
ophthalmic solution application: washout effects of topical saline application on tear components.
Curr Eye Res. 2013;38:722-728.
Fukuhara S, Wakita T, Yamada M, Hiratsuka Y, Green J, Oki K: Development of a Short Version of
the Visual Function Questionnaire Using Item-Response Theory. PLoS ONE 2013;8: e73084.
杉山沙織,小川佳子,大出尚郎,仁科幸子,山田昌和:周期性内斜視術後に間欠性外斜視を呈した成人
の 1 例.眼臨紀要 6:979-982. 2013
田中宏樹, 重安千花, 谷井啓一, 渡辺健, 春畑裕二, 秋山邦彦, 山田昌和:Bacillus 属による遅発性濾過
胞感染に伴う眼内炎の 1 例.あたらしい眼科 30: 385-389. 2013
斎藤恒浩,廣田和成,井上真,野村昌弘、岡田アナベルあやめ、平形明人:von Hippel-Lindau 病に伴
う傍乳頭血管腫の治療の 2 症例.日眼会誌 118:33-39,2014.
山田昌和.ドライアイ治療の最新戦略.東京都医師会雑誌 66:246-252. 2013
山田昌和:ドライアイ、新規薬剤の位置付け.Medicament News 2127:8-9.2013
山田昌和:ドライアイの点眼治療.眼科 55:805-811. 2013
山田昌和:白内障手術の効用.眼科手術 26:415-418. 2013
平塚義宗,山田昌和,阿久根陽子,村上晶,山下英俊,大橋裕一:マルコフモデルを利用したシミュレ
ーション研究と白内障手術の費用対効果.日眼会誌 117:766-770. 2013
小幡博人,堀裕一,山田昌和,横井則彦:困った目の不定愁訴はこうして解決する.あたらしい眼科 31:225-229. 2014
X.研修希望者の連絡先
厚東隆志 TEL: 0422-47-5511 E-mail: [email protected]
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