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(産総研説明資料)(PDF形式:410KB)
過去の教訓を踏まえたタウン構想の実施に向けて (大プロ以降のEV関連プロジェクトを振り返る) 産総研 エネルギー技術研究部門 清水健一 第2回 EV・pHVタウン構想推進検討会 2008.7.30 参照した過去の主な経緯 • EVの性能評価(大プロ) – 性能評価法,運行試験,衝突安全性 • EV普及に向けたプロジェクトの委員会活動 – ゴミ収集EV,エコステーション,ACE,ミレニアム,電 池評価法・・・ • EV協会の委員会活動(普及支援,標準化) – EVバスの実用試験のフォロー,(電池交換システム) – 標準化活動(国内,国際) • 車両の性能評価法・表示法,コンポーネントの性能評価法・表示法 • 用語,コンポーネントの製品規格(充電用設備,充電プラグ・・・) • 民間のEV開発プロジェクト活動 大型プロジェクトで開発されたEVの仕様の概要 軽乗用車 EV1H ¦ EV1N 小型乗用車 EV2H ¦ EV2P 軽貨物 EV3P 小型貨物 EV4H ¦ EV4P バス EV5 定員 / 積載量 車両総質量(kg) 4人 / 0 kg 1467 ¦ 1427 4 / 0 1467 ¦ 1480 2 / 300 1538 2 / 1000 3595 ¦ 3620 70 / 0 14045 Range(定地)km Range(mode)km 最高速度(km/h) 加速性(0-40km/h) 登坂性(7%勾配) 260 ¦ 259 140 ¦ 200 96 ¦ 101 5.5 ¦ 6 秒 40 km/h 以上 電池 種類 電圧(V) 容量(Ah/5HR) エネルギー密度 (Wh/kg) Hybrid|鉄-Ni 注1)|104 注1)| 290 注1)|82.5 車種 車両名 電動機 形式 定格出力(kW) 制御方式 455 250 83 3.6 ¦ 243 ¦ 170 ¦ 85 ¦ 3.6 ← Hybrid | 鉛 注2)|144 注2)| 190 注2)| 50.0 DC他励 サイリスタ|DC他励 20.9 12.0 | 12.9 トランジスタ・チョッハ サイリスタ・チョッハ ゚ ゚ 205 100 78 8.1 ← 496 250 90 4.9 ¦ 302 ¦ 250 ¦ 87 ¦ 6.9 ← 187 71 61 6.9 ← マット型鉛 120 180 51.5 Hybrid|マット鉛 注3)|120 注3)| 400 注3)| 51.5 改良型鉛 385 320 42.5 DC(PM) 14.4 サイリスタ・チョッハ ゚ DC分巻 27.6 ¦ 27 サイリスタ・チョッパ DC直巻 72 サイリスタチョッパ ・開発車両−実用上満足な仕様−実用に供せるか? ・プロジェクト後の感想:電池の性能維持が困難 (性能至上) EV技術の変遷 70 ’90 2000 (地球温暖化) 現在 環境 マスキー法 ZEV法 プロジェクト EV大プロ EV用Li-ION電池 HEV用Li-ION pHV用Li-ION 車体 EV用(大プロ) 改造車(普及) 専用車体 電池 解放型鉛酸 VRLA /NiCd Ni-MH/Li-ION モータ 制御器 直流機 SCRチョッパ TRチョッパ 改造EV (”−”キャンペーン) 誘導機/ 同期機(PM) 地球温暖化 ← ← Ni-MH / Li-ION (Ni-MH) / Li-ION 誘導機/ 同期機 (誘導機) / 同期機 インバータ ← ← 実用EV (不発) 市販HEV 小型EV pHEV EVの性能そのものは飛躍的に向上 先進的開発車 その後,電池の大幅な改善に より,性能はさらに大幅に向上 しているが・・・・・. ’90年代 大幅な改善 ’80年代 ’70代の”ー”キャンペーン が影響して不発に EVの燃費改善の度合い(’8 0年代/'90年代) 普及しない主要原因と本構想のキーポイント (課題) • 導入価格の高さ/電池の更新費用 (対策) – 車両価格 → 量産による低減 – 電池価格(新車) → 量産による効果が非常に大 – 実使用時の寿命 → 安定した 長寿命 の確保 • 本構想の果たすべき役割 – 電池の量産効果のあるレベルまで,EVの普及を牽引 – 普及の牽引 • • • • ハード/ソフト両面での問題点の解消 初期の優遇措置がなくても普及することが条件 まず,当たり前の利用法で問題がないことが必須条件 EVはICEVの代替ではないことの啓蒙 ← CO2の総排出量の低減 内燃機関自動車の実力は,永い期間の多様な 使用結果のフィードバックによる • EV: 電池の価格と寿命が大きな課題 – 価格: EVの普及による電池の量産体制 – 寿命: 電池の利用技術の確立が急務 • 実用できる範囲から実績を! • 課題の少ない用途からトライすべき! • 過去のプロジェクトから見えてくる主な課題 – 標準的な使用環境から始めるー傾斜地?? – 実使用時の,効率と電池寿命を左右する条件の把握 • 既知の情報を無駄にしない! – 基本性能の確保を優先すべき • 付加的な機能の検討は慎重に! 導入地域の傾斜の影響 不適当な例も: ・山の上下を結ぶ路線バス 山の上に電池充電・交換システム ・山の上のゴミ焼却場で,ゴミ収集車 に,ゴミ発電の電力を充電 充電場所が傾斜地の上部の場合: 高低差の大きい場所ではそれに適し た性能が必要 →通常の使用法での普及が先決ではな かったか? 回生電力が回生できない ・低残存容量状態で登坂 ・長時間の過負荷運転 大 定格出力・冷却? スイスでは平野部に公共充電 ステーションの例 EVバスの電費の走行距離依存性 (この時点では短距離走行の電費が悪化している) 充電の適否による 電力消費率の差 (地方自治体の例) 不適当な充電 ・電費が悪い ・充電あたりの走行距 離への依存度が高い マニュアルどおりの充電 ・電費が良好 ・走行距離への依存度小 使用頻度の少ない車両の方が,劣化した電池の比率が高い リースバック車の電池の各セルの容量のばらつき :使用頻度が低い車両 無印:使用頻度の高い車両(郵便用)11 第1世代の実用車両のフォローアップから透けて見えてくるもの • 傾斜地でのEVの使用 → EVには対策が必要 • 充電方法によって電費は大きく変わり得る – 適切な充電法で解決→ユーザが意識しないレベルに • 短距離走行での充電が不利な場合も – 適切な充電方法がある場合も • 使用頻度が少ない車両は電池が傷みやすい (第2世代以降で解決されたか) • 基本的には解決可能な状態に(依然と,実用時の問題も散見) – 電池管理システム/セルバランス回路の一般化 – 継ぎ足し充電に向いた電池への移行 • 一般ユーザが使用可能なレベルまでのフォローが必須 電池交換システム • 路線バス用電池交換システム – バスの効率的な運用に必須であった – 工場の搬送システムを導入した大がか りなもの • 小型車への可能性 – 1800ccワゴン車で検討し試作 – 鉛酸電池を前提にしていたため取り回 しに難/汎用性にも難あり (これからあり得るか?) • 高性能電池では可能性も? (不特定多数を対象に) – 実用上は電池パック性能の均一化が必須 – 将来,電池管理手法とペアにした研究が必要か • 電池の利用技術の向上が不可欠 – 車両メーカーのノウハウか? 共有技術とすべきか? – 現状の電池での試行が必要では? 作業用EVはあり得るか?(ゴミ収集EVから考える) • EVは高効率 – (欠点) – 走行以外の負荷の影響も受けや すい – 車載電池の制約が課題 • 電動化は有利(作業用を含む) – 電池に頼らない電動化 – Hybrid化が本命 • マイルドHEVのエアコンの例 • HEV冷凍車の実用高効率 • ハイブリッド建設機械の例 急速充電付きエコステーション • 急速充電機能が実用上必要 • 負荷平準化 →夜間電力で定置電池に充電し,昼間の急速充電に対応 – 定置型電池の寿命,電池コストのアップ • 真の目的は??? • ステーションの利用技術の向上 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− • やれば出来るもの --- 実用化直前の試行実験 • 実用上,問題が想定されるもの – バリアを越えられるか? 越える意味があるか?の検討 が必要では? 今回(第3世代? として),注意すべき点 • 環境と役割の違い – CO2の排出総量削減の一翼を担う • 運輸部門の高効率化( CO2 対策)と脱石油化(エネル ギセキュリティ) • 現状のガソリン車の代替車ではない • 輸送体系の見直し・最適化が前提 – 都市内使用の小型EV – 汎用性: PHEVか? • Negative campaignの種を作らない – 性能より安定した機能の提供を! – ICEVユーザが無意識で使用できる実用性 – 使用状態を反映した残存容量の表示機能