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生命の科学–2
2010教養科目 系列B 生命の科学–2 担当者:物質生物科学科 永田 三郎 発生生物学研究室(80年館6F) E-mail: [email protected] http://momi.jwu.ac.jp/~s-nagata/ 4. 生物の多様性 地球上に生息する生物の種類(「種」の数)は、 数百万、あるいは数千万など、様々な推測がなさ れている。この推測値の違いは、種をどう定義す るか、また実際に同定(どの種に属するかを確定 する)されていない種がどの程度存在すると予測 するか、によって異なる。 多様な生物を分類する 分類は多様な対象物を整理して理解し、利用するために必要 な作業である 分類には基準が必要である:どんな形質(形や性質)を基準 にするかで分類は変わってくる 系統を基準に分類する: • すべての生物は単一の先祖から進化してきた • 形質から系統関係を推測することができる • より多くの生物に共通する形質ほど進化的に古い リボソームRNAの配列を基準にして、生物は細菌、古 細菌、真核生物の3つのドメインに分けられる Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 何を基準にするかによって異なる系統 分類が可能である 3界説(Haeckel):原生生物、植物、動物 5界説:細菌(原核生物)、原生生物、菌類、 動物、植物 6(7)界説:古細菌、細菌、原生生物、(藻 類)、菌類、動物、植物 系統による分類の例 円口類 軟骨魚類 硬骨魚類 両生類 は虫類(鳥類) ほ乳類 毛皮/ほ乳 陸上生活 水陸両生 硬骨を持つ 顎骨を持つ 背骨がある (脊椎動物) 生物の系統と分類 生物の分類群 生物の命名法 • 我々が日常使う馬(ウマ:Equas)、猫(ネコ:Felis)、 柏(カシワ:Quercus)等の生物の呼び名は、分類群とし ては、属(genera、単数:Genus)である事が多い。 • リンネ(Carolus Linnaeus,1707 1778)は、生物の 分類法と命名法を提唱。 • セイヨウミツバチ:Apis pubescens, thorace subgriseo, abdomine fusco, padibus posticis glabris utrinque margine ciliates → Apis mellifera • Leonardo di Ser Piero da Vinci(ヴィンチ家出身でセル・ ピエロの〔息子の〕レオナルド) 3. 原核生物と真核生物 • 原核細胞は裸のDNAを細胞質中にもつが、真核 細胞は膜に囲まれた核内に染色体を持つ • 原核細胞のゲノムの構造は単純でコンパクトで ある • 真核細胞は原核細胞の細胞内共生によって適応 性を増し、著しく多様化した • 真核細胞は集団を作り、機能分化し、多細胞生 物を生み出した 細菌(バクテリア)は驚くべき多様性 を持った原核生物である Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 原核細胞のゲノムはコ ンパクトであるが、真 核細胞のゲノムはムダ が多い 上:大腸菌 左:ヒト 酵母は最も単純な真核生物の 一つである Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 動物細胞(真核細胞)の構造モデル Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 生きた細胞を見る 真核生物の細胞質にあるミトコンド リアは寄生した真正細菌に由来する Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 4. 多細胞生物の誕生 • 分裂してふえた単細胞生物が互いに分離 せずに集団を形成した • 独自に増殖を続けていた単細胞生物が、 一定の条件下で集団を形成した Volvoxの仲間に見る多細胞生物の進化 Selected Figures and Tables from Molecular Biology of the Cell: SNagata " 細胞性粘菌は単細胞と 多細胞の世代を持つ 動物と植物 1. 独立栄養(光合成)と従属栄養 2. 運動性と非運動性 3. 細胞や生体の構造上の違い 葉緑体も真正細菌の共生により生じた 植物の進化 植物は光と水を求めて適応拡散した 運動性を持たない植物は生殖や生体防御のために も様々な機構を獲得した 動物の進化 従属栄養性である動物は、適当な食物を獲得しな ければならない 運動性とそれを支える筋肉、骨格、神経系の発達