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政治経済第09講

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政治経済第09講
基礎からわかる政治経済
第9講 日本の国際貢献 1.PKO〔国連平和維持活動〕協力法(1992) 日本の PKO 参加5原則
①当事者間の停戦合意 ②当事国の合意 ③中立・公平 ④武器使用は正当防衛の場合のみ ⑤上記①
∼③の3原則が崩れれば撤収か中断
PKO 監視団 停戦監視団 選挙監視団
(6章半活動) PKF(平和維持軍)
※2001 年には PKF(平和維持軍)本体業務の凍結が解除され、武器使用条件が拡大された
※PKO 活動は国連憲章に明記されていない
2.有事法制 ◇日米安保共同宣言(1996)
◆アジア・太平洋地域の安全(再定義)
、新ガイドラインの策定(1997)
※日米安全保障条約や新日米安全保障条約、
旧ガイドラインでは
「極東における国際平和と安全の維持」
が目的であったが、アジア・太平洋地域の安全へと拡大された。
→ガイドライン関連三法の制定 周辺事態法の制定、自衛隊法の改正、日米物品役務相互提供協定の改正
◆周辺事態法(1999)
・自衛隊が「戦闘地域一線を画した後方地域」で食料・燃料補給など(武器提供は除く)の支援活動や
捜索・救難活動などを実施できる。
・武器使用は自己の生命や身体の防御をする場合には可能。
※「周辺」の地理的範囲は明示されていない。
◇アメリカ同時多発テロの発生(2001)と日本
◆同時多発テロの発生(2001)
:ビン・ラディン率いる国際的テロ組織アルカイダが、世界貿易セン
タービルとペンタゴン(国防総省)をテロ攻撃。
→日本はアメリカのテロとの戦いに共闘。
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第 9 講 日本の国際貢献
◆テロ対策特別措置法(2001)
・物品の輸送などの協力支援活動(外国、陸上での武器の輸送はダメ)
・活動は非戦闘地域のみ。
・武器使用も周辺事態法と同じく限定的に認めている。
※テロ対策特別措置法は 2007 年 11 月に失効し、補給支援特別措置法(新テロ対策特別措置法)が成立
した(2008 年1月)
。
◇イラク戦争(2003)
:大量破壊兵器の保有を理由に、米・英が先制攻撃
◆イラク人道復興支援特別措置法(2003)
・非戦闘地域において、医療などの人道復興支援活動、安全確保支援活動などを行う。武器使用も同じ
く限定的に可能。
※自衛隊はイラク南部の都市サマーワに派遣された。
※イラク暫定政府に主権が移譲されることにより、
「連合軍」は国連決議によって「多国籍軍」に参加することにな
った。
※自衛隊が国連からの要請を受けず、PKO の枠外で海外に派遣されるは初めてである。
◇その他重要法令、組織の改編
◆有事関連三法の制定(2003)
:武力攻撃事態対処法の制定、自衛隊法、安全保障会議設置法の改正
※武力攻撃事態対処法:武力攻撃事態と武力攻撃予測事態に対応
※有事:日本が外部から攻撃される、または攻撃されるおそれがある場合を指す。
「戦争状態」のこと
◆有事関連七法の制定(2004) ●国民保護法:国民の避難・救援の手続き、国民の協力のあり方を規定、私権の制限も明記。
◆統合幕僚監部への改編(2006)
◆防衛省への格上げ(2007) 改正自衛隊法、改正防衛庁設置法
・
「庁」から「省」へ格上げ
・自衛隊の海外活動は付随的業務から本来業務へ変更
◆海賊対処法(2009)
:ソマリア沖に自衛隊を派遣
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基礎からわかる政治経済
次の文章を読んで,下記の問に答えなさい。〔獨協大〕
日本政府は,憲法で認められるのは自衛のための最小限度の行動であり,その限度を超える自衛隊の
海外出動は許されないという立場をとってきた。しかし,1991 年の 1 をきっかけに,日本の「国際
貢献」が強調されるようになり,政府は,アメリカの要請に従って, 2 へ 130 億ドルの戦費を支出
し,自衛隊の掃海艇も派遣した。そして,世論を二分するなか,1992 年には 3 が制定され,この法
律をもとに,自衛隊はカンボジアをはじめとして,世界各地に派遣されるようになった。
また,日米安保体制も,1996 年の 4 によって,「アジア太平洋地域」における日米の防衛力の強
化という方向で「再定義」されることとなった。これを受けて,1997 年に 5 が策定され,「日本周
辺地域における日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」が発生した場合には,日本がアメリカに
軍事協力を行うことが定められた。これを踏まえて,1999 年には 6 などが制定され,自衛隊が米軍
の後方支援を行ったり,政府が自治体や民間に協力を依頼できるようになった。
2001 年には,アメリカでの 9.11 事件を契機に, 7 が制定された。この法律によって,はじめて自
衛隊が戦時においても海外に派遣されることになり,海上自衛隊がインド洋に出動した。また,2003 年
には, 8 を契機に, 9 が制定された。この法律によって,自衛隊は被災民の救援や捜索活動を行
うとともに,米英軍の治安維持活動を後方支援することになったが, 3 と異なり,受け入れ国の同意
なしに,治安の不安定な他国の領土に初めて陸上自衛隊が足を踏み入れることとなった。また,2008 年
には, 7 が期限切れになるのを受けて,インド洋での海上自衛隊の給油や給水活動を継続させるため
に 10 が制定された。さらに,2009 年には, A 沖の海賊対策のために自衛隊が派遣され,海賊対
処法が制定された。
以上のように,冷戦終結以降,日米安保体制の強化とともに,自衛隊の海外派遣の機会が拡大する一
方であり,憲法における平和主義は大きな転換点にある。日本国憲法の意義を踏まえた上で,「国際社
会における名誉ある地位」とは何か,真の「国際貢献」とは何か,を今一度問い直す必要がある。
〔問 1〕 文中の空欄 1 ∼ 10 に入る最も適切な語句を下記の語群(ア)∼(ソ)の中から選び,その記号
を解答欄にマークしなさい。
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(ア) PKO 協力法
(イ) 朝鮮戦争
(ウ) イラク復興支援特別措置法
(エ) 国連軍
(オ) イラク戦争
(カ) 日米安保共同宣言
第 9 講 日本の国際貢献
(キ) 補給支援特別措置法
(ク) 周辺事態法
(ケ) 湾岸戦争
(コ) 多国籍軍
(サ) 日米防衛協力のための指針
(シ) 武力攻撃事態法
(ス) 米軍行動円滑化法
(セ) テロ対策特別措置法
(ソ) 国際緊急援助隊法
問 2 文中の空欄 A に入る最も適切な国名を記入しなさい。また,下記の地図の中からその国の位置
を示す記号を一つ選びなさい。
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