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歩行および駆け足中の 足部の歪みに関する研究

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歩行および駆け足中の 足部の歪みに関する研究
Akita University
歩 行 お よ び駆 け足 中 の
足 部 の歪 み に 関 す る研 究
長
沢
光
雄
A StudyoftheHumanFootStrai
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目
的
足 は運動の場の表面 と力のやりとりを して種種の運動を可能にしている。また,基本的な歩 ・
走の運動において も重要な役割を果 している。このように人間の運動に欠 くことのできない足部
ではあるが,靴に隠れることが多 く,時間経過にともない三次元的に変化するため,運動中の変
容の実態 は明 らかにされていない。人間の足についての研究 は,医学的立場か ら病的動 きの把
握 1)や,機能障害を起 した者に対する機能回復訓練のための知見を求 める研究 '2)
3)
はかな りなさ
れている
靴 は力の有効な発揮 と,足の保護に貢献 して,現代のスポーツの成果におよぼす影響を増大 し
ている。 したがって,運動靴の選択は運動を実践する者にとって,真剣に検討 しなければならな
い重要な問題になっている4
)
。
生身の体の一部である足部 は,運動を起すさまざまな力による,さまざまな変容を示す。そこ
で本研究は,人間の基本的運動である歩行および駆け足中の足部の三次元的変容を,空中に支持
した遊足時 と,体重のかけられた起立時と比較 し,その歪を定量化することを目的 とする。その
結果 は,運動靴の選択に役立つであろうし,さらに優れた運動靴の製作の参考にもなるであろう
。
。
方
法
測定場所 は,全天候型陸上競技場の走路の外側で, ゴムチ ップのない,比較的滑 らかな樹脂舗
装がなされた場所で行 った。被検者 は,平均的スポーツマンで,下記の特徴を有する者である。
年齢
KH
YH
2
4
1
9
身長
1
7
4
1
7
4
体重
6
8
6
7
利 き足
左
左
専門種 目
走 り幅跳び
十種競技
測定対象 とした動作 は以下の 4種で,右足について調べた5)0
1)椅子に腰掛けて,空中に足を浮かせた遊足。
- 75-
Akita University
2)2
0
c
m左右開脚 して起立。
3)秒速 1mをめどとした歩行。
4)秒速 3mをめどとした等
区け足。
図 1 測定点
(
1
)足
幅
(
2) 足
長
(
3) 足
背
高
(
4) 内
果
高
(
51 外
果
高
図 2 各 測定項 目
-
76 -
Akita University
静止状態の遊足 と起立時の測定は,マルチ ン人体計測器を用いて,裸足の表皮に貼っけたマー
ク間を実測 した (
図 1, 2) 6)7'
。それとともに地上50c
m,被検者か ら約 1.
5m はな した左右斜 め
前方 と,左右斜め後方の 4方向か ら35m
mスチール写真により計測 した (
図 3) 。写真は四切判に
焼 き付けし,足の各点の座標 と,同時に撮影 した更正器 (
図 4)を, グラフテック社製デジタイ
ザーで数値化 し,パ ソコン (
SHARPXlt
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mat
i
on法を用 いて
三次元座標に換算 し,各点間の距離を算出 した。
図 3 遊足 スチール写真
図 4 更正器
移動運動中の測定は, 5台のVTRカメラを用い,画像分析によって行 った。 2台 のナ ショナ
ル製電子 シャッターVTR (
NV-M21
)は, 3m後方 (
0.
8m高)か らと 4m側方 (1m高)か
HSV-20
0) は
ら被検者に向け,足部後面 と全身の動 きを撮影 した。 3台のNAC製高速vTR (
3m前方 (
各0.
8m高)に設置 し被検者の足部を撮影 した。その後, ビクター製 タイムラブス ビ
デオカセットレコーダー (
RB-9000)で再生 したVTR画面 と,前記パ ソコン画面を合成 し,マー
クの座標を数値化 した。以上の機器の組合せにより,毎秒60コマと200コマの画面 を用 いて, ス
チール写真同様に,各点問の距離および角度を算出 した。
結
果
実測 した結果では,両被検者の足には特に特徴を表す項 目はな く,平均的な足の形状を してい
た。足長 (
鍾点 と足先点間距離) ・足幅 (
腔側中足点 と排側中足点間距離)で,体重のかか った
起立時と,かか らない遊足時で 8m
mか ら1
2
m
mの差が現れている。 このことは,体重がかかること
0%増大することにあたる。
により足長で約 4%,足幅で約 1
蓑 1 各測定結果 (
Sub.K H)
測定状態
遊足実 測
起立実測
遊足写真
起立写真
歩行最小
歩行最 大
駆 け足最小
足 幅
(1)
9
7
1
0
5
1
0
6
1
1
3
8
7
1
1
2
8
6
足 長 (
2
)
足背高(
3
)
2
4
5
2
5
4
2
41
2
4
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1
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7
5
内 果 高
8
3
7
4
7
0
6
3
6
7
外 果 高
6
8
5
3
5
6
4
0
41
単位 m
m
握側中足点 と耕側中足間
足先点 と鍾点間
脛骨下点の高 さ
ー 77-
Akita University
高さに関する歪の割合は,垂力の方向か ら考えて当然ではあるが,水平方向より大 きく,足背
m
前後で,内果高 ・外果高で 5m
mか ら1
5
m
mで, 8% か ら20%程度に
高 (
腰骨下端点の高 さ)で20m
達す る (
表 1, 2)0
表 2 各測定結果 (
Sub.YH)
測定状態
遊足実測
起立実測
遊足写 真
起立写真
歩行最小
歩行最大
駆 け足最小
足 幅
足 長
〔1)
1
0
3
1
1
4
1
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5
1
1
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1
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(2)
足背高(
3
)
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外 果 高
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6
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5
7
4
5
5
0
単位
m
m
鰹側中足点 と排側中足間
(2) 足先点 と鍾点間
〔
3
) 鰹骨下点の高 さ
(1)
スチール写真か ら得 られた結果は表 3, 4で,遊足時には高さを算出す る基準が定まらず,高
さに関する歪 はみることができなかった。 しか し,長さに関 して遊足時 と起立時の実測値 と写真
計測値を相互にみると,Sub.KHの足幅についてやや疑問が残 るが,他の項 目はよく対応 して一
致 しており,写真計測の信頼性 と,荷重による足部の歪の状況がよ く把握できた。
表 3 写真計測座標値 (
Sub.KH)
測 定
鍾
足
先
樫 側 中
排 側 中
樫 骨 下
外
果
内
果
脛
前
樫
後
陛
腔
左
右
点
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遊
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点
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点
点
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遊足時足底 より1
5
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m
m
上方
単位
mm
VTR画面か ら,運動中の全身の動 きを観察 した結果 は,表 5 ・斑 5, 6, 7, 8でチ ャン ド
ラ
の係数を用いた身体垂心水平移動速度 は,実験条件で設定 した値 (
歩行 1m/s
e
c
,駆 け足
8)
3m/s
e
c
)よりやや高 くなった。また,何回か くりかえ し撮影を行 い測定地点 に最 もよ く足が
あった試技を選んで測定対象 としたので,歩行および駆 け足 ともに,極自然な動 きで, しか もは
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8-
Akita University
表 4 写真計測座標値 (
Sub.YH)
測
定
点
点
圧
足
遊
先
点
腔 側 中 足 点
肪 側 中 足 点
腰 骨 下 端 点
外
果
内
果
腰
前
点
点
端●
渥
後
端●
歴
左
端●
歴
右
端●
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遊足時足底 よ り1
5
0
m
m上方
単位 m
m
ぼ一定の速度を保 っていた。
歩行および駆け足中の右足接地時間は,高速VTR画面か ら得たが,表 6のとおりであった。
表 5 移動速度
表 6 接地時間
被検者
KH
YH
図 5 歩行動作 (
Sub.K H)
- 7
9
歩
行
駆 け足
0.
7
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2
3
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0.
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図 6 歩行動作(
Sub.Y H)
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図 7 駆 け足動作 (
Sub.K H)
図 8 駆 け足動作 (
Sub.Y H)
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1
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Akita University
接地中の足部の歪の状況を端的に表す足背高の,時間経過 にともな う変化をみると (
図 9,1
0
)
,
錘が接地 してか ら足全体が接地す るまで,急激な短縮が各試技,各被検者 にみ られた。その後,
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図 9 歩行 ・駆 け足 中の足背 高 (
Sub.K H)
歩行 においては同程度 に圧縮 された状態が しば らく続 き,けり出 しの動作 に移 り,足背高が増大
してゆ く。夢
区け足の場合 は,全身が空中か ら落下す るため,歩行よ り強 く圧縮 され,定常的に圧
縮 された期間がみ られないまま,けり出 しの上昇に移 る様子が,それぞれ明確 にみ られた。
1
,1
2)をみると,種が接地 した直後縮小す る現象が起 り,その後荷重による
足幅の変化 (
図1
と考え られる拡大傾向が各試技,各被検者 にみ られた。駆 け足の場合,足幅の最 も拡大 した時期
は,両被検者 ともに接地期間の前半部 に含 まれるが,その全身の動 きを分析 した結果か ら,身体
垂心が足指関節の上を通過す る時期 と一致 していた。歩行の場合には,測定値の乱れ もあって,
最 も拡大 した時期を明確 に捉えることはで きなか ったが,接地期間の中央付近,やはり身体垂心
が足指関節の上を通過 した時期が大 きな値 を示す傾向があった。
足部の変容の指標 として,足指関節角 と足関節角の 2種の角変化を調べた。本研究では,足指
関節角を足先点 と腔側中足点 さらに内果点 とを結ぶ直線を,矢状面に投影 した角度 と定めた。足
5
c
m上方)を結ぶ直線を,やはり
関節角は,腔側中足点 と内果点 さらに下腿 の左端点 (
足底より1
矢状面に投影 した角度 と定めた。
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Akita University
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図1
0 歩行 ・駆 け足 中の足背高 (
Sub.YH)
測定 した足指関節の変化をみると,被検著聞にわずかな差がみ られた。その差 は接地期間の前
半部に現れ,後半部分 には差 はみ られず,共通 した変化を示 していた。Sub.YHの場合,按地 の
前半でこの足指関節角がほぼ水平に達 し,その後徐徐に伸展 してゆき,最後のけり出 しの屈曲に
4)。それに対 し,Sub.KHは指部を反せて運動す る傾向が撮影中か ら観察され,
至 っている (
図1
3)。
その影響で接地前半 の角度が小 さく,その後拡大 して水平に近 い状態になっていた (
図1
歩行中の足関節の変化 には,両被検者 に共通 した傾向が現れていた。それは,接地直後に屈曲
(
角度が増大) し,続 いて伸展 (
角度 が縮小) し,最後 にけ り出 しで屈曲 して ゆ くことであ る
(
図1
5
,1
6)0
駆 け足の場合には,被検著聞にやや差がみ られ,Sub.YHが屈曲状態か ら単純 に伸展 し, け り
出 しの屈曲に移行す るのに対 し,Sub.KHは接地直後に一旦屈曲 しその後のけり出 しの屈曲 に移
り,足が地面か ら離れ る直前に再び伸展 し,不対称ではあるが,サイ ンカーブに似た屈曲伸展を
-8
2-
Akita University
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1 歩行 ・駆 け足 中の足幅 (
Sub.K H)
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2 歩行 ・駆 け足中の足幅 (
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3 歩行 ・駆け足中の足指角 (
Sub.K H)
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4 歩行 ・駆 け足中の足指角 (
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図1
5 歩行 ・駆 け足中の足角 (
Sub.K H)
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駆け足中の足角
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くりかえ していた。
なお,VTRか ら得た測定結果には,さまざまな測定誤差が含まれてい ると考え られ るため,
5点移動平均 してデータの平滑化を行 った。
考
察
フイルム分析で三次元的に時間経過 にともな う測定をす る場合 に,測定誤差がかな り拡大され
る傾向があ り,本研究の結果 にも,かな り不安定な部分 もみ られたが,全体の傾向は明確に得 ら
れたと考え られる。また,被検者 はよ く類似 した 2名であって,形体および測定時の動作にも,
特 に個性的な特徴 はみ られなか った。ただ足指関節角について個体差が現れ,緊張をともなって
足指部を伸展 させて運動す る傾向 と,脱力 して足底をほぼ平に して接地す る被検者に分れた。 し
か しこの個体差 は接地の前半 のみで,後半部 は共通 した角変化が現れた。共通 した変化 とは,歩
行駆 け足 ともに,足指関節を伸展 した状態か ら種で接地 し,続 いて足底全体が地面に着 き,足が
平に (
約1
65de
g)なって,それか ら身体垂心の移動により,桂が浮上 ることによる伸展 (
約1
1
0
°e
g)が起 り,最後に約0.
0
5秒間の急激な屈曲 (
約1
3
0de
gか ら1
50de
g)によ りけ り出 しているこ
とである。
足関節角が,最 も縮小 した最大伸展時の様子 を考察す ると,下腿部前面 と足背部の表面のなす
角 は,90de
g以下を示す と考え られたが,足関節角 は内果点を基準に測定 したことか ら,実際に
は,起立時で1
3
5de
g程度 とな り,衝撃の加わる駆 け足の最大伸展時で も9
0de
g以下 の値 は示 さな
いことが明 らか となった。また, この角度の接地直後の変化か ら,歩行 と駆け足の衝撃の大 きさ
の差 によると考え られる動 きの違 いが,明確 にとらえ られる。歩行においては, この期問に偏心
的荷重が加わ り,種を中心 に足部の前方回転が生 C,短期間ではあるが屈曲され,その後の緩や
かな伸展 に移行す るのに対 し,駆 け足では身体が落下す る衝撃 を緩衝するためと,身体重心が早
い時期に接地 した足部の上 に達す るため,接地直後か ら急激な伸展が起 り,後半の屈曲に移行す
る。
足幅は,けり出 し直前が足指関節の屈曲や,移動の推進力を発揮す る筋活動がさかんになるた
め,最 も拡大す るか と思われたが,それよりはるかに早 い時期 に最大値 を示 した。駆 け足では,
接地期間の三分の一程度の時期で,歩行ではほぼ中央付近で,両者 とも身体重心が足指関節のほ
ぼ真上にきた時期,すなわち重力が最 も母指球に集中 したと考え られる時期であった。 このこと
は,荷重 による足部の変形が大 きく,歩 ・走動作のけり出 しなどの,筋活動による変形 は小 さな
ことが明 らか となった。
その荷重 による変形の傾向は,足背高をはじめとす る高 さの変化にも,共通 していると判断 さ
れる。実測や写真計測の結果 と,運動中の最小値を比較 してみると,全 く荷重 されていない遊足
時か ら,体重の約半分が荷重 されていると考え られる起立時,ほぼ全体垂が荷重 されたと考え ら
れる歩行時,さらに体重以上が荷重 されていると考え られる駆 け足 と,荷重の程度が大 きくなる
に従い,各高 さが縮小す る傾向が明確にみ られた。
結
論
足部の歪の状態を定量化 した結果,遊足時に比較 して荷重 された起立時の足長 ・足幅にかなり
大 きな増大がみ られた。また,足部の各高 さの縮小 は,荷重が直接影響 しさらに大 きな値を示 し
た。
歩行 ・駆 け足中の足部の歪 は,荷重 による変形が主で,筋活動による影響 は小 さな ものである
と考え られる。
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足部の関節の移動運動中の角変化には,個体差が現れた点 もあったが,運動中の伸展 と屈曲の
時間経過 にともな う変化が明確にされた。その結果か らも,節活動 による足部 の変形 は小 さいこ
とが明 らか となった。
本研究 は筑波大学関康雄教授の助言を受 け,財団法人水野 スポーツ振興会 スポーツ学委託研究
費の一部を活用 して実施 した.また,以下の方々の協力 も得たことを記 し,感謝の意を表 します。
美津野株式会社技術開発本部 佐藤文宣,金子靖仙
筑波大学大学院 川田浩司,森田正利
筑波大学 吉武信二,山本元
参
考 文
献
1)水野祥太郎 :ヒトの足,創元社,1
9
84.
2)- リー ・F・ラバ ック :ザ ・フッ ト・ブック,有限会社 ブックハ ウス ・エイチディ,1
9
82.
3)梅ケ枝健一 : 「足関節捻挫による靭帯損傷 に対す る保存的療法」,Japane
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.7 No7.ソニー企業株式会社 フィットネス研究所,1
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5)大島正光,人間工学, コロナ社,1
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6)森 於蒐 他 :解剖学,金原出版,1
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50.
7)人間工学人体計測編集委員会,人体計測値図表,人間 と技術社,1
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8)Chandl
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