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日本弁理士会が提唱する 新たな法定研修制度の骨子

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日本弁理士会が提唱する 新たな法定研修制度の骨子
1
資料7
日本弁理士会が提唱する
新たな法定研修制度の骨子
Ⅰ.弁理士試験合格者に対する登録前実務義務研修
Ⅱ.既登録弁理士に対する義務研修
平成18年7月12日
日本弁理士会
Ⅰ.弁理士試験合格者に対する
登録前実務義務研修
1.問題の背景
○ 平成12年の弁理士法改正により試験制度が簡素化され、弁理士の増員が加速され、実
務未経験ないしは実務経験年数の少ない弁理士の絶対数が増加した。
○ 平成12年改正後の知財立国宣言・知財推進計画での人材育成策等を考慮すると、弁理
士の質的拡大は不可欠。大幅増員されている新人弁理士の質を制度的に担保しないと、社
会に悪影響を与えることは必至。事後処理では遅く、誰も責任が取れない。
○ 新人弁理士の質の担保とは実務能力の担保。最も効率的な方法は職場でのOJT。しか
し、試験合格者数の伸びに対してOJT環境の整った職場(特許事務所等)の数やキャパ
シティは追従していない。このため、OJTの機会が得られない弁理士は放置されること
になる。
■
一人弁理士事務所割合の推移
平成10年8月 64.1%(アンケート結果による
平成14年3月 72.6%(実数)
平成18年3月 68.6%(実数)
会員数4043人/回答1023人)
【資料1】新旧試験制度比較
【資料2】新人弁理士に不足しているもの/新人採用に当っての課題
2
【資料1】
旧制度
予備試験
新旧弁理士試験制度の比較
受験資格要件
【大卒者等は免除】
論文試験
外国語試験
現行制度
平成14年度以降
受験資格要件の廃止
予備試験の廃止
弁理士試験
短答式
必須科目
工業所有権四法、工業所有権に関する
条約、著作権法、不正競争防止法(60問)
本試験
多肢選択式
必須科目
工業所有権4法、条約(50問)
論文式
4∼5日間
必須科目: 5科目
工業所有権4法、条約
選択科目: 3科目
41科目[法文系10科目/技術系
31科目]から3科目選択
論文式
2日間
必須科目:3科目
特許法・実用新案法、意匠法、商標法
選択科目:1科目
法律区分 1科目[法律]
■選択科目免除対象資格
技術区分 6科目[物理工学、情報 ・弁理士試験の選択科目と
対応する区分の技術士
通信工学、地球工学、機械工学、
・司法書士
・行政書士
応用科学、バイオテクノロジー]
段階的合格
段階的合格
口述試験
口述試験
工業所有権四法、条約
工業所有権四法
弁理士登録
弁理士登録
・弁理士試験の選択科目に
対応する分野で博士又は
修士の学位を取得した者
・薬剤師
・一級建築士
・電気主任技術者(第12
種)
・電気通信主任技術者
・情報処理技術者試験合
格者 (所定の区分の試
験)
・司法試験に合格した者 3
【資料2】
4
(平成14年度以降の合格者を採用したことがある特許事務
所経営者への質問)平成14年度以降の試験合格者は、それ以
前の合格者の採用時と比較して、特に不足していると思われ
るものは何だと思われますか。(答はいくつでも)
0
20
産業財産権法、民法(部分)、民事訴訟法
(部分)、知的財産関係条約に関する知識
40
60
80
(特許事務所を経営している弁理士への質問)新人採用に当
たって、あなたの事務所ではどのような課題を感じています
か。(答はいくつでも)
100 %
0
10
20
30
40
28.2
26.9
採用する必要がない
5.7
36.2
30.8
技術的理解力
50
34.9
50.2
新人を採用しても教育する時間がない
51.5
報酬を得ることのできるだけの実務能力
33.6
33.5
国際的制度 についての知識
新人を採用しても教育する人材がいない
審決取消訴訟に関わることのできる
法的知識、実務能力
20.3
17.8
14.1
著作権法の基本的知識
採用に値する人材がいない
27.8
16.6
13.2
不正競争防止法についての基本的知識
総数(N=1,162)
契約・紛争処理についての基本的知識
(民法の一部、民事訴訟法の一部)
採用経験あり(N=227)
採用経験なし(N=856)
16.7
補佐人として訴訟に広く関わるための
法的知識と実務能力
20.3
外国出願関連業務 の遂行のための
知識と実務能力
31.3
ADRの代理を行うための知識と実務能力
15.4
契約代理を行うための知識と実務能力
16.3
関税定率法上の認定手続における
代理を行うための知識と実務能力
15.9
「弁理士法改正に向けた実態・意識調
査」(2006-03日本弁理士会)より
他人との相談・情報交換・折衝を
適正に行えるコミュニケーション能力
27.8
条約類についての知識、応用力
27.3
17.6
特に不足しているものはない
無回答
10.4
15.9
9.9
2.6
N=227
60%
2.問題の解決方法(意義)
○ 試験制度の改善によって、実務能力を問うことが理想。しかし、種々の困難が予想され
る。
○ 現実的な方策として、試験合格者に対し、弁理士のコア業務である産業財産権に関連す
る実務能力についての底上げを図り、OJTにスムーズに移行できるようにすることを制
度上担保するため、登録前実務義務研修制度を創設する。
3.義務研修の内容(概要)
○ 弁理士のコア業務として、産業財産権に関連する手続の実務を修得させ、依頼者の利益
およびリスクと手続内容との相関を受講者に考えさせながら、職場でのOJTを疑似体験
させる演習も取り入れた実務研修内容とする。すなわち、特許・意匠・商標の実務の修得
を基本とする。
○
上記に加えて、社会に望まれる弁理士像に近づけるための最低限の事項を修得させる。
5
4.義務研修の方法・期間等
■ 実施方法
○
E-Learning(自宅又は職場)+スクーリング(全国複数個所での集中講義)
■ 研修期間
○
受講生が働きながら受講できる制度とするため、5ヶ月程度
(例えば、50単位100時間程度、毎年1回実施)
■ 実施主体
○
日本弁理士会
■ 費 用
○
受益者負担
【資料3】提案の新制度
6
【資料3】
弁理士試験合格
登録前実務研修
報
告
日本弁理士会
特 許 庁
委
託
研修
企
画
実
施
【方法】①eラーニング+②スクーリング
【科目】50単位・100時間程度 【期間】5ヶ月程度
【費用】受益者負担
【免除】既得知識に応じて免除する
効果確認
①レポートの提出+②受講要点の確認
評価が基準に満たなかった者には再教育の機会を設ける
弁理士登録
7
5.義務研修の効果確認と未修了者の扱い等
■ 研修の効果確認
○
①レポートの提出+②受講要点の確認。
ただし、実力不十分とされた人の救済方法を設ける(再教育機会の保障)。
○ 真面目に受講すれば、受講生全員がパスすることを目指す。
■ 未修了者の扱い
○ 登録前実務義務研修の未修了者は、弁理士登録できないこととする。
○ ただし、弁理士試験合格者は、合格年度以降も登録前実務義務研修の受講資格が担保さ
れる。
■ 研修の免除
○ 研修で修得すべき内容の一部又は全部を既に修得していると認められる者については、
その一部または全部に対応するE-Learning+スクーリング受講を免除する。
○ ただし、レポートの提出は必須とする。
8
9
Ⅱ.既登録弁理士に対する義務研修
1.意義
○ 全弁理士を対象に、職業倫理としての弁理士倫理について定期的に注意喚起する機会を
担保し、併せて、時代の推移と共に内容が移り変わる法律・制度の改正内容、審査基準等
を修得する機会を、義務研修制度として担保する。
【資料4】倫理研修実績
【資料4】
10
倫理研修
平成14年に公布された改正弁理士法の施行に伴い、日本弁理士会会則第58条に規定する弁理士倫理に関する研修(最
初の研修)を開始した。平成16年度からは、日本弁理士会会令第55条「倫理研修規則」第4条に規定する登録5年毎の
倫理研修(5年毎の継続研修)を開始した。(なお、弁理士となる資格をもって、弁理士登録の日前1年以内に、新人研修
における倫理研修の科目を受講した会員は、最初の研修を受講したものとみなしている。)
年 度
平成13年度
研 修
最初の研修
課 目
弁理士倫理
平成14年度
最初の研修
弁理士倫理
最初の研修
弁理士倫理
最初の研修(ビデオ)
弁理士倫理
5年毎の継続研修
弁理士倫理
最初の研修(ビデオ)
弁理士倫理
5年毎の継続研修
弁理士倫理
最初の研修(ビデオ)
弁理士倫理
平成15年度
平成16年度
平成17年度
(H18.1.24現在)
開催地域
東京/大阪
東 京
大 阪
名古屋
東北・北海道
北 陸
中国・四国
九 州
東 京
大 阪
名古屋
東北・北海道
中国・四国
九 州
東 京
大 阪
名古屋
東 京
大 阪
名古屋
北 陸
中国・四国
九 州
東 京
大 阪
名古屋
中国・四国
九 州
東 京
大 阪
名古屋
中国・四国
東 京
大 阪
中国・四国
※平成18年1月24日現在 6,628名中461人未受講(含特例申請者)
開催回数
1回
5回
2回
2回
1回
1回
1回
1回
5回
2回
2回
1回
1回
1回
2回
1回
1回
5回
3回
2回
1回
1回
1回
4回
2回
1回
1回
1回
8回
4回
1回
1回
3回
2回
1回
受講者数
270名 2,277名 491名 160名 30名 18名 37名 33名 1,539名 190名 44名 6名 4名 5名 85名 13名 2名 459名 125名 42名 3名 2名 6名 688名 47名 4名 2名 4名 524名 136名 20名 7名 276名 141名 1名 合 計
270名 3,046名 1,788名 100名 637名 745名 687名 418名 2.義務研修の内容・方法等
11
■ 義務研修の内容
○
○
弁理士倫理
法律・制度の改正内容等
■ 実施方法
○ E-Learning(自宅又は職場)+一日集中講義(全国複数個所で複数回開催、一人一回受
講の集中講義)+集中講義後の要点テスト又はレポート提出
■ 研修時期
○
登録後5年毎(現在の倫理研修に同じ)
■ 実施主体
○
日本弁理士会
■ 費 用
○
無料(日本弁理士会が負担する)
【資料5】義務研修制度
【資料5】
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新規登録弁理士
既登録弁理士
登録から5年
前の研修から5年毎
義務研修
■ 内容
○ 弁理士倫理
○ 法律・制度の改正内容等
■ 方法
○ E-Learning(自宅又は職場)
○ 1日集中講義(全国複数個所で複数回開催orビデオ)
⇒ 集中講義後の要点テスト又はレポート提出
未修了者の扱い
未修了者には日本弁理士会が受講勧告
↓
未修了状態が続く場合は業務停止(*)等の処分
(*)現在の懲戒制度とは異なる新たな業務停止の制度
受講免除
講師
3.義務研修の効果確認と未修了者の扱い等
13
■ 効果確認(修了条件)
○ 全E-Learningカリキュラムの聴講
○ 集中講義参加又は集中講義と同内容のビデオ受講(弁理士会又は自宅)+法律・制度の
改正内容に関する要点テスト実施(集中講義又はビデオ受講後に回収、自宅ビデオ受講者
は郵送)
■ 未修了者の扱い
○ 一定期限までに未修了の弁理士に対して、日本弁理士会が勧告を行い、勧告後、所定期
間を経ても、状態が改善されない場合は、所定期間の業務停止処分(*)も考慮に入れた何
らかの処分とする。 (*)現在の懲戒制度とは異なる新たな業務停止の制度
■ 研修の免除
○ 倫理研修講師並びに法律・制度の改正内容の研修において講師を務める弁理士は、担当
科目についての受講を免除する。
【参考資料】
e-ラーニングシステムの概要(1)
受講者
自宅/オフィス等
・地域格差のない研修
・反復受講が可能
・休日、業務の合間、
アフター5の利用
拠点研修所
家庭教師
日本弁理士会
研修所
「e-ラーニング統合システム」の玄関
e-ラーニング
システム
コンテンツ
研修受講
研修受講
履歴
履歴
研修サポート
システム
会員研修
会員研修
情報
情報
チューター
自宅/オフィス
等
データセンタ
家庭教師的研修支援
‥コンテンツデータ
‥データベース
14
15
e-ラーニングシステムの概要(2)
インターネット
受講者A
受講者A
データセンタ
コンテンツ配
信
連携
サーバ群
受講者B
受講者B
チューターシステム
サーバ
受講者C
受講者C
行詰り研修生の対応可能
わから
ない!
チューターが重点指導
・一度に多数の受講者に均質な研修を提供しながら、
個別のレベルに応じた ケアー/フォローアップが可能
・インターネット上でチューター(講師)がついている授業
形態
・疑問点を自己解決できない人や進捗遅れの人を
システムが自動的に抽出/通知し、研修生をサポート
チューター(講師)
在宅/自オフィ
ス
学習者情報・
アラート
学習状況把握
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