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段ボール包装リターナブルシステム
段ボール包装リターナブルシステム 最近、社会においては従来の大量生産・ 消費システムから資源のリサイクルなど循 環型システムへの転化が早急に求められて いる。輸送包装で用いられる段ボール箱は 従来、一度使えば廃棄といういわゆるワン ウェイ型の使われ方がほとんどで、繰り返 し使われる容器として認識されていないの が現状である。 しかし、プラスチック製や金属製の容器 はリターナブル方式で以前より使用されて おり、段ボール箱もそのような使い方がで きれば包装廃棄物の削減に寄与できると考 えられる。そこで当センターでは企業と共 同で段ボール包装のリターナブルシステム の開発に取り組んだ。 段ボールは素材が紙であることから繰り返 し使用に対する耐久性が問題視されている。 たしかに一般的に段ボールはプラスチックや 金属に比べれば強度は低い材料であるが、一 方でコストが安価で加工しやすい材料である という大きなメリットをもっている。そこで、 繰り返し使用により容器に破損が出た場合は 補修を施しながら使うという考え方を今回の リターナブルシステムに導入している。 開発したリターナブルシステムの概要を 下 図 に示す。このシステムでは段ボールメー カーが回収、分別・検査を行い、さらに回収さ れた容器 の状態に応じた補修を行って再納入 することがポイントになっている。企業は容 器の管理業務で利益を求めていくことがシス テム運用の基本となる。 また、実際に繰り返し輸送によって段ボー ル箱の強度がどの程度劣化するのか実輸送試 験 を 行 っ て 調 べ た 。 試 験 は ダ ミ ー 包 装 品(寸 法:520×330×240mm、木箱 5kg を発泡ポリエ チ レ ン で 緩 衝 包 装) を 用 い た ト ラ ッ ク 輸 送 で (1)名古屋−東京間の定期便輸送、(2)名古屋 近郊のターミナル間輸送をそれぞれ5回往復 させ、その後に容器の圧縮試験を行い、強度 の劣化レベルを調べた。その結果、名古屋− 東京間の長距離での繰り返し輸送による容器 の劣化が大きく、約 30%の圧縮強度の劣化が 認められた。これに対し、近距離のターミナ ル 輸 送 で は 10% 程 度 の 劣 化 に と ど ま っ て い た。輸送条件にもよるが、長距離のリターナ ブル輸送の場合はやはり何らかの補修が必要 になってくることが予測される。 容器の補修については、補修による強度の 回復レベルと補修コストとの相関を調べ適正 な補修パターンを決定することが重要であり、 過度な補修はコストの上昇につながってしま う。今回は検討の結果、容器の座屈に対して は段ボールパッド補修、容器の破れについて はテープ補修という単純な補修パターンで十 分に対応できることがわかった。 この段ボール包装リターナブルシステムは 一般向け利用マニュアルという形で提供でき るようにした。これには、システム概要、容 器バリエーションやコスト等について詳細に まとめており、利用する側が自社製品に合わ せた容器を選択し、コストの概算もわかるよ うになっている。 (応用技術部 中川幸臣) 納入 容器納品 段ボール会社 回収 製品納品 各 企 業 各販売店 空容器回収 分別・検査 補修不要品 要補修品 補 再商品化・・・再生紙、パルプモールドなど 図 リターナブルシステム概要 −3− 補修不可品 修 リサイクル工場