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UNESCO-UIA 建築教育認定制度

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UNESCO-UIA 建築教育認定制度
(仮訳)
UNESCO-UIA 建築教育認定制度
第 22 回 UIA 総会(ベルリン、2002 年 7 月)で採択された文書
UNESCO-UIA 建築教育認定評議会
W. Tochtermann, Co-President, V.Sgoutas, Co-President, F.Ramos, General Reporter,
B.Colin, K.El Jack, J.C.Riguet, S.Topelson de Grinberg,
P.Hyett, R.Schweitzer / A.Viaro, A.Koudryatsev / A.Sandu, V.Slapeta, J.Scheeler,
S.M. Giraldo Mejia / E. Vianco Riofrio, L.Cox, N.Furuya, A. Adebayo, S.Mouline
International Union of Architects (UIA)
51, rue Raynouard, 75016, Paris, France
Telephone: 33 (0)1 45 24 36 88
Facsimile: 33 (0)1 45 24 02 78
E-mail: [email protected]
-1-
第 22 回 UIA 総会(ドイツ・ベルリン、2002 年 7 月)
決議 13:
総会は、UNESCO-UIA 建築教育認定制度に関する文書の初版を、今後 3 年間にわたって検証し精緻化する
という了解のもとに、反対 1、棄権 3 をもって採択した。
第 98 回 Session of the UIA Council(ブラジル・クリチバ、2002 年 11 月)
決議 2:
カウンシルは、P.Hanna からの修正要求にもとづいて、ベルリン総会決議 13 に対して下記の文章を追加す
ることを決定した。
決議 13:……認定制度の認証について言及している箇所を改訂するときは、ふたつの建築教育機関しかな
いような小さな国のあることを考慮して、3 プログラム以上存在することという要件は、再検討されるべ
きである。
-2-
目
次
共同議長 Wolf Tochtermann の序文
共同議長 Vassilis Sgoutas の序文
0.
序
I.
建築教育プログラムの認定
II.
相互主義
III.
認定を受ける方法
IV.
認定基準
V.
基準の解説
V.1
UNESCO-UIA 建築教育憲章への適合
V.2
相互主義への同意
V.2.1
認定制度に責任を負う場合
V.2.2
教育プログラムに責任を負う場合
V.3
質的な基準
V.3.1
V.3.2
V.3.3
V.3.4
V.3.5
V.3.6
V.3.7
V.4
大学レベルの教育であって、建築中心のカリキュラムであり、理論
と実務のバランスがよいこと
教育要件
教育プログラムにおいて学生が習得すべき能力
教員と建築実務
プロジェクトの実施を基本とする教育
学生数/教員数の比率
施
設
量的な指標
VI.
教育の互換性
VII.
UNESCO-UIA の勧告
VIII.
UNESCO-UIA 建築教育憲章の改訂
IX.
認可・認定の実施要領
IX.1
認定制度の認証
IX.1.1
IX.1.2
既存の制度
新たな制度
-3-
IX.2
教育プログラムの認定
IX.3
教育プログラムに対する報告グループ
IX.3.1
IX.3.2
IX.3.3
IX.3.4
IX.3.5
UNESCO-UIA 地域認定委員会委員
UIA 地域委員会から指名された者
資格登録機関の代表者
学生代表
最終的な構成
IX.4
認定制度に対する報告グループ
IX.5
報告グループの追加メンバー
IX.6
言
IX.7
認証・認定のプロセス
IX.7.1
開始するための文書
IX.7.2
評価の種類
IX.7.3
決定の順序
IX.7.4
財
政
語
付録A
認定の手順
付録B
用
付録C
UNESCO-UIA 建築教育認定委員会の活動組織
語
-4-
序
文
Wolf Tochtermann
UNESCO/UIA 建築教育認定委員会共同議長
UNESCO/UIA 認定制度を定める文書を作成する仕事は決してたやすいものではなかった。この文書の全般
的な意義は、建築家の職能全体に直接かかわっているということと、建築家の教育に責任を負っている世
界中の教育機関にとってたいへん利益があるということである。
この仕事は意欲的なプロジェクトであったが、2002 年 7 月 27 日から 29 日にドイツのベルリンで開催され
る UIA 総会に間に合うようにまとめるために、多数の会議と膨大で継続的な作業を必要とした。
わたしはこのプロジェクトの広がりの大きさと複雑さをよく認識したうえで、プロジェクトの基本原則を
つくり、この文書を作成された関係者に、この場を借りて深甚なる尊敬と深い感謝を表すものである。ま
た、この文書ができたことによって、UIA は建築教育問題を定常的なアクションプログラムの上位に位置
づけたことになる。この文書は UNESCO/UIA 建築教育憲章を論理的に補強するものであって、憲章のさ
まざまな項目と直接照応している。
この文書の意義は高いが、この文書では十分答えることのできない教育や教育機関に関する疑問のいくつ
かは未解決のまま残っている。たとえば、建築の教育機関は、若い建築家に対して、要求が増加し多様化
することが特徴である専門的職業生活のおくりかたの訓練をしているか。教育と職能実務の今日的関係は
どうあればよいのか。明確に定義された資格要件が得られるコースを選択できるのはどの教育プログラム
やカリキュラムなのか。若い建築家は、建築生産における設計、マネジメント、リノベーションに能動的
にかかわっている他の専門家たちと対等の立場で話せるように訓練されるようになるのか。若い建築家は
政治的な動きのなかで活動し、建築家の意見よりも政治的、管理的視点が優先される意思決定の場に参加
できるようになるのか。
知識を習得させることはすべての建築の教育機関の主要な目標でなければならない。教育機関は優秀な学
生だけではなく、すべての学生を教育することができなければならないが、多くの教育機関はまったく孤
立して活動していて、学生がみずからの興味や関心を中心にして科目を選択することができるようなプロ
グラムを実際に開発できていることはまれで、雑多な内容である場合が多い。教育機関は、伝達している
知識と設計実務を関連づけることに大きな困難を感じていることが多い。そのうえ、プロジェクトの考え
方や建築作品をベースにしている教育であっても、職能や職能がサービスしている社会も変わりつづける
ことが要求されている時代にあっては幅が狭すぎことは明らかなので、それだけでいつも容認されるとは
限らないことも明らかである。
職能の多様化は、ジェネラリストとしての建築家という存在を損ねるほどまでに、長年にわたってしきり
に求められてきた。研究と教育、都市計画と地域開発、テクノロジーとマネジメント、再開発と保存は、
専門職業にむけて専門化と多様化が進んだ分野の代表例である。その結果、これらの専門化と多様化が教
育プログラムに反映させられることになる。ル・コルビュジエは 1928 年に「建築家の職能は消えること
はない。むしろ、ひじょうに多くの枝に分岐し、分散するだろう」と書いている。私見ではあるが、それ
から 75 年ほどたったいまでも、このビジョンからまだ遠く隔たっているのではないだろうか。
建築家はまた、社会のなかでも、そして職能の領域を超えた分野においても、もっと幅広い役割をはたす
ことも求められている。たとえば UIA のはじめた「建築と水」
「建築と貧困」
「助力者としての建築家」
、
あるいはカンポン改善プロジェクトのような一連のテーマをみれば、UNESCO の支援を得ていることが多
いのは事実であるが、建築家の多くは開発問題全体にリンクしたこれらの課題に取り組むための能力を十
分備えていることがわかる。これらのテーマが開発途上国のみならず、一定の教育機関のカリキュラムの
科目になればたいへん有益であろう。
-5-
この文書はたいへんな労力をかけて作成されたが、6 年前にはじまったプロセスの最終段階のものである
と思ってはならないことは言うまでもない。いったん開始された作業はつづけられなければならない。認
定や修了資格の同等性についての問題を離れて、建築教育、職能実務、社会のなかにおける職能の役割と
責任について、高い水準で考察することが大切だと思われる。それにふさわしい時期は UNESCO/UIA 建
築教育憲章の改訂が行われるときだと考える。
-6-
序
文
Vassilis Sgoutas
UNESCO/UIA 建築教育認定委員会共同議長
UIA と UNESCO のコラボレーションの長い歴史のなかで、重要な事業がたくさん実施されてきた。しか
し 2000 年 5 月 16 日、この文書に結実することになる協定が結ばれたときわれわれが感じたのは、この事
業はこれまでふたつの組織がともにとりくんできた課題とくらべて何かがちがう格別に重要なものだとい
うことである。
この UNESCO-UIA 建築教育認定制度は、現実的な必要性にこたえるために始められた。
グローバリゼーションおよびその国内問題への影響によって、建築家のありかたが変わってきている。職
能実務はますます自由化しつつある。建築教育も同様である。UNESCO-UIA 建築教育認定制度は、無秩序
をまねきかねないそうした状況に秩序をもたらすことをめざしており、そのことは、とりもなおさず社会
の役に立つ質の高い建築を生みだすための準備をするという、われわれの基本的な使命を強化することに
なるであろう。
われわれが不平等な世界に生きていることは事実である。そして建築も、教育においてもテクノロジーに
おいても「競争相手」の保持している手段が対等でない条件のもとで、国境を超えてつくられていること
も事実である。建築の実務をより公平にするのはたやすい仕事ではない。長い目で見てアンバランスを修
正することができるのは教育だけである。
これを実現するために、すべての人たちに平等な機会を保証する教育システムと、個々の教育プログラム
のほんとうの長所を生かす認定システムが必要である。UNESCO とともにはじめた事業は、その目標に向
けての触媒となる可能性もっている。
建築は社会や経済から隔絶してつくられることはない。このことは建築の教育機関の教育プログラムに反
映されていなければならない。
UNESCO と UIA のあいだで結ばれた協定には、建築教育のなかに人文科学と社会科学を取り入れる必要
性が明確に述べられている。これに最新のテクノロジー、マネジメント、金融技術を加えた、さらに包括
的な教育が現れつつあるのを感じることができる。それは未来の建築家が、居住環境の構成要素を創造す
る学際的専門家チームのリーダーの役割を取りもどすのに必要な武器となるであろう。
建築家はこのリーダーシップの役割をはたすのにもっともふさわしいけれども、譲渡されえない権利では
ない。努力して得るべき地位なのである。それは大学教育と継続教育のシステムを通して達成できるとわ
れわれは確信しており、そのシステムが UNESCO と UIA が設定した目標を達成するであろう。
この文書は石に刻まれたものでないことはいうまでもない。実際に使われている文書がすべてそうである
ように、この文書も進化する。この文書はいろいろな文化の特色を取り入れることになるであろうし、そ
うすることによってさらに豊かになるであろう。わたしたちの意図するところは、地域的、文化的特殊性
を調整するための出発点となる枠組みとなる文書を保持することである。
UIA は文化のグローバリゼーションにはいつも反対してきたので、建築教育のグローバリゼーションにも
UIA は反対だということになる。
しかし、この多様性は、国際レベルでも地域レベルでも教育証明の互換性が許容されるように制御される
必要がある。
-7-
このことは建築家や学生の移動が、いまよりはるかに頻繁におこなわれる世界を考えるときに重要になる。
そのときは最終の学位だけではなく、年単位の学習プログラムの互換性を保証するシステムを工夫する必
要があろう。そのようなシステムは学生や若い建築家が交流するためのプログラムにも影響するであろう。
UIA は建築家の唯一の世界的な組織なので、UNESCO および UNESCO の広範な世界的な社会的計画と共
同して、この野心的な目標をめざすのにもっともふさわしい組織と思われる。
前方にひろがる任務の大きさに身のすくむ思いがするが、わたしたちはこの文書によって世界中の建築家
と建築の学生が協力して建築教育を再構築するよりどころを手に入れたと確信している。それをはじめよ
う。
-8-
0.
序
UNESCO
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は、地方、地域、国際レベルにおける教育、文化、科学の拡大、
発展、向上を目的として国際連合によって設立された機関である。
居住環境の専門家である建築家の教育は、UNESCO が長年取り組んできた実際的で重要な研究テーマのひ
とつである。
UIA
国際建築家連合(UIA)は、100 を超える国の建築家の職能団体が加盟する、建築家の唯一の世界的な組
織である。
UIA の設立の理念によれば、UIA には建築家の教育の推進と発展という使命がある。
UNESCO と UIA の協同事業
UNESCO は、1970 年代初期から専門分野における重要な活動をおこなうために UIA に参加してきた。
UNESCO は UIA を、チューリッヒ、ロメー、パリ、シャンディガールなどで決められた活動を実施し、
技術的なフォローアップをするためのパートナーとしてきた。この協同事業の成果は、それぞれの活動ご
とに作成された勧告書のなかで読むことができる。
UNESCO-UIA 建築教育憲章
協同事業のもうひとつの成果は UNESCO-UIA 建築教育憲章の作成と、それが 1996 年の UIA バルセロナ
大会で採択されたことである。この憲章は、21 世紀の社会が直面する難問の解決に積極的に貢献できる建
築家を生むための建築教育の明確な枠組みを定めたものである。
UNESCO-UIA 建築教育認定委員会
建築教育のもっている大きな多様性をいささかも損なうことなく、建築教育プログラムの公正な評価を教
育機関に提供するときに典拠となるシステムができることは理にかなっていると思われる。この評価シス
テムは、憲章への適合性を判定し、質的な基準にもとづいてプログラムを認定し、それぞれの教育機関の
特色を明らかにする。また憲章の改訂には、世界中のさまざまな地理的、文化的特徴が生かされることも
大切である。
憲章の適切な解釈とその改訂を確実におこないたいという要望によって UNESCO と UIA は UNESCO-UIA
建築教育認定委員会を設立することになり、2000 年 5 月 16 日に両機関のあいだで協定が結ばれた。この
協定が明記している委員会の目的はつぎのとおりである。
1.
2.
3.
大学等が実施している教育プログラムや教育活動が、憲章に適合していることを認定するこ
と。ただし自由意志によって要請のあったものに限る。
あらかじめ作成され、明確に定義された基準にもとづいて、これらのプログラムの質的な水
準を評価し認定すること。
憲章のより的確な解釈をおこない、教育の質を向上させるために、国際的、地域的、地方的
な観点から勧告書を作成すること。
-9-
4.
憲章の内容を具体化するための技術的な支援をおこなうこと。
この文書の目的は、UNESCO-UIA 建築教育認定制度を運用するための手続きを定めることである。
この文書は、この文書の目的を十分に達成するために定期的な見直しがおこなわれる未完の文書である。
I.
建築教育プログラムの認定
認定には、UNESCO と UIA の設定したつぎの目標が達成されていることの証明が含まれている。
I.1
教育プログラムの UNESCO-UIA 建築教育憲章への適合
I.2
要求されている能力にかんがみて、教育プログラムが高い質をもっていることの保証
I.3
国際的、地域的、地方的な観点からみた、教育プログラムの内容の互換性
II.
相互主義
UNESCO-UIA 認定制度の目標は、建築教育プログラムの認定を要請する行政機関・教育機関・大学・学
部・職能団体が、I.1、I.2、I.3 の目標に関して、UNESCO-UIA システムによって認定されたプログラムの
同等性を認めることに合意することである。
III.
認定を受ける方法
認証・認定を受ける方法には主としてふたつの方法が想定されている。
III.1
UNESCO-UIA 認定制度による既存の、もしくは新たな認定制度の認証
新たな認定制度は、UNESCO-UIA 認定制度と、政府機関、教育管轄機関もしくは職能管轄機関
との協定によって設立されることになろう。
III.2
認定は UNESCO-UIA 認定制度による個々の教育機関の建築教育プログラムの直接評価によって
得られる。
UNESCO と UIA が認証した認定制度によって否認された教育プログラムは、UNESCO-UIA 認定
制度によって認定されることはない。
IV.
認定基準
IV.1
UNESCO-UIA 建築教育憲章への適合(V.1 項参照)
IV.2
相互主義への同意(V.2 項参照)
IV.3
質的な基準
- 10 -
以下の事項への教育プログラムの適合
IV.3.1
IV.3.2
IV.3.3
IV.3.4
IV.3.5
大学レベルの教育であって、建築中心のカリキュラムであり、理論と実務のバランスの
よいことが明らかであること(V.3.1 項参照)
教育要件(V.3.2 項参照)
教育プログラムにおいて学生が習得すべき能力(V.3.3 項参照)
教員と建築実務(V.3.4.項参照)
プロジェクトの実現を基本とする教育(V.3.5.項参照)
IV.4
学生数/教員数の比率(V3.6.項参照)
IV.5
施設(V.3.7.項参照)
IV.6
量的な指標(V.4 項参照)
V.
基準の解説
V.1
UNESCO-UIA 建築教育憲章への適合
認定制度もしくは教育プログラムは、認証もしくは認定を要請する文書のなかで憲章への支持を
表すことによって、憲章に適合していることを明言することになる。
V.2
相互主義への同意
V.2.1
認定制度に責任を負う場合
この場合の相互主義とは、認定制度に対して責任を負ういかなる機関も、UNESCO-UIA 認定制
度の目的として、UNESCO-UIA 認定制度によって認定された類似の教育プログラムの教育面の
同等性を認めなければならないということを意味する。この目的には、報告グループと
UNESCO-UIA 認定制度、さらに可能な場合には UNESCO および UIA が認めたほかの認定制度
と、人や知見を交流させることも含まれる。
V.2.2
教育プログラムに責任を負う場合
この場合の相互主義とは、教育プログラムに対して責任を負ういかなる機関も、UNESCO-UIA
認定制度の目的として、UNESCO-UIA 認定制度によって認定された類似の教育プログラムの教
育面の同等性を認めなければならないということを意味する。この目的には、可能であれば、
UNESCO-UIA 認定制度が認定した他のプログラムとの学生、教員、知見を交流させることも含
まれる。
V.3.
質的な基準
以下の事項への教育プログラムの適合
V.3.1
大学レベルの教育であって、建築中心のカリキュラムであり、理論と実務のバランスがよいこと
大学レベルの教育とは、学生がすでに中等教育レベルの教育を修了しており(大学入学資格、ま
- 11 -
たは同等の修了証明)
、大学または同等の教育機関(学部、ポリテクニック、アカデミー等)へ
の入学試験に合格していることを意味する。
教育プログラムが本質的に建築教育であるかどうかは、以下の評価項目により判別できる。
•
•
•
•
•
•
プログラムを順当に修了した学生がもつ肩書、学位、修了証書、修了証明、あるいはそれら
と同等のもの
学習科目の内容
プロジェクト・ワークショップや設計スタジオの課題
時間数、施設、教員からみた教育内容
プログラムの最終プロジェクトあるいは最終試験
教育プログラムの第一の目標が有能な建築家を訓練するということを証明するその他の基準
理論と実務のバランスがよいこととは、建築家はみずからの仕事を観念的な分析とか仮想のプロ
ジェクトに限定することはできないし、まったく個性のない建設行為にとどめることもできない
という事実に、教育プログラムが注意を払っているという意味である。むしろ、建築家は、建築
家の仕事が理性、感性、直感の緊張関係のなかに存在することを理解し、また、人文的、社会的、
文化的価値観と技術的に建設が可能であることが交差するところでの仕事であることを理解しな
ければならないのである。
V.3.2
教育要件
V.3.2.1.
UNESCO-UIA 建築教育憲章の II.3 項で規定されている全項目
美観上、技術上の双方の要求を満たす建築デザインを創造する能力。
建築の歴史と理論、ならびに関連する芸術、工学および人文科学に関する十分な知識
建築の質を高めるファイン・アートに関する知識
都市のデザイン・計画に関する十分な知識、およびその計画プロセスの技能
人間と建物、建物と周辺環境、および建物相互の関係を理解し、人々の要望に応える適切な
尺度を与える能力
6. 建築の職能、建築家の社会的使命、とくに社会的な要因を考慮したプログラム作成に関する
理解
7. 調査方法、ならびに設計プロジェクトのためのプログラム作成法の理解
8. 建物の設計にともなう構造計画、施工、工学の問題の理解
9. 安全で快適な室内環境を得るための、建物性能や技術に関する十分な知識
10. 予算的、法的制約の中で、建物利用者の要求を満たす設計技能の修得
11. デザイン・コンセプトを建物に反映させ、個別の計画を全体計画にまとめる際の、関連産業、
機構、法令、手続きに関する十分な知識
1.
2.
3.
4.
5.
V.3.2.2
1.
2.
3.
4.
5.
V.3.3
考慮すべき特記事項
人類、社会、文化、都市、建築、環境、建築遺産などの価値に対する責任の認識
環境保全、修復、および生態学的持続可能性の重要性に関する十分な知識
建築施工原理の包括的理解に基づく建築構法に関する創造的な能力の研鑽
建築資金、プロジェクトマネージメント、工事費管理、業務委託に関する十分な知識
建築学習の一環としての、学生・教員双方のための調査研究手法の研鑽
教育プログラムにおいて学生が習得すべき能力
- 12 -
教育プログラムにおいて、建築の学生は、多分野にまたがる目標を調整することのできるジェネ
ラリストの役割を果たしうるような建築家となるために、設計能力、知識、技能を習得する必要
がある。
A.設
•
•
•
•
計
想像力の駆使、創造的思考、革新性、デザインのリーダーシップを発揮する能力
与条件の整理、問題の明確化、分析の活用や重要な判断、実行計画を立案する能力
設計の過程を通じて3次元の思考ができる能力
様々な要因を調整し、知識を統合し、計画案を生み出す技能
B.知
識
B1. 文化・芸術分野の学習
• 地域や世界の建築の、歴史的・文化的先例の知識と活用
• 建築の質を高めるファイン・アートの知識と活用
• 人類の築いた建築・都市遺産についての理解
• 建築とその他の創造的諸分野の関連性の認識
B2. 社会分野の学習
• 社会の知識を踏まえ、社会のニーズを代表する発注者やユーザーと協働する能力
• 発注者や利用者の社会的要望を明確化してプロジェクトのプログラムをまとめ、多
様な環境下での周辺状況や機能上の要求を調査し明確化する能力
• 建築や都市が築かれる社会的文脈の、人間工学や空間的な諸要求、人々が公平に利
用する権利などに関する理解
• 関連法規や規制、ならびに計画、設計、施工、健康、安全、建物の使用などに関す
る基準の認識
B3. 環境分野の学習
• 自然界のシステム、ならびに人工環境に関する知識と活用
• 資源の保全や廃棄物の管理に関する理解
• 材料の寿命、生態学的持続可能性、環境への影響、省エネルギーに配慮した設計、
ならびにパッシブ・システムやその運用に関する理解
• ランドスケープ・アーキテクチャーおよび都市デザインの歴史や実務、ならびに地
域や国の都市計画と地域や世界の人口・資源との関係の認識
• 自然災害のリスクを考慮した自然システムの管理に関する認識
B4. 技術分野の学習
• 構造、材料ならびに施工に関する技術的な知識
• 進化する建築技術を理解し、それらを活用する技量
• 技術的設計のプロセス、ならびに構造、施工技術、設備システムを機能的に統合す
ることの理解
• 搬送設備、情報設備、維持管理、ならびに安全管理に関する設備システムの理解
• 技術的設計図書や実施設計における仕様書の役割の認識、建設工程、コストプラン
ニングとその管理の認識
B5. デザイン分野の学習
• デザイン論とデザイン手法の知識
• デザインの手順とプロセスの理解
• デザインの実例と建築批評の知識
B6. 職能分野の学習
• 職能、経営、経済、法規の知識と活用
• 建築業務の様々な委託方法の理解
- 13 -
•
建設産業や開発産業、経済の動向、不動産投資、ファシリティ・マネージメント業
務に関する認識
• 伝統的ならびに今日の活動分野、および国際的な広がりの中で建築家が果たすべき
役割の認識
• ビジネス原理の理解と、生活環境開発、プロジェクト・マネージメント、専門的コ
ンサルタント業務への応用
• 実務上の職能倫理と行動指針、ならびに資格登録や実務、契約などに関わる建築家
の法的責任の理解
C.技能の学習
• 共同作業、口頭説明、計算、記述、ドローイング、模型、評価を通して意思の疎通を図
る能力。
• デザイン案を探求し、発展させ、明確化し、さらに伝達するために、手作業やコンピュ
ーター、図面表現、模型制作などを駆使する能力。
• 生活環境の性能評価を行う、手作業やコンピューターを用いた評価システムの理解。
V.3.4
教員と建築実務
建築の教員として、建築的な能力を育てている学生を指導するためには、教員が職能実務とその
変化に密接に接触している必要がある。したがって教員の過半が実務をおこなっている建築家で
あって、職能実務のさまざまな面を知っている人が望ましい。
V.3.5
プロジェクトの実施を基本とする教育
教員の個人指導のもとで、個人またはチームによって実施されるプロジェクトが主要な教育手段
となっていなければならない。またプロジェクトは知識、適性、学習態度の総合として評価され
なければならない。
プロジェクトを実施しているときに教員やチューターがおこなう学生個人を対象とした直接的な
指導は、学生との議論と同様、建築教育に欠くことのできない要素である。
V.3.6
学生数/教員数の比率
ワークショップあたりの学生数は、教員による個人別のプロジェクト指導の質と頻度が確保でき
る範囲に収まっていなければならない。
V.3.7
施
設
校舎、教室、設備は、教育プログラムが必要とするものを満たしており、そのプログラムにたい
して技術的に有効に役立っていなければならない。
V.4
量的な指標
V.4.1
一般的に、教育プログラムの最小期間は全日制で 5 年とする。
V.4.2
一般的に、建築実務のインターンシップの最小期間は 2 年とするが、そのうちの 1 年は教育プロ
グラムの修了前に行われてもよい。
VI.
教育の互換性
- 14 -
建築や建築教育の背景は世界中が一様ではないので、教育機関、教員、学生のあいだで柔軟にコミュニケ
ーションがはかれるような比較的単純な認定のしくみを採用する必要がある。よく似たプログラムをもつ
教育機関のあいだであっても、外見上同等にみえる科目同士でも相当異なっていることがありうるし、年
度によっても違いうる。
したがって、評価されるものは、習得された知識の量ではなく、学習年数とおこなったプロジェクトによ
って得られた成熟度のレベルである。
また、UNESCO-UIA 認定制度の認定を受けていない教育プログラムから認定を受けているプログラムへの
移籍に関する条件を定めておく必要もある。
UNESCO-UIA 認定制度は、履修経験の互換の原則を明言している。このことは、認定を受けたすべてのプ
ログラムにおいて、建築教育は主要な段階ごとに国際的、地域的な認証が可能であるような基準と範囲が
設定されている必要があるということを意味している。
VII.
UNESCO-UIA の勧告
建築教育は、急速に発展する世界における専門職業的、社会・文化的課題の代表例である。UNESCO-UIA
認定制度評議会は、UNESCO-UIA 建築教育憲章に書かれている基準、目標、留意事項を喚起し、解釈し、
補完する目的で、評議会の得た経験にもとづいて建築教育に関する勧告書を作成する権利を有している。
この目的を念頭に、UNESCO-UIA 認定制度評議会は、UIA 建築教育委員会、UIA 職能実務委員会、高等
教育や建築に関する UNESCO の諸機関、UNESCO-UIA 認定制度によって認証された認定制度に責任を負
う機関と緊密な連絡を維持していくことにしている。
VIII.
UNESCO-UIA 建築教育憲章の改訂
UNESCO と UIA との協力協定にもとづいて設置された UNESCO-UIA 認定制度評議会は、UNESCO-UIA
建築教育憲章に対する責任が付与され、さらに現行憲章の改訂や改善をおこなうための研究を行い、状況
を見定め、さらに必要に応じて UNESCO と UIA に修正を提案することが課せられている。
修正する場合は、憲章を作成したふたつの機関の承認を得なければならない。
憲章の改訂の発議とつぎの改訂の発議の間隔は通常 6 年とする。
修正提案が UNESCO-UIA 認定制度評議会で承認されるためには、正当な権利を有する委員の 3 分の 2 以
上の支持がなければならない。
IX.
認証・認定の実施要領
IX.1
認定制度の認証
IX.1.1
既存の制度
さまざまな国にはすでに、独立した認定制度、法的根拠を持った認定制度、その他の認定制度が、
多くの場合、国の管轄あるいは職能団体と連動して存在している。
- 15 -
建築教育プログラムに対する既存の認定制度は、建築教育の質を改善するための共通の取組みの
なかで、じっさいに稼働している制度として入念に考察される価値がある。UNESCO-UIA 認定
制度による認証を希望する既存の制度は、申請し、審査費用を支払えば審査される。
既存の認定制度が認証を申請した場合は、その認定制度が使っている質に関する基準や量的指標
への合致の度合いを検証するため、その制度によって認定された教育プログラムが少なくとも 3
件審査される。
検証後、UNESCO-UIA 認定制度評議会は、認定制度とその制度によって認定された教育プログ
ラムに初回の認証を与える。
認証の有効性を維持するために、認定機関は UNESCO-UIA 認定制度評議会による再評価を 5 年
ごとに要請しなければならない。
IX.1.2
新たな制度
UNESCO-UIA 建築教育認定制度は、新たにつくられた認定制度の認証もおこなう。
新たな認定制度に責任を負う機関から公式の申請と費用の支払いがあった場合は、申請のあった
制度を評価し、さらにその認定制度によって認定されたと称される教育プログラムを少なくとも
3 件評価するために、UNESCO-UIA 認定制度評議会によって報告グループが任命される。
検証後、UNESCO-UIA 認定制度評議会はこの認定制度と、その認定制度によって認定された教
育プログラムに初回の認証をあたえる。
認証の有効性を維持するために、認定機関は UNESCO-UIA 認定制度評議会による再評価を 5 年
ごとに要請しなければならない。
IX.2
教育プログラムの認定
教育プログラムの個別認定も UNESCO-UIA 認定制度の範囲内である。
教育プログラムの責任を負っている運営組織から申請と費用の支払いがあった場合は、そのプロ
グラムについての情報を収集し、教育機関を訪問し、評価をおこなうために、UNESCO-UIA 認
定制度委員会によって報告グループが任命される。
報告グループは認定を申請した教育機関を実地審査し、その教育プログラムを評価する。報告グ
ループは、認定申請に対する賛否の理由を付した報告書を、UNESCO-UIA 地域認定委員会を通
して UNESCO-UIA 認定制度評議会に提出する。
妥当であれば、UNESCO-UIA 認定制度評議会は、教育プログラムに対して初回の認定をあたえ
る。
教育プログラムの認定の有効性を維持するためには、教育機関は UNESCO-UIA 認定制度評議会
による再評価を 5 年ごとに要請しなければならない。
- 16 -
IX.3
教育プログラムに対する報告グループ
それぞれの報告グループの通常の構成は以下による。
IX.3.1
UNESCO-UIA 地域認定委員会委員
報告グループのグループ長および幹事として UNESCO-UIA 地域別認定委員会から指名された当
該地域委員会委員 2 名。
IX.3.2
UIA 地域委員会から指名された者
当該国が所属する UIA 地域委員会からとくに指名された実務建築家 1 名
および当該国が所属する UIA 地域委員会から指名された受審プログラム以外の教育関係者 1 名
IX.3.3
資格登録機関の代表者
当該地域の資格登録機関のメンバーまたは法的に登録された建築家 1~2 名
該当する登録機関または建築家の登録に責任のある組織が存在する場合は、UIA 地域委員会から
連絡し、報告グループに 1~2 名の代表を指名するように依頼することになる。
IX.3.4
学生代表
最終学年の学生代表が含まれていなければならない。
IX.3.5
最終的な構成
それぞれの報告グループは少なくとも 5 名はいなければならない。
IX.4
認定制度に対する報告グループ
構成は、IX.3 と同様とするが、IX.3.1 のメンバーは UNESCO-UIA 認定制度評議会から指名され、
IX.3.2 のメンバーは当該 UIA 地域委員会によって指名され、IX.3.3 と IX.3.4 のメンバーは認証申
請した認定システムによって指名される。メンバーはできるかぎり、職能を幅ひろく代表してい
なければならない。
報告グループの最終的な構成は、UNESCO-UIA 評議会と認証申請した認定制度とのあいだで協
議してもよい。それぞれの報告グループは少なくとも 5 名はいなければならない。
IX.5
報告グループの追加メンバー
UNESCO-UIA 評議会は、メンバー追加が進行上可能である場合、もしくは評価を受ける認定制
度や教育プログラムからメンバー追加の要求がある場合は、すべての報告グループに対してメン
バーの追加推薦をおこなう権利を有する。そのメンバーには助言的な役割をはたしてもらうもの
とするが、人文科学、社会科学の専門家や、外部の教育関係者、実務家、あるいは大学院生や学
生があたることになろう。
IX.6
言
語
一次報告書は、UNESCO と UIA の実用語である英語とフランス語のいずれかもしくは両方の言
語で記述するものとし、任意で UNESCO と UIA のその他の公用語であるスペイン語、ロシア語、
中国語、アラビア語を加えてよい。
- 17 -
UNESCO-UIA 評議会の最終報告書は、英語およびフランス語で記述するものとし、必要に応じ
てその他の言語を加えてもよい。
言語の選択は UNESCO-UIA 評議会と、審査を受ける認定制度もしくは教育プログラムとの協議
によるものとする。
IX.7
認証・認定のプロセス
IX.7.1
開始するための文書
認証・認定のプロセスは以下の内容を含む開始のための文書によって始まる。
•
•
IX.7.2
UNESCO-UIA 認定制度評議会と受審する機関とのあいだで結ばれた署名のある協定書
署名のある当該書類一式
評価の種類
UNESCO-UIA 認定制度評議会は、事案ごとに提出された報告書を審査し、以下のいずれかの決
定を行う。
初回認証・認定(無条件、5 年間)
条件付き認証・認定(2 年間、報告グループの次回実地調査までに満たすべき条件を指摘)
認証・認定の暫定的保留(1 年間の保留、報告グループの次回実地調査までに満足たすべき条件
を指摘)
認証・認定の否認
IX.7.3
決定の順序
UNESCO-UIA 認定制度評議会に提出される認定制度の認証に関する評価案と、UNESCO-UIA 地
域認定委員会から評議会に提出される教育プログラムの認定に関する評価案は、評議会で評価さ
れ投票にかけられるものとする。認定制度の認証に関する決定は、正当な権利を有する全委員の
絶対多数を必要とし、教育プログラムの認定に関する決定は、評議会の正当な権利を有する委員
の半数プラス 1 名を最低数とする定足数のもとにおける出席者の過半数(つまり 10 名)を必要
とする。可否同数の場合は、議長が決めるものとする。
UNESCO-UIA 認定制度評議会は、認証・認定が与えられたもののリストを毎年、UNESCO と
UIA に通知し、その後公表される。
認定制度や教育プログラムが認証や認定を受けられなかった場合は、つぎの申請までの期限は設
けないものとする。否認する場合は、その機関が将来認証・認定されることの助けになるような
建設的な講評と援助を提供するものとする。
認定制度や教育プログラムが本格的な評価を受ける状態にあるかどうか見極めるために、予備的
な訪問調査が必要になることがあるかもしれない。この予備調査の目的は、本格的な実地調査が
おこなわれるまえに処理されるべき事項をあきらかにすることである。
- 18 -
UNESCO-UIA 評議会は、新たな状況が生まれて実地調査が必要だと判断した場合は、どのよう
な認証をうけた制度もしくは認定をうけたプログラムであっても、評価し実地調査するための特
別の報告グループを設置することができる。
IX.7.4
財
政
UNESCO-UIA 認定制度の適正な財政は、認定を申請した認定制度あるいは教育プログラムが負
担するものとする。ただし、UNESCO が負担すべき UNESCO の指名した委員の費用は除く。
将来の財政負担を軽減するためにスポンサーをみつける努力をおこなうものとする。
- 19 -
付 録 A
評価の手順
A.1
基本情報
認定制度の認証を求める認定制度に対しては、UNESCO-UIA 認定制度評議会から、基本情報を
確認するために必要な設問を内容とする書類が送付される。教育プログラムの認定を求める教育
機関には、この書類は当該 UNESCO-UIA 地域委員会から送付される。
認定制度もしくは教育プログラムに対して責任を負う機関は、この書類に書かれているすべての
設問に対する回答を、当該認定制度もしくは教育プログラムをより深く理解するのに必要と思わ
れるその他の情報とともに、4 週間以内に提出しなければならない。
UNESCO-UIA 認定制度評議会もしくは地域委員会は、この情報が実地審査の準備を始めるのに
に十分であるとして受領するか、そうでない場合は追加情報を要求するものとする。
A.2
A.3
認定制度に要求される情報
報告グループの実地審査のまえに、以下の情報が、UNESCO-UIA 認定制度評議会に送付されて
いなければならない。
A.2.1
基礎情報
認定制度を運営する機関の名称。機関の代表者。申請に関する問い合わせをするときの
主要な担当者の名前と地位
A.2.2
機関についての説明
機関およびその機関の歴史についての簡潔な説明
A.2.3
認定制度の歴史
認定制度の歴史についての簡潔な説明と認定した教育プログラムの一覧
A.2.4
認定制度の目標と目的
認定制度としての教育に対する考え方についての説明
A.2.5
報告グループの調査対象として UNESCO-UIA 評議会が選んだ少なくとも 3 つの教育プ
ログラムについての詳細
選ばれた教育プログラムは、その認定制度の権限下にあること
教育プログラムに要求される情報
報告グループの実地審査のまえに、以下の情報が、UNESCO-UIA 認定制度地域委員会に送付さ
れていなければならない。
A.3.1
基礎情報
機関の名称と所在地。課程に責任を負う教育プログラムの名称。教育プログラムの代表
者。申請に関する問い合わせをするときの主要な担当者の名前と地位、電話番号、ファ
- 20 -
クス番号、E-mail アドレス。
A.3.2
機関についての説明
機関およびその機関の歴史についての簡潔な説明
A.3.3
教育プログラムの歴史
教育プログラムの簡潔な歴史
A.3.4
教育プログラムの目標と目的
教育プログラムの教育、授業、学習に対する考え方
A.3.5
教育プログラムの構成
修了要件を含む教育プログラムの構成についての簡潔な説明。スタジオおよび非スタジ
オの課業を含むすべての授業科目のシラバス、科目ごとのリーディング・リスト、科目
ごとの評価方法の詳細。履修の手引きなどの冊子類も提出が必要。
A.3.6
経営組織
教育プログラムが所属する組織全体の意思決定のプロセス
A.3.7
教員の概要
教員の履歴書、教育活動、研究・著述・コミュニティ活動・実務など教育以外の活動
A.3.8
学生数
学生数の包括的な説明(数、性別、昼夜別)および課程の性格に影響を与えていると思
われる学生の学習経歴の特色を述べた説明書
A.3.9
物的施設
スタジオ、教室と設備、演習室、実験室、コンピューターと情報システム、資材センタ
ー、図書館、教員室など、教育プログラムが使用するすべての施設の詳細
A.3.10
自己評価
以下の事項についての 3000 語程度の記述
a.
b.
c.
d.
e.
f.
委員会や外部評価報告書で指摘された問題
前回の実地審査以降、教育プログラムにおこった変化
前回の実地審査以降、人員配置の変化による影響
UNESCO-UIA 憲章、教育機関としての公的教育方針、資格登録機関の要件からみ
た、教育プログラムの目標の批判的な評価
教育プログラムの特色
教育プログラムの自己評価
A.3.11
統計情報
学生数(昼夜別)
、初年時学生数、過去 3 年間の修了者数、教員数、教員/学生の比率。
A.3.12
品質保証の手続き
内部点検の方法と教育プログラムの評価。
- 21 -
A.4
実地審査の日程
A.4.1 報告グループのグループ長は、認証を受けようとしている認定制度に責任を持つ機関、
もしくは認定を受けようとしている教育プログラムと連絡を取り、実地審査の計画を立
てる。また、グループ長は、必要に応じて追加情報を請求してもよい。
A.4.2
A.5
報告グループのグループ長は当該機関との協議のあと、報告グループのメンバーを招集
する。メンバーは全員、1 週間以内に参加の可否を確認しなければならない。参加でき
ない場合は、代理の人が指名されることとする。
報告グループの実地審査
教育プログラムに責任を負う教育機関に対する実地審査は、フルタイムで 3 日とする。審査の対
象は、審査可能な施設、全科目について学生の成果の過去 12 か月以上にわたる展示物、カリキ
ュラムが課程全体にわたってどう展開していくか学年ごとにわかるように示したもの、全科目に
ついて予習課題や宿題をふくめて学生がつくりだした成果物および学年ごとの試験結果が科目ご
とに優秀な例から平均的な例まで成績別にわかるもの、学生の最終成果やプロジェクト、教員の
研究などである。教員の成果物の展示は望ましい。
実地審査の期間中に、報告グループは教員、学年別の学生、その学校から最近卒業した建築家、
地域の職能団体の会員と個別面談をおこなうものとし、さらに当該教育機関の理事者との面談も
おこなってよい。
A.6
推奨される報告グループの活動
教育プログラムの代表者および幹部教員との予備的面談
学生の作品の概観
教員との面談
学年別の学生の作品の閲覧
教育プログラムの代表者および幹部教員との意見交換
学生との面談
教育プログラムの施設についての調査
教育プログラムの代表者および幹部教員との最終面談
学校当局との最終意見交換
A.7
一次報告書
A.7.1
報告グループは、認定制度あるいは教育プログラムについての暫定的な評価を含めて、
その日の活動に関する一次報告書を毎日書くものとする。
- 22 -
A.8
A.7.2
報告グループは、実地審査の最終段階で、認証や認定が与えられるべきか否かの案を含
む報告グループとしての最終報告書の草案をかためるものとする。この報告書草案には
報告グループ全員の署名が必要であり、当該機関への勧告が含まれていなければならな
い。
A.7.3
実地審査の 1 週間後に、報告グループの幹事は、グループ長と相談したあと、最終報告
書の草案を報告グループ全員に E-mail で送付する。報告グループのメンバーは 10 日以
内に修正提案および報告書草案への賛否を、認証・認定の可否とともに伝えなければな
らない。
A.7.4
報告書が過半数の賛成を得た場合、または報告グループのグループ長の票をふくんで
50%の賛成を得た場合は、報告グループの幹事は、各メンバーの委員の個別意見を添え
て、全ファイルを、認定制度の場合は UNESCO-UIA 評議会に、教育プログラムの場合
は UNESCO-UIA 地域委員会に送るものとする。この報告書は、認証・認定を求める機
関への実地審査終了後、1 か月以内に作成されなければならない。
UNESCO-UIA 地域認定委員会報告書
A.8.1
A.9
UNESCO-UIA 地域認定委員会は、その管轄下で評価された個々の教育プログラムにつ
いて、認定の可否に関する提案を含む報告書を作成し、UNESCO-UIA 認定制度評議会
に送付するものとする。
UNESCO-UIA 評議会の決定
A.9.1
UNESCO-UIA 認定制度評議会は、認定制度の認証および教育プログラムの認定につい
ての最終決定をおこなう。
- 23 -
付 録 B
用
語
B1. 建築家
建築職能実務に関する国際推奨基準の「建築家」の部の 4 ページ参照
B2. アクレディテーション/バリデーション/リコグニション
建築職能実務に関する国際推奨基準の「アクレディテーション/バリデーション/リコ
グニション」の部の 6 ページ参照
B3. 建築実務
建築職能実務に関する国際推奨基準の「建築実務」の部の 4 ページ参照
- 24 -
付 録 C
UNESCO-UIA 建築教育認定委員会の活動組織
A.
委員会(57 名)
17 名の評議会メンバー(7 名のコーディネーショングループと 10 名の地域委員会共同議長)お
よび 40 名の地域委員会の委員
B.
評議会(17 名)
共同議長 2 名、代表リポーター1 名、および以上 3 名ととともコーディネーショングループを形
成する 4 名、および各地域委員会の共同議長 10 名
Wolf Tochterman ···············································共同議長
Vassilis Sgoutas··················································共同議長
Fernando Ramos.················································代表リポーター
Brigitte Colin ······················································委員
Kamal El Jack·····················································委員
Jean-Claude Riguet·············································委員
Sara Topelson de Grinberg·································委員
地域委員会の共同議長
第 I 地域·····························································Paul Hyett
第 I 地域·····························································Roland Schweitzer/Alain Viaro
第 II 地域 ···························································Alexandre Koudryavtsev/ Alexandru Sandu
第 II 地域 ···························································Vladimir Slapeta
第 III 地域··························································James Scheeler
第 III 地域··························································Sara Maria Giraldo/ Enrique Vivanco Riofrio
第 IV 地域··························································Louise Cox
第 IV 地域··························································Nobuaki Furuya
第 V 地域···························································Ambrose Adebayo
第 V 地域···························································Said Mouline
C.
地域委員会*(それぞれ 10 名からなる 5 委員会)
それぞれの地域委員会は 2 名の共同議長と 8 名の委員から構成される。
* 地域委員会はつぎの 5 地域に対応している。
西欧(I)
、東欧と中東(II)
、南北アメリカ(III)
、アジア・オセアニア(IV)
、アフリカ(V)
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