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原子力エグゼクティブアップデート - Electric Power Research Institute

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原子力エグゼクティブアップデート - Electric Power Research Institute
原子力エグゼクティブアップデート
EPRI 進展報告
2007 年 7 月
原子力エグゼクティブアップデートは毎月 2 回発行されます。ニュースレターに関するコメントは、[email protected], 704595-2076 Brian Schimmoller までご連絡ください。
フランスはこれまでも世界中の人々を何世紀にも渡って歓迎してきました。1783 年のパリ協定では新興国アメリカと大英帝国と
の対立に終止符を打ち、1898 年のパリ協定ではアメリカ・スペイン戦争を終焉させ、夏期・冬期オリンピックが 1924 年(パリ)、
1968 年(グルノーブル)、1992 年(アルベールビル)と開催され、1994 年の連合軍のノルマンディ上陸作戦では多国からのあらゆ
る階級を超えた人々が共通の目標に向かって手を組んで戦いました。2007 年 6 月の初旬、EPRI の原子力発電協議会
(NPC)のメンバーがフランスでもう一つの共通目標を掲げて一堂に集まり、原子力発電が、安全かつ経済的で自然に優しい
(CO2 排出ゼロの)電源として今後も世界中で持続的発展・拡大していくための優先研究課題と打開策について討論しました。
6 月 4 日から 7 日までフランスのバリで開催された NPC 会議は、EPRI の原子力研究活動が国際的な規模に成長している証
しともいえるでしょう。 EDF グループの主催で開かれた NPC 会議には、米国・ヨーロッパ・南米・アフリカ・日本等において大部分
の原子力プラントを運営する 30 社の米国及び国際的な電力会社の経営幹部が参加しました。これらの経営幹部は多国に
亘って世界規模でますます増えつつある EPRI の原子力メンバーを代表しており、現在、北米以外にも 7 カ国の 8 つの電力会
社が含まれています。
この多様なメンバーのニーズ、期待、観点をまとめようとすることは容易ではありません。国境線が非現実的といわれるようになった
とはいえ、文化・経済・ビジネスの違いは現実でも存在しています。今回パリでの NPC 会議が、北米地域以外で初めて開催さ
れた理由には、これらの多様性を認識・活用する良い機会とするために、有益な話し合いを始めたいという希望から成るものでし
た。このような取り組みは EPRI の使命であり、協力体制を確立し,メンバー全員の投資利益をさらに増大させようとするものであ
ります。
国際的な取り組みを成功させるための大切な鍵はコミュニケーションです。メンバーからはニ―ズを汲み上げ、 EPRI からは能力と
解決策を伝えるのです。私がパリの NPC 会議の締めくくりのコメントとして申し上げましたように、このコミュニケーションは双方向
的なものでなければなりません。こちらからのコミュニケーションに対する皆様の声をお聞かせ願いたいと考えております。すなわち、
EPRI の原子力研究開発活動の内容は皆様に十分伝わっていますでしょうか?特に、このニュースレターは、皆様と EPRI との
関係において、的確な内容を的確なレベルでお伝えしていますでしょうか?もし伝わっていない場合は、どのような面で改善が必
要とお考えでしょうか?
皆様のご意見、関心事、ご批判、ご質問をお聞かせ下さい。皆様と EPRI との関係を最善なものとし、さらに協力体制を強化し
ていきたいと考えております。
EPRI 原子力部門統括責任者兼原子力最高責任者 Dave Modeen
原子力エグゼクティブアップデート: 1
テクニカル
ハイライト
EPRI がパリの原子力発電協議会で世界規模の取り組みを強化
米国内外 30 社の電力会社の代表者が EPRI の原子力関係リーダーと原子力エネルギーの世界的研究開発の優先課題に関し
て討論
国際的な電力会社及び研究機関との長年にわたる協力の歴史に基づき、EPRI は、国や分野の境界線を越えた広範囲の横
断的な課題に挑み、世界規模の取り組みを拡大しております。国際的なメンバーが EPRI に提供する観点は、原子力研究活
動の価値、範囲及び適用可能性を強化すると同時に、全世界に影響をもたらす新しい研究課題へと視野を広げるきっかけと
なっています。
この発展的な世界規模の協力体制を反映する活動として、6
月初旬にはパリで EPRI とフランス電力庁 (EDF)共催による
EPRI 原子力協議会(NPC)会議が開かれました。この会議の主
な目的は原子力エネルギーに関する世界的な研究開発の優
先事項を話し合うことにあり、経営幹部が日々の課題の対応に
追われるだけでなく、原子力エネルギーの利用・拡大のための長
期的戦略に焦点を絞って考える機会を与えることにありました。
この会議には米国内外から30社の電力会社の代表者が参加
し、シェルブールのラ・アーグ再処理施設やシャトゥーの EDF 研
究開発施設を見学する機会も提供されました。
会議参加者は以下の幾つかの鍵となる分野における研究開発
の優先事項を確認しました。
•
EDF の 4 基の Paluel 原子力プラント
材料及び構成機器の性能 – プラントの性能を長期的に維持するため、原子力業界は、基本的劣化メカニズムの最新把握
に基づいた強固な予測ツールを開発・導入しなければなりません。特に電力会社からは、検知や修理・交換の決定を導くため
的な課題としては、鋼鉄のホウ酸腐食、電線の老朽化、地下パイプ腐食、コンクリートの老朽化、鋳ステンレスのの監視や予
測ツールの必要性が強く訴えられました。追加的な研究開発から益する緊急な課題としては、応力腐食割れ、機器の故障
(変圧器など)、熱疲労、高サイクル疲労などがあります。研究開発を必要とする長期な問題としては、鋼材のホウ酸腐食、
ケーブルの高経年化、埋設配管の腐食、鋳物の熱による高経年脆化、そして機器の老朽化(旧式化)などがあります。
•
人材資源の課題 – NPC 会議では、既存スタッフが大幅に入れ替わり、同時に新しいプラントの建設と運転のために必要な
人材の教育と研修 を行っている状況の中で、高いプラント性能を維持していくことの難しさについて話し合いました。この課題
に対して、NPC の参加者からはいくつかの解決策が提案されました。例えば、新しい技能の習得が必要となった時でもプラント
の要員数を削減出来る技術の開発、研究開発活動を活用して若い人材に原子力分野への関心を高めてもらい教育と研
修の機会を与えること、専門知識の習得と伝達を改善すること、大学や研究機関との交流を深めて原子力エネルギーを期待
されるエンジニアや技能者に推奨することなどです。これらのオプションを組み合わせて活用することが最善であるが、最も効果
的な選択肢は国によって異なる事も事実です。
•
原子燃料の再処理 – NPC 会議ではオープン型(使用済み燃料貯蔵と収納施設)及びクローズド型(再処理、リサイクル、
増殖炉)燃料サイクルに関する 技術問題が議題として取り上げられました。重要な課題としては、ウラニウムの利用、貯蔵施
設からの燃料の回収、再処理技術の熟成、使用済み燃料管理と商業用原子炉導入戦略の適合、社会的受容などが含
まれました。参加者からは、再処理と貯蔵技術を独立に検討評価し、それに伴う危険性と費用を定量化すべきとの提案があ
りました。
•
最新型原子炉の設計 – 20 年から 40 年先の商業化へ向けて提案された Gen.IV のような最新型原子炉の設計には、多数
の魅力的な能力が加わる予定です。例えば、安全システムの強化、廃棄物発生の最小化、拡散防止策、そして熱回収と
水素生産との両立性などです。Gen.IV の設計推進は各参加政府によって行われていくと思われますが、EPRI としても、その
開発過程に参画し、新しい設計が経済的制限条件、受動的安全性・セキュリテイの向上、運転経験(材料と化学など)、
計装・制御システム、建設及び使用前検査、最新の燃料設計及び燃料サイクルなどを統括できるように働きかける意向です。
原子力エグゼクティブアップデート: 2
NPC 会議では原子力がいかに小さなコミュニティであるかを再認識しました。高レベルの技術的な複雑さや原子力エネルギー関
連の規制当局の監査などによりプラント運営者は共通の視点から多くの課題に直面しています。このような環境の中、関係者
にとって拡大する国際協力はとても重要であり、その観点がコミュニティ全体の未来に価値をもたらす技術や実践となって還元さ
れるものと考えられます。
このセミナーによって、EPRI がこれらの活動でリーダー的役割を果す立場にあり、新プラントの建設前、建設途中、建設後の過
程の中で、既存の原子力プラントの諸問題に対して考案された多くの解決法を新しいプラントに継承していく役目があるものと
再認識しました。このような知識伝達は、原子力プラントの環境下の教訓や開発された技術を、新しい設計、運転保守管理に
効果的に取り入れていくことを可能とします。
プロセスマッピングがライフサイクル資産運用決定をサポート
EPRI の資産運用プロセスマッピングが原子力プラントの費用効果の高い運用を可能にし、ビジネスの焦点を明確にします。
原子力プラントの運営者は資産運用決定を下す際に、多くの競合する目標を調和させる必要があります。原子力資産運用
(Nuclear Asset Management=NAM)プロセスは、適切な原子力安全レベルを保ちながら、このような調和を達成するための構
造的方法を提供します。EPRI は 2008 年に NAM 活動のベンチマークとなるプロセスマッピングプロジェクトを試験的に運用し、
最も効果的な運用活動の最良識別を行う予定です。
この NAM プロセスの内容は産業用に発行された AP-940 に記載されており、ここには NAM を採用する際に必要な機能関連
の一般的ガイドラインが提示されています。この AP-940 は一般向けに書かれているため、観点が広範囲で多岐にわたる解釈
がなされており、AP-940 実施の基準としては非効率的な内容となっています。一方プロセスマップは、効果的な実施に必要な
一貫性と再現性を提供するものであり、役割定義、責任、主要成果物、期待、説明責任、関連、入力・出力情報などを明
確に表しています。これにより、ベストプラクテイスの促進、運用標準化の推進、そして法規制の順守を可能なものとします。
プロセスマッピングは、所定の目標を達成するためのアクションを明記しており、目標に基づいて活用されるべきものです。また、プ
ロセスマッピングは多次元的であり、どの人が(who モデル)、どんな具体的な活動を(what モデル)、所内のどこで(where モデ
ル)、どの時期に(when モデル)、どの情報源を使って(which モデル)実行するかを考慮します。そしてこれらのモデルが統合され
ることにより論理的構造が追加され、各課題がどのような手順で達成されるか(how モデル)が特定されます。
このモデル方式を EPRI が選択した理由は、この方式が金融サービス、政府機関、製造業、原子力発電などの幅広い分野で
ビジネスの価値を向上させている実績に着目したからです。マッピングプロセスは三つの電力会社の対象エキスパート(SME)のコ
アグループを活用することにより、NAM プロセスの詳細な理解を得ることに成功しました。さらに他の原子力発電会社の SME、そ
して業界の上級管理職者からなる技術諮問グループからも協力を得ることができました。
原子力施設はプロセスマッピングの結果を活用することにより、資産運用プロセスの効率と有効性を改善し、各立案過程間の
主要成果物の統合を改善し、明白かつ再現性のある成果を実現させることを可能とします。2008 年の試験運用プロジェクトは、
先入観に左右されないでモデルの妥当性を確認するため、プロセスマッピングの開発に直接関わりのなかった電力会社にて行わ
れます。
詳細情報は 電話 610-429-9834 内線 18 または [email protected] Steve Hess までお問合せ下さい。
原子力エグゼクティブアップデート: 3
パイロットプロジェクトが原子力プラントのケーブル経年劣化対応を可能なものとする
EPRI の プラント支援技術グループ(PSE)が電力会社を援助し、効果的なケーブル経年劣化管理プログラムを開発。
原子力発電プラントで極端な劣化や不具合を起こした低・中電圧ケーブルが発見された事例により、厳密なケーブル経年化劣
化管理プログラムの必要性が浮き彫りになりました。これらのケーブルシステムは、しばしば劣化や不具合の発生を加速させるよ
うな厳しい環境にさらされています。例えば、中電圧ケーブル(4.16kV以上)が湿った地下に埋められている場合、電気絶縁劣
化が急速に起こる可能性が高くなります。特に製造時に気泡や化学物質が混入した場合などは注意が必要です。このような
劣化が進み、電気故障が起こるまでには通常数十年を要しますが、多くの発電所はその年数に近づいています。
米国原子力規制委員会( U.S. Nuclear Regulatory Commission)
は2007年初頭に2007-01書簡を発行し、米国電力会社に対して、
アクセスが難しい中電圧ケーブルの故障データおよびその状態監視プ
ログラムの内容を提出するように要請しました。この書簡では電力会
社に対して低電圧ケーブルの故障デ―タ提出も要請しており、NRC
がケーブル不具合に関して高い関心を持っていることを示しています。
ケーブル劣化を初期段階に対処するため、電力会社は稼働中のケ
ーブルに不具合が発生することを防ぐ一方、良好なケーブルを不必要
に交換しなくて良いようにする正確なガイドラインを必要とします。
過去数年にわたり、EPRIのプラント支援技術プログラムでは研究プロ
ジェクトを通してケーブル経年劣化の構造、経年劣化モデル、状態監
視技術、経年劣化管理方法などの確認・評価を行ってきました。こ
れらの研究結果は価値のある手引書と情報を提供しているにもかか
この写真はケーブル経年劣化が局所的であることを
わらず、これまで実際にこの知識を包括的ケーブル経年劣化管理プ
示しています。劣化ケーブル部が無傷で柔軟な
ログラムに取り入れたプラントはあまり多くありません。
部分と隣り合わせになっています。
EPRI ではパイロットプロジェクトを立ち上げることにより、低中電圧ケーブルシステム向けのプロセスの全容を実演しています。この
プロセスには、特に経年劣化が起こりやすいケーブルの確認方法、所内ケーブルの状態評価、長期的ケーブル経年劣化管理
活動の確認 などが含まれています。このパイロットプロジェクトの機会を提供する電力会社では、その一つの原子力プラントでケ
ーブル経年劣化管理の評価という恩恵を受け、参加者は自ら所有するプラントで実際にケーブル経年劣化管理を行うにあたっ
てどのような点に注意すればよいのかの知見が得られます。このプロジェクトには、ケーブル性能の理論的評価と運転環境の比
較、電気主任監督者や電気工からのケーブルに係わる体験談、最悪ケースのケーブルの評価、所内ケーブルシステムの継続的
管理に対する推奨などが含まれています。
本プログラム参加者はケーブルシステム経年劣化管理の研修機会、ケーブルシステム評価の実際体験、早期の経年劣化の可
能性が高い使用状態の確認といったことから知識を得ることができます。詳細は、704-595-2073 または [email protected]
Gary Toman までお問合せ下さい。
原子力エグゼクティブアップデート: 4
EPRI が蒸気乾燥機の健全性問題の取り組みに対する指針書を作成
指針書は出力アップを計画する場合に必要な蒸気乾燥機の構造上の健全性を確認するステップと基準を明確化。
近年に発生した蒸気乾燥機破損により、大幅な出力アップを計画する電力会社は規制当局の認可に先立ち蒸気乾燥機の
健全性を確認する必要があります。EPRI では、過去の研究と教訓に基づき蒸気乾燥機の健全性の評価と解決のための包括
的な指針書の作成へ向けて業界の取り組みをリードしています。
2003 年 Exelon の Quad Cities 原子力プラントでは、大幅な出力アップに
上げた直後に蒸気乾燥機が破損するという被害にあいました。根本原因
分析の結果、同プラントの破損は主蒸気ラインからの高周波・高繰り返し
応力が原因であったとの結論に達しました。その後の他のプラントでの調査
では、ある条件の下では低周波応力が蒸気乾燥機にかかる場合があると
分析されました。
Quad Cities での事例から、また出力アップが蒸気乾燥機に与える影響の
不確かさから、米国原子力規制委員会(NRC)は、電力会社が出力アップ
の条件下での蒸気乾燥機への応力を予測し、その条件下での運転を正
当化するためにその応力を評価するように義務付けています(規制ガイド
1.20、試運転及び起動試験中の原子炉内部構造物に対する包括的振
動評価プログラム(Comprehensive Vibration Assessment Program for
Reactor Internals during Preoperational and Initial Startup Testing)
機器を搭載した蒸気乾燥機
の改訂3参照)
EPRIではQuad Citiesで蒸気乾燥機破損が発生した直後からこの問題に取り組んでおり、BWR 原子炉・内部構造物プログラ
ム(BWRVIP)を通して、General Electric社とContinuum Dynamics社が行う作業内容の技術的監視の役目を務め、正確な
蒸気乾燥機の応力評価方法の開発に努めております。しかし重要な進歩を遂げた一方で、特定の分野では不明確な課題が
残っています。蒸気乾燥機の評価に関して電力会社を援助するために、BWRVIP/BWROG の幹部審査委員会は、最近
BWRVIPに対して、蒸気乾燥機構造の健全性を実証するために容認可能な対策を明確にする蒸気乾燥機評価ガイドライン
を作成するように指示しました。
このガイドラインは、特定の応力評価方法を要求するものではなく、出力アップを計画している電力会社が蒸気乾燥機構造の
健全性を実証するための方法として必要なステップ・確認レベルなどを定義するものです。このガイドラインは規制ガイド1.20に概
要されている項目に対応するものであり、NRCによって見直され、承認を受けます。
詳細情報は、704-595-2226 または [email protected] John Hosler までお問合せ下さい。
原子力蒸気タービンイニシアティブ (NSTI)がオンライン試験に対する規制指令に挑む
EPRI の NSTI プログラムは火力等発電部門の タービン発電機プログラムとのパートナーシップを活用し、タービンと発電機のオン
ライン試験に対する原子力エネルギー規制委員会(NERC)から規制指令のような重要な問題に取り組む。
送電網の停電、プラントのトリップ、破損機器について関心が上昇し、北米電気信頼性団体(NERC)は送電事業者に対して、
直ちに発電装置とタービンのオンライン試験を義務づけ、そこで使用されている負荷追随及びと安定性モデルの立証を要求しま
した。EPRI は原子力蒸気タービンイニシアティブ(NSTI)を通して、試験を成功させるための最適運用方法を電力会社に提供し
ています。
送電計画モデルの不正確さによって、送電オペレータがモデル情報から安全と見られた作業を処理する際に送電網の停電を発
生させる可能性があります。そのような混乱の可能性を最小限に抑えるため、NERCが発電機の実際および無効発電容量のオ
ンライン試験を義務づける一方、地区信頼性団体は混乱が起こった際の周波数応答と電圧維持の試験方法を規定する予
定です。試験は定期的に行う必要があり、初回の結果と実施は2008年に開始されます。
EPRI レポートが、この NERC 指令に準拠するために電力会社が必要なポイントを考察します。
• メンバーに NERC タービン発電機試験要件に関する教育を行う
• 業界の経験、最適運用方法を収集し共有する
• 機器、プラントまたは送電システムに悪影響を及ばさないオンライン確認方法を提案・収集する
• オンライン試験を準備し、成功させるための指針を提供する。
原子力エグゼクティブアップデート: 5
NERC のオンライン試験の規制指令に対しても、NSTI は新たに発生する問題に対する対応能力を有しています。この他、
最近取り組んだ業界の問題には、タービン発電機シャフトのねじり振動、羽根やデイスクの亀裂と関連検査技術、タービンの水
化学問題、特にプラントの停止と運行休止のやり方に関するもので、発電機ロータ―接合部の腐食および亀裂、タービン発電
機の定検期間の短縮、タービン蒸気流路の性能評価設計ツールなどがあります。また、NASA が開発した金属疲労による損
傷と寿命消耗を確認する為の疲労センサー技術といった新しい技術の開発も考察の対象となっています。
この NSTI プログラムは、1999 年後半にメンバーから挙げられたニーズに基づき、原子力蒸気タービン発電機の問題に取り組む
研究開発プログラムとして設立されました。資金を最も有効に活用する為、NSTI は 1970 年代後半から活動をしていた EPRI
の発電部門の蒸気タービン発電機と BOP のプログラム(プログラム 65)とのパートナーシップを形成しました。この両方のプログラム
からの提供情報は双方のプログラムのメンバー間で共有されています。NSTI の研究は主要な4つの分野に焦点を当ています。
それは運転保守、リスク管理、蒸気タービン性能、そして情報交換・電力会社のスタッフ教育です。NSTI のメンバーになると毎
年2回開催されているタービン発電機ユーザズグループ(TGUG)会議とワークショップへ参加することができます。この会議には世
界の主要な発電機製造会社 6 社全てが参加しています。GE、Siemens、日立、三菱、東芝、Alstom の6社です。
NSTI の情報に関しては、EPRI タービン発電機プログラムマネジャーの Alan Grunsky 704-595-2056 または
[email protected] までご連絡下さい。
SMART ChemWorks がプラントの化学管理に対する早期警告システムを提供
SMART ChemWorks 等のオンライン監視システムが、新らたに起る問題の予知的解決を可能にし、プラントの化学管理スタッ
フの負担を軽減する。
自動化された監視システムは、新たに起る問題に対して原子力オペレータの感受性を向上させ、同時にスタッフの専門知識喪
失の心配を軽減します。EPRI の SMART ChemWorks システムは、運転・保守の決定に影響する主要化学パラメタをリアルタ
イム・オンラインで監視しています。会員からのサポートによる継続的な改善と改訂は、教訓と新技術を反映しており、このツール
は次世代の原子力作業員が直面するであろう課題にも有益なものであります。
原子力産業の人材が高齢化しており、原子力発電所の中にはこの先十年のうちにスタッフの世代交代を余儀なくされているとこ
ろもあります。さらに、高い技術を持った技術者が部署によっては日常課題である仕事に時間をさかれ、緊急は要さずともとても
重要な作業に従事できないケースがあります。EPRI の SMART ChemWorks 水化学監視および支援システムは、日常の化学
分析の評価、プラントの悪性化学物質の早期認定、そしてリアルタイムで新らたに起る問題に警告を与えることにより、化学部
門の技術スタッフを支援します。例えば、復水器管の小規模な漏れが発生した際の早期発見によりプラントのスタッフや管理者
が予知的方法で計画し、対応できるようになります。
SMART ChemWorks は現在いくつかの施設で採用され成功しています。例えば、Entergy 社では SMART ChemWorks を機
器の校正の最適化に使用しており、化学データ管理システムが提供できないような有益的洞察を可能にしています。化学者が
他の作業中であっても、自動警告と診断機能が化学者に通知信号を送り、またプラント概要情報は自動的にインライン計器
が稼動中かを探知します。産業内で SMART ChemWorks が取り入れられてからというもの、ふたつの INPO「強度」を生み出し
ました。
SMART ChemWorks は、図に示されているように EPRI
ChemWorks ファミリーにとって不可欠な部分です。この技術が
ひとつの分野で適応されると、直ぐに他の分野にも拡張されま
す。この先 3 年にわたって、EPRI は SMART ChemWorks ユー
ザグループの追加資金を活用し、SMART ChemWorks の機能
を大幅に向上させ、飛躍的にプラント要件を改善させる計画で
す。予定されている改良機能には、プラントでのデータトランスフ
ァーの監視・維持に費やす時間を縮小させるデータトランスファ
ー用ツールのリリース、より新しい EPRI 技術・ガイドライン・演算
を取り入れたデータエンジンの更新、同じ警告・演算ツールを適
用しながら他の非化学データを受け入れられる機能、より良い
ユーザインターフェイスと使いやすさを可能とする新デザインの
SMART ChemWorks ウェブサイトなどが含まれます。
SMART ChemWorks の情報に関しては、(817) 691-6494 ま
たは [email protected] David Perkins までご連絡下さい。
EPRI の ChemWorks スイート
原子力エグゼクティブアップデート: 6
電力会社が 新たに起る問題の解決策を EPRI のショップ・サービスに求める
機械加工、溶接、金属組織関連サービスが、新たに起る問題への迅速な対応支援を原子力業界に提供。
EPRI は緊急問題への対応を可能にする製作・分析能力を維持することにより、原子力メンバーと原子力業界全体へ与える
価値を高めるものとしています。EPRI のショップ・サービスが行う活動の多くは業界全体の原子力問題を支援しています。この中
には、ASME コードの変更、NRC 規制の決定、手続き認定などが含まれます。例えば、ショップ・サービス により EPRI は資格
認定試験イニシアティブ (PDI)の厳しい要件に合ったモデルの制作プロセス全ての面における品質保証を可能にしました。
最近 EPRI のショップ・サービス で、フランジ継手の保守を担当する原子力プラントスタッフの研修プログラムで使用する試験用ス
タンドを設計、製作しました。研修の中で、溶接、機械加工及び計装・制御のスタッフが協力して 150 ポンドの浮き出し表面フ
ランジを用い、適切なトルク負荷とシーケンシングを実演するためのボルトフランジのモデルを開発しました。ボルトフランジが正しく
組み立てられていない場合、8つの精密ひずみゲージボルトとデジタル表示メーターが本来の問題(更にその結果生じる漏れが
起こる可能性)を明示しました。ボルト実演ユニットは既にいくつか製作されており、国内外の電力会社で使用されています。
新らたに起る問題を認識し、それに対応するためには、適切なハードウェアが不可欠です。最近の実験室用機器への改良は、
色々な発電プラントのシミュレーションで使用されるモックアップの設計、製作、運転をする為に必要なツールを提供しています。
例えば、配管の健全性検査用モデルの開発、 ASME 修理コードケースの証明に必要なデータ、非破壊評価(NDE)基準の設
計と製作などです。
完全装備の冶金学研究室では、材料性能評価、不具合や欠陥の判断、製作された欠陥モデルの健全性の確認などを行う
ことができます。これらの研究室には、他に光学及び走査電子顕微鏡、引張検査機器、サンプル準備装置、化学分析などの
施設も含まれています。機械加工サービスには、フライス削り、のこ切り、EDM(放電加工)が含まれます。溶接機能としては、手
動・自動 GTAW(ガスタングステンアーク溶接)、GMAW(ガスメタルアーク溶接)、SMAW(被覆メタルアーク溶接)などがあります。
EPRI Shop Services の情報に関しては、704-595-2106 または [email protected] Artie Peterson までご連絡下さい。
1015345
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原子力エグゼクティブアップデート: 7
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