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はじめに . 放射線科医, 画像診断の現状 米倉 治・進藤 俊和・山角 麻美
学 独立行政法人国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科 はじめに 米倉 治・進藤 俊和・山角 術 麻美 れることが多くの放射線科医に望まれてい マルチスライス が普及し, 放射線科医 ます。 が診断しなければならない画像スライス数は こういった機能の変更のためには, その都 以前とくらべて著明に増加しています。 それ 度マウスのカーソルをわざわざメニューバー らの画像をよりすばやく操作するためには, に移動させてクリックする, あるいは右ボタ のコンピュータに付属しているマウス ンから表示されるメニューの階層に入って選 では機能不足であり, 十分に使いやすいわけ 択したりするのですが, 時間がかかり, 面倒 ではありません。 以前我々は画像操作に有用 な操作となっています。 そのため, 現在多く な 「 のメーカーのシステムではキーボードのキー 」 について報告しました )。 しかし 年 月に, にこれらのコマンド・機能をショートカット いままでより遙かに多くの機能設定が可能な として設定でき, 速い操作を可能にしています。 ロジクール社製マウス 「 しかし繊細なページング操作, 画像の拡大・ 」 が発売されました。 このマウスはさ 縮小, 画像の移動, ・ の微 らに我々放射線科医のニーズに合ったもので 細な調整などはマウスを使わないと困難であ あり, 迅速な画像診断レポート作成に有用と り, 画像操作時には右手はほぼマウスから放 思われ, 報告いたします。 せない状態であると思います。 さらにアミボ イスなどの音声入力ソフトを使用している施 . 放射線科医, 画像診断の現状 マルチスライス 設, あるいは の発達・普及により, による入 力をしている施設では, 左手に音声入力用の 画像はより細かく ( ∼ ㎜), そして容易 マイクを持っており, 画像操作のコマンド変 にきわめて広い範囲を撮像するという, 矛盾 更の度に, いちいちマイク, マウスから手を したことが可能となりました。 そのため, 我々 離してキーボード操作をしなければならない 放射線科医の診断しなければならない画像ス のは非常に非効率です。 ライス数は従前とくらべ飛躍的に増加してい ます。 マウスでほとんどの操作が完結できるといっ これらの画像を診断する時に行わなければ ならない操作は, 画像ページング, 画像の拡 大・移動, マウスでキーボードと同様なことができる, たことを望む, 筆者のような放射線科医も多 かったのではないでしょうか。 値測定, レイアウト表示変更, 画像シリーズの変更, ・ の 年 月に新しいロジクール社製マウス 」 がリリースされ 「 変更, 病変・腫瘍径の測定, 複数の画像の同 ました。 このマウスは多くのボタンを装備し, 期ページング設定, 最初のスライス, 最後の きわめて多数の機能設定が可能です。 我々は スライスへの移行, レポートを開く, レポー このマウスに注目し, 日常業務に導入いたし トを終了など多岐にわたっています。 勿論こ ました。 れら多数の機能・設定をすばやく切り替えら 鹿児島市医報 第 巻第 号 (通巻 号) (平成 年) 学 術 . ロジクール社製マウス 「 」 「 メガピクセル 秒 ・ レポートレート: レポート 秒 」 は, (多人数同時参加型オンラインゲーム) 用の マウスで, 合計 残念ながらコードレスマウスではありませ 個の操作可能なボタンをも ち, そのほとんどに んが, ケーブルは約 メートルの柔軟性・耐久 ゲームに求められ 性のある布巻き ケーブルです。 る複数キーや難しい組み合わせのコマンド入 「 力などを設定できます。 」 の特徴 . 搭載されているボタン <仕様およびスペック> ・必要システム: (図 を参照してください。 なおボタンの名 , , 称に がついているものがありますが, 意味 または ・空き はあまりないようです。) ポート ・オプションの設定:ソフトウェアをダウン ) 図 の , ・マウス本体サイズ(横×奥行×高さ): × 替えはできますが, 新しい機能の設定はで × きません。 ・ケーブル長: ・マウス重量: のボタンは通常のマウスの左 右ボタンと同じものです。 左右の機能切り ロードする場合はインターネット接続 ) のボタンは シフトボタンという名称 で, 薬指あるいは小指で操作します。 シフ (ケーブル含む) ・カラー:ブラック トボタンをホールドしている (押している) ・センサー能力 センサー方式:不可視レー 間は, 各ボタンに通常とは別の機能を割り ザー 当てることができるため, ・解像度: つのボタンで つの機能操作が可能になります。 トボタン自体にもシフト以外の機能の割り ・イメージプロセス(対スピード性能): 図 鹿児島市医報 第 シフ 巻第 号 (通巻 号) (平成 年) 学 術 当てが可能ですが, その場合, シフトは不 可能になってしまいます。 ) の左ホイール (ホイールを左に倒して 操作), の右ホイール (ホイールを右に倒 して操作), のホイールクリック (ホイー ルを押して操作) は通常の多機能マウスと 同じであり, 機能割り当てができます。 ) の ボタンは , モード切り替え (後述します) 専用で機能割り当てはでき ません。 ) の ) 図 ボタンは機能割り当てが可能です。 の のボタンですが, 本体左側に 配置された 個ものサムボタン (右手親指 以上, 全部で 右ボタン, のボタンがあるものの, 左 シフト, ボタンのように専用 で操作するボタン) であり, 外見上もっと の機能しか使えないものがあるため, 実際に も特徴的です。 サムボタンは前後 個 ( 個 は × 列) ずつ, グループ , ることができます。 プ , ∼ ∼ とグルー 個のボタンにのみ新しく機能を割り当て に分けられています。 しか もそれぞれのグループは 個のボタンごと . モード切り替え に, 同じ傾斜がつけられており, それぞれ (モード) 切り替え専用の やや向かい合うデザインを採用しています を使用することで モードを , (グループ では えることが可能です (ボタンを押すたびに循 ループ では ∼ ∼ と と ∼ ∼ 。 グ といっ , ボタン 環式に切り替わっていきます)。 と切り替 ∼ のモー た具合。 また中央のホームポジションにあ ドごとに る つのボタン, 別の機能を割り当てることができます。 , には感触でほか と識別しやすいように突起が設けてありま 個それぞれのボタンに対し, 全く モード では上記しました通り, 個の機 シフトボタンを併用することで す)。 こういった工夫がなされているため, 能に加え, 操作者がディスプレイから目を離すことな さらに く直感で操作し, すばやく確実に押し分け 当てができます。 モード でもモード と同様 られるようになっています。 これら 個の に ボタンすべてに機能の割り当てが可能です。 を使用できませんが, その代わり シフトボ なおサムボタンは バックライト付き の機能が追加でき, 計 の操作割り の機能を, モード では シフトボタン タン自体に機能を割り当てることで 個の機 で, ボタン自体を光らせることができます。 能が追加できます。 モード ∼ で総計 カラーは ( 万通り以上から選ぶことが できます。 そのイルミネーションパターン + + ) 個の機能を割り当てることが できます。 は 「連続点灯」, 「点滅 (点滅の間隔を設定 サムボタンの色, イルミネーションパター 可能)」, 「連続循環点灯 (色を変化させる ンをモードごとに異なる設定にしてやれば, ことが可能)」, 「設定した時間経過後の消 現在どのモードにあるかを即座に知ることが 灯」, 「消灯」 などに設定ができます (図 )。 できます (図 )。 鹿児島市医報 第 巻第 号 (通巻 号) (平成 年) 学 術 . オンボードメモリ : マウス本体に最大 つのカスタマイズした =縦隔条件に変更 : =拡大・縮小 プロファイルを保存できるオンボードメモリ : =シネモードを へ変更 を搭載しています。 そのため実際に使用する :−(マイナス)=シネモードを パソコンにドライバーアプリケーションは必 : 要ありません。 すなわち, ドライバーをイン : ストールしたパソコンでマウスの機能設定を : =シネモード へ変更 =最初のイメージへ戻る =最後のイメージへ移動 へ戻る 行ったら, その内容はマウスのメモリーに記 つづいて シフトを使用しての操作 憶され, 別のパソコンにつないでもその設定 左ホイール:←=同一検査で前シリーズへの を使用できるようになっています。 移動 . 日常業務への応用 右ホイール:→=同一検査で次シリーズへの 前記したとおり, キーボードのキーを使っ 移動 たコマンドの変更に不便さを感じていた筆者 : =領域選択 (レポートへの選択した範 はこのゲーマー用のマウスの発売を知り, 早 囲の貼り付けを行います) 速購入, 日常の放射線画像診断業務に使用し ホイールクリック: てみました。 + ンの終了, 画像 実際の設定を示すのが最もわかりやすいと =アプリケーショ を閉じるなどに使 用 (通常のコンピュータ操作でも使用され 思いますので, 筆者の設定例を紹介いたしま るショートカットです) す (さまざまな画像操作を元々キーボードの : =ピクセルごとの 値測定 キーにショートカットとして登録しており, : = このキー操作をマウスボタンの操作に割り当 : =距離測定 てています)。 : =シリーズレイアウト 分割へ変更 : =シリーズレイアウト 分割へ変更 左ホイール (ホイールを左に倒して操作): ↑( : : ) キーに設定=筆者のキー 設定 =シリーズレイアウト 分割へ変更 =脳条件に変更 ボード上の設定では前のイメージへの移動 : =各 としています (以下同様) : =画像の保存 右ホイール (ホイールを右に倒して操作): ↓( ) =次のイメージへの移動 ボタン: ( : =今回と前回の画像を並べて表示 : =今回・前回の画像を 分割にし て表示 =骨条件に変更 ホイールクリック: が連動した拡大, 縮小 =シネモード開始 : ) =今回・前回・前々回の画像を並 べ表示 :無変換=シネモードを へ変更 : =レポートを開く 以上の通りです。 通常の操作のほとんどを : =同期 (複数のスライスを連動して 動かす) マウスのみで迅速に行うことができるように なることはおわかりいただけると思います。 : =画像の移動 キーボードのキーをたたくためにその都度マ : ウスやマイクから手を離す必要がなくなり, =肺野条件に変更 鹿児島市医報 第 巻第 号 (通巻 号) (平成 年) 学 画像操作に伴うストレスはかなり軽減いたし 術 まとめ ました。 しかし, 上記設定でも つあるモー 画像診断の発達により, 我々放射線科医の ドのうちたった つしか使用しておらず, マ 診断しなければならない画像スライス数は今 ウスの持っている機能の半分も実際には活用 後増加する一方と思われます。 こういった状 できておりません。 況では, よりすばやい画像操作ができること 筆者が つのモードしか使用していないの は, モードの切り替えが循環式になっている が望まれています。 今回, 我々は新しいロジ クール社製ゲーム用マウス 「 ため若干タイムラグを生じてしまうこと, す 」 を日常業務に使用し, これ でにほとんどの基本操作を網羅しているので こそ現在放射線科医に求められている機能を これ以上の設定を現時点では必要としていな 持ったマウスであると考えています。 価格も いためですが, 今後使い方を工夫することで リーズナブルであり, 一度使ってみることを さらに多い機能を設定していこうと考えてい おすすめします。 ます。 もう つ重要な点としましては, オンボー 参 ドメモリの採用があります。 いくらマルチボ 考 ) 米倉 治:ロジクール社製マウス タンを搭載したマウスであってもドライバー について がなくては機能の割り当てができません。 し (より迅速な放射線画像診断レポート作 かし個人情報保護その他の関係で, 電子カル 成のために). : テなどのコンピュータに付属品のマウス・キー ボード以外のドライバーのインストールは認 められないことが多いと思います。 このマウ スに, ドライバーをインストールした別のコ ンピュータで機能設定を行ってしまえば, 画 像 のコンピュータにつなぎなおしても, 設定された機能をそのまま利用できます。 マ ウス自体が設定を記憶していますので, ドラ イバーをインストールしていない でも設 定したとおりに動かすことができるのです。 この点もきわめて便利な特徴と思われます。 このままでも素晴らしいマウスですが, 希 望としてはロジクール社製マウスの特徴であ る, プレシジョンスクロール ) ホイール あるいは高速スクロール機能を搭 載してくれたならまさに鬼に金棒になると思 われます。 鹿児島市医報 第 巻第 号 (通巻 号) (平成 年) ,