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電磁波シールドゴム - 九州産業技術センター
分野製造技術関係 № シーズの名称 電磁波シールドゴム シーズの分野 新素材、 建築材料、 電子機器、 EMC、 EMI、 EMS、 IT、 ITS 61 シーズの保有者 熊本県工業技術センター 情報デザイン部長 上田 直行 TEL096-368-2101 FAX096-365-5704 E-Mail:[email protected] (1)技術の内容(技術的構成) 電磁波シールドゴムの基本的な配合は、合成ゴムを母体として、亜鉛、導電性カーボンブラック、硫黄及びカ ーボン繊維が主な材料であるが、その他に軟化剤(ステアリン酸)、加工助剤、加硫促進剤及び老化防止剤等が 添加されている。この配合により、ゴムは直流に対して導電性を示すようになり、また交流に対する電磁波の遮 蔽が可能となる。 (2)技術の特徴、特性(作用・効果) 1)近傍電界源に対する電磁波シールド効果は、4mmの厚みのゴムに対して周波数範囲が100MHzから 1GHzにおいて、40dB(1/100に減衰)以上の減衰特性が得られている。これは、2mmの厚みの銅 板やアルミ板とほぼ同等の特性である。 2)ゴム本来の防水性やフレキシビリティ(柔軟性)を損なうことなく、シールド性能が得られる。 3)電気的な導電性は、体積抵抗率が1∼0.1[Ω・cm]程度の半導体領域にある。 左図は、 上から一般ゴム、 銅板、 電磁波シ ールドゴム、 アルミ板の順。 横軸:周波数 [10MHz/1目盛] 左端 =0MHz、 右端=1000MHz 縦軸:シールド効果 [dB/1目盛] 上端か ら2線目=0dB、 下端=70dB 図1 近傍電界源における電磁波シールド効果 (アドバンテスト法) (3)技術の用途 1)電磁波シールドルームの扉のパッキン及び 内部シールド材:電磁環境の確保 2)電力・通信用機器の筐体及びパッキン:誤 動作防止 3)携帯電話内部の接地及びパッキン:誤動作 防止 4)パチンコ台:誤動作防止 5)電子機器のスイッチ:電気的導電性を利用 (4)製品化、事業化に向けての当該技術の進捗レベル デジタルカメラの電磁シールド用として、既に共同研究を行ったつちやゴム㈱から㈱ソニーに出荷されてい る。この他に、前記技術の用途の項で述べた1)から5)まで、試作や製品化がされている。 (5)技術の将来性(将来的な市場など産業への波及効果) 今後、携帯電話等の電磁波を利用した電子機器が普及するにつれて、電磁環境は益々悪化すると思われるので、 機器の性能や信頼度保持の対応策として当該ゴムが利用されると考えられる。利用の一例としては、広い周波数 帯域が必要な電気自動車のシールド材、ビルや住宅の電磁波防止用床材や壁材及びインターネット等のブロード バンド時代に対応可能な情報通信システムのシールド材等が既にニーズとして出てきつつある。 (6)技術育成上の課題 このゴムは、電磁波のシールドを第一の目的として開発したものであるが、電磁波の吸収性能も若干具備して いることが試験結果から分かった。今後は、この吸収効果を広い周波数帯域に渡り更に高める材料の開発が課題 となっている。また、10kHzから100MHz程度の低周波数における電磁波シールド効果が得られる材料 の開発も必要である。これに関しては、ここで述べたゴムに金属が入っていないことから、このゴムにアモルフ ァス状のコバルトを混入することで、電磁波シールド効果が得られる見通しが得られた。 (7)特許等知的財産権の取得状況 「特許公開平10−298355電磁波シールド材料」:当センター及び共同研究相手企業であるつちやゴム ㈱との共同出願による。 図2 アドバンテスト法による 電磁波シールド効果測定 図4 (平成 14 年度認定) 図3 電磁波シールドゴム 当該ゴムを使用した電磁波シールドルームの試作