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剰余金の配当の会計・税務処理

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剰余金の配当の会計・税務処理
平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠
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役員賞与の会計・税務処理
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剰余金の配当の会計・税務処理
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役員退職金
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弔慰金
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役員賞与の会計処理・税務処理
1.概要
役員賞与の支給については、従来は商法の規定により利益処分方式で支給されていました。会社法では、役員報
酬と同様に職務執行の対価つまり当期の費用として取り扱われます。定款に役員報酬等に関する事項を定めていな
い場合、役員賞与を支給するためには株主総会の決議が必要となります。
2.法制度
会社法では、商法と相違して、役員賞与(決算賞与)を利益処分手続と切り離しています(会 361、379、387)。役員
賞与の支給には、定時株主総会の普通決議が必要です。この場合、招集通知の議案として以下の事項が記載され、
株主総会で決議されます。
① 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
② 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
③ 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容
なお、監査役についての役員賞与は経営の意思決定に関与しないため、業績連動型の役員賞与は馴染みませ
ん。このため、上記②を定めることはありえません。実務上は、役員賞与の取締役・監査役ごとの総支給額の承認を
得て、個別の支給額については取締役会決議で決定する場合もあります。このため、取締役会議事録や株主総会
議事録の整備が必要となります。また、上場企業は平成 22 年 3 月期から報酬等の額が1億円以上である個別役員へ
の開示が強化されました。有価証券報告書等の「コーポレート・ガバナンスの状況」に、役員報酬等の一定事項を記
載することになりました(開示府令)。
3.会計処理
役員賞与は、発生した会計期間の費用とされるため、役員賞与引当金が決算時点で計上されます(役員賞与に関
する会計基準 第 3、12 項)。また、決算書の注記表の「重要な会計方針に係る事項に関する注記」の「引当金の計上
基準」に所定の事項を記載する必要があります。下記では、源泉徴収を省略しています。
(決算日時点)
役員賞与引当金繰入額
(金額単位:千円)
32,000 役員賞与引当金
32,000
32,000 未払費用(役員賞与)
32,000
32,000 現預金
32,000
(株主総会の決議日時点)
役員賞与引当金
(支給時点)
未払費用(役員賞与)
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4.税務処理
法人税法上は、一定条件を満たす役員賞与は損金算入することができます。税務上は、役員報酬・役員賞与・役
員退職金をまとめて役員給与とされます。臨時的に支給される役員賞与は、原則として損金不算入です。例外的に
損金算入できる役員賞与は、以下のものです。
① 事前確定届出給与(法法 34①二)
② 利益連動給与(同族会社に該当しない有価証券報告書提出会社に限る、法法 34①三)
①は、株主総会から 1 ヶ月後と事業年度開始日から 4 ヵ月後のいずれか早い日までに、役員給与の事前確定届出
を所轄税務署長に提出する必要があります(法令 69②一)。これにより、毎月 200 万円で年間 2400 万円でも、毎月
100 万円で 6 月と 12 月に 600 万円ずつで年間 2400 万円でも、原則として損金計上することができます。事前確定届
出給与は、特にこれまで役員に対して従業員と同様に夏と冬の年 2 回の賞与を支給していた企業にとって、損金算
入できる役員給与の増額となるので大いに活用したい制度です。なお、役員の職務執行期間は定時株主総会から
次回の株主総会までと解されます。このため、役員の任期が 2 年のケースでも「事前確定届出給与に関する届出書」
は 1 年ごとに提出することになります。提出を失念すれば、損金不算入とされます。
②は上場企業を中心に普及している制度です。非同族の同族会社、例えば親子上場の上場子会社は同族会社に
該当するのでこの制度は利用できません。また、業務執行役員の全員を対象にした場合にも損金計上できます。この
ため、業務を執行しない社外取締役や監査役、委員会設置会社の取締役には、利益連動給与を支給しても損金計
上できません。なお、利益に関する指標で算定されるため、経常利益の 1.0%かつ総額 1 億円を限度として支給する
等の算定基準が一般的です。利益連動給与は業績指標に基づき決算日時点で債務が確定しているため、下記の会
計処理(=損金経理)が必要となります(法令 69⑩二)。
(決算日時点)
役員賞与
(金額単位:千円)
100,000 未払費用(役員賞与)
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100,000
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剰余金の配当の会計・税務処理
1.法制度
通常の配当は、原則として、株主総会の普通決議により分配可能額(配当可能利益)の範囲内で行えます(会 454、
461)。会計監査人設置会社でかつ取締役会設置会社でかつ定款に定める会社の場合は、例外的に取締役会決議
のみで配当を実施できます(会 459)。中間配当については、定款でその旨を定めている取締役会設置会社は年 1
回に限り、取締役会決議で実施できます(会 454⑤)。なお、中間配当は金銭配当に限られ、現物配当はできませ
ん。
2. 会計処理
剰余金の配当をする場合は、資本金の 4 分の 1 に達するまで配当の 10%を準備金として積み立てる必要がありま
す。その他利益剰余金を配当する場合は利益準備金を、その他資本剰余金を配当する場合は資本準備金を積み
立てます(会 445④、会計規 22)。いずれを配当財源とするかは、株主総会や取締役会で決議します。非上場企業が
利益剰余金から 120 百万円の利益配当をする場合の会計処理は、以下の通りです。
(株主総会の決議日時点)
繰越利益剰余金
(金額単位:千円)
132,000 未払金(未払配当金)
120,000
利益準備金
12,000
(支給時点)
未払金(未払配当金)
120,000 現預金
預り金(源泉所得税)
96,000
24,000
※非上場株式の配当には、20%の所得税の源泉徴収義務があります
3.税務処理
現物配当(会 454④)をする場合や資本金・資本準備金・自己株式処分差益を原資とする資本剰余金から配当す
る場合は、企業会計基準適用指針第 3 号「その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理」等に従っ
た法手続き・会計処理・税務処理が必要となります。資本剰余金から配当する場合は、会計上はその他資本剰余金
を減額しますが、法人税法上は利益積立金からのみなし配当が生じます。
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役員退職金
1.概要
会社が支払う役員退職金は、従業員退職金と相違して適正額だけが法人税の計算上損金となります(法法 34②)。
適正額は、最終月額報酬や勤続年数・貢献度等を総合勘案して判断されます。税務上のトラブルを避け、スムーズに
退職金支給を行うためにも、あらかじめ社内で「役員退職慰労金規程」を整備しておくこと、その内規に合わせて生命
保険を設定しておくことがポイントになります。
法人税法上の適正な退職金額の算定のポイントは、以下の基準で算定することです。
損金算入限度額=最終月額報酬(又は平均報酬月額)×勤続年数×功績倍率
いわゆる、「功績倍率方式」と言われるものです(昭和 60 年 9 月 17 日 最高裁判決)。
2.功績倍率表
上記の功績倍率としては、概ね以下の基準が採用されています。
①代表取締役社長及び会長
3.0
②専務取締役
2.5
③常務取締役
2.2
④取締役
1.8
⑤監査役
1.0~1.8
3.会社法、法人税法の形式要件
役員報酬は、定款または株主総会の決議で定めます(会 361)。実務的には、手続きが簡略な後者の方式で定める
会社が大半です。役員報酬・賞与・役員退職金は、この枠内で支給する必要があります。
4.極端な退職金対策
役員報酬の最後 1 ヶ月だけを 60 万円から 100 万円に増額すれば、上記の役員退職金の損金算入限度額が大幅
に増額します。過去にこの極端なスキームを実施した実例があります。当然、課税庁とトラブルになり、税務訴訟となり
ました。判例では、課税庁の入手した同業他社の類似規模の最終月額報酬や過去 1 年間の月額報酬平均で適正な
退職金と算定されました(札幌地裁 昭和 58 年 5 月 27 日、札幌高裁 平成 12 年 9 月 27 日、最高裁 平成 15 年
11 月 7 日判決)。
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弔慰金の支給
1.法人の株価引き下げ対策
役員退職金とは別に弔慰金を支給すれば、相続税が非課税となります。弔慰金の適正な金額の算定のポイント
は、社内慶弔規定等の一定の基準に従い算定することです(相基通 3-20)。税務上は以下の取扱となり、これにより
法人の利益や純資産も軽減でき相続財産の減少になります。
①業務上の死亡により退職した場合(職業病、通勤途上の死亡等)
賞与以外の普通給与の 3 年分
②業務上の死亡でない場合
賞与以外の普通給与の半年分
2.法人の課税関係
弔慰金・花輪代・葬祭料等を支出した法人側では、適正と認められる役員退職金以外に上記の範囲内の弔慰金等
を損金計上することが出来ます。
3.遺族の課税関係
相続税法上、退職手当金等は法定相続人×500 万円が非課税となります。上記の弔慰金等は遺族の相続税の計
算上、非課税となります。法人から支給される弔慰金は、心身に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金
なので所得税も課税されません(所基通 9-23)。
この他にも、社葬費用の計上も相続税上のメリット=取引相場の無い株式の評価の引き下げ効果があります。
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本レターに掲載している情報は、一般的なガイダンスに限定されています。この文書は、個別具体的ケースに対する会計・税務のア
ドバイスをするものではありません。会計上の判断や税法の適用結果は、事実認定や個別事情によって大幅に異なることがありえます。
また、解説の前提となる会計規則や税制が変更されている可能性もあります。実際に企画・実行される場合は、当事務所の担当者にご
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