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築上町の食育推進 食育の推進は、築上町の最上位計画である「築上町総合計画」で基本目標の中に位置づけら れています。 具体的な行動計画として「築上町食育推進計画」を策定しました。 築上町の「まちづくり」の基本的な考え方 将来像 “自然と歴史・文化を育む” ―心と体の健康を求めた『豊かな生活の場』づくり 基本目標 すみやすい 助け合い・支え合う 魅力ある 生活の場づくり 生活の場づくり 生活の場づくり 食育の推進 築上町食育推進計画 理念 未来へつなげる 築上町の食育の「わ」 ~地場産の食材や郷土食を知り、その豊かさに感謝できる人を育てよう~ 4つの目標 「わ」食で 健康づくり 地産地消の 循環の「わ」 人と家庭と地域が つながる「わ」 ものが地球に還る 循環の「わ」 日本型食生活を すすめよう 地場産を活用して 自給力を高めよう 人との絆と伝統を 大切にしよう ごみを減らして 環境を守ろう 1 ―築上町版「お弁当の日」― 取組の名称 築上町「自分で作るお弁当の日」 目 的 「お弁当作り」を通して、学校で学ぶ食育の知識や技術を根付かせ、自立の心(自 主性、社会性、生きる力)を育む。 取組の内容 ・家で作ったお弁当を持参し、学校でお昼に食べる。 ・献立を考えることから、調理、弁当詰め、片付けまで、お弁当を作る一連の作業 を行う。 ・5、6年生・中学生を中心に取り組む(家庭科で調理実習を習うため)。 ・1年に複数回取り組む(継続することで教育的効果が上がるため)。 なぜ今、築上町で「お弁当の日」? 「食」は「いのち」を育む大切なものです。しかし、社会の成熟に伴って働き方や 暮らし方が変化し、食をめぐる環境もそれに対応して大きく変化しました。 お金を出せばすぐに食べられるものが簡単に手に入る時代だからこそ、自分の 大切な「いのち」を育む「食」を他人任せにせず、自分で考え、行動できる子どもを 育てなければなりません。 「お弁当の日」の取り組みは「食事を自分で一から作る」ことを、「意識的に」行うこ とです。初めは上手くいかないかもしれません。しかし、繰り返し経験するうちに 一人で作れるかな → 一人でできるかも → 一人でできた → 次はこうやって みよう と、やる気が上がり自信が生まれるはずです。このように自立の心を育むために、 「お弁当の日」に取り組みます。 子どもが作る「弁当の日」とは? 2001年、香川県の小学校で竹下和男校長(当時)が始めた「弁当の日」。子どもが自分でお弁当を 作って学校に持ってくるという取り組みです。 何を作るかを決めることも、買い出しも、調理も、弁当箱 に詰めるのも、片付けも、子どもがします。親も先生も、その出来具合を批評も評価もしないという約束 です。 この取り組みを通じ、子どもたちは感謝の心を知り、自己肯定感が育まれています。失敗の中から多く を学び、生きる力を身に付けています。 大人たちは見守る大切さを知り、子どもの成長を通じて子育てが楽しいと思えるようになっています。 家族団らんが増え、家庭に笑顔があふれるようになっています。 そんな好循環が「弁当の日」を通じて全国に広がりはじめています。2013年3月現在、「弁当の日」実 施校は全国で1300校を超えるまでになりました。 ホームページ「弁当の日」応援プロジェクト(http://www.kyodo.co.jp/bentounohi/)から引用 2 大人になると「食」の力はつく? これらの写真は2003年6-7月、長崎大学環境科学部の中村修准教授(環境経済学)が長崎県 内の大学生を対象にして行った講義「食生活を変える技を身につけるための食事調査」の中で、学生 が自らの食卓をインスタントカメラで撮影したものの一部です。 一人暮らし 一人暮らし 朝 昼 夜 朝 1 日 目 なし なし カフェ 【外食】 ご飯、焼肉、デザート(ア イス)1,500円 なし なし ファミレス 【外食】 キムチ雑炊 400円 【学校】 おにぎり1個、生茶ペット ボトル 【学校】 【自宅】 野菜とエビチリスパゲッ ソーセージとスープ、にら ティー、みそ汁、冷奴、ご とじ、ごはん はん 【自宅】 牛乳、ソーセージ 【自宅】 【自宅】 キュウリの酢の物、ほうれ 目玉焼き、コーラ ん草、豚肉、みそ汁、ごは ん おにぎり1個、水ペットボト トリの空揚げ、ソーセー ル ジ、サラダ とんかつ、サラダ菜 【自宅】 お菓子、コーラ 【自宅】 せんべい、コーラ 【自宅】 コーラ、目玉焼き、てんぷ ら、パン 冷奴1丁 おにぎり1個 おにぎり1個 外食 【自宅】 チ キンラーメン、鳥の唐揚 げ、水 6 日 目 【自宅】 ステーキ弁当 居酒屋 【自宅】 【外食】 チキンラーメン、フルーツ ご飯、グリーンサラダ、サ ポンチ、水 イコロステーキ、えびチリ 2700円 5 日 目 【学校】 ソーセージ、鶏の空揚 げ、ポテトサラダ 居酒屋 【外食】 【外食】 タマゴサンド200円 えびマヨ、サラダ、チーズ (夕)アイスコーヒー200円 のかりかりあげ、山芋・・・ 2,800円 4 日 目 【自宅】 パン、目玉焼、お茶 焼肉屋 【自宅】 メロン半個 3 日 目 夜 出来合い弁当 【ともに自宅】(昼)水、ベ 【自宅】 ご ビースターラーメン(夕)焼 飯、ジャガイモとタマネギ き菓子 のみそ汁、韓国のり、キム チ 2 日 目 昼 レストラン 【外食】 サラダ、チキンのかりかり 揚げ、冷たいコーンスー プ、フランスパン800円 【外食】 ご飯、グリーンサパスタ、 ピザ1,000円 居酒屋 【外食】 枝豆、ポテト、コーンバ ター、唐揚げ、キムチ チャーハン2,000円 3 大人になったら、「食」に関する力はつくのでしょうか。 写真は講義前に行った実態調査のものです。これらの食卓は、「お金がないから」の問題ではなさ そうです。「料理すること」「食べるものを選ぶこと」は意識しないと手を抜いてしまうことが伺えます。 中村准教授によると「学生は自分たちの食事内容は、栄養バランス的にそれほど問題は無いと 思っていた」そうです。しかし、授業で自分や他の人の食事を客観的に見ることで、意識が変わり食 事の内容が変わった、と言います。学ぶことで意識や行動は変わるということです。 実家暮らし 朝 寮暮らし 昼 夜 なし 【学校】 レディース空揚げ弁当 260円 【実家】 お好み焼き 380円 昼 夜 おにぎり1個 おにぎり1個 寮食 【寮】 おにぎり(おかか)1個 【学校】 おにぎり(おかか)1個 【寮】 冷しゃぶ、サラダ、コロッ ケ、みそ汁、ご飯 【外食】 サーモン、イカ、牛肉、豚 肉、鶏肉、ナス、ピーマン など1,500円 【寮】 ごぼうと牛肉の炒め物 【学校】 おにぎり(さけ)1個100円 【実家】 うどん 【実家】 ハンバーグ、ご飯 【実家】 おにぎり(さけ)100円 【実家】 パン100円 【実家】 ご飯、みそ汁、キャベツの せんぎり、ひれカツ、大豆 の五目煮 なし 【実家】 マフィン1個 朝 串揚げ 【実家】 手作りおにぎり2個 【実家】 そうめん、オクラのあえも の 【実家】 ブドウ398円 【学校】 【実家】 博多地鶏むすび(3個)358 スパゲッティ(電子レン 円 ジ)756円 【寮】 【学校】 チーズドック、人参と玉ね パン126円 ぎのスープ、コーヒー牛乳 【寮】 みそ汁(人参、大根、さつ ま芋)、あじご飯 【実家】 桃、キウイ 【学校】 とうもろこし 【実家】 手巻き寿司 【寮】 【学校】 ご飯、もやしとベーコンの ふりかけご飯 炒め物 【外食】 焼肉2250円 【実家】 ソフトフランスサンド 【学校】 クラッカー 【実家】 酢豚 【寮】 パン1個100円 【寮】 ご飯(後は忘れました) 4 【寮】 パン2個200円 小原小学校の取り組み 小原小学校では、子どもに望ましい食習慣を身につけさせることを目指した食育の実践として、平 成20年度から全校で「おにぎり弁当の日」を行っています。その手法や子どもたちの反応について 紹介します。 目的 目標 • 子どもが、自分の力で準備できるようになること • 子どもが、食に関して考えることができるようになること • 自分の力でおにぎりを作る 対象学年 実施回数 取組プロジェクト • 全学年 • 年1回(平成25年度は 平成26年2月4日実施) • いきいきプロジェクト 小原小学校は、「志をもって努力し、自立心と思いやりの心をもったたくましい子どもの育成」を教 育目標とし、次の3つのプロジェクトに取り組んでいる。 ①わくわくプロジェクト・・・・生きるための基礎づくり ②いきいきプロジェクト・・・生きるための仲間づくり ③ぴかぴかプロジェクト・・・生きるための空間づくり 実施の手順 家庭へのお知らせ 家でおにぎりの計画を立てる おにぎり弁当会食 取り組み前に配慮したこと 取り組みを終えて 「自分の力で作ること」に重点を置いた指導(目的の 確認) みんなデザイン画(図1)をもとに、自分で作れていた 家庭への協力依頼、密な連絡(おにぎりデザイン画 (図1)) 家庭の理解と協力で実施できた 5 おにぎりのデザイン画 おにぎり弁当会食の様子 子どもたちの感想 (低学年) ●おにぎりべんとうの日は、おにぎりの かたちがじょうずにできて、こんどのおに ぎりつくるときにはもっとじょうずにつくり たいです。 ●おいしかったです。あのかにかまと、 たまごがせかいで一ばんおいしかった です。 ●がんばってつくったので、1ばんおい しかったです。いえでつくってじょうずに できたので、うれしかったです。そのお かげですごくおいしかったです。 「おにぎり弁当の日」に取り組んで 子どもにとって自立心を養うことはとても大切です。自分の力でおにぎり弁当を作る ことで、少しでも自立心が培われればと思います。 自分で作ったおにぎりをおいしそうにほおばる顔は、どこか誇らしげでした。 小原小学校 6 校長 岩本利和 椎田小学校の取り組み 椎田小学校では、6年生の総合的な学習の時間で取り組んでいる「歴史探歩」に合わせ、平成25年度 に初めてお弁当作りに挑戦しました。その手法や課題について紹介します。 ※「歴史探歩」は、地域の史跡探索と心身を鍛えることを目的に、椎田小学校から中津城まで(18km)、旧中津街 道を徒歩で探索する授業。平成20年度から6年生を対象に実施。 目 • 学校で教えた知識・技能(調理技術、栄養バランスなど)の実践により、調理す ることへの関心を高め、自分や相手のために進んで調理を行おうとする態度を 育てる 的 きっかけ 目 • 平成24・25年度に福岡県学校給食等研究指定・委嘱を受け、全校で食育を推 進したこと • 6年生の家庭科で「くふうしよう 楽しい食事」という単元があること • 「学校で」弁当(一食分)を作ると、一人ひとりがすべての工程に関われないこ と • 家庭科と総合的な学習の時間を合わせて取り組むことができること • 「歴史探歩」では例年お弁当を持参していた(家族が作っていた)こと • 食品の組み合わせや栄養のバランス、色合いなどを考え、自分で献立を立て お弁当を作ることができる 標 対象学年 実施日 栄養教諭との連携 • (練習)平成25年10月16日(水) • (本番)平成25年11月 8日(金) • 第6学年 • 担任が、お弁当の基本(写真1) などについて栄養教諭に事前に 教わった お弁当の基本 写真1 主菜 副菜 私たちの食事量は、一人ひとり体に合わせて 体のために決まります。1日の必要エネルギー は、炭水化物・脂質・たんぱく質の3大栄養素 から成ります。この3大栄養素の適正なエネル ギーバランスは、炭水化物・60% 脂質・25% たんぱく質・15%です。 5大栄養素はこれにビタミンとミネラルが加わ ります。体の調子をととのえたり、他の栄養素 の働きを助けたり、体の機能を維持したりする のに欠かせず、食事から毎日摂る必要があり ます。 《主食》 主食》:ごはん・パン・麺を使った料理。炭水化物という 栄養素を多く含む料理。 《主菜》 主菜》:肉・魚(加工品を含む)・卵・大豆製品を使った 主食 料理。たんぱく質と脂質という栄養素を含む料理。 〈表面積比〉 《副菜》 副菜》:野菜・海藻・きのこ・いもを使った料理。ビタミ ン・ミネラル・食物繊維という栄養素を多く含む料理。 主食3 : 主菜1 : 副菜2 7 実施の手順 事前練習 家庭科の 時間数 めあて - - 学習 本番 内容 教科 お弁当作り(事前学習なしで、本番の練習 として弁当作りに挑戦させた) 課外 弁当の献立を考え 歴史探歩の事前練習 よう 備考 家庭 総合的な学習の時間 給食は止めた 4 自分の作った弁当を振り返り、献立を立て たり、作れそうな献立を調べ献立を見直し た。 家庭科 学習 3 身近な材料でおか 「ジャガイモの良さ」に着目し、様々なジャ ずを作ろう ガイモ料理を調べたり、調理した。 家庭科 学習 家庭科 学習 課外 家庭 2 歴史探歩の弁当の計画を立てた。 - お弁当作り 弁当作りをしよう - 歴史探歩 総合的な学習の時間 本番 2 弁当の振り返りをし、家族が喜ぶ弁当の献 立を立てた。また、家族のための弁当のお かず作りの練習をした。 - 家族のためのお弁当作り 家庭科 課外 学習(振り返り) 家庭 11 取り組み前後の課題 取り組み前に想定した課題等 子どもに関して 取り組み後に感じた課題等 集合時間が普段の登校時間より早い 上、弁当作りもあったため、想定よりも 早く起きたと聞き、その後の歴史歩が辛 かったのではないかと心配した。 栄養が偏らないか。 早起きできるか。 衛生面 家庭の協力もあり、気をつけることがで 家庭科で使える範囲を超える食材(生 きたと思うが、気温が高いと心配はあ 肉・生魚など)を取り扱うことへの心配 る。 技術面 「煮る」「焼く」などの技術を教えない状 態で、子どもが好きなお弁当が作れる 学習した範囲だけで取り組んだ子ども とそれ以上で取り組んだ子どもに技術 か心配(家庭科で教えられる技術は 「炒める」「茹でる」「ご飯」「味噌汁」の 面で差が出たこと み) 家庭に関して 時間等に余裕のない家庭への負担 8 今回は家庭の協力が得られたので全 員が実践出来たと感じる お弁当(練習) (本番) 本番の様子 ●全てのポイント(色どり、詰め方など)を改善できて良かったです。 みんなのお弁当を見て「私もこれ作りたい!!」と思いました。 ●(練習で)講堂で食べた時は、全体的に色が暗くて野菜の色がかたよって いたので、歴史探歩では色彩やもりつけ方に気をつけて作りました。弁当を あけた瞬間、すごく食欲をそそられる色合いで、自分で作ったお弁当はとても おいしかったです。朝、早く起きて作るのは大変だったけど、達成感があり、作 るのも楽しかったです。お母さんがいつも作ってくれているお弁当はとても大変だと知った、いい機会でした。 ●事前学習で作ったときは、色合いにかたよりがあって、あまり食欲がわかずお腹いっぱいになりませんでした。だから 歴史探歩のときは色合いを3つから4つにしてボリュームも増やしたのでお腹いっぱいでおいしいお弁当になりました。 また作る機会があれば取り組みたいです。 ●(練習で)講堂で食べた時は、「色合い」「栄養バランス」「量」「しきつめ方」がどれも上手くいっていませんでした。朝 起きるのも作るのがおそいから5時くらいに起きて作りました。すごく眠くて、準備から片付けまで、初めてでゴチャゴチャ になりました。歴史探歩では、練習の失敗を生かし、色合い~しきつめ方まで工夫しました。早起きも工夫!前日からで きるところは準備し、当日は6時に起きることができました。お弁当も歴史探歩で疲れることを考えボリュームをアップ。味 はお母さんよりおいしい(かな?)! 子どもたちの感想 担任 栄養教諭 歴史探歩と組み合わせたことで、気持ちが高まり、 お弁当作りができたと感じた。 授業の時間数を考えると簡単にはできないと感じ た。 取り組んでみた 保護者の協力が得られたから出来たと感じた。 感想 保護者の理解や負担などに心配があったが、子ども のことが栄養面を気にするようになったり、食事を作 ることにやる気を持てたのでやってよかったと思う。 9 1回目より2回目と、やる気が高まっていた。 食育だよりに1回目の6年生のお弁当を写真で掲載 したとき、下級生から尊敬の眼差しがあった。6年生 になったら、あんなことをするのか、という期待感を 持った感想が寄せられた。 褒められる機会が少ない中、家庭でも学校でも褒め られ、また喜ばれ、作ることを楽しいと感じる機会に なったと思われる。 保護者の声 「子どものお弁当作り」について、次の要領でアンケート調査をしました。 今後、協議会が進めていく「お弁当の日」の取り組みについては建設的な ご意見や肯定的なご意見を多数いただきました。 【調査方法】椎田小学校6年生の全家 庭に アンケート用紙を配布。 【調査期間】平成26年3月11日~14日 【配布世帯数】57【有効回答数】35 問1 「歴史探歩」でのお弁当づくり の取り組みについて、どう思われまし たか? 問2 実際にお弁当づくりに関 わって、どう思われましたか? ①とても良い取り 組みである 14% 0% 32% ①十分だった 0% 3% ②まあまあスムー ズにできた 29% 54% お弁当づくりのための学 校での事前指導や家庭との連携 について、どう思われましたか? ①とてもスムーズ にできた 0% 3% ②まあまあよいと りくみである 問3 68% ③あまりよい取り 組みではない ③あまりスムーズ にできなかった ④全くよい取り組 みではない ④全くスムーズに できなかった ②まあまあ十分 だった 29% 68% ③あまり十分で はなかった ④全く十分では なかった 3% ある 問4 お弁当づくりの取り組みにより、子どもの成長や家庭の様子など、変化 したと感じることがありますか?(複数回答) 31% ない 66% 「ある」を選んだ方はどのように変わったと感じますか?(複数回答) どちらとも言えない 2% 32% 32% ①子どもが今までより食に関することに興味を持つようになった(栄養面、 調理技術、バランス、彩り、食べ物の産地など) ②子どもが今までよりお手伝い(買い物・配膳・料理・片付けなど)をしてく れるようになった ③家族の会話が増えた ④家庭で子どもをほめることが増えた 19% ⑤子どもに自信がついたように感じる 10% 5% ⑥その他(今まで食べなかったものを食べるようになった) 問5 築上町食育推進協議会では、今後「自分で作るお弁当の日」の取り組みを小中学校に進めていく予定です。 このことについてご意見やご要望がありましたらお書きください。 ・大変良いこと・とてもよい取組・いいことだと思う。将来のためにもなる良い取組だと思う(同様意見8 ) ・年に1度程度より、定期的にするなら変化があると思う。毎月あるのは大変だと思うので年に1~2回くらいが良いと思う (同様意見3 ) ・是非取り組んでほしい。コンビニやスーパーで簡単においしいものが買える時代だからこそ、子どものときから自分で 作るおいしさや大切さを感じてほしい。実際にこのお弁当づくりを通して、自分で作る楽しさを感じてくれたので家でも 次へとつなげていきたい。中学校でもしてほしい。 ・高学年・中学生については良いと思う ・野菜嫌いの子が多くなっていると思う。必ず何かひとつ野菜を入れるとか、その時々で共通の課題を出すなどすると 良いと思う。 ・時々、自分でお弁当づくりをするのも楽しそう。2回目、3回目になったら手伝わなくてもできるような気がする。 ・おかず入りのお弁当をまともに一人で作ろうとすると無理が生じる。例えば最初はおにぎりだけ。次はおにぎりとおか ず一品など、少しずつメニューを増やしていくといいと思う。 10 福岡県内の取り組み 福岡県では、数多くの小中学校が「お弁当の日」に取り組んでいます。中でも、稲益義宏さん(小学校 教諭)の取り組み方は、「イナマス式」としてその柔軟な方法が注目を浴びています。 ――稲益流コース別「弁当の日」 ――稲益流コース別「弁当の日」 「弁当の日」は柔軟に無理なく取り組もう! 福岡・福岡市立下山門小学校 稲益義宏 Point! ・給食のない日を選ぶ ・「お手伝い」からのステップアップで保護者も安心 ・子どもの力に合わせてコースを設定 できる方法を考えることが、実現への近道 「できる方法を考えることが、実現への近道」。私に「弁当の日」を紹介してくれた西日本新聞社の佐 藤弘さん(西日本新聞社「食卓の向こう側」取材班)のその言葉で、下山門小学校「お弁当の日」の取 組みは始まった。 「お弁当の日」の取組みでいちばんの壁が給食。給食を止めることは簡単にはできない。給食がない 日を考えてみると、遠足や社会科見学を思いついた。この日に実施すれば、特別に給食を止める必 要はない。 次は、保護者にどのように伝えるか。当時担任していた三年生は家庭科の学習を行なっていない。 唐突にお弁当をつくることを伝えても「そんなことは無理」と反対されるかもしれない。そこで、お弁当を つめることから始めることにした。これならお手伝いのレベル。三年の三学期に、「おかずをつめるお弁 当の日」に取り組んだところ、口頭で伝えただけでクラスの三分の二の子どもたちが取り組んだ。その なかには、さっそく自分でつくってきた子どももいた。 この子たちが四年生になった四月の遠足の日に「お弁当の日」を実施した。学校で教えていないの に「親は手伝わないで」とは言えない。そこで選択できる四つのコースを設定した。 ○完璧コース 完璧コース 子どもの力だけでつくる。買い物とご飯は、家族の協力を得てもOK。 ○おすすめコース おすすめコース 親と子どもが一緒に台所に立ってお弁当をつくる。 ○ベーシックコース ベーシックコース おにぎりをむすんで、お弁当におかずをつめる。 ○エンタコース エンタコース つくった人に感謝の言葉を表現豊かに伝える。 子どもたちに対する声かけも「お弁当を自分でつくってみる?」と自発的な動きを促すように心がけ た。 第一回目の「お弁当の日」は、学年全体(九〇人)の九〇%を超える子どもたちが、「完璧コース」と 「おすすめコース」でお弁当づくりに取り組んだ。なかには、買い物から炊飯まで自分で取り組んだ子 どももいた。 四年生では五回の「お弁当の日」に取り組んだ。教室でともに生活をしているダウン症の子どもも一 緒に取り組んだ。ふだんは早起きが苦手な彼女も、「お弁当、つくると?」の母親の一言ですっくと起き あがり、台所に立ってお弁当をつくった。 「お弁当の日」で子どもたちが身につけた力は、お弁当をつくることだけではない。朝ご飯を、毎日、 親と一緒につくっている子どもがいる。親の仕事が遅くなったときに、冷蔵庫のなかにある材料で簡単 な料理をつくる子どもがいる。親子で一緒に台所に立つことが多くなったという話も届いた。 11 めんどくさがり屋の六年生には家庭科のレシピづくりから 今年は六年生を担任している。四月の遠足。どのような形で始めようかと迷いながら、今回は 私が担任する六年二組の子どもたちだけに「自分でお弁当づくりに挑戦してみよう」と提案し た。 提案を聞いた子どもたちの反応は様々だった。「おもしろそう」ととらえた子どももいたが、「自 分にはできない」「めんどくさい」などと、否定的にとらえた子どもが多数を占めた。保護者の反 応も様々だった。 私がクラス担任となったので、「お弁当つくるっちゃろうね」と予想していた保護者もおられる。 「この際だから、お弁当づくりを教えよう」と肯定的に受け取られた家庭もあれば、否定的なとら え方をされた家庭もあった。 取組みは、家庭科の時間を使ったレシピづくりからはじめた。そして、そのレシピをもとに保護 者と話し合い、お弁当づくりの方針を決めていった。最初は「めんどくさい」と思っていた子ども たちも、次第におもしろさに気づき、やる気を見せはじめた。 今回設定したコースは、二つ。 ○チャレンジコース チャレンジコース おかずはすべて自分でつくる。できれば、買い物や炊飯もやってみる。 ○親子でお弁当コース 親子でお弁当コース できるだけ子どもが活躍する場をつくる。 四年生で設けた「つくらなくてもよい」という内容のコースは、今回設定しなかった。その結 果、クラスの三九人全員がどちらかのコースでお弁当をつくってきた。 子どもたちと保護者の感想から 最後に、子どもたちと保護者の感想を紹介しよう。 「これまで当たり前につくってもらっていたお弁当も大変なんだなあと思いました」(女児) 「『お弁当の日』に取り組んでみて、もっとつくりたいという気持ちが芽生えた。今度はほかの クラスでもつくってほしい。ほかのクラスの人たちにも、私のような気持ちを味わってもらいたい」 (女児) 「今年一年間で、どのくらい上手になるか楽しみです」(男児) 「『お弁当の日』は、これまでも(子どもと)一緒に台所に立つこともしばしばあり、楽勝かと思っ ておりました。しかし、熱い物や水を張った鍋を運ぶのにも一苦労。缶切りなどの道具も使いこ なせないのには、親として恥ずかしい限りでした。小中学生を持つ母として『生活力』をどのよう につけていくかということの重要性をひしひしと感じております。これからも、子どもと一緒に楽 しく前向きに取り組んでいきたいと思います」(女児 母親) 食は、本来は個人の問題だ。しかし、食をめぐって多くの課題があり、「弁当の日」によって子 どもたちが伸びていくのならば、学校はそれを積極的に提案していく必要がある。そのときに学 校全体で「弁当の日」に取り組むことが望ましいかもしれないが、まずは、自分のクラスで取り組 んでみることだ。取組みは無理のない計画がいい。それが次へのステップになる。足下から実 践を始めることが大切である。 食農教育(現のらのら)2007年7月号から引用 12