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第 1 回 インターンシップ報告書

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第 1 回 インターンシップ報告書
第 1 回 インターンシップ報告書
東京外国語大学大学院
国際協力専攻
宍倉未記
◆基本情報
派遣先
UNIC(国連広報センター)
都市
パキスタン、イスラマバード
派遣期間
2011 年 4 月 27 日〜7 月 28 日
◆派遣機関詳細
受入機関
UNIC(United Nations Information Center Islamabad)
URL: http://www.unic.org.pk/
事業内容
国連活動をパキスタン国民に紹介すること、また現地報道における国連活
動の評価を本部に報告することを二本柱に広報活動を行っている。毎朝現
地の新聞と UN News Center が報じている情報をチェックし、特筆すべ
き見出しと概要をまとめた News Highlights を作成。さらに、英語で週に
1 度、ウルドゥー語で月に 1 度 News Letter を作成し、UN Pakistan の
役割・活動について現地住民の興味と正しい理解を深めるよう努めている
1。また、UN
研修内容
Family の諸機関と協力し、様々なイベントを開催している。
UN Pakistan の構成、各機関の役割・権能、パキスタンにおける UN
Reform の成果(One UN の成果)について理解を深めた上で、News
Highlights の作成を補助する。
危機管理
研修初日 UNDSS(United Nations Department of Safety & Security)か
ら 1 時間程 Security Briefing を受けた2。その後 “Security in the Field,
Basic & Advance” というソフトを受け取り、パソコンで国 連職員の
Security に関する講義とテストを受ける。Basic、Advance ともに最終テ
ストで 8 割以上正解しないと合格できず、合格証明書が無い限りイスラマ
英語版は Web 上に掲載すると同時に購読者にはメール送信する。ウルドゥー語版は紙媒体で地元公民館
や学校等に配布している。こうすることで、ネットにアクセスできない人々にも公平に情報を伝えられる
よう配慮している。
2 パキスタンの地理、各州の危険域、国連職員がテロ組織や武装集団の犠牲になったケーススタディ、そ
こから学ぶ緊急事態にときとるべき行動・態度についての Breifing。ソフトも同様の内容。
1
バード市外への出張は許されない。個人的な外出も控えるべき。
◆宿泊先情報
宿泊先
Cadillac Guest House
(http://www.pelican-travel.net/hotelinfo.php?frCd=pakistan&htlCd=ISB_CDLC)
宿泊費
一泊 4300Rs(割引後)
設備
24 時間ガードセキュリティチェック、10 畳程の大きな部屋、シングルベッド、
トイレ、シャワー、クローゼット、高速無線 LAN 完備。ブッフェ式朝食付き
(6:30~10:00)。近場なら専属タクシーでの送迎が無料で利用可能。受付は英
語で対応してくれ、細かい要求にも親切に応えてくれる。
周辺環境
ジンナースパーマーケットというイスラマバードでも最大級の商店密集地に
面している。UNIC のオフィスがある Serena Complex まで車でおよそ 15 分
程度。
その他
3日間 Cadillac に宿泊した後、国連のインターナショナル職員が借りているア
パートに間借りする。
◆6ヶ月後に期待される効果
1、 広報センターでの実務経験を通して国連のフィールドオフィスが現地、また国連自体
に与えている影響、担っている役割について理解を深める。
2、 インターンシップで得た経験を自身の研究に活かす。
3、 言語運用能力の向上、交渉や自己主張を含むコミュニケーション力の向上。
4、 危機管理能力の向上。
5、 国際機関職員、また、在パキスタン邦人コミュニティとの接触によるヒューマンネッ
トワーキング。
6、 大学院修了後の具体的な進路決定。
◆イスラマバードの様子と生活環境
イスラマバードは、広い道路に多くの車が行き交いながらも豊かな緑を抱える美しい首
都である。人々の9割以上がイスラーム教徒であり、宗教上の美徳から、客人へのホスピ
タリティが非常に高く、皆とても親切に接してくれる。ただし、同じく宗教上の理由から、
女性の過度な肌の露出、ボディラインを強調した服装は避けるべきであり、一部の地域で
は男性と女性の接触(視線を合わせる、握手をする等)が強く禁止されている部落も存在
することから、文化の尊重に注意を払う必要がある。もっとも、首都イスラマバードは多
くの外国人が働いているということもあり、外国人慣れした雰囲気が漂っている。どこに
行っても大抵英語が通じるが、個人商店では時々「外国人価格」と称した不当請求がなさ
れることがあるので要注意。はやく現地の物価の相場を理解する必要がある。
基本的に夕刻 5 時以降の女性の一人歩きは控えたい。イスラマバードでさえ、日中の外
国人女性の一人歩きは現地の人々の注目を集め、通行人が堂々と凝視してくる点が唯一心
地悪い。セキュリティ上の問題からイスラマバード以外の都市に行く際は、事前に上司に
伝え、許可を得る必要3がある。市内での移動手段は主に徒歩もしくは専属運転手付きの車。
電車は都市と都市を繋ぐものが主流で市内幹線は充実していない。同様にセキュリティの
問題で、現地のバス、流しのタクシーなどの利用は避けられたい。生活用品は外国製品を
中心に不自由なく手に入る。食事は衛生面に注意を払い、安易に現地の屋台で外食しない
方がよい。水道水は飲用に適さず、ミネラルウォーターを利用するべき。気候は非常に暑
く、熱中症や日射病を避けるため水分補給は死活問題。野菜や果物などは非常に美味しい。
◆追記
2011 年 5 月 2 日
米国によるウサマ・ビンラディン殺害発表の影響
2011 年 5 月 1 日午後 10 時 40 分(米国現地時間)に米国がウサマ・ビンラディンの殺害、
遺体収容について報じた影響により、本日(5 月 2 日)UN Pakistan では終業後の午後 6
時から局長たちの緊急会議が開かれ、テロ活動の活発化への懸念からインターナショナル
職員の安全確保などについて話し合われた。結局、明日は通常通り出勤するよう命じられ
たが、今後状況が変化することも覚悟が必要だと諭された。ただし、こちらのナショナル
スタッフは、同氏の死に関する米国の報道に懐疑的であり4、各国が切迫した報道をしてい
原則としてイスラマバード外に出る際は、前述 “Security in the Field”の合格証書が必要。
米国がウサマ・ビンラディンの死亡を報じるのはこれで 4 回目であり、ウサマには彼によく似た兄弟、
息子達がいるため、確実に信頼できる証拠を提出するべきだとナショナルスタッフの一人が述べていた。
DNA 鑑定の結果が提出されているようだが、同スタッフがこの発言をした時はまだ発表されていなかっ
た。現地の人々が頻繁に報じられる誤情報、それに基づくパキスタンという国・人に対する偏見に憤りを
感じていることが伺えると考え、おまけ程度に書いたつもりだが、こういう憤りの積み重ねが反米感情、
3
4
る中いたって冷静である。情報はときに誤って伝わり、その誤解が想像を絶する惨状を生
み出すこともある。常に冷静かつ精確な判断を迫られる国連職員の一面を見たような気が
した。おそらく私は UN Pakistan において唯一のインターンなので、置いてきぼりにされ
ないよう、強く生き抜きたい。
*写真については技術上の問題により後日掲載予定
さらに反国連へと繋がるのだろう。その中でも同スタッフは国連職員として冷静に通常業務に加えた緊急
業務に対応していた。
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