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JR山田線の 利用促進策に関する報告書

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JR山田線の 利用促進策に関する報告書
JR山田線の
利用促進策に関する報告書
平成26年3月24日
JR山田線利用促進検討会議
1
2
目次
Ⅰ
はじめに ··························································· 1
Ⅱ
山田線及び沿線の状況 ··············································· 2
1 路線概要
(1) 位置等 ························································ 2
(2) 沿革 ·························································· 4
(3) 震災前の山田線の状況 ··········································5
(4) 震災後の山田線の状況 ··········································11
2 沿線人口の推移 ··················································· 15
3 震災前における住民の都市間移動···································16
(1) 通勤 ·························································· 16
(2) 通学 ·························································· 17
4 復興に向けたまちづくり ···········································18
Ⅲ
山田線の利用に関する課題 ···········································25
Ⅳ
山田線の利用促進策 ················································· 26
1 鉄道利用の課題への対応 ···········································26
2 利用促進の取組及びその実施主体に関する事項 ······················ 28
3 利用促進策に関するアンケート調査結果····························· 31
(1) アンケート調査実施状況 ········································31
(2) 調査を行った利用促進策 ········································31
(3) 調査結果 ······················································ 31
(4) 今後の方向性 ·················································· 36
4 利用促進策により見込まれる効果···································37
(1) 将来利用者数推計における設定条件 ······························ 37
(2) 利用促進策実施前における利用者数の推計結果 ···················· 37
(3) 利用促進策実施時における利用者数の推計 ························ 38
(4) 鉄道利用者総数の想定 ··········································38
Ⅴ
山田線を支える地域の活動 ···········································42
1 調査結果 ························································· 43
2 今後の方向性 ····················································· 47
Ⅵ
まとめ ····························································· 48
【参考資料】
検討会議の概要 ···········································50
3
Ⅰ はじめに
JR山田線宮古~釜石間(以下「山田線」という。
)は、昭和 14 年の全線開業以来これまで、
通学、通院など、沿線住民にとって欠くことのできない生活の足として、また、三陸沿岸地域
の振興を図るための社会的基盤として重要な役割を果たしてきた。
しかし、平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災津波により、駅や橋りょうなどの鉄道
施設が甚大な被害を受け、現在も運休の状態が続いている。
宮古市、釜石市、山田町及び大槌町の山田線沿線市町においては、震災からの復興を果たす
ため、住民の意見を踏まえ、復興計画を策定し、その計画において、山田線を地域の重要な復
興の社会的基盤と位置づけ、駅を中心に公共施設や商業施設等を配置する、新たなまちづくり
の方向を示した。
こうした中、山田線の運行事業者であるJR東日本から沿線市町及び岩手県に対し、「津波
からの安全性の確保」、「まちづくりとの整合性」及び「財源の確保」が復旧に向けた課題で
あるとの考えが示され、さらに、平成24年11月に開催された復興調整会議において、山田線復
旧後の利用促進策に関する検討の要請がなされた。
この要請を受け、沿線市町及び岩手県は、平成25年2月にJR山田線沿線首長会議を開催し、
利用促進策を検討する組織の立ち上げについて合意し、JR東日本と国とともに「JR山田線
利用促進検討会議」(以下「検討会議」という。)を同年5月に設置した。
検討会議においては、沿線住民及び沿線市町に立地する高校の生徒を対象として、被災前の
利用状況や復旧後の利用意向等を調査するためのアンケート調査を実施の上、分析を行い、有
識者の意見も踏まえながら山田線の利用促進策について検討を行った。
本報告書は、その結果について取りまとめたものである。
1
Ⅱ 山田線及び沿線の状況
1 路線概要
(1) 位置等
山田線全体は、岩手県の県庁所在地である盛岡市の盛岡駅から三陸沿岸地域の中心都市
の1つである宮古市の宮古駅を経由し、沿岸南部の釜石市の釜石駅へ至る延長 157.5 ㎞の
路線であり、全線が単線の非電化区間となっている。
このうち、沿岸部の宮古~釜石間は、延長 55.4 ㎞であり、通学、通院等の生活の足とし
て沿線の宮古市、山田町、大槌町及び釜石市を相互に結んでいる。また、宮古駅において
三陸鉄道北リアス線、釜石駅においてJR釜石線及び三陸鉄道南リアス線と接続し、JR
八戸線、大船渡線と一体となって本県の三陸沿岸地域を縦貫する鉄道ネットワークを形成
している。
【位置図】
【宮古~釜石間位置図】
JR八戸線
三陸鉄道
北リアス線
盛岡市
盛岡駅
宮古市 宮古駅
JR山田線
JR
山田線
釜石市
釜石駅
三陸鉄道
南リアス線
JR大船渡線
2
【山田線の駅・営業キロ等】
区間
駅名
盛岡駅
盛
岡
~
宮
古
間
(
1
0
2
.
1
㎞
)
宮
古
~
釜
石
間
(
5
5
.
4
㎞
)
営業キロ
所在地
駅間 累計
-
0
上盛岡駅
山岸駅
上米内駅
大志田駅
浅岸駅
区界駅
松草駅
平津戸駅
川内駅
箱石駅
陸中川井駅
腹帯駅
茂市駅
蟇目駅
花原市駅
千徳駅
2.8
2.1
5.0
9.3
8.4
8.0
8.0
8.6
9.3
4.2
7.8
9.1
4.4
4.5
2.7
4.6
宮古駅
3.3 102.1
磯鶏駅
津軽石駅
豊間根駅
陸中山田駅
織笠駅
岩手船越駅
浪板海岸駅
吉里吉里駅
大槌駅
鵜住居駅
両石駅
釜石駅
2.0
7.2
6.2
11.1
2.2
2.8
6.4
1.8
3.4
4.0
2.2
6.1
接続路線
東北新幹線・秋田新幹線・東北
本線・田沢湖線、IGRいわて銀
河鉄道線
2.8
盛岡市
4.9
9.9
19.2
27.6
35.6
43.6
52.2
61.5
65.7
73.5
82.6
87.0 宮古市 岩泉線(平成26年4月1日廃線予定)
91.5
94.2
98.8
三陸鉄道北リアス線
104.1
111.3
117.5
128.6
山田町
130.8
133.6
140.0
141.8 大槌町
145.2
149.2
151.4 釜石市
157.5
釜石線、三陸鉄道南リアス線
3
(2) 沿革
大正 12 年 10 月の盛岡~上米内間の開業以降、順次路線が延伸され、昭和9年 11 月には
陸中川井~宮古間が開業し、盛岡~宮古間での営業運転が開始され、昭和 14 年9月には大
槌~釜石間が開業し、全線開業となった。
その後、昭和 22 年9月のアイオン台風など大規模災害等による被災により何度か不通と
なったが、その度に復旧し、運行を再開してきた。
しかし、平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災津波では、宮古~釜石間において
広範囲にわたって被災し、全線不通となった。その後、盛岡~宮古間では安全が確認され
た区間から順次運行を再開したが、宮古~釜石間では平野部を中心にレールや橋りょう、
駅等の鉄道施設の被害が甚大であり、現在に至るまで復旧の目途は立たず、バスによる振
替輸送が続いている。
【主な沿革】
年月日
大正12年10月
昭和3年9月
昭和5年10月
昭和6年10月
昭和8年11月
昭和9年11月
昭和10年11月
昭和11年11月
昭和13年4月
昭和14年9月
昭和18年11月
昭和19年3月
昭和21年11月
昭和22年9月
昭和24年3月
昭和28年3月
昭和29年11月
昭和55年9月
昭和56年1月
昭和59年2月
昭和61年11月
昭和62年4月
平成20年7月24日
平成20年7月25日
平成23年3月11日
平成23年3月18日
平成23年3月26日
平成23年4月8日
平成23年4月10日
平成23年4月13日
平成23年4月20日
内容
盛岡~上米内間 (9.9 km)開業
上米内~区界間(25.7 km)開業
区界~松草間 (8.0 km)開業
松草~平津戸間 (8.6 km)開業
平津戸~陸中川井間 (21.3 km)開業
陸中川井~宮古間 (28.6 km)開業
宮古~陸中山田間 (26.5 km)開業
陸中山田~岩手船越間 (5.0 km)開業
岩手船越~大槌間 (11.6 km)開業
大槌~釜石間 (12.3 km)開業
宮古~宮古港間 (2.0 km)貨物線開業
平津戸~川内間の雪崩により鉄橋流出。下り貨物列車が転
落。機関士死亡。機関助士負傷。(山田線列車転落事故)
風水害により平津戸~蟇目間不通
アイオン台風による災害により松草~蟇目間不通
蟇目~茂市間運行再開
腹帯~茂市間運行再開
平津戸~腹帯間運行再開(アイオン台風の被害復旧完了)
集中豪雨による災害により宮古~津軽石間不通
宮古~津軽石間運行再開
宮古~宮古港間貨物線廃止
山田線全線(盛岡~釜石間)の貨物営業廃止
国鉄廃止、東日本旅客鉄道㈱へ継承
岩手県沿岸北部地震による落石により全線不通
全線運行再開
東日本大震災津波により全線不通(織笠、大槌、鵜住居駅が
流失、陸中山田駅が津波による火災で焼失)
盛岡~上米内間運行再開
上米内~宮古間運行再開
震災の余震により全線不通
盛岡~上米内間運行再開
上米内~宮古間運行再開
宮古~釜石間においてバスによる振替輸送開始
4
(3) 震災前の山田線の状況
① 山田線の駅及び運行本数等
山田線の駅は 13 駅であり、有人駅が5駅、残りの8駅が無人駅となっている。
震災前の宮古~釜石間の所要時間は 76 分で、運行本数は上り(宮古方面)
・下り(釜
石方面)共に 10 本/日であったが、三陸鉄道からの乗り入れ1本をそれぞれ含んでいる。
【宮古~釜石間の営業キロ、所要時間、運行本数】
所在地
宮古市
山田町
大槌町
釜石市
駅名
宮古駅
磯鶏駅
津軽石駅
豊間根駅
陸中山田駅
織笠駅
岩手船越駅
浪板海岸駅
吉里吉里駅
大槌駅
鵜住居駅
両石駅
釜石駅
有人
・無人
有人駅
無人駅
有人駅
無人駅
有人駅
無人駅
無人駅
無人駅
無人駅
有人駅
無人駅
無人駅
有人駅
営業キロ
所要時間
運行本数
(㎞)
(分)
(本/日)
駅間 累計 駅間 累計 上り 下り
-
0.0
-
0
10
10
2.0
2.0
4
4
10
9
7.2
9.2
8
12
10
9
6.2 15.4
8
20
10
9
11.1 26.5
14
34
10
10
2.2 28.7
4
38
10
9
2.8 31.5
4
42
10
9
6.4 37.9
8
50
10
9
1.8 39.7
4
54
10
9
3.4 43.1
4
58
10
10
4.0 47.1
5
63
10
10
2.2 49.3
4
67
10
9
6.1 55.4
9
76
10
10
※ 下りの運行本数が9本の駅は、快速列車1本(宮古発釜石経由盛岡行き)の
通過駅であるもの。
5
② 利用状況の推移
山田線の平均通過人員は、盛岡~釜石間の全線よりも宮古~釜石間の方が多い。昭和
62 年度から平成 22 年度までの利用者数は、盛岡~釜石間、宮古~釜石間共に年々減少
しており、特に平成4年度から平成9年度にかけて大きく減少したが、近年、減少の傾
向が比較的緩やかになっている。
また、宮古~釜石間の主要駅(宮古、陸中山田、大槌、釜石)における乗車人員も利
用者数と同様、近年は緩やかな減少傾向となっている。
【山田線の平均通過人員の推移】
2,000
盛岡~釜石間
1,719
1,800
1,605
宮古~釜石間
1,600
平均通過人員
(人/日)
1,400
1,200
1,105
1,119
958
1,000
881
800
831
774
728 693
835 804
735
510 484
713
435 404
377
496 455 419
392
661
600
400
200
0
1986
S62 1988 1990 1992
H4 1994 1996H91998 2000 2002
H14 2004
H16 2006
H18 2008
H20 2010
H22
(年度)
【山田線の駅毎の乗車人員の推移(宮古~釜石間・主要駅)
】
700
656
604
600
645
566
586
564
540
525
539
525
592
500
乗車人員
(人/日)
529
536
530
484
400
339
300
522
316
332
297
298
295
315
307
293
266
200
295
242
292
233
526
511
457
443
278
276
254
252
259
235
100
宮古
0
2001
H13
2002
H14
2003
H15
2004
H16
2005
H17
2006
H18
陸中山田
2007
H19
大槌
2008
H20
2009
H21
釜石
2010
H22
(年度)
出典:JR東日本ホームページ
「路線別ご利用状況」
6
③ 震災前における鉄道の接続状況
山田線と他の鉄道路線との接続関係は、下図のとおりである。
宮古駅における盛岡方面との乗り継ぎは、運行本数そのものが少なく、乗り継ぎが難し
い状況となっている。久慈方面との乗り継ぎは、全体の約4割で乗り継ぎが難しい状況と
なっている。
釜石駅における盛方面及び遠野方面との乗り継ぎは、それぞれ全体の約3割で乗り継ぎ
が難しい状況となっている。
【山田線と他路線との接続図】
久慈
三陸鉄道北リアス線
JR山田線
久慈方面
盛岡方面
26 本/日(13 往復)
8 本/日(4 往復)
盛岡
宮古
JR山田線
宮古~釜石間
20 本/日(10 往復)
釜石
遠野
JR釜石線
三陸鉄道南リアス線
遠野方面
盛方面
23 本/日(11.5 往復)
26 本/日(13 往復)
盛
7
【山田線と他路線との接続本数状況】
【宮古駅での接続】
盛岡方面への運行本数
接続可能本数
4本
3本
久慈方面への運行本数
接続可能本数
うち1本三陸鉄道直通
【内訳】
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
1本
-
-
1本
-
1本
盛岡方面からの運行本数
接続可能本数
4本
3本
久慈方面からの運行本数
接続可能本数
うち1本三陸鉄道直通
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
2本
-
-
1本
-
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
【釜石駅での接続】
盛方面への運行本数
接続可能本数
うち1本三陸鉄道直通
【内訳】
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
盛方面からの運行本数
接続可能本数
うち1本三陸鉄道直通
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
【内訳】
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
13本
8本
遠野方面への運行本数
接続可能本数
うち3本釜石線へ直通
【内訳】
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
4本
1本
2本
-
-
1本
13本
10本
遠野方面からの運行本数
接続可能本数
うち3本釜石線からの直通
4本
2本
1本
2本
-
1本
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
13本
8本
5本
2本
1本
-
-
-
13本
8本
2本
3本
-
3本
-
-
12本
8本
5本
2本
-
1本
-
-
11本
8本
5本
-
2本
-
-
1本
※1 「山田線と他路線との接続本数」とは、60 分以内で乗り換えが可能な本数を集
計したもの。
※2 直通便については、接続時間を 10 分未満として集計したもの
8
④ 震災前における山田線と路線バスの接続状況
山田線と路線バスの接続時間は、565 本中 10 分未満のケースが 62 本と全体の約1割、
10 分以上~30 分未満のケースが 227 本と全体の約4割、30 分以上 1 時間未満のケースが
276 本と全体の約5割を占める状況となっていた。
さらに、駅から最寄のバス停までの距離が 300m 以上離れている(徒歩約5分程度)ケー
スが 13 箇所中6箇所もあった。
【山田線からバスへの接続本数状況】
ア 岩手県北バス(宮古~岩手船越間)
鉄道発着本数
山田線からバスに接続可能な本数
駅から最寄の
バス停までの距離
駅名
宮古方面から 釜石方面から
宮古
磯鶏
津軽石
豊間根
陸中山田
岩手船越
-
10
10
10
10
10
10
9
9
9
10
9
宮古方面
山田方面
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
-
-
-
-
-
15
-
2
4
4
3
2
14
1
3
3
1
5
1
11
1
1
2
1
3
3
9
1
1
3
1
3
-
9
2
1
2
1
2
1
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
9
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
その他方面
15
2
4
3
4
-
2
18
1
5
4
2
4
2
18
1
1
6
2
3
5
8
2
-
2
2
1
1
9
1
-
1
4
3
-
12
2
1
4
1
2
2
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
60
13
11
11
9
8
8
9
-
2
-
1
3
3
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
26
3
4
8
3
5
3
16
2
-
3
2
4
5
駅とバスプールが
隣接
400m
350m
500m
200m
100m
イ 岩手県交通(浪板海岸~釜石間)
鉄道発着本数
山田線からバスに接続可能な本数
駅から最寄の
バス停までの距離
駅名
宮古方面から 釜石方面から
浪板海岸
10
吉里吉里
10
大槌
10
鵜住居
10
両石
10
釜石
10
9
9
10
10
9
-
大槌方面
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
釜石方面
-
-
-
-
-
-
12
-
2
4
3
3
-
27
2
5
5
6
5
4
31
2
7
6
5
5
6
24
-
6
4
5
6
3
15
1
4
3
1
3
3
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
その他方面
11
2
2
2
1
3
1
11
2
3
1
1
1
3
24
3
5
5
5
3
3
25
1
5
9
1
2
7
24
1
3
7
5
1
7
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
-
-
-
-
-
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
10分未満
10分~20分未満
20分~30分未満
30分~40分未満
40分~50分未満
50分~60分未満
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
28
4
6
7
1
4
6
11
3
3
-
3
2
-
10
1
3
1
1
3
1
63
8
14
13
12
8
8
200m
350m
300m
180m
250m
(途中に階段有)
210m
※1 「山田線からバスに接続可能な本数」とは、60 分以内で乗り換えが可能なバス路線
の本数を集計したもの。
※2
「宮古方面」、
「山田方面」、「大槌方面」、「釜石方面」のバスとは、山田線と並行す
る路線を指し、
「その他方面」とはそれ以外の路線を指すもの。
※3
震災前においては、岩手船越駅から釜石方面及び浪板海岸駅から宮古方面に向かう
バス路線はなかったもの。
※4 織笠駅については、駅から最寄のバス停までの距離が大幅に離れている(1.1km)こ
とから、集計を行わなかったもの。
10
(4) 震災後の山田線の状況
① 山田線の被災状況
東日本大震災津波による山田線の被災状況は以下のとおりである。
駅舎流失
線路浸水
線路流失
橋りょう流失・埋没
盛土流出
4駅
21.7km
6.3km
6箇所
10 箇所
【写真位置図】
【被災状況写真】
①
閉伊川橋りょう
②
津軽石~磯鶏間
③
陸中山田駅
①
②
③
11
【被災状況写真】
【写真位置図】
④ 織笠駅付近
⑤
大槌川橋りょう
宮古方
④
⑤
⑥
釜石方
⑦
12
⑥
大槌駅付近
⑦
鵜住居駅付近
② 代替交通の確保
ア
路線バスによる振替輸送
山田線は運休が継続していることから、JR東日本では、鉄道駅とみなすバス停留
所(単独又は複数)を設定し、当該バス停の間においては、JRの定期券や回数券で
乗車できる振替輸送を行っている。
振替輸送対象の路線バス(以下「振替バス」という。
)は、主に山田線に並行する国
道 45 号を通り、一部国道から逸れ集落等を経由している。
また、運行区間は2つに分かれており、宮古市の宮古駅から山田町の岩手船越駅間
は岩手県北バスが、岩手船越駅から釜石市の釜石駅間は岩手県交通が運行し、岩手船
越駅としてみなすバス停留所「道の駅やまだ」で接続している。
イ 振替バスの利用状況(H23~H24 年度)
山田線の振替バスの平均通過人員は、震災直後の平成 23 年度では 265 人/日である
のに対し、翌年の平成 24 年度では 307 人/日と増加している。
また、平成 22 年度における主要駅の乗車人員は、震災により大きな被害を受けた大
槌町市街地の大槌駅では他の駅と比較して大きく落ち込んでいる。
【宮古~釜石間の振替バスの平均通過人員(人/日)】
平成 23 年度
宮古~釜石間
平成 22 年度
平成 24 年度
265
(参考:鉄道)
307
693
【宮古~釜石間の主要駅における振替バスの乗車人員(人/日)
】
平成 24 年度
平成 22 年度
(参考:鉄道)
宮古駅
313
511
陸中山田駅
161
259
大槌駅
76
235
釜石駅
273
443
出典:JR東日本ホームページ
「路線別ご利用状況」
※ 振替バスにおける乗車人員はJR定期券・回数券の利用者のみの集計であり、個札客
が含まれていないことから、震災前の状況とは一概に比較できないもの。
13
ウ 鉄道と振替バスの比較
宮古~釜石間の鉄道と振替バスの所要時間については、鉄道が 76 分であるのに対し、振
替バスではバスの乗り継ぎ時間を除いても 108 分と、32 分多くの時間を要している。
運行本数については、鉄道が上り下り各 10 本であるのに対し、振替バスでは、宮古~岩
手船越間が 22 本、岩手船越~釜石間が 12~18 本となっている。
このうち、乗継可能な本数は、宮古方面から釜石方面、釜石方面から宮古方面とも 11 本
となっている。
【所要時間の比較(分)
】
事業者 所在地
岩
手
県
北
バ
ス
岩
手
県
交
通
鉄道駅名
駅とみなす
バス停留所(代表)
宮古駅
宮古市 磯鶏
津軽石駅
豊間根駅
陸中山田駅
山田町
織笠駅
岩手船越駅
宮古駅前
上磯鶏
津軽石
豊間根
山田中央町
織笠大橋
道の駅やまだ
山田町 岩手船越駅
道の駅やまだ
浪板海岸駅
大槌町 吉里吉里駅
大槌駅
鵜住居駅
釜石市 両石駅
釜石駅
浪板
吉里吉里一丁目
中央公民館入口
鵜住居
両石
釜石駅前
駅間
鉄道
-
4
8
8
14
4
4
振替バス
累計
差
-
9
14
10
18
5
4
5
6
2
4
1
0
乗継時間
- 3~40
8
4
4
5
4
9
鉄道
2
1
4
3
0
4
差
0
9
23
33
51
56
60
5
11
13
17
18
18
50
54
58
63
67
76
70
75
83
91
95
108
20
21
25
28
28
32
鉄道
10
9
9
9
10
9
9
9
9
10
10
9
10
振替バス
-
-
10
5
8
8
4
13
振替バス
0
4
12
20
34
38
42
【鉄道と振替バス運行本数の比較(本)
】
事業者 所在地
岩
手
県
北
バ
ス
宮古市
岩
手
県
交
通
大槌町
山田町
釜石市
鉄道駅名
宮古駅
磯鶏駅
津軽石駅
豊間根駅
陸中山田駅
織笠駅
岩手船越駅
浪板海岸駅
吉里吉里駅
大槌駅
鵜住居駅
両石駅
釜石駅
駅とみなす
バス停留所(代表)
宮古駅前
上磯鶏
津軽石
豊間根
山田中央町
織笠大橋
道の駅やまだ
浪板
吉里吉里一丁目
中央公民館入口
鵜住居
両石
釜石駅前
※ 「道の駅やまだ」で乗り継ぎ
14
上り
鉄道
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
振替バス
22
22
22
22
22
22
22
12
12
18
18
18
18
下り
差
12
12
12
12
12
12
2
2
8
8
8
8
22
22
22
22
22
22
22
12
12
18
18
18
18
差
13
13
13
12
13
13
3
3
8
8
9
8
2 沿線人口の推移
山田線沿線市町について、昭和 60 年の人口と対比した平成 22 年の人口の割合は、4市町
ともに岩手県全体の割合(93%)を下回っている。
【宮古市:77%、山田町:76%、大槌町:75%、釜石市:66%】
なお、沿線人口と山田線の利用者数の減少傾向を比較すると、利用者数の減少率の方が大
きい。
【山田線沿線の人口の推移】
1,433,611
100,000
岩手県1,330,147
90,000
1,350,000
77,024
80,000
70,000
1,200,000
60,007
60,000
沿線人口
(人)
50,000
40,000
24,602
30,000
20,000
20,258
10,000
1,500,000
0
H2
S60
H7
H12
H17
宮古市
59,430
1,050,000
釜石市
39,574
750,000
山田町
18,617
450,000
大槌町
15,276
150,000
900,000
600,000
300,000
岩手県
(人)
0
H22
(年)
出典:国勢調査報告
【沿線人口と利用者数(平均通過人員)の減少傾向の比較】
100%
岩手県93%
90%
宮古市77%
山田町76%
80%
大槌町75%
釜石市66%
70%
60%
50%
山田線40%
40%
30%
20%
10%
0%
1985
S60
S62
※
1990
H2
1995
H7
2000
H12
沿線人口は昭和 60 年と対比した割合
平均通過人員は昭和 62 年度と対比した割合
15
2005
H17
2010
H22
3 震災前における住民の都市間移動
(1) 通勤
山田線沿線における市町間の通勤の流動は、隣接する市町間で多い傾向にあり、中でも
宮古市と山田町、釜石市と大槌町間それぞれの流動が非常に多くなっている。
平成 12 年と平成 22 年の流動を比較すると、自市町内での通勤は減少しているが、他市
町への通勤は、ほぼ横ばいである。
【居住地-通勤地対応表(人)
】
通勤地
岩
泉
町
宮
古
市
5543
196
H12
平成
12 年
岩泉町
山
田
町
居
山田町
住
地 大槌町
釜石市
大船渡市
大
槌
町
0
159 31323
宮古市
通勤地
釜
石
市
0
0
大
船
渡
市
0
563
27
86
0
0 1360 7732
210
367
24
154 5251 2024
40
0
78
0
75
50
0
0
0
656 19962
0
岩
泉
町
宮
古
市
4553
150
H22
平成
22 年
岩泉町
大船渡市
青色:居住地市町内での勤務
釜
石
市
大
船
渡
市
0
0
0
0
(0)
(0)
(0)
(0)
179 23995 640
47
91
0
(20) (-7328) (77) (20)
(5)
(0)
0 1357 6054 229 381
13
(0) (-3) (-1678) (19) (14) (-11)
0 107 179 4204 1838
31
(0) (29) (25) (-1047) (-186) (-9)
0
80
70 676 15489 164
(0)
(5) (20) (20) (-4473) (-24)
0
15
0
0 321 16861
(0) (15)
(0)
(0) (40) (-4078)
釜石市
281 20939
大
槌
町
(-990) (-46)
宮古市
居
山田町
住
地 大槌町
188
山
田
町
下段括弧内の数値は対 H12 の増減
出典:国勢調査報告より編集
【通勤流動図】
平成 12 年
平成 22 年
岩泉町
岩泉町
196
159
179
宮古市
宮古市
1360
27
563
1357
47
78
179
山田町
210
86
80
50
大槌町
656
91
70
大槌町
381
2024
676
釜石市
40
1~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~499人
500~999人
1000人~
赤色:対 H12 増
青色:対 H12 減
24
凡例
288
15
山田町
229
367
凡例
640
107
154
75
150
188
大船渡市
16
1~ 49人
50~ 99人
100~199人
200~499人
500~999人
1000人~
1838
釜石市
13
31
321
164
大船渡市
(2) 通学
山田線沿線における市町間の通学の流動は、山田町から宮古市、大槌町から釜石市が多
い。
なお、平成 12 年と平成 22 年の流動を比較すると、全体的には減少傾向となっている。
【居住地-通学地対応表(人)
】
通学地
H12
平成
12 年
岩
泉
町
宮
古
市
437
岩泉町
山
田
町
43
1 2977
宮古市
居
山田町
住
地 大槌町
釜石市
大船渡市
通学地
大
槌
町
0
大
船
渡
市
釜
石
市
0
0
0
1
0
0
0
0
364
498
2
37
1
0
23
0
461
280
4
0
8
0
4 1726
6
0
0
0
0
岩
泉
町
平成H22
22 年
大
槌
町
釜
石
市
大
船
渡
市
36
0
0
0
0
(-7)
(0)
(0)
(0)
(0)
1 2256
5
1
1
0
(0) (-721)
(4)
(1)
(1)
(0)
0 312 359
2
10
0
(0) (-52) (-139)
(0) (-27) (-1)
0
13
0 385 163
3
(0) (-10)
(0) (-76) (-117) (-1)
0
16
0
44 1093
9
(0)
(8)
(0) (40) (-633)
(3)
0
6
0
0
20 1784
(0)
(6)
(0)
(0) (-11) (-176)
(-180)
宮古市
居
山田町
住
地 大槌町
釜石市
大船渡市
青色:居住地市町内での通学
山
田
町
257
岩泉町
31 1960
宮
古
市
下段括弧内の数値は対 H12 の増減
出典:国勢調査報告より編集
【通学流動図】
岩泉町
平成 12 年
岩泉町
平成 22 年
43
1
36
1
宮古市
宮古市
364
1
312
1
23
5
13
山田町
山田町
2
8
16
2
1
大槌町
大槌町
37
4
10
280
44
釜石市
1~ 9人
10~ 29人
29~ 49人
50~ 99人
100~199人
200人~
1
6
大船渡市
17
3
赤色:対 H12 増
青色:対 H12 減
凡例
31
163
釜石市
4
凡例
6
1~ 9人
10~ 29人
29~ 49人
50~ 99人
100~199人
200人~
20
9
大船渡市
4 復興に向けたまちづくり
東日本大震災津波により甚大な被害を受けた山田線沿線の中でも、とりわけ津軽石駅、陸中
山田駅、織笠駅、大槌駅及び鵜住居駅の周辺市街地は、都市機能が喪失するほどの壊滅的な被
害を受けた。
各市町においては、仮設住宅などに避難している住民が安心して市街地に戻ることができる
よう、復興まちづくり計画を策定し、市街地の嵩上げや、防潮堤などの津波防護施設の整備を
行い、安全なまちづくりを推進することとしている。
≪大規模な被害を受けた駅周辺のまちづくりの計画≫
① 津軽石駅
東日本大震災津波では、低地になっている山田線伝いに金浜地区から津軽石地区に津波
が流れ込んできたことから、津波防護施設を整備し、これに合わせて線路を嵩上げするこ
とで、津軽石地区への津波の浸水を避ける。
② 陸中山田駅
防潮堤を整備するとともに、市街地を嵩上げすることで、津波の浸水を避ける。
③ 織笠駅
防災集団移転促進事業による高台移転などに合わせて織笠駅も移転する。
④ 大槌駅
防潮堤を整備するとともに、市街地を嵩上げすることで、津波の浸水を避ける。
⑤ 鵜住居駅
防潮堤を整備するとともに、市街地を嵩上げすることで、津波の浸水を避ける。
駅周辺のまちづくりについては、次ページからの図面を参照。
図面№
1
2
3
4
5
駅名
津軽石駅
陸中山田駅
織笠駅
大槌駅
鵜住居駅
18
19
20
21
22
23
スポーツ・レクリエー
ション施設
津波被災メモリアル
パーク等
避難路(横軸):
避難所連絡の
孤立防止
公共施設の再配置
駅前から国道沿道は
商業・事業所エリア
国道を走りやすく
線形見直し
津波の避難拠点となる
小学校・中学校を
中心としたまちづくり
図面No.5 鵜住居駅周辺
鵜住居川河口に水門と
セットで防潮堤を設置
整備高さT.P.(標高)14.5m
※現況防潮堤高さ標高6.4m
(約8.1mのかさ上げ)
JR山田線
かさ上げはせず
鉄路復旧を目指す
24
津波復興拠点整備事業について ー
鵜住居駅前
Ⅲ 山田線の利用に関する課題
全国的にも地方ローカル線は、沿線人口の減少やモータリゼーションの進行等により、利用
者が減少している。
このような傾向に加え、山田線の利用者数は、沿線の人口減少率を上回る速度で減少を続け
ているが、沿線住民の鉄道離れは、次に示すような様々な課題が複合的に絡みあって生じてい
るものと推測される。
① 市街地の分散化
各市町においては、公共施設や商業施設といった都市機能が郊外に分散していく傾向にあ
り、次第に鉄道利用に適した配置からかい離していったことが、利用者の減少につながった
ものと考えられる。
② 鉄道とバス等との乗り継ぎの不便さ
震災前における山田線と路線バスの接続状況は、鉄道から 30 分以上乗り継ぎに要する本数
が全体の約5割を占めている。
また、駅から最寄のバス停までの距離が 300m 以上離れているケースが 13 箇所中6箇所も
見られる。
このことから、震災前の鉄道とバスなどの二次交通との接続が十分に考慮されたダイヤ設
定となっておらず、また、バスの運行ルート等が鉄道との乗り継ぎによる買い物や公共施設
等への移動には不便であったと考えられる。
③ 行政と鉄道事業者との連携不足
震災前における山田線の運行においては、行政と鉄道事業者が協働して、鉄道利用を促進
する企画を行うなど、活動がほとんどなされていない状況が続いていた。
④ 鉄道と自動車・自転車が連携する仕組みの不足
アンケート調査結果では、
「駅周辺に駐車場・駐輪場を整備」により、鉄道を利用する意向
を示している回答者の割合が多いことから、自動車や自転車を使用して最寄駅等を利用する
環境が不十分と考えられる。
⑤ マイレール意識の不足
これまで、山田線はJR東日本が運行しているのが当然の状態として認識されてきたこと
が、住民はもとより行政も地域の鉄道を支えるという当事者意識に欠けた状況を産み出し、
利用者を増やすための取組や、住民自らが積極的に利用していくという努力につながらなか
た面があると考えられる。
25
Ⅳ 山田線の利用促進策
1 鉄道利用の課題への対応
Ⅲで掲げた山田線の利用に関する課題については、沿線市町をはじめ、地域の様々な主体
が役割を果たしながら具体的な利用促進の取組を進め、解決を図っていく必要がある。
【課題への対応策一覧】
課
題
対 応 策
市街地の分散化
駅を中心としたまちづくり
鉄道とバス等との乗り継ぎの不便さ
鉄道とバスなど二次交通との接続
行政と鉄道事業者との連携不足
利用者助成の実施
鉄道と自動車・自転車が連携する仕組
みの不足
自動車利用者等の鉄道利用への誘導
主体
沿線市町
沿線市町
企業、団体
住民の利用機会の創出
マイレール意識の不足
地域協働による鉄道の維持
駅周辺の地域資源活用
地域住民
企業、団体
(1) 駅を中心としたまちづくり
駅周辺に公共施設等を配置し、地域の交流拠点とすることにより、駅周辺の賑わい
を創出するとともに、施設利用者の鉄道利用を図る。
(2) 鉄道とバスなど二次交通との接続
鉄道やバスなど、接続に関する情報の一元化を図るとともに、バス停の位置や運行
ダイヤの見直しを行い、鉄道とバスの乗り継ぎの利便性を向上させる。
(3) 利用者助成の実施
定期購入者や回数券利用者のほか、地元の団体利用者(自治会、町内会等、個人グ
ループ等)に対する各種助成制度を設けることにより、住民の移動手段の転換や新た
な鉄道利用者の掘り起こしを図る。
(4) 自動車利用者等の鉄道利用への誘導
通勤や遠距離移動の際、自動車と鉄道との乗り継ぎがしやすくなるよう、駅周辺の
環境整備を行い、鉄道利用を促す。
26
(5) 住民の利用機会の創出
学校行事での移動や、駅を活用したイベント等の開催により、鉄道の利用につなが
る様々な機会を創出する。
(6) 地域協働による鉄道の維持
地域で鉄道を支える「マイレール意識」を醸成するため、住民自らが率先して鉄道
を支えるための取組を展開する。
(7) 駅周辺の地域資源活用
駅周辺に存在する資源を発掘、活用しながら、鉄道利用につながる取組を行う。
27
2 利用促進の取組及びその実施主体に関する事項
1で示した対応策を基に、沿線市町において利用促進の取組に関する検討を行い、検討会議
における議論を踏まえ、その内容を下記のとおりとりまとめた。
復旧前から対応可能なものについては早期に取組を進め、復旧後の取組については、その時
期に合わせて具体化に向けた検討を行い、議会や住民の理解を得ながら進めていく必要がある。
また、利用促進を図る上では、鉄道の利用に直接つながる取組はもとより、地域において鉄
道の利用が必要であるという意識を醸成することが重要である。
【鉄道利用に向けた取組内容】
対応策
駅を中心
としたま
主体
宮古市
ちづくり
取 組 内 容
復旧前
復旧後
宮古駅・津軽石駅周辺に公共施設等を配置
○
○
新駅の設置を検討
○
○
○
○
○
○
○
○
高校、病院付近に織笠駅を移転
○
○
大槌駅周辺に公共施設等を配置
○
○
○
○
○
○
鵜住居駅周辺に商業・事務所、公共施設、スポー
釜石市
実施時期
ツレクリエーション施設等を配置
釜石駅徒歩圏内に大型商業施設等を配置
陸中山田駅周辺に、交流施設、図書館、中・高校
山田町
生を中心とした(仮称)子どもセンター、商店街
などを整備
大槌駅周辺部に再建住宅や災害公営住宅、住宅地
大槌町
を整備
大槌駅前にバスターミナル、タクシー駐車場を
配置
鉄道とバ
沿線
鉄道とバスの乗り継ぎを分かりやすくした時刻
スなど二
市町
表の作成
次交通と
列車内や駅玄関等に乗継バスの発車時刻やバス
の接続
停の位置を表示
鉄道とバスを利用したモデルコースを地元団体、
観光客向けに設定
○
○
○
鉄道ダイヤを踏まえたバスダイヤの見直し
○
住宅地と最寄りの駅を結ぶバス路線の新設
○
駅付近に新たにバス停を設置
○
駅及び公共施設等を巡回するバス路線の構築
○
28
対応策
主体
利用者助
沿線
成の実施
市町
取 組 内 容
実施時期
復旧前
団体の個札利用時における助成制度の実施
復旧後
○
各種イベント等での鉄道利用来場者に対する割
○
引助成
通勤定期・回数券購入者、通院者、地元団体等に
○
対し、購入経費の一部を助成
自治会・町内会用にサービス回数券を発行し、沿
線市町が通常の回数券とサービス回数券との差
○
額を補助
鉄道から公営バスへ乗り継ぎを行う利用者に対
○
し、乗り継ぎ券として割引券または無料券を発行
自動車利
沿線
パーク&ライド、駅レンタカーを利用したモデル
用者等の
市町
コースのPR
鉄道利用
○
駅周辺に駐車場・駐輪場を設置
○
ノーマイカーデーの設定・実施
○
への誘導
住民の利
沿線
学校行事(遠足、スポーツ大会等)における移動
用機会の
市町
時の鉄道利用
○
創出
列車や駅を活用したイベントの開催
地域協働
沿線
による鉄
住民、
道の維持
企業、
団体等
鉄道を支えるサポーターズクラブの結成
自治会や子供会による鉄道の利用を組み込んだ
行事の実施
住民・地元団体による回数券の購入
駅周辺の
沿線
鉄道利用の際に、地域資源を絡めた特典付与等を
地域資源
住民、
実施
活用
企業、
鉄道利用者に対し、駅周辺施設(商店街、飲食店)
団体等
の割引券等を発行
29
○
○
○
○
○
○
○
対応策
主体
取 組 内 容
駅周辺の
沿線
鉄道を利用した通勤・通院・買い物利用客に対
地域資源
住民、
し、割引券やお買い物券等を発行
活用
企業、
橋野高炉跡の世界遺産認定、ラグビーワールド
団体等
カップの誘致等による交流人口の拡大
その他の
沿線
利用促進イベントを沿線市町で同時、定期的に
取組
市町
開催
鉄道について考える住民参加型のシンポジウム
等の開催
イベント列車の運行で鉄道とふれあう機会を作
るなど、鉄道の魅力をPR
公用の遠方(盛岡・仙台・東京等)への出張の
際の交通手段として、鉄道を積極的に利用
広報誌等を発行し、鉄道利用に関する有益情報
を提供
鉄道利用ポイントカードを発行し、利用者に対
する特典を付与
企業や各種団体、個人に対し、遠方への移動の
際は鉄道利用を促すPR活動を実施
沿線
町内会会報においてイベント列車や鉄道に関す
住民、
る積極的なPRを展開
企業、
集客施設、企業等と鉄道駅を結ぶ送迎バスの運
団体等
行
切符に店舗のコマーシャルと食事割引券を印刷
30
実施時期
復旧前
復旧後
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
3 利用促進策に関するアンケート調査結果
2に記載した利用促進策について、アンケートを実施し、震災前1年間に山田線を利用し
ていた者と利用していなかった者に関し、利用促進策を実施した場合の鉄道の利用意向につ
いて調査した。
(1) アンケート調査実施状況
① 実施時期
平成 25 年 10 月 2 日(水)~11 月 8 日(金)
② 調査対象及び調査票配布数
対象
調査票配布数
・ 山田線沿線(磯鶏駅~両石駅)の小学校(概ね駅から3km
圏内)へ通う児童がいる世帯。
2,409 世帯
・
山田線沿線の老人クラブ等に所属する高齢者がいる世帯
・
沿線4市町に立地する高校への通学者
3,301 名
(2) 調査を行った利用促進策
利用促進策の取組の内容のうち、下記の代表的な9項目について調査した。
・
駅周辺に駐車場を整備
・
駅周辺に駐輪場を整備
・
既存バス路線の見直し
・
鉄道と乗り換えしやすいバス時刻(ダイヤ)の設定
・
運賃の割引
・
ノーマイカーデーの実施
・
車両を活用したイベント列車の運行
・
鉄道利用に応じたポイントカードの発行
・
八木沢地区(宮古市)への新駅設置
(3) 調査結果
アンケート調査の結果、利用促進策は、図Ⅳ-1のとおり、
「運賃割引」、
「鉄道と乗り換
えのしやすいバス時刻の設定」、「駅を利用しやすいよう、各バス路線を見直し」の順に利用
意向が高かった。
(
「ぜひ利用したい」、「利用したいと思う」との回答が多かった。
)
また、図Ⅳ-2のとおり、どの利用促進策においても、震災前の鉄道利用頻度が高い住
民ほど利用意向も高く、逆に鉄道利用実績がない住民は、利用意向が低い傾向が見受けら
れる。
31
図Ⅳ-1 利用促進策実施時の利用意向
0%
20%
駅周辺駐車場整備
21.5
駅周辺駐輪場整備
20.9
バス路線見直し
21.9
バス時刻設定
イベント列車
ポイントサービス
八木沢新駅
ぜひ利用
したい
16.3
15.3
10.1
15.3
12.4
13.0
19.3
14.4
11.4 7.3
16.6
9.8
利用したい
と思う
23.6
16.9
23.7
16.0
36.1
24.0
30.4
21.0
25.4
利用を
考えたい
25.3
18.9
29.8
17.3
25.5
19.3
17.4
100%
26.2
23.7
17.4
15.4
80%
19.9
15.7
16.1
28.1
11.6
60%
16.2
14.3
24.7
運賃割引
ノーマイカーデー
40%
28.7
46.2
利用しない
と思う
わからない
※ 集計結果は沿線居住者調査と高校生調査結果を合算したもの
(以降のグラフもすべて同様に集計しているもの)
32
図Ⅳ-2 震災前1年間の山田線利用実績別「利用促進策実施時の利用意向」
利用意向の割合
利用意向の回答者数
利用意向割合(%)
0%
駅
周
辺
駐
車
場
整
備
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
48.0
12.0
20.0
8.0
12.0
わからない
2500
利用しないと思う
週数回利用
50.0
19.2
9.6
11.5
2000
9.6
利用を考えたい
1500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
35.1
22.8
13.2
11.3
17.5
1000
ぜひ利用したい
500
利用なし
13.6
12.8
17.8
24.7
31.1
0
毎日利用
震災前 1 年間
ぜひ利用したい
利用したいと思う
の利用実績
利用しないと思う
わからない
駅
周
辺
駐
輪
場
整
備
10%
20%
毎日利用
30%
40%
利用なし
の利用実績
50%
48.0
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
利用意向割合(%)
0%
週数回利用
利用を考えたい
60%
70%
20.0
80%
90%
20.0
100%
0.0 12.0
回答者数(人)
3,500
3,000
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
51.0
15.7
9.8
15.7
7.8
2,000
利用を考えたい
1,500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
34.9
20.2
14.0
14.8
16.1
1,000
ぜひ利用したい
500
利用なし
12.9
11.1
16.7
28.6
30.7
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
10%
20%
30%
40%
50%
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
利用を考えたい
の利用実績
利用意向割合(%)
0%
週数回利用
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
毎日利用
バ
ス
路
線
見
直
し
60.0
16.0
16.0
0.0 8.0
わからない
2,500
利用しないと思う
2,000
週数回利用
62.7
9.8
9.8
7.8
9.8
利用を考えたい
1,500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
36.8
22.3
14.6
9.8
1,000
16.5
ぜひ利用したい
500
利用なし
震災前 1 年間
の利用実績
13.0
13.0
19.0
24.7
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
0
30.4
毎日利用
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
利用を考えたい
の利用実績
33
利用なし
利用意向の割合
利用意向の回答者数
利用意向割合(%)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
バ
ス
時
刻
の
設
定
毎日利用
60.0
12.0
16.0
0.0 12.0
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
60.0
14.0
6.0 6.0
2,000
14.0
利用を考えたい
1,500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
42.6
20.3
13.9
9.3
1,000
13.9
ぜひ利用したい
500
利用なし
14.6
12.8
19.4
24.3
0
28.9
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
10%
20%
30%
40%
50%
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
利用を考えたい
の利用実績
利用意向割合(%)
0%
週数回利用
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
毎日利用
64.0
12.0
わからない
12.0 0.0 12.0
2,500
運
賃
の
割
引
利用しないと思う
週数回利用
65.3
12.2
8.2 4.1 10.2
2,000
利用を考えたい
1,500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
45.9
20.5
11.6
7.0
15.1
1,000
ぜひ利用したい
500
利用なし
18.0
12.7
18.5
22.4
28.4
0
毎日利用
震災前 1 年間
ぜひ利用したい
利用したいと思う
の利用実績
利用しないと思う
わからない
ノ
ー
マ
イ
カ
ー
デ
ー
の
実
施
10%
20%
30%
40%
50%
16.0
4.0
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
の利用実績
利用意向割合(%)
0%
週数回利用
利用を考えたい
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
毎日利用
32.0
20.0
28.0
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
41.3
10.9
10.9
13.0
2,000
23.9
利用を考えたい
1,500
月数回・年数回利用
20.2
16.5
12.3
20.2
30.8
1,000
利用したいと思う
ぜひ利用したい
500
利用なし
6.5 6.7
12.6
35.0
39.1
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
利用を考えたい
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
の利用実績
34
利用なし
利用意向の割合
利用意向の回答者数
利用意向割合(%)
0%
イ
ベ
ン
ト
列
車
の
運
行
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
毎日利用
24.0
28.0
12.0
20.0
16.0
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
37.0
15.2
17.4
13.0
17.4
2,000
利用を考えたい
1,500
月数回・年数回利用
24.6
17.2
15.4
17.4
利用したいと思う
25.4
1,000
ぜひ利用したい
500
利用なし
10.0
10.6
18.4
27.7
33.3
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
ポ
イ
ン
ト
サ
ー
ビ
ス
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
利用なし
の利用実績
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
毎日利用
48.0
16.0
12.0
12.0
12.0
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
51.1
11.1
8.9
13.3
15.6
2,000
利用を考えたい
1,500
利用したいと思う
月数回・年数回利用
32.5
20.3
14.6
11.6
21.0
1,000
ぜひ利用したい
500
利用なし
11.7
11.4
17.7
26.1
33.0
0
毎日利用
ぜひ利用したい
利用を考えたい
わからない
震災前 1 年間
の利用実績
0%
毎日利用
10%
20%
週数回利用
利用したいと思う
利用しないと思う
30%
40%
50%
60%
70%
80%
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
の利用実績
利用意向割合(%)
八
木
沢
地
区
に
新
駅
設
置
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
利用意向割合(%)
0%
週数回利用
利用を考えたい
90%
100%
回答者数(人)
3,500
3,000
26.9
19.2
0.0 15.4
38.5
わからない
2,500
利用しないと思う
週数回利用
20.0
11.1
6.7
24.4
2,000
37.8
利用を考えたい
1,500
月数回・年数回利用
利用したいと思う
17.0
10.1
7.8
18.0
47.1
1,000
ぜひ利用したい
500
利用なし
8.2 5.6
11.0
29.3
45.9
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ利用したい
利用したいと思う
利用しないと思う
わからない
利用を考えたい
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
の利用実績
35
利用なし
(4) 今後の方向性
今回のアンケート調査結果では、
「鉄道と乗り換えのしやすいバス時刻の設定」、「駅を利
用しやすいよう、各バス路線を見直し」、
「駅周辺への駐車場整備」による利用意向が高く、
鉄道を利用しやすい環境整備に対する住民のニーズが多いと推察され、これらの取組を重
点的に進めていく必要がある。
また、利用意向の回答者数に着目すると、鉄道利用実績がない者でも「ぜひ利用したい」、
「利用したいと思う」との回答者が数百名程度いることから、このような潜在的に鉄道を
利する可能性のある者が望む利用促進策を実施することにより、利用者の掘り起こしを図
っていく必要がある。
なお、最も利用意向の高かった「運賃の割引」については、鉄道事業者との調整が必要
であること、また、他地域で実施されているような、行政による利用者への助成を行う場
合には、財源負担の課題があることから、これらの課題を事前に調整していく必要がある。
36
4 利用促進策により見込まれる効果
復旧時の鉄道利用者数について、アンケート調査結果を基に推計した上で、利用促進策を実
施した場合の利用者数を推計することにより、その効果を測ることとした。
(1) 将来利用者数推計における設定条件
項目
設定条件
推計年度
平成 32 年度
人口
国立社会保障人口問題研究所の推計値データ(平成 32 年度)
山田線沿線4市町
対象地域
(日常生活での利用を想定。域外からの利用(観光客等)は含まない)
・山田線1日 10 往復(震災前と同様の運行本数)
交通状況
・三陸自動車道が無料で供用
アンケート調査結果から推計が可能な、通学、通院、買物(以下「3目的」
鉄道利用目的
という。
)を対象
(2) 利用促進策実施前における利用者数の推計結果
平均輸送人員(1 日1km当たりの利用者数)で算出すると、H22 が 354~472 人/日、
H32 が 224~299 人/日となった。
表1 山田線の鉄道利用者数の推計結果
往路
震災前
利用者数 (H22)
(人/日)
復旧時
(H32)
震災前
輸送人キロ (H22)
(人㎞/日) 復旧時
(H32)
震災前
平均輸送人員 (H22)
(人/日) 復旧時
(H32)
復路
通学
通院
買物
3目的
合計
①
②
③
④=①+②+③
50%利用
⑤
~
往復
100%利用 往路+復路
往路+復路 震災前
~
(往復利用) 50%利用
100%利用 に対す
る比率
⑥
④+⑤
④+⑥
1,042
103
55
1,200
600 ~
1,200
1,800 ~
2,400
1.00
692
67
36
795
397 ~
795
1,192 ~
1,589
0.66
10,405
1,794
839
13,038
6,519 ~
13,038
19,557 ~
26,076
1.00
6,683
1,084
502
8,269
4,134 ~
8,269
12,403 ~
16,537
0.63
188
32
15
236
118 ~
236
354 ~
472
1.00
121
20
9
150
75 ~
150
224 ~
299
0.63
※1 それぞれで端数調整を行っているため、合計が合わないことがある。
※2 復路(帰宅時)については、50%~100%利用した場合を想定し、利用者数を推計したも
の。
※3 利用者数:宮古~釜石間の乗車又は降車人数
※4 輸送人キロ:宮古~釜石間の区間利用者数×利用区間距離
※5 平均輸送人員:輸送人キロ÷宮古~釜石間の鉄道区間距離
37
(3) 利用促進策実施時における利用者数の推計
① 利用者数推計を行う利用促進策
アンケート調査結果から推計が可能な利用促進策は、下記のとおりである。
・
鉄道の運賃割引(運賃が半額となった場合を想定)
・
新駅の設置(宮古市八木沢地区を想定)
・
移転する織笠駅付近に山田病院を移設
・
釜石駅徒歩圏内に大規模小売店開業
② 利用促進策実施時における推計結果
利用促進策実施前の平均輸送人員と比較して、25~33 人/日の増加を見込むことができ
る結果となった。
表2 利用促進策の効果(平均輸送人員)
往路
復路
通学
通院
買物
3目的
合計
①
②
③
④=①+②+③
50%利用
⑤
~
往復
100%利用 往路+復路
往路+復路
~
(往復利用) 50%利用
100%利用
⑥
④+⑤
④+⑥
利用促進なし
120.9
19.6
9.1
149.6
74.8 ~
149.6
224.4 ~
299.2
利用促進あり
128.6
20.4
17.3
166.3
83.2 ~
166.3
249.5 ~
331.6
増減
7.7
0.8
8.2
16.7
8.4 ~
16.7
25.1 ~
33.4
増減率
1.06
1.04
1.90
1.11
1.11
1.11
※ それぞれで端数調整を行っているため、合計が合わないことがある。
(4) 鉄道利用者総数の想定
利用者数の推計値は、アンケート調査結果から推計が可能な3目的のみの利用者数であり、
鉄道利用者の総数を示すものではない。
そこで、次のような補正を行うことによって、鉄道利用者数の総数を想定することとした。
① 実績値を踏まえた推計値の補正
ア H22 年度の通学利用者数
H22 年度の平均通過人員は、震災に伴う運転見合せの影響があることから、震災前
H19~H21 年度の3年間(表3)の減少傾向を基に補正を行うと、想定される H22 年度
の輸送密度は 702 人/日となる。
表3 山田線の震災前における平均通過人員
(単位:人/日)
H19 年度
H20 年度
H21 年度
H22 年度
H22(補正後)
735
728
713
693
702
(JR東日本ホームページより)
38
また、H21 年度の平均通過人員の利用者割合は、通学利用(定期)が 58%、その他
利用が 42%となっている。
(表4)
これにより、H22 年度の通学利用者は 702×58%=407 人/日と想定される。
表4 H21 年度における通学定期・その他利用の割合
通学利用(定期) その他利用(通勤定期+定期外利用)
58%
42%
※
利用者割合はJR東日本より聞き取り
イ 推計値の通学利用者数
震災前における3目的を合わせた平均通過人員の考えに基づく推計利用者数は 472
人/日(P37 表1)であり、この推計値における各目的別利用割合は、通学:通院:
買物=79.8%:13.7%:6.4%となる。
これらの結果から、通学利用者を求めると 377 人/日(472×0.798)となる。
ウ
通学利用者数に基づく H22 年度実績値と推計値の比較
アとイの結果から、実績値の通学利用者が 407 人/日、推計値では 377 人/日であ
ることから、推計値は実績値の 0.93(377/407)に相当する。
エ
復旧時の利用者推計値の補正
ウの結果から、3目的での復旧時における利用者推計結果 224~299 人/日(P37 表
1)を補正すると、241~322 人/日((224~299)/0.93)となる。
② 3目的以外の利用者の想定
推計における復旧時の平均通過人員の考えに基づく通学利用者数は 242 人/日(121
×2)となることから(P37 表1)
、①エと同様、補正を行うと、260 人/日(242/0.93)
となる。
この値と、H21 年度における通学利用者とその他利用者の利用割合(58:42)を用い
(表4)
、通学目的以外の利用者を求めると、188 人/日(260/0.58×0.42)となる。
しかし、この値には通院、買物の利用者が含まれていることから、それらを差し引く
と、3目的以外の利用者は 126 人/日(188-(20+9)×2/0.93)となる。
③ 鉄道利用者総数の想定
①エと②において、3目的の利用者は 241~322 人/日、それ以外の利用者は 126 人/
日と求められたことから、鉄道利用者の総数はこの2つの値を加えた 367~448 人/日と
なる。
39
表5 復旧時における利用促進策実施前の利用者総数(想定)
(単位:人/日)
3目的での利用
その他利用
計
241~322
126
367~448
④ 利用促進策実施時の鉄道利用者総数の想定
利用促進策実施時における推計結果は 25~33 人/日(P38 表2)であり、この数値に
ついても、①エと同様に補正を行うと、27~35 人/日(
(25~33)/0.93)となる。
この結果を③で求めた値に加えると、利用促進策を実施した場合の鉄道利用者の総数
は 394~483 人/日となる。
表6 復旧時における利用促進策実施時の利用者総数
(単位:人/日)
3目的での利用
その他利用
利用促進策の効果
計
241~322
126
27~35
394~483
40
【参考】別の手法による利用者数の想定
推計は、現在、公共交通(バス)を利用している者の状況を基に行っている。
一方、アンケートの回答では、今は公共交通を利用していない者でも鉄道復旧後に「利用促
進策が実施されれば利用したい」という回答も見られる。
そのため、このような意向は推計に反映されていない。
そこで、このような利用意向を持つ者が、仮に鉄道を利用すれば、どの程度の利用者増につ
ながるのかについて、別途想定を行った。
1 想定条件
(1) 対象者
アンケートにおいて、「現在公共交通を利用していないが、利用促進策が実施されれば鉄
道を利用する」と回答した者
(2) 想定の対象とする利用促進策
アンケートにおいて利用意向調査を行った9項目(P31 を参照)
(3) 鉄道利用回数
(1)の対象者が年4回あるいは月1回利用した場合を想定
2 利用促進策別の利用者数の想定結果
1の想定条件に基づき、各利用促進策別に、平均輸送人員ベースでの利用者増加数を想定
したところ、下表のとおりとなり、一番効果が高い「①駅周辺の駐車場整備」においては、
年4回の利用で 92 人/日、月1回の利用で 275 人/日という結果となった。
このように、潜在的に鉄道利用の可能性のある者が、利用促進策により年数回でも利用す
れば、一定の鉄道利用者増が見込まれる。
表
利用促進策の実施による平均輸送人員増加数
単位:人/日
JR山田線利用促進策
①
②
③
④
⑥
⑤
駅周辺駐 駅周辺駐 バス路線 バス時刻
ノーマイ
運賃割引
車場整備 輪場整備 見直し
調整
カーデー
⑦
イベント
列車
⑧
⑨
ポイント 八木沢駅
サービス
新設
年4回利用
92
75
80
86
80
54
69
75
39
月1回利用
275
226
241
257
240
163
208
226
117
41
Ⅴ 山田線を支える地域の活動
全国的にも沿線人口の減少、モータリゼーションの進展などにより、地方ローカル鉄道の運
営環境が厳しくなっている中、鉄道を地域資源として位置付け、地元住民をはじめ、行政、鉄
道事業者が協働し、活性化に向けた取組を進めている事例が各地に数多く見られる。
そこで、どのような取組を実施すれば山田線を活性化させる可能性があるか、他地域におけ
る支援活動の事例を参照しながら、下記のとおり活動案を検討し、アンケートにより、その必
要性及び参加・協力意向について把握した。
【支援活動の一覧】
活 動 内 容
駅及び駅周辺の清掃活動、美化活動
主 旨
自分たちの鉄道としての愛着を深めるととも
に、快適に利用できる駅づくりを進めていく。
鉄道を利用した、町歩きツアー等の主
沿線の風土、文化や歴史をめぐり、知ってもら
催・企画
う取組を行う。
駅周辺でのイベントの主催・企画
鉄道に関連したグッズの企画・作成
各学校行事・子ども会での山田線の利用
観光客のガイド・郷土料理の提供
情報発信のためのWEBの企画・作成
駅周辺でイベントを開催し、鉄道利用者の増加
を図るほか、賑わいを創出する。
山田線に関連したグッズの配布、販売を通じて
イメージアップやPRを図る。
行事等において山田線を積極的に活用し、利用
機会を高めていく。
住民が主体となって、地域の特徴を生かしたお
もてなしに取り組む。
ホームページ、ブログ、フェイスブック、ツイ
ッターを活用し、即時性の高い情報を発信する。
山田線に関する取組、イベントを掲載し
沿線イベント、飲食店等に関する情報誌を発行
た地域情報誌の作成
し、山田線の魅力を紹介する。
山田線サポーターズクラブの結成
活性化に係る各種の取組を組織的に実施する。
42
1 調査結果
支援活動についても、利用促進策と同様、過去の鉄道利用頻度が高いほど、参加・協力意
向が高い(
「ぜひ参加したい」
、
「内容に応じて参加したい」との回答)傾向が見られる。
また、具体の取組としては「駅周辺の清掃・美化活動」、「各学校行事・子ども会での山田
線の利用」
、
「駅周辺でのイベントの主催・企画」の順に参加・協力意向が高かった。
図Ⅴ-1 支援活動の参加・協力意向
0%
清掃・美化活動
街歩きツアーなど
20%
16.2
9.9
駅周辺イベント
12.1
鉄道関連グッズ
9.7
行事等での山田線利用
10.9
情報発信web
9.8
地域情報誌
8.6
サポーターズクラブ
ぜひ参加
したい
19.4
20.1
15.8
20.4
15.6
19.8
17.1
15.2
14.6
23.3
20.5
14.8
25.0
15.7
15.9
13.2
13.6
43
100%
25.3
31.7
30.5
34.9
18.3
21.4
30.6
34.8
23.9
37.8
24.9
38.3
27.3
参加したい
80%
15.7
16.5
7.6 11.3 11.8
内容に応じて
参加したい
60%
22.6
15.7
観光客ガイド等
40%
参加しないと思う
42.1
わからない
図Ⅴ-2 震災前1年間の山田線利用実績別の「支援活動の参加・協力意向」
参加・協力意向の割合
参加・協力意向の回答者数
利用意向割合(%)
駅
及
び
駅
周
辺
の
美
化
活
動
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
3500
3000
毎日利用
40.7
29.6
3.7
14.8
わからない
11.1
2500
参加しないと思う
週数回利用
46.0
26.0
12.0
8.0
8.0
2000
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
25.0
26.1
19.7
10.4
18.7
1000
ぜひ参加したい
500
利用なし
10.9
20.6
20.6
18.6
29.3
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
参加したい
参加しないと思う
週数回利用
10%
20%
利用なし
の利用実績
わからない
0%
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
利用意向割合(%)
鉄
道
を
利
用
し
た
街
歩
き
ツ
ア
ー
回答者数(人)
30%
40%
50%
60%
70%
7.1
10.7
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
14.3
42.9
25.0
わからない
2500
参加しないと思う
週数回利用
27.7
25.5
12.8
14.9
2000
19.1
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
16.2
23.1
17.2
18.3
25.2
1000
ぜひ参加したい
500
利用なし
6.3
17.1
15.2
26.2
35.3
0
毎日利用
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
震災前 1 年間
の利用実績
参加したい
参加しないと思う
の利用実績
利用なし
わからない
利用意向割合(%)
0%
駅
周
辺
で
の
イ
ベ
ン
ト
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
22.2
25.9
25.9
7.4
わからない
18.5
2500
参加しないと思う
週数回利用
34.0
19.1
14.9
8.5
2000
23.4
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
18.2
24.5
16.8
15.6
25.0
1000
ぜひ参加したい
500
利用なし
8.5
18.2
16.4
23.3
33.6
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
参加したい
参加しないと思う
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
の利用実績
わからない
44
利用なし
参加・協力意向の割合
参加・協力意向の回答者数
利用意向割合(%)
0%
鉄
道
関
連
グ
ッ
ズ
の
作
成
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
25.9
25.9
7.4
14.8
わからない
25.9
2500
参加しないと思う
週数回利用
27.7
21.3
10.6
14.9
2000
25.5
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
15.4
19.0
16.3
19.9
1000
29.5
ぜひ参加したい
500
利用なし
6.2
13.7
14.2
27.9
38.0
0
毎日利用
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
震災前 1 年間
の利用実績
参加したい
参加しないと思う
の利用実績
利用なし
わからない
利用意向割合(%)
学
校
行
事
等
で
の
山
田
線
利
用
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
33.3
22.2
7.4
11.1
わからない
25.9
2500
参加しないと思う
週数回利用
37.0
17.4
8.7
17.4
2000
19.6
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
23.0
21.8
16.1
14.0
1000
25.1
ぜひ参加したい
500
利用なし
11.4
18.7
15.6
20.6
33.7
0
毎日利用
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
震災前 1 年間
の利用実績
参加したい
参加しないと思う
の利用実績
利用なし
わからない
利用意向割合(%)
0%
観
光
客
へ
の
ガ
イ
ド
等
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
11.5
11.5
80%
90% 100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
26.9
26.9
わからない
23.1
2500
参加しないと思う
2000
週数回利用
28.9
20.0
17.8
13.3
20.0
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
17.5
19.9
16.5
16.8
1000
29.3
ぜひ参加したい
500
利用なし
7.0
15.5
15.6
23.9
37.9
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
参加したい
参加しないと思う
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
の利用実績
わからない
45
利用なし
参加・協力意向の割合
参加・協力意向の回答者数
利用意向割合(%)
情
報
発
信
の
た
め
の
W
e
b
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
26.9
11.5
19.2
19.2
わからない
23.1
2500
参加しないと思う
週数回利用
28.9
17.8
4.4
17.8
2000
31.1
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
16.3
18.4
14.5
18.6
32.2
1000
ぜひ参加したい
500
利用なし
6.0
13.6
12.7
26.8
40.9
0
毎日利用
震災前 1 年間
ぜひ参加したい
参加したい
わからない
0%
10%
週数回利用
内容に応じて参加したい
参加しないと思う
20%
30%
40%
50%
60%
70%
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
の利用実績
利用意向割合(%)
80%
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
26.9
15.4
7.7
26.9
わからない
23.1
2500
参加しないと思う
2000
週数回利用
22.2
20.0
11.1
13.3
33.3
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
14.5
18.5
15.4
19.9
1000
31.7
ぜひ参加したい
500
利用なし
5.1
12.5
12.7
27.7
41.9
0
毎日利用
ぜひ参加したい
参加したい
わからない
震災前 1 年間
の利用実績
0%
10%
20%
週数回利用
内容に応じて参加したい
参加しないと思う
30%
40%
50%
60%
70%
80%
月数回・年数回利用
利用なし
震災前 1 年間
の利用実績
利用意向割合(%)
サ
ポ
ー
タ
ー
ズ
ク
ラ
ブ
3500
3000
毎日利用
の利用実績
山
田
線
に
関
す
る
地
域
情
報
誌
回答者数(人)
90%
100%
回答者数(人)
3500
3000
毎日利用
23.1
3.8
15.4
23.1
わからない
34.6
2500
参加しないと思う
2000
週数回利用
24.4
17.8
6.7
13.3
37.8
参加したい
1500
内容に応じて参加したい
月数回・年数回利用
12.9
15.1
13.7
21.8
1000
36.4
ぜひ参加したい
500
利用なし
4.4
9.2
10.8
30.3
45.1
0
毎日利用
震災前 1 年間
の利用実績
ぜひ参加したい
内容に応じて参加したい
参加したい
参加しないと思う
週数回利用
月数回・年数回利用
震災前 1 年間
の利用実績
わからない
46
利用なし
2 今後の方向性
P42に一覧として示した支援活動のうち、山田線の復旧前から実施可能であるものについて
は、現在から積極的に取り組んでいくことにより、住民の鉄道への関心やマイレール意識を
醸成することが重要である。
特に、アンケート調査結果において、参加・協力意向が上位にある「駅及び駅周辺の清掃
活動・美化活動」や「駅周辺での集客を図ったイベントの主催・企画」については、被災し
ていない駅等を活用し、復旧前から取組を始めることができることから、駅を地元住民に開
かれた交流・活動拠点として位置付け、復旧後の鉄道利用につなげていくことが期待できる。
47
Ⅵ まとめ
これまで、山田線の利用者の確保は、鉄道事業者任せになる傾向があり、必ずしも地域住民
が鉄道を利用しやすい環境が整備されてこなかった。今後、行政が主体となり、駅を中心とし
たまちづくりや、バスなどの二次交通との接続など、ハード面、ソフト面の両面から、住民の
鉄道利用を促していく施策を講じることが必要となる。
また、鉄道を利用する主体は、あくまでも、地域住民である。鉄道を利用し、山田線を支え
ていくという意識の醸成を図ることで、地域住民による日常的な利用につなげていくことが求
められる。
現在、山田線は、運休の状態が続いているが、ここで、沿線地域に果たしてきた役割を改め
て見直し、利用促進に向けて復旧前からでも実施可能な取組を進めていくことが望まれる。
山田線沿線地域を取り巻く環境は、震災の影響による人口流出など、厳しい状況が続いてお
り、山田線の利用者にも少なからず影響を与えるものと推測される。
このような時こそ、行政と地域住民は一体となって、欠くことのできない重要な公共交通機
関である山田線を支えていく必要がある。
本報告書は、検討会議において約1年間にわたり検討してきた利用促進策を取りまとめたも
のである。今後、その着実な実施を図り、山田線を地域における持続可能な鉄道としていくこ
とが求められる。
また、利用促進策は今回とりまとめた内容だけでなく、さらなる利用者の確保に向けた努力
が必要であり、今後も、行政と地域住民が一体となって充実させていく必要がある。
48
今回、山田線に関する住民アンケートの実施において、下記の機関にご協力をいただきました。
この場を借りまして御礼申し上げます。
【宮古市】
・ 宮古市立磯鶏小学校
・ 宮古市立高浜小学校
・ 宮古市立津軽石小学校
・ 宮古市老人クラブ連合会
【釜石市】
・ 釜石市立鵜住居小学校
・ 鵜住居老人クラブ
・ 日向老人クラブ
・ 片岸やまびこクラブ
・ 箱崎浜友会
・ 両石老人クラブ
・ 川目老人クラブ
【山田町】
・ 山田町立豊間根小学校
・ 山田町立荒川小学校
・ 山田町立山田北小学校
・ 山田町立山田南小学校
・ 山田町立織笠小学校
・ 山田町立船越小学校
・ 山田町老人クラブ連合会
【大槌町】
・ 大槌町立大槌小学校
・ 大槌町立吉里吉里小学校
・ JRの復興を考える会
・ 婦人連合会
・ 高齢者サポート施設「和野っこハウス」
【高等学校】
・ 岩手県立釜石高等学校
・ 岩手県立釜石商工高等学校
・ 岩手県立大槌高等学校
・ 岩手県立山田高等学校
・ 岩手県立宮古高等学校
・ 岩手県立宮古北高等学校
・ 岩手県立宮古工業高等学校
・ 岩手県立宮古商業高等学校
・ 岩手県立宮古水産高等学校
・ 岩手県立杜陵高等学校宮古分室
49
【参考資料】
検討会議の概要
○ 構成員
所
属
東京工業大学大学院
職 名
氏
名
教授
屋井 鉄雄
交通ジャーナリスト
鈴木 文彦
宮古市
総務企画部企画課長
山崎 政典
釜石市
市民生活部市民課主幹
板沢 英樹
山田町
復興推進課長
沼﨑 弘明
大槌町
総合政策部長兼総合政策課長
澤田 彰弘
政策地域部副部長兼地域振興室長
紺野 由夫
政策地域部地域振興室交通課長
佐々木 隆
国土交通省東北運輸局
鉄道部長
伊藤 範夫
東日本旅客鉄道
総合企画本部復興企画部担当部長
山口 保幸
株式会社
盛岡支社総務部企画部長
多田 秀彰
岩手県
摘
要
座長
副座長
○ オブザーバー
所
属
復興庁岩手復興局
職 名
参事官
氏
福本
名
充
○ 検討事項
① 鉄道を支えるための地元における利用促進の取組に関する事項
② 鉄道とバスなどの公共交通機関との接続・連携に関する事項
③ 地元の日常利用者(潜在利用者を含む。
)の利便性向上に関する事項
④ JR山田線の利用促進を図るための調査・分析等に関する事項
⑤ その他必要な事項
50
備
考
○ 開催状況
開催日時等
検討内容
・ JR山田線利用促進検討会議の設置について
第1回
平成 25 年5月1日(水) ・ 検討会議の今後の進め方について
・ 利用促進策の検討について
第2回
平成 25 年5月 23 日(木)
・ 利用促進策の方向性について(第1回検討)
・ 調査分析事業の内容について
・ 利用促進策の方向性について(第2回検討)
・ 利用促進に係る国の財政支援制度について
第3回
平成 25 年6月 19 日(水) ・ 調査分析事業の調整状況について
沿線首長会議を開催し、利用促進策の方向性について
報告し合意
・ JR山田線沿線首長会議の結果について【報告】
第4回
平成 25 年8月 22 日(木) ・ 調査分析事業の概要について
・ 利用促進策について
・ シンポジウムの開催状況について【報告】
第5回
平成 25 年 11 月 20 日
(水)
・ 調査業務の進捗状況について
・ 利用促進策の検討状況について
・ 利用促進策報告書骨子(案)について
第6回
平成 26 年1月 21 日(火)
・ 調査分析事業について
・ 利用促進策に関する報告書(案)について
51
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